JP5452435B2 - 缶巻き締め方法及び缶巻き締め装置 - Google Patents
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また、特許文献2記載の巻き締め装置は、チャック部材の下端面には特許文献1に記載のような環状凸部はなく、したがって、チャック部材は缶蓋のカウンターシンク部内には侵入することなく、その上方位置のチャック壁にのみ接触するようになっている。この場合、缶蓋のチャック壁は鉛直方向に対して大きな傾斜角度で傾斜したテーパ面となっており、チャック部材は、このテーパ面に接触している。
しかしながら、近年では生産速度の高速化が計画されてきており、これに伴い、チャック部材と缶蓋との接触状態がわずかでも不均一になると、接触不十分の場合は、スリップが生じて巻き締めが不十分になるおそれがあり、また、逆に軸方向荷重を大きくし過ぎると、缶が縦荷重に耐えられなくなり座屈が発生し易くなるという問題が顕著になってきた。
このため、より高速化に対応できる巻き締め技術の提案が求められている。
また、生産速度の高速化とともに、コスト低減等のため、蓋材を薄肉化することが求められている。そして、この薄肉化に伴い、内圧に対する巻き締め部の変形強度をさらに高めて、密封性を確実に維持できることが要求される。
最大くい込み量が40%未満であると、巻き締め時に缶蓋に回転駆動力が適切に伝達されずにスリップが生じるおそれがあり、70%を超えると、くい込み過ぎることから、巻き締め終了後に缶蓋をチャック部材から離れるようにリフターを下降させたときに缶蓋が離脱せずに缶体が吊り下げられる現象が生じる。したがって、最大くい込み量は缶蓋の板厚に対して40〜70%が好ましい。
また、本発明の缶巻き締め方法において、前記逆テーパ状に成形する前記台金部の外周面の傾斜角度は、軸方向に対して−2.5°〜−5°とされているのがよい。
また、本発明の缶巻き締め装置において、前記台金部の逆テーパ面は、軸方向に対して−2.5°〜−5°とされているのがよい。
まず、第1実施形態の缶巻き締め装置に適用される缶蓋について説明しておくと、この缶蓋1は、図1及び図2に示すように、その中央部分に配置される円板状をなすパネル部2と、パネル部2の外周部のコーナー部3を介して連続し下方に向けた環状凹部4を形成するカウンターシンク部5と、カウンターシンク部5の外周縁から上方に向けてほぼ拡径しながら延在する中央周壁部6と、中央周壁部6の外周縁から連なるショルダー部7と、ショルダー部7に連続するカール部8とから構成されている。
この場合、内側湾曲部12及び外側湾曲部13とも、その内周面はほぼ同じ曲率半径rに形成されており、例えばr=0.15〜0.60mmに設定される。また、公称径が204(缶体に巻き締めた後の巻き締め部の外径が56.5〜56.7mm、巻き締め前の缶蓋1のカール部8の最外径が62.0〜62.4mm)の場合、外側湾曲部13の曲率中心位置の径はD=48.72〜49.72mmとされる。また、内側壁部11及び外側壁部14が下方に向かうにしたがって徐々に接近するように傾斜していることにより、環状凹部4は、下方に向かうにしたがって徐々に幅が狭くなっている。
ショルダー部7は、中央周壁部6の第2湾曲部16の上端縁(外周縁)に連続し、上方に向けて凸となるように湾曲しながら拡径して半径方向外方に延びている。この場合、中央周壁部6の第2湾曲部16は、その内周面(缶蓋1としては外面)を斜め上方に向けた状態に湾曲していることから、全体としては下方から上方に向かうにしたがって漸次拡径する形状とされており、この第2湾曲部16に連続するショルダー部7も下方から上方に向けて拡径している。
そして、カール部8は、ショルダー部7の外周縁に連続して半径方向外方に延在し、その外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなる形状とされている。
そして、この缶体21に缶蓋1が被せられると、缶体21の屈曲部24に缶蓋1のショルダー部7における外面側の凹面が対向するように配置され、フランジ部25の上面にショルダー部7からカール部8にかけた裏面が対向して配置される。
この缶巻き締め装置31は、図示略の巻き締め機本体のターレットに、図5に示すように、缶体21を載置して上下移動及び回転駆動されるリフター32と、缶体21に被せた缶蓋1を上方から押さえながら缶蓋1の表面側に配置されるチャック部材33と、このチャック部材33とリフター32との間に挟持された状態で回転させられる缶体21及び缶蓋1に半径方向外方位置から接近して巻き締め加工を行う第1巻き締めロール34及び第2巻き締めロール35との組み合わせからなる巻き締めユニットがターレットの周方向に間隔を開けて複数組設けられている。そして、これらリフター32、チャック部材33及び巻き締めロール34,35は、巻き締め機本体のターレットの旋回により、周方向に移動しつつリフター32とチャック部材33との間に缶体21及び缶蓋1を受け入れてこれらを挟持した状態とし、巻き締めロール34,35で巻き締めるようになっている。図5にはリフター32、チャック部材33及び巻き締めロール34,35からなる巻き締めユニットを一組のみ示している。
巻き締めロール34,35は、外周面に成型面が形成され、チャック部材33に対して矢印E,Fで示すように離間接近するとともに、自身の軸心Yの回りに回転自在に支持されており、リフター32とチャック部材33との間に挟持されて回転している缶体21のフランジ部25上の缶蓋1のカール部8に半径方向外方位置から順番に接近して成形しながら巻き締めるようになっている。つまり、カール部8に第1の巻き締めロール34が接近して缶蓋1のカール部8を缶体21のフランジ部25に巻き込みながら巻き締めた後巻き締め部から離間し、次に第2の巻き締めロール35が接近して再び巻き締め成形を行い、最終的に図5に示すように巻き締め部53とする。
また、環状突出部43をカウンターシンク部5に嵌合させた状態においては、台金部41から湾曲テーパ状部42の凸状湾曲面44及び凹状湾曲面45までの外面は、図1に示すように缶蓋1の対応するショルダー部7、中央周壁部6の両湾曲部16,15の内面との間にわずかに隙間が形成されるようになっており、この部分に隙間を形成した状態で、環状突出部43の先端部がカウンターシンク部5の外側壁部14にくい込む寸法設定とされている。
そして、その筒状部46の外径は、カウンターシンク部5の外側壁部14の内周面における下端縁の内径よりも大きく形成され、カウンターシンク部5に嵌合したときに、外側凸状湾曲部47から筒状部46の下端部の外周面までの部分が、カウンターシンク部5の外側壁部14の下端部から外側湾曲部13の内周面にくい込むようになっている。
一方、筒状部46の内径は、カウンターシンク部5の内側壁部12の最大外径よりも大きく形成され、カウンターシンク部5内に嵌合したときに、筒状部46の内周面と内側壁部12の外周面との間に若干の隙間が形成されるようになっている。
そして、リフター32が上昇するにしたがって、図3の鎖線で示すように環状突出部43の外側凸状湾曲部47の外周面がカウンターシンク部5の外側壁部14に徐々にくい込み(図3には、便宜上、缶蓋1に対してチャック部材33の環状突出部43を変位させた状態として示している)、最も上方位置まで達すると、図1及び図2に示すように、環状突出部43の外側凸状湾曲部47から筒状部46の下端部までの部分が、カウンターシンク部5の外側湾曲部13から外側壁部14の下端部までの部分に内周面からくい込んだ状態とされる。
そして、第2巻き締めロール35が巻き締め部53から半径方向外方に離間すると、巻き締め部53はスプリングバックによって上端が若干広がる方向に戻ろうとするが、その場合でも、図6に示すようにほぼ缶軸方向に沿った形状となる。また、缶蓋1のカウンターシンク部5にはチャック部材33の環状突出部43がくい込んだ跡Mが残る場合がある。
以上のようにして缶蓋1のカール部8と缶体21のフランジ部25とにより巻き締め部53を形成した後、カウンターシンク部5に嵌合していたチャック部材33を缶蓋1から離すために、リフター32とノックアウトパッド51とを同調させながら下降させ、チャック部材33から缶蓋1が完全に離れ、ノックアウトパッド51を上昇させた後、巻き締め機のターレットから缶を排出する。
また、このくい込み状態において、缶蓋1の第2湾曲部16の内周面とチャック部材33の湾曲テーパ状部42の凸状湾曲面44との間の隙間A(図1参照)は0.02〜0.10mmとされる。この隙間Aが0.02mm未満であると、軸荷重が加わったときに、チャック部材33の環状突出部43がカウンターシンク部5にくい込むよりも先に、凸状湾曲面44が缶蓋1に接触してしまい、その結果、必要なくい込み量が得られずに巻き締め時にスリップが生じるおそれがあり、また、0.10mmを超えると、巻き締め不十分となって缶蓋1にしわが生じ易い。
表1は、環状突出部43の缶蓋1へのくい込み量Eと嵌合トルク及びチャック抜け不良との関係を実験した結果を示している。缶蓋1には公称径204(巻き締め後の巻き締め部の外径が56.5〜56.7mm)のものを使用した。板厚は0.22mmである。使用した缶蓋1とチャック部材33との設計上の形状を設計図面上で重ね合わせて該当部分を測定した。缶蓋1のカウンターシンク部5の内側湾曲部12及び外側湾曲部13の内面の曲率半径rは0.4mm、チャック部材33の環状突出部43における外側凸状湾曲部47の外面の曲率半径R1は0.52mm、内側凸状湾曲部48の外面の曲率半径R2は0.38mmであり、内側湾曲部12の曲率中心位置及び外側凸状湾曲部47の曲率中心位置が異なる複数種類の組み合わせとすることにより、くい込み量Eを変化させた。巻き締め速度としては、2000缶/分に相当する速度とした。
嵌合トルクは、缶体21の底面とリフター32との間にトルクレンチを引っ掛ける治具を挟んだ状態として巻き締め、第2巻き締めロール35が最も接近した位置で巻き締めロール35を離し、トルクレンチで回転方向のトルクを測定した。表中の数値は、測定した20缶中の最小値を示している。1.8N・m以上を合格(○)とした。チャック抜け不良とは、巻き締め終了後にチャック部材33から缶が自然離脱(落下)しなかったものを示している。20缶巻き締め、チャック抜け不良が生じた缶数を示している。チャック抜け不良が生じないものが合格(○)である。
嵌合トルクについては、表1の測定方法と同じである。落下漏れは、水を充填し、炭酸水又は窒素充填で内圧をかけた状態で巻き締めた缶を80cmの高さから缶蓋を下に向けた倒立姿勢で鉄板の上に20缶落下し、漏えいが生じた缶数を測定した。漏えい缶が生じないものが合格(○)である。
この場合、チャック部材としては、台金部の傾斜角度が−3.5°のものを使用したが、漏れ等はなく、良好な密封性を有していた。
例えば、缶蓋の中央周壁部及びチャック部材のテーパ状部は、実施形態では二つの湾曲部の連続形状からなる構成としたが、一つの湾曲部や、ほぼストレート状のテーパ面等によって構成してもよい。
また、缶の公称径が204のものに適用したが、202(巻き締め部の外径が53.6〜54.4mm、巻き締め前の缶蓋のカール部の最外径が59.2〜59.6mm)又は206(巻き締め部の外径が59.2〜59.4mm、巻き締め前の缶蓋のカール部の最外径が64.5〜64.9mm)のものにも適用することができる。
2 パネル部
3 コーナー部
4 環状凹部
5 カウンターシンク部
6 中央周壁部
7 ショルダー部
8 カール部
11 内側壁部
12 内側湾曲部
13 外側湾曲部
14 外側壁部
15 第1湾曲部
16 第2湾曲部
21 缶体
22 缶胴
23 ネック部
24 屈曲部
25 フランジ部
31 巻き締め装置
32 リフター
33 チャック部材
34 第1巻き締めロール
35 第2巻き締めロール
41 台金部
42 湾曲テーパ状部
43 環状突出部
44 凸状湾曲面
45 凹状湾曲面
46 筒状部
47 外側凸状湾曲部
48 内側凸状湾曲部
51 ノックアウトパッド
52 巻き込み部
53 巻き締め部
Claims (5)
- タブが取り付けられるパネル部の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部とを順に有する中央周壁部が形成され、該中央周壁部の前記第2湾曲部から半径方向外方に広がるショルダー部を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部が連続形成されてなる缶蓋を缶体に巻き締める方法であって、缶体のフランジ部に被せた缶蓋のカウンターシンク部にチャック部材の環状突出部を嵌合する際に、前記カウンターシンク部における外側壁部及び該外側壁部の下端に連続する外側湾曲部の少なくとも一部に前記環状突出部の外側凸状湾曲部の外周面がくい込むとともに、前記カウンターシンク部より上方位置の中央周壁部の内周面と前記環状突出部より上方位置の湾曲テーパ状部の外周面との間に隙間を形成した状態とし、缶蓋及び缶体を回転させながら、第1巻き締めロール及び第2巻き締めロールを缶蓋の半径方向外方位置から半径方向内方に移動することにより、まず第1巻き締めロールにより缶体のフランジ部と缶蓋とを巻き込み、その後、その巻き込み部分を前記第2巻き締めロールと前記チャック部材の湾曲テーパ状部より上方位置の台金部との間で挟み込んで巻き締め、その巻き締め部の内周面を上方に向かうにしたがって漸次縮径する逆テーパ状に成形した後に前記第2巻き締めロールを離間させることを特徴とする缶巻き締め方法。
- 前記外側凸状湾曲部の外周面の最大くい込み量は、缶蓋の板厚に対して40〜70%であることを特徴とする請求項1記載の缶巻き締め方法。
- 前記逆テーパ状に成形する前記台金部の外周面の傾斜角度は、軸方向に対して−2.5°〜−5°とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の缶巻き締め方法。
- タブが取り付けられるパネル部の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部とを順に有する中央周壁部が形成され、該中央周壁部から半径方向外方に広がるショルダー部を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部が連続形成されてなる缶蓋を缶体に巻き締める装置であって、巻き締め時に缶蓋を表面側から保持するチャック部材を備えており、該チャック部材は、前記缶蓋のカウンターシンク部内に嵌合する環状突出部と、該環状突出部の外周面から連続し、前記缶蓋のカウンターシンク部より上方位置の中央周壁部の内周面に対向する湾曲テーパ状部と、該湾曲テーパ状部から連続し、缶蓋のショルダー部の内側で巻き締めロールの押圧力を受ける台金部とを備え、前記環状突出部の下端部に筒状部が形成され、該筒状部の下端面に、前記筒状部の外周面から連続して下方かつ半径方向外方に向けて凸となる外側凸状湾曲部の外周面が形成され、前記筒状部の外径が前記カウンターシンク部の外側壁部の内周面における下端縁の内径より大きく形成され、前記外側凸状湾曲部の外周面は、前記環状突出部が前記カウンターシンク部内に嵌合されたときに、該カウンターシンク部の外側壁部及び該外側壁部下端に連続する外側湾曲部の少なくとも一部にくい込む寸法設定とされており、前記台金部の外周面は上方に向けて漸次縮径するように逆テーパ面とされていることを特徴とする缶巻き締め装置。
- 前記台金部の逆テーパ面は、軸方向に対して−2.5°〜−5°とされていることを特徴とする請求項4記載の缶巻き締め装置。
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