JP2016089259A - 脱銅電解工程の給液装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】混合槽41と、含銅塩化ニッケル溶液19を混合槽41に供給する第1主流路51と、希釈液18を混合槽41に供給する第2主流路52と、第1主流路51および第2主流路52に設けられた流量制御手段51v、52vと、含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を吸光光度法により測定する比色計43と、比色計43の測定結果に基づき流量制御手段51v、52vを制御する制御装置44とを備える。含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を比色計43で測定するので測定頻度を高くすることができる。比色計43の測定結果に基づき流量制御手段51v、52vを制御することで脱銅電解給液22の銅濃度を自動で調整できる。そのため、脱銅電解給液22の銅濃度を安定させることができる。
【選択図】図1
Description
図7に示すように、ニッケルマット11と後述の含銅塩化ニッケル溶液19とをセメンテーション工程31に供給し、含銅塩化ニッケル溶液19中の銅イオンとニッケルマット11中のニッケルメタルとの置換反応により、含銅ニッケルスラリー13と塩化ニッケル溶液14とを得る。つぎに、ニッケル・コバルト混合硫化物12と含銅ニッケルスラリー13とを塩素浸出工程35に供給し、塩素浸出により含銅塩化ニッケル溶液19を得る。この含銅塩化ニッケル溶液19をセメンテーション工程31に繰り返し装入する。セメンテーション工程31から得た塩化ニッケル溶液14を浄液した後、ニッケル電解工程33に供給し、電解採取により電気ニッケル16を回収する。
カソード電流効率[%]=〔産出銅粉×銅品位[%]〕/〔Cu2+電気化学等量×通電時間×通電電流〕
[化1]
Cu2+ + 2e- = Cu0
[化2]
Cu0 + Cu2+ = 2Cu+
第2発明の脱銅電解工程の給液装置は、第1発明において、前記第1主流路から分岐し、前記含銅塩化ニッケル溶液の一部を前記比色計に供給する第1副流路と、前記比色計に供給される前記含銅塩化ニッケル溶液を塩化物イオン含有液で希釈する希釈手段と、を備えることを特徴とする。
第3発明の脱銅電解工程の給液装置は、第1発明において、前記希釈液はアノライトであり、前記第1主流路から分岐し、前記含銅塩化ニッケル溶液の一部を前記比色計に供給する第1副流路と、前記第2主流路から分岐し、前記アノライトの一部を前記比色計に供給する第2副流路と、を備えることを特徴とする。
第4発明の脱銅電解工程の給液装置は、第3発明において、前記第1副流路および前記第2副流路が接続され、前記含銅塩化ニッケル溶液と前記アノライトとを混合する希釈槽を備えることを特徴とする。
第5発明の脱銅電解工程の給液装置は、第4発明において、前記希釈槽は、その内部を給液室と排液室とに仕切る堰を備え、前記給液室に、前記第1副流路および前記第2副流路が接続されており、前記排液室に、排出管が接続されており、前記堰は、上端が液面より高く設定されており、下端と前記希釈槽の底との間に隙間が形成されており、前記排出管は、液面付近に接続されていることを特徴とする。
第6発明の脱銅電解工程の給液装置は、第5発明において、前記希釈槽は、前記給液室に設けられた撹拌機を備えることを特徴とする。
第7発明の脱銅電解工程の給液装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記比色計で測定した後の試料溶液を前記混合槽に供給する戻り流路を備えることを特徴とする。
第8発明の脱銅電解工程の給液装置は、第1発明において、前記希釈液はアノライトであり、前記脱銅電解給液を前記脱銅電解槽に供給する第3主流路と、前記第3主流路から分岐し、前記脱銅電解給液の一部を前記比色計に供給する第3副流路と、を備えることを特徴とする。
第2発明によれば、含銅塩化ニッケル溶液を塩化物イオン含有液で希釈するので、含銅塩化ニッケル溶液の塩化物イオン濃度の変動を低減でき、銅濃度測定への影響を抑制できる。そのため、含銅塩化ニッケル溶液の銅濃度を精度よく測定できる。
第3発明によれば、含銅塩化ニッケル溶液をアノライトで希釈するので、含銅塩化ニッケル溶液の塩化物イオン濃度の変動を抑制でき、銅濃度測定への影響を低減できる。そのため、含銅塩化ニッケル溶液の銅濃度を精度よく測定できる。
第4発明によれば、希釈槽で含銅塩化ニッケル溶液とアノライトとを混合するので、試料溶液の銅濃度を均一化でき、含銅塩化ニッケル溶液の銅濃度を精度よく測定できる。
第5発明によれば、給液室で混合された液は、堰の下端と希釈槽の底との間を通って排液室に流れた後に、排液室からオーバーフローして排出管に流れるため、液が液面付近を流れて混合が不十分なまま排出される、ショートパスを防止できる。
第6発明によれば、撹拌機により、含銅塩化ニッケル溶液とアノライトとを十分に混合でき、試料溶液の銅濃度を均一化できる。
第7発明によれば、試料溶液を混合槽に供給するので、測定に用いられた含銅塩化ニッケル溶液に含まれる有価金属のロスを防止できる。
第8発明によれば、脱銅電解給液は含銅塩化ニッケル溶液とアノライトとの混合液であるので、含銅塩化ニッケル溶液の塩化物イオン濃度の変動を低減でき、銅濃度測定への影響を抑制できる。そのため、含銅塩化ニッケル溶液の銅濃度を精度よく測定できる。
(ニッケル湿式製錬)
まず、図7に基づきニッケル湿式製錬の全体フローを説明する。
ニッケル湿式製錬では、原料のニッケル硫化物として、ニッケルマット11とニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)12の2種類が用いられる。ニッケルマット11は、硫鉄ニッケル鉱を熔錬することで得られる。また、ニッケル・コバルト混合硫化物12は、低品位ラテライト鉱を硫酸浸出し、浸出液中のニッケルとコバルトを硫化物として回収することで得られる。
脱銅電解給液の銅濃度が所定値となるように調整するためには、含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を測定する必要がある。従来は、含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度をICP発光分光分析法により分析していたため、分析頻度を高くすることができなかった。これに対して、本出願人は、吸光光度法により含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を定量分析する方法を発明し、すでに特許出願(特願2014−038718)している。この定量分析方法によれば、吸光光度法を用いることで、高い頻度で、さらには連続的に含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を定量分析することが可能である。
含銅塩化ニッケル溶液19には、測定対象である銅のほかに、ニッケルやコバルトが含まれ、それぞれがクロロ錯体として光を吸収する。そのため、ニッケルやコバルトによる銅濃度の測定への影響を排除できるように測定波長を選択する必要がある。
前述のごとく、含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度は、銅のクロロ錯体の吸光度を測定することで求められる。しかし、銅のクロロ錯体は、配位子である塩化物イオン濃度の影響を受けるため、これが銅濃度の測定にも影響を及ぼす。
(給液装置A)
つぎに、本発明の第1実施形態に係る給液装置Aを説明する。
本実施形態の給液装置Aは、前記ニッケル湿式製錬の脱銅電解工程36において、含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18との混合液を脱銅電解給液として脱銅電解槽に給液する給液装置である。給液装置Aは、吸光光度法により銅濃度を測定する比色計を用いることで、測定頻度を高くする所に特徴を有する。
比色計43は、吸光光度法により溶液中に溶解している物質の濃度を測定する装置であり、分光光度計とも称される。比色計43で試料溶液23を測定することにより、含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を測定できる。なお、前述のごとく比色計43の測定波長は860〜950nmとすることが好ましく、880nmとすることがより好ましい。測定波長を前記範囲に設定することで、含銅塩化ニッケル溶液19に含まれるニッケルおよびコバルトによる銅濃度の測定への影響を排除できるからである。
図1に戻り説明する。給液装置Aは、第1、第2流量制御弁51v、52vを制御する制御装置44を備えている。制御装置44は、CPUやメモリなどで構成されたコンピュータや、単純な電子回路である。制御装置44には、比色計43で測定された測定結果(銅濃度や吸光度)が入力されている。制御装置44は比色計43の測定結果に基づき、第1、第2流量制御弁51v、52vの開度を制御して、混合槽41における含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18との混合比率を調整する。
ところで、比色計43に供給される含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18との混合が不十分であると、試料溶液23の銅濃度が不均一となり、比色計43において正確に含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度が測定できないばかりか、測定結果が大きく変動することになる。その結果、測定結果に基づいて脱銅電解給液22の銅濃度を調整しても、求める銅濃度に調整することができず、しかも脱銅電解給液22の銅濃度が不安定になる(変動する)。これに対して、希釈槽42を以下に説明する構成とすることで、含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18とを十分に混合することができる。
つぎに、本発明の第2実施形態に係る給液装置Bを説明する。
図4に示すように、本実施形態の給液装置Bは、第1実施形態において、含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18とを混合して試料溶液23を製造するのに代えて、含銅塩化ニッケル溶液19と塩化物イオン含有液24とを混合して試料溶液23を製造する形態である。具体的には、第1実施形態の第2副流路55に代えて、塩化物イオン含有液24を希釈槽42に供給する流路58を設け、流路58に設けられたポンプ58pにより、塩化物イオン含有液24の流量を制御するよう構成されている。その余の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
つぎに、本発明の第3実施形態に係る給液装置Cを説明する。
図5に示すように、本実施形態の給液装置Cは、第1実施形態において、希釈手段(第2副流路55および希釈槽42)を設けない構成である。すなわち、第1副流路54により分岐した一部の含銅塩化ニッケル溶液19を直接比色計43に供給し、その銅濃度を測定する形態である。
つぎに、本発明の第4実施形態に係る給液装置Dを説明する。
図6に示すように、本実施形態の給液装置Dは、第1実施形態において、混合槽41で混合された後の脱銅電解給液22の一部を比色計43に供給し、脱銅電解給液22の吸光度から含銅塩化ニッケル溶液19の銅濃度を測定する形態である。具体的には、第3主流路53からは第3副流路59が分岐しており、第3主流路53を流れる脱銅電解給液22の一部が比色計43に供給される。
前記第1実施形態では、希釈槽42を設ける構成としたが、この希釈槽42を設けない構成としてもよい。この場合、例えば、第1、第2副流路54、55の配管を途中で接続し、配管内で含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18とが混合される構成とすればよい。
(共通の条件)
まず、以下の説明する実施例および比較例の共通の条件を説明する。
含銅塩化ニッケル溶液19の流量および組成は以下の通りである。
流量 :15〜80L/分
銅濃度 :25〜45g/L
ニッケル濃度:220〜270g/L
アノライト18の流量および組成は以下の通りである。
流量 :3〜45L/分(給液装置による調整後)
銅濃度 :実質的に0g/L
ニッケル濃度:70〜80g/L
また、脱銅電解給液22の銅濃度の設定値は25g/Lとした。銅濃度のバラつきは銅濃度の最大値と最小値の幅で評価した。
前記第1実施形態の給液装置Aを用いて、1週間の操業を行った。ここで、比色計43に供給する含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18との混合比率は、以下の通りとした。
含銅塩化ニッケル溶液:アノライト = 1:3 〜 1:6
含銅塩化ニッケル溶液の流量:100〜150mL/分
実施例1において、希釈槽42から、堰42aと撹拌機42bとを取り外したものを用いて、1周間の操業を行った。その余の条件は実施例1と同様である。
その結果、脱銅電解給液22の銅濃度の平均値は25.1g/Lであり、バラつきは±0.7g/Lであった。
実施例1において、希釈槽42を設けず、比色計43の直前で第1、第2副流路54、55の配管を接続した。
その結果、脱銅電解給液22の銅濃度の平均値は27.4g/Lであり、バラつきは±1.1g/Lであった。
含銅塩化ニッケル溶液19を8時間ごとにサンプリングして銅濃度を測定し、その結果により含銅塩化ニッケル溶液19とアノライト18との混合比率を調整した。
その結果、脱銅電解給液22の銅濃度の平均値は23.4g/Lであり、バラつきは±1.5g/Lであった。
18 アノライト
19 含銅塩化ニッケル溶液
22 脱銅電解給液
23 試料溶液
41 混合槽
42 希釈槽
43 比色計
44 制御装置
51 第1主流路
51v 第1流量制御弁
52 第2主流路
52v 第2流量制御弁
54 第1副流路
55 第2副流路
57 戻り流路
60 脱銅電解槽
Claims (8)
- ニッケル湿式製錬の脱銅電解工程において、含銅塩化ニッケル溶液と希釈液との混合液を脱銅電解給液として脱銅電解槽に給液する給液装置であって、
前記含銅塩化ニッケル溶液と前記希釈液とを混合して前記脱銅電解給液を製造する混合槽と、
前記含銅塩化ニッケル溶液を前記混合槽に供給する第1主流路と、
前記希釈液を前記混合槽に供給する第2主流路と、
前記第1主流路および/または前記第2主流路に設けられた流量制御手段と、
前記含銅塩化ニッケル溶液の銅濃度を、吸光光度法により測定する比色計と、
前記比色計の測定結果に基づき、前記脱銅電解給液の銅濃度が所定値となるように前記流量制御手段を制御する制御装置と、を備える
ことを特徴とする脱銅電解工程の給液装置。 - 前記第1主流路から分岐し、前記含銅塩化ニッケル溶液の一部を前記比色計に供給する第1副流路と、
前記比色計に供給される前記含銅塩化ニッケル溶液を塩化物イオン含有液で希釈する希釈手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記希釈液はアノライトであり、
前記第1主流路から分岐し、前記含銅塩化ニッケル溶液の一部を前記比色計に供給する第1副流路と、
前記第2主流路から分岐し、前記アノライトの一部を前記比色計に供給する第2副流路と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記第1副流路および前記第2副流路が接続され、前記含銅塩化ニッケル溶液と前記アノライトとを混合する希釈槽を備える
ことを特徴とする請求項3記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記希釈槽は、
その内部を給液室と排液室とに仕切る堰を備え、
前記給液室に、前記第1副流路および前記第2副流路が接続されており、
前記排液室に、排出管が接続されており、
前記堰は、上端が液面より高く設定されており、下端と前記希釈槽の底との間に隙間が形成されており、
前記排出管は、液面付近に接続されている
ことを特徴とする請求項4記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記希釈槽は、
前記給液室に設けられた撹拌機を備える
ことを特徴とする請求項5記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記比色計で測定した後の試料溶液を前記混合槽に供給する戻り流路を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の脱銅電解工程の給液装置。 - 前記希釈液はアノライトであり、
前記脱銅電解給液を前記脱銅電解槽に供給する第3主流路と、
前記第3主流路から分岐し、前記脱銅電解給液の一部を前記比色計に供給する第3副流路と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載の脱銅電解工程の給液装置。
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