以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、比較的透過率の低いインクと比較的透過率の高いインクを用いる。ここで、比較的透過率の低いインクはブロンズ現象が相対的に発生しやすく、比較的透過率の高いインクはブロンズ現象が相対的に発生しにくい例を示す。また、比較的透過率の低いインクは薄膜干渉現象が発生しにくく、比較的透過率の高いインクは薄膜干渉現象が相対的に発生しやすい例を示す。
また、本実施例では、比較的透過率の高いインクとしては、平均膜厚が2μm以下となるインクを用いる。さらに、本実施例では、比較的透過率の高いインク(透明インク)の少なくとも一部を比較的透過率の低いインク(カラーインク)の上層に定着させる。その際、画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、透過率の高いインクの膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。
この時の膜厚変化の周期を40μm以上にすることで、画像表面の法線方向の傾きを小さくする。さらに、視覚の空間周波数特性を加味して、膜厚変化の周期を320μm以下にすることで、局所的なさまざまな色の光を目立たなくさせる。このようにすることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。詳細については後述する。
以下、比較的透過率の高いインクのことを便宜上透明インク、比較的透過率の低いインクをカラーインク(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックインク)と記載する。そのため、透明インクとは、比較的透過率が高いインクを指していることと理解されたい。すなわち、後述するカラーインクに比して、透過率が高ければよいので、若干濁っていたり、色がついていたりするインクや、ブラックインクと比較して透過率の高いイエローインクも透明インクと称することができる。
なお、本実施例での透明インクの制御については、平均膜厚が2μm以下となる領域に適用される。その理由は、透明インクの平均膜厚が2μm以下において薄膜干渉現象が発生するためである。図1に透明インクの膜厚と薄膜干渉現象における正反射光の色付きの彩度(C*)との関係を示す。
図1の横軸が透明インクの平均膜厚であり、縦軸が薄膜干渉現象により生じる正反射光の色付きの彩度(C*)である。彩度C*は国際照明委員会CIE L*a*b*における彩度であり、C*=sqrt(a*^2+b*^2)で定義され、彩度C*が小さいほど色付きが低いことを示す。ここで、図1より、透明インクの平均膜厚が2μm以上となるとき、彩度C*≦3となっていることがわかる。C*は、無彩色からの色の差ΔEとして置き換えられるが、日本色彩研究所が指定するA級許容差(人がほとんど感じない色の差)がΔE≦3であるため、平均膜厚が2μm以上であれば薄膜干渉現象による正反射色付きが視認されない条件と言える。言い換えると、平均膜厚が2μm以上であれば透明インクの膜厚の不均一性(ばらつき)が小さくなったとしても、正反射色付きが視認されないため、膜厚の不均一性(ばらつき)増大のための制御が必要なく、本実施例で説明するような制御は必要ない。逆を言えば、平均膜厚が2μm以下の際に、薄膜干渉現象による正反射色付きが視認されてしまうため、本実施例で説明するような膜厚の不均一性(ばらつき)増大のための制御が必要となる。よって、本実施例は、透明インクの平均膜厚が2μm以下という条件での膜厚の不均一性(ばらつき)増大によって正反射色付きを低減する効果を発するものである。
また、本実施例に使用する透明インクとしては、比較的樹脂(ポリマー)の少ない水性インクを例にして説明する。水性インクにおいて、ポリマーをインク液に分散して安定的化させるためには、ナノメートルオーダーの粒子状態で樹脂(ポリマー)を添加する必要がある。水性インクでは、インク定着の際に水分は気化するため、最終的に定着されるのはポリマーを主とした添加物である。したがって、定着後の厚みは概ね平均2μm以下である。ただし、透明インク量が多量な領域に置いては平均膜厚2μmを超える場合もあり得る。その際は、本実施例における透明インクの制御を行なわなくてもよい。また、水性インク以外での、そのほかのインク種において、平均膜厚2μm以下となる場合も本実施例は適用可能である。一般的には、溶剤系インク、UV硬化型インクなどの場合の透明インクは2μm以上となることが多いが、もし、2μm以下となる溶剤系インク、UV硬化型インクが用いられる場合は、以下で説明するような制御を適用することができる。
図2は、実施例1に適用可能な画像処理装置および画像形成装置の構成を示したブロック図である。図2において、画像処理装置200と画像形成装置250はインタフェース又は回路によって接続されている。画像処理装置200と画像形成装置250とを含むシステムを画像形成システムと称する。画像処理装置200は例えば一般的なパーソナルコンピュータにインストールされたプリンタドライバである。その場合、以下に説明する画像処理装置200内の各部は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。ただし、画像形成装置250が画像処理装置200を含む構成としてもよい。
画像処理装置200は、入力端子201から入力された印刷対象のカラーの画像データ(以下、カラー入力画像データ)を入力画像バッファ202に格納する。カラー入力画像データは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの色成分により構成されている。
色分解処理部203は、格納されたカラー入力画像データを画像形成装置250が備える色材色のインク形成量に対応したデータへ分解する。この色分解処理においては色分解処理部203は、色分解用ルックアップテーブル(LUT)204を参照する。本実施例における色材色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類に加え、透明、もしくはCMYKインクに対して濃度の薄い(T)インクを含めた5種類である。
ドットデータ生成部205は、色材色のインク形成量に対応したデータを走査毎のドットデータへ変換する。ドットデータは、各インク色に応じた、走査毎の記録する位置が記載されたデータである。
格納バッファ206は、各インクに対応した走査毎のドットデータを格納する。格納された走査毎のドットデータは、出力端子207より画像形成装置250へ出力される。
画像形成装置250は、画像処理装置200から受信した各色、各走査のドットデータに基づいて、記録ヘッド251を記録媒体252に対して相対的に縦横に移動することにより、記録媒体上に画像を形成する。ここでは、記録ヘッド251はインクジェット方式のものであり、一つ以上の記録素子(ノズル)を有する。ヘッド制御部254は移動部253を制御し、記録ヘッド251を移動させる。また搬送部255は、ヘッド制御部254の制御下で、記録媒体を搬送する。このとき、記録ヘッドから吐出されるインク量は記録媒体上でドット径が20〜30μm程度になるように2〜4ピコリットル程度の吐出量とする。
インク色選択部256は、画像処理装置200により形成された各色に対応する走査ごとのドットデータに基づいて、記録ヘッド251に搭載されるインクの中から、印刷するドットデータに対応するインクを選択する。
図3A及びBは、記録ヘッド251の構成例を示す図である。本実施例では前述の通り、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類に加え、透明、もしくはCMYKインクに対して濃度の薄い(透過率の高い)(T)インクを含めた5種類のインクを記録ヘッド251に搭載する。
なお、図3(a)では説明を簡単にするため記録媒体を搬送する方向(主走査方向)に対して、ノズルが一列に配置された構成を示しているが、ノズルの数、配置はこの例に限られるものではない。例えば、同一濃度の同一色でも吐出量が異なるノズルを有しても良いし、同一吐出量のノズルが複数列あっても良い。さらにノズルがジグザグに配置されているような構成であっても良い。また、図3(a)では各インク色に対応するノズルの配置順序は同一の副走査位置に設置されているが、図3(b)に示すように異なる位置に設置されていても良い。
本実施例では、シアンインクと透明インクとを用いて、画像表面の粗さを低減させたまま、透明インクの膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する例を示す。なお、正反射の色付きとはブロンズ現象、薄膜干渉現象の双方に起因する正反射の色付きである。
具体的には、透明インクの少なくとも一部をシアンインクの上層に定着させる。その際に、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させるには、図4(a)に示すように、比較的長周期の構造をもつ必要がある。図4(a)及び図4(b)は、同じ程度の膜厚不均一性(ばらつき)を持つが、比較的短周期の構造を持つ図4(b)は、表面の法線方向の傾きが場所により大きく変わることにより、反射光の方向が変動する。これにより、光沢均一性、特に光沢の鮮明度である光沢写像性が低下する。一方、図4(b)に比べ図4(a)は、比較的長周期の構造を持つため、表面の法線方向の傾きを小さく出来る。これにより光沢均一性、とくに光沢写像性が維持される。
事前に発明者が、法線方向の角度と光沢の鮮明度である光沢写像性との関係について主観評価(官能評価)による分析を実施したところ、表面の法線方向が0.5度以下であれば、良好な光沢写像性が維持されることが解った。
また、事前に発明者が、透明インクの膜厚の不均一性と薄膜干渉現象による光沢色付きとの関係について主観評価(官能評価)による分析を実施した。その結果、膜厚の分布における最小値と最大値との差が180nm(ナノメートル)以上であれば、ニュートンリング状に様々な色付きが発生する。この様々な色付きをマクロ的に観察するとそれぞれの色付きが互いに相殺されることになり、良好な光沢色付きとなる(正反射光が白くなる)ことが解った。なお、ここでは上記差を180nm以上としたが、正反射光が白くなるように色付きが低減できれば180nm以下であってもよく、正反射光が白くなる効果は例えば上記分析では、60nm以上で得られることがわかっている。また、理論上、上記差の上限は、正反射色付きの周期が320μmの場合に1440nmとなる。
上記分析による結果から、良好な光沢写像性と光沢色付きとなる透明インクの構造の解析を行った例を図5に示す。図5はノコギリ形状の透明インク膜厚分布が与えられたと仮定した際、画像表面の法線方向の角度を0.5度、膜厚分布差を約180nmとするための、膜厚分布の周期の条件を検証した例である。図5より膜厚分布差180nmを満たすには、周期40μm(マイクロメートル)以上が必要なことが分かる。そのため、本実施例では、光沢均一性(特に光沢写像性)の向上と正反射の色付き低減を両立させるために、透明インクの膜厚変化の周期の範囲を40μm以上にする。
ただし、透明インクの膜厚変化の周期の範囲が40μm以上であればよいかというとそうではない。正反射の色付きは、比較的コントラストが低いとはいえ、構造が長周期になると、視覚に検知されるため、視覚の空間周波数応答(視覚の周期応答)に基づき、検知されないような周期にすることが好ましい。視覚の空間周波数応答は、図6に示したように低周波(長周期)で敏感な感度となるため、高周波(短周期)である必要がある。
そこで、事前に発明者が正反射色付きの周波数(周期)を検知の可否について実験を行ったところ、明視距離300mm(ミリメートル)の観察距離において空間周波数が約3.1[cycles/mm]以上であれば検知されないという結果に至った。約3.1[cycles/mm]以上とは周期換算で320μm周期以下である。
以上の分析や実験結果に基づき、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減するためには、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲にすることが好ましい。
一方、シアン、ブラックインク等の透過率の低いインクに関しては、膜厚変化の周期を大きくすると、粒状感の低下が容易に視認されるため、上記のような制御は行わない。
以下、膜厚変化の周期を上記の範囲にするための本実施例における制御方法、処理方法を説明する。まず、本実施例に適用可能な画像処理装置200および画像形成装置250における処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、本実施例における制御、処理の解像度は1200dpi(1画素約20μm角)であることとする。図7のフローチャートのうち、ステップS701からステップS707の処理は画像処理装置200において行なわれ、ステップS751からステップS753の処理は画像形成装置250で行なわれる。図7に示すフローチャートは、例えば不図示のROMやHDDなどに格納され、RAMに一時的に読み出されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。
まず、ステップS701において、画像処理装置200は、多階調の入力画像データを入力端子201より入力して入力画像データを取得する。取得した入力画像データは入力画像バッファ202に格納される。ここで入力画像データは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの色成分により構成される。
ステップS702において色分解処理部203は、色分解用LUT204を用いて、入力画像データを、入力画像データを構成するRGB値からCMYK及び透明インクTの色値に分解する。本実施例では、色分解処理後の各画素データを0〜255をもつ浮動小数点値として扱うが、それ以上の階調数への変換を行っても構わない。
上述したように本実施例における記録ヘッド251は、5種類の各インクを保有する。そのため、RGBのカラー入力画像データは、CMYKT各プレーンの各5プレーンの画像データへ変換される。図8は、色分解処理部203におけるデータの入出力を示している。入力されたR、G、B各色の画像データは、色分解用LUT204を参照して次式の通りに、CMYKT各色に対応する色分解後画像データへ変換される。
C=C_LUT_3D(R,G,B) ・・・(1)
M=M_LUT_3D(R,G,B) ・・・(2)
Y=Y_LUT_3D(R,G,B) ・・・(3)
K=K_LUT_3D(R,G,B) ・・・(4)
T=T_LUT_3D(R,G,B) ・・・(5)
ここで、式(1)〜(5)の右辺に定義される各関数が、色分解用LUT204の内容に該当する。色分解用LUT204はレッド、グリーン、ブルーの3入力値から、各インクの出力値を定める。本実施例では、CMYKTの5種類のインクを具備する構成であるため、3入力値から5出力値を得るLUT構成となる。以上の処理により、本実施例における色分解処理が完了する。
以下のステップS703からステップS707は、色ごとに処理を行う。ここでは、シアンインク(C)と透明インク(T)の例で説明するが、他の3種類の色材、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対しても同様の処理を行う。ステップS703〜S705はドットデータ生成部205での処理である。図9はドットデータ生成部205の詳細を示す図である。ドットデータ生成部205は、設定部901と制御部951とを有する。
次に、ステップS703において、ドットデータ生成部205は、走査番号および走査位置を設定する。具体的には、ドットデータ生成部205の設定部901に含まれる走査番号および走査位置設定部902が、走査番号k及び色分解データにおける走査位置としてのY座標を示すcut(k)とを設定する。cut(k)とは、走査番号kにおける色分解データの走査位置であり、ノズル上端座標に相当する。なお、走査番号kの初期値は1であり、処理ループ毎に1ずつインクリメントされる。つまり、ステップS703からステップS707は走査番号kについての処理であり、後述するステップS707においてkの値が更新され、同様の処理を繰り返すことになる。
ここで、16個のノズル列を具備し、画像上の同一主走査記録領域に対して4回の走査で画像を形成する4パス印刷の場合を例として、色分解データにおける走査位置Y座標cut(k)の設定方法を説明する。
一般的に4パス印刷の場合、図10(a)に示すように、走査番号の初期値(k=1)では、ノズル下端1/4のみを使用して画像形成を行い、走査番号k=2では走査番号k=1に対してノズル長さ1/4分紙送りしてから画像形成を行う。さらに走査番号k=3では走査番号k=2に対してノズル長さ1/4分紙送りしてから画像を形成する。このような画像形成および紙送りを繰り返して、最終出力画像が形成される。そのため、走査番号k=1の場合、ノズル上端座標に相当する走査位置cut(1)=−12となる。k=4の場合、ノズル上端座標に相当する走査位置cut(4)=0となる。
上述した色分解データにおけるあるインク色の走査位置cut(k)を一般化すると、ノズル列数:Nzzl、パス数:Pass、走査番号:k、として次式で与えられる。
cut(k)=−Nzzl+(Nzzl/Pass)×k ・・・(6)
図10(a)は、全てのノズルを用いる場合の4パス印刷における画像形成の例を示す図である。なお、全てのノズルを使用しないで、上述の例と同じ紙送り量(ノズル長さ1/4分)で画像形成することも可能である。例えば、図10(b)においては、図10(a)と同じドット配置を、下端1/2のノズルのみを使用して行い、紙送り量ノズル長さ1/4分紙送りしつつ、画像を形成する例をする。図10(b)の例では、図10(a)に比較して使用ノズル数が半分であるが、同一紙送り量なので、実質2パス印刷にて画像が形成されている。よって、1パスあたりの記録量(ドット数)も倍になる。さらに、図10(b)における例では、4回の走査のうち先の2走査の記録において画像が形成される記録順となる。
次にステップS704において、設定部901は走査毎のノズルごとの記録量と記録順とを設定する。具体的には、設定部901の記録量データ設定部903が記録量データ設定用テーブル904を用いて、走査毎のノズルごとの記録量と記録順とを示した走査ごとの記録データを設定する。つまり、k番目の走査時における各ノズルの記録量と記録順とを示した記録データを設定する。
本実施例では、図10(b)に示すように、すべてのノズルを用いないで記録順と記録量とを設定する例を示す。具体的には、前段の走査で用いられる下端1/2のノズルを用いてカラーインクを先に形成し、後段の走査で用いられる上端1/2のノズルを用いて透明インクを後に形成する。これにより、透明インクの少なくとも一部をカラーインクの上層に定着させる。
次に、このように下端1/2のノズルを用いてカラーインクを先に形成し、上端1/2のノズルを用いて透明インクを後に形成することを実現するための記録量と記録順とを設定する手法について説明する。本実施例においては、紙送り量ノズル長さ1/4の場合、図11に示すようなインク値分割率が与えられる。インク値分割率はDuty分割率のことである。図11はシアンインク(C)、透明インク(T)のインク値分割率をそれぞれ示している。図11中の縦軸がノズル位置、横軸がインク値分割率を示す。本実施例では、インク値分割率について、シアンインクを下端1/2ノズルで、透明インクを上端1/2ノズルに設定する場合を考える。
図11において例えばD_c(3)は、シアンインクのノズル位置3のノズルにおけるインク値分割率を示し、D_t(3)は、透明インクのノズル位置3のノズルにおけるインク値分割率を示している。なお、上端のノズル位置は0であるとする。シアンインクのインク値分割率は、D_c(3)、D_c(7)=0.0、D_c(11)、D_c(15)=0.5となるように4ノズル毎に値を設定し、その点を不連続に結んだ16ノズル分の値を示している。透明インクのインク値分割率は、D_t(3)、D_t(7)=0.5、D_t(11)、D_t(15)=0.0となるように4ノズル毎に値を設定し、その点を不連続に結んだ16ノズル分の値を示している。
このD_c(3)、D_c(7)、D_c(11)、D_c(15)、D_t(3)、D_t(7)、D_t(11)、D_t(15)の数値は、以下のように合計の数値が1.0となるようにして設定されている。
D_c(3)+D_c(7)+D_c(11)+D_c(15)=1.0 ・・・ (7)
D_t(3)+D_t(7)+D_t(11)+D_t(15)=1.0 ・・・ (8)
図11のシアンインクのインク値分割率は、D_c(3)=D_c(7)=0.0、D_c(11)=D_c(15)=0.5となっているため、シアンインクは下端1/2ノズルを用いて0.5の比率で形成されることを意味する。すなわち、色分解データについて、同一の紙面領域上に0.5のインク値分割率をもって2回の印刷を行う2パス印刷に基づくインク量を設定する。
また、図11の透明インクのインク分割率D_t(3)=D_t(7)=0.5、D_t(11)=D_t(15)=0.0となっているため、透明インクは上端1/2ノズルを用いて0.5の比率で形成されることを意味する。すなわち、色分解データについて、同一の紙面領域上に0.5のインク値分割率をもって2回の印刷を行う2パス印刷に基づくインク量を設定する。このインク値分割率について、シアンインクのインク値分割率をD_c、透明インクのインク値分割率をD_tとすると、ノズル位置nyに関する関数は以下のようになる。
D_c(ny) = 0.0 ・・・(9)
D_t(ny) = 0.5 ・・・(10)
「なお、(0≦ny<Nzzl/2)」
D_c(ny) = 0.5 ・・・(11)
D_t(ny) = 0.0 ・・・(12)
「なお、(Nzzl/2≦ny<Nzzl)」
本実施例では、その他の3色(YMK)のインク値分割率は、D_y、D_m、D_kとし、D_cと同じインク値分割率が与えられるものとする。すなわち、下端1/2ノズルを使用した2パス印刷に基づくインク量が設定されるものとする。
上述の式(9)〜(12)のインク値分割率が設定された場合、記録データ設定用テーブル904は図12のようにノズル位置と記録量データ設定値との関係で設定される。記録データ設定用テーブルとは、前述のインク値分割率に基づいて設定されるテーブルであり、後述するように色分解データとこの記録データ設定テーブル904との値を積算することで各走査における各ノズルのインク記録量データが導出される。なお、本実施例においては、後述するように各走査における各ノズルのインク記録量データとして、上位記録量データと下位記録量データとの2種類を導出する。そして、後述するN値化処理(ハーフトーン処理)においてそれぞれのインク記録量データのN値化処理を行なう。そして、その後に上位記録量データに対応する上位ドットデータから、下位記録量データに対応する下位ドットデータを減算して得られたデータを用いてドットデータを生成する。このような処理を行なう理由は、ある領域を複数の走査で記録する際に各走査で同じ位置にドットが極力形成されにくくするためである。前述のように本実施例においては、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲にする。このため、各走査においてドットが同じ位置に極力形成されないように制御をしつつ、1回の走査内において膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲となるようにドットを形成する処理を行なう。
ここでは、このような上位ドットデータや下位ドットデータの元となる上位記録量データや下位記録量データを設定するための記録データ設定用テーブル904の詳細を説明する。図12においてシアンインクの記録量データ設定用LUT1201は、縦軸がノズル位置、横軸が記録データ設定用テーブルの値を示す。透明インクの記録データ設定用テーブル1202は、縦軸がノズル位置、横軸が記録データ設定用テーブルの値を示す。また、図12では、シアンインクの記録データ設定用テーブルは、下位記録量データ用の下位テーブルと、上位記録量データ用の上位テーブルとの2種類のテーブルが設定される。図12においては、下位テーブルは点線1203、白菱形1204、及び黒菱形1205で示されたデータである。上位テーブルは実線1206、白四角形1207、及び黒四角形1208で示されたデータである。また、透明インクに関しても同様に上位テーブルと下位テーブルとを含む記録データ設定用テーブルが設定される。ここで白菱形1204や白四角形1207はその値を含まない例であり、黒菱形1205や黒四角形1208はその値を含む例を示している。例えば、シアンインク記録データ設定テーブル1201のノズル番号7の下位テーブルは0.5ではなく1.0であることを示している。
ここで、図12に示されたシアンインク記録データ設定用テーブル904の下位テーブルをそれぞれU_C_LUT(ny)、上位テーブルをO_C_LUT(ny)とすると、以下の規則によって生成される。なお、前述のように、D_cはインク値分割率であり、nyはノズル位置であり、Nzzlはノズル列数のことである。なお、D_c()の値がノズル列数を超える場合にはその値は0となる。
U_C_LUT(ny)= D_c(ny+Nzzl/4)
+D_c(ny+2×Nzzl/4)+D_c(ny+3×Nzzl/4)
・・・(13)
O_C_LUT(ny)= D_c(ny)+ D_c(ny+Nzzl/4)
+D_c(ny+2×Nzzl/4)+D_c(ny+3×Nzzl/4)
・・・(14)
「なお、(0≦ny<Nzzl)」
すなわち、シアンインクの下位テーブル、U_C_LUTの値は、
(0≦ny<4のとき) U_C_LUT(ny)=1.0
(4≦ny<8のとき) U_C_LUT(ny)=1.0
(8≦ny<12のとき) U_C_LUT(ny)=0.5
(12≦ny<16のとき) U_C_LUT(ny)=0.0 ・・・(15)
シアンインクの上位テーブル、O_C_LUTの値は、
(0≦ny<4のとき) O_C_LUT(ny)=1.0
(4≦ny<8のとき) O_C_LUT(ny)=1.0
(8≦ny<12のとき) O_C_LUT(ny)=1.0
(12≦ny<16のとき) O_C_LUT(ny)=0.5 ・・・(16)
となる。
ここで、前述のようにドットデータを生成する際には上位データから下位データを減算した値が用いられる。つまり、このシアンインクのテーブルを用いると、ノズル列番号が0から7の間においては、ドットデータが0になる。つまり、シアンインクのデータについては上端のノズルでドットが形成されなくなる。一方で、下端のノズル列番号8から15の間においては、インク値分割率で設定された値である0.5で色分解データがインク記録量データに変換されることになる。このとき、上位データから下位データを減算することで、一つ前の走査で形成された位置と同じ位置にドットを形成することを防止している。
透明インクの下位テーブル、U_T_LUT(ny)、上位テーブル、O_T_LUT(ny)も同様に与えられる。
すなわち、透明インクの下位テーブル、U_T_LUTの値は、
(0≦ny<4のとき) U_T_LUT(ny)=0.5
(4≦ny<8のとき) U_T_LUT(ny)=0.0
(8≦ny<12のとき) U_T_LUT(ny)=0.0
(12≦ny<16のとき) U_T_LUT(ny)=0.0 ・・・(17)
透明インクの上位テーブル、O_T_LUTの値は、
(0≦ny<4のとき) O_T_LUT(ny)=1.0
(4≦ny<8のとき) O_T_LUT(ny)=0.5
(8≦ny<12のとき) O_T_LUT(ny)=0.0
(12≦ny<16のとき) O_T_LUT(ny)=0.0 ・・・(18)
となる。
透明インクについては上端のノズルでドットを形成するので、先行パスで用いられる下端のノズル列番号8から15の値は上位テーブル及び下位テーブルともに0が設定される。
ステップS704において記録量データ設定部903は、記録データ設定用テーブル904を用いて、各色分解後画像データを上位記録量データ、下位記録量データに変換する。
上位記録量データ、下位記録量データの決定方法について、図13を用いて説明する。ここではシアンインクの色分解データの値が全てのアドレス(画素)において128(128/255≒50%)であるものとする。また、少なくとも一部をシアンインクの上層に定着すべき透明インクも色分解データの値が全てのアドレス(画素)において128(128/255≒50%)であるものとする。透明インクの色分解後画像データTは、式(5)によって変換された値である。
図13に示すように、シアンインク色分解データ1301が与えられたときのk番目の走査における各ノズルのシアンインクの記録量データ1302は、色分解データ1301の値と記録量データ設定テーブル1201との積算により求められる。図13においてシアンインクの記録量データ1302は、下位記録量データU_c1303と、上位記録量データO_cは1304とをそれぞれ含む。また、透明インク色分解データ1305が与えられたときのk番目の走査における各ノズルの透明インク記録量データ1306は図13に示すように、透明インク色分解データ1305の値と記録量データ設定テーブル1202との積算により求められる。図13において透明インクの記録量データ1306は、下位記録量データU_t1307と、上位記録データO_t1308とをそれぞれ含む。なお、その他の色に対しては、シアンインクの記録量データと同様の処理によって記録量データが導出される。
図13の詳細について以下説明する。シアンインクの走査データに関してはシアンインク下位記録量データU_c1303とシアンインク上位記録量データO_c1304との2つの記録量データが設定される。この2つの記録量データU_c、O_cに関しては、シアンインク記録量設定用テーブル1201の下位テーブルであるU_C_LUTと、上位テーブルであるO_C_LUTとから、下式のようにそれぞれ算出される。
U_c(nx、ny) =
C(nx、ny+cut(k))× U_C_LUT(ny)・・・(19)
O_c(nx、ny) =
C(nx、ny+cut(k))× O_C_LUT(ny)・・・(20)
ここでC(nx、ny+cut(k))とは、式(1)で示された、XY座標(nx、ny+cut(k))のシアンインクCの色分解値である。
また、透明インクの記録量データに関しては透明インク下位記録量データU_t1307と透明インク上位記録量データO_t1308の2つの記録量データが設定される。この2つの透明インク記録量データU_t、O_tに関しては、記録量データ設定用テーブルの下位テーブルであるU_T_LUTと、上位テーブルであるO_T_LUTから、下式のようにそれぞれ算出される。
U_t(nx、ny) =
T(nx、ny+cut(k))× U_T_LUT(ny)・・・(21)
O_t(nx、ny) =
T(nx、ny+cut(k))× O_T_LUT(ny)・・・(22)
ここでT(nx、ny+cut(k))とは、式(5)で示された、XY座標(nx、ny+cut(k))の透明インクTの色分解値である。
本実施例において、対応するノズルが画像Yアドレスの領域外座標になるときは、記録データを0とする。例えば、走査番号k=1では、ノズル列上端3/4で画像Yアドレスが負になるため上位走査データ、下位走査データともに0が代入され、ノズル列下端1/4には有意な値が代入される。色分解データ切り出し位置cut(k)は走査番号kによって決まるため、走査番号k=1〜4の場合、走査データは図14に示すように決定される。図14では、紙送りしながら走査を繰り返すと、領域Aでは、走査番号k=1〜4の4回の走査で画像が形成されることを示している。
図14は、シアンインクの各走査番号のノズル位置に対する記録量データ(下位記録量データU_c、上位記録量データO_c)と、透明インクの各走査番号のノズル位置に対する記録量データ(下位記録量データU_t、上位記録量データO_t)とを示す。シアンインクの各記録走査に対応する記録量データは、式(19)および式(20)のように、色分解後画像データと記録量データ設定用テーブル904との積により定まる。また、透明インクの各記録走査に対応する記録量データは、式(21)および式(22)のように、色分解後画像データと記録量データ設定テーブル904との積により定まる。なお、図14では説明の便宜上、走査番号1から4の例を挙げて説明したが、ステップS704では走査番号ごとに処理を行なうものであり、例えば最初のループの処理では走査番号1に対応する各ノズルの記録量データを求めるものである。
以上、本実施例におけるステップS704の走査毎の記録量、記録順設定が完了する。
図7に戻りフローチャートの説明を続ける。次にステップS705において、ドットデータ生成部205は、ステップS704で設定された記録量データに基づいてドットデータを生成する。具体的には、ドットデータ生成部205における制御部951は、各色の上位記録量データ、下位記録量データを用いてドットデータを生成する。
本実施例の制御部951は、上層に配置する比較的透過率の高いインクT(透明)と比較率透過率の低いインクC(シアン)とで異なる処理を行なう。本実施例の透明インク(T)処理の特徴は、透明インクの膜厚変化の周期を40μm以上320μm以下にして、画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、膜厚の不均一性を増加させる。これにより、光沢均一性、特に光沢写像性を向上しつつ、ブロンズ現象と薄膜干渉現象に起因した正反射光の色付きを低減する。
具体的には、透明インクに関しては同一走査における透明インクの複数液滴同士が接触するような隣接位置にドットを設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化の単位として40μm〜320μmにする。この液滴同士の接触による同一化を図15(a)(1501〜1506)に示す。始めに、同一走査において、複数の液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定し、インク液が記録ヘッド251から吐出される(1501)。次に、記録媒体上においてインク液滴が接触し、大きなインク液滴として形成される(1502)。同一走査内のインク液滴の形成が完了し、時間経過とともにインクが固化され定着される(1503)。同一化された液滴は吐出量が多いため膜厚の不均一性は増加する。この定着までの時間は長くて数100ミリ秒であるため、同一走査内で液滴が接触する位置で同一化が発生する。すなわち、次走査において、前の走査におけるドットの隣接位置においてはインク液滴同士の接触による同一化は発生しない(1504、1505)。最終的に液滴同士の接触による同一化を複数の走査で形成することで、膜厚変化の周期を40μm〜320μm周期のレンズ状となるように制御する(1506)。
上記の結果、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透明インクの膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。なお、上述の通り、透明インクの膜厚の不均一性は、薄い箇所、厚い箇所の差が180nm(ナノメートル)以上にすると、正反射光が白く見えることが主観評価(官能評価)による分析で解っている。そのため、180nm以上にすることが望ましいが、インク液滴の組成等により必ずしも180nmが実現できない場合もある。その際には極力、膜厚の不均一性を増大させることが望ましい。
このように、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmとすることで、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせ(画像表面の粗さを低減させることに相当)、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上する。さらに、シアンインクなどのカラーインクの上に透明インクを覆うことでシアンインクを代表とするカラーインクが持つブロンズ現象を低減する。さらに、透明インクの膜厚を不均一にする(極力180nm以上にする)ことで薄膜干渉現象を低減する。
一方、シアン、ブラックインク等の透過率の低いカラーインクに関しては、膜厚変化の周期を大きくすると、粒状感の低下が容易に視認される。そのため、透明インクのような制御は行わない。
上述したような制御は、記録量データに基づいてドットデータを生成する際に行なわれる。なお、この記録量データは、前述のように上位記録量データと下位記録量データの2種類が含まれたデータである。
以下、本実施例における制御部951について説明する。図9は本実施例に適用可能な制御部951の構成を示し、図16は制御部951のフローチャートを示す。
以下、図16に示すフローチャートを説明する。ステップS1601において、制御部951はシアンインク上位記録量データO_cのN値化を行う。N値化部953は、シアンインクの上位記録量データO_cとC閾値マトリクス952とを比較する。C閾値マトリクス952の例を図17に示す。C閾値マトリクス952は、シアンの記録量データのN値化処理の際にN値化部953において用いられる閾値マトリクスである。C閾値マトリクス952の各閾値はシアン記録量データにおける画素と対応している。N値化部953は、画素ごとに上位記録量データを表す画素値と、C閾値マトリクス952における閾値Th_cとを比較し上位ドットデータとする。
O_c < Th_c のとき、 Out_O_c=0 ・・・(23)
Th_c≦ O_c のとき、 Out_O_c=1 ・・・(24)
この結果得られる出力値がシアンインクの上位ドットデータOut_O_cである。なお、上述の例では、C閾値マトリクス952は各画素に一つの閾値を持つマトリクスの例を示した。各画素に一個の閾値であれば、0、1の2値化が可能であるが、もちろん、各画素にN−1個の閾値を用いても良い。この場合、N値化が可能となる。
次にステップS1602において、制御部951はシアンインク下位記録量データU_cのN値化を行う。N値化部954はシアンインクの下位記録量データU_cとC閾値マトリクス952の閾値Th_cとを比較する。
U_c < Th_c のとき、 Out_U_c=0 ・・・(25)
Th_c≦U_c のとき、 Out_U_c=1 ・・・(26)
この結果得られる出力値がシアンインクの下位ドットデータOut_U_cである。
なお、比較的透過率の低いシアンインクのC閾値マトリクス952は、粒状性の観点からドット配置が分散しやすいブルーノイズ特性をもつことが好ましい。また、本実施例では、C閾値マトリクス952は、各色、各走査番号に対して同じ閾値マトリクスを用いるが、異なる閾値マトリクスであってもよい。
次に、ステップS1603において、減算器955は、シアンインクの上位ドットデータから下位ドットデータを減算してシアンインク2値データを生成する。
Out_c = Out_O_c − Out_U_c ・・・(27)
以上の処理にて、算出されたシアンドットデータOut_cが1走査あたりのシアンのドットデータである。
なお、上述の式(27)では、シアンインクの上位記録量データO_cのN値化結果Out_O_cと下位記録量データU_cのN値化結果Out_U_cの差から、シアンインクの2値データOut_cを生成した。しかしながら、Out_cの生成方法はこの演算に限定されない。
例えば、上位記録量データO_cが閾値Th_c以上でありかつ、下位記録量データU_cがTh_cよりも小さい場合に、Out_c=1とし、それ以外はOut_c=0としてもよい。すなわちU_c<Th_c≦O_cの条件においてOut_c=1とし、それ以外の条件においてOut_c=0としても、同様の結果が得られる。
ステップS1604において、制御部951は透明インク上位記録量データO_tのN値化を行う。N値化部957は、透明インクの上位記録量データO_tとT閾値マトリクス956の閾値Th_tとを比較する。T閾値マトリクス956を図17に示す。T閾値マトリクス956は、透明インクのN値化処理の際にN値化部957において用いらる閾値マトリクスである。T閾値マトリクス956の各閾値は透明インク記録量データにおける画素と対応している。N値化部957は、画素ごとに上位記録量データを表す画素値と、T閾値マトリクス956における閾値Th_tとを比較し上位ドットデータとする。
O_t < Th_t のとき、 Out_O_t=0 ・・・(28)
Th_t≦ O_t のとき、 Out_O_t=1 ・・・(29)
この結果得られる出力値が透明インクの上位ドットデータOut_O_tである。なお、上述の例では、T閾値マトリクス956もシアンと同様、各画素にN−1個の閾値を用いても良い。この場合、N値化が可能となる。
次にステップS1605において、透明インク下位記録量データU_tのN値化を行う。N値化部958と透明インクの下位記録量データU_tとT閾値マトリクス956の閾値Th_tとを比較する。
U_t < Th_t のとき、 Out_U_t=0 ・・・(30)
Th_t≦U_t のとき、 Out_U_t=1 ・・・(31)
この結果得られる出力値が透明インクの下位ドットデータOut_U_tである。なお、この例ではシアンインクのドットデータを生成した後に透明インクのドットデータを生成する例を説明したが、データの生成順はこれに限られるものではない。また、並列して処理を行なってもよい。
なお、上述のように、透明インクの少なくとも一部を上層に配置する際に、膜厚変化の周期を40μm〜320μ以下にして膜厚の不均一性を増大させる。上記のようにするために、本実施例では、透明インクに関しては同一走査における複数の液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化の単位として40μm〜320μmにする。
本実施例における解像度が1200dpiとする場合、1画素約20μmとなるため、本実施例における複数の液滴同士が接触するような隣接位置のドット設定は、走査内2×2画素以上〜16x16以下にする。
上記制御を行うために、T閾値マトリクス956は、走査内のドット配置が走査内2×2画素以上〜16x16固まるような配置特性をもつことが好ましい。本実施例では、T閾値マトリクス956は、各走査番号に対して同じ閾値マトリクスを用いるが、膜厚変化の周期を40μm〜320μ以下の条件を満たすような異なる閾値マトリクスであってもよい。
次に、ステップS1606において、減算器959は、透明インクの上位ドットデータから下位ドットデータを減算して透明インク2値データを生成する。
Out_t = Out_O_t − Out_U_t ・・・(32)
以上の処理にて、算出された透明ドットデータOut_tが1走査あたりの透明のドットデータである。
なお、上述の式(32)では、透明インクの上位記録量データO_tのN値化結果Out_O_tと下位記録量データU_tのN値化結果Out_U_tの差から、透明インクの2値データOut_tを生成した。しかしながら、Out_tの生成方法はこの演算に限定されない。
例えば、上位記録量データO_tがT閾値マトリクス956の閾値Th_t以上でありかつ、下位記録量データU_tがTh_tよりも小さい場合に、Out_t=1とし、それ以外はOut_t=0としてもよい。すなわちU_t<Th_t≦O_tの条件においてOut_t=1とし、それ以外の条件においてOut_t=0としても、同様の結果が得られる。
ステップS1607において、上述したステップS1601〜S1606の処理をバンド内のアドレス(0,0)〜(W−1,Nzzl−1)まで行ったかを判定し、未処理の領域があればステップS1601に戻り処理を繰り返す。このような処理を行なうことによって、シアン、透明インクのドットデータOut_c、Out_tのドット配置が決定される。なお、Wは入力画像の画像サイズである。また、そのほかの色に関してはシアンのドットデータと同様の処理にて、マゼンタOut_m、イエローOut_y、ブラックOut_kが生成され、各記録走査によって形成されるドットデータが決定される。以上の処理により、図7に示すステップS705におけるドット制御処理が終了する。
以上により、走査番号k=1でのドット制御処理が終了し、その結果、各色分の一回のヘッド動作で形成されるドットデータが、各色分の格納バッファ206に格納されることになる。
次に、ステップS706において、画像処理装置200は格納バッファ206に蓄えられた、縦方向がノズル数(Nzzl)、横方向が画像のXサイズ(W)に相当するバンド状のドットデータを画像出力端子207より画像形成装置250に対して出力する。
シアン、透明インクの走査番号k=4における、格納バッファ206に格納されるドットデータを図18に示す。図18の黒ドットが、ドットが形成される画素で、白ドットがドットが形成されない画素である。すなわち、シアンインクに対して、透明インクはノズル上部にてドットが形成される。これは、図14に示したように、透明インクの少なくとも一部がシアンインクの上層に形成されるためである。
ステップS751において画像形成装置250は画像処理装置200から転送されたドットデータを取得する。次にステップS752において画像形成装置250は、ステップS751で取得したドットデータに基づいて印刷動作を開始する。具体的には画像形成装置250のインク色選択部256は、ステップS751で取得したドットデータに適合するインク色を選択し、印刷動作が開始される。ステップS752においては、記録ヘッド251が記録媒体に対して左から右に移動しながら、一定の駆動間隔で各ノズルを駆動して記録媒体上に画像を記録する主走査を1回行う。さらに該主走査が終了すると、主走査と垂直方向の走査である副走査が1回行なわれる。ステップS753で画像形成装置250は、全てのデータの印刷処理が終了するまでステップS751及びステップS752の処理を繰り返す。
次に画像処理装置200の処理に説明を戻す。ステップS707において、画像処理装置200は全ての走査が終了したか否かの判定を行う。終了した場合には一連の画像形成処理を完了し、終了していない場合にはステップS703に戻り、処理対象の走査番号kをインクリメントしてステップS703からの処理を繰り返す。以上により、処理の全てが終了する。
ここで、これまで説明した、シアンインクおよび、透明インクのドットデータ生成部205の演算途中のデータおよび結果の一例を図19及び図20に示す。
図19において、走査番号1のシアンインク上位記録量データO_c1901に基づいて、シアンインク上位ドットデータOut_O_c1902が求められる。また、走査番号1のシアンインク下位記録量データU_c1903に基づいて、シアンインク下位ドットデータOut_U_c1904が求められる。その結果、式(27)より、シアンドットデータOut_c1905が求められる。
一方、走査番号1の透明インク上位記録量データO_t1906に基づいて、透明インク上位ドットデータOut_O_t1907が求められる。また、走査番号1の透明インク下位記録量データU_t1908に基づいて、透明インク下位ドットデータOut_U_t1909が求められる。その結果、式(32)より、透明インクドットデータOut_t1910が求められる。
また、走査番号2のシアンインク上位記録量データO_c1911に基づいて、シアンインク上位ドットデータOut_O_c1912が求められる。また、走査番号2のシアンインク下位記録量データU_c1913に基づいて、シアンインク下位ドットデータOut_U_c1914が求められる。その結果、式(27)より、シアンインクドットデータOut_c1915が求められる。
さらに、走査番号2の透明インク上位記録量データO_t1916に基づいて、透明インク上位ドットデータOut_O_t1917が求められる。また、走査番号2の透明インク下位記録量データU_t1918に基づいて、透明インク下位ドットデータOut_U_t1919が求められる。その結果、式(32)より、透明インクドットデータOut_t1920が求められる。以降、走査番号3と4についても同様にしてドットデータが求められる。
ここで例えばシアンインクの走査番号1の上位記録量データO_c1901と、シアンインクの走査番号2の下位記録量データU_c1913とは同じデータとなっている点に留意されたい。つまり、シアンインクの走査番号2においては、シアンインク上位ドットデータOut_O_c1912からシアンインク下位ドットデータOut_U_c1914を減算することでシアンインクドットデータOut_c1915を求めている。これは、走査番号1でドットを形成した位置と同じ位置には走査番号2ではドットを形成しないように制御していることを意味している。透明インクについても同様に、走査番号4においては走査番号3でドットを形成した位置と同じ位置には走査番号4の走査ではドットを形成しないように制御している。
これらの処理を繰り返すと、各走査および、最終的に得られるドットは、図20のようになる。図20のドットデータ2001は、各走査番号において、得られるシアンインクおよび透明インクのドットデータであり、累積ドットデータ2002は、該当走査番号までに形成された、シアンインク(C)及び透明インク(T)の累積ドットデータである。また、累積ドットデータ2002において同じマスにTが上で、Cが下に示したものは、シアンインクと透明インクが重なっており、透明インク(T)が上層、シアンインク(C)が下層となっていることを示している。
この、累積ドットデータから、シアンインク、透明インクのドットデータについて、重なりが発生している領域では、透明インクが上層、シアンインクが下層になっていることがわかる。
なお、上述の例では、透明インクの全部が、シアンインクの上層に定着される例を示したが、必ずしも全部である必要はなく、一部の透明インクが上層に定着されるものであっても良い。
上述のように、透明インクの少なくとも一部を上層に配置する際に、膜厚変化の周期を40μm〜320μ以下にして膜厚の不均一性を増大させる。上記のようにするために、本実施例では、透明インクに関しては同一走査における液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化の単位として40μm〜320μmにする。
以上説明したように本実施例によれば、透明インクに関しては同一走査における透明インクの複数の液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させる。このとき周期を40μm〜320μm以下にするようにして透明インクの液滴の同一化を行う。
これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。
なお、上述の例では、走査毎のディザ処理により、カラーインクよりも透明インクを後に形成した。このとき、透明インクについては、同一走査内においては、複数の液滴同士が接触するような隣接位置にドットを配置した。
しかしながら、走査毎に誤差拡散処理を行っても、上述と同等の制御は可能である。この際、同一走査内の複数の液滴同士が接触するような隣接位置にドットを配置するためには、誤差拡散法のドット集中制御である、アウトプットフィードバック型の誤差拡散法を用いればよい。アウトプットフィードバック型の誤差拡散法は、例えば次の文献に記載されている。Daniel L. Lau, Gonzalo R. Arce著「Modern Digital Halftoning (Signal Processing and Communications)」
なお、本実施例における透明インクの膜厚変化の周期の測定については、光学顕微鏡を用いることで容易に検証可能である。図21に、落射照明での光学顕微鏡にて、紙上に形成された透明インクの分布を観察した例を示す。図21によれば、干渉縞が円になって観察されることが分かる。この円の干渉縞の間隔が、透明インクの膜厚変化の周期である。図21は透明インクにて膜厚変化の周期160μm(1200dpi、同一走査で8×8サイズ)となるように、同一走査で液滴同士が接触するような隣接位置に複数ドットを設定した例である。この様に、透明インクの膜厚変化の周期が40μm〜320μ以下となるかの検証は実際に作成したサンプルから測定可能である。
上述の実施例では、透明インクの膜厚の不均一性を増加させるために、画像表面上の、全ての領域を透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲にした例を示した。しかしながら、ドット配置の都合上、全ての領域で膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲にすることができない場合もある。
その場合は、一部の領域でも、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmとなるように設定することでもよい。すなわち、一部の領域のみ膜厚変化の周期を40μm〜320μmの範囲にして、残りの領域の膜厚変化の周期を20μmにしても良い。
この様に、一部の領域の透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmにするだけでも、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させるには十分な効果がある。これにより、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。
また、一部の領域でも、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmとなるようにすることは以下の状態も含まれる。
例えば、紙面上にインク液滴が定着される場合のインクドットが、一つにならず、分離された2つ以上のインクドットとして形成される場合がある。これは、インク吐出の過程で、液滴が複数の液滴に分離され、紙面上に形成されるために起こる。この2つ以上に分離されたインクドットの内、本来着弾される主液滴ドットよりも小さいドットをサテライトドットと呼ぶ。このサテライトドットは、主液滴ドットから大きく離れて(場合によっては100ミクロン以上離れて)形成される場合がある。主液滴ドットとサテライトドットが、大きく離れて形成される場合、インク同士の接触が発生せず、同一化されない可能性が高い。ただし、主液滴ドットとサテライトドットが、接触せず同一化されなかったとしても、主液滴ドットに比較して、サテライトドットが小さいため、画像表面の法線方向の傾きに対する影響は軽微である。
すなわち、サテライトドットが同一化されない場合であっても、主液滴ドットの膜厚変化の周期が40μm〜320μmになっていれば、一部の領域で透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μmとなっていることに含まれる。
また、上述の実施例では、40μm〜320μmの範囲で同じサイズにする例を示したが、場所毎に異なるサイズにしても良い。例えば、ある領域は40μmサイズにして、その隣の領域は80μmにしても良い。
また、上述の実施例では、40μm〜320μmの正方形にする例を示したが、正方形である必要はない。例えば、ある領域は縦40×横80μmに、また、ある領域は縦100×横40μmの長方形にしてもよい。さらに、円形や楕円形など、非矩形の形状にしても良い。
<変形例>
上述の例では、走査毎のディザ処理と、走査データにおいて、カラーインクよりも透明インクを後に形成するような走査データ制御を用いて、透明インクを上層に、かつドット集中度制御を可能とした。
しかしながら、カラーインクよりも透明インクのドットが後に形成されるような走査毎のドットデータを制御する方法として、公知のマスク分解処理(いわゆるパスマスク)を用いることも可能である。マスク分解のドットデータ制御については、図22のブロックを用いて説明する。なお、本変形例は、図1のドットデータ生成部205におけるドットデータ制御処理であり、フローチャートは実施例1と同様に図7を用いる。また、本変形例では、図7におけるステップS704〜S705以外は、実施例1と同等なため説明は省略する。
まず、ステップS704において、設定部901は、パスマスク2201を用いて走査毎、ノズル毎の記録量と記録順とを示したマスクパターンを設定する。図23は、シアンインクのパスマスクPsMsk_c2301と、透明インクのパスマスクPsMsk_t2302とを示している。パスマスクにおける白画素は非記録を意味し画素値0であり、黒画素は記録を意味し、画素値は1である。
例えば、シアンインクのパスマスク2301においては、下端1/2のノズルのみを使用し、紙送り量ノズル長さ1/4分紙送りしつつ画像を形成する。また、透明インクのパスマスク2302においては、上端1/2のノズルのみを使用し、紙送り量ノズル長さ1/4分紙送りしつつ画像を形成する。
図23の例では、シアンインク、透明インクのパスマスクと共に使用ノズル数が半分であるため実質2パス印刷にて画像が形成されることになる。シアンインクのパスマスクの例では、4回の走査のうち先の2走査の記録において画像が排他的に形成される。一方、透明インクのパスマスクの例では、4回の走査のうち後の2走査の記録において画像が形成される。そのため、記録媒体上にはシアンインクが先に形成され、透明インクがシアンインクの上層に形成される。なお、不図示であるが、マゼンタ、イエロー、ブラックの他のカラーインクについては、シアンインクと同様、下端1/2のノズルのみを使用し、記録媒体上には透明インクよりも先に形成されることとする。
以上、本変形例におけるステップS704の走査毎の記録量、記録順設定が完了する。
次にステップS705において、ドットデータ生成部205における制御部951は、各色の色分解データからN値化を実施し、さらに上述のパスマスクを用いて走査毎のドットデータを生成する。
本変形例の制御部951でも、上層に配置する比較的透過率の高いインクT(透明)と比較率透過率の低いインクC(シアン)とで処理が異なる。とはいえ、本変形例も透明インク(T)処理の特徴は、膜厚変化の周期を40μm以上320μmにし、画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、膜厚の不均一性を増加させることには変わりない。これにより、光沢均一性、特に光沢写像性を向上しつつ、ブロンズ現象と薄膜干渉現象に起因した正反射の色付きを低減する。
以下、本変形例における制御部951について説明する。図22は本変形例に適用可能な制御部951の構成を示し、図24は制御部951のフローチャートを示す。
ステップS2401において、制御部951は、式(1)〜(4)で算出された色分解値であるCMYKについてN値化を行う。シアンインクのN値化に関しては、N値化部2203においてC閾値マトリクスTh_c2202を用いて、N値化を実施する。C閾値マトリクス2202は図17と同じものとする。閾値はシアン色分解データC(式(1))における画素と対応している。したがってN値化部2203は、画素ごとにシアン色分解データを表す画素値と、C閾値マトリクス2202における閾値Th_cとを比較しN値化データを算出する。
C < Th_c のとき、 N_Out_c=0 ・・・(33)
Th_c≦ C のとき、 N_Out_c=1 ・・・(34)
この結果得られる出力値がシアンインクのN値化データN_Out_cである。なお、上述の例では、0、1の2値化の例を示したが、C閾値マトリクスTh_cは各画素にN−1個の閾値を用いる場合、N値化が可能となる。また、上述の例ではシアンインクのN値化を述べたが、その他のMYKに関してのN値化も実施する。
次にステップS2402において、式(5)で算出された色分解値であるT(透明インク)についてN値化を行う。透明インクのN値化に関しては、N値化部2211においてT閾値マトリクス2210を用いて、N値化を実施する。T閾値マトリクス2210は図17と同じものとする。閾値は透明インク色分解データT(式(5))における画素と対応している。したがってN値化部2211は、画素ごとに透明インク色分解データを表す画素値と、T閾値マトリクス2210における閾値Th_tとを比較しN値化データを算出する。
T < Th_t のとき、 N_Out_t=0 ・・・(35)
Th_c≦ T のとき、 N_Out_t=1 ・・・(36)
この結果得られる出力値が透明インクのN値化データN_Out_tである。透明インクに関しても、T閾値マトリクス2210に各画素にN−1個の閾値を用いる場合N値化が可能となる。
次にステップS2403において、マスク分解部2212において、パスマスク2201を用いてN値化データのマスク分解を行い、走査毎のドットデータを生成する。
シアンインクのパスマスクPsMsk_c2301は、0、1の2値で表現され、透明インクのパスマスクPsMsk_t2302も0、1の2値で表現される。このとき、パス分解は以下の論理積で表現される。
Out_c =
N_Out_c(nx、ny+cut(k))∩ PsMsk_c(nx%Msk_x、ny)
・・・(37)
Out_t =
N_Out_t(nx、ny+cut(k))∩ PsMsk_t(nx%Msk_x、ny)
・・・(38)
(∩:論理積を意味する)
なお、式(37)、(38)のXY座標(nx、ny+cut(k))の、cut(k)は式(6)に示された走査番号kにおける走査位置である。また、nyは、0≦ny<Nzzl(ノズル数)であり、nxは元の入力画像のX座標である。
また、Msk_xはパスマスクの横サイズであり、nx%Msk_xはnxは元のN値化画像のX座標とMsk_xとの剰余を意味する。すなわち、パスマスクは横方向に繰り返し使用されることを意味する。
ここで、Out_c、Out_tがシアン、透明インクの1走査あたりのドットデータである。ここで、N_Out_cは、0、1のいずれかの値を取り、PsMsk_cは0、1のいずれかの値を取る。このとき、Out_cは0、1のいずれかの値を取るように論理積∩により計算される。その規則は以下のとおりである。
N_Out_c:0、PsMsk_c:0 ⇒ Out_c:0
N_Out_c:0、PsMsk_c:1 ⇒ Out_c:0
N_Out_c:1、PsMsk_c:0 ⇒ Out_c:0
N_Out_c:1、PsMsk_c:1 ⇒ Out_c:1
・・・(39)
透明インクOut_tも同様の規則により論理積∩により計算される。
本変形例における解像度が1200dpiとする場合、1画素約20μmとなる。その際、透明インクの膜厚変化の周期を40μm〜320μ以下とするために、同一走査内で液滴同士が接触するような隣接位置に複数ドット設定し、液滴を同一化させるパスマスクが必要である。この同一化のパスマスクの単位として40μm〜320μmにする必要がある。
そこで、本変形例では、図23に示すように、パスマスクPsMsk_t2302は、2×2画素以上(40μm以上)〜16×16画素以下(320μm以下)の単位が同一走査に形成されるように設定される。
次に、ステップS2404において、上述したステップS2401〜S2403の処理をバンド内のアドレス(0,0)〜(W−1,Nzzl−1)まで行なう。これにより、シアン、透明インクのドットデータOut_c、Out_tのドットデータが決定される。なお、Wは入力画像の画像サイズである。また、そのほかの色に関してはシアンのドットデータと同様の処理にて、マゼンタOut_m、イエローOut_y、ブラックOut_kが生成され、各記録走査によって形成されるドットデータが決定される。以上によりステップS705におけるドット制御処理が終了する。
以上により、走査番号k=1でのドット制御処理が終了し、その結果、各色分の一回のヘッド動作で形成されるドットデータが、各色分の格納バッファ206に格納されることになる。以降、実施例1のステップS706〜S708と同様のステップにより画像形成が完了される。
本変形例での、シアン、透明インクの走査番号k=4における、格納バッファ206に格納されるドットデータは、実施例1と同様に図18に示すドットデータとなる。
また、シアンインクおよび、透明インクのドットデータ生成部205での途中のドットデータも実施例1と同様の図20に示すドットデータとなる。
また、本変形例においては、透明インク打ち込み量が多少変更しても、走査内2×2画素以上〜16x16以下にするパスマスクとすることで透明インクの液滴の同一化は可能である。例えば図25に示したように、N値化後の透明インクの打ち込み量が多いN値化データ2501に対して、8×8の液滴同士が接触するようなパスマスクで生成されたドットデータ2502を示す。一方、N値化後の透明インクの打ち込み量が少ないN値化データ2503に対して、8×8の液滴同士が接触するようなパスマスクで生成されたドットデータ2504とする。このとき、N値化後の打ち込み量が多い場合のドットデータ2502では、8x8単位領域のインクが接触する。また、N値化後の打ち込み量が少ない場合のドットデータ2504でも、8x8単位領域のインクが接触する。これは、インクジェット形式の記録媒体上での透明インクのドットサイズが、1200dpi解像度20μmよりも大きいドットサイズ(30μm以上)を持つためである。必ずしもすべての隣接画素位置にすべてのドットが形成される必要はなく、例えばドットデータ2504のような白画素が挿入されるような走査内ドットデータであっても、ドットサイズが大きいため、記録媒体上での同一化現象が発生する。ドットデータ2504の場合は、ドットデータ2502よりも透明インクの膜厚変化の振幅が若干小さくなる。しかしながら膜厚変化の周期が160μmである点は、ドットデータ2502もドットデータ2504も変わりはない。
以上説明したように本変形例によれば、透明インクに関しては同一走査における液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させるパスマスクを使用する。
このとき周期を40μm〜320μm以下にするよう同一化の単位を40μm〜320μmにして透明インクの液滴の同一化を行う。
具体的には、解像度が1200dpiとする場合、1画素約20μmとなるため、同一走査内の透明インクの複数の液滴同士が接触するような隣接位置のドット設定は、走査内2×2画素以上〜16x16以下にするパスマスクとする。
これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。
[実施例2]
上述の実施例1では、同一走査内の透明インクの液滴同士が接触するような隣接位置にドットを複数設定することで、記録媒体上で液滴を同一化させる例を説明した。この同一化の単位として40μm〜320μm以下にする。これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する例を説明した。
本実施例では、透明インク液滴の吐出量を、その他のインク色の吐出量よりも多く設定し、さらに、透明インク液滴同士が接触しないようにドット設定を行う。具体的には、透明インクの吐出量を、記録媒体上のドット径サイズで40μm〜320μmになるように、記録ヘッド251を設定する。一般的な記録媒体としてインクジェット光沢紙を用いた場合、記録媒体上のドット径サイズで40μm〜320μmにするには、吐出量を7ピコリットル〜数百ピコリットル程度に設定する。なお、透明インク以外のインク色(CMYK)は、実施例1と同様の記録媒体上でドット径が20〜30μm程度になるように2〜4ピコリットル程度の吐出量とする。
上記の記録ヘッド251を用いて、本実施例の制御部951は、上層に配置する比較的透過率の高いインクT(透明)と比較率透過率の低いインクC(シアン)とで処理を異ならせる。本実施例の透明インク(T)処理の特徴も実施例1と同様、透明インクの膜厚変化の周期を40μm以上320μm以下にして、画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、膜厚の不均一性を増加させる。これにより、光沢均一性、特に光沢写像性を向上しつつ、ブロンズ現象と薄膜干渉現象に起因した正反射光の色付きを低減する。
具体的には、本実施例の透明インクに関しては吐出量が多いため、透明インク吐出のためのドット数をその他のインク色よりも減らす。さらに、同一走査における透明インクの複数液滴同士が接触しないように離散して設定する。このときの液滴が定着されるまでの遷移を図15(b)(1507〜1512)に示す。
始めに、吐出量が多い液滴でも、同一走査において液滴同士が接触しないようにドットを設定し、インク液が記録ヘッド251から吐出される(1507)。次に、記録媒体上において単一の大きなインク液滴が形成される(1508)。このときのドット径は、40μm〜320μmとなるように液滴が設定されている。
同一走査内のインク液滴の形成が完了し、時間経過とともにインクが固化され定着される(1509)。固化(定着)された後は、吐出量が多いため膜厚の不均一性は増加する。この固化(定着)されるまでの時間は長くて数100ミリ秒であるため、次走査において、前の走査におけるドットの隣接位置においてはインク液滴同士の接触は発生しない(1510、1511)。液滴同士が接触しないようにして、複数の走査で形成することで、膜厚変化の周期を40μm〜320μm周期のレンズ状となるように制御する(1512)。
上記の結果、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透明インク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。なお、上述の通り、透明インクの膜厚の不均一性は、薄い箇所、厚い箇所の差が180nm(ナノメートル)以上にすると、正反射光が白く見えることが主観評価(官能評価)による分析で解っている。そのため、180nm以上にすることが望ましいが、インク液滴の組成等により必ずしも180nmが実現できない場合もある。その際には極力、不均一性を増大させることが望ましい。
上述の処理について、シアンインクと透明インクの、各走査および、最終的に得られるドットは、図26のようになる。図26のドットデータ2601は、各走査番号において得られるシアンインクおよび透明インクのドットデータであり、累積ドットデータ2602は、該当走査番号までに形成された、シアンインク(C)、透明インク(T)の累積ドットデータである。また、累積ドットデータ2602において同じマスにTが上で、Cが下に示したものは、シアンインクと透明インクが重なっており、透明インク(T)が上層、シアンインク(C)が下層となっていることを示している。この、累積ドットデータから、シアンインク、透明インクのドットデータについて、重なりが発生している領域では、透明インクが上層、シアンインクが下層になっていることがわかる。
また、図26では、透明インク(T)の数が少なく透明インク同士の間隔が40μm以上になっている。上記のように設定しても、透明インクの記録媒体上のドットサイズを40μm〜320μm以下に設定しているため、紙面上の大部分を被覆することが可能である。
なお、上述のドットデータは、実施例1の図9の制御部951でのディザ処理により作成可能であるし、実施例1の変形例の図22による制御部951でのパスマスクにより作成可能である。
以上説明したように本実施例によれば、透明インク液滴の吐出量を、その他のインク色の吐出量よりも多く設定し、さらに、透明インク液滴同士が接触しないようにドット設定を行う。
具体的には、透明インクの吐出量を、記録媒体上のドット径サイズで40μm〜320μmになるように、記録ヘッド251を設定する。
これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。
[実施例3]
上述の実施例1、2では、同一走査内の透明インクの液滴同士の接触による同一化または吐出量の大きなインクにより、膜厚変化の周期を40μm〜320μm以下にした。これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減した。
本実施例では、まず透明インクの膜厚変化の最小周期が40μmよりも短い層を形成する。このとき、透明インクの膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含むように層を形成する。その後、透明インクの同一走査内の液滴同士が接触する隣接位置にドットを複数設定し、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化により、最初に形成された40μmよりも短い透明インクの周期成分を除去する。
なお、本実施例でのCMYKTインクは、実施例1と同様の記録媒体上でドット径が20〜30μm程度になるような2〜4ピコリットル程度の吐出量とする。
上述を実現するために、本実施例の制御部951は、上層に配置する比較的透過率の高いインクT(透明)と比較率透過率の低いインクC(シアン)とで処理が異ならせる。
本実施例でも、シアンインクの上層に透明インクを形成する。この透明インクについて、まず、膜厚変化の最小周期が40μmよりも短い周期となる層を形成する。このとき、膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含むように層を形成する。その後、透明インクの同一走査内の液滴同士が接触する隣接位置にドットを複数設定し、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化により、最初に形成された、40μmよりも短い透明インクの周期成分を除去する。
これにより、実施例1、2と同様、透明インクの膜厚変化の周期を40μm以上320μm以下にして、画像表面の法線方向の傾きを小さくしたまま、膜厚の不均一性を増加させる。これにより、光沢均一性、特に光沢写像性を向上しつつ、ブロンズ現象と薄膜干渉現象に起因した正反射光の色付きを低減する。
このときの液滴が定着されるまでの遷移を図15(c)(1513〜1518)に示す。
始めに、同一走査において液滴同士が接触しないようにドットを設定し、インク液が記録ヘッド251から吐出される(1513、1514)。このとき、記録媒体上のドット径が20〜30μmとなるため、透明インクの膜厚変化の最小周期が40μmよりも短い周期となる(1515)。
次に、これらドットを重ねることで、透明インクの膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含むように層を形成する(1516)。
その後、透明インクの同一走査内の液滴同士が接触する隣接位置にドットを複数設定し、記録媒体上で液滴を同一化させる(1517)。この同一化により、最初に形成された、40μmよりも短い透明インクの周期成分を除去する。これにより膜厚変化の周期を40μm〜320μm周期のレンズ状となるように制御する。(1518)。
上記の結果、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透明インク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減する。なお、上述の通り、透明インクの膜厚の不均一性は、薄い箇所、厚い箇所の差が180nm(ナノメートル)以上にすると、正反射光が白く見えることが主観評価(官能評価)による分析で解っている。そのため、180nm以上にすることが望ましいが、インク液滴の組成等により必ずしも180nmが実現できない場合もある。その際には極力、不均一性を増大させることが望ましい。
上述の処理について、シアンインクと透明インクの、各走査および、最終的に得られるドットは、図27のようになる。図27のドットデータ2701は、各走査番号において得られるシアンインクおよび透明インクのドットデータであり、累積ドットデータ2702は、該当走査番号までに形成された、シアンインク(C)、透明インク(T)の累積ドットデータである。また、累積ドットデータ2702において同じマスにTが上で、Cが下に示したものは、シアンインクと透明インクが重なっており、透明インク(T)が上層、シアンインク(C)が下層となっていることを示している。すなわち、上からT、Cの順に記載されているマスは、Tが上層、Cが下層となることを意味する。さらに、上から、T、T、Cの順に記載されているマスは、3層となっていることを意味し、Tが上層、中層、Cが下層となることを意味する。
この、累積ドットデータから、シアンインク、透明インクのドットデータについて、重なりが発生している領域では、透明インクが上層、シアンインクが下層になっていることがわかる。
図27では、走査番号k=1(1パス目)において、シアンインク(C)が形成される。一方、走査番号k=2(2パス目)、k=3(3パス目)において、透明インクが形成される。2パス目、3パス目においては、同一走査内に透明インク(T)が形成するドットデータは、縦横斜めを含む大部分で隣接位置に設定されていない。すなわち、同一走査において、大部分で液滴同士の接触が発生しないため、記録媒体上でのインクの同一化が発生しない。これにより、膜厚変化の最小周期が40μmよりも短い周期となる層が形成される。
さらに、2パス目、3パス目の走査間において、透明インク同士が互いに重なりを持つドットが存在する。すなわち、透明インクの膜厚の不均一性が増加する。このとき、膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含むように層を形成する。
以上2、3パス目の走査により、膜厚変化の最小周期が40μmよりも短い周期となる層で、さらに膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含む層が形成される。
最後に4パス目の走査に置いて、斜め方向を含む画素の隣接位置に透明インクが形成される。これにより、同一走査内の透明インク液滴同士が接触することで、先に形成された40μmよりも短い周期成分が除去される。その結果、膜厚変化の周期として、40μm〜320μm周期のレンズ状となる層が最終的に形成される。
なお、上述のドットデータは、実施例1の図9の制御部951でのディザ処理や、実施例1の変形例の図22による制御部951でのパスマスクによるパス分解で生成可能である。さらに、上記ディザ処理、パスマスクによるパス分解の組み合わせで作成可能である。例えば、2〜3パス目をパスマスクによるパス分解で生成して、4パス目をディザ処理で生成してもよい。
以上説明したように本実施例によれば、まず、膜厚変化の周期を40μmよりも短い周期となる層を形成する。このとき、膜厚変化の大局的な変化として、40μm〜320μmの周期成分を含むように層を形成する。その後、同一走査内の透明インク液滴同士が接触する隣接位置にドットを設定し、記録媒体上で液滴を同一化させる。この同一化により、先に形成された40μmよりも短い透明インクの周期成分を除去する。
これにより、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させることで、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。
また、上述の実施例3では、走査におけるドットデータを制御することで、透明インクの膜厚の不均一性を制御した。例えば2パス目、3パス目で、膜厚の不均一性を増加させて、4パス目で、先に形成した40μm周期以下の細かい周期成分を除去した。しかしながら、上述について、異なるインク組成をもつ少なくとも2種類以上の透明インクを用いても同様の効果を得ることができる。例えば、2パス目、3パス目(先行パス)においては、比較的凹凸化しやすい第一の透明インクにて膜厚変化の周期が40μmよりも短い周期や、40μm〜320μmの周期を含む透明インク層を形成する。その後、4パス目(後続パス)にて凹凸化しやすい第一の透明インクとは異なる、比較的平滑化されやすい第二の透明インクを用いて透明インク層を形成することで、40μmよりも短い周期を除去する。この様に、インク種を異ならせることで、画像表面の法線方向の傾きを小さくさせたまま、透過率の高いインク(透明インク)の膜厚の不均一性(ばらつき)を増大させる。この結果、光沢均一性(特に光沢写像性)を向上したまま、正反射の色付きを低減できる。
<変形例>
上述した各実施例では、所定方向に配列された複数のノズルを有する記録ヘッドをノズルの配列方向と交差する方向に記録媒体上で複数回走査させる、シリアル方式インクジェット記録方式を用いた画像処理装置を説明した。しかしながら上述した各実施例の処理は、同一色あたり複数のフルライン型ヘッドをもつ方式のインクジェット記録方式についても適用可能である。その際は、透明インクが形成される順番を最後に設定する。さらに、各走査に対応するドットデータを、各ヘッドで形成するドットデータに置き換えればよい。
また、インクジェット方式以外の他の方式に従って記録を行う記録装置(例えば熱転写方式や電子写真方式)に対しても適用できる。この場合、インク滴を吐出するノズルはドットを記録する記録素子やレーザー発光素子に対応することとなる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。