以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する場合がある。
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係る電力供給システムSYSの一例を示す構成図である。図1に示す電力供給システムSYSは、需要地内で複数の分散型電源を組み合わせ、分散型電源の発電量を需要状況に応じて制御して電力の地域自給を可能とするシステムである。本実施形態においては、電力供給システムSYSは、例えば離島などの隔離された地域に設けられている。この電力供給システムSYSは、需給制御装置100、ディーゼル発電機(内燃力発電装置)200、再生可能エネルギー発電装置300、電力貯蔵装置(第1電力貯蔵装置)400、及び系統監視装置550を備えている。なお、気象データ提供装置600は、電力供給システムSYSを構成する装置であってもよく、電力供給システムSYSとは異なる別の装置であってもよい。
図1に示すように、再生可能エネルギー発電装置300は、風力発電機310、太陽光発電機320、小型風力発電機330、及び小型太陽光発電機340を含んでいる。また、電力貯蔵装置400は、蓄電池410及び小型蓄電池420を含んでいる。
また、図1に示すように、ディーゼル発電機200、風力発電機310、太陽光発電機320、小型風力発電機330、小型太陽光発電機340、蓄電池410、小型蓄電池420、負荷500、及び系統監視装置550は、それぞれ、電力系統(以下、系統という。)700に接続されている。本実施形態では、系統700の基準周波数は50Hzであるものとする。ただし、系統700の基準周波数は60Hzやその他の周波数でもよい。また、本実施形態では、系統700は、外部の電力系統(系統)と接続されていないものとする。
また、図1に示すように、需給制御装置100とディーゼル発電機200とが通信回線810で接続されている。また、需給制御装置100、ディーゼル発電機200、風力発電機310、太陽光発電機320、蓄電池410、及び系統監視装置550は、それぞれ、光伝送路820に接続されている。また、需給制御装置100、小型風力発電機330、小型太陽光発電機340、小型蓄電池420、及び負荷500は、それぞれ、携帯電話やスマートフォンなどの移動体の無線通信網である移動体通信網830に接続されている。なお、負荷500は、移動体通信網830以外の通信網800(例えば光伝送路820や公衆通信網840)に接続されていてもよい。また、需給制御装置100と気象予報データ提供装置600とがインターネットなどの公衆通信網840で接続されている。なお、通信回線810、光伝送路820、移動体通信網830、及び公衆通信網840を通信網800という。
需給制御装置100は、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、電力貯蔵装置400、及び負荷500が接続された系統700における電力の需給を制御する装置である。すなわち、需給制御装置100は、気象の変化による再生可能エネルギー発電装置300の出力変動や需要家の需要変動(負荷変動)などによって系統700の電力変動が生じる場合に、その電力変動を吸収するように分散型電源の発電量を制御する装置である。図1に示すように、需給制御装置100は、通信網800を介して、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400との間で情報をやり取りすることにより、これらの装置を制御する。また、需給制御装置100は、通信網800を介して、負荷500から電力の消費量に関する負荷情報を取得する。また、需給制御装置100は、通信網800を介して、系統監視装置550から系統700の周波数や電圧、電流などのような系統700の状態に関する系統状態データを取得する。また、需給制御装置100は、通信網800を介して、気象データ提供装置600から気象データを取得する。なお、需給制御装置100の構成の詳細については後述する(図2参照)。
ディーゼル発電機200は、ディーゼルエンジンで駆動する発電機であり、内燃力発電装置の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な複数台のディーゼル発電機200が設けられている。なお、複数台のディーゼル発電機200の定格出力(つまりディーゼル発電機200が指定条件下で安全に達成できる最大出力)は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。複数台のディーゼル発電機200は、それぞれ、系統700の周波数の変動に応じて、発電機ガバナ(スピードガバナ、調速機)の働きにより発電機出力を自動的に増減するガバナフリー制御を行う。つまり、複数のディーゼル発電機200は、周波数が上昇した場合に発電機出力を減らすように制御し、周波数が低下した場合に発電機出力を増やすように制御する。
風力発電機310は、風力を利用して発電する発電機であり、再生可能エネルギー発電装置300の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の風力発電機310が設けられている。太陽光発電機320は、太陽電池で太陽光を直流電力に変換し、パワーコンディショナーで直流電力を交流電力に変換する発電機であり、再生可能エネルギー発電装置300の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の太陽光発電機320が設けられている。
蓄電池410は、電力を充放電可能な装置であり、電力貯蔵装置の一種である。蓄電池410は、二次電池やバッテリーとも呼ばれる。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の蓄電池410が設けられている。
小型風力発電機330は、風力発電機310よりも小型の風力発電機であり、再生可能エネルギー発電装置300の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の小型風力発電機330が設けられている。小型太陽光発電機340は、太陽光発電機320よりも小型の太陽光発電機であり、再生可能エネルギー発電装置300の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の小型太陽光発電機340が設けられている。
小型蓄電池420は、蓄電池410よりも小型の蓄電池であり、電力貯蔵装置の一種である。本実施形態の電力供給システムSYSにおいては、系統700に接続可能な1台又は複数台の小型蓄電池420が設けられている。本実施形態においては、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力は、風力発電機310及び太陽光発電機320の出力よりも小さく、系統700の周波数や電圧などの影響が小さいものとする。また、小型蓄電池420の出力も、風力発電機310の出力よりも小さく、系統700の周波数や電圧などの影響も小さいものとする。
系統700内の負荷500は、需要家の需要要求に応じて変動する。系統監視装置550は、系統700の周波数や電圧などの系統状態データを常時又は短時間の間隔で計測し、計測した系統状態データを通信網800(光伝送路820)を介して需給制御装置100に送信する。
気象データ提供装置600は、需給制御装置100に対して気象データを提供する装置である。例えば、気象データ提供装置600は、過去の天気や各地の現在の天気、気圧、風向、風速、気温、湿度などの大気の状態に関する情報を収集する。そして、気象データ提供装置600は、収集した情報に基づいて、特定の地域(ここでは電力供給システムSYSが設けられている地域)や、その特定の地域を含む広範囲の地域についての所定時間後(例えば、数十分後、数時間後、数日後)の天気、気圧などの大気の状態を予測する。気象データ提供装置600は、予測した所定時間後の大気の状態に関する気象データを通信網800(公衆通信網840)を介して需給制御装置100に送信する。
気象データは、風力発電に関わるデータ、例えば、風向、風速、気圧などのデータを含む。また、気象データは、太陽光発電に関わるデータ、例えば、天気、雲量(空全体に占める雲の割合)、日射量(太陽放射の量)などのデータを含む。また、気象データは、所定時間後の大気の状態に関するデータだけでなく、現在の大気に関するデータ(天気、気圧、風向、風速、気温など)を含む。
図2は、図1に示す需給制御装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す需給制御装置100は、通信部110、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)120、EMS(Energy Management System)130、及びデータベース140を有している。SCADA120にて監視部を構成し、EMS130にて解析部を構成する。需給制御装置100は例えばコンピュータで実現される。
通信部110は、通信網800を介して、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、電力貯蔵装置400、負荷500、及び系統監視装置550との間でデータ通信を行う処理部である。例えば、通信部110は、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400の出力を指示する指令信号を、通信網800を介してディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400にそれぞれ送信する。また、通信部110は、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400の運転に関する運転データを通信網800を介して受信する。運転データとしては、ディーゼル発電機200や再生可能エネルギー発電装置300の発電量(出力計測値)を示すデータ、電力貯蔵装置400の放電量や充電量、充電率などを示すデータ等が含まれる。
SCADA120は、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400から送信される運転データを収集し監視する処理部である。SCADA120はCPUを備え、このCPUが制御プログラムに基づいて運転データの収集・監視を行う。
EMS130は、系統700における電力の需給を管理する処理部である。EMS130はCPUを備えている。図2に示すように、EMS130は、予測部(予測補正部)131、運転計画部(制御部)132、経済負荷配分制御部(制御部)133、及び負荷周波数制御部(制御部)134を含む。予測部131、運転計画部132、経済負荷配分制御部133、及び負荷周波数制御部134は、それぞれ、CPUが制御プログラムに従って実行する制御や処理に相当する。
予測部131は、所定時間後(例えば、数十分後、数時間後、数日後)の需要予測と、所定時間後(例えば、数十分後、数時間後、数日後)の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う処理部である。
例えば、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、所定時間分(例えば、数十分分、数時間分、数日分)の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、系統700における所定時間後の需要予測値及びその予測幅(需要予測値の上限値と下限値の幅)を算出する。
また、予測部131は、所定時間分の風力発電に関わる気象データや所定地域(ここでは風力発電機310が設けられている地域)の地形データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、所定時間後の風力発電機310の出力予測値及びその予測幅(出力予測値の上限値と下限値の幅)を算出する。そして、予測部131は、過去の風力発電に関わる気象データと現在の風力発電に関わる気象データとの関係から、所定時間後の風力発電機310の複数の出力予測値を算出し、算出した複数の出力予測値に基づいて所定確率以上の出力予測値の予測幅(出力予測値の上限値と下限値の幅)を算出する。また、予測部131は、風力発電機310の出力計測値(発電量)に基づいて、風力発電機310の出力予測値の予測幅を補正する。
また、予測部131は、所定時間分の太陽光発電に関わる気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、所定時間後の太陽光発電機320の出力予測値及びその予測幅(出力予測値の上限値と下限値の幅)を算出する。また、予測部131は、過去の太陽光発電に関わる気象データと現在の太陽光発電に関わる気象データとの関係から、所定時間後の太陽光発電機320の複数の出力予測値を算出し、算出した複数の出力予測値に基づいて所定確率以上の出力予測値の予測幅(出力予測値の上限値と下限値の幅)を算出する。また、予測部131は、太陽光発電機320の出力計測値(発電量)に基づいて、太陽光発電機320の出力予測値の予測幅を補正する。
なお、24時間程度の需要予測を長期需要予測といい、数時間程度の需要予測を中期需要予測といい、数十分程度の需要予測を短期需要予測という。また、24時間程度の再生可能エネルギー発電装置310,320の出力予測を長期出力予測といい、数時間程度の再生可能エネルギー発電装置310,320の出力予測を中期出力予測といい、数十分程度の再生可能エネルギー発電装置310,320の出力予測を短期出力予測という。
本実施形態においては、上述したように、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力は、系統700の周波数や電圧などの影響が小さい。このため、予測部131は、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力予測を行わない。ただし、予測部131は、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力予測を行ってもよい。
運転計画部132は、予測部131で予測された再生可能エネルギー発電装置300の数日分の出力予測値の予測幅に入り、予測部131で予測された数日分の需要予測値の予測幅に入るように、最も経済的な運転となる、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300、及び蓄電池410の運転計画(スケジュール)を作成する処理部である。例えば、運転計画部132は、1時間の間隔で24時間分の運転計画を作成する。
経済負荷配分制御部133は、各発電機200,300の経済性(ディーゼル発電機200の燃料費など)等を考慮した上で、数時間程度の周期の負荷変動に応じて、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410の出力を制御する処理部である。例えば、経済負荷配分制御部133は、運転計画部132で作成された再生可能エネルギー発電装置310,320の出力目標値と、予測部131で予測された再生可能エネルギー発電装置310,320の数時間後の出力予測値(又はその予測幅)とのずれ量を算出する。また、経済負荷配分制御部133は、運転計画部132で想定された需要想定量と、予測部131で予測された数時間後の需要予測値(又はその予測幅)とのずれ量を算出する。そして、経済負荷配分制御部133は、それらのずれ量を小さくするように、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410に指令信号を出力して、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410の出力を制御(補正)する。
負荷周波数制御部134は、数分から数十分程度の周期の負荷変動に応じて、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410の出力を制御する処理部である。例えば、負荷周波数制御部134は、経済負荷配分制御部133の制御に基づく再生可能エネルギー発電装置300の数十分後の出力目標値と、予測部131で予測された再生可能エネルギー発電装置300の数十分後の出力予測値(又はその予測幅)とのずれ量を算出する。また、負荷周波数制御部134は、予測部131で予測された数時間後の需要予測値又はその予測幅(中期的な需要予測値又はその予測幅)と、予測部131で予測された数十分後の需要予測値又はその予測幅(短期的な需要予測値又はその予測幅)とのずれ量を算出する。そして、負荷周波数制御部134は、それらのずれ量を小さくするように、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410に指令信号を出力して、ディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置310,320、及び蓄電池410の出力を制御(補正)する。
また、負荷周波数制御部134は、系統監視装置550からの系統状態データに基づいて系統700における現在の周波数を認識し、その周波数が基準周波数を含む所定範囲内に入るように周波数制御を行う。系統700の周波数は、系統700全体の需要と供給のバランスによって決まる。電力供給量が負荷500の消費量(需要量)を上回る場合は、その余剰エネルギーが発電機(例えばディーゼル発電機200)の回転エネルギーとして蓄えられるため、系統700の周波数が上昇する。一方、電力供給量が負荷500の消費量を下回る場合は、発電機が回転エネルギーを放出しようとするため、系統700の周波数は低下する。このように需要と供給のバランスが崩れると、周波数変動等により電力品質が低下して電気機器に悪影響を及ぼす。そこで、負荷周波数制御部134は、時々刻々と変化する負荷変動に対して電力供給量を追従させることで、系統700の周波数を基準周波数又はその基準周波数付近の周波数に維持する周波数制御を行う。
データベース140は、過去の需要実績を示す需要実績データ、過去の風力発電に関わる気象データ、及び過去の太陽光発電に関わる気象データを記憶する。また、データベース140は、気象予報データ提供装置600から送信される現在及び所定時間後の気象データを記憶する。また、データベース140は、予測部131で予測された所定時間後の需要予測値及びその予測幅、所定時間後の風力発電機310の出力予測値及びその予測幅、所定時間後の太陽光発電機320の出力予測値及びその予測幅を記憶する。また、データベース140は、負荷500から送信される負荷情報を記憶する。また、データベース140は、SCADA120が収集するディーゼル発電機200、再生可能エネルギー発電装置300及び電力貯蔵装置400の運転データを記憶する。
図3は、図1に示す小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の構成を示すブロック図である。また、図4は、小型の分散型電源330,340によるデータ計測タイミングとデータ送信タイミングを示すタイミングチャートである。また、図5は、集合データ1000のデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、小型風力発電機330は、計測部331、GPS(Global Positioning System)332、及び通信部333を備えている。計測部331は、小型風力発電機330の運転データ(発電量を示すデータなど)を計測する。本実施形態では、計測部331は、例えば図4に示すように1秒ごとに運転データを計測して取得する。GPS332は、衛星と通信することにより時刻情報を取得する。通信部333は、運転データを計測するごとに時刻情報をGPS332から取得する。
通信部333は、計測部331で所定時間にわたって1秒ごとに計測された複数の運転データをまとめることにより1つの集合データ1000を生成する。図4に示す例では、通信部333は、計測部331で10分間にわたって1秒ごとに計測された複数の運転データをまとめることにより1つの集合データ1000を生成する。この場合、図5に示すように、集合データ1000は600秒分(10分間分)の運転データD1〜D600が含まれる。通信部333は、集合データ1000における最初の運転データD1の計測タイミングの時刻(図4に示す例では10:30)を示すタイムスタンプ(図5に示す「TS」)を集合データ1000に付加する。また、通信部333は、集合データ1000を複数のパケットに分割する場合は、各パケットを識別するための識別符号を各パケットに付加する。そして、通信部333は、所定時間ごと(10分ごと)に集合データ1000のパケットを移動体通信網830を通じて需給制御装置100に送信する。
また、図3に示すように、小型太陽光発電機340は、計測部341、GPS342、及び通信部343を備えている。計測部341は、小型太陽光発電機340の運転データ(発電量を示すデータなど)を計測する。本実施形態では、計測部341は、計測部331と同様に、例えば図4に示すように1秒ごとに運転データを計測して取得する。GPS342は、衛星と通信することにより時刻情報を取得する。通信部343は、運転データを計測するごとに時刻情報をGPS342から取得する。
通信部343は、計測部341で所定時間にわたって1秒ごとに計測された複数の運転データをまとめることにより1つの集合データ1000を生成する。図4に示す例では、通信部343は、計測部341で10分間にわたって1秒ごとに計測された複数の運転データをまとめることにより1つの集合データ1000を生成する。この場合、図5に示すように、集合データ1000は600秒分(10分間分)の運転データD1〜D600が含まれる。通信部343は、集合データ1000における最初の運転データD1の計測タイミングの時刻(図4に示す例では10:30)を示すタイムスタンプ(図5に示す「TS」)を集合データ1000に付加する。また、通信部343は、集合データ1000を複数のパケットに分割する場合は、各パケットを識別するための識別符号を各パケットに付加する。そして、通信部343は、所定時間ごと(10分ごと)に集合データ1000のパケットを移動体通信網830を通じて需給制御装置100に送信する。
図6は、SCADA120が実行するデータ配列処理を示すフローチャートである。図6に示す処理において、SCADA120は、通信部110で受信された集合データ1000を受け取ると、集合データ1000に付加されているタイムスタンプ(時刻情報)に基づき運転データの時刻(最初の運転データの計測タイミングの時刻)を確認する(ステップS1)。そして、SCADA120は、集合データ1000の各パケットに付加されている識別符号に基づいて、各パケットに含まれる運転データを時系列順に配列する(ステップS2)。SCADA120は、時系列順に配列した運転データをタイムスタンプとともにデータベース140に格納する(ステップS3)。
風力発電機310及び太陽光発電機320も、発電量などを示す運転データを所定時間ごとに計測する計測部と、計測部で計測された運転データを光伝送路820を通じて需給制御装置100に送信する通信部とを備えている。SCADA120は、風力発電機310及び太陽光発電機320から送信される運転データをリアルタイム(つまり瞬時又は即時)に収集し、収集した運転データをEMS130に渡すとともにデータベース140に時刻情報とともに格納する。EMS130は、SCADA120で収集された運転データに基づいてリアルタイムに風力発電機310及び太陽光発電機320の出力を制御する。また、EMS130は、データベース140に格納されている風力発電機310及び太陽光発電機320の運転データと、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の運転データとを読み出す。そして、EMS130は、読み出した運転データを時刻情報に基づいて突き合わせて、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力による、系統700の電力品質(周波数や電圧など)への影響を解析する。EMS130は、解析結果をシミュレーションモデル(予測部131が出力予測に用いるシミュレーションモデル)のパラメータなどに反映させる。これにより、シミュレーションモデルの精度を向上させることができる。
上述したように、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力は系統700の周波数などへの影響が小さい。従って、需給制御装置100は、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の運転データに基づいて、リアルタイムに小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力を制御する必要がない。また、移動体通信網830は輻輳状態(込み具合)によって回線接続が完了するまでの時間が変化する。従って、SCADA120がリアルタイムに運転データを収集することが困難である。また、需給制御装置100がリアルタイムに小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の運転データを収集しようとすると、通信時間が長くなり通信料が高くなってしまう。そこで、本実施形態では、SCADA120は、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340で計測された運転データを所定時間ごとにまとまった形のデータとして収集する。
本実施形態では、系統監視装置550は、上述したように、系統700の周波数や電圧、電流などの系統700の状態に関する系統状態データを常時又は短時間の間隔で計測し、計測した系統状態データを光伝送路820を介して需給制御装置100に送信する。しかし、系統監視装置550は、一部の系統状態データ(例えば周波数以外の系統700の状態に関するデータ)については移動体通信網830を介して需給制御装置100に送信してもよい。この場合、系統監視装置550は、小型風力発電機330や小型太陽光発電機340と同様に、不図示の計測部、GPS及び通信部を備えている。計測部は、系統状態データを所定時間間隔で計測する。GPSは、衛星と通信することにより時刻情報を取得する。通信部は、系統状態データを計測するごとに時刻情報をGPSから取得する。
通信部は、計測部で所定時間にわたって計測された複数の系統状態データをまとめることにより1つの集合データを生成する。通信部は、集合データにおける最初の系統状態データの計測タイミングの時刻を示すタイムスタンプを集合データに付加する。また、通信部は、集合データを複数のパケットに分割する場合は、各パケットを識別するための識別符号を各パケットに付加する。そして、通信部は、所定時間ごと(例えば10分ごと)に集合データのパケットを移動体通信網830を通じて需給制御装置100に送信する。
SCADA120は、通信部110で受信された系統監視装置550からの集合データを受け取ると、集合データに付加されているタイムスタンプ(時刻情報)に基づき系統状態データの時刻(最初の系統状態データの計測タイミングの時刻)を確認する。そして、SCADA120は、集合データの各パケットに付加されている識別符号に基づいて、各パケットに含まれる系統状態データを時系列順に配列する。SCADA120は、時系列順に配列した系統状態データをタイムスタンプとともにデータベース140に格納する。
EMS(解析部)130は、データベース140に格納されている風力発電機310及び太陽光発電機320の運転データと、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の運転データと、系統状態データとを読み出す。そして、EMS130は、読み出した運転データ及び系統状態データを時刻情報に基づいて突き合わせて、小型風力発電機330及び小型太陽光発電機340の出力による系統700の電力品質(周波数や電圧など)への影響や、系統700における状態に応じた影響を解析する。EMS130は、解析結果をシミュレーションモデル(予測部131が出力予測に用いるシミュレーションモデル)のパラメータなどに反映させる。これにより、シミュレーションモデルの精度をより一層向上させることができる。
次に、需給制御装置100の動作について説明する。
(1)予測部131による予測処理;
図7は、第1実施形態の予測部131が実行する予測処理を示すフローチャートである。図7に示す処理において、まず、予測部131は、短期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う(ステップS11)。この処理において、上述したように、予測部131は、数十分分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、数十分後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する。また、予測部131は、過去の気象データと現在の気象データとの関係から、数十分後の再生可能エネルギー発電装置300の複数の出力予測値を算出する。そして、予測部131は、複数の出力予測値の確率分布に基づいて標準偏差σを演算し、演算した標準偏差σから所定確率以上の出力予測値の幅を予測幅として演算する。
ステップS11の処理の具体例について図8を参照して説明する。図8は、風力発電機310の出力予測値及びその予測幅の一例を示す波形図である。図8に示す真中の波形は風力発電機310の出力予測値の中央値(出力予測中央値)であり、一番上の波形は風力発電機310の出力予測値の上限値(出力予測上限値)であり、一番下の波形は風力発電機310の出力予測値の下限値(出力予測下限値)である。
予測部131は、気象予報データ提供装置600から送信される気象データ(ここでは、風力発電に関する気象データ)を通信部110を通じて取得する。気象データにおける風向、風速、気圧などのデータには、それらのデータの中央値と、予測誤差の範囲を示す上限値及び下限値とが含まれる。予測誤差の範囲は、風向、風速、気圧などのデータが所定以上の確率(高い確率)でその範囲内に入ることを示している。
予測部131は、気象データの中央値をシミュレーションモデルに入力することで、風力発電機310の出力予測中央値を算出する。また、予測部131は、気象データの上限値をシミュレーションモデルに入力することで、風力発電機310の出力予測上限値を算出する。また、予測部131は、気象データの下限値をシミュレーションモデルに入力することで、風力発電機310の出力予測下限値を算出する。ここで求めた出力予測上限値と出力予測下限値の幅が出力予測値の予測幅W1である。
また、予測部131は、データベース140に記憶されている過去の風力発電に関わる複数の気象データを読み出す。そして、予測部131は、現在の風力発電に関する気象データに対応する複数の過去の気象データを特定する。予測部131は、特定した複数の気象データについての数十分後の気象データの変化に基づき風力発電装置310の複数の出力予測値を算出する。予測部131は、複数の出力予測値の確率分布に基づいて標準偏差σを演算し、演算した標準偏差σから所定確率以上の出力予測値の幅を予測幅として演算する。本実施形態では、予測部131は、3σの値を出力予測値の予測幅とする。標準偏差σは、データの散らばり具合(ばらつき)を表す数値である。3σの値を予測幅とすることにより、3σの値の中に複数の出力予測値のほぼすべてが入ることになる。ここで求めた出力幅が出力予測値の予測幅W2である。
図8に示す例では、予測幅W2は、シミュレーションモデルを用いて算出された予測幅W1よりも相対的に狭い幅(範囲)となっている。この場合、予測幅W2内の出力予測値は、予測幅W1の出力予測値よりも相対的に信頼度が低くなる。しかし、予測幅W1は、電力供給システムSYSの安全な運転を確実に行うことができるように信頼度が高い予測幅とされているので、出力予測値が予測幅W2以上で予測幅W1以下になる可能性は高くない。仮に、出力予測値が予測幅W2以上になった場合には、本実施形態においては、可能な限り蓄電池410の充放電を用いて出力予測値のずれ量を是正するように構成している。
図8に示す例では、予測幅W2は予測幅W1よりも狭い幅となっているが、反対に予測幅W1が予測幅W2よりも狭い幅となる場合もある。この場合は、狭い方の幅を出力予測値の予測幅とする。
さらに、予測部131は、風力発電機310における現在(又は所定時間前の時点から現在までの期間)の出力計測値の傾きなどに基づいて、数十分後の風力発電機310の出力予測値の予測幅W1又はW2を狭い幅に絞り込むように補正する。
なお、予測部131が太陽光発電機320の出力予測値及びその予測幅を算出する場合も、風力発電機310の出力予測値及びその予測幅を算出する場合と同様の方法により行うことができる。すなわち、予測部131は、気象データをシミュレーションモデルに入力することで、太陽光発電機320の出力予測値(中央値、上限値、下限値)を算出する。予測部131は、データベース140に記憶されている過去の太陽光発電に関わる気象データと現在の太陽光発電に関わる気象データとを読み出す。そして、予測部131は、それらの気象データから複数の出力予測値を算出するとともに、複数の出力予測値の標準偏差σを算出する。そして、予測部131は、3σの値を出力予測値の予測幅とする。さらに、予測部131は、太陽光発電機320における現在(又は所定時間前の時点から現在までの期間)の出力計測値の傾きなどに基づいて、数十分後の太陽光発電機320の出力予測値の予測幅W1又はW2を狭い幅に絞り込むように補正する。
図7の説明に戻り、予測部131は、中期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う(ステップS12)。この処理において、上述したように、予測部131は、数時間分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、数時間後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する。そして、予測部131は、過去の気象データと現在の気象データとの関係から、数時間後の再生可能エネルギー発電装置300の複数の出力予測値を算出する。そして、予測部131は、複数の出力予測値の確率分布に基づいて標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σから所定確率以上の出力予測値の幅を予測幅として算出する。
なお、予測部131が中期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する場合も、短期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する場合と同様の方法により行うことができる。すなわち、予測部131は、気象データをシミュレーションモデルに入力することで、中期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値(中央値、上限値、下限値)を算出する。予測部131は、データベース140に記憶されている過去の気象データと現在の太陽光発電に関わる気象データとを読み出す。そして、予測部131は、それらの気象データから複数の出力予測値を算出するとともに、複数の出力予測値の標準偏差σを算出する。そして、予測部131は、3σの値を出力予測値の予測幅とする。さらに、予測部131は、再生可能エネルギー発電装置300における現在(又は所定時間前の時点から現在までの期間)の出力計測値の傾きなどに基づいて、数時間後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値の予測幅を狭い幅に絞り込むように補正する。
予測部131は、長期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う(ステップS13)。この処理において、上述したように、予測部131は、数日分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、数日後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する。そして、予測部131は、過去の気象データと現在の気象データとの関係から、数日後の再生可能エネルギー発電装置300の複数の出力予測値を算出する。そして、予測部131は、複数の出力予測値の確率分布に基づいて標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σから所定確率以上の出力予測値の幅を予測幅として算出する。
なお、予測部131が長期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する場合も、短期的及び中期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する場合と同様の方法により行うことができる。すなわち、予測部131は、気象データをシミュレーションモデルに入力することで、長期的な再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値(中央値、上限値、下限値)を算出する。予測部131は、データベース140に記憶されている過去の気象データと現在の太陽光発電に関わる気象データとを読み出す。そして、予測部131は、それらの気象データから複数の出力予測値を算出するとともに、複数の出力予測値の標準偏差σを算出する。そして、予測部131は、3σの値を出力予測値の予測幅とする。さらに、予測部131は、再生可能エネルギー発電装置300における現在(又は所定時間前の時点から現在までの期間)の出力計測値の傾きなどに基づいて、数日後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値の予測幅を狭い幅に絞り込むように補正する。
なお、予測部131は、ステップS11〜S13において、標準偏差(予測幅の正規分布を示す)を用いて予測幅を算出することに代えて、シミュレーションモデルで算出した予測幅の所定割合の幅を予測幅としてもよい。
次に、予測部131は、短期的な需要予測を行う(ステップS14)。この処理において、上述したように、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、数十分分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、系統700における数十分後の需要予測値及びその予測幅を算出する。
ステップS14の処理の具体例について図9を参照して説明する。図9は、系統700における需要予測値及びその予測幅の一例を示す波形図である。図9に示す真中の波形は需要予測値の中央値(需要予測中央値)であり、一番上の波形は需要予測値の上限値(需要予測上限値)であり、一番下の波形は需要予測値の下限値(需要予測下限値)である。
予測部131は、需要実績データと、数十分分の気象データの中央値とをシミュレーションモデルに入力することで、需要予測中央値を算出する。また、予測部131は、需要実績データと、数十分分の気象データの上限値とをシミュレーションモデルに入力することで、需要予測上限値を算出する。また、予測部131は、需要実績データと、数十分分の気象データの下限値とをシミュレーションモデルに入力することで、需要予測下限値を算出する。ここで求めた需要予測上限値と需要予測下限値の幅が需要予測値の予測幅Wdである。
図7の説明に戻り、予測部131は、中期的な需要予測を行う(ステップS15)。この処理において、上述したように、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、数時間分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、系統700における数時間後の需要予測値及びその予測幅を算出する。また、予測部131は、長期的な需要予測を行う(ステップS16)。この処理において、上述したように、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、数日分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、系統700における数日後の需要予測値及びその予測幅を算出する。なお、ステップS14〜S16では、予測部131は、需要予測値とともに予測幅を算出していたが、需要予測値だけを算出してもよい。
(2)運転計画部132による制御;
上述したように、運転計画部132は、再生可能エネルギー発電装置300の予測値が予測部131で予測された数日分の出力予測値の予測幅内に属し、需要予測値が予測部131で予測された数日分の需要予測値の予測幅内に属する各発電機200,300や蓄電池410の運転計画のうち、最も経済的な運転となる運転計画を作成する。ここで、運転計画部132は、例えば、各発電機200,300や蓄電池410の24時間分の運転計画を1時間ごとに作成する。
図10は、電力品質に関するパラメータを示す図である。運転計画部132は、図10に示す電力品質に関するパラメータに基づいて運転計画を作成する。図10に示すように、電力品質に関するディーゼル発電機(DG)200のパラメータは、「慣性定数」、自端出力調整力(微小変動調整力)としての「ガバナ伝達関数」、遠隔出力調整力(運転予備力)としての「最大出力調整速度(kW/秒)」、緊急対応時間(待機予備力)としての「指令信号による並列時間(ホット、コールド状態からの対応力)」がある。また、電力品質に関する蓄電池410のパラメータは、「慣性定数」、自端出力調整力(微小変動調整力)としての「自端出力調整速度(kW/秒)」、遠隔出力調整力(運転予備力)としての「最大出力調整速度(kW/秒)」、緊急対応時間(待機予備力)としての「指令信号による充放電制御時間と容量」がある。また、電力品質に関する風力発電機310のパラメータは、「慣性定数」、出力変動(不安定供給力)としての「最大出力変動速度(kW/秒)」がある。また、電力品質に関する太陽光発電機320のパラメータは、出力変動(不安定供給力)としての「最大出力変動速度(kW/秒)」がある。
ディーゼル発電機200及び蓄電池410の「慣性定数」、自端出力調整力(微小変動調整力)、遠隔出力調整力(運転予備力)、緊急対応時間(待機予備力)が応答速度についてのパラメータである。なお、風力発電機310及び太陽光発電機320は、出力抑制により出力調整を行うことも可能であるが、出力抑制は極力回避するように制御される。
運転計画部132は、ディーゼル発電機200及び蓄電池410が予測部131で算出された需要予測値以上の電力を供給可能であること、また、ディーゼル発電機200及び蓄電池410が予測部131で演算された再生可能エネルギー発電装置310,320の出力変動を吸収可能なパラメータを有すること、という条件を満たす1台又は複数台のディーゼル発電機200及び蓄電池410を選択する。そして、運転計画部132は、選択したディーゼル発電機200及び蓄電池410と再生可能エネルギー発電装置310,320と系統700と負荷500とをモデル化したシミュレーションモデルを用いて、系統700の周波数、安定度及び経済性の評価を行う。そして、運転計画部132は、シミュレーション結果に基づいて運転計画を作成する。
(3)経済負荷配分制御部133による制御;
上述したように、経済負荷配分制御部133は、運転計画部132で予め再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値に基づいて作成された再生可能エネルギー発電装置300の供給力算定値と実際の再生可能エネルギー発電装置300の出力実績値とのずれ量や、運転計画部132で想定された需要想定量と実際の需要実績値とのずれ量が小さくなるように、各発電機200,300や蓄電池410に指令信号を出力する。各発電機200,300や蓄電池410は、経済負荷配分制御部133からの指令信号に基づいて出力を制御する。
(4)負荷周波数制御部134による制御;
図11〜図19は、負荷周波数制御部134が実行する需給制御処理を示すフローチャートである。なお、図11〜図19に示す需給制御処理の一部の処理は、運転計画部132にて実行される。また、図11〜図19に示す需給制御処理は例えば数msごとに繰り返し実行される。
なお、図11〜図19の需給制御処理において、図11〜図13のステップS111〜S137の処理を周波数応動処理といい、図14のステップS140〜S147の処理をスケジュール作成・修正処理といい、図15〜図17のステップS150〜S176の処理を並解列中処理といい、図18及び図19のステップS181〜S202の処理をディーゼル発電機200の余剰分対策処理という。
図11〜図19に示す処理において、負荷周波数制御部134は、系統監視装置550で計測された系統700の周波数fを認識する(ステップS111)。なお、系統監視装置550は所定の計測間隔(サンプリング間隔)で計測する。次に、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数fが49.80Hz以上から50.20Hz以下の範囲(この範囲を第1範囲という。)内であるか否かを判定する(ステップS112)。系統700の周波数fが49.80Hz以上から50.20Hz以下の範囲内である場合は(ステップS112のYES)、ステップS113の処理に移行し、系統700の周波数fが49.80Hz以上から50.20Hz以下の範囲外である場合は(ステップS112のNO)、図12のステップS124の処理に移行する。
本実施形態においては、系統700の周波数fが49.80Hz以上から50.20Hz以下の範囲内(第1範囲内)である場合、何らの周波数制御も行われない。ただし、系統700の周波数fが49.80Hz以上から50.20Hz以下の範囲内である場合に、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御又は蓄電池410の充放電制御により周波数制御を行ってもよい。例えば、系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲内である場合は、周波数制御を行わず、系統700の周波数fが49.80Hz以上から49.85Hz未満の範囲内である場合又は系統700の周波数fが50.15超過から50.20Hz以下の範囲内である場合は、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御又は蓄電池410の充放電制御により周波数制御を行ってもよい。なお、周波数制御が行われない周波数の範囲を不感帯という。
ステップS113において、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTの値をリセットする。この周波数逸脱タイマーTは、周波数fが49.70Hz以上から50.30Hz以下の範囲を逸脱する時間を計測するタイマーである(後述するステップS129,S130参照)。次に、負荷周波数制御部134は、再生エネルギーの抑制解除のスケジュールがあるか否か、つまり、運転計画部132で作成された運転計画(スケジュール)において再生可能エネルギー発電装置300の出力の抑制を解除するタイミングであるか否かを判定する(ステップS114)。再生エネルギーの抑制解除のスケジュールがある場合は(ステップS114のYES)、負荷周波数制御部134は、再生可能エネルギー発電装置300に指令信号を出力して、再生可能エネルギー発電装置300の出力の抑制を解除する(ステップS115)。これにより、再生可能エネルギー発電装置300が発電可能なすべての電力が系統700に供給される。
次に、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200の並解列の開始スケジュールがあるか否か、つまり、運転計画部132で作成された運転計画(スケジュール)においてディーゼル発電機200の並解列を開始するタイミングであるか否かを判定する(ステップS116)。ディーゼル発電機200の並解列の開始スケジュールがある場合は(ステップS116のYES)、図15のステップS150に移行し、ディーゼル発電機200の並解列の開始スケジュールがない場合は(ステップS116のNO)、ステップS117の処理に移行する。
ステップS117において、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200の余剰分対策のスケジュールがあるか否か、つまり、運転計画部132で作成された運転計画(スケジュール)においてディーゼル発電機200の余剰分対策を実行するタイミングであるか否かを判定する。ここで、ディーゼル発電機200の余剰分対策とは、再生可能エネルギー発電装置300の発電量が多いため、ディーゼル発電機200の規定出力範囲内の最低出力に制御しても余剰分の電力(下げ代)が発生することがあり、この場合に、その余剰分の電力を積極的に蓄電池410に充電させることをいう。これにより、系統700における電力の供給が過剰となった場合でも、ディーゼル発電機200を解列させることなく蓄電池410の充電を利用して周波数制御を行うことができる。
ディーゼル発電機200の余剰分対策のスケジュールがある場合は(ステップS117のYES)、図18のステップS181の処理に移行し、ディーゼル発電機200の余剰分対策のスケジュールがない場合は(ステップS117のNO)、ステップS118の処理に移行する。ステップS118において、負荷周波数制御部134は、現時点から9時間分の運転計画における蓄電池410の充放電量(出力予測値)の積分値α%(蓄電池kWh容量ベース)を算出する。ここで、αは、蓄電池410の充電率を表すパラメータである。蓄電池410において予め充電率α%分の電力を充放電するための容量を確保しておく。このような構成により、将来、蓄電池410の充放電が不可能となる事態を回避することができる。
図22は、9時間分の蓄電池410の充放電量の一例を示すグラフである。図22において、横軸は時間を示し、縦軸は各時間の蓄電池410の充放電量を示す。また、縦軸のプラスは蓄電池410の放電量を示し、マイナスは蓄電池410の充電量を示す。上述したように、負荷周波数制御部134は、9時間分の蓄電池410の充放電量を積分し、その積分値をαとする。例えば、運転計画において再生可能エネルギー発電装置300の出力が高く、系統700において電力量が余るという予測である場合、その余剰分の電力量を蓄電池410に充電することができるようにするために、蓄電池410の充電率を予めα%シフトさせる。
図11の説明に戻り、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電率が40%−α以上から60%−α以下の範囲内であるか否かを判定する(ステップS119)。なお、蓄電池410の充電率40%〜60%は、蓄電池410が充放電を行いやすい充電率の範囲という意味である。蓄電池410の充電率が40%−α以下から60%−α以下の範囲内である場合は(ステップS119のYES)、ステップS123の処理に移行し、蓄電池410の充電率が40%−α以上から60%−α以下の範囲外である場合は(ステップS119のNO)、ステップS120の処理に移行する。
ステップS120において、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電率が50%−α未満であるか否か判定する。蓄電池410の充電率が50%−α未満である場合(ステップS120のYES)、つまり、蓄電池410の充電率が40%−α未満である場合は、蓄電池410の充電率が低すぎることを意味する。この場合、負荷周波数制御部134は、一定電力(蓄電池410の電力P=−50kW)を充電する定電力充電制御を実行する(ステップS121)。これにより、蓄電池410の充電率が一定量上昇する。
蓄電池410の充電率が50%−α未満でない場合は(ステップS120のNO)、つまり、蓄電池410の充電率が60%−α超過である場合は、蓄電池410の充電率が高すぎることを意味する。この場合、負荷周波数制御部134は、一定電力(蓄電池410の電力P=50kW)を放電する定電力放電制御を実行する(ステップS122)。これにより、蓄電池410の充電率が一定量低下する。その後、ステップS140の処理に移行する。なお、ステップS121,S122のように蓄電池410の充電率を調整する処理をSOC調整処理(SOC;State Of Charge)という。また、本実施形態における蓄電池410の容量は500kWhであるものとする。
ステップS123において、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数の時差を補正する時差補正処理を実行する。系統700の周波数で駆動される電気時計は周波数変動によって標準時間からずれてくる。従って、時差補正処理で標準時間からのずれを補正する。上記ステップS118〜S123の処理によって、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数が安定しているときに、SOC調整処理と時差補正処理を実行する。
図12のステップS124において、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数fが49.70Hz以上から49.80Hz未満の範囲内であるか、又は系統700の周波数fが50.20Hz超過から50.30Hz以下の範囲内であるかを判定する。系統700の周波数fが49.70Hz以上から50.30Hz以下の範囲を第2範囲という。この第2範囲が電力品質が低下したと判断される周波数の範囲である。
系統700の周波数fが49.70Hz以上から49.80Hz未満の範囲内である場合、又は系統700の周波数fが50.20Hz超過から50.30Hz以下の範囲内である場合は(ステップS124のYES)、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTの値をリセットするとともに(ステップS125)、周波数fが50.00Hz未満であるか否か判定する(ステップS126)。
そして、周波数fが50.00Hz未満である場合(ステップS126のYES)、つまり、周波数fが49.70Hz以上から49.80Hz未満の範囲内である場合は、負荷周波数制御部134は、49.70Hz以上から49.80Hz未満の範囲内の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の放電制御を行う(ステップS127)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の放電制御として、P=K(49.8−f)[kW]の電力を蓄電池410に放電させる。ここで、Kはゲインを表す係数であり、本実施形態においてはK=250/0.1の値とされている。蓄電池410が放電する電力P=K(49.8−f)[kW]は、0kW以上で250kW以下の範囲の値である。すなわち、ステップS127における蓄電池410の放電制御では、蓄電池410の半分以下の容量の電力を用いて周波数制御を行う。このように、蓄電池410の放電制御が蓄電池410の一部の容量の電力を用いて行われるので、蓄電池410に電力を残しておくことができる。
周波数fが50.00Hz未満でない場合(ステップS126のNO)、つまり、周波数fが50.20Hz超過から50.30Hz以下の範囲内である場合は、負荷周波数制御部134は、50.20Hz超過から50.30Hz以下の範囲内の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の充電制御を行う(ステップS128)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電制御として、P=−K(f−50.2)[kW]の電力を蓄電池410に充電させる。この式のKの値もK=250/0.1とされている。蓄電池410が充電する電力P=−K(f−50.2)[kW]は、−250kW以上で0kW以下の範囲の値である。すなわち、ステップS128における蓄電池410の充電制御では、蓄電池410の半分以下の容量の電力を用いて周波数制御を行う。なお、ステップS127及びS128では、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御及び蓄電池410の放電制御の両方により周波数制御を行っているが、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御及び蓄電池410の放電制御のいずれか一方により周波数制御を行ってもよい。
系統700の周波数fが49.70Hz以上から49.80Hz未満の範囲内でも50.20Hz超過から50.30Hz以下の範囲内でもない場合は(ステップS124のNO)、つまり、系統700の周波数fが49.70Hz未満又は50.30Hz超過である場合は、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTの値をカウントアップする(ステップS129)。そして、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えたか否か判定する(ステップS130)。周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えていない場合(ステップS130のNO)、上記したステップS126の処理に移行する。このように、系統700の周波数fが第2範囲(49.70Hzから50.30Hz)を瞬間的に逸脱した場合は、第2範囲を逸脱していないものとみなして、第2範囲を逸脱したときの処理(ステップS31〜S37の処理)を実行させないようにしている。周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えた場合は(ステップS130のYES)、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数fが50.00Hz未満であるか否か判定する(ステップS131)。
系統700の周波数fが50.00Hz未満である場合(ステップS131のYES)、つまり、周波数fが49.70Hz未満である場合は、負荷周波数制御部134は、49.70Hz未満の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の放電制御を行う(ステップS132)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の放電制御として、P=250[kW]+K(49.7−f)[kW]の電力を蓄電池410に放電させる。すなわち、250[kW]の定電力放電と周波数fに応じた電力の放電とを行う。Kはゲインを表す係数であり、この処理ではK=250/0.05の値とされている。P=K(49.7−f)[kW]は、0kW以上で250kW以下の範囲の値である。ステップS132における蓄電池410の放電制御では、周波数fが基準周波数から大きく外れているので、蓄電池410のすべての容量の電力を用いて周波数制御を行う。その後、ステップS136の処理に移行する。
系統700の周波数fが50.00Hz未満でない場合(ステップS131のNO)、つまり、周波数fが50.30Hz超過である場合は、負荷周波数制御部134は、50.30Hz超過の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の充電制御を行う(ステップS133)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電制御として、P=−250[kW]−K(f−50.3)[kW]の電力を蓄電池410に充電させる。すなわち、−250[kW]の定電力充電と周波数fに応じた電力の充電とを行う。この式のKの値もK=−250/0.05とされている。P=−K(f−50.3)[kW]は、−250kW以上で0kW以下の範囲の値である。ステップS133における蓄電池410の充電制御においても、周波数fが基準周波数から大きく外れているので、蓄電池410のすべての容量の電力を用いて周波数制御を行う。なお、ステップS132及びS133では、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御及び蓄電池410の放電制御の両方により周波数制御を行っているが、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御及び蓄電池410の放電制御のいずれか一方により周波数制御を行ってもよい。その後、ステップS134の処理に移行する。
ステップS134において、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電率が95%よりも高いか否か判定する。蓄電池410の充電率が95%よりも高い場合は(ステップS134のYES)、負荷周波数制御部134は、再生可能エネルギー発電装置300に指令信号を出力して、再生可能エネルギー発電装置300の出力を抑制させる(ステップS135)。つまり、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の全容量を用いて蓄電池410の充電制御を実行しても、系統700の電力供給が過剰となる場合は、再生可能エネルギー発電装置300の出力を抑制する。その後、ステップS136の処理に移行する。
ステップS136の処理を図20及び図21を参照して説明する。図20は、ディーゼル発電機200を並列せずに需要予測値に応じた電力を供給させる状況を説明する図である。また、図21は、ディーゼル発電機200を並列して需要予測値に応じた電力を供給させる状況を説明する図である。
ステップS136において、負荷周波数制御部134は、10分後の需要予測値と、10分後の風力発電機310及び太陽光発電機320の出力予測値とに基づいて、系統700に並列中のディーゼル発電機200の10分後の合計出力目標値Pg[kW]を算出する。すなわち、負荷周波数制御部134は、10分後の需要予測値から10分後の風力発電機310及び太陽光発電機320の出力予測値を引いた値を、10分後の並列中のディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgとして算出する。
図20に示すように、10分後の並列中のディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが、10分後の並列中のディーゼル発電機200の規定出力範囲(ディーゼル発電機200の最大出力値Pgmax(定格出力)の65%〜85%)内にある場合は、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200を並列又は解列させないように制御する。一方、図21に示すように、10分後の並列中のディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが、10分後の並列中のディーゼル発電機200の規定出力範囲内にない場合は、負荷周波数制御部134は、新たに1台のディーゼル発電機200を並列又は解列させることに決定する。そして、負荷周波数制御部134は、1台のディーゼル発電機200を並列又は解列させた場合に、上記した合計出力目標値Pgが最大出力値Pgmax(1台のディーゼル発電機200を並列又は解列させた後における並列中のディーゼル発電機200の合計の最大出力値)の75%出力値に最も近くなるようなディーゼル発電機200を、並列又は解列するディーゼル発電機200として選択する。
このように、ステップS136の処理では、負荷周波数制御部134は、10分後の系統700における電力の需給状況を見据えてディーゼル発電機200を並列又は解列させる必要があるか否か判定する。そして、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200を並列又は解列させる必要があると判定した場合は、合計出力目標値Pgが最大出力値Pgmaxの75%出力値に最も近くなるような定格出力のディーゼル発電機200を、解列又は並列させるディーゼル発電機200として選択する。本実施形態では、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200を最大出力値Pgmaxの50%〜100%の範囲内で制御する。従って、ディーゼル発電機200の最大出力値Pgmaxの75%出力値付近に合計出力目標値Pgを調整すれば、最も安定したディーゼル発電機200の制御が可能となる。
上記したステップS136の処理の説明では、負荷周波数制御部134は、蓄電池410を考慮せずに、ディーゼル発電機200を並列又は解列させる必要があるか否かを判定していた。しかし、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の電力量を考慮した上で、ディーゼル発電機200を並列又は解列させる必要があるか否かを判定してもよい。すなわち、負荷周波数制御部134は、並列中のディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが規定出力範囲の上限を上回る場合は、合計出力目標値Pgが10分間における規定出力範囲を上回る部分(面積)を算出する。そして、負荷周波数制御部134は、その部分に相当する電力量が蓄電池410に充電させているか否か判定する。負荷周波数制御部134は、規定出力範囲を上回る部分に相当する電力量が蓄電池410に充電されている場合は、ディーゼル発電機200を並列させないように制御する。負荷周波数制御部134は、規定出力範囲を上回る部分に相当する電力量が蓄電池410に充電されていない場合は、ディーゼル発電機200を並列させるように制御する。
また、負荷周波数制御部134は、並列中のディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが規定出力範囲の下限を下回る場合は、合計出力目標値Pgが10分間における規定出力範囲を下回る部分(面積)を算出する。そして、負荷周波数制御部134は、その部分に相当する電力量を蓄電池410から放電可能であるか否か判定する。負荷周波数制御部134は、規定出力範囲を下回る部分に相当する電力量が蓄電池410から放電可能である場合は、ディーゼル発電機200を解列させないように制御する。負荷周波数制御部134は、規定出力範囲を下回る部分に相当する電力量を蓄電池410から放電可能でない場合は、ディーゼル発電機200を解列させるように制御する。
その後、負荷周波数制御部134は、ステップS136で並解列指令を行うと決定したか否か判定する(ステップS137)。並解列指令を行わないと決定した場合は(ステップS137のNO)、図14のステップS140の処理に移行する。並解列指令を行うと決定した場合は(ステップS137のYES)、図15のステップS150の処理に移行する。
図14のステップS140において、負荷周波数制御部134は、運転計画部132で作成された再生可能エネルギー発電装置300の出力目標値と実際の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値とのずれ量が所定量以上となったか否か、運転計画部132で想定された需要想定量と実際の需要予測値とのずれ量が所定量以上となったか否かを判定して、予測(再生可能エネルギー発電装置300の出力予測、需要予測)を変更する必要があるか否か判定する。予測を変更する必要がある場合(ステップS140のYES)、ステップS141の処理に移行する。予測を変更する必要がない場合(ステップS140のNO)、ステップS148の処理に移行する。
ステップS141において、運転計画部132は、24時間分の予測値(需要予測値、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値)に基づき、第1条件を満たし、さらにコスト(燃料費など)が最小となる最適運転計画を検索する。ここで、第1条件としては、例えば、(a)蓄電池410の充電率10%h分の充放電制御を許容した上で、(b)Pgmax×65%≦Pg≦Pgmax×85%、(c)需要予測値≦Pgmax、(d)並解列回数≦2回/時間、(e)並解列回数≦4回/24時間、(f)40%−α>5%、を満足する条件とする。この第1条件は、ディーゼル発電機200が規定出力範囲(Pgmaxの65%〜85%)内で運転可能な運転計画を作成するための条件である。
なお、「(a)蓄電池410の充電率10%h分のSOC調整を許容」は、一時、ディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが最大出力値Pgmaxの65%〜85%から外れてしまったとしても、蓄電池410の充放電で制御可能であれば、蓄電池410の所定量の充放電制御を許容することを意味する。「(c)需要予測値≦Pgmax」は、安全のためにディーゼル発電機200だけで需要をまかなうことができるようにするための条件である。「(f)40%−α>5%」は、蓄電池410の放電制御による周波数制御が不可能になる事態を回避するために充電率5%分残していくための条件である。
次に、運転計画部132は、ステップS141で最適解があるか否か判定する(ステップS142)。最適解がある場合は(ステップS142のYES)、ステップS111の処理に戻る。最適解がない場合は(ステップS142のNO)、運転計画部132は、24時間分の予測値(需要予測値、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値)に基づき、第2条件を満たし、さらにコスト(燃料費など)が最小となる最適運転計画を検索する(ステップS143)。ここで、第2条件としては、例えば、(a)ディーゼル発電機200が最低出力(Pgmaxの50%)の組合せで並列している時間帯については、Pgmax×50%≦Pgを満足し、(b)他の時間帯については、蓄電池410の充電率10%h分の充放電制御を許容した上で、(c)Pgmax×65%≦Pg≦Pgmax×85%、(d)需要予測値≦Pgmax、(e)並解列回数≦2回/時間、(f)並解列回数≦4回/24時間、(g)40%−α>5%、を満足する条件とする。この第2条件は、ある時間帯において、再生可能エネルギー発電装置300の出力が過剰になると予測される場合、その時間帯においてディーゼル発電機200の合計出力目標値PgがPgmax×65%を下回ることを許容した条件である。
運転計画部132は、ステップS143で最適解があるか否か判定する(ステップS144)。最適解がある場合は(ステップS144のYES)、ステップS111の処理に戻る。最適解がない場合は(ステップS144のNO)、運転計画部132は、24時間分の予測値(需要予測値、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値)に基づき、第3条件を満たし、さらにコスト(燃料費など)が最小となる最適運転計画を策定する(ステップS145)。ここで、第3条件は、ディーゼル発電機200の合計出力目標値Pgが最低出力(Pgmax×50%)を下回る時間帯においては、合計出力目標値Pgを最低出力(Pgmin=Pgmax×50%)とし、その時間帯におけるディーゼル発電機200の余剰分の出力値(Pgmin−Pg)を蓄電池410に充電させる条件とされている。このとき、運転計画部132は、余剰分対策スケジュールを作成する。余剰分対策スケジュールが作成されると、ステップS117で余剰分対策スケジュールありと判定されることとなる。
運転計画部132は、ステップS145で最適解があるか否か判定する(ステップS146)。最適解がある場合は(ステップS146のYES)、ステップS111の処理に戻る。最適解がない場合は(ステップS146のNO)、運転計画部132は、再生可能エネルギー発電装置300の出力の抑制を考慮して運転計画を作成し(ステップS147)、ステップS111の処理に戻る。このとき、運転計画部132は、再生エネ抑制スケジュールを作成する。再生エネ抑制スケジュールが作成されると、負荷周波数制御部134が再生可能エネルギー発電装置300の出力を抑制する時間帯になったときに、再生エネ抑制指令を再生可能エネルギー発電装置300に出力する。
ステップS148において、負荷周波数制御部134は、予測値(需要予測値、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値)と実績値との差(ずれ量)が需要量の3%より大きいか否か判定する。そして、予測値と実績値との差が需要量の3%より大きい場合(ステップS148のYES)、負荷周波数制御部134は、経済負荷配分制御部133に予測の修正を要求する(ステップS149)。経済負荷配分制御部133は、その予測の修正の要求に基づいて、あらためて中期的な予測値を算出する。このとき、中期的な予測値だけでなく短期的な予測値及び長期的な予測値についてもあらためて算出してもよい。予測値と実績値との差が需要量の3%より小さい場合(ステップS148のNO)、ステップS111の処理に戻る。
図15のステップS150において、負荷周波数制御部134は、図13のステップS136で選択したディーゼル発電機200の並解列を指示する並解列指令をディーゼル発電機200に出力する。その後、負荷周波数制御部134は、図15のステップS151〜図17のS175の処理を実行する。ステップS151〜S175の処理は、ディーゼル発電機200の並列又は解列が行われている最中に実行される処理である。ディーゼル発電機200の並列又は解列が完了するまで10分〜30分程度の時間がかかることを想定している。ステップS151〜S175の処理は、ステップS111〜S135の処理と略同様である。従って、重複する説明を省略する。ただし、ステップS117及びS118に相当する処理は設けられていない。また、ステップS136に相当する処理も設けられていない。
図18のステップS181から図19のステップS202の処理がディーゼル発電機200の余剰分対策処理である。この処理では、ディーゼル発電機200の出力を最低出力とした場合でも余剰分の電力が発生する時間帯における処理である。従って、この処理中、通常、系統700の周波数fは50Hz以上となる。しかし、再生可能エネルギー発電装置300の出力値が予定出力値よりも大幅に下回り、余剰分対策処理の時間帯においてディーゼル発電機200の出力の余剰分が発生しないこともあり得る。このため、図18及び図19では、系統700の周波数fが50Hzを下回る場合も考慮した処理としている。
ステップS181において、負荷周波数制御部134は、運転計画部132で作成された再生可能エネルギー発電装置300の出力目標値と実際の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値とのずれ量が所定量以上となったか否か、運転計画部132で想定された需要想定量と実際の需要予測値とのずれ量が所定量以上となったか否かを判定して、予測(再生可能エネルギー発電装置300の出力予測、需要予測)を変更する必要があるか否か判定する。予測を変更する必要がある場合(ステップS181のYES)、図14のステップS141の処理に移行する。これにより、スケジュール作成・修正処理(ステップS141〜S147)が実行される。
予測を変更する必要がない場合(ステップS181のNO)、負荷周波数制御部134は、予測値(需要予測値、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値)と実績値との差(ずれ量)が需要量の3%より大きいか否か判定する(ステップS182)。そして、予測値と実績値との差が需要量の3%より大きい場合(ステップS182のYES)、負荷周波数制御部134は、経済負荷配分制御部133に予測の修正を要求し(ステップS183)、ステップS111の処理に戻る。経済負荷配分制御部133は、その予測の修正の要求に基づいて、あらためて中期的な予測値を算出する。このとき、中期的な予測値だけでなく短期的な予測値及び長期的な予測値についてもあらためて算出してもよい。予測値と実績値との差が需要量の3%より小さい場合(ステップS182のNO)、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200の余剰分対策スケジュール(ここでは余剰分対策処理を終了するタイミングであることを示すスケジュール)があるか否か判定する(ステップS184)。余剰分対策スケジュールがある場合は(ステップS184のYES)、ステップS111の処理に移行する。
余剰分対策スケジュールがない場合は(ステップS184のNO)、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲内であるか否かを判定する(ステップS185)。この範囲が不感帯であるが、ステップS112で示した範囲よりも狭くしている。余剰分対策処理では、不感帯を狭めることにより、周波数が不感帯を外れたときに積極的に蓄電池410の充放電制御による周波数制御を行う。これにより、蓄電池410の満充電を回避させる。系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲内である場合は(ステップS185のYES)、ステップS186の処理に移行し、系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲外である場合は(ステップS185のNO)、図19のステップS195の処理に移行する。
なお、系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲内である場合は、周波数制御を行わない。ただし、系統700の周波数fが49.85Hz以上から50.15Hz以下の範囲内である場合に、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御又は蓄電池410の充放電制御で周波数制御を行ってもよい。
ステップS186において、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTの値をリセットする。次に、負荷周波数制御部134は、再生エネルギーの抑制解除のスケジュールがあるか否か、つまり、運転計画部132で作成された運転計画(スケジュール)において再生可能エネルギー発電装置300の出力の抑制を解除するタイミングであるか否かを判定する(ステップS187)。再生エネルギーの抑制解除のスケジュールがある場合は(ステップS187のYES)、負荷周波数制御部134は、再生可能エネルギー発電装置300に指令信号を出力して、再生可能エネルギー発電装置300の出力の抑制を解除する(ステップS188)。
次に、負荷周波数制御部134は、現時点から9時間分の運転計画における蓄電池410の出力予測値の積分値α%(蓄電池kWh容量ベース)を算出する(ステップS189)。上述したように、αは蓄電池400の充電率を表すパラメータである。
負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電率が40%−α以上から60%−α以下の範囲内であるか否かを判定する(ステップS190)。蓄電池410の充電率が40%−α以下から60%−α以下の範囲内である場合は(ステップS190のYES)、ステップS194の処理に移行し、蓄電池410の充電率が40%−α以上から60%−α以下の範囲外である場合は(ステップS190のNO)、ステップS191の処理に移行する。
ステップS191において、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電率が50%−α未満であるか否か判定する。蓄電池410の充電率が50%−α未満である場合(ステップS191のYES)、つまり、蓄電池410の充電率が40%−α未満である場合は、蓄電池410の充電率が低すぎることを意味する。この場合、負荷周波数制御部134は、一定電力(蓄電池410の電力P=−20kW)を充電する定電力充電制御を実行する(ステップS192)。これにより、蓄電池410の充電率が一定量上昇する。
蓄電池410の充電率が50%−α未満でない場合は(ステップS191のNO)、つまり、蓄電池410の充電率が60%−α超過である場合は、蓄電池410の充電率が高すぎることを意味する。この場合、負荷周波数制御部134は、一定電力(蓄電池410の電力P=20kW)を放電する定電力放電制御を実行する(ステップS193)。これにより、蓄電池410の充電率が一定量低下する。その後、ステップS181の処理に移行する。ステップS194において、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数の時差を補正する時差補正処理を実行する。その後、ステップS181の処理に移行する。
図19のステップS195において、負荷周波数制御部134は、周波数fが50.00Hz未満であるか否か判定する。周波数fが50.00Hz未満である場合(ステップS195のYES)、つまり、周波数fが49.85Hz未満の範囲内である場合は、負荷周波数制御部134は、49.85Hz未満の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の放電制御を行う(ステップS196)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の放電制御として、P=K(49.85−f)[kW]の電力を蓄電池410に放電させる。Kはゲインを表す係数であり、K=500/0.15の値とされている。蓄電池410が放電する電力P=K(49.85−f)[kW]は、0kW以上で500kW以下の範囲の値である。このように、ディーゼル発電機200の余剰分対策処理においては、蓄電池410のすべての容量の電力を用いて蓄電池410の放電制御が行われる。
周波数fが50.00Hz未満でない場合(ステップS195のNO)、つまり、周波数fが50.15Hz超過である場合は、負荷周波数制御部134は、50.15Hz超過の周波数を基準周波数(50Hz)の方向に戻すために、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の充電制御を行う(ステップS198)。このとき、負荷周波数制御部134は、蓄電池410の充電制御として、P=−K(f−50.15)[kW]の電力を蓄電池410に充電させる。この式のKの値もK=250/0.15とされている。蓄電池410が充電する電力P=−K(f−50.15)[kW]は、−500kW以上で0kW以下の範囲の値である。このように、ディーゼル発電機200の余剰分対策処理においては、蓄電池410のすべての容量の電力を用いて積極的に蓄電池410の充電制御が行われる。
次いで、負荷周波数制御部134は、系統700の周波数fが50.30Hz以下であるか否か判定する(ステップS199)。周波数fが50.30Hz以下である場合は(ステップS199のYES)、負荷周波数制御部134は、ステップS197で周波数逸脱タイマーTの値をリセットする。周波数fが50.30Hz以下でない場合(ステップS199のNO)、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTの値をカウントアップする(ステップS200)。そして、負荷周波数制御部134は、周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えたか否か判定する(ステップS201)。周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えていない場合(ステップS201のNO)、上記したステップS181の処理に移行する。周波数逸脱タイマーTが計測している時間が1秒を超えた場合は(ステップS201のYES)、負荷周波数制御部134は、再生可能エネルギー発電装置300に指令信号を出力して、再生可能エネルギー発電装置300の出力を抑制させる(ステップS202)。つまり、負荷周波数制御部134は、ディーゼル発電機200のガバナフリー制御とともに蓄電池410の全容量を用いて蓄電池410の充電制御を実行しても、系統700の電力供給が過剰となる場合は、再生可能エネルギー発電装置300の出力を抑制する。その後、ステップS181の処理に移行する。
以上に説明したように、第1実施形態では、各種データに基づいて需要予測値と再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値を演算する予測部131と、所定時間後の需要予測値から再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値を引いた値が所定時間後の内燃力発電装置200の出力目標値の所定範囲内にある場合は、新たに内燃力発電装置200を系統700に並列又は解列させないように制御する制御部134と、を備える。このような構成によれば、系統700の需給制御を行う際に内燃力発電装置200の発電量や並列及び解列の頻度を減らすことで、運転コストを抑制することができる。
また、第1実施形態では、各種データに基づいて需要予測値と再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値を演算する予測部131と、予測部131で演算された需要予測値以上の電力を供給可能で、予測部131で演算された再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値における出力変動を吸収可能なパラメータを有する内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400を選択し、選択した内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400と再生可能エネルギー発電装置300との運転計画を作成する運転計画部132と、を備える。このような構成によれば、再生可能エネルギー発電装置300の出力変動を見込んだ運転計画を作成することができる。
また、第1実施形態では、パラメータは、内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400の応答速度を含んでいる。このような構成によれば、再生可能エネルギー発電装置300の最大出力変動速度に対応した応答速度の内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400を選択することで、再生可能エネルギー発電装置300の出力変動を内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400の調整力により吸収することができる。また、第1実施形態では、運転計画部132は、選択した内燃力発電装置200及び電力貯蔵装置400と再生可能エネルギー発電装置300と系統700と負荷500とをモデル化したシミュレーションモデルを用いて系統700の周波数、安定度及び経済性の評価を行い、そのシミュレーション結果に基づいて運転計画を作成する。このような構成によれば、系統700の周波数、安定度及び経済性の評価を事前に定量的に行うことができる。
また、第1実施形態では、再生可能エネルギー発電装置300の運転に関する運転データを所定時間(例えば1秒)間隔で計測する計測部331,341と、計測部331,341で計測した複数の運転データをまとめて集合データ1000とし、その集合データ1000を送信する通信部333,343と、通信部333,343から送信された集合データ1000に含まれる複数の運転データを時系列順に配列し、配列した複数の運転データを用いて再生可能エネルギー発電装置300の出力による系統700への影響を解析する解析部130と、を備える。このような構成によれば、解析部130の解析結果をシミュレーションモデルのパラメータなどに反映させることができる。よって、シミュレーションモデルの精度を向上させることができる。
また、第1実施形態では、系統700の状態に関する系統状態データを所定時間間隔で計測し、計測した複数の系統状態データをまとめて集合データとし、その集合データを送信する系統監視装置550を備え、解析部130は、系統監視装置550から送信された集合データに含まれる複数の系統状態データを時系列順に配列し、配列した複数の系統状態データを用いて系統700における状態に応じた影響を解析する。このような構成によれば、解析部130による系統700の状態の解析結果をシミュレーションモデルのパラメータなどに反映させることができ、より一層シミュレーションモデルの精度を向上させることができる。
また、第1実施形態では、通信部333,343又は系統監視装置550は、データの計測時刻を特定可能な情報(例えばタイムスタンプ)を集合データ1000に付加して送信する。このような構成によれば、解析部130は、遅れて収集された運転データとリアルタイムに収集された運転データとを突き合わせてデータの解析を行うことができる。
また、第1実施形態では、気象データに基づいて再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を算出する予測部131と、再生可能エネルギー発電装置300の出力計測値により予測部131で算出された予測幅を補正する予測補正部131と、予測補正部131で補正された予測幅に基づいて、内燃力発電装置200、再生可能エネルギー発電装置300、及び電力貯蔵装置400の出力を制御する制御部132〜134と、を備える。このような構成によれば、制御部132〜134は、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値の予測幅を相対的に狭い予測幅に狭めた上で運転計画を作成し、また運転計画に基づく需給制御を行うことができるので、電力供給システムSYSの運用コストを抑制することができる。
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、予測部131は、気象予報データ提供装置600から提供される気象データなどに基づいて、需要予測や再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行っていた。これに対して、第2実施形態では、予測部131は、観測装置から送信される気象データに基づいて、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う。
図23は、需給制御装置100の周辺に配置される観測装置901a,902aを示す図である。図23に示す例では、需給制御装置100は島903に設置されている。また、島903の周辺の島901,902には、それぞれ、観測装置901a,902aが設けられている。また、観測装置901a,902aは、無線回線などで需給制御装置100と通信可能に構成されている。需給制御装置100と無線回線などで通信可能な観測装置901a,902aを観測網という。
観測装置901a,902aは、不図示の全天カメラによって雲C1の動きや雲量を観測する。また、観測装置901a,902aは、風向風速計によって風向及び風速を観測する。また、観測装置901a,902aは、日射量計によって日射量を観測する。そして、観測装置901a,902aは、観測した雲の動き、雲量、風向、風速、日射量などの観測データを需給制御装置100に送信する。
図24は、第2実施形態の予測部131が実行する予測処理を示すフローチャートである。図24に示す処理において、予測部131は、観測網の観測結果に基づく再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行う(ステップS11A)。具体的には、予測部131は、観測装置901a,902aから送信される日射量、雲量、風向、風速などの気象データを収集する。そして、予測部131は、収集した気象データに基づいて、どれぐらいの時間で(例えば何分後に)雲C1が島903の上空に到達するか、その雲C1によって雲量や日射量などがどの程度になるか、などを予測する。また、予測部131は、収集した気象データに基づいて、所定時間後の風向や風速なども予測する。予測部131は、そのような予測値に基づいて、風力発電機310及び太陽光発電機320の出力予測値を算出する。なお、図24におけるステップS14〜S16の処理は、図7におけるステップS14〜S16の処理と同様であるため、重複する説明を省略する。
このように、予測部131は、所定地域内の観測装置901a,902aから送信される気象データに基づいて、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値を算出するので、出力予測値の予測精度を向上させることができる。
<第3実施形態>
上記した第1実施形態では、SCADA120は、分散型電源200,300,400から送信される運転データを収集し監視する制御を行っていた。これに対して、第3実施形態では、SCADAは、分散型電源200,300,400から送信される運転データを収集し監視する制御だけでなく、EMS130が行う分散型電源200,300,400の一部の制御を行う。
図25は、第3実施形態の需給制御装置100Aの構成を示すブロック図である。本実施形態では、分散型電源は、種別ごとのグループに区分けされているものとする。すなわち、分散型電源は、太陽光発電機320のグループと、風力発電機310のグループと、蓄電池410のグループとに区分けされているものとする。
図25に示す需給制御装置100Aにおいて、制御部133,134は、3つのグループに区分けされた複数の分散型電源310,320,410の出力をグループごとに制御する。すなわち、制御部134は、複数台の風力発電機310を1つの分散型電源とみなして指令信号を出力する。また、制御部134は、複数台の太陽光発電機320を1つの分散型電源とみなして指令信号を出力する。また、制御部134は、複数台の蓄電池410を1つの分散型電源とみなして指令信号を出力する。
SCADA(監視部)120Aは、PV−SCADA121、WT−SCADA122、及びBATT−SCADA123を有している。PV−SCADA121は、太陽光発電機のグループに対する指令信号に基づいて、当該グループに含まれる複数台の太陽光発電機320の出力配分を決定し、決定した出力配分に基づいて各太陽光発電機320の出力を制御する。WT−SCADA122は、風力発電機のグループに対する指令信号に基づいて、当該グループに含まれる複数台の風力発電機310の出力配分を決定し、決定した出力配分に基づいて各風力発電機310の出力を制御する。BATT−SCADA123は、蓄電池のグループに対する指令信号に基づいて、当該グループに含まれる複数台の蓄電池410の出力配分を決定し、決定した出力配分に基づいて各蓄電池410の出力を制御する。太陽光発電機320は、PV−SCADA121からの指令信号で指示された電力を出力する。風力発電機310は、WT−SCADA122からの指令信号で指示された電力を出力する。蓄電池410は、BATT−SCADA123からの指令信号で指示された電力を放電し又は充電する。
以上のように、第3実施形態では、需要予測値と再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値に基づいて、複数のグループに区分けされた複数の分散型電源200,300,400の出力をグループごとに制御する制御部132〜134と、複数のグループに対応つけられ、各グループ内に含まれる一又は複数の分散型電源200,300,400の出力を制御する複数の監視部121〜123と、を備える。このような構成によれば、監視部121〜123が制御部134の制御の一部を実行するので、制御部134の制御負担を低減させることができる。
<第4実施形態>
上記した第1実施形態では、再生可能エネルギー発電装置300から出力される電力は直接、系統700に伝送されていた。これに対して、第4実施形態では、各再生可能エネルギー発電装置300に対応つけて電力貯蔵装置を設置し、電力貯蔵装置が再生可能エネルギー発電装置300から出力される電力を貯蔵し、需給制御装置100からの再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値の情報に応じた電力を系統700に伝送する。
図26は、第4実施形態のローカル蓄電池310Aの構成を示すブロック図である。図26に示すように、ローカル蓄電池(第2電力貯蔵装置)310Aは、風力発電機310に対応つけて設置されている。ローカル蓄電池310Aは、電力線で風力発電機310と接続されている。従って、風力発電機310で発電された電力はローカル蓄電池310Aに導かれる。ローカル蓄電池310Aは、風力発電機310で発電された電力を充電する。変流器311及びDC/AC変換器312が風力発電機310及びローカル蓄電池310Aと系統700との間に設けられている。
図26に示すように、ローカル蓄電池310Aは、制御装置310Bを有している。また、ローカル蓄電池310Aは、需給制御装置100と光伝送路820で接続されている。制御装置310Bは、需給制御装置100からの風力発電機310の出力予測値の情報を受信する。そして、制御装置310Bは、風力発電機310の出力予定値に応じた電力を放電する。ローカル蓄電池310Aから放電された電力は、変流器311及びDC/AC変換器312を介して系統700に伝送される。
図27は、第4実施形態のローカル蓄電池310Aが実行する制御処理を示すフローチャートである。なお、ローカル蓄電池310Aは、風力発電機310から出力される電力を常に充電している。図27に示すように、ローカル蓄電池310Aの制御装置310Bは、需給制御装置100(例えば負荷周波数制御部134)から送信される風力発電機310の出力予定値の情報を受信する(ステップS301)。制御装置310Bは、受信した情報に基づいて風力発電機310の出力予定値を認識する。制御装置310Bは、出力予定値の電力量を放電する(ステップS302)。ローカル蓄電池310Aから放電された電力は、変流器311で変流され、DC/AC変換器312で直流から交流に変換された後、系統700に伝送される。
制御装置310Bは、出力予定値と風力発電機310の実際の出力値との差、つまり、充電している電力量と放電している電力量との差を検出する(ステップS303)。制御装置310Bは、所定時間後(例えば10分後)における出力予定値の電力量の出力が不可能であるか否か判定する(ステップS304)。具体的には、制御装置310Bは、風力発電機310の実際の出力値よりも出力予定値が大きい場合に、所定時間後に充電率が所定値よりも低くなるか否か判定する。制御装置310Bは、所定時間後における出力予定値の電力量の出力が不可能であると判定した場合(ステップS304のYES)、需給制御装置100に対して出力予定値の変更を要求する(ステップS305)。これにより、需給制御装置100は、風力発電機310における出力予定値を変更する。なお、図26では、ローカル蓄電池が風力発電機310に対応つけて設けられているが、ローカル蓄電池は太陽光発電機320にも対応つけて設けられる。
以上のように、第4実施形態では、各種データに基づいて需要予測値と再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値を演算する予測部131と、予測部131で演算された需要予測値と再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値に基づいて、内燃力発電装置200、再生可能エネルギー発電装置300、及び第1電力貯蔵装置410の出力を制御する制御部132〜134と、を備え、第2電力貯蔵装置310Aは、再生可能エネルギー発電装置300で発電された電力を貯蔵し、制御部132〜134からの指令に応じた電力を系統700に出力する。このような構成によれば、再生可能エネルギー発電装置300に対応する第2電力貯蔵装置310Aが予測部131で予測された再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値に応じた電力を放電することができるので、制御部132〜134が再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値に応じた電力の需給制御を実行することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。また、上記の実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。そのような変更又は改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態を適宜組み合わせて適用することも可能である。
例えば、領域電力供給システムSYSは離島などの隔離された地域に設けられることとしていたが、隔離されていない地域に設けられてもよい。また、系統700は、外部の系統に接続されていないものとしていたが、外部の系統と接続されていてもよい。
また、内燃力発電装置は、ディーゼル発電機200に限らず、ガスタービン発電機などであってもよい。また、上記の各実施形態では、予測部131が気象データに基づいて再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行っていたが、気象予報データ提供装置600が気象データに基づいて再生可能エネルギー発電装置300の出力予測を行い、その出力予測のデータを需給制御装置100に提供してもよい。
また、経済負荷配分制御部133と負荷周波数制御部134は1つの処理部であってもよい。また、運転計画部132、経済負荷配分制御部133及び負荷周波数制御部134も1つの処理部であってもよい。
また、上記の第1実施形態では、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、所定時間分の気象データなどを条件としたシミュレーションモデルを用いて、系統700における所定時間後の需要予測値及びその需要予測値の予測幅を算出していた。しかし、予測部131は、過去の需要実績を示す需要実績データや、所定時間分の気象データなどを条件とした統計モデルを用いて、系統700における所定時間後の需要予測値及びその予測幅を確率論的に算出してもよい。
また、上記の第1実施形態では、予測部131は、再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値及びその予測幅を、シミュレーションモデルを用いた方法と過去の気象データ等に基づく確率分布を用いた方法(統計モデルを用いた方法)とを組み合わせて算出していたが、いずれか一方の方法を用いて算出してもよい。
また、上記の第1実施形態では、予測部131は、シミュレーションモデルで算出した所定時間後の再生可能エネルギー発電装置300の出力予測値の予測幅を、標準偏差を用いて相対的に狭い予測幅に補正していた。しかし、予測部131は、シミュレーションモデルで算出した所定時間後の需要予測値の予測幅を、標準偏差を用いて相対的に狭い予測幅に補正してもよい。
また、予測部131は、複数の予測幅の標準偏差σを算出し、3σの値を出力予測値の予測幅としていた。しかし、短期、中期、長期の予測値の予測幅の精度が異なるので、短期、中期、長期の予測値の予測幅ごとに異なる標準偏差を適用してもよい。また、上記の第1実施形態における予測部131の予測と、上記の第2実施形態における予測部131の予測とを組み合わせてもよい。例えば、予測部131は、図7に示すステップS11〜13の処理を行った上で、さらに予測精度を高めるため図24のステップS11Aの処理を行ってもよい。
また、上記した各実施形態において示した数値、範囲等は一例であって、これらの数値、範囲等に限定されない。例えば、第1範囲を49.80Hzから50.20Hzとしていたが、40.85Hzから50.15Hzや、40.75Hzから50.25Hzであってもよい。また、第2範囲を49.70Hzから50.30Hzとしていたが、49.75Hzから50.25Hzや、49.65Hzから50.35Hzであってもよい。また、長期予測、中期予測、短期予測の期間も上記した期間(数日、数時間、数十分)に限定されない。また、需要予測及び再生可能エネルギー発電装置300の出力予測も一定期間後の予測だけてあってもよく、また2つの期間、4つ以上の期間の予測であってもよい。また、需給制御装置100の運転計画部132、経済負荷配分制御部133及び負荷周波数制御部134により、負荷500の一部に対し、通信網800を介して制御をおこなってもよい。