JP2020152445A - ボトル缶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャッピング時の変形を確実に防止できるボトル缶を提供する。【解決手段】円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、首部と肩部との間に首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成され、凹状湾曲部の外面の曲率半径が2.5mm以下である。【選択図】 図2

Description

本発明は、開口部に金属製キャップが装着され、飲料等の内容物が充填されるボトル缶及びその製造方法に関する。
飲料等の内容物が充填される容器として、ボトル形状の缶(ボトル缶)の開口部に、金属製キャップを装着して密封する容器が知られている。このボトル缶は、一般に、底部を有する円筒状胴部の開口部側に、上方へ向かうに従い漸次縮径する肩部が設けられ、肩部の上に首部を介して口部が設けられた構成とされている。このようなボトル缶は、金属板材(アルミニウム合金材料の板材)にカッピング工程(絞り工程)及びDI工程(絞りしごき工程、Drawing & Ironing)を施すことにより、有底円筒状の筒体に形成され、その有底円筒状の筒体の胴部の開口部側に縮径加工を施すことにより肩部が形成され、その後、膨出部、ねじ部、カール部等を有する口部が形成される。
このボトル缶の口部には金属製キャップが装着される。このキャップは、ボトル缶に装着される前は、円盤状の天板部とその外周縁から垂直に延びるスカート部とを有しており、ボトル缶の口部に被せられた後、ボトル缶のねじ部に沿ってスカート部が加工され、スカート部の下端部が膨出部に係止される。開封する際は、キャップを回転すると、スカート部に形成されているブリッジ部が切断されることにより、スカート部が上下に分離され、口部から取り外すことができる。
このようなボトル缶において、金属板材の異方性等により、肩部の縮径加工時に首部が楕円に変形する場合がある。また、キャッピング時においても、ボトル缶の口部に被せたキャップのスカート部の外周面をロールで半径方向内方に押圧しながら、ロールをボトル缶のねじ部に沿って旋回させ、また、膨出部の下端においてもスカート部の下端部を係止するためロールが半径方向内方に押圧するので、口部が楕円に変形し易い。この変形が生じると、キャッピング時にブリッジ部が破断してしまう問題が生じる。
そこで、特許文献1では、口部下端から肩部の上端周囲に、半径方向内側に湾曲する凹部又は半径方向外側に湾曲する凸部を形成することにより、キャッピング時の荷重による変形が生じないようにしている。
特許文献2では、膨出部(カブラ部)と肩部との間に、膨出部側から順にS字ビード部と外径が一定のストレート部とが形成されていることにより、変形強度が高められている。
特許文献3では、ボトル缶に肩部及び口部を形成するネッキング工程時に、肩部と口部との繋ぎのR部の曲率半径を小さくするリフォーム加工を施すことにより、変形強度を高めている。
特開2001−213416号公報 特開2018−140827号公報 特開2018−177250号公報
しかしながら、ボトル缶のコスト低減の要求により薄肉化が求められており、これら特
許文献記載の技術では不十分で、さらなる対策が望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、口部の変形抵抗を高めて、キャッピング時の楕円変形を確実に防止することを目的とする。
本発明のボトル缶は、円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、
前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成され、
前記凹状湾曲部の外面の曲率半径が2.5mm以下である。
キャッピング時の楕円変形を防止するためには、特に膨出部に変形が生じないようにすることが有効である。このために膨出部の下に外径の小さい首部が設けられるが、本発明ではさらに、首部と肩部との間に凹状湾曲部と凸状湾曲部とが連続して漸次拡径する段部が形成されていることにより、首部から肩部に直接繋がる形態よりも、首部から肩部にかけて外径が階段状に変化して、首部の下方位置が強化され、しかも、その段部の凹状湾曲部の曲率半径が2.5mm以下と小さいために、段部の変形抵抗が高く、もって膨出部の変形を有効に防止することができる。この凹状湾曲部の曲率半径は1.0mm以下がより好ましい。
ボトル缶の一つの実施態様では、前記凸状湾曲部の外面の曲率半径は6.5mm以下である。
首部から肩部に筒部を介して接続されるので、首部の下方がさらに強化され、しかも、筒部の上端の凸状湾曲部の曲率半径が6.5mm以下と小さいため、段部の変形抵抗が高められ、膨出部の変形をより有効に防止することができる。
本発明のボトル缶の製造方法は、円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成されてなるボトル缶の製造方法であって、
筒体の上部を縮径することにより、前記円筒状胴部の上に形成された前記肩部、この肩部の上に形成された前記筒部、及び該筒部の上に形成された開口筒部を有する中間成形体を形成する中間成形体形成工程と、前記開口筒部に前記段部における前記凹状湾曲部の上端から前記首部を介して前記膨出部、前記ねじ部及び前記カール部を形成する口部形成工程とを有しており、
前記中間成形体形成工程は、前記凹状湾曲部より曲率半径が大きい凹型湾曲部を前記開口筒部に接続状態に形成しておき、該凹型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凹状湾曲部を形成する。
中間成形体形成工程において、曲率半径の大きい凹型湾曲部をまず形成して、これをリフォームして曲率半径を小さくしているので、凹状湾曲部を確実に所望の曲率半径に形成
することができる。この再成形の工程を経ずに凹状湾曲部を形成する場合は、スプリングバックにより所望の曲率半径に形成することが難しいが、一旦凹型湾曲部を形成してからリフォームすることにより、加工硬化した後の凹型湾曲部を再成形することから、スプリングバック量を小さくして、所望の形状に確実に形成することができる。
ボトル缶の製造方法の一つの実施態様として、前記凹型湾曲部の下端に繋がり、前記凸状湾曲部より曲率半径が大きい凸型湾曲部を形成しておき、前記凸型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凸状湾曲部を形成しつつ、前記凹型湾曲部を再成形して前記凹状湾曲部を形成する。
凸型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして凸状湾曲部を形成するとともに、この凸状湾曲部の再成形とほぼ同時に凹型湾曲部の曲率半径を小さくして凹状湾曲部に形成する。凸型湾曲部を再成形することにより、二つの連続する湾曲部の曲率半径をほぼ同時に小さく形成することができる。
本発明によれば、膨出部の下方位置が首部及び段部により強化され、かつ段部もその凹状湾曲部の曲率半径が小さく形成されていることから、変形抵抗が高められ、もって膨出部の変形を有効に防止し、キャッピング時の楕円変形を防止することができる。したがって、真円度が向上し、キャッピング時のブリッジ切れの発生を防止できるとともに、ボトル缶の薄肉化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係るボトル缶の半分を断面にした正面図であり、キャップ材とともに示している。 図1のボトル缶の要部の部分拡大図である。 図1のボトル缶の製造工程を筒状部形成工程まで順に示す模式図である。 筒状部形成工程後の中間成形体の要部を示す部分拡大図である。 筒部形成工程を順に示す要部の部分拡大図である。 口部形成工程前の中間成形体の模式図である。 本発明の第2実施形態に係るボトル缶の要部の部分拡大図である。 第2実施形態において筒状部形成工程後の中間成形体の要部を示す部分拡大図である。 第2実施形態において筒部形成工程を順に示す要部の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るボトル缶の正面図である。このボトル缶10は、開口端部10aにキャップ20が装着されることにより、飲料等を収容する容器として用いられる。
ボトル缶10は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、図1に示すように、底部11を有する円筒状胴部12に、円筒状胴部12の上端から缶軸C方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部13と、肩部13の上に筒部14を介して形成された首部15と、首部15の上端に接続状態に形成された例えば口径38mmの口部16とを備えている。
図1に示すように、円筒状胴部12、肩部13、筒部14、首部15、及び口部16は互いに同軸に配置されており、本実施形態において、これらの共通軸を缶軸Cと称して説明を行う。
円筒状胴部12は、外径が公称211径(64.24mm以上68.24mm以下)であり、例えば66.2mmの外径に形成される。円筒状胴部12の下端部には、ドーム状をなす底部11が形成されており、底部11は、缶軸C上に位置するとともに、上方(円筒状胴部11の内部)に向けて膨出するように形成されたドーム部111と、ドーム部111の外周縁部と円筒状胴部12の下端部とを接続するヒール部112とを備えている。また、ドーム部111とヒール部112との接続部分は、缶軸C方向の下方に向けて凸となるように屈曲形成されており、ボトル缶10が正立姿勢(図1に示される、口部16が上方を向く姿勢)となるように載置面上に載置されたときに、載置面に接する接地部113となっている。接地部113は、底部11において最も下方に向けて突出しているとともに、周方向に沿って延びる環状をなしている。
肩部13は、円筒状胴部12の上端から半径方向内方に屈曲する屈曲部131と、屈曲部131の上端から円錐台面状に縮径して形成された縮径部132とを有している。
屈曲部131は半径方向外方に向けて凸となるように所定の曲率半径で屈曲しており、縮径部132は、缶軸Cに対する傾斜角θ1が10°以上41°以下に形成される。
筒部14は、図2に示すように、縮径部132の上端に形成された下側凹状湾曲部141、下側凹状湾曲部141の上端から缶軸C方向に延びる円筒部142、円筒部142の上端に形成された凸状湾曲部145、凸状湾曲部145の上端から首部15に繋がる上側凹状湾曲部146により構成されている。筒部14の円筒部142が首部15より大径に形成されていることから、凸状湾曲部145及び上側凹状湾曲部146により段部30が形成されており、この段部30は、首部15の下端から筒部14の上端まで缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次外径が大きくなるように形成される。
缶軸Cを含む縦断面において、下側凹状湾曲部141は外面の曲率半径R1が2.0mm以上10.0mm以下(例えば6.0mm)、円筒部142の外径D1は33.0mm以上43.7mm以下(例えば37.8mm)、凸状湾曲部145の外面の曲率半径R3は2.0mm以上6.5mm以下(例えば6.0mm)、上側凹状湾曲部146の外面の曲率半径R4は0.5mm以上2.5mm以下(例えば1.0mm)に形成される。
なお、凸状湾曲部145の外面の曲率半径R3が2.0mm未満であると、成形が困難となる。また、曲率半径R4が0.5mm未満であると、ボトル缶10の外面に形成される塗膜にダメージを与える可能性がある。
筒部14における段部30の下方の缶軸C方向に沿う高さH1、具体的には、缶軸Cを通る縦断面において、肩部13の縮径部132と円筒部142との延長線上の交点から、凸状湾曲部145の上側凹状湾曲部146との接続点における接線と円筒部142との延長線上の交点までの高さH1は4.0mm以上8.0mm以下(例えば6.158mm)である。
なお、凸状湾曲部145と上側凹状湾曲部146とは、隣接している場合もあるが、その間にわずかな長さでストレートの傾斜面、あるいはなだらかな円弧面からなる傾斜部が形成されていてもよい。その場合、凸状湾曲部145の上側凹状湾曲部146との接続点における接線は、凸状湾曲部145と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線となる。この接線と缶軸Cとのなす角度θ2は30°以上50°以下(例えば40°)である。
首部15は上側凹状湾曲部146の上端に接続されており、その外径D3は32.0mm以上41.0mm以下(例えば35.4mm)であり、缶軸C方向に沿う高さ(長さ)H2は1.0mm以上5.0mm以下(例えば2.531mm)である。また、首部15の上端から段部30の下端までの缶軸C方向の距離H3は1.5mm以上7.5mm以下(例えば4.84mm)である。
口部16は、前述した首部15の上端に接続状態に膨出部17が形成され、膨出部17の上にねじ部18が形成され、ねじ部18の上方の開口端部10aにカール部19が形成されている。
膨出部17は、首部15との接続位置が半径方向内方に向けて凹となる凹湾曲部171に形成され、この凹湾曲部71の上端から半径方向外方に向けて凸となる凸湾曲部172が連続して形成されており、その凸湾曲部172の最外周位置が、膨出部17の最大外径を形成している。その最大外径D4は33.0mm以上42.0mm以下(例えば36.751mm)に形成される。
この膨出部17を構成する凹湾曲部171の外面の曲率半径R5は1.0mm以上1.5mm以下(例えば1.2mm)である。凸湾曲部172は、実施形態では曲率半径の異なる二つの湾曲部からなり、下側部分の外面の曲率半径R6は1.0mm以上2.5mm以下(例えば1.65mm)、上側部分の外面の曲率半径R7は2.5mm以上4.5mm以下(例えば3.5mm)である。下側部分の曲率半径R6が上側部分の曲率半径R7より小さい。また、膨出部17の凸湾曲部172の上端にはねじ部18が接続されるが、このねじ部18はリード角を有しているので、ねじ部18に接する膨出部17の凸湾曲部172の曲率半径R7は周方向位置によって変化している。
なお、この凸湾曲部172は、必ずしもねじ部18の下端まで連続している必要はなく、ねじ部18の下端にストレートあるいは凹湾曲状の筒状部分を介して接続されていてもよい。その場合、膨出部17の凸湾曲部172の曲率半径R7を周方向に一定とすることが可能である。
ねじ部18は、ねじ山部181とねじ谷部182とを有し、膨出部17がねじ部18に接する場合は、ねじ谷部182の終端(下端)が膨出部17の上端に接続され、ねじ山部181の終端と膨出部17の上端とはほぼ一体化した状態である。この場合、ねじ谷部182よりも下方部分が膨出部17とされる。ねじ部18の下端に前述したストレートあるいは凹湾曲状の筒状部分が介在する場合は、この筒状部分よりも下方部分が膨出部17となる。
カール部19は、開口端部10aを半径方向外方に折り返してなるものであり、ねじ部18の外径よりも小さい外径に形成される。
このボトル缶10を製造するには、まず、アルミニウム合金等の薄板金属の板材を打ち抜いて絞り加工することにより、図3(a)に示す比較的大径で浅いカップ31を成形した後、このカップ31に再度の絞り加工及びしごき加工(DI加工)を加えて、図3(b)に示すように所定高さの有底円筒状の筒体32を成形し、その上端をトリミングにより切り揃える。このDI加工により、筒体32の底部は最終のボトル缶10としての底部11の形状に成形される。このときの板厚は、プレス成形前の元板厚が0.370mm以上0.550mm以下であり、図3(b)に示す筒体32(DI缶)において、筒体32の底部11側の板厚(ウォール厚)t1が0.110mm以上0.150mm以下に形成され、開口端部側の板厚(フランジ厚)t2が0.200mm以上0.240mm以下に形成される。この場合、ウォール厚t1の部分は、円筒状胴部12の底部111よりも若干缶軸方向上方位置から、後の工程で縮径部13の屈曲部131となる部分よりも若干缶軸方向下方位置までであり、フランジ厚t2の部分は、後の工程で縮径部13の屈曲部131となる部分よりも缶軸方向上方部分である。なお、底部11のドーム部111の板厚がほぼ元板厚、あるいは元板厚より若干薄くなる。
次いで、筒体32の開口端部側を縮径加工して、中間成形体34を形成する中間成形体形成工程、その中間成形体34の開口端部を成形して口部を形成する口部形成工程を経て、ボトル缶が製造される。以下、これら工程を詳述する。
(中間成形体形成工程)
筒体32の開口端部側を縮径加工することにより、図3(c)に示すように円筒状胴部12に連続する肩部13を形成するとともに、肩部13の上方で缶軸C方向に延びる小径の開口筒部331を有する初期の中間成形体(これを第1中間成形体と称す)33を形成する。
この縮径加工は、加工径の異なる環状の成形部を有する複数の縮径用金型を用い、加工径が大きい順で、筒体32の開口端から缶軸C方向に縮径用金型を押し込んで、縮径用金型の内周の成形部によって筒体32を縮径して、肩部13を形成するダイネック加工である。図3(b)に特定の縮径用金型40を鎖線で模式的に示しており、環状に形成され、その内周部の成形部41の径が異なる複数個の縮径用金型40を用いて、筒体32を成形する。
この縮径加工で形成される肩部13は最終ボトル缶10の肩部13と同じ傾斜角θ1に
形成される。
このとき、肩部13の上端部に、ほぼ缶軸C方向に沿う筒状部51を形成する(筒状部形成工程)。この筒状部51は、図2に示す最終形状の筒部14に形成されるものとほぼ同じ形状の下側凹状湾曲部141、円筒部142及び凸状湾曲部145を有し、図4に示すように、凸状湾曲部145の上端が凹型湾曲部511を介して開口筒部331に繋がる形状である。この時点の筒状部51の円筒部142は最終のボトル缶10における円筒部142の外径D1とほぼ同じ外径であり、開口筒部331は最終のボトル缶10における首部15の外径D3とほぼ同じ外径である。また、凸状湾曲部145は最終のボトル缶10における凸状湾曲部145とほぼ同じ曲率半径R3に形成される。
凹型湾曲部511は最終形状では上側凹状湾曲部146に形成されるものであり、上側凹状湾曲部146の曲率半径R4より大きい曲率半径に形成される。この凹型湾曲部511の外面の曲率半径R8は3.0mm以上5.0mm以下(例えば3.5mm)が好ましい。これら凹型湾曲部511と凸状湾曲部145とは直接接続されていてもよいし、その間に若干の長さのストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面からなる傾斜部が形成されていてもよい。この第1中間成形体33における凸状湾曲部145と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線と、缶軸Cとのなす角度θ3は20°以上35°以下(例えば27.3°)であり、図2に示す最終の角度θ2より小さい。
なお、この筒状部51において、最終形状の筒部14とほぼ同じ形状に形成される部分には、筒部14のものと同一符号を付している。ここで「ほぼ同じ」というのは、後述のリフォーム工程、口部形成工程を経ることにより、意図的に成形されることはないものの、他の部分の成形によりわずかに変形が生じる場合があるためである。
次に、以上のようにして筒状部51が形成された第1中間成形体33に対して、筒状部の上端部の凹型湾曲部を押圧して、その曲率半径を小さくする(リフォーム工程)。これにより、肩部13の上の筒部14の上端の段部30に、曲率半径の小さい凹状湾曲部146が形成される。
この筒部14の凹状湾曲部を形成するための湾曲部形成用金型45は、図5に示すように、前述の肩部13を形成する縮径用金型40と同様、環状に形成され、その内周部に成形部46が形成されている。この成形部46は第1中間成形体33の開口筒部331の外径とほぼ同じ内径に形成されている。また、成形部46は、その先端に向かうにしたがって漸次内径が大きくなるテーパ面46aと、内周面とテーパ面46aとの間で軸方向に沿う縦断面において凹型湾曲部511より曲率半径の小さい凸湾曲面46bとにより形成されている。また、テーパ面46aの軸に対する傾斜角度θ4は、第1中間成形体33の凸状湾曲部145と傾斜部との接続点における接線と、缶軸Cとのなす角度θ3より大きく形成される。
そして、この湾曲部形成用金型45の先端を開口筒部331と対向するように第1中間成形体33と同軸上に配置し、湾曲部形成用金型45を開口筒部331側から缶軸C方向に移動させて、既に形成されている筒状部51の上端の凹型湾曲部511を成形部46の凸湾曲面46bによって缶軸C方向に押圧しつつ、その曲率半径を小さくする。これにより、曲率半径の小さい凹状湾曲部146が形成される。
なお、このリフォーム工程においては、円筒部142及び凸状湾曲部145はほとんど加工されず、ほぼ第1中間成形体33の状態のままである。
(口部形成工程)
次いで、この段部30を有する筒部14を形成した第2中間成形体34において、筒部14の上に首部15とする部分を残して、開口筒部331を拡径するとともに、その拡径
した部分の上部を再度縮径することにより、図6に示すように半径方向外方に突出するビード状部分332を形成する。
このビード状部分332を形成した中間成形体34に対して、そのビード状部分332より上方位置にねじ部18を形成し、開口端部にカール部19を形成する。また、ねじ部18を形成する際に、ビード状部分332を再成形して膨出部17及びその下の首部15の上部を最終形状に形成する。
これにより、ボトル缶10が形成される。
このように製造されたボトル缶10は、その口部にキャップ20が装着される。
このキャップ20は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、ボトル缶10の口部16に装着される前の形状では、円板状の天板部21と、天板部21の外周縁から垂直下方に延びるスカート部22と、天板部21の内面に設けられた円盤状のライナ(図示略)とを有している。また、スカート部22には、その上部の天板部21に近い位置に、開栓時に手に摩擦力を付与するナール凹部23と、開封時に内圧を開放するためのベントホール24とが周方向に複数ずつ形成され、ベントホール24の上側片が半径方向内方に押し込まれた状態に形成されることで、この上側片と天板部21との間にライナが配置され、抜け止めされる。
スカート部22の下端部には、周方向に断続的にスリット25が形成されており、このスリット25を介してスカート部22が上部と下部とに分けられるとともに、スリット25の間に形成される複数のブリッジ26によって、上部と下部とが連結した形状とされる。
そして、ボトル缶10の口部16に、キャップ20が被せられ、キャップ20の天板部21内面のライナがカール部19に圧接され、ねじ部18に沿ってキャップ20の円筒状のスカート部22がねじ加工され、そのスカート部22の下端部が膨出部17に係止されることにより、キャップ20が成形され、口部16が密封される。
このボトル缶10は、膨出部17の下方で首部15から肩部13にかけて段部30により階段状に外径が変化していることにより、膨出部17の下方位置が強化されており、かつ、首部15に繋がる段部30の凹状湾曲部146の曲率半径R4が小さく形成されていることから、首部15から段部30に至る部分の変形抵抗も高められている。しかも、この段部30の凹状湾曲部146は、第1中間成形体33において凹型湾曲部511を形成した後にリフォーム工程により再成形したものであるため、加工硬化により剛性が高く、またスプリングバック量も小さく、正確な寸法に仕上げられる。
これにより、キャッピング時の半径方向の押圧力に対して膨出部17の変形を有効に防止することができる。したがって、ボトル缶10の膨出部17付近の真円度が向上し、キャップ20のブリッジ切れ等を防止できるとともに、ボトル缶10の薄肉化を図ることができる。凹状湾曲部146の曲率半径R4は0.5mm以上2.5mm以下がより好ましい。
図7から図9は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態において、第1実施形態と共通要素には同一符号を付し、また、寸法表示の記号も同一寸法である場合には同一の記号を付している。
この第2実施形態のボトル缶(全体形状は図示略)は、図7に示すように、肩部13と首部15との間の筒部44の上端部に形成される段部50の凸状湾曲部441が、第1実施形態の凸状湾曲部145よりも小さい曲率半径に形成されている。この凸状湾曲部441の外面の曲率半径R31は2.0mm以上6.0mm以下である。凸状湾曲部441の外面の曲率半径R31が2.0mm未満であると、成形が困難となる。首部15との接続部分に形成される凹状湾曲部146は第1実施形態のものとほぼ同じ曲率半径R4である。
また、これら凸状湾曲部441と凹状湾曲部146とは隣接している場合もあるが、その間にわずかな長さのストレートの傾斜面、あるいはなだらかな円弧面からなる傾斜部が形成されていてもよい。その場合、凸状湾曲部441の上側凹状湾曲部146との接続点における接線は、凸状湾曲部441と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線となる。この接線と缶軸Cとのなす角度θ5は第1実施形態の角度θ2よりわずかに小さく、25°以上45°以下(例えば35°)である。
このボトル缶を製造する場合、第1実施形態の場合と同様、中間成形体工程において筒状部形成工程により第1中間成形体33を形成する。この第1中間成形体33は、第1実施形態における第1中間成形体33とほぼ同じ形状であるが、後のリフォーム工程がなされるため、凹型湾曲部511に続く凸状部分を凸型湾曲部512とする。
そして、その筒状部51にリフォーム工程を実施して凸型湾曲部512の曲率半径を小さくして凸状湾曲部441を形成しつつ凹型湾曲部511の曲率半径を小さくして凹状湾曲部146を形成し、最後に口部形成工程を経て製造される。リフォーム工程で用いられる湾曲部形成用金型48は、図9に示すように、環状に形成され、その内周部に成形部49が形成されている。この成形部49の内径は第1中間成形体33の開口筒部331の外径とほぼ同じに形成されている。また、成形部49の先端側は先端に向かうにしたがって漸次内径が大きくなるテーパ面49aに形成されている。このテーパ面49aの軸に対する傾斜角度θ6は、筒状部51の凸型湾曲部512と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線と、缶軸Cとのなす角度θ3より若干大きいが、第1実施形態のθ4より小さく形成されている。成形部49の内周面とテーパ面49aとの間は、軸方向に沿う縦断面において凹型湾曲部511より曲率半径の小さい凸湾曲面49bに形成されている。
そして、この湾曲部形成用金型48の先端を開口筒部331と対向するように第1中間成形体33と同軸上に配置し、湾曲部形成用金型48を開口筒部331側から缶軸C方向に移動させると、筒状部51の凹型湾曲部511を成形部49の凸湾曲面49bが押し込むとともに、成形部49のテーパ面49aが凸型湾曲部512の上部に当接し、これを缶軸方向に押圧する。これにより、凸型湾曲部512がその曲率半径を小さくするように屈曲させられ、凸状湾曲部441が形成される。一方、この凸状湾曲部441の形成と同時に、凹型湾曲部511が成形部の凸湾曲面49bに押されることにより、その曲率半径を小さくするように変形させられ、凹状湾曲部146が形成される。
以降、第1実施形態と同様、口部形成工程を経てボトル缶となる。
このボトル缶も、膨出部17の下方で首部15から肩部13にかけて段部30により階段状に外径が変化していることにより、膨出部17の下方位置が強化されており、かつ、首部15に繋がる凹状湾曲部146の曲率半径が小さく形成されるとともに、段部50の凸状湾曲部441の曲率半径R31も小さく形成されていることから、段部50の変形抵抗が高められている。しかも、この段部50は筒状部51の上端部をリフォーム工程により再成形したものであるため、加工硬化により剛性が高く、またスプリングバック量も小さく、正確な寸法に仕上げられる。
これにより、キャッピング時の半径方向の押圧力に対して膨出部17の変形を有効に防止することができる。したがって、ボトル缶の膨出部17付近の真円度が向上し、キャップ20のブリッジ切れ等を防止できるとともに、ボトル缶10の薄肉化を図ることができる。
なお、本発明は上記各実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、ボトル缶として、予め有底円筒状の筒体32を形成して、その開口端部を成形したが、筒体は底部を有していないものも含むものとし、肩部を成形した後に、筒体の胴部に、別に形成した底部を巻き締めるようにしてもよい。
プレス成形前の板厚が0.46mmのJIS3004のアルミニウム材を用い、ウォール厚が0.130mm、フランジ厚が0.220mm、外径が66.24mmの筒体(DI缶)を成形した後、筒体の開口端部側を縮径加工することにより、円筒状胴部に連続する肩部を形成するとともに、肩部の上方で缶軸方向に延びる小径の筒状部を有する中間成形体を成形した。
実施例1〜3の試料では、この中間成形体に対して、筒状部の上端部の凹型湾曲部を押圧して、その曲率半径を小さくするリフォーム工程を施した後、口部を形成し、口部の膨出部外径が38.0mmのボトル缶を成形した。このとき、縮径部の上側凹状湾曲部の曲率半径R4と凸状湾曲部の曲率半径R3とを変えた複数のボトル缶(実施例1〜3の試料)を成形し、コラム強度を測定した。
また、これら実施例1〜3の試料の比較例として、上記中間成形体に対して、リフォーム工程を施すことなく、口部を形成し、口部の膨出部外径が38.0mmのボトル缶を成形し、コラム強度を測定した。
コラム強度は、ボトル缶の口金部上端(開口部)に平板を当接させ、島津製作所製の試験機(型番AG-50kNG)を用いて、5mm/minの速度で軸方向に圧縮して、座屈が開始された時の荷重を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 2020152445
表1により明らかなように、リフォーム工程が施されていない比較例の試料は、凹状湾曲部の曲率半径R4が4.0mmと大きいので、コラム強度は1650Nであった。これに対し、上側凹状湾曲部の外面の曲率半径R4が2.5mm以下の実施例1〜3の試料は、コラム強度が1700N以上であった。特に、上側凹状湾曲部の外面の曲率半径R4が2.5mmと小さく、凸状湾曲部の外面の曲率半径R3が6.5mmの実施例2の試料では、コラム強度が1750Nと大きかった。
これらのことから、ボトル缶の製造時(中間成形体形成工程時)にリフォーム工程を施し、上側凹状湾曲部の外面の曲率半径R4を2.5mm以下にすることで、ボトル缶のコラム強度を向上できることがわかった。特に、曲率半径R4を2.5mm、曲率半径R3を6.5mmにすることで、コラム強度を大きく向上できることがわかった。
10 ボトル缶
11 底部
12 円筒状胴部
13 肩部
14 筒部
15 首部
16 口部
17 膨出部
18 ねじ部
19 カール部
20 キャップ
21 天板部
22 スカート部
25 スリット
26 ブリッジ
30,50 段部
32 筒体
33 第1中間成形体
34 第2中間成形体(本発明の中間成形体に相当)
44 筒部
45,48 湾曲部形成用金型
46,49 成形部
46a,49a テーパ面
46b,49b 凸湾曲面
51 筒状部
132 縮径部
141 下側凹状湾曲部
145 凸状湾曲部
146 上側凹状湾曲部(本発明の凹状湾曲部に相当)
171 凹湾曲部
172 凸湾曲部
331 開口筒部
511 凹型湾曲部
512 凸型湾曲部

Claims (4)

  1. 円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、
    前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成され、
    前記凹状湾曲部の外面の曲率半径が2.5mm以下であることを特徴とするボトル缶。
  2. 前記凸状湾曲部の外面の曲率半径は6.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のボトル缶。
  3. 円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成されてなるボトル缶の製造方法であって、
    筒体の上部を縮径することにより、前記円筒状胴部の上に形成された前記肩部、この肩部の上に形成された前記筒部、及び該筒部の上に形成された開口筒部を有する中間成形体を形成する中間成形体形成工程と、前記開口筒部に前記段部における前記凹状湾曲部の上端から前記首部を介して前記膨出部、前記ねじ部及び前記カール部を形成する口部形成工程とを有しており、
    前記中間成形体形成工程は、前記凹状湾曲部より曲率半径が大きい凹型湾曲部を前記開口筒部に接続状態に形成しておき、該凹型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凹状湾曲部を形成することを特徴とするボトル缶の製造方法。
  4. 前記凹型湾曲部の下端に繋がり、前記凸状湾曲部より曲率半径が大きい凸型湾曲部を形成しておき、前記凸型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凸状湾曲部を形成しつつ、前記凹型湾曲部を再成形して前記凹状湾曲部を形成することを特徴とする請求項3記載のボトル缶の製造方法。
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