JP6342309B2 - 缶の巻締め方法 - Google Patents
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Description
このように、第1巻締めロールによる巻締め開始時には、回転する缶蓋に静止している第1巻締めロールが当接するため、缶蓋と第1巻締めロールの回転速度は一定とはならず、回転速度に差が生じる。したがって、巻締め開始時に、カール部の端縁と第1巻締めロールの成形凹部とが当接すると、カール部の先端が削られて薄切屑が発生しやすい。
また、巻始め開始時にカール部の端縁が成形凹部と接触することを回避するために、カール部と成形凹部との接触開始位置を、缶蓋のカール部の先端側ではなく、カール部の中程の曲面とした缶の巻締め装置が用いられるようになってきている。
そこで、本発明者は、このような事情に鑑み、以下の解決方法とした。
そこで、本発明の方法では、まず、カール部と成形凹部との接触開始時において、そのカール部と成形凹部との接触開始位置をカール部の中程の外周面とすることにより、カール部の先端が成形凹部と接触することを回避でき、薄切屑の発生を防止できる。また、この接触開始時において、カール部は、その中程の外周面の曲面から円滑に押し下げられ、成形凹部に沿って円滑に案内されることから、巻き上げ性を良好に維持できる。そして、第1巻締めロールがさらに缶蓋に接近して巻締めが進行するのに伴い、カール部は、その中程の外周面から成形凹部の形状に沿って巻き上げられるが、この際、カール部と成形凹部とは、その接触開始時においてカール部の外周面先端の端縁における接線Tと、直線部を径方向に延長した仮想線Iとの交点Q1を、下顎部の最大外周位置よりも第1巻締めロールの径方向外側に配置していることから、巻締めが進行してカール部が巻き込まれる過程においてもカール部の先端が成形凹部と接触することを回避でき、カール部を円滑に巻き上げることができる。
したがって、カール部のカール幅CDを小さくしたことによる巻き上げ性の低下やリバースリンクル発生の問題を解消でき、カール部の先端と成形凹部とが接触することによる薄切屑の発生を防止することができる。
カール部と成形凹部との接触開始位置を、下顎部の最大外周位置よりも第1巻締めロールの径方向内側に配置することで、下顎部の最大外周位置よりも径方向外側に配置した場合と比べて、カール部の外周面を成形凹部の円弧面の形状に沿って円滑に案内することが容易となる。したがって、巻き込み部を安定した形状に加工することができ、缶の良好な密封性を確保することができる。
図5に示す本実施形態の缶の巻締め装置100は、径方向内側に巻き返されたカール部14を備えた缶蓋10を、缶胴20の開口部に設けられたフランジ部23に密着させて巻締めることにより缶を成形する装置であり、図3に示すように、缶胴20の開口端部に缶蓋10の周縁部が抱き合せられるように巻締められた二重巻締め構造を形成する。
なお、これらチャック部材41とリフター45とは、同期して軸心X回りに回転駆動される。
第1巻締めロール50は、概略円板状をなし、自身の軸心Y1回りに回転自在に支持されており、外周面に、軸心Y1方向上側に位置する上顎部51と、軸心Y1方向下側に位置する下顎部52と、これら上顎部51と下顎部52との間で巻き込み部15の外周面を成形するための成形凹部53とが、周方向に沿って形成されている。ここで、第1巻締めロール50の軸心Y1は、チャック部材41とリフター45とによって挟持された缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに対して、軸心X方向上方に向かうに従い漸次軸心Xから離間するように角度αで傾斜して設けられており、チャック部材41に対して図5の矢印Eで示すように、旋回移動しながら半径方向に離間接近するようになっている。したがって、第1巻締めロール50は、その軸心Y1が、缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに対して傾斜した状態で、缶蓋10のカール部14に摺接されるようになっている。
なお、図4に示す符号C1は第1円弧面54の曲率中心、符号C2は第2円弧面55の曲率中心、符号C3は第3円弧面56の曲率中心である。
第2巻締めロール60は、図5に示すように、概略円板状をなし、外周面に、上顎部61と下顎部62との間で二重巻締め部16を形成するための成形凹部63が周方向に沿う溝状に設けられており、缶蓋10及び缶胴20の軸心Xに平行な自身の軸心Y2を中心に回転自在な構成とされる。
このとき、缶蓋10のカウンターシンク部12にはチャック部材41の環状突出部42が嵌合しており、このチャック部材41の外周面のウォール面43が缶蓋10のチャックウォール部13を缶蓋10の径方向内側から支持し、このウォール面43と第2巻締めロール60との間に缶蓋10と缶胴20とが挟み込まれる。これにより、コンパウンド(図示略)を缶蓋10と缶胴20との間に圧縮状態に介在させた二重巻締め部16が形成され、缶蓋10が缶胴20のフランジ部23に装着される。
缶蓋10は、公称径が204のものであり、アルミニウム合金板を成形して、カール部14のカール高さCLが2.0mm以上2.4mm以下、カール幅CDが0.7mm以上1.0mm以下、板厚が0.205mm以上0.225mm以下に形成されたものを使用した。また、缶胴20には、アルミニウム合金板を成形し、フランジ部23の幅FWが2.0mm以上2.5mm以下、板厚が0.16mm以上0.20mm以下に形成されたものを使用した。
比較例1では、図6(b)に示すように、カール部14の先端に第1巻締めロール50Bとの初期接触位置Sを設定し(表1の「初期接触位置S」の項目では「先端」と表記)、そのカール部14と成形凹部53との接触開始時において、交点Q1を下顎部52の最大外周位置(垂線Z)よりも径方向内側に配置した。
比較例2では、図6(c)に示すように、カール部14の中程の外周面に第1巻締めロール50Cとの初期接触位置Sを設定し、そのカール部14と成形凹部53との接触開始時において、交点Q1を下顎部52の最大外周位置(垂線Z)よりも径方向内側に配置した。なお、比較例2の第1巻締めロール50Cは、直線部57の径方向長さLを、実施例1の第1巻締めロール50Aよりも長く設定することにより、交点Q1を下顎部52の最大外周位置よりも径方向内側に配置した。
各飲料缶について観察を行い、薄切屑の有無を評価した。。
このように、薄切屑の評価は、製品として問題なく使用できる基準よりも過酷な条件のもとで、試験を行った。
なお、交点Q1を下顎部52の最大外周位置(垂線Z)よりも径方向内側に設けて巻締めを行った比較例1及び比較例2では、薄切屑が発生するものがあった。
11 パネル部
12 カウンターシンク部
13 チャックウォール部
14 カール部
15 巻き込み部
16 二重巻締め部
20 缶胴
21 胴体部
21a 縮径部
22 首部
23 フランジ部
30 巻締めユニット
41 チャック部材
42 環状突出部
43 ウォール面
45 リフター
46 リフタープレート
47 ホルダー部
50,50A〜50C 第1巻締めロール
51 上顎部
52 下顎部
53 成形凹部
54 第1円弧面
55 第2円弧面
56 第3円弧面
57 直線部
60 第2巻締めロール
61 上顎部
62 下顎部
63 成形凹部
100 缶の巻締め装置
Claims (2)
- 径方向内側に巻き返されたカール部を備えた缶蓋を、缶胴の開口部に設けられたフランジ部に密着させて巻締める方法であって、
前記缶蓋及び前記缶胴を前記缶胴の軸心方向に挟持するとともに、前記軸心回りに回転させ、その径方向外方から、第1巻締めロールを摺接させて前記フランジ部と前記カール部とを巻き込んで巻き込み部を加工する巻き込み工程と、
前記巻き込み工程によって加工された前記フランジ部及び前記カール部を第2巻締めロールを用いて径方向内方に向けて押圧して二重巻締め部を加工する潰し工程とを有し、
前記第1巻締めロールは、
その外周面に、前記第1巻締めロールの軸心方向上側に位置する上顎部と、該軸心方向下側に位置する下顎部と、前記上顎部と前記下顎部との間で前記巻き込み部の外周面を成形するための成形凹部とが周方向に沿って形成され、
前記成形凹部は、前記上顎部から前記下顎部にかけて順に複数の円弧面と直線部とを連続的につなげた形状とされ、
前記直線部は、前記第1巻締めロールの軸心に沿った断面において、前記成形凹部内の最も下方に位置する円弧面と前記下顎部の円弧面とを結ぶ接線とされ、
前記巻き込み工程の前記カール部と前記成形凹部との接触開始時において、
前記カール部と前記成形凹部との接触開始位置が、前記カール部の中程の外周面に設けられるとともに、
前記カール部の外周面先端の端縁における接線Tと、前記直線部を径方向に延長した仮想線Iとの交点Q1が、前記下顎部の最大外周位置よりも前記第1巻締めロールの径方向外側に設けられる缶の巻締め方法。 - 前記巻き込み工程において、
前記接触開始位置が、前記下顎部の最大外周位置よりも前記第1巻締めロールの径方向内側に配置される請求項1記載の缶の巻締め方法。
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