JP2016089041A - 筆記具用水性インキ組成物および水性インキ製品 - Google Patents

筆記具用水性インキ組成物および水性インキ製品 Download PDF

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Abstract

【課題】臭気がなく、微生物が繁殖しにくく、耐性菌に対しても抗菌効果があり、刺激性や毒性が少なく安全に使用が可能で、外気に触れる機会の多い筆記具にも使用可能な、適用範囲が広い、保存安定性に優れた筆記具用水性インキ組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも染料と抗菌性物質と水とからなる筆記具用水性インキ組成物において、抗菌性物質として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン併用し、特定の添加量とした。
【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具用水性インキ組成物および水性インキ製品に関する。さらに詳しくは、保存安定性および安全性に優れる筆記具用水性インキ組成物およびそのインキ組成物を収容してなる水性インキ製品に関する。
水性インキ組成物は、一般に水を主溶剤として含んでなるため、細菌、黴、または酵母などの微生物が繁殖しやすい。微生物が繁殖するとインキ組成物の腐敗などが起こり、粘度などインキ組成物の物性の変化が生じたり、インキ組成物中に析出物や凝集物などの異物が発生したり、インキ組成物の変色を起こすなど、インキ組成物としての機能が損なわれることがあった。そこで、抗菌性物質をインキ組成物に添加し、微生物などの繁殖を抑制することが盛んに行われている(特許文献1参照)。
しかしながら、同一の抗菌性物質を使用し続けた場合、抗菌性物質に耐性を持つ微生物(以下、耐性菌という)が発生・繁殖するなど、保存安定性の面での改良の余地があった。
耐性菌が発生・繁殖するという問題に対して、インクジェット用インク組成物や、ボールペン用インキ組成物に、2種類以上の抗菌性物質を含有させ、保存安定性を向上することが検討されている(特許文献2〜15参照)。しかしながら、用いる抗菌性物質によっては、臭気がある、分解し易い、耐熱性が不十分である、毒性が高いなどの依然として改良の余地があった。例えば、引用文献2においては、抗菌性物質として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどと併用しているが、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、アルカリ性で分解してしまう点、耐熱性が悪い点、エイムズ試験が陽性である点、皮膚刺激性が強い点などの問題があり、筆記具用インキ組成物に用いる抗菌性物質として適切ではない。
インキ瓶などの開閉口を備えるインキ保管容器にインキ組成物が収容されている場合や、万年筆などのくし溝を利用したインキ供給機構を備える筆記具にこのようなインキ組成物を用いた場合、上記のような問題が発生する可能性は特に高い。例えば、インキ保管容器に収容されていたインキ組成物を前記の万年筆で利用した場合、インキ供給機構に、微生物の繁殖などに起因する析出物や凝集物などの異物が生じてしまい、インキ組成物を供給する流路が狭くなることがある。この結果、インキの供給量が少なくなり、筆跡がかすれるなど、筆記性が影響を受ける可能性がある。さらに、異物の量が増加したり凝集物などが大きくなると、インキを供給する流路が異物などにより塞がれ、インキを供給することができなくなり、筆記不能となる可能性がある。また、異物の発生量が少ない筆記具用インキ組成物であっても、万年筆などのインキを繰返し充填して使用する筆記具に用いた場合、使用開始時は筆記性が良好であるが、充填と使用を繰り返すことにより、インキを供給する流路に異物が徐々に堆積し、筆記性への影響が大きくなっていく。さらに充填と使用を繰り返すと、該流路への異物の堆積がさらに進行し、流路が塞がれ、やはり筆記不能となる可能性がある。
さらに、筆記具用水性インキ組成物が保管容器に収容されており、該容器から水性インキ組成物を分取して筆記具に充填して使用する場合など、インキ組成物自体が、外気に触れる機会が多いと、微生物が混入する機会も多くなる。この結果、耐性菌を含む微生物が異常繁殖してしまう傾向が強く、抗菌性物質の添加量によっては、効果が十分に発揮されないという課題を有していた。このような問題に対し、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含んでなるインキ組成物が提案されている(特許文献16参照)。しかしながら、このような組み合わせでは、十分な抗菌効果を得るために必要な抗菌性物質の添加量が多くなってしまい、安全性が低下するおそれがある。そのため、安全性が高く、かつ優れた抗菌効果を有する水性インキ組成物が求められている。
特開平8−48929号公報 特開2004−175851号公報 特開2004−175852号公報 特開2004−176064号公報 特開2004−231895号公報 特開2008−231224号公報 特開2008−239733号公報 特開2006−22014号公報 特開2004−143163号公報 特開平11−349882号公報 特開2011−79901号公報 特開2001−515016号公報 特開2006−265390号公報 特開2005−68054号公報 特開2005−320320号公報 特開2010−280762号公報
本発明は、臭気がなく、微生物が繁殖しにくく、耐性菌に対しても抗菌効果があり、安全性が高く、外気に触れる機会の多い筆記具にも使用可能な、適用範囲が広い、保存安定性に優れた筆記具用水性インキ組成物を提供するものである。
本発明者は前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、水と、染料と、抗菌性物質とを含んでなる筆記具用水性インキ組成物において、抗菌性物質として、少なくとも2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、場合により「MIT」と表す。)および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、場合により「OIT」と表す。)を併用することにより、前記課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
本発明による筆記具用水性インキ組成物は、
水と、染料と、抗菌性物質と、を含んでなる筆記具用水性インキ組成物であって、
前記水性インキ組成物が、前記抗菌性物質として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明による水性インキ製品は、
水と、染料と、抗菌性物質と、を含んでなる筆記具用水性インキ組成物をインキ保管容器に収容してなるものであって、
前記水性インキ組成物が、前記抗菌性物質として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでなり、
前記インキ保管容器が、インキを分取するための開閉口を有し、該インキ保管容器から分取された前記インキが、くし溝を利用したインキ供給機構を有する筆記具に充填して使用されることを特徴とするものである。
本発明によれば、臭気がなく、微生物が繁殖しにくく、耐性菌に対しても抗菌効果があり、刺激性や毒性が少なく安全に使用が可能で、外気に触れる機会の多い筆記具にも使用可能な、適用範囲が広い、保存安定性に優れた筆記具用水性インキ組成物が提供される。また、本発明によれば、特定の抗菌性物質を組み合わせて用いることにより、極めて少ない添加量で微生物の繁殖を防ぐことができる。
<筆記具用水性インキ組成物>
本発明による筆記具用水性インキ組成物(以下、場合により「水性インキ組成物」と表す)は、水と、染料と、抗菌性物質と、を含んでなる。
本発明による水性インキ組成物は、万年筆、ボールペン、筆ペン、カリグラフィー用ペンおよび各種マーカー類など各種筆記具に用いることが可能である。特に、万年筆などのくし溝を利用したインキ供給機構を有する筆記具に好ましく用いることができる。
<抗菌性物質>
本発明による水性インキ組成物は、必須の抗菌性物質として、MITおよびOITを含んでなる。なお、本発明において、「抗菌性物質」とは、微生物を死滅させる能力または増殖を抑える能力を有する物質のことであり、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤および防腐剤と同義である。また、前記したMITおよびOITの他に、後述する1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下、場合により「BIT」と表す。)を抗菌性物質として用いることもできる。さらに、他の抗菌性物質の具体例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3オン、N−(n−ブチル)−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベンゾトリアゾール及びフェノールなども挙げられる。
本発明による水性インキ組成物において、MITの添加量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1〜150ppmであることが好ましく、15〜100ppmであることがより好ましく、25〜100ppmであることがさらに好ましい。また、OITの添加量は、水性インキ組成物の総質量を基準として、1〜50ppmであることが好ましく、6〜30ppmであることがより好ましく、6〜20ppmであることがさらに好ましく、1〜10ppmであってもよい。なお、「ppm」とは「part per million」の略称であり、100万分の1の濃度を表す単位である。以下、本発明においては、単位「ppm」は水性インキ組成物の総質量を基準とする。
本発明による水性インキ組成物は、抗菌性物質として、MITおよびOIT以外に、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンをさらに含んでなることが好ましい。水性インキ組成物が、抗菌性物質として、MIT、OITおよびBITを含んでなることにより、耐性菌を含む微生物の繁殖を顕著に抑えることができ、抗菌性物質の総添加量をさらに少量とすることができ、安全性を高めることができる。BITの添加量は、1〜150ppmであることが好ましく、1〜100ppmであることがより好ましく、1〜50ppmであることがさらに好ましく、25〜50ppmが特に好ましい。
本発明による水性インキ組成物は、抗菌性物質として、MIT、OITおよびBIT以外に任意の抗菌性物質、例えば前記した各種抗菌剤から選択される抗菌性物質をさらに含んでいても良い。
本発明において、抗菌性物質の総添加量は、20ppm以上であることが好ましく、30ppm以上であることがより好ましく、70ppm以上であることがさらに好ましい。また、抗菌性物質の総添加量は、200ppm以下であることが好ましく、180ppm以下であることがより好ましく、160ppm以下であることがさらに好ましい。抗菌性物質の総添加量が20ppm以上あることにより、外気に触れる機会が多い環境で使用された場合であっても十分な抗菌効果を発揮することができる。また、抗菌性物質の総添加量が200ppm以下であることにより、水性インキ組成物の皮膚刺激性は弱く、安全性を確保することができる。
水性インキ組成物中におけるMITとOITとの配合比は、質量比で、1:1〜10:1であることが好ましく、2.5:1〜10:1であることがより好ましく、5:1〜10:1であることが更に好ましい。MITの配合比が上記範囲より小さい場合、OIT耐性菌に対する効果が下がる傾向にあり、MITの配合比が上記範囲より大きい場合、MIT耐性菌に対する効果が下がる傾向にある。
また、水性インキ組成物が、BITを含んでなる場合、BITと、MITおよびOITの総量との配合比は、質量比で、1:1〜1:5であることが好ましく、1:1〜1:3であることがより好ましく、1:1〜1:2.5であることがさらに好ましい。MITおよびOITの総量の配合比が前記範囲より小さい場合、BIT耐性菌に対する効果が下がる傾向にあり、MITおよびOITの総量の配合比が前記範囲より大きい場合、MIT耐性菌およびOIT耐性菌に対する効果が下がる傾向にある。
<染料>
本発明において用いることができる染料としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能であれば特に制限されるものではない。例えば、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、直接染料、分散染料および食用色素など各種染料が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。染料の添加量は、水性インキ組成物の総質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
具体的には、酸性染料としては、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー7、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドグリーン3、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー239、C.I.アシッドブルー248、C.I.アシッドバオレット15、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック2、塩基性染料としては、C.I.ベーシックオレンジ2、C.I.ベーシックオレンジ14、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックブルー9、C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.ベーシックバイオレット10、直接染料としては、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトイエロー44、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトバイオレット51、C.I.ダイレクトブラック19、食用色素としては、C.I.フードイエロー3、C.I.フードブラック2などが挙げられる。
上記染料の中でも、C.I.アシッドブルー90およびC.I.ダイレクトブルー87は、微生物の養分となりやすく、その他の染料を用いた場合と比べ、微生物が増殖する傾向が強い。しかしながら、本発明においては、特定の抗菌性物質を併用することで、その増殖を抑制することができる。このように、従来であれば使用が制限されていた染料についても使用が可能となり、水性インキ組成物としての材料の選択範囲が広がることとなる。
<水>
水としては、特に制限はなく、例えば、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
<その他>
本発明による水性インキ組成物は、インキ物性や機能を向上させる目的で、水溶性有機溶剤、pH調整剤、保湿剤、防錆剤などの各種添加剤を含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、(i)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、またはグリセリンなどのグリコール類、(ii)メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコールなどのアルコール類、および(iii)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、または3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。水溶性有機溶剤の添加量は、水性インキ組成物に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミンなどの水溶性のアミン化合物などの有機塩基性化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられる。pH調整剤の添加量は、水性インキ組成物に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
保湿剤としては、前記水溶性有機溶剤の他に尿素、またはソルビットなどが挙げられる。保湿剤の添加量は、水性インキ組成物に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、サポニン、またはジアルキルチオ尿素などが挙げられる。また、水溶性樹脂として、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。さらに、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂など含むエマルジョンを添加することができる。
さらには、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサンなどの消泡剤を添加することもできる。
<インキ組成物の製造方法>
本発明による水性インキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
<水性インキ製品>
本発明による水性インキ製品は、前記の水性インキ組成物をインキ保管容器に収容してなり、前記インキ保管容器が、インキを分取するための開閉口を有し、前記インキ保管容器から分取された前記筆記具用水性インキ組成物が、くし溝を利用したインキ供給機構を有する筆記具に充填され使用されることを特徴とする。
本発明に用いるインキ保管容器には、通常のインキ保管用や詰め替え用インキに使用されているインキ保管容器を用いることができる。具体的には、ガラス製のインキ瓶や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなど樹脂製の容器などが挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
下記の配合組成および方法により、筆記具用水性インキ組成物を得た。

(筆記具用水性インキ組成物1)
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.0015質量%
(15ppm相当量)
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.0006質量%
(6ppm相当量)
C.I.アシッドブルー90(着色剤:染料) 0.5質量%
C.I.ダイレクトブルー87(着色剤:染料) 0.5質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
イオン交換水 残部

イオン交換水に水溶性有機溶剤、pH調整剤、抗菌性物質を添加し、プロペラ攪拌により混合してベース液を得た。その後、ベース液に染料を添加し、プロペラ攪拌により混合して、筆記具用水性インキ組成物を得た。
<実施例2〜7>
インキ組成物に含まれる抗菌性物質の種類、配合量、配合比を表1、表3および表4において表される組成に変更した以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
<比較例1〜10>
抗菌性物質として、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いず、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンとの併用とし、配合量、配合比を表2、表3および表4に表す量に変更した以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
<<抗菌性能試験>>
実施例1〜5および7、比較例1〜8および10の筆記具用水性インキ組成物中に、アスペルギルスsp.(BIT耐性菌)を1mlあたり約1,000個になるように接種した。また、実施例6および比較例9の筆記具用水性インキ組成物中に、アスペルギルスsp.を1mlあたり約110,000個になるように接種した。これを試験インキとし、接種直後の試験インキをポテトデキストロース寒天培地による塗抹平板法にて28℃で7日間培養し、残存した菌数から抗菌性能を評価した。
Figure 2016089041
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表1から、実施例1〜5に係るインキ組成物は、接種直後から抗菌効果を発揮し、3日間放置後、7日間放置後のインキ組成物中における残存した菌が1%未満となっていることから、良好な抗菌性能を有していることがわかる。接種直後から抗菌効果を発揮していることから、析出物や凝集物などの異物の発生は当初から抑制され、インキ組成物は一定期間経過後も物性変化などを起こすことなく、初期と同等の状態を保ち、良好な筆記性能を発揮するものとなった。
一方、表2からは、比較例1に係るインキ組成物は、抗菌性物質を用いなかった為、7日間放置後まで菌が減少せずそのまま残存しており、比較例2〜8に係るインキ組成物は、いずれも接種直後には抗菌効果を発揮せず、特に比較例2、5、、7に係るインキ組成物は、3日間放置後、7日間放置後のインキ組成物中における残存した菌が1%以上となっていることから、抗菌性能が十分ではないことがわかる。抗菌性能が十分ではなかったため、析出物や凝集物などの異物が発生してしまい、インキ組成物は物性変化を起こし、良好な筆記性能を発揮することができなかった。
また、表3からは、実施例6に係るインキ組成物と比較例9に係るインキ組成物では、抗菌性物質の総添加量が同程度であるにも関わらず、実施例6に係るインキ組成物が3日間放置後から抗菌効果を発揮する一方で、比較例9に係るインキ組成物は、3日間放置後では抗菌性能が十分ではないことがわかる。
さらに、表4からは、実施例7に係るインキ組成物と比較例10に係るインキ組成物では、実施例7に係るインキ組成物の抗菌性物質の総添加量が少ないにも関わらず、実施例7に係るインキ組成物は、比較例10に係るインキ組成物よりも、3日間放置後、7日間放置後において残存菌の減少がみられ、同程度以上の抗菌性効果を発揮していることがわかる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物は、万年筆、ボールペン、筆ペン、カリグラフィー用のペン、各種マーカー類など各種筆記具用水性のインキとして用いることができる。特に、保存安定性および安全性の向上が図られていることから、万年筆やつけペンなどのインキが外気に触れることが多い筆記具に好適に用いることができる。
水性インキ組成物は、一般に水を主溶剤として含んでなるため、細菌、黴、または酵母などの微生物が繁殖しやすい。微生物が繁殖するとインキ組成物の腐敗などが起こり、粘度などインキ組成物の物性変化が生じたり、インキ組成物中に析出物や凝集物などの異物が発生したり、インキ組成物の変色を起こすなど、インキ組成物としての機能が損なわれることがあった。そこで、抗菌性物質をインキ組成物に添加し、微生物などの繁殖を抑制することが盛んに行われている(特許文献1参照)。
しかしながら、同一の抗菌性物質を使用し続けた場合、抗菌性物質に耐性を持つ微生物(以下、耐性菌という)が発生・繁殖するなど、保存安定性の面での改良の余地があった。
一方、表2からは、比較例1に係るインキ組成物は、抗菌性物質を用いなかった為、7日間放置後まで菌が減少せずそのまま残存しており、比較例2〜8に係るインキ組成物は、いずれも接種直後には抗菌効果を発揮せず、特に比較例2、57に係るインキ組成物は、3日間放置後、7日間放置後のインキ組成物中における残存した菌が1%以上となっていることから、抗菌性能が十分ではないことがわかる。抗菌性能が十分ではなかったため、析出物や凝集物などの異物が発生してしまい、インキ組成物は物性変化を起こし、良好な筆記性能を発揮することができなかった。

Claims (9)

  1. 水と、染料と、抗菌性物質と、を含んでなる筆記具用水性インキ組成物であって、
    前記水性インキ組成物が、前記抗菌性物質として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでなることを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物。
  2. 前記抗菌性物質が、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンをさらに含んでなる、請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  3. 前記抗菌性物質の前記水性インキ組成物の総質量に対する総添加量が、20〜200ppmである、請求項1または2に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  4. 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの配合比が、質量比で1:1〜10:1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  5. 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの総量との配合比が、質量比で1:1〜1:5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  6. 前記染料が、C.I.アシッドブルー90および/またはC.I.ダイレクトブルー87を含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  7. くし溝を利用したインキ供給機構を備える筆記具に充填され用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
  8. 水と、染料と、抗菌性物質と、を含んでなる筆記具用水性インキ組成物をインキ保管容器に収容してなる水性インキ製品であって、
    前記抗菌性物質が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでなり、
    前記インキ保管容器が、前記筆記具用水性インキ組成物を分取するための開閉口を有し、前記インキ保管容器から分取された前記筆記具用水性インキ組成物が、くし溝を利用したインキ供給機構を有する筆記具に充填して使用されることを特徴とする、筆記具用水性インキ製品。
  9. 前記抗菌性物質の前記水性インキ組成物の総質量に対する総添加量が、20〜200ppmである、請求項8に記載の筆記具用水性インキ製品。
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