JP2016095512A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】常温常湿環境下だけでなく、低温低湿環境下であっても、ゴースト現象による画像欠陥が少ない画像を出力可能な電子写真感光体、ならびに、プロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に有する電子写真感光体を、電荷輸送層が、式(1)で示される化合物および樹脂を含有する構成とする。
Figure 2016095512

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
現在、電子写真感光体としては、支持体上に感光層を設け、感光層が電荷発生機能(電荷発生層)と電荷輸送機能(電荷輸送層)とをそれぞれ別々の層に分担させた機能分離型積層構造を有する電子写真感光体が一般的である。
電荷発生機能を有する電荷発生物質としては、像露光手段としてよく用いられている半導体レーザーの発振波長が650〜820nmと長波長であるため、これらの長波長の光に高い感度を有する電荷発生物質の開発が進められている。
フタロシアニン顔料は、こうした長波長領域までの光に高い感度を有する電荷発生物質として有効である。特にオキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンは、優れた感度特性を有しており、これまでに様々な結晶形や改良製法が報告されている。
一方、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質としては、電荷発生物質で生成したフォトキャリアを短時間で輸送できる高い移動度を有する電荷輸送物質の開発が進められている。
例えば特許文献1および特許文献2には、ターフェニル構造を有するトリアリールアミン系電荷輸送物質が開示されている。
特開昭56−119132号公報 特開2008−158436号公報
以上述べたように、電子写真感光体に関して、様々な開発が試みられている。
しかしながら、近年のさらなる高画質化に対して、様々な環境下においてゴースト現象による画質劣化の改善が望まれている。
本発明の目的は、常温常湿環境下だけでなく、特に厳しい条件である低温低湿環境下であっても、ゴースト現象による画像欠陥が少ない画像を出力可能な電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明にかかる電子写真感光体は、支持体と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に有する電子写真感光体であって、
該電荷輸送層が、下記式(1)で示される化合物および樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 2016095512
(式中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、またはフルオレニル基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、またはジエチルアミノ基である。nは1または2を示す。)
また、本発明にかかるプロセスカートリッジは、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、および、クリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明にかかる電子写真装置は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、および、転写手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、常温常湿環境下だけでなく、特に厳しい条件である低温低湿環境下であっても、ゴースト現象による画像欠陥が少ない画像を出力可能な電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 製造例3で得られたドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
本発明の電子写真感光体は、支持体と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に有する。そして、該電荷輸送層が、下記式(1)で示される化合物および樹脂を含有する。式(1)で示される化合物は電荷輸送物質である。
Figure 2016095512
(式中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、またはフルオレニル基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、またはジエチルアミノ基である。nは1または2を示す。)
式(1)において、nが2の場合、2つの括弧内の構造は、同一でも異なっていてもよい。
式(1)中のnが1であり、括弧内の構造の置換位置がメタ位であると、ゴースト現象低減効果が強いため、好ましい。
また、式(1)中のnが2であり、括弧内の構造の置換位置が3位および5位であることも好ましい。
以下に、本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に含有される式(1)で示される化合物の好ましい具体例(例示化合物)を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、nが1であり且つ括弧内の構造の置換位置がメタ位である式(1)で示される化合物の例が、例示化合物(11)〜(16)および(18)である。また、nが2であり且つ括弧内の構造の置換位置が3位および5位である式(1)で示される化合物の例が、例示化合物(19)〜(22)である。
Figure 2016095512
Figure 2016095512
Figure 2016095512
電荷輸送層における式(1)で示される化合物の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。また、式(1)の化合物は、その1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。電荷輸送層を形成する際の後述する電荷輸送層用塗布液の塗膜での該化合物の析出(結晶化)の抑制の点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
また、電荷輸送層は、式(1)で示される化合物以外の電荷輸送物質を含有してもよく、電荷輸送層における式(1)で示される化合物以外の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。特には30質量%以上60質量%以下であることが好ましい。式(1)で示される化合物以外の電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物およびトリアリルメタン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層が含有する樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート(polyarylate)、およびアクリロニトリル共重合体などの樹脂が挙げられる。これらの中でも、エステル結合(−CO−O−)を有する高分子化合物であるポリカーボネートや、ポリアリレートが、式(1)で示される化合物との相溶性が良いため好ましい。さらには、ポリカーボネートであることが特に好ましい。これらの樹脂の1種または2種以上を組合せて用いることができる。
電荷輸送層が含有する樹脂の重量平均分子量としては、20,000以上300,000以下が好ましく、より好ましくは、50,000以上200,000以下である。樹脂の重量平均分子量とは、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
以下に、エステル結合を有する高分子化合物の好ましい構造単位の具体例(例示樹脂)を以下に示す。
Figure 2016095512
Figure 2016095512
Figure 2016095512
電荷輸送層中の式(1)で示される化合物と樹脂との質量比率(式(1)で示される化合物:樹脂)は3:7〜6:4であることが好ましい。3:7より式(1)で示される化合物多いと、電荷輸送の面で有利であり、6:4より少ないと成膜性に優れ本発明の効果を安定して発揮し易いためである。
また、電荷輸送層は、トナーの転写効率を上げる目的で離型剤、汚れなどを防止する目的で指紋付着防止剤、削れを抑制する目的でフィラー、およびドラム表面の潤滑性を上げる目的で滑剤などから選択した添加剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜25μmであることが好ましい。
電荷輸送層は、式(1)で示される化合物及び樹脂、さらには必要に応じて含有させる添加剤を含有する電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させて形成することができる。
本発明の電子写真感光体が有する支持体は、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましい。例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属や合金、あるいは導電層を設けた金属、合金、プラスチックおよび紙などが挙げられる。支持体の形状としては円筒状またはフィルム状などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体において、支持体と電荷発生層の間には、バリア機能と接着機能を持つ下引き層(中間層とも呼ばれる。)を設けることもできる。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド、にかわおよびゼラチンなどが用いられる。
下引き層は、上記材料を含有する下引き層用塗布液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて形成することができる。また、抵抗制御剤として金属酸化物を添加してもよい。
下引き層の膜厚は0.3〜5.0μmであることが好ましい。
さらに、支持体と下引き層との間に、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞防止を目的とした導電層を設けることが好適である。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子および金属酸化物などの導電性粒子を、結着樹脂中に分散して形成することができる。
導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
本発明の電子写真感光体が有する電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含有する。本発明に用いられる電荷発生物質としては、従来有機電子写真感光体に用いられる公知のものを用いることができ、特に限定されないが、アゾ顔料又はフタロシアニン顔料を用いることが好ましい。フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、軸配位子を有してもよい金属フタロシアニン等のいかなるフタロシアニンをも用いることができる。このような各フタロシアニンは置換基を有してもよい。特に、オキシチタニウムフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンが優れた感度を有しているため好ましい。ここで、オキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンはゴーストが発生し易い。しかしながら、本発明においては式(1)で示される化合物および樹脂を含有する電荷輸送層と共に用いることにより、優れた感度特性を維持しつつゴーストの発生を抑制することができる。したがって、オキシチタニウムフタロシアニンやガリウムフタロシアニンを用いると、本発明の効果をより顕著に発揮することができ、好ましい。
また、上記ガリウムフタロシアニンはいかなる結晶形のものも用いることができる。中でもCuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが特に優れた感度特性を有しているため好ましい。CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンは、低湿環境下において初期の急激な明部電位変動による画像濃度変動や長期の耐久によるゴーストを発生し易いという問題があった。しかしながら、式(1)で示される化合物および樹脂を含有する電荷輸送層と共に用いることにより、優れた感度特性を維持しつつ初期の急激な電位変動による画像濃度変動や長期の耐久に起因するゴースト等の画像欠陥の発生を抑制することができる。したがって、本発明の効果をより顕著に発揮することができ、特に好ましい。
なお、ガリウムフタロシアニン結晶とは、中心金属にガリウムを有するフタロシアニン化合物の結晶である。ガリウムフタロシアニン結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、クロロガリウムフタロシアニン結晶、ブロモガリウムフタロシアニン結晶、ヨードガリウムフタロシアニン結晶が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、ガリウム原子が軸配位子としてヒドロキシ基を有するものである。クロロガリウムフタロシアニン結晶は、ガリウム原子が軸配位子として塩素原子を有するものである。ブロモガリウムフタロシアニン結晶は、ガリウム原子が軸配位子として臭素原子を有するものである。ヨードガリウムフタロシアニン結晶は、ガリウム原子が軸配位子としてヨウ素原子を有するものである。
ガリウムフタロシアニン結晶のX線回折の測定は、次の条件で行った。
[粉末X線回折測定]
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT−TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター
電荷発生層における電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、およびポリビニルベンザールなどの樹脂が挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料又はフタロシアニン顔料の分散性の観点から、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールが好ましい。これらの樹脂の1種または2種以上の組合せを用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質、及び結着樹脂を含有する電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることによって形成することができる。電荷発生層用塗布液は、電荷発生物質を結着樹脂とともに溶剤に分散させることによって調製することができる。
なお、各層を形成するための塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法(ディッピング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法およびビームコーティング法などから選択した塗布方法を用いることができる。
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。この電子写真装置は、円筒状(ドラム状)の電子写真感光体1を有する。電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、像露光手段(不図示)から像露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。像露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、像定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、トナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することもできる。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成してもよい。そして、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。以下に記載の「部」は、「質量部」を意味する。なお、実施例および比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計(Fischerscope、フィッシャーインスツルメント社製)で求め、または、単位面積当たりの質量から比重換算で求めた。
〔製造例1〕
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部およびα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン顔料を4.65部(収率71%)得た。
〔製造例2〕
製造例1で得られたクロロガリウムフタロシアニン顔料4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、その後、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)を得た(アシッドペースティング処理)。
次に、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機(商品名:HD−06R、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz、日本バイオコン(株)製)を用いて以下のように乾燥させた。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスより取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフ、乾燥機の内壁の温度は50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0〜10.0kPaに調整した。
まず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。
第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に調整した後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程をさらに1回繰り返した(計2回)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。
さらに第3工程として、第2工程でのマイクロ波を1.2kWから0.8kWに代えた以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程をさらに1回繰り返した(計2回)。
さらに第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に復圧した後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程をさらに7回繰り返した(計8回)。
以上、合計3時間で、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を1.52kg得た。
〔製造例3〕
製造例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.5部、および、N,N−ジメチルホルムアミド10部を、直径0.8mmのガラスビーズ20部とともにボールミルで湿式ミリング処理を室温(23℃)下で48時間行った。この際、容器は規格びん(製品コード:PS−6、柏洋硝子製)を用い、容器が1分間に120回転する条件で行った。こうして得られた分散液から有機化合物含有ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、有機化合物含有ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図2に示す。
〔製造例4〕例示樹脂(2−16)で示される構造単位を有するポリアリレートの製造例
下記式(2)で示される構造を有するジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド167部を、ジクロロメタン1560部に溶解させ、酸クロライド溶液を調製した。
Figure 2016095512
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(3)で示される構造を有する2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン145部を10%水酸化ナトリウム水溶液3500部に溶解させた。これに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライド1.3部を添加して攪拌し、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液を調製した。
Figure 2016095512
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸50部の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、例示樹脂(2−16)で示される構造単位を有するポリアリレートを得た。このポリアリレートのポリスチレン換算重量平均分子量は、130,000であった。
〔実施例1〕
以下の各成分からなる溶液を20時間、ボールミルで分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
・酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部
・酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部
・レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、DIC(株)製、固形分70質量%)43部
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.015部
・シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)3.6部
・2−メトキシ−1−プロパノール 50部
・メタノール 50部
この導電層用塗布液を、支持体としてのアルミニウムシリンダーの外周面上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
次に、製造例3で得られた有機化合物含有ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部、および、シクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、6時間分散処理し、これに酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。
次に、以下の各成分を、クロロベンゼン70部およびジメトキシメタン20部の混合溶媒に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・例示化合物(1)(電荷輸送物質) 8部
・下記式(PcSi−1)で示される滑剤 0.1部
・ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製) 10部
Figure 2016095512
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間125℃で乾燥させることによって、膜厚が22μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、円筒状(ドラム状)の本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例2〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(8)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例3〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(17)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例4〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(11)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(13)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例6〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(16)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例7〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)8部を、例示化合物(4)4部と例示化合物(12)4部に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例8〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(19)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例9〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を例示化合物(20)に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例10〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)8部を、例示化合物(12)4部と例示化合物(21)4部に変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔実施例11〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際のポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)を、製造例4で得たポリアリレートに変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の電子写真感光体を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)8部を、下記式(CTM−1)で示される化合物(電荷輸送物質)4部と下記式(CTM−2)で示される化合物(電荷輸送物質)4部に変更した以外は、実施例1と同様にして本比較例の電子写真感光体を作製した。
Figure 2016095512
Figure 2016095512
〔比較例2〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を、下記式(CTM−3)で示される化合物(電荷輸送物質)に変更した以外は、実施例1と同様にして本比較例の電子写真感光体を作製した。
Figure 2016095512
〔比較例3〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を、下記式(NPD)で示される化合物(電荷輸送物質)に変更した以外は、実施例1と同様にして本比較例の電子写真感光体を作製した。
Figure 2016095512
〔比較例4〕
実施例1において、電荷輸送層用塗布液を調製する際の例示化合物(1)を、下記式(m−TDATA)で示される化合物(電荷輸送物質)に変更した以外は、実施例1と同様にして本比較例の電子写真感光体を作製した。
Figure 2016095512
〔実施例1〜11および比較例1〜4の電子写真感光体についての評価〕
実施例1〜11および比較例1〜4で作製した電子写真感光体について、ゴースト画像評価を行った。
評価用の電子写真装置としては、日本ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:Color Laser Jet CP3525dn)を、以下に示す改造を施して用いた。すなわち、前露光は点灯せず、帯電条件と像露光量は可変で作動するようにした。また、シアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着してシアンのプロセスカートリッジのステーションに取り付け、他の色用のプロセスカートリッジをプリンター本体に装着せずとも作動するようにした。
画像の出力に際しては、シアン色用のプロセスカートリッジのみを本体に取り付け、シアントナーのみによる単色画像を出力した。
まず、温度23℃/湿度55%RHの常温常湿環境下で、初期の暗部電位が−500V、明部電位が−100Vになるように帯電条件と像露光量を調整した。電位設定の際のドラム状電子写真感光体の表面電位の測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック・ジャパン(株)製)を装着し、円筒状の電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
その後、同条件下でゴースト画像評価を行った。その後、1000枚の繰り返し通紙試験を行い、繰り返し通紙試験直後および繰り返し通紙試験15時間後でのゴースト画像評価を行った。常温常湿環境下における評価結果を表1に示す。
次に、電子写真感光体を評価用の電子写真装置とともに温度15℃/湿度10%RHの低温低湿環境下で3日間放置した後、ゴースト画像評価を行った。そして、同条件下で1000枚の繰り返し通紙試験を行い、繰り返し通紙試験直後および繰り返し通紙試験15時間後でのゴースト画像評価を行った。低温低湿環境下における評価結果を表1に合わせて示す。
なお、繰り返し通紙試験は、印字率1%でE文字画像をA4サイズの普通紙にシアン単色で印字する条件で行った。
また、ゴースト画像評価の方法は、以下のようにした。
ゴースト画像評価は、1枚目にベタ白画像を出力し、その後ゴーストチャートを4種各1枚の計4枚出力し、次に、ベタ黒画像を1枚出力した後に再度ゴーストチャートを4種各1枚の計4枚出力する、という順番で行い、計8枚のゴースト画像で評価した。ゴーストチャートは、プリント画像書き出し(紙上端10mm)位置から30mmの範囲をべた白背景に25mm四方のべた黒の正方形を等間隔、かつ、平行に4つ並べ、プリント画像書き出し位置から30mm以降はハーフトーンの印字パターンを4種類出力し、ランク分けを行った。
4種類のゴーストチャートとは、プリント書き出し位置から30mm以降のハーフトーンパターンのみ異なるチャートで、ハーフトーンは以下の4種類である。
(1)横1ドット、1スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(2)横2ドット、2スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(3)横2ドット、3スペースの印字(レーザー露光)パターン。
(4)桂馬パターンの印字(レーザー露光)パターン。(将棋の桂馬の動きのように6マスに2ドット印字するパターン)
*:横とは、レーザースキャナーの走査方向(出力された用紙では水平方向)を指す。
ゴースト画像のランク分けは以下のように行った。なお、ランク4、5、6は、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
ランク1:いずれのゴーストチャートでもゴーストは見えない。
ランク2:特定のゴーストチャートでゴーストがうっすら見える。
ランク3:いずれのゴーストチャートでもゴーストがうっすら見える。
ランク4:特定のゴーストチャートでゴーストが見える。
ランク5:いずれのゴーストチャートでもゴーストが見える。
ランク6:特定のゴーストチャートでゴーストがはっきり見える。
Figure 2016095512
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (10)

  1. 支持体と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に有する電子写真感光体であって、
    該電荷輸送層が、下記式(1)で示される化合物および樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2016095512
    (式中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、またはフルオレニル基である。該置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、またはジエチルアミノ基である。nは1または2を示す。)
  2. 前記式(1)中のnが1であり、括弧内の構造の置換位置がメタ位である請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記式(1)中のnが2であり、括弧内の構造の置換位置が3位および5位である請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 前記樹脂が、エステル結合(−CO−O−)を有する高分子化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記樹脂が、ポリカーボネートである請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送層中の前記式(1)で示される化合物と前記樹脂との質量比率が、3:7〜6:4である請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷発生層が、ガリウムフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記ガリウムフタロシアニン結晶が、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて7.4°±0.3°および28.3°±0.3°にピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、および、クリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段、および、転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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