JP2017155280A - 含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法及び電気ニッケルの製造方法 - Google Patents
含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法及び電気ニッケルの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明に係る銅イオン除去方法は、含銅塩化ニッケル水溶液にニッケル硫化物を添加し、その含銅塩化ニッケル水溶液に含まれる銅イオンを還元する還元工程S21と、得られたスラリーにニッケルマットを添加し、還元された銅イオンを硫化銅として固定化する銅イオン固定化工程S22と、得られたスラリーを固液分離する固液分離工程S23とを有する。そして、還元工程S21では、反応終液の酸化還元電位が350mV〜450mVの範囲となるようにニッケル硫化物を添加し、銅イオン固定化工程S22では、反応終液の酸化還元電位が0mV〜100mVの範囲となるようにニッケルマットを添加する。
【選択図】図2
Description
塩素浸出工程S1では、例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により製造されたニッケル硫化物等の銅を含有する金属硫化物を原料として、塩素でニッケル等の金属を浸出する。具体的には、後述するセメンテーション工程S2後のセメンテーション残渣と共に、電解工程S4で回収された塩素ガスによって、ニッケル硫化物中のニッケルを浸出させ、塩素浸出液としての含銅塩化ニッケル水溶液を生成させる。なお、原料であるニッケル硫化物は、例えば、電解工程S4にて得られる塩化ニッケル水溶液によってレパルプされてスラリー化したものが用いられる。
Cl2+2Cu+ → 2Cl−+2Cu2+ ・・・(1)
NiS+2Cu2+ → Ni2++S0+2Cu+ ・・・(2)
Cu2S+2Cu2+ → 4Cu++S0 ・・・(3)
セメンテーション工程S2では、塩素浸出工程S1で生成された塩素浸出液である銅イオンを含有する塩化ニッケル水溶液から銅イオンを固定化し除去する。電気ニッケルの製錬プロセスにおいて、ニッケルの電解採取の対象となる塩化ニッケル水溶液中に含まれる銅は不純物となる。したがって、塩化ニッケル水溶液から銅を効果的に除去することによって、良質な電気ニッケルを製造することが可能となる。
まず、還元工程S21では、塩素浸出工程S1にて生成された銅を含む塩化ニッケル水溶液(含銅塩化ニッケル水溶液)中の銅イオンを還元処理する。このとき、本実施の形態においては、ニッケル硫化物(NiS)を添加して還元処理する。
4NiS+2Cu2+ → Ni2++Ni3S4+2Cu+ ・・・(4)
NiS+2Cu+ → Ni2++Cu2S ・・・(5)
次に、銅イオン固定化工程S22では、上述した還元工程S21を経て得られたスラリーにニッケルマットを添加し、還元されて生成した1価の銅イオンを硫化銅として固定化する。なお、銅イオン固定化工程S22においては、還元工程S21を経て得られたスラリーに対して直接ニッケルマットを添加する。つまり、還元工程S21にて得られたスラリーを固液分離するなどの処理を行うことなく、スラリー中にニッケル硫化物が残留している状態でニッケルマットを供給する。
Ni+Cu2+ →Ni2++Cu+ ・・・(6)
Ni3S2+2Cu2+ → Ni2++2NiS+2Cu+ ・・・(7)
Ni3S2+4Cu+ →2Ni2++NiS+Cu2S ・・・(8)
そして次に、固液分離工程S23では、上述した銅イオン固定化工程S22を経て得られたスラリーに対して固液分離処理を施す。この固液分離工程S23での固液分離により、銅イオン固定化工程S22において生成した硫化銅等のセメンテーション残渣が分離除去され、銅濃度が0.05g/L以下の低濃度にまで低減された塩化ニッケル水溶液であるセメンテーション終液を得ることができる。
浄液工程S3では、上述したセメンテーション工程S2を経て得られたセメンテーション終液(銅が除去された塩化ニッケル水溶液)からニッケル以外の他の不純物を除去し、電解採取するための塩化ニッケル水溶液を得る。
2M2++Cl2+3NiCO3+3H2O→
2M(OH)3+3Ni2++2Cl−+3CO2 ・・・(9)
(但し、Mは、コバルト又は鉄である)
電解工程S4では、上述した浄液工程S3を経て浄液された塩化ニッケル水溶液から電解採取法により電気ニッケルを得る。
(カソード側)
Ni2++2e−→Ni0 ・・・(10)
(アノード側)
2Cl−→Cl2↑+2e− ・・・(11)
[実施例1]
容量60m3の反応槽4槽を直列に連結させた装置を用い、先頭槽に銅イオンを37.2g/L含む塩化ニッケル水溶液を662L/minの流量で供給するとともに、メディアン径(D50)で36.4μmの粒径のニッケル硫化物を約400g/Lの割合で含むスラリーを供給し、その先頭槽に設けた間接熱交換器への蒸気供給量を調整しながら反応温度を90℃に調整して、水溶液中の銅イオンを還元する還元処理を行った(還元工程)。このとき、反応液の酸化還元電位(ORP)(銀/塩化銀電極基準)が304mVで一定となるようにニッケル硫化物を添加して反応させた。
実施例2では、還元工程において、反応温度を85℃とし、反応液のORPが374mVで一定となるようにニッケル硫化物を添加し、銅イオン固定化工程において、反応温度を82℃とし、反応液のORPが54mVで一定となるようにニッケルマットを添加したこと以外は、実施例1と略同様の条件により脱銅処理を行った。なお、添加したニッケル硫化物としては、D50径が26.2μmのものを用いた。
実施例3では、還元工程において、反応温度を83℃とし、反応液のORPが400mVで一定となるようにニッケル硫化物を添加したこと以外は、実施例2と略同様の条件により脱銅処理を行った。なお、添加したニッケル硫化物としては、D50径が21.1μmのものを用いた。
比較例1では、還元工程において、反応温度を85℃とし、反応液のORPが402mVで一定となるようにニッケル硫化物を添加し、銅イオン固定化工程において、反応温度を83℃とし、反応液のORPが147mVで一定となるようにニッケルマットを添加したこと以外は、実施例1と略同様の条件により脱銅処理を行った。なお、添加したニッケル硫化物としては、D50径が20.4μmのものを用いた。
比較例2では、還元工程において、反応温度を96℃とし、反応液のORPが289mVで一定となるようにニッケル硫化物を添加し、銅イオン固定化工程において、反応温度を88℃とし、反応液のORPが28mVで一定となるようにニッケルマットを添加したこと以外は、実施例1と略同様の条件により脱銅処理を行った。なお、添加したニッケル硫化物としては、D50径が25.3μmのものを用いた。
実施例1〜3及び比較例1、2の脱銅処理の評価として、固液分離後に得られた溶液(濾液)中の銅濃度を原子吸光分析装置(VARIAN製)により測定した。下記表1に、処理条件を含めて処理結果をまとめて示す。
Claims (6)
- 銅イオンを含有する塩化ニッケル水溶液(含銅塩化ニッケル水溶液)から銅イオンを除去する銅イオン除去方法であって、
前記含銅塩化ニッケル水溶液にニッケル硫化物を添加し、該含銅塩化ニッケル水溶液に含まれる銅イオンを還元する還元工程と、
前記還元工程を経て得られたスラリーにニッケルマットを添加し、還元された銅イオンを硫化銅として固定化する銅イオン固定化工程と、
前記銅イオン固定化工程を経て得られたスラリーを固液分離する固液分離工程と
を有し、
前記還元工程では、反応終液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が350mV〜450mVの範囲となるように前記ニッケル硫化物を添加し、
前記銅イオン固定化工程では、反応終液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が0mV〜100mVの範囲となるように前記ニッケルマットを添加する
含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法。 - 前記還元工程では、反応液の温度を80℃〜110℃の範囲に調整する
請求項1に記載の含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法。 - 前記銅イオン固定化工程では、反応液の温度を60℃〜100℃の範囲に調整する
請求項1又は2に記載の含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法。 - 前記還元工程及び前記銅イオン固定化工程では、それぞれ、直列に連結された複数の反応槽を用いて反応を行う
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法。 - 前記ニッケル硫化物は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬によって得られ、ニッケル及びコバルトを含有する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の含銅塩化ニッケル水溶液の銅イオン除去方法。 - ニッケル硫化物を塩素浸出して得られる含銅塩化ニッケル水溶液から銅を除去し、電解採取法により電気ニッケルを製造する電気ニッケルの製造方法であって、
前記含銅塩化ニッケル水溶液にニッケル硫化物を添加し、該含銅塩化ニッケル水溶液に含まれる銅イオンを還元する還元工程と、
前記還元工程を経て得られたスラリーにニッケルマットを添加し、還元された銅イオンを硫化銅として固定化する銅イオン固定化工程と、
前記銅イオン固定化工程を経て得られたスラリーを固液分離する固液分離工程と
を有するセメンテーション工程を含む
電気ニッケルの製造方法。
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WO2020004285A1 (ja) * | 2018-06-27 | 2020-01-02 | 住友金属鉱山株式会社 | 銅とニッケル及びコバルトの分離方法 |
CN113061724A (zh) * | 2021-03-09 | 2021-07-02 | 金川集团股份有限公司 | 一种洗脱硫化镍除铜尾料中镍、氯离子的方法 |
US11718894B2 (en) | 2017-12-18 | 2023-08-08 | Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. | Method for separating copper, and nickel and cobalt |
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