JP2016097416A - 缶の巻締め方法、第1巻締めロール及び缶の巻締め装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1巻締めロール50は、巻き込み工程のカール部14と成形凹部53との接触開始時において、カール部14と成形凹部53との接触開始位置Sが、カール部14の中程の外周面に設けられ、カール部14の外周面先端の端縁が、直線部57の外周側端縁(下顎部52と成形凹部53との接続点P2)よりも第1巻締めロール50の径方向外側に設けられるとともに、下顎部52の最大外周位置(垂線Z)よりも第1巻締めロール50の径方向内側に設けられる。
【選択図】 図4
Description
このように、第1巻締めロールによる巻締め開始時には、回転する缶蓋に静止している第1巻締めロールが当接するため、缶蓋と第1巻締めロールの回転速度は一定とはならず、回転速度に差が生じる。したがって、巻締め開始時に、カール部の端縁と第1巻締めロールの成形凹部とが当接すると、カール部の先端が削られて薄切屑が発生しやすい。
また、巻始め開始時にカール部の端縁が成形凹部と接触することを回避するために、カール部と成形凹部との接触開始位置を、缶蓋のカール部の先端側ではなく、カール部の中程の曲面とした缶の巻締め装置が用いられるようになってきている。
そこで、本発明者は、このような事情に鑑み、以下の解決方法とした。
そこで、本発明の方法では、まず、カール部と成形凹部との接触開始時において、カール部と成形凹部との接触開始位置を、カール部の中程の外周面とすることにより、カール部と成形凹部との接触開始時に、カール部の先端が成形凹部と接触することを回避することとしている。また、この方法に用いられる第1巻締めロールは、成形凹部の円弧面と下顎部の円弧面との間を直線部で結んだ形状とされており、カール部の中程の外周面と成形凹部との接触開始時において、カール部の外周面先端の端縁を、成形凹部の下端側に配置される直線部の外周側端縁(成形凹部と下顎部との接続点)よりも径方向外側で、かつ下顎部の最大外周位置よりも径方向内側に配置することとした。これにより、カール部のカール幅CDを小さくしたことによる巻き上げ性の低下やリバースリンクル発生の問題を解消することができるとともに、カール部と成形凹部との接触開始時において、カール部の先端と成形凹部とが接触することによる薄切屑の発生を防止することができる。
なお、成形凹部の直線部を無くして、成形凹部の円弧面と下顎部の円弧面とを直接接続する構成では、カール部の巻き上げ性が悪くなり、缶の密封性を確保することが難しくなる。
カール部と成形凹部との接触開始位置を、下顎部の最大外周位置よりも第1巻締めロールの径方向内側に配置することで、下顎部の最大外周位置よりも径方向外側に配置した場合と比べて、カール部の外周面を成形凹部の円弧面の形状に沿って円滑に案内することが容易となる。したがって、巻き込み部を安定した形状に加工することができ、缶の良好な密封性を確保することができる。
なお、比率(L/A)が0.09未満では、巻き上げ性が低下し、缶の十分な密封性を得ることが難しくなる。また、比率(L/A)が0.33を超える場合では、薄切屑の発生を防止することができない。
角度βは、第1巻締めロールの径方向外方に向かうにしたがって軸心方向の上方(上顎部側)に向かって傾斜する場合が負(−:マイナス)とされ、軸心方向の下方(下顎部側)に向かって傾斜する場合が正(+:プラス)とされる。そして、直線部を、直交線Hに対して−3°以上5°以下の角度βで設けることで、この直線部に沿ってカール部の外周面を円滑に案内でき、巻き上げ性を向上させることができる。
なお、角度βが−3°よりも小さい場合には、巻き込み部の加工後に、第1巻締めロールを巻き込み部から離型させる際に、その巻き込み部と下顎部とが引っかかりやすく、缶蓋に傷がついたり、その部分が削れることで塗料カスが発生したりするおそれがある。一方、角度βが5°よりも大きい場合には、巻き上げ性が低下し、リバースリンクルが発生しやすくなる等、缶の密封性を阻害しやすくなる。
図5に示す本実施形態の缶の巻締め装置100は、径方向内側に巻き返されたカール部14を備えた缶蓋10を、缶胴20の開口部に設けられたフランジ部23に密着させて巻締めることにより缶を成形する装置であり、図3に示すように、缶胴20の開口端部に缶蓋10の周縁部が抱き合せられるように巻締められた二重巻締め構造を形成する。
なお、これらチャック部材41とリフター45とは、同期して軸心X回りに回転駆動される。
第1巻締めロール50は、概略円板状をなし、自身の軸心Y1回りに回転自在に支持されており、外周面に、軸心Y1方向上側に位置する上顎部51と、軸心Y1方向下側に位置する下顎部52と、これら上顎部51と下顎部52との間で巻き込み部15の外周面を成形するための成形凹部53とが、周方向に沿って形成されている。ここで、第1巻締めロール50の軸心Y1は、チャック部材41とリフター45とによって挟持された缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに対して、軸心X方向上方に向かうに従い漸次軸心Xから離間するように角度αで傾斜して設けられており、チャック部材41に対して図5の矢印Eで示すように、旋回移動しながら半径方向に離間接近するようになっている。したがって、第1巻締めロール50は、その軸心Y1が、缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに対して傾斜した状態で、缶蓋10のカール部14に摺接されるようになっている。
なお、図4に示す例では、直線部57の角度βは正に設けられており、成形凹部53の上縁部(上顎部51側)と下縁部(下顎部52側)とは、第1巻締めロール50の径方向外方に向かうに互いに離間するように構成されている。
なお、図4に示す符号C1は第1円弧面54の曲率中心、符号C2は第2円弧面55の曲率中心、符号C3は第3円弧面56の曲率中心である。
また、成形凹部53の直線部57の外周側端縁(成形凹部53と下顎部52との接続点P2)から成形凹部53の最深位置までの径方向距離をAと、直線部57の径方向長さをLとしたときに、距離Aに対する長さLの比率(L/A)が0.09以上0.33以下に設けられる。
第2巻締めロール60は、図5に示すように、概略円板状をなし、外周面に、上顎部61と下顎部62との間で二重巻締め部16を形成するための成形凹部63が周方向に沿う溝状に設けられており、缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに平行な自身の軸心Y2を中心に回転自在な構成とされる。
このとき、缶蓋10のカウンターシンク部12にはチャック部材41の環状突出部42が嵌合しており、このチャック部材41の外周面のウォール面43が缶蓋10のチャックウォール部13を缶蓋10の径方向内側から支持し、このウォール面43と第2巻締めロール60との間に缶蓋10と缶胴20とが挟み込まれる。これにより、コンパウンド(図示略)を缶蓋10と缶胴20との間に圧縮状態に介在させた二重巻締め部16が形成され、缶蓋10が缶胴20のフランジ部23に装着される。
なお、比率(L/A)が0.09未満では、巻き上げ性が低下し、缶の十分な密封性を得ることが難しくなる。また、比率(L/A)が0.33を超える場合では、薄切屑の発生を防止することができない。
なお、角度βが−3°よりも小さい場合には、巻き込み部15の加工後において、第1巻締めロール50を巻き込み部15から離型させる際に、その巻き込み部15と下顎部52とが引っかかりやすくなり、缶蓋10に傷がついたり、その部分が削れることで塗料カスが発生したりするおそれがある。一方、角度βが5°よりも大きい場合には、巻き上げ性が低下し、リバースリンクルが発生しやすくなる等、缶の密封性を阻害しやすくなる。
缶蓋10は、公称径が204のものであり、アルミニウム合金板を成形して、カール部14のカール高さCLが2.0mm以上2.4mm以下、カール幅CDが0.7mm以上1.0mm以下、板厚が0.205mm以上0.225mm以下に形成されたものを使用した。また、缶胴20には、アルミニウム合金板を成形し、フランジ部23の幅FWが2.0mm以上2.5mm以下、板厚が0.16mm以上0.20mm以下に形成されたものを使用した。
各飲料缶について観察を行い、(a)薄切屑、(b)リバースリンクルの有無を評価するとともに、(c)カバーフック寸法を測定した。また、各飲料缶について落下試験を行い、(d)落下漏れの評価を行った。
なお、試料(1)については、成形凹部53の直線部57を無くして、第3円弧面56と下顎部52の円弧面52aとを直接接続した第1巻締めロール50を構成した。このため、試料(1)では、表1の直線部57に関する寸法を「―」と記載した。
なお、直線部57を有しない第1巻締めロール50により巻締めを行った試料(1)では、カール部14の巻き上げ性が悪くなり、缶の密封性を確保することができないものがあった。また、成形凹部53の径方向距離Aに対する直線部57の径方向長さLの比率である比率(L/A)が0.33を超えて設定された試料(7)では、薄切屑が発生するものがあった。
11 パネル部
12 カウンターシンク部
13 チャックウォール部
14 カール部
15 巻き込み部
16 二重巻締め部
20 缶胴
21 胴体部
21a 縮径部
22 首部
23 フランジ部
30 巻締めユニット
41 チャック部材
42 環状突出部
43 ウォール面
45 リフター
46 リフタープレート
47 ホルダー部
50 第1巻締めロール
51 上顎部
52 下顎部
53 成形凹部
54 第1円弧面
55 第2円弧面
56 第3円弧面
57 直線部
60 第2巻締めロール
61 上顎部
62 下顎部
63 成形凹部
100 缶の巻締め装置
Claims (6)
- 径方向内側に巻き返されたカール部を備えた缶蓋を、缶胴の開口部に設けられたフランジ部に密着させて巻締めて缶を巻締める方法であって、
前記缶蓋及び前記缶胴を前記缶胴の軸心方向に挟持するとともに、前記軸心回りに回転させ、その径方向外方から、第1巻締めロールを摺接させて前記フランジ部と前記カール部とを巻き込んで巻き込み部を加工する巻き込み工程と、
前記巻き込み工程によって加工された前記フランジ部及び前記カール部を第2巻締めロールを用いて径方向内方に向けて押圧して二重巻締め部を加工する潰し工程とを有し、
前記第1巻締めロールは、その外周面に、前記第1巻締めロールの軸心方向上側に位置する上顎部と、該軸心方向下側に位置する下顎部と、前記上顎部と前記下顎部との間で前記巻き込み部の外周面を成形するための成形凹部とが周方向に沿って形成され、
前記成形凹部は、前記上顎部から前記下顎部にかけて順に複数の円弧面と直線部とを連続的につなげた形状とされ、
前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記成形凹部内の最も下方に位置する円弧面と前記下顎部の円弧面とを結ぶ接線とされ、
前記巻き込み工程の前記カール部と前記成形凹部との接触開始時において、
前記カール部と前記成形凹部との接触開始位置が、前記カール部の中程の外周面に設けられ、
前記カール部の外周面先端の端縁が、前記直線部の外周側端縁よりも前記第1巻締めロールの径方向外側に設けられるとともに、前記下顎部の最大外周位置よりも前記第1巻締めロールの径方向内側に設けられる缶の巻締め方法。 - 前記巻き込み工程において、
前記接触開始位置が、前記下顎部の最大外周位置よりも該第1巻締めロールの径方向内側に配置される請求項1に記載の缶の巻締め方法。 - 径方向内側に巻き返されたカール部を備えた缶蓋を、缶胴の開口部に設けられたフランジ部に密着させて巻締めて缶を成形する際に用いられるものであり、
前記缶蓋は、前記カール部の前記缶蓋の軸心に平行な方向の距離であるカール高さが2.0mm以上2.4mm以下で、前記カール部の最大外周位置から先端までの径方向長さであるカール幅CDが0.7mm以上1.0mm以下に形成されるものであり、
前記缶蓋及び前記缶胴に対して、径方向外方から摺接して前記フランジ部と前記カール部とを巻き込んで巻き込み部を加工する第1巻締めロールであって、
外周面に、前記第1巻締めロールの軸心方向上側に位置する上顎部と、該軸心方向下側に位置する下顎部と、前記上顎部と前記下顎部との間で前記巻き込み部の外周面を成形するための成形凹部とが周方向に沿って形成され、
前記成形凹部は、前記上顎部から前記下顎部にかけて順に複数の円弧面と直線部とを連続的につなげた形状とされ、
前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記成形凹部内の最も下方に位置する円弧面と前記下顎部の円弧面とを結ぶ接線とされ、
前記下顎部の最大外周位置から前記第1巻締めロールの軸心と平行に引いた垂線Zと前記直線部を径方向外方に延長した仮想線Iとの交点P3から、前記垂線Zと前記成形凹部との交点P1までの軸心方向距離のグルーブ幅GLが1.9mm以上2.2mm以下に設けられ、
前記垂線Zから前記成形凹部の最深位置までの径方向距離のグルーブ深さGDが1.0mm以上1.3mm以下に設けられ、
前記直線部の外周側端縁から前記成形凹部の最深位置までの径方向距離をAとし、前記直線部の径方向長さをLとしたときに、前記径方向距離Aに対する前記径方向長さLの比率(L/A)が0.09以上0.33以下に設けられる第1巻締めロール。 - 前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記第1巻締めロールの軸心と直交する直交線に対して角度βを成して設けられ、前記角度βが−3°以上5°以下に設けられる請求項3に記載の第1巻締めロール。
- 径方向内側に巻き返されたカール部を備えた缶蓋を、缶胴の開口部に設けられたフランジ部に密着させて巻締めて缶を成形する缶の巻締め装置であって、
前記缶蓋は、前記カール部の前記缶蓋の軸心に平行な方向の距離であるカール高さが2.0mm以上2.4mm以下で、前記カール部の最大外周位置から先端までの径方向長さであるカール幅CDが0.7mm以上1.0mm以下に形成されるものであり、
前記缶蓋に当接されるチャック部材と、
前記缶胴を保持して軸心方向に上下動するリフターと、
前記チャック部材及び前記リフターによって前記軸心方向に挟持され該軸心回りに回転する前記缶蓋及び缶胴に対して、径方向外方から摺接して前記フランジ部と前記カール部とを巻き込んで巻き込み部を加工する第1巻締めロールと、
前記第1巻締めロールによって巻き込まれた前記フランジ部と前記カール部とをさらに径方向内方に向けて押圧して二重巻締め部を加工する第2巻締めロールとを備え、
前記第1巻締めロールは、その軸心回りに回転自在に設けられるとともに、
その外周面に、前記第1巻締めロールの軸心方向上側に位置する上顎部と、該軸心方向下側に位置する下顎部と、前記上顎部と前記下顎部との間で前記巻き込み部の外周面を成形するための成形凹部とが周方向に沿って形成され、
前記成形凹部は、前記上顎部から前記下顎部にかけて順に複数の円弧面と直線部とを連続的につなげた形状とされ、
前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記成形凹部内の最も下方に位置する円弧面と前記下顎部の円弧面とを結ぶ接線とされ、
前記下顎部の最大外周位置から前記第1巻締めロールの軸心と平行に引いた垂線Zと前記直線部を径方向外方に延長した仮想線Iとの交点P3から、前記垂線Zと前記成形凹部との交点P1までの軸心方向距離のグルーブ幅GLが1.9mm以上2.2mm以下に設けられ、
前記垂線Zから前記成形凹部の最深位置までの径方向距離のグルーブ深さGDが1.0mm以上1.3mm以下に設けられ、
前記直線部の外周側端縁から前記成形凹部の最深位置までの径方向距離をAとし、前記直線部の径方向長さをLとしたときに、前記径方向距離Aに対する前記径方向長さLの比率(L/A)が0.09以上0.33以下に設けられる缶の巻締め装置。 - 前記第1巻締めロールの前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記第1巻締めロールの軸心と直交する直交線Hに対して角度βを成して設けられ、前記角度βが−3°以上5°以下に設けられる請求項5に記載の巻締め装置。
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