JP2016089628A - 送風装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピーク騒音レベルを低減可能なファンシュラウドを有する送風装置を提供する。【解決手段】ファンシュラウド2のリング部21は、ファンシュラウド2に対して片側に偏心する位置に設けられる。ファンシュラウド2は、ファンシュラウド2の外周縁22のうち、リング部21が偏っている偏心側領域において、リング部21の内周縁21aまでの距離が他の部分に比べて短い短縁部22aを有する。短縁部22aの内側に位置する導風部23の特定部位23aは、熱交換部40と空気流れ方向に重ならない部分を含む。偏心側領域に位置する導風部23には、リング部21よりも径外側で、部分的に導風部23の表面から突出するリブ24が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、軸流ファンの外側を囲むように配されるファンシュラウドを備える送風装置に関する。
特許文献1には、自動車のラジエータを冷却するための軸流ファンを支持するファンシュラウドが記載されている。このファンシュラウドは、軸流ファンの外径側を取り囲むリング部の中心がファンシュラウドの中心に対して偏心して配置されている。
特開2006−46113号公報
近年、車両における静音性に係る要求の高さにより、ファンの回転騒音に関するピーク音、例えば1次成分のピーク音を低減することが求められている。なお、回転騒音は、回転体とその周辺の空気との干渉現象により著しく増大し、単一周波数成分で特に高い音圧となることが知られている。
特許文献1のように、ファンシュラウドの導風部に広い側と狭い側ができる場合には、広い側の導風部に沿って流れる空気がリング部の内側に流れる際にファンの回転軸方向に流れる空気に干渉する。この干渉のために、ファンの回転騒音が顕著に発生すると考えられている。ファンの回転騒音を低減するために、特許文献1の場合、広い側の導風部に沿ってリング部の内側に流入しようとする空気の流れを、広い側の導風部に設けた整流板によって抑制して、ピーク音に起因する干渉現象を低減している。
このように、ファンシュラウドの導風部に沿って流れる空気はファンシュラウドの形状やファンシュラウドとファンとの位置関係によって特有の流れを形成する。ファンシュラウドを有する送風装置においては、装置特有の空気流れに起因するファンの回転騒音を低減することが重要な課題となっている。
そこで本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、回転騒音に関わるピーク騒音レベルを低減可能なファンシュラウドを有する送風装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示する送風装置に係る発明のひとつは、熱交換器(4)に対向するように空気流れの下流側に位置し、熱交換器において熱交換が行われる熱交換部(40)に空気を通風させる軸流型のファン(3)と、ファンを支持するファンシュラウド(2)と、を備え、
ファンシュラウドは、ファンの先端との間に隙間をあけてファンの外周を取り囲むリング部(21)と、ファンシュラウドの外周縁(22)とリング部を連絡する部分であってファンにより吸入される空気をリング部の内側に誘導する導風部(23)とを有し、
リング部は、ファンシュラウドに対して片側に偏心する位置に設けられ、
ファンシュラウドは、ファンシュラウドの外周縁のうち、ファンシュラウドの中心を通る中心線よりもリング部が偏っている側の領域である偏心側領域において、リング部の内周縁(21a)までの距離が他の部分に比べて短い短縁部(22a)を有し、
短縁部の内側に位置する導風部の特定部位(23a)は、熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含み、
導風部における偏心側領域には、リング部よりも径外側で周方向について部分的に導風部の表面から突出する突出片(24)が設けられることを特徴とする。
この発明に係る送風装置においては、発明者らの鋭意研究により以下のことがわかっている。短縁部の内側に位置する導風部の特定部位は、熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含むため、当該特定部位には、熱交換部を通過しない空気が直接吸い込まれる。この特定部位を経由した空気は、導風部の表面を沿うように流れるため、ファンの回転軸方向に対して交差するようにリング部の内側に流入する。さらに、特定部位よりもファンの中心寄りに近い部位には、熱交換部を通過した空気がファンの回転軸方向に流れるようにリング部の内側に流入する。これらの2つの流れは、互いに交差する方向に流れるため、互いに干渉し合うことになってしまう。この干渉現象は、不規則な渦の発生を促し、この送風装置に特有の空気流れに起因するファンの回転騒音の発生を引き起こすことになる。
この発明によれば、導風部における偏心側領域には、リング部よりも径外側で周方向について部分的に導風部の表面から突出する突出片が設けられるため、導風部に沿って引き込まれる空気流は突出片によって導風部の表面から離れるように流れが変化する。このように導風部の表面から離れるように変化する流れは、リング部の内側に流入する際の空気流がファンの回転軸方向に近い流れとなることに寄与する。この回転軸方向に近い流れは、熱交換部を通過しないで特定部位から吸い込まれる空気と熱交換部を通過してきた空気とが交差する度合いを低減するので、干渉現象が抑制され、不規則な渦の発生を抑制することができる。この作用によれば、ピーク音を低減できるので、ファンの回転騒音を低減することができる。したがって、回転騒音に関わるピーク騒音レベルを低減可能なファンシュラウドを有する送風装置を提供することができる。
また、開示する送風装置に係る発明のひとつは、熱交換器(4)に対向するように空気流れの下流側に位置し、熱交換器において熱交換が行われる熱交換部(40)に空気を通風させる軸流型のファン(3)と、ファンを支持するファンシュラウド(2)と、を備え、
ファンシュラウドは、ファンの先端との間に隙間をあけてファンの外周を取り囲むリング部(21)と、ファンシュラウドの外周縁(22)とリング部を連絡する部分であってファンにより吸入される空気をリング部の内側に誘導する導風部(23)とを有し、
リング部は、ファンシュラウドに対して片側に偏心する位置に設けられ、
ファンシュラウドは、ファンシュラウドの外周縁のうち、ファンシュラウドの中心を通る中心線よりもリング部が偏っている側の領域である偏心側領域において、リング部の内周縁(21a)までの距離が他の部分に比べて短い短縁部(22a)を有し、
短縁部の内側に位置する導風部の特定部位(23a)は、熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含み、
導風部における偏心側領域には、リング部よりも径外側で導風部を貫通するスリット状の貫通穴(124)が設けられることを特徴とする。
この発明によれば、導風部における偏心側領域には、リング部よりも径外側で導風部を貫通する貫通穴が設けられるため、導風部の裏側から空気を導風部の表面側に引き込むことができる。この導風部の裏側から引き込まれた空気流は、導風部の表面から離れてからリング部の内側に流入するため、空気流がファンの回転軸方向に近い流れとなることに寄与する。この回転軸方向に近い流れによって、熱交換部を通過しないで特定部位から吸い込まれる空気と熱交換部を通過してきた空気との交差度合いが低減されるので、干渉現象が抑制され、不規則な渦の発生を抑制することができる。この作用によってピーク音を低減できるので、ファンの回転騒音を低減することができる。以上により、回転騒音に関わるピーク騒音レベルを低減可能なファンシュラウドを有する送風装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る送風装置を説明するための正面図である。 図1のII−II断面を矢印方向に見たときの、ファンシュラウドの部分断面図である。 第1実施形態の送風装置を説明するための斜視図である。 第1実施形態のファンシュラウドにおけるリブに関する部分断面図である。 第1実施形態の送風装置と比較例の送風装置について、騒音レベルを比較した実験結果である。 第1実施形態のファンシュラウドにおけるリブを示した側面図である。 ファンシュラウドにおけるリブについて他の形態を示した側面図である。 本発明の第2実施形態に係る送風装置を説明するための正面図である。 第2実施形態のファンシュラウドにおける貫通穴に関する部分断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態の送風装置1について図1〜図7にしたがって説明する。第1実施形態では、送風装置の一例として、車両にエンジン等を冷却するために搭載されるラジエータに対して送風を提供する装置について説明する。
図1に示すように、送風装置1は、1個の軸流型のファン3と、ファン3を回転駆動するモータを支持し、ファン3が吸入する空気を導くファンシュラウド2と、を備える。ファン3は、回転の中心となるボス部と、ボス部から放射状に延びる複数個のブレード30と、を備える。複数個のブレード30は、その一端はボス部と一体であり、他端は円形のリング部31と一体になるように構成されている。ファン3は、回転動力を与えるモータを備えている。モータは、回転軸であるモータシャフトを有する。モータシャフトと、ボス部とは固定部材により連結されている。モータは、電動式であり、例えばフェライト式の直流モータで構成する。モータには、アーマチャへ電力を供給するためのハーネス部が接続され、このハーネス部はコネクタ等を介して車両のバッテリに接続されている。
ファン3は、熱交換器の一例であるラジエータ4よりも吸入空気の下流側に配置されている。これにより、ファン3は、モータが回転駆動されることにより、車両前面のグリル側からエンジン側に向けて外気を吸引する。
ファンシュラウド2は、エンジン冷却水の熱を放熱させるためのラジエータ4に冷却風を提供するファン3を覆うように支持する部材である。ファンシュラウド2は、ファン3のモータを支持固定するとともに、ラジエータ4に一体に取り付けられる。例えば、ファンシュラウド2は、その鉛直方向下部及び鉛直方向上部にねじ等が挿通可能な貫通孔を備えた下側取付部及び上側取付部を有する。ファンシュラウド2は、この下側取付部及び上側取付部のそれぞれを、ラジエータ4に設けられた各雌ねじ部にねじで螺合することにより、ラジエータ4に一体に取り付けられる。
ファンシュラウド2は、矩形状であり、ラジエータ4において熱交換が行われる熱交換部に対して冷却風を通過させるファン3を1個配置できる構成を有している。ラジエータ4の熱交換部は、例えば、それぞれの内部を冷却水が流通する複数本のチューブと、チューブ間にチューブと一体に設けられるアウターフィンと、を備えて構成される。エンジンからの冷却水は、ウォータポンプが駆動されることによってラジエータ回路を通ってラジエータ4の入口側タンクに流入した後、熱交換部40のチューブ内を流れる。そして、冷却水は、ファン3により提供される車室外空気との間で熱交換されて冷却された後、出口側タンクから流出してエンジンに戻る。
ファンシュラウド2は、ファン3の先端との間に間隔を開けてファン3の外周を取り囲むリング部21と、ファン3により吸入される空気を誘導する導風部23と、を備えている。導風部23は、ファンシュラウド2の外周縁22とリング部21を連絡する部分であってファン3により吸入される空気をリング部21の内側に誘導する機能がある。また、ファンシュラウド2は、ファン3のモータが取り付けられるモータ取付部25と、モータ取付部25から放射状に複数本延設されるモータステー25aと、を備える。リング部21は、ファン3の7枚のブレード30の外周(ファンの外周)を囲む円形状の筒部であり、モータステー25aの放射方向端部と一体に形成され、モータステー25aを介してモータ取付部を支持する。
ファンシュラウド2は、その外周縁22とリング部21との間を接続する部分であって滑らかに傾斜、または湾曲する形状をなる導風部23を備えている。導風部23は、ラジエータ4の熱交換部の全面に外気を効率的に吸い込む機能を果たす。ファンシュラウド2の外周縁22におけるラジエータ側に位置する端部からリング部21の内周縁21aに至る導風部23によって形成される部分は、風洞部を構成し、外気の効率的な吸込み気流の形成に寄与する。ファンシュラウド2は、例えば樹脂成形部材であり、所定の金型を用いた射出成形等によって成形される。この樹脂成形部材は、例えばガラス繊維やタルク材によって強度が高められたポリプロピレン樹脂等によってできている。
ファンシュラウド2のリング部21は、ファンシュラウド2に対して片側に偏心する位置に設けられる。図1に示すように、ファンシュラウド2の中心を通る中心線2cは、リング部21の中心を通る中心線3cと一致せず、両者はずれた位置にある。これは、リング部21がファンシュラウド2に対して、中心線3cが存在する側、またはファン3の中心が存在する側に偏って設けられているからである。すなわち、リング部21は、ファンシュラウド2に対して偏心して設けられている。なお、中心線3cは、ファン3の中心を通る中心線でもある。
ファンシュラウド2には、ファンシュラウド2の中心を通る中心線2cよりもリング部21が偏っている側の領域である偏心側領域が設定されている。偏心側領域は、図1に図示するように、中心線2cよりも、中心線3cが存在する側、またはファン3の中心が存在する側の一帯である。ファンシュラウド2におけるリング部21のこのような位置関係によれば、ファンシュラウド2の外周縁22とリング部21の内周縁21aとの距離は、中心線2cの両側を比較すると、中心線3cが存在する偏心側領域の方が短くなっている。
したがって、ファンシュラウド2は、外周縁22のうち、偏心側領域においてリング部21の内周縁21aまでの距離が他の部分に比べて短い短縁部22aを有する。このため、短縁部22aの内側には、導風部23に相当する部分の表面積が他の部分と比べて著しく小さい特定部位23aが設けられている。
導風部23の特定部位23aは、熱交換部40と空気流れ方向に重ならない部分を含んでいる。すなわち、短縁部22aの内側の特定部位23aには、正面視して、熱交換部40とオーバーラップしない部分が含まれる。具体的には、ラジエータ4の熱交換部40は、ファンシュラウド2の中心線2cに対して線対称となるように設置されていない。熱交換部40は、中心線2cに対して偏心側領域とは反対側の領域に偏る位置に設置されている。このため、熱交換部40の端部は短縁部22aよりも内側に位置し、短縁部22aと熱交換部40の端部との間には、空気が流通可能な隙間が形成されている(図1及び図2参照)。
発明者らの鋭意研究によって判明している現象について、図2を参照しながら以下に説明する。ファン3が運転されると、外気はこの隙間と熱交換部40のそれぞれに引き込まれる。熱交換部40に引き込まれる空気A1は、チューブやアウターフィンの周囲を流れて、熱交換部40を回転軸方向に通過する。一方、短縁部22aと熱交換部40の端部の隙間に吸い込まれる空気A2は、短縁部22aの表面に沿って回転軸方向に流れて特定部位23aに達し、さらに特定部位23aに沿って流れてファン3の中心側に向かうベクトルとなるように流れが変化する。
このように熱交換部40を通過しないで特定部位23aを経由してきた空気A2は、ファン3の回転軸方向に対して交差するようにリング部21の内側に流入する。このファン3の回転軸方向に対して交差する空気A2は、熱交換部40を通過してファン3の回転軸方向に流れる空気A1と互いに交差するため、互いに干渉し合う。換言すれば、空気A1と空気A2は、ファン3に吸い込まれる際に衝突する流れを形成する。このような干渉を伴う現象は、この送風装置に特有の空気流れに起因するファンの回転騒音の発生を引き起こしてしまう。
そこで、導風部23における偏心側領域には、導風部23の表面から突出する突出片であるリブ24が設けられる。リブ24は、偏心側領域であって、導風部23の特定部位23aを除く部位に、すなわち、導風部23が形成されている面績が特定部位23aよりも大きい部位に設けられている。
リブ24はリング部21に沿うように設けられる。リブ24は、偏心側領域においてリング部21の周囲全体に設けられるものでなく、点在するように、または断続的に設けられている。例えば、図1及び図3に図示するように、リブ24は、リング部21よりも径外側で周方向について間隔をあけて設けられる第1のリブ240と第2のリブ241とを有して構成される。第1のリブ240は、特定部位23aに対して、一方の側の導風部23に設けられ、第2のリブ241は、他方の側の導風部23に設けられる。
第1のリブ240、第2のリブ241は、同様の形状であり、それぞれ周方向に所定の長さを有し突出方向に所定の高さを有して形成されている。以上のように、リブ24は、リング部21よりも半径方向の外側で導風部23の表面から突出する突出片を構成する。リブ24は、周方向について、環状または全周に渡って設けられるものではなく、部分的に、1個設けられ、または点在して複数個設けられる。
図4に図示するように、この送風装置1によれば、特定部位23aの周辺で、導風部23に沿って流れる空気A3は、リブ24によって、導風部23の表面から離れるように流れが変化する。そして、導風部23の表面から離れた位置からリング部21の内周縁21aに沿うような向きでリング部21の内側に流入するため、ファンの回転軸方向に近い空気流れとなる。リブ24によって変化した空気流れは、熱交換部40を通過しないで特定部位23aを経由してきたファン3の中心側に向かう空気A2に影響を及ぼし、空気A2のファン3の中心側に向かう流れを弱める作用をする。したがって、ファン3の中心側に向かう空気A2と熱交換部40を通過してきた空気A1とが交差する度合いが低減することになる。このようにファンシュラウド2は、リブ24によって、ファンシュラウド2の外周縁22よりも内側における空気の流れを整流して、不規則な流れを低減する働きを持つ。
図5は、発明者らが、第1実施形態の送風装置1、比較例1の送風装置、比較例2の送風装置についてそれぞれ騒音レベルを測定し、これらを比較した実験結果を示している。比較例1の送風装置は、リブ24のような整流機能を持つ突出片を有していないファンシュラウドを備える従来の装置である。比較例2の送風装置は、リブ24のような整流機能を持つ突出片を偏心側領域とは反対側の領域に有するファンシュラウドを備える従来の装置である。
その他の実験条件は、各送風装置について、ラジエータを一体に取り付けた状態で、モータに同一の電圧を印加し、ファンシュラウドの外周縁の位置から1m空気流れ下流へ離れ、ファンの中心と同じ高さに設置したマイクで騒音を測定した。図5に示す音圧レベルは、A特性周波数重み付けを用いて測定したものである。
図5において、実線で示す結果が第1実施形態の送風装置1の騒音特性である。また、破線で示す結果が比較例1の装置の騒音特性であり、一点鎖線で示す結果が比較例2の装置の騒音特性である。図からわかるように、周波数150Hz付近において、ともにピーク値が測定され、送風装置1が41.3dBA、比較例1が52.0dBA、比較例2が50.4dBAの測定結果が得られた。このように、送風装置1は、比較例1よりも音圧レベルが10.7dBA低下するという秀でた効果が得られ、比較例2よりも音圧レベルが1.6dBA低下するという効果が得られた。
さらに、周波数450Hz付近、650Hz付近において、送風装置1のピーク音が、比較例1や比較例2のピーク音よりも大きく低減するという測定結果が得られた。このように送風装置1によれば、人の聴覚に対して、不快な騒音であると感じられやすい低周波域でのピーク音のレベルを大きく低減することができるので、人に不快感を与えうる回転騒音を低下することができる。
次に、図6、図7を参照して、第1のリブ240や第2のリブ241の外形形状について説明する。図6に示すように、第1のリブ240や第2のリブ241は、導風部23の表面に対して傾斜する傾斜部2401を有する先端形状を有する。傾斜部2401は、各リブの周方向端部において形成される形状である。また、第1のリブ240や第2のリブ241は、導風部23の表面に向かって凹む凹部2402を有する先端形状を有する。凹部2402は、両端に位置する傾斜部2401の間に設けられている。図7に示すように、第1のリブ240や第2のリブ241は、導風部23の表面に対して湾曲する湾曲部2403を有する先端形状を有する。湾曲部2403は、中央の凹部2402の両端に位置するように設けられている。
次に、第1実施形態の送風装置1がもたらす作用効果について述べる。送風装置1は、熱交換器に対向するように空気流れの下流側に位置し、熱交換器において熱交換が行われる熱交換部に空気を通風させる軸流型のファン3と、ファン3を支持するファンシュラウド2と、を備える。ファンシュラウド2は、ファン3の先端との間に隙間をあけてファン3の外周を取り囲むリング部21と、外周縁22とリング部21を連絡する部分であってファン3により吸入される空気をリング部21の内側に誘導する導風部23とを有する。リング部21は、ファンシュラウド2に対して片側に偏心する位置に設けられる。ファンシュラウド2は、外周縁22のうち、ファンシュラウド2の中心線2cよりもリング部21が偏っている側の領域である偏心側領域において、リング部21の内周縁21aまでの距離が他の部分に比べて短い短縁部22aを有する。短縁部22aの内側に位置する導風部23の特定部位23aは、熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含む。導風部23における偏心側領域には、リング部21よりも径外側で周方向について部分的に導風部23の表面から突出する突出片が設けられる。
この構成によれば、導風部23における偏心側領域には、リング部21よりも径外側で周方向について部分的に導風部23の表面から突出する突出片が設けられる。このため、導風部23に沿って引き込まれる空気流は突出片によって導風部23の表面から離れるように流れが変化する。このように導風部23の表面から離れるように変化する流れは、リング部21の内側に流入する際の空気流がファン3の回転軸方向に近い流れとなることに寄与する。この回転軸方向に近い流れは、熱交換部40を通過しないで特定部位23aから吸い込まれる空気と熱交換部40を通過してきた空気とが交差する度合いを低減する。したがって、干渉現象が抑制され、不規則な渦の発生を抑制することができる。この作用によれば、低周波数域のピーク音を低減できるので、ファン3の回転騒音を低減することができる。
また、突出片の一例であるリブ24が導風部23の表面から部分的に突出するため、突出片が環状に全体として設けられている場合に比べて、導風部23に沿ってリング部21の内側に引き込まれる空気の風量を多くすることに寄与する。すなわち、送風装置1によれば、風量低下を抑制できるとともに、空気の干渉度合いを低減して不規則な渦の発生を抑制することができる。
また、突出片の一例であるリブ24は、リング部21よりも径外側において離間して複数個設けられている。この構成によれば、リブとリブの間では導風部23に沿う流れが活発になるため導風部23に沿って流れる風量の低下を抑制できるとともに、空気の干渉度合いを低減して不規則な渦の発生を抑制することができる。
また、突出片の一例であるリブ24は、導風部23の表面に対して傾斜する傾斜部2401を有する先端形状を有する。この構成によれば、リブ24の両端の角部が直角よりも大きな角度に形成されるため、ファン3に吸い込まれる空気がリブ24によって流れ方向が変化するときに、エッジ部によって生じうる渦の発生を抑制することができる。したがって、不規則な渦の発生の抑制することに貢献できる。
また、突出片の一例であるリブ24は、導風部23の表面に向かって凹む凹部2402を有する先端形状を有する。この構成によれば、ファン3に吸い込まれる空気は、リブ24によって流れ方向が変化するときに、導風部23の表面からの先端位置が低くなっている凹部2402を通過することができる。これにより、導風部23に沿って流れる空気流がリング部21側に流れやすくなるため、通風抵抗を低減しつつ、不規則な渦の発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の他の形態である送風装置101に図8及び図9を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
図8及び図9に示すように、送風装置101は、第1実施形態の送風装置1に対して、ファンシュラウド102が相違する。ファンシュラウド102は、ファンシュラウド2の突出片の代わりに、貫通穴124を備えることが相違する。
導風部23における偏心側領域には、導風部23を貫通するスリット状の貫通穴124が設けられる。貫通穴124は、偏心側領域であって、導風部23の特定部位23aを除く部位に、すなわち、導風部23が形成されている面績が特定部位23aよりも大きい部位に少なくとも一つ以上設けられている。
貫通穴124はリング部21に沿うように設けられる細長い開口部である。貫通穴124は、偏心側領域においてリング部21の周囲全体に設けられるものでなく、点在するように、または断続的に設けられている。例えば、図8及び図9に図示するように、貫通穴124は、リング部21よりも径外側で周方向について間隔をあけて設けられる第1の貫通穴1240と第2の貫通穴1241とを有して構成される。第1の貫通穴1240は、特定部位23aに対して、一方の側の導風部23に設けられ、第2の貫通穴1241は、他方の側の導風部23に設けられる。
第1の貫通穴1240、第2の貫通穴1241は、同様のスリット形状であり、それぞれ周方向に所定の長さを有して形成されている。以上のように、貫通穴124は、リング部21よりも半径方向の外側で導風部23に部分的に設けられるスリット状開口である。貫通穴124は、周方向について、環状または全周に渡って設けられるものではなく、部分的に、1個設けられ、または点在して複数個設けられる。
図9に図示するように、この送風装置101によれば、特定部位23aの周辺で、導風部23に沿って流れる空気A3は、貫通穴124を通して導風部23の裏側から表側に吸入される空気によって、導風部23の表面から離れるように流れが変化する。そして第1実施形態と同様に、導風部23の表面から離れた位置からリング部21の内周縁21aに沿うような向きでリング部21の内側に流入するため、ファン3の回転軸方向に近い空気流れとなる。貫通穴124から流入空気によって変化した空気流れは、熱交換部40を通過しないで特定部位23aを経由してきたファン3の中心側に向かう空気A2に影響を及ぼし、空気A2のファン3の中心側に向かう流れを弱める作用をする。これにより、ファン3の中心側に向かう空気A2と熱交換部40を通過してきた空気A1とが交差する度合いが低減することになる。このようにファンシュラウド102は、貫通穴124を通じた吸入空気によって、ファンシュラウド102の外周縁22よりも内側における空気の流れを整流して、不規則な流れを低減する働きを持つ。
次に、第2実施形態の送風装置101がもたらす作用効果について述べる。送風装置101は、熱交換器に対向するように空気流れの下流側に位置し、熱交換器において熱交換が行われる熱交換部に空気を通風させる軸流型のファン3と、ファン3を支持するファンシュラウド102と、を備える。ファンシュラウド102は、ファン3の先端との間に隙間をあけてファン3の外周を取り囲むリング部21と、外周縁22とリング部21を連絡する部分であってファン3により吸入される空気をリング部21の内側に誘導する導風部23とを有する。リング部21は、ファンシュラウド102に対して片側に偏心する位置に設けられる。ファンシュラウド102は、外周縁22のうち、ファンシュラウド102の中心線2cよりもリング部21が偏っている側の領域である偏心側領域において、リング部21の内周縁21aまでの距離が他の部分に比べて短い短縁部22aを有する。導風部23における偏心側領域には、リング部21よりも径外側で導風部23を貫通するスリット状の貫通穴124が設けられる。
この構成によれば、導風部23における偏心側領域には、リング部21よりも径外側で導風部23を貫通する貫通穴124が設けられるため、導風部23の裏側から空気を導風部23の表面側に引き込むことができる。貫通穴124を通して導風部23の裏側から引き込まれた空気流は、導風部23の表面から離れてからリング部21の内側に流入するため、リング部21の内側に引き込まれる空気流がファン3の回転軸方向に近い流れとなることに寄与する。この回転軸方向に近い流れによって、熱交換部40を通過しないで特定部位23aから吸い込まれる空気と熱交換部40を通過してきた空気とが交差する度合いを低減することができる。この作用によってピーク音を低減できるので、ファン3の回転騒音を低減することができる。以上により、回転騒音に関わるピーク騒音レベルを低減可能なファンシュラウド102を有する送風装置101を提供できる。
また、貫通穴124は、リング部21よりも径外側において離間して複数個設けられている。この構成によれば、貫通穴と貫通穴の間では導風部23に沿う流れが活発になるため導風部23に沿って流れる風量の低下を抑制できるとともに、空気の干渉度合いを低減して不規則な渦の発生を抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、開示された発明の好ましい実施形態について説明したが、開示された発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、開示された発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。開示された発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の実施形態の送風装置1、101は、車両のエンジン冷却水を冷却するためのラジエータに対して冷却風を提供する装置であるが、本発明はこの実施形態に限定して適用されるものではない。例えば、空調装置、給湯装置等の室外機に搭載されて冷却風を提供する装置、コンピュータ、電子部品等を冷却する冷却風を提供する装置等に適用することが可能である。
前述の実施形態の送風装置1、101は、ラジエータ4よりも空気流れの下流に配置されているが、この形態に限定するものではない。例えば、送風装置1、101が吹き出した空気を熱交換器等に供給するように配置されるものであってもよい。
前述の実施形態の送風装置1や送風装置101におけるリブ24や貫通穴124は、実施形態で説明した個数や設置位置に限定されるものではない。
1、101…送風装置
2、102…ファンシュラウド
3…ファン
4…ラジエータ(熱交換器)
21…リング部
22…外周縁、 22a…短縁部
23…導風部、 23a…導風部の特定部位
24…リブ(突出片)
40…熱交換部

Claims (6)

  1. 熱交換器(4)に対向するように空気流れの下流側に位置し、前記熱交換器において熱交換が行われる熱交換部(40)に空気を通風させる軸流型のファン(3)と、
    前記ファンを支持するファンシュラウド(2)と、
    を備え、
    前記ファンシュラウドは、前記ファンの先端との間に隙間をあけて前記ファンの外周を取り囲むリング部(21)と、前記ファンシュラウドの外周縁(22)と前記リング部を連絡する部分であって前記ファンにより吸入される空気を前記リング部の内側に誘導する導風部(23)とを有し、
    前記リング部は、前記ファンシュラウドに対して片側に偏心する位置に設けられ、
    前記ファンシュラウドは、前記ファンシュラウドの前記外周縁のうち、前記ファンシュラウドの中心を通る中心線よりも前記リング部が偏っている側の領域である偏心側領域において、前記リング部の内周縁(21a)までの距離が他の部分に比べて短い短縁部(22a)を有し、
    前記短縁部の内側に位置する前記導風部の特定部位(23a)は、前記熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含み、
    前記導風部における前記偏心側領域には、前記リング部よりも径外側で周方向について部分的に前記導風部の表面から突出する突出片(24)が設けられることを特徴とする送風装置。
  2. 前記突出片(240、241)は、前記リング部よりも径外側において離間して複数個設けられることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
  3. 前記突出片は、前記導風部の表面に対して傾斜する傾斜部(2401)を有する先端形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風装置。
  4. 前記突出片は、前記導風部の表面に向かって凹む凹部(2402)を有する先端形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風装置。
  5. 熱交換器(4)に対向するように空気流れの下流側に位置し、前記熱交換器において熱交換が行われる熱交換部(40)に空気を通風させる軸流型のファン(3)と、
    前記ファンを支持するファンシュラウド(102)と、
    を備え、
    前記ファンシュラウドは、前記ファンの先端との間に隙間をあけて前記ファンの外周を取り囲むリング部(21)と、前記ファンシュラウドの外周縁(22)と前記リング部を連絡する部分であって前記ファンにより吸入される空気を前記リング部の内側に誘導する導風部(23)とを有し、
    前記リング部は、前記ファンシュラウドに対して片側に偏心する位置に設けられ、
    前記ファンシュラウドは、前記ファンシュラウドの前記外周縁のうち、前記ファンシュラウドの中心を通る中心線よりも前記リング部が偏っている側の領域である偏心側領域において、前記リング部の内周縁(21a)までの距離が他の部分に比べて短い短縁部(22a)を有し、
    前記短縁部の内側に位置する前記導風部の特定部位(23a)は、前記熱交換部と空気流れ方向に重ならない部分を含み、
    前記導風部における前記偏心側領域には、前記リング部よりも径外側で前記導風部を貫通するスリット状の貫通穴(124)が設けられることを特徴とする送風装置。
  6. 前記貫通穴(1240、1241)は、前記リング部よりも径外側において、離間して複数個設けられることを特徴とする請求項5に記載の送風装置。
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