JP2016088755A - シート状モルタル、および、シート状モルタルの施工方法 - Google Patents

シート状モルタル、および、シート状モルタルの施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コークス炉に適用可能で、モルタルを塗布する作業工程を大幅に低減して、コークス炉の新設・補修の工期を短縮することができ、また、作業者の技能レベルの影響を無くし、施工品の品質を安定化することができるシート状モルタルおよびシート状モルタルの施工方法を提供する。【解決手段】SiO2を85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成したモルタル。前記粉末状の耐火性原料に対する、水及び前記接着剤の混合率が、質量比で20%〜40%であり、前記粉末状の耐火性原料の最大粒径が2mm以下であり、前記粉末状の耐火性原料に含まれる粒径1mm超の粒子の比率が5質量%以下であり、前記接着剤が、有機系接着剤であるシート状モルタル。【選択図】なし

Description

本発明は、コークス炉の新設、補修時に用いるシート状モルタル、および、シート状モルタルの施工方法に関する。
コークス炉は、石炭をコークス化する炭化室と、炭化室に熱を供給する燃焼室とが交互に連なる構成を有しており、燃焼室からの熱をれんがの伝熱を用いて炭化室に供給し、炭化室内の石炭を乾留してコークスを製造する炉である。
このようなコークス炉は、多数のれんがを積み上げて、炭化室と燃焼室とを隔離する側壁を形成し、築炉したものである。
コークス炉は1000℃を超える高温状態に保たれる。そのため、側壁には、高温での体積変化が比較的小さく、その上熱伝導性が良く、且つ機械的強度が大きい珪石(SiO2)れんがが多く用いられている。
このようなれんがはモルタルによってつなぎ合わされる。コークス炉においては、珪石(SiO2)を主成分とするモルタルが使用される。コークス炉では操業により長期にわたり温度サイクルがかかるため、操業温度において、体積変化の大きいモルタルを用いると、膨張・収縮を繰り返して、強度が低下したり、れんがとの間に隙間が生じてガスリークが生じるという問題が発生する。そのため、コークス炉の操業温度において、熱膨張・熱収縮がほとんど無い特性を有する珪石を主成分とするモルタルを用いることで、強度が低下したり、れんがとの間に隙間が生じることを防止する。
ところで、このようなコークス炉の新炉建設や部分的な積替え補修において、れんがを施工(築炉)する作業は膨大であり、モルタルを塗布する作業も数多く発生する。
モルタルの塗布は、流動性のある混練物であるモルタルを、作業者が鏝を用いてれんがに塗布して仕上げる。したがって、作業者の熟練度によって、仕上げレベルや作業時間が大きく異なるという問題があった。
これに対して、耐火れんが間の充填材(モルタル)を、シート状に形成した、シート状モルタルが提案されている。
例えば、特許文献1では、耐火材料100重量部に対してゴム類7〜100重量部を混合してなる組成物のシート状加工物が記載されており、耐火材料として、マグネシア粉末やアルミニウム粉末を主成分としたものが開示されている。
また、特許文献2では、耐火粘土1〜15wt%および粒径150μm以下のろう石超微粉0.5〜20wt%を含む耐火性配合物100wt%と結合剤よりなる耐火性シートモルタルが記載されており、焼結アルミナを主成分とした材料が開示されている。
また、特許文献3には、耐火性原料と耐火性繊維との耐火性混合原料92〜97重量%と鱗状黒鉛3〜8重量%との混合物、及び、混合物に対し外配で、平均粒径5μm以下のシリカヒューム0.5〜3重量%と熱硬化性樹脂/脂肪族多価アルコールの重量比が1.5〜2.0の熱硬化性樹脂・脂肪族多価アルコール混合物27〜32重量%を含有する耐火性モルタル材をシート状に形成することが記載されており、耐火性原料として、アルミナを主成分とし、シリカ、鱗状黒鉛およびシリカヒュームを含む材料が開示されている。
特開平5−163073号公報 特開平7−252470号公報 特開平9−183671号公報
このようなシート状モルタルを用いることにより、モルタルを塗布する作業工程を大幅に低減することができる。また、作業者の技能レベルの影響を無くし、施工品の品質を安定化することができる。
しかしながら、上記のシート状モルタルは、コークス炉用途のものではなく、1000℃を超える高温状態で、長期にわたり温度サイクルがかかるコークス炉へは適用できない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、コークス炉に適用可能なシート状モルタルであって、モルタルを塗布する作業工程を大幅に低減して、コークス炉の新設・補修の工期を短縮することができ、また、作業者の技能レベルの影響を無くし、施工品の品質を安定化することができるシート状モルタルおよびシート状モルタルの施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、SiO2を85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成されることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) SiO2を質量比で85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成されてなるシート状モルタル。
(2) 粉末状の耐火性原料に対する、水および接着剤の混合率が、質量比で20%〜40%である(1)に記載のシート状モルタル。
(3) 粉末状の耐火性原料の最大粒径が2mm以下であり、粉末状の耐火性原料に含まれる粒径1mm超の粒子の比率が5質量%以下である(1)または(2)に記載のシート状モルタル。
(4) 接着剤が、有機系接着剤である(1)〜(3)のいずれかに記載のシート状モルタル。
(5) シート状モルタルの接着強度が、250℃において、0.5MPa以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のシート状モルタル。
(6) SiO2を90%以上含むれんが同士の間、SiO2を90%以上含むプレキャストブロック同士の間、あるいは、れんがとプレキャストブロックとの間に配置され、れんが同士、プレキャストブロック同士、あるいは、れんがとプレキャストブロックとを接合するものである(1)〜(5)のいずれかに記載のシート状モルタル。
(7) れんが、あるいは、プレキャストブロックの形状に対応した形状に形成される(1)〜(6)のいずれかに記載のシート状モルタル。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載のシート状モルタルを、SiO2を90%以上含むれんが同士の間、SiO2を90%以上含むプレキャストブロック同士の間、あるいは、れんがとプレキャストブロックとの間に挟んで配置する工程と、
シート状モルタルを加熱して、れんが同士、プレキャストブロック同士、あるいは、れんがとプレキャストブロックとを接合する工程とを有するシート状モルタルの施工方法。
本発明によれば、モルタルを塗布する作業工程を大幅に低減して、コークス炉の新設・補修の工期を短縮することができ、また、作業者の技能レベルの影響を無くし、施工品の品質を安定化することができる。
SiO2の体積変化量と温度との関係を概念的に示すグラフである。 接着強度試験の試験方法を説明するための概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のシート状モルタルは、SiO2を85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成されてなるモルタルである。
図1に、トリジマイトを主要鉱物相とするSiO2の、線膨張率と温度との関係を表すグラフを示す。
図1に示すように、SiO2は、コークス炉の操業温度域である500℃〜1300℃において、線膨張率の変化が少なくなる。すなわち、熱膨張による体積の変動がほとんどなくなる。
本発明のシート状モルタルでは、耐火性原料として、SiO2を質量比で85%以上含む粉末(粒子)を用いることにより、コークス炉の操業温度域である500℃〜1300℃において長期にわたり温度サイクルがかかった場合でも、モルタルの熱膨張や熱収縮の量が小さいので、モルタルの強度が低下したり、れんがとの間に隙間が生じてガスリークが生じたりすることを防止できる。従って、コークス炉の築炉に利用されるモルタルとして好適に用いることができる。
ここで、粉末状の耐火性原料中の、SiO2の質量比は、JIS R 2212−2「耐火物製品の科学分析方法−第2部:けい石質耐火物」により測定した値である。
なお、熱膨張や熱収縮の量をより小さくできる点から、粉末状の耐火性原料は、SiO2を質量比で90%以上含むのが好ましく、94%以上含むのがより好ましい。
SiO2を85%以上含む粉末の形成方法には特に限定はないが、珪石れんが、溶融シリカ等のSiO2を85%以上含むものを粉砕して粉末状にして形成することができる。あるいは、珪砂を用いることができる。
なお、珪砂はやや熱膨張が大きいため、熱膨張や熱収縮の量をより小さくできる観点から、珪石れんがや溶融シリカの粉砕物を用いるのがより好ましい。
例えば、コークス炉のれんがとして用いた使用済みの珪石れんがの粉砕物を好適に用いることができる。使用済みの珪石れんがの粉砕物を用いることで、珪石れんがとシート状モルタルとの膨張特性を合わせることができる点でより好適である。
また、耐火性原料としての、SiO2を質量比で85%以上含む粉末は、最大粒径が2mm以下であるのが好ましく、さらに粒径1mm超の粒子の比率が5質量%以下であるのが好ましい。耐火性原料の粉末の最大粒径が2mm超、あるいは粒径1mm超えの粒子の比率が5質量%超えでは、モルタルとれんがとの密着性が低下するおそれがあるため、最大粒径は2mm以下であり、前記粉末状の耐火性原料に含まれる粒径1mm超えの粒子の比率が5質量%以下であるのが好ましい。ここで、最大粒径が2mm以下とは、全粒子が公称目開き2mmの篩を通過することを意味し、粒径1mm超えの粒子の比率とは、公称目開き1mmの篩に留まる粒子の比率を意味する。
上記観点から、耐火性原料の粉末の最大粒径は、1.4mm以下がより好ましく、1.0mm以下が特に好ましい。また、上記観点から、耐火性原料の粉末の粒度分布は、0.7mm超えの粒子が5質量%以下であるのがより好ましく、0.5mm超えの粒子が5質量%以下であるのが特に好ましい。
また、耐火性原料の粉末は、粒径0.01mm以下の微粉の含有割合が、50質量%以下であるのが好ましい。粒径0.01mm以下の微粉が多いと水との混合量が多くなり、乾燥収縮による亀裂が発生しやすくなるためである。
なお、耐火性原料の粉末の最大粒径は、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法通則により測定した値である。
また、耐火性原料の粉末中の、粒径0.01mm以下の微粉の割合は、上記ふるい分け試験で篩い分けた粒径0.125mm以下の試料について、さらにレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値から求めた値である。
耐火性原料の粉末が、SiO2以外に含有する成分としては、耐火性原料であれば特に限定はないが、Al23、CaO等の酸化物や不可避的不純物が挙げられる。
粉末状の耐火性原料に、珪石モルタル以外の一般的な耐火性モルタルに含まれるようなSiO2−Al23系の粘土質物質を多量に配合すると、接着剤を使用しないでも湿潤状態で可塑性を有する特性を実現できる可能性はある。しかしながら、このような場合には、熱膨張特性が珪石れんがと大幅に異なることとなり、高温での温度サイクルによって接着強度が大幅に低下するおそれがある。また、長期間の使用において目地損耗を助長するおそれもあるので、耐火性原料の粉末はSiO2を質量比で85%以上含むことが必要である。
本発明のシート状モルタルは、このような粉末状の耐火性原料を、水および接着剤と混合して、スラリー状や粘土状の塑性状態とし、シート状に加工したものである。
本発明において用いられる接着剤の種類には特に限定はなく、シート状に加工できれば、澱粉、アラビアゴム等のゴム、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等の有機系接着剤、および、セメント等の無機系接着剤が適宜、利用可能である。
なかでも、耐火性を有しない有機系の接着剤を用いるのが好ましい。耐火性を有しない接着剤を用いることにより、モルタル施工後の昇温過程において、燃焼して消滅するので、昇温後に接着剤が残存して耐火性原料と反応する等の悪影響を及ぼさないようにすることができる。また、無機系接着剤を用いる場合も、使用環境の高温下で耐火性原料と反応せず、影響を及ぼさない接着剤を用いるのが好ましい。
また、シート状モルタルによる接着強度が250℃において0.5MPa以下となるようにすることが好ましく、この観点から、接着剤として、250℃以下で化学反応により気体化する、あるいは、揮発する材料を用いることが好ましい。
コークス炉の施工に好適に用いられる珪石れんがは、図1に示すように、250℃付近での膨張(体積変化量)が大きくなる。その際、モルタル自身の強度(引張強度)あるいは接着強度が0.5MPa以下であれば、モルタル部分で応力が緩和されて、れんが積み構造そのものには過大な応力が生じないので、れんがの膨張による悪影響を防止できる。また、接着剤として、250℃以下で化学反応により気体化、揮発する材料を用いることで、接着剤の気体化、揮発により、モルタル中に気孔が形成されるので、250℃付近で珪石れんがが膨張しても、形成された気孔で珪石れんがの膨張を吸収することができる。
以上の観点から、接着剤としては、澱粉、アラビアゴム、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等が好適であり、澱粉がより好適である。一般に、澱粉は加熱処理をして糊化させる必要があるが、澱粉のなかでも、アルファ化澱粉は、冷水に溶解するだけで糊液が得られる点で好適である。
また、接着剤が気体化、揮発して形成される気孔を十分に確保して、珪石れんがの膨張を吸収する観点から、耐火性原料に対する、水および接着剤の混合率は、質量比で20%以上であるのが好ましい。
一方、接着剤が気体化、揮発して形成される気孔が多すぎると、モルタルの強度が低下したり、気密性が低下するおそれがある。そのため、水および接着剤の混合率は、質量比で40%以下が好ましく、35%以下がより好ましい。
水と接着剤との混合率は、モルタルをスラリー状態や塑性状態で、シート状に保持できれば、特に限定はなく、接着剤の種類に応じて適宜調整すればよい。
例えば、接着剤として、澱粉を用いる場合には、水と接着剤との混合比は、2:1〜10:1とするのが好ましい。
また、モルタルをスラリー状態や塑性状態で、シート状に保持できる観点から、耐火性原料の固形分を除いた水と接着剤とを混合した水溶液の粘度は、0.1Pa・s以上、より望ましくは1Pa・s以上とするのが好ましい。
また、本発明のシート状モルタルは、水および接着剤以外の非耐火性の成分、すなわち、高温下において容易に揮発、分解、燃焼等を生じるものを含んでいてもよい。例えば、シート状モルタルを、スラリー状態や塑性状態にするために、水および接着剤に加えて、分散剤、有機溶剤、可塑剤などを加えても良い。
前述のとおり、本発明のシート状モルタルは、上記の耐火性原料、水および接着剤を含むモルタルをシート状に形成したものである。
本発明においては、SiO2を85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含むモルタルをシート状に形成することにより、コークス炉の新炉建設や、既存の積替え補修の際に、モルタルを塗布する作業工程を大幅に低減することができ、作業効率を向上することができる。また、モルタルをコテ塗りするという特殊技能が不要となるため、作業者の技能レベルの影響を無くし、施工品の品質を安定化することができる。また、作業効率を向上して品質を安定化できるので、作業者の人数削減にもつながる。
シート状モルタルの厚さには特に限定はなく、施工に用いるれんがの種類や大きさ、求められる強度等に応じて適宜決定すればよい。
珪石れんがを用いる場合には、珪石れんがの膨張を吸収する観点から、3mm〜8mmとするのが好ましい。
シート状モルタルの形状(幅・奥行)にも特に限定はないが、れんがの形状に対応する形状に形成されるのが好ましい。例えば、れんがの幅・奥行と同じにするのが好ましい。
シート状モルタルをれんがと同じ形状としておけば、作業者が施工現場において、シートを切断する手間が省けて、効率的に施工することができる。
シート状モルタルの形成方法には特に限定はない。
例えば、上記の耐火性原料、水および接着剤を混錬して、スラリー状態や粘土のような塑性状態の混合物を調製し、この混合物をシート状に形成すればよい。
シート状に成形する方法にも特に限定はなく、種々の公知のシート状物の形成方法が利用可能である。
例えばスラリー状体の混合物を、フィルム上に薄く延ばしてシート状に成型するドクターブレード法が利用可能である。また、粘土のような塑性状態の混合物を所定の厚さに延ばしてシート状に形成する場合には、ロールによる圧延が利用可能である。
また、シート状に形成したものを所定の大きさに成形する方法にも特に限定はなく、例えば、打ち抜き加工によって、れんがと同じ形状のシート状モルタルを作製することができる。
また、作製したシート状モルタルは、ビニールシート等で挟んでハンドリングするのが好ましい。
このような本発明のシート状モルタルは、前述のとおり、コークス炉に用いられる珪石れんがの接合に好適に用いられる。
具体的には、コークス炉に用いられる珪石れんがは、SiO2を90%以上含むれんがであるのが好ましい。従って、シート状モルタルは、SiO2を90%以上含むれんが同士の間に配置されて、れんが同士を接合するのが好ましい。
本発明のシート状モルタルを、SiO2を90%以上含むれんがの接合に用いることにより、コークス炉の稼動温度において、れんがとシート状モルタルとが類似した熱膨張特性となり、シート状モルタルとれんがとの接着後の強度が維持される。
シート状モルタルを用いた施工方法としては、特に限定はないが、例えば、SiO2を90%以上含むれんがの上にシート状モルタルを載置し、このシート状モルタルの上にSiO2を90%以上含むれんがを載置して、シート状モルタルとれんがとを交互に重ね合わせていけばよい。れんが間に配置されたシート状モルタルは、れんがの重さによって、上下のれんがと密着する。
その後、加熱されて、シート状モルタル中の水や接着剤等が燃焼・分解し、耐火性原料が残存する。残存した耐火性原料がれんがと高温下で焼結して強固に接着する。
なお、加熱の方法は特に限定はないが、コークス炉の施工の場合には、築炉後の炉の昇温時に、シート状モルタルが加熱される構成としてもよい。
また、本発明のシート状モルタルは、定型のれんが同士の接合に用いる構成に限定はされず、流し込み成型により作製したプレキャストブロックを使用する際にも、プレキャストブロック同士の接合に利用可能であり、また、定型のれんがとプレキャストブロックとの接合にも利用可能である。
プレキャストブロックのSiO2の含有量も90%以上が好ましい。
本発明のシート状モルタルを、SiO2を90%以上含むプレキャストブロックの接合に用いることにより、コークス炉の稼動温度において、プレキャストブロックとシート状モルタルとが類似した熱膨張特性となり、シート状モルタルとプレキャストブロックとの接着後の強度が維持される。
なお、プレキャストブロックは加熱されて焼成され、れんがと同様の強度、密度を有するものとなる。
以上、本発明のシート状モルタル、および、シート状モルタルの施工方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
<シート状モルタルの作製>
実施例1として、厚さ5mm、大きさ40mm×40mmのシート状モルタルを作製した。
(耐火性原料)
耐火性原料として、SiO2を85%、Al23を8.5%含有し、最大粒径が0.5mmの粉末を用いた。
なお、耐火性原料の成分は、JIS R 2212−2「耐火物製品の科学分析方法−第2部:けい石質耐火物」に準拠した方法で測定した。また、最大粒径は、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法通則に準拠した方法で測定した。
(接着剤および水)
接着剤としては、アルファ化澱粉を用いた。
耐火性原料に対する質量比で、接着剤の混合比は5%、水の混合比は30%とした。
(成形方法)
上記の耐火性原料、水および接着剤を混錬してスラリー状の混合物を調製し、この混合物をドクターブレード法によって厚さ5mmのシート状に形成し、流動性が無くなる程度まで保持して安定させた後、一般的な打ち抜き加工装置を用いて、40mm×40mmの大きさに打ち抜いてシート状モルタルを作製した。
〔実施例2〜10〕
耐火性原料中のSiO2、Al23の含有量、最大粒径、水および接着剤の混合率をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、シート状モルタルを作製した。
なお、実施例2〜5、7、9は、混合物が粘土状であったため、製麺機(株式会社大和製作所製SB1284AS)を用いて圧延により、厚さ5mmのシート状に形成し、40mm×40mmの大きさに打ち抜いた。
〔実施例11〕
接着剤として酢酸ビニル樹脂エマルジョン(コニシ株式会社製CH5N)を用いた以外は、実施例3と同様にして、シート状モルタルを作製した。
〔比較例1および2〕
耐火性原料中のSiO2、Al23の含有量をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして、シート状モルタルを作製した。
<評価>
(線膨張係数)
実施例1〜11、ならびに、比較例1および2で作製したシート状モルタルについて、0.4MPaの荷重下における、500〜1300℃の線膨張率を測定した。
線膨張率は、JIS R 2658 耐火物の圧縮クリープの試験方法に準拠した方法により測定した。
(接着強度試験)
実施例1〜11、ならびに、比較例1および2で作製したシート状モルタルについて、接着強度試験を行った。
まず、後述する形状に切断して成形したれんが試料2個の間にシート状モルタルを挟んで、大気雰囲気下において、接着面の方向に対して0.1MPaの圧縮荷重をかけながら、110℃で24時間の乾燥処理を行って、あるいは、110℃で24時間の乾燥処理の後、250℃または1100℃で5時間の加熱処理を行って、れんが12とシート状モルタル10とを接合し、常温まで冷却した。
なお、各実施例で接合するれんがの種類は、表1に示すれんがを用いた。
ここで、実施例4で用いた溶融シリカからなるれんがは、熱間補修用のゼロ膨張れんがである。また、実施例5で用いたHRSれんがは、熱間補修用特殊れんがである。
また、れんがの大きさは、厚さ40mm×幅40mm×奥行60mmとした。
また、いずれのれんがもSiO2を90%以上含むれんがである。
また、加熱処理における昇温、降温速度は1℃/分とした。
次に、図1に示すように、接合したれんが12とシート状モルタル10の接着強度(曲げ接着強さ)を、JIS R 2213 耐火れんがの曲げ強さの試験方法に準じて、測定した。これにより得られる曲げ強さは、応力の単位(MPa)であり、接着部に働く引張応力に対応するものである。
支点間の幅は、70mmとした。
評価結果を表1に示す。
表1に示すように、SiO2を質量比で85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成されてなる、本発明のシート状モルタルである実施例1〜11は、荷重下における線膨張率が0.27%以下となり、比較例に対して小さく、また、1100℃で熱処理した後の接着強度も1.7MPa以上と、比較例に対して大きくなることがわかる。
また、いずれの実施例においても250℃で熱処理した後の接着強度は0.5MPa以下と低位であったことから、れんがの熱膨張を吸収するための目地材として適正な特性と言える。
また、実施例3と実施例10との対比から、耐火性原料に対する、水および接着剤の混合率が、質量比で20%〜40%であるのが好ましいことがわかる。
ここで、一般的な珪石モルタル(日本特殊炉材株式会社製CO−11K)を用いて、珪石れんがを接合した場合の線膨張係数および接着強度を、上記と同様にして測定したところ、線膨張係数は0.21%、1100℃における接着強度は2.0MPaであった。
すなわち、本発明の実施例であるシート状モルタルは、一般的な珪石モルタルと同様の線膨張係数、接着強度を発現することが分かる。
また、実施例4および実施例5に示すシート状モルタルと熱間補修用れんがを使用して、コークス炉の実炉において、それぞれ熱間積替え施工をおこなった。その結果、通常の珪石モルタルを使用した場合と比較して、モルタル塗布時間を50%短縮することができた。また、通常の珪石モルタルを使用した場合と同様に操業が可能であり、1年後においても目地切れ等の不具合が無いことを確認した。
以上より本発明の効果は明らかである。
10 シート状モルタル
12 れんが

Claims (8)

  1. SiO2を質量比で85%以上含む粉末状の耐火性原料と、水および接着剤とを含みシート状に形成されてなることを特徴とするシート状モルタル。
  2. 前記粉末状の耐火性原料に対する、水および前記接着剤の混合率が、質量比で20%〜40%である請求項1に記載のシート状モルタル。
  3. 前記粉末状の耐火性原料の最大粒径が2mm以下であり、前記粉末状の耐火性原料に含まれる粒径1mm超の粒子の比率が5質量%以下である請求項1または2に記載のシート状モルタル。
  4. 前記接着剤が、有機系接着剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート状モルタル。
  5. 前記シート状モルタルの接着強度が、250℃において、0.5MPa以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート状モルタル。
  6. SiO2を90%以上含むれんが同士の間、SiO2を90%以上含むプレキャストブロック同士の間、あるいは、前記れんがと前記プレキャストブロックとの間に配置され、前記れんが同士、前記プレキャストブロック同士、あるいは、前記れんがと前記プレキャストブロックとを接合するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート状モルタル。
  7. 前記れんが、あるいは、前記プレキャストブロックの形状に対応した形状に形成される請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート状モルタル。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート状モルタルを、SiO2を90%以上含むれんが同士の間、SiO2を90%以上含むプレキャストブロック同士の間、あるいは、前記れんがと前記プレキャストブロックとの間に挟んで配置する工程と、
    前記シート状モルタルを加熱して、前記れんが同士、前記プレキャストブロック同士、あるいは、前記れんがと前記プレキャストブロックとを接合する工程とを有するシート状モルタルの施工方法。
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