JP2020152445A - ボトル缶及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
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特許文献2では、膨出部(カブラ部)と肩部との間に、膨出部側から順にS字ビード部と外径が一定のストレート部とが形成されていることにより、変形強度が高められている。
特許文献3では、ボトル缶に肩部及び口部を形成するネッキング工程時に、肩部と口部との繋ぎのR部の曲率半径を小さくするリフォーム加工を施すことにより、変形強度を高めている。
許文献記載の技術では不十分で、さらなる対策が望まれる。
前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成され、
前記凹状湾曲部の外面の曲率半径が2.5mm以下である。
首部から肩部に筒部を介して接続されるので、首部の下方がさらに強化され、しかも、筒部の上端の凸状湾曲部の曲率半径が6.5mm以下と小さいため、段部の変形抵抗が高められ、膨出部の変形をより有効に防止することができる。
筒体の上部を縮径することにより、前記円筒状胴部の上に形成された前記肩部、この肩部の上に形成された前記筒部、及び該筒部の上に形成された開口筒部を有する中間成形体を形成する中間成形体形成工程と、前記開口筒部に前記段部における前記凹状湾曲部の上端から前記首部を介して前記膨出部、前記ねじ部及び前記カール部を形成する口部形成工程とを有しており、
前記中間成形体形成工程は、前記凹状湾曲部より曲率半径が大きい凹型湾曲部を前記開口筒部に接続状態に形成しておき、該凹型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凹状湾曲部を形成する。
することができる。この再成形の工程を経ずに凹状湾曲部を形成する場合は、スプリングバックにより所望の曲率半径に形成することが難しいが、一旦凹型湾曲部を形成してからリフォームすることにより、加工硬化した後の凹型湾曲部を再成形することから、スプリングバック量を小さくして、所望の形状に確実に形成することができる。
ボトル缶10は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の薄板金属からなり、図1に示すように、底部11を有する円筒状胴部12に、円筒状胴部12の上端から缶軸C方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部13と、肩部13の上に筒部14を介して形成された首部15と、首部15の上端に接続状態に形成された例えば口径38mmの口部16とを備えている。
図1に示すように、円筒状胴部12、肩部13、筒部14、首部15、及び口部16は互いに同軸に配置されており、本実施形態において、これらの共通軸を缶軸Cと称して説明を行う。
屈曲部131は半径方向外方に向けて凸となるように所定の曲率半径で屈曲しており、縮径部132は、缶軸Cに対する傾斜角θ1が10°以上41°以下に形成される。
なお、凸状湾曲部145の外面の曲率半径R3が2.0mm未満であると、成形が困難となる。また、曲率半径R4が0.5mm未満であると、ボトル缶10の外面に形成される塗膜にダメージを与える可能性がある。
なお、凸状湾曲部145と上側凹状湾曲部146とは、隣接している場合もあるが、その間にわずかな長さでストレートの傾斜面、あるいはなだらかな円弧面からなる傾斜部が形成されていてもよい。その場合、凸状湾曲部145の上側凹状湾曲部146との接続点における接線は、凸状湾曲部145と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線となる。この接線と缶軸Cとのなす角度θ2は30°以上50°以下(例えば40°)である。
首部15は上側凹状湾曲部146の上端に接続されており、その外径D3は32.0mm以上41.0mm以下(例えば35.4mm)であり、缶軸C方向に沿う高さ(長さ)H2は1.0mm以上5.0mm以下(例えば2.531mm)である。また、首部15の上端から段部30の下端までの缶軸C方向の距離H3は1.5mm以上7.5mm以下(例えば4.84mm)である。
膨出部17は、首部15との接続位置が半径方向内方に向けて凹となる凹湾曲部171に形成され、この凹湾曲部71の上端から半径方向外方に向けて凸となる凸湾曲部172が連続して形成されており、その凸湾曲部172の最外周位置が、膨出部17の最大外径を形成している。その最大外径D4は33.0mm以上42.0mm以下(例えば36.751mm)に形成される。
なお、この凸湾曲部172は、必ずしもねじ部18の下端まで連続している必要はなく、ねじ部18の下端にストレートあるいは凹湾曲状の筒状部分を介して接続されていてもよい。その場合、膨出部17の凸湾曲部172の曲率半径R7を周方向に一定とすることが可能である。
カール部19は、開口端部10aを半径方向外方に折り返してなるものであり、ねじ部18の外径よりも小さい外径に形成される。
次いで、筒体32の開口端部側を縮径加工して、中間成形体34を形成する中間成形体形成工程、その中間成形体34の開口端部を成形して口部を形成する口部形成工程を経て、ボトル缶が製造される。以下、これら工程を詳述する。
筒体32の開口端部側を縮径加工することにより、図3(c)に示すように円筒状胴部12に連続する肩部13を形成するとともに、肩部13の上方で缶軸C方向に延びる小径の開口筒部331を有する初期の中間成形体(これを第1中間成形体と称す)33を形成する。
この縮径加工は、加工径の異なる環状の成形部を有する複数の縮径用金型を用い、加工径が大きい順で、筒体32の開口端から缶軸C方向に縮径用金型を押し込んで、縮径用金型の内周の成形部によって筒体32を縮径して、肩部13を形成するダイネック加工である。図3(b)に特定の縮径用金型40を鎖線で模式的に示しており、環状に形成され、その内周部の成形部41の径が異なる複数個の縮径用金型40を用いて、筒体32を成形する。
この縮径加工で形成される肩部13は最終ボトル缶10の肩部13と同じ傾斜角θ1に
形成される。
なお、この筒状部51において、最終形状の筒部14とほぼ同じ形状に形成される部分には、筒部14のものと同一符号を付している。ここで「ほぼ同じ」というのは、後述のリフォーム工程、口部形成工程を経ることにより、意図的に成形されることはないものの、他の部分の成形によりわずかに変形が生じる場合があるためである。
この筒部14の凹状湾曲部を形成するための湾曲部形成用金型45は、図5に示すように、前述の肩部13を形成する縮径用金型40と同様、環状に形成され、その内周部に成形部46が形成されている。この成形部46は第1中間成形体33の開口筒部331の外径とほぼ同じ内径に形成されている。また、成形部46は、その先端に向かうにしたがって漸次内径が大きくなるテーパ面46aと、内周面とテーパ面46aとの間で軸方向に沿う縦断面において凹型湾曲部511より曲率半径の小さい凸湾曲面46bとにより形成されている。また、テーパ面46aの軸に対する傾斜角度θ4は、第1中間成形体33の凸状湾曲部145と傾斜部との接続点における接線と、缶軸Cとのなす角度θ3より大きく形成される。
なお、このリフォーム工程においては、円筒部142及び凸状湾曲部145はほとんど加工されず、ほぼ第1中間成形体33の状態のままである。
次いで、この段部30を有する筒部14を形成した第2中間成形体34において、筒部14の上に首部15とする部分を残して、開口筒部331を拡径するとともに、その拡径
した部分の上部を再度縮径することにより、図6に示すように半径方向外方に突出するビード状部分332を形成する。
このビード状部分332を形成した中間成形体34に対して、そのビード状部分332より上方位置にねじ部18を形成し、開口端部にカール部19を形成する。また、ねじ部18を形成する際に、ビード状部分332を再成形して膨出部17及びその下の首部15の上部を最終形状に形成する。
これにより、ボトル缶10が形成される。
このキャップ20は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、ボトル缶10の口部16に装着される前の形状では、円板状の天板部21と、天板部21の外周縁から垂直下方に延びるスカート部22と、天板部21の内面に設けられた円盤状のライナ(図示略)とを有している。また、スカート部22には、その上部の天板部21に近い位置に、開栓時に手に摩擦力を付与するナール凹部23と、開封時に内圧を開放するためのベントホール24とが周方向に複数ずつ形成され、ベントホール24の上側片が半径方向内方に押し込まれた状態に形成されることで、この上側片と天板部21との間にライナが配置され、抜け止めされる。
そして、ボトル缶10の口部16に、キャップ20が被せられ、キャップ20の天板部21内面のライナがカール部19に圧接され、ねじ部18に沿ってキャップ20の円筒状のスカート部22がねじ加工され、そのスカート部22の下端部が膨出部17に係止されることにより、キャップ20が成形され、口部16が密封される。
これにより、キャッピング時の半径方向の押圧力に対して膨出部17の変形を有効に防止することができる。したがって、ボトル缶10の膨出部17付近の真円度が向上し、キャップ20のブリッジ切れ等を防止できるとともに、ボトル缶10の薄肉化を図ることができる。凹状湾曲部146の曲率半径R4は0.5mm以上2.5mm以下がより好ましい。
この第2実施形態のボトル缶(全体形状は図示略)は、図7に示すように、肩部13と首部15との間の筒部44の上端部に形成される段部50の凸状湾曲部441が、第1実施形態の凸状湾曲部145よりも小さい曲率半径に形成されている。この凸状湾曲部441の外面の曲率半径R31は2.0mm以上6.0mm以下である。凸状湾曲部441の外面の曲率半径R31が2.0mm未満であると、成形が困難となる。首部15との接続部分に形成される凹状湾曲部146は第1実施形態のものとほぼ同じ曲率半径R4である。
また、これら凸状湾曲部441と凹状湾曲部146とは隣接している場合もあるが、その間にわずかな長さのストレートの傾斜面、あるいはなだらかな円弧面からなる傾斜部が形成されていてもよい。その場合、凸状湾曲部441の上側凹状湾曲部146との接続点における接線は、凸状湾曲部441と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線となる。この接線と缶軸Cとのなす角度θ5は第1実施形態の角度θ2よりわずかに小さく、25°以上45°以下(例えば35°)である。
そして、その筒状部51にリフォーム工程を実施して凸型湾曲部512の曲率半径を小さくして凸状湾曲部441を形成しつつ凹型湾曲部511の曲率半径を小さくして凹状湾曲部146を形成し、最後に口部形成工程を経て製造される。リフォーム工程で用いられる湾曲部形成用金型48は、図9に示すように、環状に形成され、その内周部に成形部49が形成されている。この成形部49の内径は第1中間成形体33の開口筒部331の外径とほぼ同じに形成されている。また、成形部49の先端側は先端に向かうにしたがって漸次内径が大きくなるテーパ面49aに形成されている。このテーパ面49aの軸に対する傾斜角度θ6は、筒状部51の凸型湾曲部512と傾斜部(ストレートの傾斜面あるいはなだらかな円弧面)との接続点における接線と、缶軸Cとのなす角度θ3より若干大きいが、第1実施形態のθ4より小さく形成されている。成形部49の内周面とテーパ面49aとの間は、軸方向に沿う縦断面において凹型湾曲部511より曲率半径の小さい凸湾曲面49bに形成されている。
以降、第1実施形態と同様、口部形成工程を経てボトル缶となる。
これにより、キャッピング時の半径方向の押圧力に対して膨出部17の変形を有効に防止することができる。したがって、ボトル缶の膨出部17付近の真円度が向上し、キャップ20のブリッジ切れ等を防止できるとともに、ボトル缶10の薄肉化を図ることができる。
実施例1〜3の試料では、この中間成形体に対して、筒状部の上端部の凹型湾曲部を押圧して、その曲率半径を小さくするリフォーム工程を施した後、口部を形成し、口部の膨出部外径が38.0mmのボトル缶を成形した。このとき、縮径部の上側凹状湾曲部の曲率半径R4と凸状湾曲部の曲率半径R3とを変えた複数のボトル缶(実施例1〜3の試料)を成形し、コラム強度を測定した。
また、これら実施例1〜3の試料の比較例として、上記中間成形体に対して、リフォーム工程を施すことなく、口部を形成し、口部の膨出部外径が38.0mmのボトル缶を成形し、コラム強度を測定した。
その結果を表1に示す。
これらのことから、ボトル缶の製造時(中間成形体形成工程時)にリフォーム工程を施し、上側凹状湾曲部の外面の曲率半径R4を2.5mm以下にすることで、ボトル缶のコラム強度を向上できることがわかった。特に、曲率半径R4を2.5mm、曲率半径R3を6.5mmにすることで、コラム強度を大きく向上できることがわかった。
11 底部
12 円筒状胴部
13 肩部
14 筒部
15 首部
16 口部
17 膨出部
18 ねじ部
19 カール部
20 キャップ
21 天板部
22 スカート部
25 スリット
26 ブリッジ
30,50 段部
32 筒体
33 第1中間成形体
34 第2中間成形体(本発明の中間成形体に相当)
44 筒部
45,48 湾曲部形成用金型
46,49 成形部
46a,49a テーパ面
46b,49b 凸湾曲面
51 筒状部
132 縮径部
141 下側凹状湾曲部
145 凸状湾曲部
146 上側凹状湾曲部(本発明の凹状湾曲部に相当)
171 凹湾曲部
172 凸湾曲部
331 開口筒部
511 凹型湾曲部
512 凸型湾曲部
Claims (4)
- 円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、
前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成され、
前記凹状湾曲部の外面の曲率半径が2.5mm以下であることを特徴とするボトル缶。 - 前記凸状湾曲部の外面の曲率半径は6.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のボトル缶。
- 円筒状胴部と、該円筒状胴部の上端から缶軸方向上側に向かうに従って漸次縮径する肩部と、該肩部より上方に形成された首部と、該首部の上に形成され、首部より大径の膨出部、該膨出部の上に形成されたねじ部及び開口部を形成するカール部を有する口部とを備え、前記首部と前記肩部との間に前記首部より大径の筒部が形成され、該筒部の上端部に、前記首部の下端に接続され外方に向けて凹となる凹状湾曲部と、該凹状湾曲部の下端に接続され外方に向けて凸となる凸状湾曲部とが形成され、これら凹状湾曲部及び凸状湾曲部により、前記首部から缶軸方向下方に向かうにしたがって漸次拡径する段部が形成されてなるボトル缶の製造方法であって、
筒体の上部を縮径することにより、前記円筒状胴部の上に形成された前記肩部、この肩部の上に形成された前記筒部、及び該筒部の上に形成された開口筒部を有する中間成形体を形成する中間成形体形成工程と、前記開口筒部に前記段部における前記凹状湾曲部の上端から前記首部を介して前記膨出部、前記ねじ部及び前記カール部を形成する口部形成工程とを有しており、
前記中間成形体形成工程は、前記凹状湾曲部より曲率半径が大きい凹型湾曲部を前記開口筒部に接続状態に形成しておき、該凹型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凹状湾曲部を形成することを特徴とするボトル缶の製造方法。 - 前記凹型湾曲部の下端に繋がり、前記凸状湾曲部より曲率半径が大きい凸型湾曲部を形成しておき、前記凸型湾曲部を再成形することにより、その曲率半径を小さくして前記凸状湾曲部を形成しつつ、前記凹型湾曲部を再成形して前記凹状湾曲部を形成することを特徴とする請求項3記載のボトル缶の製造方法。
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