JP6965076B2 - ボトル缶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、開口部に金属製キャップが装着されるカール部を形成したボトル缶の製造方法に関する。
飲料等の内容物が充填される容器として、ボトル形状の缶(ボトル缶)の開口部に瓶口と同様な形状のカール部が形成され、そのカール部に、マキシキャップ(日本クロージャー株式会社の登録商標)等の金属製キャップのスカート部を巻き込むように装着して密封する容器が提案されている。この種のボトル缶は、金属製キャップとの良好な密封性及び開封性を確保するために、そのカール部の形状が重要である。
例えば、特許文献1に開示の容器では、開口部のビード部(カール部)は、口部本体の上端に連接する第1の曲率部、第1の曲率部の下端より外側下方に、もしくは垂下して延びる外側部、および外側部の下端より第2の曲率部を介して内側にやや上方に向って延びる棚部を有しており、棚部の終端部はナイフエッジ状に先細になっていて、該終端部の先端コーナは、口部本体の外面に当接しており、かつ棚部の下面の最低点のレベルと、該棚部の上面のほぼ最低点のレベルの間に位置する形状に形成されている。この容器では、カール部の成形時に、その先端部が直径の減少に伴う円周方向の肉余りのため皺を発生するため、その先端の位置を詳細に規定している。
また、特許文献2に開示の金属製缶においては、口部は直状に延び、口部の先端部に形成されるビード部(カール部)は、内方に向けて傾斜し、その傾斜開始位置が当該ビード部の下端部位とカール開始位置との間に設定されている。また、カール部の先端は、口部の外周面に垂直に当接している。
実開昭58−161843号公報 国際公開第2007/122971号
ところで、このようなカール部を成形する場合、その先端部は、成形の最初の段階では半径方向外方に広げられ、その後、開口端から逆方向に折り返された後、最後には、半径方向内方に縮径させられる。
このように、カール部の先端部が最も苛酷な成形となるため、割れや皺が発生し易い。特許文献1では、皺を抑制するための工夫が施されているが、十分でない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、カール部の先端部における割れや皺の発生を有効に防止することができる製造方法を目的とする。
本発明のボトル缶の製造方法は、口部の外周部に、先端部を半径方向外側に折り返してカール部を形成するとともに、前記カール部は、折り返された状態の上端外周部に形成された外周上側折り返し部と、該外周上側折り返し部から延びる下端部で半径方向内方に屈曲する外周下側屈曲部と、該外周下側屈曲部から前記口部の外周面に向けて延びるカール端部とを有するボトル缶の製造方法であって、筒状の胴部の上部に該胴部より小径の小径筒部を形成する小径筒部成形工程と、前記小径筒部の先端部を半径方向外方に向けて屈曲させ、その屈曲部から先端方向に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ形状の口広げ部を形成する口広げ工程と、該口広げ工程の後に前記小径筒部を折り返して前記カール部を形成するカール工程とを有し、前記カール工程では、前記屈曲部から前記口広げ部が前記口広げ工程で形成した形状で反転され、前記屈曲部を前記外周下側屈曲部に形成し、前記口広げ部を前記カール端部に形成する。
小径筒部の先端部を予め屈曲して、屈曲部及び口広げ部を形成した後、小径筒部を折り返して、外周下側屈曲部及びカール端部を形成するようにしているので、これら外周下側屈曲部及びカール端部に対するカール工程時の加工を小さくすることができるとともに、加工硬化しているため変形に対する強度が大きくなっており、カール工程時の割れや皺の発生を有効に防止することができる。
このボトル缶の製造方法の好ましい実施形態として、前記カール工程は、前記小径筒部を折り返すローリング工程と、該ローリング工程後に前記口広げ工程で形成された前記屈曲部の曲率半径を小さくするように成形することにより、前記外周下側屈曲部を形成するとともに、該外周下側屈曲部に連続する前記カール端部を形成する再成形工程とを有するとよい。
このボトル缶のカール部に金属製キャップを装着すると、金属製キャップ内面のシール部がカール部の天頂部から外周上側折り返し部にかけて密接した状態で金属製キャップのスカート部がカール部の外周下側屈曲部の外側から巻き込むように変形させられることにより、内部を密封した状態とする。したがって、カール部の外周面形状が密封性を確保する上で重要である。金属材料の大きな変形によってカール部が形成されるので、一般にはスプリングバック等が生じて、正確な外面形状を確保することが難しい。
この点、外周下側屈曲部及びカール端部については前述したように事前に口広げ工程によってカール部の大部分の形状を形成しておくことにより、ローリング工程後の形状を安定させるとともに、ローリング工程の後に屈曲部を再成形しているので、スプリングバックを矯正して、カール部の外周面形状を均一で正確に仕上げることができ、良好な密封性を確保することができる。
このボトル缶の製造方法の好ましい実施形態として、前記口広げ工程と前記カール工程との間に、前記口広げ部の先端部をトリミングして高さを揃えるトリミング工程を有するとよい。
金属材料の成形時の伸びは圧延の方向に応じた方向性を有しており、口広げ部の先端の高さが周方向位置でばらつくように波打つ場合がある。このトリミング工程を設けることにより、口広げ部の長さ、言い換えるとカール工程後のカール端部の長さを安定させることができ、割れ等の発生を有効に防止することができるとともに、カール部の寸法を正確に形成することができる。
本発明によれば、予め口広げ部を形成してから折り返してカール部を形成するようにしたので、カール部の先端部における割れや皺の発生を有効に防止することができる
本発明の実施形態における容器の右半分を缶軸を通る断面にした正面図である。 キャップを巻締めた後のボトル缶のカール部付近の缶軸を通る拡大断面図である。 キャップを巻締める前のボトル缶のカール部付近の缶軸を通る拡大断面図である。 容器の正面図である。 容器の上面図である。 ボトル缶のカール部にキャップを巻締める加工を説明する缶軸を通る断面図である。 ボトル缶の製造工程のうち、カップを形成して筒体を形成するまでの工程を順に示す右半分については缶軸を通る断面にした正面図である。 ボトル缶の製造工程のうち、小径筒部を形成してカール部を形成するまでの工程を順に示すフローチャートである。 図8の工程順で変遷するボトル缶の口部付近を示し、右半分については缶軸を通る方向の断面にした正面図である。 口広げ部を拡大した缶軸を通る断面図である。 ボトル缶製造装置の側面図である。 図11のA−A線に沿う断面図である。 口広げツールを中間成形体の開口端に対向配置した状態を示す缶軸を通る断面図である。 口広げツールによって中間成形体に口広げ加工を施している状態を示す缶軸を通る方向の断面図である。 ローリングツールを中間成形体の開口端に対向配置した状態を示す缶軸を通る断面図である。 ローリングツールによって中間成形体にローリング加工を施している状態を示す缶軸を通る断面図である。 整形ツールによって中間成形体に整形加工を施している状態を示す缶軸を通る断面図である。 図17の要部の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
容器1は、図4及び図5に示すように、ボトル缶10と、その開口端部に装着されるキャップ30とからなる。以下の説明においては、図4に示す向きで上下方向を定めるものとする。
ボトル缶10は、図1に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、有底円筒状の胴部11と、胴部11の上端で半径方向内方に屈曲するように縮径された肩部12、肩部12から缶軸方向の上方に向けて漸次縮径するテーパ筒部13と、テーパ筒部13の上端部で一旦拡径された拡径部14、拡径部14の上端で再度縮径された縮径部15、縮径部15の上端に形成されたカール部16とを有している。ボトル缶10において、このカール部16を有する開口端部を口部17と称す。
カール部16は、図2及び図3に示すように、缶軸方向に沿う縦断面において、缶軸に対して所定角度で傾斜する縮径部15の上端で缶軸方向と平行となるように屈曲する内周下側屈曲部21と、内周下側屈曲部21から缶軸方向に沿って延びる内周側円筒部22と、内周側円筒部22の上端から半径方向外方に向けて広がるように屈曲する内周上側屈曲部23と、内周上側屈曲部23の外周縁から缶軸方向の下方に向けて折り返すように凸曲面で湾曲する外周上側折り返し部25と、外周上側折り返し部25の外周縁から缶軸方向と平行に下方に延びる外周側円筒部26と、外周側円筒部26の下縁から半径方向内方に屈曲する外周下側屈曲部27と、外周下側屈曲部27から縮径部15における缶軸方向の途中位置に向けて縮径しながら延びる内向きテーパ状のカール端部28とが連続して形成されている。
カール端部28が縮径部15の途中位置に向けて延びているので、このカール端部28の先端(下端)から上方の縮径部15の上端部15aを含めてカール部16が形成される。
このような形状のカール部16において、内周上側屈曲部23の曲率半径に対して、外周上側折り返し部25の曲率半径が十分に大きく形成されている。例えば、図3に示すように、外面における曲率半径で、内周上側屈曲部23がR1=0.5mm〜2.0mm、好ましくは0.5mm〜1.0mmとされる。また、外周上側折り返し部25は、R2=1.5mm〜3.5mmに形成される。外周上側折り返し部25の曲率半径R2が3.5mmより大きいと密封性が低下し、1.5mmより小さいと、カール工程時に割れや、塗料の割れのおそれがある。そして、この内周上側屈曲部23と外周上側折り返し部25との接続部付近がカール部16において最も高い位置に配置される天頂部24を形成している。
一方、外周下側屈曲部27の缶軸方向の高さ位置は、内周下側屈曲部21の缶軸方向の高さ位置よりもわずかに下方に配置されているが、上方位置に配置されてもよい。この場合、外面における曲率半径で、外周下側屈曲部27がR3=0.5mm〜1.2mmに形成されている。外周下側屈曲部27の曲率半径R3が1.2より大きいとキャップとの嵌合性が悪くなり、0.5より小さいと、カール工程時に割れや塗膜割れのおそれがある。また、この外周下側屈曲部27の下端から延びるカール端部28は、ほぼストレートのテーパ状に形成されており、このカール端部28の外面が缶軸方向と直交する水平面となす角度θ1が0°〜45°に設定されている。また、カール端部28の先端は縮径部15の外面にほぼ当接した状態に設けられており、その当接位置は天頂部24の缶軸方向のほぼ真下に配置されている。このカール端部28の長さL1は2.0mm〜4.0mmが好ましい。縮径部15は缶軸と平行な垂直面とのなす角度θ2は例えば10°〜25°、好ましくは15°〜25°に設定される。この角度θ2が25°を超えると縮径回数が増える不都合がある。
また、内周側円筒部22と外周側円筒部26とは缶軸を中心とする同心円状に形成されるが、内周上側屈曲部23の曲率半径R1が外周上側湾曲部25の曲率半径R2より小さく形成されているため、内周側円筒部22の缶軸方向の高さは外周側円筒部26の缶軸方向の高さよりも十分に大きく形成されている。
その他の諸寸法について一例を挙げると、ボトル缶10の板厚は、成形前の元板厚が0.250mm〜0.500mmであり、カール部16においては、厚さ0.200mm〜0.400mmである。また、カール部16の外径Dは25mm〜40mm、半径方向に沿うカール部16の幅W(内周側円筒部22の内周面から外周側円筒部26の外周面までの距離)は2.0mm〜4.5mm、好ましくは3.0mm〜4.0mmとされる。カール部16の高さT(天頂部24の上面からカール端部28の下端までの距離)は3.0mm〜5.0mm、好ましくは3.5mm〜4.5mmとされる。カール部16の幅Wが、4.5mmを超えるとカール工程時に割れのおそれがあり、2.0より小さくなると、所定の外周上側折り返し部25の形状が得られなくなる。
一方、キャップ30は、図4及び図5に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、円板状の天面部31と、天面部31の外周縁から垂直下方に延びるスカート部33と、スカート部33の下縁の一部を面方向に延長するように突出するタブ34と、天面部31の内面からスカート部33の上端部内面にかけて形成されたシール材35とを有しており、天面部31及びスカート部33の外側表面に、スカート部33の下縁におけるタブ34の両側縁からスカート部33、屈曲部32、天面部31にわたって一対のスコア36が形成されている。タブ34は、開封時につまむことにより操作されるリング部37と、リング部37とスカート部33との間を連結する連結部38とから形成され、連結部38が所定の幅でスカート部33の下縁に直交する方向に延びている。リング部37は合成樹脂によって形成される場合もある。
これらスコア36は、図4及び図5に示す例では、タブ34の連結部38とスカート部33との接続位置の両側縁からスカート部33を経由してスカート部33と天面部31との間の屈曲部32を乗り越えた後、天面部31においては、その外周に沿うように円弧状に形成され、天面部31の半分を超えた位置で再び屈曲部32を経由してスカート部33に至る形状に形成されている。スコア36は、このような形状のものの他にも、天面部31においては、屈曲部を乗り越えた後、中心角90°以内の範囲で円弧状に連なるが天面部31の途中までしか形成されず、スカート部33にタブ34の連結部38との接続位置とは別に、複数のスリット又はスコアを形成したものもある。
シール材35は、例えば合成樹脂によってキャップ30の内面で成形されたものであり、天面部31の内面を覆うように形成されている。また、ボトル缶10の口部17に被せられたときにカール部16の内周上側屈曲部23の内側に入り込む凸条39が周方向に沿って形成されている。天面部31においては、スコア36は、シール材35の凸条39よりも半径方向外方位置に設けられる。合成樹脂製のシール材以外にも、コンパウンドを塗布したものもある。
ボトル缶10を製造するには、まず、アルミニウム板材を打ち抜いて絞り加工することにより、図7(a)に示すように比較的大径で浅いカップ40を成形した後、このカップ40に再度の絞り加工及びしごき加工(DI加工)を加えて、図7(b)に示すように所定高さの筒体41を成形し、その上端をトリミングにより切り揃える。このDI加工により、筒体41の底部は最終のボトル缶10としての底部形状に成形される。
次いで、図11及び図12に示すボトル缶製造装置50により、ボトル缶10を製造する。このボトル缶製造装置50について次に説明する。なお、このボトル缶製造装置50は、前述のようにして形成した筒体41を最終形状のボトル缶10に加工するためのものであり、加工の進捗に応じて缶の形状が変化していくが、以下では、この筒体41からボトル缶10に至るまでの間で缶の形状を特に限定しない場合は、中間成形体42として説明する。
このボトル缶製造装置50は、複数の中間成形体42を、その缶軸方向を水平に配置して保持するワーク保持部51と、これら中間成形体42に各種成形加工を施す複数の成形ツール52を保持するツール保持部53と、両保持部51,53を駆動する駆動部54とを備えている。中間成形体42を保持するワーク保持部51のワーク保持側と、成形ツール52を保持するツール保持部53のツール保持側とが対向して配置されている。
ワーク保持部51は、支持軸55に支持された円盤56におけるツール保持部53と対向する表面に、中間成形体42を保持する複数の保持装置57が周方向に沿う環状に配列された構成とされている。この円盤56が駆動部54によって支持軸55を中心として間欠的に回転されることにより、供給部58から供給側スターホイール59を介して供給された中間成形体42の底部が保持装置57に1個ずつ保持されて円盤56の周方向に搬送される。中間成形体42は、円盤56による搬送中にツール保持部53の各成形ツール52によって成形された後、成形後のボトル缶10として排出側スターホイール60を介して排出部61に順次排出される。
ツール保持部53は、支持軸62に支持された円盤63におけるワーク保持部51と対向する表面に、複数の各種成形ツール52が周方向に沿う環状に配列され、駆動部54によって円盤63が支持軸62の軸方向に進退する構成とされている。支持軸62は支持軸55の内部に同軸上に設けられる。
このツール保持部53には、中間成形体42の開口部を縮径(ネックイン加工)するための複数のネッキング型、及びカール部16を形成するためのカール部成形ツール等の、各加工段階に応じた加工を行うための成形ツール52が複数備えられている。これらの成形ツール52は、工程順に円盤63上に周方向に並んで環状に配置されている。
支持軸55の軸線を回転中心とするワーク保持部51(円盤56)の間欠的な回転停止位置は、開口部をツール保持部53側に向けた各中間成形体42の缶軸が各成形ツール52の中心軸にそれぞれ一致するように設定される。そして、駆動部54による円盤56の間欠的回転によって、各中間成形体42は次工程用の各成形ツール52に対向する位置に回転移動されて、次の段階の加工が施される。
すなわち、ツール保持部53が前進してワーク保持部51とツール保持部53とが互いに接近したときに、各成形ツール52が各工程に応じた加工を中間成形体42に施し、両保持部51,53が互いに離間した状態のときに各中間成形体42に次工程の成形ツール52が対向するようにワーク保持部51が回転移動される。このように、両保持部51,53が接近して加工を行い、離間及び回転するという動作が繰り返されることにより、中間成形体42に肩部12、テーパ筒部13、拡径部14、縮径部15、カール部16が順次形成されてボトル缶10が形成される。
次に、このボトル缶製造装置50を用いてボトル缶10を製造する方法について工程順に説明する。
アルミニウム合金等の薄板の絞り加工及びしごき加工(DI成形)により図7(b)に示す状態まで形成した筒体41の上端部に対して、ツール保持部53の周方向に並ぶ複数の成形ツール52を順次使用しながら、この成形ツール52を缶軸方向に沿って移動してダイネッキング加工を施すことにより、筒体41の高さ方向の途中位置から上部を縮径して肩部12を形成し、その肩部12の上方部分を徐々に縮径してテーパ筒部13を形成し、そのテーパ筒部13の上に拡径部14を形成した後に再度縮径して、上方に向かうにしたがって徐々に縮径する縮径部15を形成し、その縮径部15の上方に延びる筒状の小径筒部18を形成する。図9(a)が小径筒部18を形成した状態である。この肩部12から小径筒部18までを形成するための一連の成形ツール52をネッキング型と称す。
次に、この小径筒部18に対してカール部16を形成する。このカール部を形成するための加工は、図8にフローチャート、図9(a)〜(c)に加工による口部付近の形状の変遷を順に示したように、口広げ工程と、口広げ工程の後に行うトリミング工程と、カール工程とに分けられ、カール工程はさらにローリング工程と再成形工程とからなる。
そして、このカール部16を形成するための成形ツールは、図13及び図14に示すように、小径筒部18まで形成した中間成形体42における小径筒部の開口端部を半径方向外方に向けて屈曲させて口広げ加工を行う口広げツール70と、図15及び図16に示すように、口広げ後の小径筒部18を折り返しながら丸めるローリングツール75と、図17及び図18に示すように、丸めた後の端部を再成形する再成形ツール80とを有している。
口広げツール70は、前述したネッキング型と同様、缶軸方向に沿って移動して中間成形体42を加工するダイネッキング加工形式のツールであるが、ローリングツール75及び再成形ツール80は、いずれも中間成形体42の周囲を旋回しながら成形する。前述したように、ボトル缶製造装置50においては中間成形体42は水平に配置され、図13〜図18では、中間成形体42の缶軸方向を左右方向に配置して示している。
具体的には、口広げツール70は、図13及び図14に示すように全体として筒状に形成されるとともに、その外径は、先端部71が基端部72よりも小径に形成されている。この小径の先端部71は、中間成形体42の小径筒部18の内径よりわずかに小さい外径に形成され、小径筒部18内に緊密に挿入できるようになっている。また、その先端部71と基端部72との間の段部が先端部71から基端部72に向けて漸次拡径するテーパ部73に形成されている。また、先端部71の後端とテーパ部73の先端との間には凹円弧部74が形成される。そして、この口広げツール70の先端部71を中間成形体42の小径筒部18内に挿入しながら、その小径筒部18の先端をテーパ部73によって缶軸方向に押圧することにより、図14に示すように中間成形体42の小径筒部18の先端部をテーパ部73の傾斜に沿って半径方向外方に向けて広げる。この加工により、中間成形体42の小径筒部18の先端部に、図10に示すように、先端方向に向かうにしたがって漸次拡径する口広げ部45が形成される。この口広げ部45において、口広げ加工後に残る小径筒部18aと口広げ部45との間に、口広げツール70の凹円弧部74によって屈曲部46が形成される。
口広げ部45は先端に行くほど直径を増す直線状のテーパー形状が望ましく、缶軸方向に対する角度θ3が、10°から45°好ましくは15°から20°がよい。45°を超えると拡径率が大きくなるので、割れのリスクが高まる。また、口広げ部45の長さL2は、カール部16のカール端部28の長さL1とほぼ等しい。
なお、口広げ部45は直線状のテーパ形状が望ましいが、必ずしも直線状でなくとも、ボトル缶1の缶軸に向かって凸状に湾曲していてもよい。口広げ部45を形成することにより、先端部の形状剛性が得られる。また、後工程のカール工程時に、中間成形体42の先端と金型(拡開用金型)への接触の衝撃を小さく出来る。さらに、カール工程時、先端のカール軌道がより小さな円孤を描くことにより、先端の拡径率を実質的に小さく出来るので、カール時の割れを防止することができる。
この口広げ部45は、後述のローリング工程及び再成形工程を経て、図10の二点鎖線で示すようにカール部16のカール端部28に加工され、屈曲部46は外周下側屈曲部27に加工される。
続いて行われるトリミング工程では、図9(b)に矢印で示すように、口広げ部45の先端部を缶軸方向と直交する水平方向に切断する。アルミニウム材料の圧延方向とこれに直交する方向、及びこれらに対して45°の方向でそれぞれ伸びが異なることから、口広げ部45の先端がわずかに波打っており、その波打ちの部分を除去する程度の位置で切断される。ただし、前述したように図7(b)に示すDI加工の後に筒体41の先端部がトリミングされており、この図7(b)から図9(b)までの加工で生じる先端の波打ちを除去するものであるので、この図9(b)でのトリミング加工における切断代はわずかな寸法である。
ローリング工程で用いられるローリングツール75は、ツール保持部53の回転軸(図示略)の先端に連結された回転体76と、回転体76に同軸上に連結され、口広げ加工後の小径筒部18aの開口端から小径筒部18aの内部に挿入される回転自在な中子77と、回転体76に対し中子77を中心として旋回可能に取り付けられた拡開用金型部78及び折り返し用金型部79とを備えている。これら拡開用金型部78及び折り返し用金型部79は、それぞれロール状に形成され、回転体76に所定角度の向きで回転自在に支持されている。また、図示は省略したが、中子77は、小径筒部18aの内周面に接する外周部は中心部に対して回転自在に支持されている。
そして、ローリング工程では、ツール保持部53が前進移動して中子77が小径筒部18a内に挿入して小径筒部18aを内側から支持し、また回転体76が回転されると、拡開用金型部78及び折り返し用金型部79の双方が小径筒部18aの周面を旋回して、拡開用金型部78が小径筒部18aの開口端部を外方に開くと共に、その開いた開口端部が折り返し用金型部79によって折り返される。このローリングツール70によって成形された開口端部をロール部19とする。
このローリング工程においては、事前に口広げ工程で形成した屈曲部46から口広げ部45は、その缶軸方向に沿う断面形状が、ほぼ口広げ工程時に形成した形状のまま反転され、ロール部19の外周側の下端部を形成する。
次に、再成形工程で用いられる再成形ツール80は、ツール保持部53の先端に連結された回転体(図示略)に同軸上に連結され、中間成形体42のロール部19内に挿入される回転自在な中子81と、中子81を中心として旋回可能かつ水平な軸を中心に揺動可能に取り付けられた回転自在なローラ82と、このローラ82を揺動させるカム機構(図示略)とを備えている。なお、図17では、再成形ツール80のローラ82がロール部19に接触する前の状態(上側に示す状態)と、接触して再成形している状態(下側に示す状態)とをそれぞれ表している。
ローラ82は、その外周部に成形凹部84が周方向に沿う溝状に形成されており、その成形凹部84は、図18に示すように、最深部の円筒面85、その円筒面85の上端(図18では右端)から続く凹湾曲面86、円筒面85の下端(図18の左端)から続く下方(同図の左方)に向けて下り勾配のテーパ面87を有している。
また、中子81は、ロール部19の内側に挿入される支持部88と、支持部88の上端(図18の右端)に連続し、支持部88がロール部19の内側に挿入され、ローラ82で半径内方に押圧されたときに、ロール部19の内周部を成形する成形部89とを有している。成形部89は、その外周面の大部分が缶軸方向に沿う円筒面89aに形成され、上端部(図18の右端部)が凹円弧面89bに形成されている。
そして、再成形工程では、装置本体が前進移動して中子81の支持部88がロール部19内に挿入してロール部19を内部から支持しつつ、成形部89をロール部19の天面近傍に配置し、その状態でローラ82を半径方向内方に移動して、その成形凹部84によってロール部19の外周部を押圧することにより、ロール部19の内周部を支持部88の成形部89により、また、ロール部19の外周部をローラ82の成形凹部84により、それぞれ再成形して、縮径部15に続く内周下側屈曲部21、内周側円筒部22、内周上側屈曲部23、外周上側折り返し部25、外周側円筒部26が形成され、予め形成しておいた屈曲部46及び口広げ部45が、外周下側屈曲部27、カール端部28となって、これらが連続したカール部16が形成される。
具体的には、支持部88の成形部89とローラ82の成形凹部84との間にロール部19を挟むように押圧して、支持部88の外周円筒面89aにより内周側円筒部22、凹円弧面89bにより内周上側屈曲部23を再成形し、ローラ82の円筒面85により外周側円筒部26、凹湾曲面86により外周上側湾曲部25を再成形しており、成形凹部84のテーパ面87は口広げ部45が反転した後のカール端部28を添わせるように再成形する。この再成形は、その前段階のローリング工程までの間にカール部の大部分の形状が概略的に形成されているので、いずれの部分も加工量はわずかであり、ローリング工程時の加工後にスプリングバックによって戻される部分を再成形する程度である。特に、外周下側屈曲部27及びカール端部28は、口広げ工程時に形成された屈曲部46及び口広げ部45が、前述したようにローリング工程においてほぼその口広げ工程時の形状のまま反転されるが、スプリングバックによって屈曲部32の曲率半径がわずかに大きくなるので、この再成形工程において、成形凹部84により押圧して屈曲部32の曲率半径を小さくするように加工して、外周下側屈曲部27を形成する。
この再成形工程は、ロール部19を中子81の成形部89とローラ82の成形凹部84とで半径方向に挟むように押圧する操作により行うことができ、容易である。特に、成形部89の円筒状の外周面及び成形凹部84の円筒面85によりロール部19を半径方向に押圧することにより、カール部16の両円筒部22,26を再成形しつつカール部16の内周上側屈曲部23や外周上側湾曲部25の凸曲面を再成形することができる。
また、外周下側屈曲部27及びカール端部28については事前に口広げ工程によって大部分の形状を確保しておくことにより、ローリング工程後の形状を安定させるとともに、ローリング工程の後に再成形工程を設けて外周下側屈曲部27を再成形しているので、スプリングバックを矯正して、前述した諸寸法でカール部16を精度よく形成することができ、良好な密封性を確保できるカール部16を形成することができる。
なお、缶軸を通る縦断面おいて、カール端部28は直線状でもよいし、カール部16の内側に向かって凸状の曲線、或いは凹状の曲線であってもよい。
一方、このボトル缶10にキャップ30を装着する装置は、図6に鎖線で示したように、ボトル缶10の口部17に被せたキャップ30の天面部31を上方から押圧するプレッシャーブロック95と、周方向に沿って並べられた複数の爪96と、これら爪96の先端部を半径方向内方に向けて押圧付勢する弾性部材(図示略)とを備えている。爪96は、その先端部の径方向の相互間隔をカール部16の最大径よりも大きく広げることができるが、最も縮小した状態では、カール部16の最大径よりも小さく形成される。
そして、ボトル缶10のカール部16にキャップ30を被せた後、プレッシャーブロック95によって天面部31を上方から缶軸方向に押圧してシール材35を圧縮した状態で、爪96をスカート部33の高さ方向の途中位置からスカート部33を半径方向内方に矢印で示すように押圧しながら下降させることにより、カール部16の外周面、つまり外周側円筒部26、外周下側屈曲部27、カール端部28に倣わせるようにキャップ30のスカート部33を変形させつつ、スカート部33の下端部をカール部16のカール端部28に引っ掛けるように巻き込む。
このキャップ30の装着状態において、キャップ30の下端部は、カール部16の外周下側屈曲部27からカール端部28に引っ掛けられた状態であるので、カール部16の特に天頂部24から外周上側折り返し部25の凸曲面にかけてシール材35が強固に密着し、ボトル缶10の内部を確実に密封する。
また、カール部16の天頂部24のほぼ真下でカール端部28の先端が縮径部15に当接しているので、プレッシャーブロック95からの缶軸方向の荷重を縮径部15を介してボトル缶10の胴部11で強固に支持することができる。カール端部28の先端が縮径部15に当接した状態でなくても、これらの間の隙間がわずかであり、プレッシャーブロック95からの缶軸方向の荷重が作用したときに当接する程度に近接していればよい。
また、キャップ30の装着時に爪96がキャップ30のスカート部33を押圧しながら下降することから、スカート部33には引っ張り力が作用し、その引っ張り力が天面部31のスコア36に作用すると、スコア36が天面部31の外周に沿う円弧状に形成されていることから、引っ張り力がスコア36の延在方向と直交する方向、つまりスコア36を広げる方向に作用することになる。このような現象に対して、この容器においては、スコア36が天頂部24の真上に配置されていることから、爪96による引っ張り力が天頂部24の外周縁で支えられ、天頂部24の上方にまで到達することが抑制される。したがって、スコア36が破断することが防止される。
なお、カール部16の外周部に外周側円筒部26が形成されており、この外周側円筒部26は缶軸方向に延びたストレートの筒状面に形成されるため、キャップ30を巻締める際にカール部16とキャップ30との径方向の位置決めを精密に行うことができ、カール部16の天頂部24の真上にキャップ30のスコア36を正確に位置決めすることができる。
一方、キャップ30を開封する際は、タブ34を起こして、そのままスカート部33のスコア36を破断し、屈曲部32を乗り越えた後、タブ34を引き上げながら天面部31のスコア36を破断する。この天面部31のスコア36を破断すると、このスコア36が天面部31の外周に沿う円弧状に形成されていることから、両スコア36の間の天面部31の中央部が持ち上げられ、その左右の円弧状部がカール部16上に残された状態となる。次いで、そのままタブ34を引き上げれば、両円弧状部がカール部16から離脱して、キャップ30全体がカール部16から外される。この一連の開封操作において、天面部31のスコア36を破断した後に左右に残る円弧状部が大きいと、その後のタブ34の引き上げ操作によって円弧状部をカール部16から離脱するのに大きな力が必要となるが、スコア36がカール部16の天頂部24の真上に配置されていたことから、カール部16上に残る円弧状部の幅も小さく、したがって、その後の円弧状部の離脱も容易であり、開封性に優れている。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、再成形工程において、中子81の成形部89を外周円筒面と凹円弧面とにより形成したが、必ずしも凹円弧面がなくとも、ロール部19の内周部を外周円筒面のみで再成形するようにしてもよい。
また、ボトル缶として、予め有底円筒状の筒体41を形成して、その開口端部を成形したが、筒体は必ずしも底部を有していないものも含むものとし、カール部を成形した後に、その胴部に、別に形成した底部を巻き締めるようにしてもよい。
1 容器
10 ボトル缶
11 胴部
12 肩部
13 テーパ筒部
14 拡径部
15 縮径部
15a 上端部
16 カール部
17 口部
18 小径筒部
18a 小径筒部
19 ロール部
21 内周下側屈曲部
22 内周側円筒部
23 内周上側屈曲部
24 天頂部
25 外周上側折り返し部
26 外周側円筒部
27 外周下側屈曲部
28 カール端部
30 キャップ
31 天面部
32 屈曲部
33 スカート部
34 タブ
35 シール材
36 スコア
37 リング部
38 連結部
39 凸条
40 カップ
41 筒体
42 中間成形体
45 口広げ部
46 屈曲部
50 ボトル缶製造装置
51 ワーク保持部
52 成形ツール
53 ツール保持部
54 駆動部
55,62 支持軸
56,63 円盤
57 保持装置
58 供給部
59 供給側スターホイール
60 排出側スターホイール
61 排出部
70 口広げツール
71 先端部
72 基端部
73 テーパ部
74 凹円弧部
75 ローリングツール
76 回転体
77 中子
78 拡開用金型部
79 折り返し用金型部
80 再成形ツール
81 回転体
82 中子
84 成形凹部
85 円筒面
86 凹湾曲面
87 テーパ面
88 支持部
89 成形部
89a 外周円筒面
89b 凹円弧面
95 プレッシャーブロック
96 爪

Claims (3)

  1. 口部の外周部に、先端部を半径方向外側に折り返してカール部を形成するとともに、前記カール部は、折り返された状態の上端外周部に形成された外周上側折り返し部と、該外周上側折り返し部から延びる下端部で半径方向内方に屈曲する外周下側屈曲部と、該外周下側屈曲部から前記口部の外周面に向けて延びるカール端部とを有するボトル缶の製造方法であって、筒状の胴部の上部に該胴部より小径の小径筒部を形成する小径筒部成形工程と、前記小径筒部の先端部を半径方向外方に向けて屈曲させ、その屈曲部から先端方向に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ形状の口広げ部を形成する口広げ工程と、該口広げ工程の後に前記小径筒部を折り返して前記カール部を形成するカール工程とを有し、前記カール工程では、前記屈曲部から前記口広げ部が前記口広げ工程で形成した形状で反転され、前記屈曲部を前記外周下側屈曲部に形成し、前記口広げ部を前記カール端部に形成することを特徴とするボトル缶の製造方法。
  2. 前記カール工程は、前記小径筒部を折り返すローリング工程と、該ローリング工程後に前記口広げ工程で形成された前記屈曲部の曲率半径を小さくするように成形することにより、前記外周下側屈曲部を形成するとともに、該外周下側屈曲部に連続する前記カール端部を形成する再成形工程とを有することを特徴とする請求項1記載のボトル缶の製造方法。
  3. 前記口広げ工程と前記カール工程との間に、前記口広げ部の先端部をトリミングして高さを揃えるトリミング工程を有することを特徴とする請求項1又は2記載のボトル缶の製造方法。
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