以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る部品保持機構が採用される搬送装置101の正面図である。図2は、搬送装置101の平面図(上面図)である。なお、図示の便宜上、例えば図1では、基台上に配置される部品供給装置や部品搬出装置等の図示を省略している。このように、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化している。搬送装置101で搬送される部品10は、平面のサイズが1mm角以下(1mm以下×1mm以下)となっており、より詳細には0.5mm角以下、特に本実施形態では0.3mm角以下となっている。
図1に示すように、搬送装置101は、基台102と、基台102上面に配設された部品供給装置110と、基台102に揺動自在に配設された固定テーブル120と、基台102に対して回転自在に設置された回転テーブル(ベース部材)130と、回転テーブル130の外周面に周方向に沿って配設された複数(本実施形態では16個)の部品保持ユニット140と、固定テーブル120に配設された計12個の上側外部付勢装置(案内方向駆動手段又は自転軸方向駆動手段)150a、150b、150cと、回転テーブル130を回転させる回転テーブル駆動手段160と、搬送装置101全体を制御する中央制御装置190を備える。
基台102は、略直方体状の部材である。基台102の内部には、中央制御装置190や、特に図示しない電源装置等が配設されている。
図3に示すように、基台102の中央には柱部材102aが配設されており、この柱部材102aの上端に固定テーブル120が固定されている。柱部材102aは、回転テーブル駆動手段160となる中空モータの内部空間を通過するようにして、基台102から立設されているが、本発明はこれに限定されず、回転テーブル駆動手段160や回転テーブル130の周囲に柱部材102aを配置して、固定テーブル120を支持しても良い。
固定テーブル120には、上側外部付勢装置150a、150b、150c及び上部カメラ117a、117bが配設される。上側外部付勢装置150a、150b、150cは、ノズル142を下降させたい場所(作業領域)に対応して、それぞれの上方に設けられる。図2に示すように、ここでは合計12か所に配置される。
図1に戻って、部品保持ユニット140は、保持具となるノズル142を有しており、電子部品をピックアップして保持する。ノズル142は、吸着方向(鉛直方向)に沿う自転軸線J周りに(図1のθ方向またはθ方向と逆方向に)自転自在となっている。これらの回転により、部品の保持姿勢を調整できる。
回転テーブル130は、本発明の移動機構を具現化したものであり、略円盤状の部材であり、外周面に16個の部品保持ユニット140が等間隔(本実施形態では略22.5度の角度間隔)で配設されている。回転テーブル130は、回転軸が上下方向(鉛直方向)となるように、基台102に保持されている。回転テーブル130には、16個の部品保持ユニット140が配置されることから、回転テーブル130が停止した状態を仮定すると、各部品保持ユニット140に対応して、周方向に最大で合計16か所の、同時進行可能な作業領域を確保できる。
回転テーブル駆動手段160は、基台102と回転テーブル130の間に位置している。本実施形態では、回転テーブル駆動手段160は、中空DD(ダイレクトドライブ)モータであり、基台102に固定されるステータと、ステータの内周又は外周(ここでは内周)を回転して回転テーブル130と結合する筒状のロータから構成される。回転テーブル駆動手段160の中心部には軸方向に貫通孔が形成されている。
中央制御装置190は、CPU、ROM及びRAM等を備えた制御装置であり、上側外部付勢装置150a、150b、150c、回転テーブル駆動手段160等を直接制御する。なお、これらの動作と連動する他の装置(例えば、部品供給装置110、外観検査装置200、部品搬出装置170等)も、中央制御装置190で同時に制御できる。
図3(a)に示されるように、部品保持ユニット140は、略円筒状の回転テーブル130の外周面において、周方向に22.5度間隔で外側に向けて突設されている。本実施形態では、隣接する部品保持ユニット140の間の部材を排除して(または切り欠いたり、開口を形成したりして)、干渉回避空間部131を生じるようにしている。この干渉回避空間部131を利用して、回転する部品保持ユニット140が存在しないタイミングで、上部カメラ117a、117b等による基台側の撮像を可能にしている。即ち、干渉回避空間部131は回転テーブル130と共に回転するが、各作業領域は回転しないことから、各作業領域と干渉回避空間部131が重なるタイミングで、カメラ等の撮像を行う。なお、部品保持ユニット140は、フランジを利用して容易に着脱可能に回転テーブル130に固定される。
図3(b)に示されるように、回転テーブル130の中心には、中空軸132が配置される。この中空軸132は回転テーブル130の回転中心となると共に、基台102に回転自在に支持される。なお、中空軸132の内部空間に、固定テーブル120の支柱102aが配置される。また、中空軸132は、大径の外側パイプ132aと小径の内側1パイプ32bが同軸的に配設された二重構造となっている。中空軸132の外側パイプ132aと内側パイプ132bの間隙は、低圧源となる真空ポンプ(図示省略)と部品保持ユニット140を繋ぐエア通路の一部となっている。中空軸132の下端部には、スイベルジョイント133を介して真空ポンプに繋がるエア配管134が接続される。
回転テーブル130の内部には、外側パイプ132aと内側パイプ132bの間隙と同軸的に接続された中央気室135が中心部に形成されており、さらに、この中央気室135から各部品保持ユニット140に個別に接続される16本の吸引通路136が放射状に形成される。各吸引通路136の途中には、部品保持ユニット140と真空ポンプの連通・遮断を切り替える切替バルブ137がそれぞれ配設されている。従って、本実施形態では、各部品保持ユニット140と真空ポンプの連通・遮断を個別に切り替えることが可能となっている。本実施形態における切替バルブ137は、ソレノイドによって弁体を移動させる電磁弁から構成されている。なお、切替バルブ137は、他の構成のものであってもよい。
回転テーブル130の内部には、更に切替バルブ137を制御して後述するノズル142による部品の吸着・解放を制御したり、ノズルの自転を制御したりする保持状態制御装置191が配設されている。保持状態制御装置191は、CPU、ROMおよびRAM等を備えた制御装置である。保持状態制御装置191は、特に図示しない配線によって、切替バルブ137および部品保持ユニット140とそれぞれ電気的に接続されると共に、中央制御装置190に電気的に接続されている。中央制御装置190と保持状態制御装置191は、中空軸132先端側の支柱102aに配設されたスリップリング138と、支柱102aの内部を通る配線(図示省略)によって接続される。
次に、部品保持ユニット140の内部構造について説明する。図4は、部品保持ユニット140の断面構造および外部付勢装置150a、150b、150cの一部を示した図である。部品保持ユニット140は、本発明の部品保持機構を具現化したものであり、筺体141と、筺体141に対して、鉛直方向の平面内に沿う自転軸線J周りに自転自在に配設されたノズル142と、ノズル142を自転駆動するノズル自転駆動手段143と、ノズル142を自転軸線Jに沿って案内する案内機構149を有して構成される。従って、この自転軸線Jは、案内機構149による案内方向と一致する。
筺体141は、水平方向(回転テーブル130の半径方向)に延びる筒状部材となっており、その端面にフランジ141aが形成される。このフランジ141aを、回転テーブル130の外周面に形成される固定用平面130xに当接させて、特に図示しないボルト等によって着脱自在に固定される。従って、フランジ141aと固定用平面130xの間にシム等を挿入すれば、回転テーブル130の回転軸線(回転中心)からの部品保持ユニット140(ノズル142)までの半径方向距離を、事後的に微調整することができる。 筐体141の内部には、自転用中空モータ143aへ電力を供給するための配線が敷設される(点線参照)。
ノズル142は、先端に吸着面142aが配設された細長い円筒状の部材である。ノズル142は、吸着方向に沿った自転軸線J周りに回転(自転)自在であると共に、自転軸線J方向に沿って往復移動自在となっている。ノズル142の内部は吸着面142aに繋がる吸引通路142bとなっている。
図3(b)で示した切替バルブ137は、真空ポンプからノズル142までのエア流路の連通・遮断を切り替えると共に、遮断時には、ノズル142を大気開放状態とするように構成されている。すなわち、ノズル142は、切替バルブ137によって真空ポンプと連通された場合に、部品を吸引して吸着(保持)し、切替バルブ137によって真空ポンプから遮断された場合に、部品を解放する。
ノズル自転駆動手段143は、自転用中空モータ143aと、ノズル142を自転自在に保持する自転用ブラケット143bを有する。自転用中空モータ143aは、自転用ブラケット143bと一体となっており、内部にノズル142の一部を収容して、同軸状態でノズル142を回転駆動する。結果、ノズル142は自転軸線Jを中心として自転自在となる。自転用ブラケット143b内には、ノズル142に負圧を供給するエア流路143cが形成される。
ノズル自転駆動手段143は、結合ブラケット149cを介して、案内機構149の移動テーブル149aに固定される。
案内機構149は、ベース材149dと、ベース材149dに固定されるレール149bと、レール149bに沿って移動自在の移動テーブル149aと、移動テーブル140aに固定される結合ブラケット149cを有する。レール149bは、ノズル自転駆動手段143の自転軸線J方向に沿って配置される。従って、ノズル142及びノズル自転駆動手段143全体が、案内機構149によって、自転軸線Jの方向に沿って往復移動自在となる。ベース材149d内には、ノズル142に負圧を供給するエア流路149eが形成される。ベース材149dと、ノズル自転駆動手段143の自転用ブラケット143dの間には、互いに当接する摺動部143dが形成されており、この摺動部143d内にもエア流路が形成される。なお、摺動部143dに形成されるエア流路は、点線で示すように、自転用ブラケット143d側のカバーによって全体が覆われている。従って、ベース材149dに対して自転用ブラケット143dが摺動しても、互いのエア流路149e,143cの接続は維持される。ベース材140dは、筐体141のフランジ141aの端面に固定される。切替バルブ137から供給されるエア流路148も、ベース材140d側のエア流路149eに接続される。
案内機構140とノズル自転駆動手段143の間には、バネによって構成される内部付勢手段144aが配置される。この内部付勢手段144aは、案内機構140のベース材140dを基準として、ノズル自転駆動手段143(ノズル142)を、自転軸線Jの一方向に付勢する。具体的には、ノズル142の先端が突出する方向と反対方向、即ち吸着面142aが被吸着部から離れる方向に付勢される。更に、案内機構140とノズル自転駆動手段143の間には、ストッパ144bが配置される。このストッパ144bは、内部付勢手段144aによって付勢されるノズル自転駆動手段143の、自転軸線Jの上記一方向の移動限界を規定する。
ノズル142又はノズル自転駆動手段143には、被係合部144cが設けられる。この被係合部144cは、ノズル142の自転軸線Jから半径方向にオフセットする面を有する。このオフセット面に対して、上側外部付勢装置150a,150b,150cを当接させる。オフセットさせることで、上側外部付勢装置150a,150b,150cもオフセットできるので、上部カメラ117a、117bを自転軸線Jの延長線上に配置できる。
上側外部付勢装置150a,150b,150cは、本発明の部品保持機構における案内方向駆動手段を具現化したものであり、被係合部144cを利用して、ノズル142及びノズル自転駆動手段143を自転軸線Jの他方向(ここでは、ノズル142の先端が突出する方向、即ち吸着面142aの突出方向)に付勢する。結果、バネとなる内部付勢手段144aに抗して、ノズル142及びノズル自転駆動手段143が、先端方向(鉛直下方)に移動できる。
以上の構成により、回転テーブル130内の切替バルブ137を経由して供給される負圧エアは、筐体141のエア流路148、ベース材149d内のエア流路149e、自転用ブラケット143b内のエア流路143cを経由してノズル142に導入される。
部品保持ユニット140は、例えば図7(a)に示すように、ノズル142が自転軸線J周りに回転自在であり、更に、上側外部付勢装置150cを利用して押し下げれば、ノズル142が自転軸線Jの方向に移動自在となる。
図1に戻って、上側外部付勢装置150a〜150cは、鉛直方向に配置される棒状の押圧部材152と、固定テーブル120の上面に配設されたモータ153と、モータ153の出力軸に固定されたカム154を有して構成されている。押圧部材152の先端(下端)は、回転テーブル130に配置される部品保持ユニット140の被係合部144cに当接し得るようになっており、基端はカム154に接続される。従って、モータ153によりカム154を回転させると、押圧部材152が上方向に移動して被係合部144cを押し上げる。結果、ノズル142が下方に移動する。
図3(a)に示すように、搬送装置101は、周方向に沿って90度間隔で、第一搬送領域101a、第二搬送領域101b、第三搬送領域101c、第四搬送領域101dが形成される。第一乃至第四搬送領域101a〜101dは、互いに同じ構成であって、同時並行で全く同じ動作を行う。従って、以降では第一搬送領域101aについて説明することとし、他の領域の説明を省略する。
第一搬送領域101aは、ノズル142の公転軌跡に沿って、順番に、供給領域103、外観検査領域107、搬出領域105、廃棄領域109を有する。回転軸を中心とした作業領域の角度間隔は、ノズル142の配置角度と同じ22.5度となる。
図2及び図3(a)を対比させて説明する。上側外部付勢装置150aは供給領域103に配置され、上側外部付勢装置150bは外観検査領域108に配置され、上側外部付勢装置150cは搬出領域105に配置される。また、供給領域103には部品供給装置110が配置され、外観検査領域107には外観検査装置200が配置され、搬出領域105には部品搬出装置170が配置され、廃棄領域109には部品廃棄装置(廃棄トレイ)300が配置される。
供給領域103は、部品供給装置110から部品保持ユニット140に対して部品10を供給する場所となる。外観検査領域107は、部品保持ユニット140によって保持される部品10の五面(前後・左右側面と底面)を検査すると同時に、部品10の姿勢(自転軸線J周り回転θ、X、Y)を、画像認識によって確認する領域となる。従って、この外観検査領域107は、姿勢確認領域と表現することもできる。搬出領域105は、部品保持ユニット140が保持する部品10を、部品搬出装置170の整列トレイ171に収納する場所となる。廃棄領域109は、不合格となる部品10を廃棄トレイ300に廃棄すると共に、ノズル142の先端をバキューム洗浄する場所となる。
なお、第一搬送領域101aでは、回転テーブル130が、隣接する部品保持ユニット140の角度間隔(22.5度間隔)で一次停止する場合を想定し、その角度間隔の整数倍の位相差に合わせて、全作業領域を配置している。即ち、いずれかの部品保持ユニット140が、供給領域103に対向する位置で停止すると、残りの部品保持ユニット140が、それぞれ、外観検査領域107、搬出領域105、廃棄領域109に同時に停止する。従って、回転テーブル130が一次停止している間に、4つの作業領域で各作業を同時並行で進める。既に述べたように、第一乃至第四搬送領域101a〜101dでは、同時並行で全く同じ動作を行うので、搬送装置101の全体では、合計十六か所の作業領域で各作業を同時並行で進める。そして、回転テーブル130が時計回り又は反時計回りの一方向に回転すると、全ての部品保持ユニット140が、第一乃至第四搬送領域101a〜101dにおける、供給領域103、外観検査領域107、搬出領域105、廃棄領域109を順番に通過する。
なお、本発明はこれに限定されず、隣接する部品保持ユニット140の角度間隔未満の位相差に作業領域を設定しても良い。このようにすると、より沢山の作業工程を実現できる。
図2(a)に示すように、部品供給装置110は、部品10を載置する載置トレイ115と、X−Yテーブルから構成された載置トレイ移動手段119と、部品10を位置決めするために用いる上部カメラ(CMOSカメラやCCDカメラなど)117aを備える。載置トレイ115には、複数の部品10がバラバラに載置されている。載置トレイ移動手段119は、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されており、水平方向(X方向及びY方向)に載置トレイ115を移動可能となっている。上部カメラ117aは、回転テーブル130よりも上方において、ここでは固定テーブル120に固定される。このカメラ117aの撮像軸は、鉛直方向に向くノズル142の自転軸線Jと一致しており、ノズル142が存在しないタイミング(干渉回避空間部131)を利用して、載置トレイ115内の部品10を画像認識する。載置トレイ移動手段119は、上部カメラ117aによる部品10の撮像結果に基づいて、供給領域103に存在する部品保持ユニット140のノズル142の真下に、画像認識された部品10を位置決めする。ここでは、部品10が載置トレイ115内にランダムに配置されている場合を例示しているが、マトリクス状のトレイを利用して、複数の部品10を整列配置して供給しても良く、図2(b)に示すように、集積されたウエハ状態の部品10を供給して、ノズル142でウエハから切り離すようにピックアップしても良く、パーツフィーダーを利用して部品10を一つずつ供給しても良い。即ち、部品供給装置110の構成は様々となる。
部品10を吸着保持した部品保持ユニット140は、回転テーブル130の回転と共に、カメラ117aの画像認識結果を利用して自転軸線J周りにノズル142を回転させてから、外観検査領域107に進入する。
図5(a)に示すように、外観検査領域107に配置される外観検査装置200は、ノズル142の下側に配置される投影テーブル202と、投影テーブル202を基台102の上方空間に固定する支持部材204と、投影テーブル202の下側に配置される下部カメラ(五面撮像手段)210を有する。
投影テーブル202には、部品10が自転軸線J方向に進入する部品進入口202aが形成される。また、投影テーブル202における部品進入口202aの周囲四か所には、周方向に90度間隔で、プリズム又はミラー等からなる映像投影部材206が配置される。この映像投影部材206は、それぞれ、部品進入口202aを介して鉛直下方に進入した部品10の側面10aの像を、90度屈曲させて、自転軸線J方向(鉛直下方向)に投影する。下部カメラ210は、映像投影部材206による側面10aの投影像の投映方向に対向するように配置されることになる。
従って、図5(b)に示すように、下部カメラ210は、映像投影部材206による四か所の側面10aの投影像、及び部品10の底面10bをまとめて撮像することができる。従って、下部カメラ210の撮像結果を解析することで、上面を除いた五面に関して、部品10のキズ、欠損、変形、寸法等を検査できる。
なお、下部カメラ210は、部品10のノズル142の保持姿勢を計測する姿勢計測装置としても利用できる。この場合、部品10の底面映像を用いれば良いことになり、部品10の保持姿勢の計測結果を利用して部品10を回転させて、次の搬出領域105における整列トレイ171上に移動する前に、この整列トレイ171と部品10の自転軸線J周りの位置調整を行う。
また例えば、五面の外観検査の検査精度をより高めるためには、一旦、下部カメラ210によって部品10の底面を撮像して、映像投影部材206と部品10の自転軸線J周りの角度誤差を算出し、ノズル142を回転させて誤差を解消してから、再度、下部カメラ210によって部品10の五面を撮像して外観検査を行うことが好ましい。このようにすると、投影像のひずみが小さくなる。なお、この段階で、部品10の外観不良が存在する場合や、吸着姿勢があまりにも悪い場合は、下流の搬出領域103をスルーして廃棄領域109で、その部品10を廃棄する。
外観検査領域107を通過した部品保持ユニット140は、ノズル142を自転軸線J周りに回転させて、部品10の最終姿勢を確定しつつ、搬出領域103上に移動する。
搬出領域103には、カメラ117bが上方に配置されており、搬出領域105で待機する整列トレイ171の収容空間20を真上から撮像する。すなわち、カメラ117bは、搬出領域105にノズル142が進入する前に、干渉回避空間部131を利用して、搬出領域105の収容空間20を上から撮像し、当該収容空間20の水平面内に位置に関する情報(X−Y方向及びθ回転方向)を、画像情報として取得する。また、カメラ117bは、中央制御装置190と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報を中央制御装置190に送信する。そして、カメラ117bで取得した姿勢の画像情報に基づいて、部品10の自転軸J方向の回転姿勢を収容空間20の姿勢に合わせる。その後、上側外部付勢装置150cを利用して部品10を下降させることで、収容空間20に部品10を載置する。
部品搬出装置170は、マトリクス状に配置された複数の凹部(収容空間20)が上面に形成された整列トレイ171と、X−Yテーブルから構成された整列トレイ移動手段172を備えて構成されている。整列トレイ移動手段172は、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態における整列トレイ移動手段172は、図2(a)における上下方向及び左右方向に整列トレイ171を移動可能となっている。
整列トレイ移動手段172は、搬出領域105に部品10が搬送されることに先立って、複数の収容空間20を1つずつ順番に搬出領域105に供給する。この整列トレイ移動手段172は、中央制御装置190が導出した、部品10との相対位置ずれ量Gに基づいて、収容空間20の位置を調整する位置調整ユニットとして機能する。搬出領域105では、部品保持ユニット140が吸着保持した部品10を、収容空間20に収納する。整列トレイ171の全ての収容空間20に部品10を収容したら、整列トレイ171は、外部に搬出される。
なお、ここでは整列トレイ171に部品10を搬出する場合を例示した、本発明はこれに限定されない。例えば図2(c)に示す部品搬出装置170のように、一対のフィルムテープの間に部品10を投入し、この一対のフィルムテープをシールすることでパッキングする、所謂テーピング装置に対して部品を搬出しても良い。
次に、図6を参照して、ノズル142に対して衝撃を付与する衝撃発生機構400について説明する。
衝撃発生機構400は、本発明の部品保持機構における衝撃発生機構を具現化したものであり、部品搬出装置170上に存在するノズル142が、案内機構149によって部品搬出装置170側に移動して部品を離脱するタイミングで、ノズル142に衝撃を付与する。なお、ここでいう部品の離脱タイミングとは、負圧エアを解除してから、ノズル142を上昇させるまでの間のいずれかを意味する。
具体的に、衝撃発生機構400は、自転軸方向駆動手段となる4個の上側外部付勢装置150cにおける、押圧部材152内にそれぞれ設けられる。衝撃発生機構400は、自転軸線J方向に配置される衝撃発生用シリンダ410と、この衝撃発生用シリンダ410内に往復移動自在に収容される衝撃発生用ピストン420と、衝撃発生用シリンダ410に負圧エアを供給するエア流路430と、各エア流路430に配置される切替バルブ440を備える。エア流路430は、ノズル142に負圧エアを供給する真空ポンプに接続される。切替バルブ440の制御は、保持状態制御装置191又は中央制御装置190によって制御される。
従って、衝撃発生用シリンダ410内の移動空間410aに対して、一方側(ここでは上方側)から作動流体(ここでは負圧エア)を流入及び流出させることで、衝撃発生用ピストン420を、衝撃発生用シリンダ410内で移動させることで、ノズル142に衝撃を付与する。本実施形態では、移動空間410aにおける鉛直上方から、エア流路430によって負圧を導入するので、これにより衝撃発生用ピストン420が上昇する。この上昇時は準備段階となる。そして、切替バルブ440によって負圧エアを遮断すると、自重によって衝撃発生用ピストン420が移動空間410a内を落下して下端に衝突し、その衝撃が、被係合部144cを経由してノズル142に伝播する。なお、落下時に、移動空間410a内のエアが抵抗とならないように、移動空間410aの下部には、内部のエアを大気側に放出する開口410bが横方向に形成される。
次に衝撃発生工程について説明する。図6は、ノズル142が搬出領域105に到着した状態を示す。従って、上側外部付勢装置150cの押圧部材152は、部品保持ユニット140の被係合部144cから上方に離反している。この段階において、衝撃発生機構400は、予め衝撃発生用シリンダ410内に負圧エアを導入し、衝撃発生用ピストン420を上昇させておく。その後、図7(a)に示すように、上側外部付勢装置150cが、押圧部材152を利用して被係合部144cを押し下げて、ノズル142を下方に移動させる。これにより、部品10が、部品搬出装置170の収容空間20内でノズル142に保持される。
その後、図7(b)に示すように、ノズル142に供給される負圧エアを切替バルブ137(図3(b)参照)で遮断すると同時に、衝撃発生機構400の切替バルブ440も負圧エアを遮断する。結果、ノズル142による吸引が解放されるので、部品10は自重によりノズル142から落下しようとするが、静電気でノズル142に残存する場合がある。一方で、衝撃発生機構400の衝撃発生用ピストン420が落下して下端に衝突し、その衝撃が被係合部144cを経由してノズル142に伝播するので、部品10がノズル142から強制的に離反して収容空間20に放出される。特に図示しないが、その後はノズル142を上昇させることで、次の工程に進むことができる。
以上の結果、部品保持機構における衝撃発生機構400によれば、例えば部品10が1mm角以下の微小且つ軽量の場合であっても、ノズル142で搬送した部品10が、搬出領域105において静電気等によってノズル142に残存する事態を解消できる。結果、確実に素早く搬出できるので、搬送効率を高めることも可能になる。また、本実施形態のように、衝撃発生機構400を、部品保持ユニット140の外部に配置することで、全ての部品保持ユニット140に衝撃発生機構400を設けることが不要になり、搬送装置101の構成を簡潔にできる。特に、上側外部付勢装置(案内方向駆動手段)150cの押圧部材152に衝撃発生機構400を設置することで、押圧部材152によるノズル142に下降動作と、下降完了後の衝撃発生動作をまとめて連続的に行うことが可能となる。
なお、衝撃発生用ピストン420の自重落下の時間を更に短縮したい場合は、切替バルブ440によって負圧エアの導入を遮断した後に、エア流路430及び衝撃発生用シリンダ410に負圧エアを残存させないことが好ましい。従って、この切換バルブ440利用して、エア流路430内を大気側に開放することが好ましく、より望ましくは図7(b)の点線に示すように、正圧エアを供給する供給源Pから、切換バルブ440を利用して、負圧エアの遮断と同時に正圧エアを衝撃発生用シリンダ410内に供給する。また更に図7(b)の点線で示すように、移動空間410aにバネ450を収容しておき、衝撃発生用ピストン420を下方に付勢しておくことが好ましい。負圧エアを衝撃発生用ピストン420内に導入すると、バネ450の付勢力に抗して衝撃発生用ピストン420が上昇するが、負圧エアを解除すると、自重に加えてバネ450の付勢力によって、衝撃発生用ピストン420が素早く落下するので、応答性を高めることができる。更に本実施形態では、移動空間410aの下部の側面に開口410bを形成して、衝撃発生用ピストン420の落下時に、移動空間410a内のエアが抵抗とならないように排気する構造を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図7(d)に示すように、押圧部材152の下端面に、移動空間410aと連通する連通孔410cと、この連通孔410cから放射状の延びる排気スリット410dを形成することも好ましい。このようにすると、押圧部材152の下端面を、被係合部144cに当接させた状態のまま、排気スリット410dを介して、移動空間410a内のエアを排気することができる。なお、特に図示しないが、移動空間410aの内周面又は衝撃発生用ピストン420の外周面に、軸方向に延びるスリットを形成しておき、衝撃発生用ピストン420が落下する際に、このスリットを介して移動空間410a内のエアが移動できるので、空気抵抗をより低減することが可能となる。
また、衝撃発生用ピストン420の移動ストロークは、部品10の重量や材質等によって適宜変更することが好ましい。例えば、衝撃発生用ピストン420の金属球体の直径を1mm以下とするとき、ストロークは、2センチメートル以下が好ましく、より好ましくは1センチメートル以下、望ましくは5mm以下に設定する。この条件において、移動空間410a内に正圧のエアを流入させつつ、衝撃発生用ピストン420を落下させると、落下時間は0.5秒以下となり、好ましくは0.2秒以下となり、更に望ましくは0.1秒以下とすることができる。従って、図7(c)に示すように、移動空間410a内にストローク規制部材462を配置しておき、このストローク規制部材462による規制量を変更することで、衝撃発生用ピストン420の移動ストロークを調整できるようになる。なお、ここでは、ストローク規制部材462を、衝撃発生用ピストン420のの下側に配置する場合を例示しているが、上側に配置しても良い。
更に、図6及び図7では、作動流体を利用したピストン機構によって、衝撃を発生するようにしたが、例えば図8(a)及び(b)に示すように、ソレノイド144eによって、部品保持ユニット140に配置される受圧部材144dをノックすることで、ノズル142に衝撃を付与することもできる。この受圧部材144dも、被係合部材144cと同様に、自転軸線Jからオフセットさせることが好ましく、固定側のソレノイド144eを自転軸線Jからオフセット配置できるので、上部カメラ117bによる撮像を可能にする。なお、衝撃発生用ピストン420又はソレノイド144eによる衝撃付与方向は、自転軸線J方向(鉛直上方又は鉛直下方)であることが好ましく、特に鉛直下方であることが望ましいが、本発明はこれに限定されず、図8(b)の点線で示すように、受圧部材144dを水平方向からノックしても良く、また、上側外部付勢装置150cの押圧部材152をノックしても良い。
また更に、図6乃至図8では、部品保持ユニット140の外部に衝撃発生機構400を配置する場合を紹介したが、回転テーブル130と共に回転する状態、即ちノズル142内、ノズル142の周囲(部品保持ユニット140)、回転テーブル130等に配置しても良い。この場合は、各ノズル142に対応させて衝撃発生機構400を配置する。例えば図9(a)に示すように、案内機構149のベース材149dに下端ストッパ460を配置し、図9(b)に示すように、上側外部付勢装置150cによって、ノズル142が鉛直下方に案内される際の最下点で、自転用ブラケット143b(又はノズル142)と下端ストッパ460を衝突させることもできる。この衝突時の衝撃により、ノズル142から部品10が落下する。なお、図9(b)の点線で示すように、被係合部144cにストッパを衝突させることもできる。
更に図10に示すように、ノズル142内の吸引通路(案内路)142bに、衝撃発生機構400を重畳形成することもできる。具体的には、衝撃発生用シリンダ410を負圧エアの吸引通路142bに重畳形成しておき、その移動空間410a内に衝撃発生用ピストン420を移動自在に配置する。このようにすると、図10(a)に示すように、ノズル142によって部品10の吸着している間は、負圧エアによって衝撃発生用ピストン420が上昇位置で待機する。なお、ここでは特に図示しないが、上方の待機位置で、衝撃発生用ピストン420が吸引通路142bを完全に閉鎖しないように、移動空間410aと衝撃発生用ピストン420の間に隙間を用意しておくことが好ましい。図10(b)に示すように、部品10を収容空間20に放出するために、吸引通路142b内の負圧エアを遮断すると、衝撃発生用ピストン420が落下して、ノズル142に衝撃を付与する。また、衝撃発生用ピストン420が落下すると同時に、移動空間410a内のエアも押し出されて、ノズル142から外部に放出されるので、そのエアによっても部品10をノズル142から離脱させることにつながる。なお、既に述べたように、部品10が極めて小さい場合は、この放出されるエアが大量過ぎると、収容空間20から部品10が飛散する可能性があるので、放出されるエアは極少量にすることが好ましい。従って、衝撃発生用ピストン420の移動ストロークは、1センチメートル以下、望ましくは5mm以下に設定する。このストロークを調整するために、図11(a)及び(b)に示すように、負圧エアの吸引通路142b内に一対のストッパ470を配置しておき、このストッパ470に挟まれた空間を、衝撃発生用シリンダ410とすることもできる。ストッパ470の一方を軸方向に移動させることで、衝撃発生用ピストン420の移動ストロークを自在に調整できる。
更に図11(c)及び(d)に示すように、ノズル142の外周に、円筒状の衝撃発生用シリンダ410を配置し、その中にリング状の衝撃発生用ピストン420を収容することもできる。この衝撃発生用シリンダ410の移動空間410aには、ノズル142の吸引通路142bから分岐したエア流路430によって負圧エアが上方から供給される。移動空間410aの下部には、内部のエアを大気側に放出する開口410bが形成される。この開口410bによるエアの放出方向は、ノズル142の自転軸線J方向と異なる方向(鉛直下方とは異なる方向)、具体的には水平方向に設定される。従って、図11(c)の待機状態から、図11(d)の衝撃発生状態に遷移する際に、衝撃発生用シリンダ410の落下によって、開口410bから水平方向に向かって内部のエアが放出されるので、収容空間20に搬出される部品10を飛散させないで済む。なお、図11(d)の点線に示すように、衝撃発生用ピストン420の応答性を高める際には、バネ450を利用して、衝撃発生用ピストン420を下方向に付勢しても良い。
次に、この搬送装置101の第一搬送領域101aで同時並行的に進められる動作を作業領域単位で説明する。
<供給領域103の動作>図12(a)に示すように、部品供給装置110は、上部カメラ117aで複数の部品10を撮像し、その中の特定の部品10について、X−Y平面内で移動させて所定位置に配置する。なお、この際に、部品10のθ回転方向の誤差も算出しておく。部品供給装置110によって、特定の部品10が供給領域103に位置決めされた後(又は略同時)に、回転テーブル130が反時計回りに回転し、部品保持ユニット140のノズル142が、部品10に対向する位置まで移動する。回転テーブル130は、この状態で、所定の時間静止する。回転テーブル130が静止している間に、上側外部付勢装置150aが部品保持ユニット140を押圧して、ノズル142を供給領域103に配置された部品10に近接させる。そして、ノズル142が部品10を吸着して保持する。その後、上側外部付勢装置150aによる押圧を解除する(又は押圧力を緩める)ことで、ノズル142が上昇する。その後、部品10のθ回転方向の誤差を解消すべく、ノズル142を自転軸線J周りに回転させて姿勢を整える(図示省略)
<外観検査領域107の動作>図12(b)に示すように、回転テーブル130は、部品10の自転軸線J周りの姿勢を整えた上で、外観検査領域107に進入する。回転テーブル130が静止している間に、外観検査領域107では、上側外部付勢装置150bによって部品保持ユニット140を押圧して、ノズル142を外観検査装置200内に下降させる。外観検査装置200では、部品10の五つの面(四つの側面と下面)の傷や欠損、寸法誤差等を検査しつつ、再度、部品10の保持状態(姿勢)を解析して、その後、ノズル142を自転軸線J周りに回転させて部品10の姿勢を微調整する。なお、部品10に欠陥があった場合や、部品10の保持姿勢が修正不能なレベルにある場合、後述する収容空間20に搬出することなく、廃棄領域109において、部品10を廃棄トレイ300に放出する。
<搬出領域105の動作>図12(c)に示すように、搬出領域105では、ノズル142が進入する前に、上部カメラ117bによって搬出領域105で待機する収容空間20の状態を画像認識する。この画像認識結果と、図12(b)で取得した部品10の姿勢との差異を解析し、ノズル142を自転軸J周りに回転させると共に、収容空間20のX−Y平面位置を、整列トレイ移動手段172によって調整して、両者を一致させる。なお、上部カメラ117bによる画像認識は、部品10が搬出領域105に到着する前に完了していればよい。
部品保持ユニット140に保持されている部品10が搬出領域105に到着すると、回転テーブル130が静止し、その間に、上側外部付勢装置150cが、部品保持ユニット140を押圧する。これにより、部品保持ユニット140のノズル142が下降して、部品10を搬出領域105で待機する収容空間20内に収納する。この際に、上側外部付勢装置150cに内蔵されている衝撃発生機構400によって、ノズル142に衝撃を付与して、ノズル142から部品10を離脱させる。
更に、ノズル142を上昇させて搬出領域105から下流側に移動させた後、上部カメラ117bによって、収容空間20に載置された部品10の上面の状態を画像認識して、上面のみの外観検査を行う。上面の外観検査で欠陥が判明した場合は、回転テーブル130を逆回転して、ノズル142によって部品を再度吸着保持し廃棄領域109へ搬送するか、上流から移動してくる次のノズル142を利用して、欠陥となる部品10を廃棄領域109へ搬送するか、或いは、欠陥情報をメモリに記憶しておき、整列トレイ171を交換するタイミングで、ノズル142を利用して収容空間20内の欠陥部品10をまとめて取り出して廃棄領域109に廃棄しても良い。
<廃棄領域109の動作>図12(d)に示すように、廃棄領域109に進入したノズル142は、姿勢や位置の制御が不可能と判断される部品10を廃棄トレイ300に放出する。なお、特に図示しないが、廃棄領域109に吸引装置を配置しておき、ノズル142の先端を吸引することによって、部品10を回収することが好ましい。このようにすると、ノズル142の周囲や吸引通路142bに付着したゴミも同時に回収できて好適である。
ここでは第一搬送領域101aの作業工程を説明したが、第二から第四搬送領域101b、101c、101dにおいても、上記動作が併行して行われる。従って、合計四か所において搬入、搬出が同時並行的に行われるので、搬送効率を飛躍的に高めることができる。
なお、図2及び図3に示すように、回転テーブル130及び部品保持ユニット140の外周に沿って、保護カバー102bが配置されており、作業者がノズル141や回転テーブル130に触れることを防止する。更に、第一乃至第四搬送領域101a、101b、101c、101dの境界にも、仕切り壁102cが設けられており、搬送中の他の搬送領域における、部品供給装置110や部品搬出装置170に作業者が触れることを防止する。また、基台102の外周には、第一乃至第四搬送領域101a、101b、101c、101d毎に独立した開閉ドア102dが設けられる。従って、保護カバー102bと仕切り壁102cと開閉ドア102dによって、第一乃至第四搬送領域101a、101b、101c、101dの作業空間が独立した状態となっている。
従って、例えば、第一搬送領域101aにおいて、部品供給装置110の載置トレイ115内の部品10が空になった場合は、回転テーブル130の回転は継続しながらも、載置トレイ115を保護カバー102bよりも外側の空間に移動させてから、第一搬送領域101aのみの搬送動作を全て中断する。その後、作業者は、第一搬送領域101aの開閉ドア102dを空けて、載置トレイ115に部品10を供給するか、部品10を載置した新たな載置トレイ115に交換する。この間においても、残りの第二乃至第四搬送領域101b、101c、101dでは、搬送動作を継続することが可能となる。これは、部品搬出装置170の整列トレイ171を交換する場合も同様である。
本実施形態の搬送装置101によれば、回転テーブル130の周方向に配置される複数のノズル142の各々を、自転軸線Jを中心として自転駆動するノズル自転駆動手段143と、ノズル142の各々を、自転軸線Jに沿って案内する案内機構149を備える。また、搬送装置101には、ノズル142の公転軌跡に沿って、複数(四か所)の部品搬送領域101a〜101dが形成される。また、複数の部品搬送領域101a〜101dの各々は、部品供給装置110と、公転軌跡の下流側に配置される部品搬出装置170を有しており、回転テーブル130によって公転される複数のノズル142は、全ての部品搬送領域101a〜101dにおける部品供給装置110及び部品搬出装置170に同時に存在し得ることにより、部品10の供給動作と搬出動作を同時並行させる。従って、一台の搬送装置101によって、実質、複数台分の搬送作業を実現することが可能となり、結果、搬送効率を飛躍的に高めることが可能となる。
また、本実施形態のノズル142は、回転テーブル130の周方向に少なくとも六個配設され、部品搬送領域は少なくとも三か所形成されるので、搬送効率を三倍以上に高めることが可能となる。なお、本実施形態のように、ノズル142を八個以上(ここでは十六個)設けるようにし、部品搬送領域を少なくとも四か所に形成すれば、搬送効率を四倍以上に高めることができる。
更に本搬送装置101では、各部品搬送領域101a〜101dにおいて、部品供給装置110と部品搬出装置170の間に、部品の外観を検査する外観検査装置200を配置し、供給時間又は搬出時間を有効活用して、同時並行的に部品10の外観検査動作を行うことが可能となるので、外観検査を兼ねることが可能となり、部品の組立効率を高めることが可能となっている。
特に本搬送装置101の外観検査装置200は、部品進入口202aの周囲四か所に映像投影部材106を配置して、部品進入口202aから進入させた部品10の四か所の側面の投影像と、部品10の底面を、下部カメラ210でまとめて撮像している。従って、部品10の保持動作となるノズル140の上下動作を有効活用して、部品10の供給時間又は搬出時間という限られた時間の中で、部品10の五面をまとめて外観検査できる。更に、最後には、部品搬出装置170に移載した部品10の上面を、上部カメラ117bで撮像して外観検査を行うので、部品10の六面検査を実現できる。
なお、本実施形態に係る搬送装置101は、16個の部品保持ユニット140を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の個数(例えば4個、6個、8個、12個、20個)を備えていても良い。
また、搬送装置101は、回転テーブル130を、運転位置において回転の中心軸が上下方向(鉛直方向)となるように配設されているが、これに限定されるものではなく、運転位置における回転の中心軸が水平方向や斜め方向となるように配設されるものであってもよい。また、回転テーブル130は、本実施形態に示される形状以外の形状であってもよい。
さらに、搬送装置101は、各部が中央制御装置190によって統括的に制御される構成であるが、これに限定されるものではなく、個別に専用の制御装置を設けるようにしてもよい。
そして、搬送装置101の固定テーブル120は、基台102に配設されるものに限定されるものではなく、他の部材に配設されるものや、独立して配設されるものであってもよい。また、回転テーブル130は、基台102上に回転自在に立設される場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、上方のアーム部材等によって吊り下げられても良い。
また、各作業領域は、本実施形態において示した位置に限定されるものではなく、他の位置に配置するようにしてもよい。さらに、部品の加工組立や検査等を行う作業工程を搬送途中に設けるようにしてもよい。
そして、回転テーブル130の回転は、22.5度ごとに静止する間欠回転に限定されるものではなく、部品保持ユニット140が、各作業領域に対向する位置にある場合にも、回転テーブル130を低速で回転させ続けるようにしてもよい。この場合、部品供給装置110と部品搬出装置170は、供給領域103や搬出領域105において、回転テーブル130と同方向且つ同速度で移動するように回転する回転テーブルとすることが好ましい。つまり、供給領域103では、回転テーブル130に配置されるノズル142は、自身と同方向且つ同速度で移動する部品供給装置110に供給される部品10を、回転中に吸着することができる。また、搬出領域105では、部品保持ユニット140は、ノズル142に吸着している部品10を、部品10と同方向且つ同速度で移動する部品搬出装置170に供給される収容空間20に、回転中に搬出することができる。
更に、上記搬送装置では、軸方向駆動手段が、部品保持ユニットの外部に配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、各部品保持ユニットに、軸方向駆動手段を配置しても良い。例えば、案内機構149を直動モータとすれば、案内機構と軸方向駆動手段を兼ねることも可能である。
また更に、上記搬送装置では、回転テーブル130の周囲に部品保持ユニット140を配置した場合を例示したが、搬送機構は他の構造であっても良く、例えば、直動ロボットによって部品保持ユニットを往復運動させるようにしても良く、また、X軸用直動ロボットとY軸用直動ロボットを組み合わせたX−Yロボットによって部品保持ユニットを運動させるようにしても良い。その他にも、多関節ロボットなどを採用することもできる。
また、繊維や砥石等によって形成される清掃面を有し、ノズルの先端と当接して、付着したゴミ等を定期的に拭き上げる清掃装置を備えても良い。
また、本発明の搬送装置塔は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。