JP7421315B2 - 耐火性モルタル、コークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法 - Google Patents

耐火性モルタル、コークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法 Download PDF

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Description

本発明は、定形耐火物を用いて炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用する耐火性モルタル、その耐火性モルタルを使用するコークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法に関する。
例えば鉄鋼製造で使用する精錬炉や溶鉄運搬容器では、鉄鋼製の鉄皮の内側に定形耐火物を積み上げて炉壁を構築している。耐火性モルタルは、定形耐火物同士を接合するために使用される不定形耐火物の一種であり、その主な役割は、定形耐火物同士を接合して構造体としての強度を与えると共に、溶融スラグや溶銑、溶鋼などの溶融物の目地への侵入や、ガスリークを防ぐことにある。
従来、このような耐火性モルタルとして珪石原料を主体とするものが知られており、この珪石原料を主体とする耐火性モルタルはコークス炉の築炉に広く使用されている(例えば特許文献1参照)。
特開平6-345547号公報
本発明者らが、珪石原料を主体とする各種の耐火性モルタルを使用してコークス炉の築炉試験を重ねたところ、使用部位の稼働中の温度が低いと、十分なガスシール性が得られないことがわかった。
すなわち、炭化室など稼働中の温度が1000℃を超えるような高温部位ではガスシール性に問題はなかったものの、例えばコークス炉の炉中下部に位置するソールフリューは、稼働中の温度が約50℃から250℃程度と低い部位であるが、このような低温部位では、十分なガスシール性が得られないことがわかった。
なお、コークス炉ではシール性としてガスに対するシール性が問題となるが、コークス炉以外の例えば溶融炉では溶融物に対するシール性が問題となり、低温部位におけるシール性の確保は、コークス炉に限った課題ではない。
そこで本発明が解決しようとする課題は、使用部位の稼働中の温度にかかわらず、十分なシール性を確保することのできる耐火性モルタルを提供すると共に、その耐火性モルタルを使用するコークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法を提供することにある。
本発明によれば、以下の耐火性モルタル、コークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法が提供される。
1.
定形耐火物を用いてコークス炉の炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用するコークス炉目地用の耐火性モルタルであって、
前記耐火性モルタルは、前記定形耐火物の間の目地厚みLに施工され、養生終了時の厚みをMとしたときにM<Lであり、且つ、
100℃における前記耐火性モルタルの厚みMが(1)式を満たすことを特徴とする耐火性モルタル。
=M(1+0.01αMT)≧L-0.005(αB1×LB1+αB2×LB2)・・・(1)
ここでMは養生終了時の耐火性モルタルの厚み、αMTは100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率、そして隣接する定形耐火物をそれぞれ定形耐火物1と定形耐火物2とし、Lは室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚み、αB1は定形耐火物1の100℃における線熱膨張率、LB1は定形耐火物1の室温長さ、αB2は定形耐火物2の100℃における線熱膨張率、LB2は定形耐火物2の室温長さである。
2.
100℃における耐火性モルタルの線熱膨張量が養生終了時の収縮量以上である、前記1に記載の耐火性モルタル。
3.
粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含む、前記1又は2に記載の耐火性モルタル。
4.
定形耐火物を用いて炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用する耐火性モルタルであって、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含むことを特徴とする耐火性モルタル。
5.
耐火粘土の含有量が1質量%以下(0を含む)である、前記1から4のいずれか一項に記載の耐火性モルタル。
6.
溶融シリカを55質量%以上含む定形耐火物の接合に使用される、前記1から5のいずれか一項に記載の耐火性モルタル。
7.
前記1から6のいずれか一項に記載の耐火性モルタルを定形耐火物の接合に使うことを特徴とするコークス炉の築炉方法。
8.
定形耐火物を用いてコークス炉の炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用するコークス炉目地用の耐火性モルタルの選定方法であって、100℃における耐火性モルタルの厚みMが前記(1)式を満たす耐火性モルタルを選定する耐火性モルタルの選定方法。
本発明によれば、使用部位の稼働中の温度にかかわらず、十分なシール性を確保することができる。
本発明の耐火性モルタルの作用を模式的に示す図。 シール性の評価に用いた耐火物ブロックを示す図。 画像相関法によりモルタル混練物の収縮量を評価する要領を示す図。
本発明の第1の形態は、100℃における耐火性モルタルの厚みMが(1)式を満たすことを特徴とする耐火性モルタルである。
=M(1+0.01αMT)≧L-0.005(αB1×LB1+αB2×LB2)・・・(1)
ここでMは養生終了時の耐火性モルタルの厚み、αMTは100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率、そして隣接する定形耐火物をそれぞれ定形耐火物1と定形耐火物2とし、Lは室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚み、αB1は定形耐火物1の100℃における線熱膨張率、LB1は定形耐火物1の室温長さ、αB2は定形耐火物2の100℃における線熱膨張率、LB2は定形耐火物2の室温長さである。
このように本発明の第1の形態である耐火性モルタルは(1)式を満たすことで、稼働中の温度が100℃程度の低温部位においても十分なシール性を確保することができる。
具体的に(1)式を満たすことの技術的意義を、図1を参照して説明すると以下のとおりである。
図1(a)は、隣接する定形耐火物1と定形耐火物2とを、耐火性モルタルを使用して接合した直後の状態を模式的に示している。この接合直後(室温)における耐火性モルタルの厚みMは、室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚みLと等しい(M=L)。
図1(b)は、耐火性モルタルの養生終了時(室温)の状態を模式的に示している。耐火性モルタルは流動性を付与する必要があるため、所定の水分を添加して混練しており、この耐火性モルタル中の水分は、養生中に定形耐火物1,2の開気孔に吸収されるため、耐火性モルタルは収縮する。加えて、養生中に耐火性モルタルの粉末部が凝集する。これらの作用によって、耐火性モルタルは収縮し、養生終了時の耐火性モルタルの厚みはMとなり、目地に間隙Aが生じる。
図1(c)は、100℃における定形耐火物1と定形耐火物2との接合状態を模式的に示している。100℃における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚みは、L-0.005(αB1×LB1+αB2×LB2)となり、これが(1)式の右辺である。すなわち、100℃における目地厚みは、室温における目地厚みLから定形耐火物1,2の熱膨張量を減じた厚みとなる。なお、αB1,αB2は線熱膨張率、すなわち線熱膨張を百分率(%)で表したものであり、目地厚みに影響を及ぼす熱膨張は定形耐火物1,2の片側のみであるから、係数は0.005となる。
一方、100℃における耐火性モルタルの厚みMは、M(1+0.01αMT)となり、これが(1)式の左辺である。
そして、この100℃における耐火性モルタルの厚みMが、100℃における目地厚み以上である、すなわち(1)式を満たす場合、100℃において目地に間隙が生じることはなく、十分なシール性を確保することができることになる。
なお、コークス炉のソールフリューは、上述のとおり稼働中の温度が約50℃から250℃程度であり、稼働中の温度が100℃を下回ることがあるが、これはコークス炉ガス交換時の一時的なものであり、コークス炉のソールフリューにおいても、(1)式を満たしていれば、十分なシール性を確保することができる。
また、本発明の第1の形態である耐火性モルタルは、コークス炉のソールフリューのような低温部位だけでなく、コークス炉の炭化室のように稼働中の温度が1000℃を超えるような高温部位にも問題なく使用することができる。また、本発明の第1の形態である耐火性モルタルはコークス炉に限らず、ガラス溶融炉等の各種溶融炉にも問題なく使用することができる。
上述のとおり(1)式では、定形耐火物1,2の100℃における熱膨張を考慮したが、コークス炉等では溶融シリカを主体、具体的には溶融シリカを55質量%以上含む定形耐火物を使用することがある。この溶融シリカを主体とする定形耐火物は、100℃において殆ど熱膨張しない。すなわち、(1)式において定形耐火物1,2が溶融シリカを主体とする定形耐火物である場合、100℃における線熱膨張率、LB1,LB2は実質的に0となり、この場合、(1)式は(2)式のようになる。
=M(1+0.01αMT)≧L・・・(2)
この(2)式を満たすことの技術的意義は、耐火性モルタルの収縮により生じた間隙A(図1(b)参照)を、耐火性モルタルの100℃における熱膨張によって塞ぐということであり、これを言い換えると、100℃における耐火性モルタルの線熱膨張量が養生終了時の収縮量以上であるということである。すなわち、(2)式を満たす耐火性モルタルは、100℃における線熱膨張率αMTが高いということであり、(2)式を満たす耐火性モルタルは、必然的に(1)式も満たすことになる。
なお、(1)式では上述のとおり、定形耐火物1,2の100℃における熱膨張を考慮している。したがって、この(1)式は、定形耐火物1,2の100℃における熱膨張特性に応じた耐火性モルタルの選定基準(選定方法)でもある。
すなわち、本発明の他の形態は、定形耐火物を用いて炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用する耐火性モルタルの選定方法であって、100℃における耐火性モルタルの厚みMが(1)式を満たすような耐火性モルタルを選定することを特徴とする。
例えば、定形耐火物が溶融シリカ質プレキャストブロックの場合、(1)式の各パラメータは以下のとおりとなる。
:養生終了時の耐火性モルタルの厚み=9.99mm
αMT:100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率=0.12%
:室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚み=10mm
αB1:定形耐火物1(溶融シリカブロック)の100℃における線熱膨張率=0(ゼロ)
B1:定形耐火物1の室温長さ=200mm
αB2:定形耐火物2(溶融シリカブロック)の100℃における線熱膨張率=0(ゼロ)
B2:定形耐火物2の室温長さ=200mm
なお、αMT、αB1、αB2の線熱膨張率は室温を基準としてJISR2207-1に準拠して測定した値である。
上記の各パラメータを(1)式に代入した場合、左辺=9.99×(1+0.01×0.12)≒10.001となり、右辺=10となるので(1)式を満たす。
すなわち、上記の例の場合、100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率が0.12%以上となる耐火性モルタルを選定すれば、(1)式を満たすので、100℃において目地に間隙が生じることはなく、十分なシール性を確保することができることになる。
本発明の第2の形態は、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含むことを特徴とする耐火性モルタルである。
詳細は後述するが、この第2の形態の耐火性モルタルは、100℃における線熱膨張率が高いという特徴を有しており、この第2の形態の耐火性モルタルは、(1)式及び(2)式を満たすことができる。すなわち、この第2の形態は、(1)式及び(2)式を満たすことのできる耐火性モルタルの具体的な構成例を示すものである。
以下、第2の形態の耐火性モルタルの構成について詳しく説明する。
第2の形態の耐火性モルタルは、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下含む。粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料が5質量%未満であると、珪石原料による熱膨張(100℃における熱膨張のことをいう。以下同じ。)が不足するため、十分なシール性を確保することができない。一方、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料が50質量%超であると、耐火性モルタルの粒度構成において粒径0.1mm以上0.5mm未満の割合が多くなり、ダイラタント特性の傾向が強くなるため圧送性及び鏝塗り性を確保することが困難になる。ここで、ダイラタント特性とは、ある種の混合物が示す、遅いせん断刺激には液体のように振る舞い、より速いせん断刺激に対してはあたかも固体のような抵抗力を発揮する性質であり、混合物の粒度構成に偏りがあるほどダイラタント特性の傾向が強くなる。
なお、耐火性モルタルは一般的に圧送ポンプで圧送したり、鏝を使って塗布することで施工されるので、耐火性モルタルの施工性を考慮すると圧送性及び鏝塗り性を確保することが好ましい。
粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料の含有量は、23質量%以上32質量%以下であることが好ましい。
ここで、本発明でいう粒径とは、原料粒子を篩いで篩って分離したときの篩い目の大きさのことであり、例えば粒径0.01mm未満の珪石原料とは、篩い目が0.01mmの篩いを通過する珪石原料のことで、粒径0.1mm以上の珪石原料とは、篩い目が0.01mmの篩い目を通過しない珪石原料のことである。
第2の形態の耐火性モルタルは、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下含む。粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料が20質量%未満であると、耐火性モルタルの粒度構成において粒径0.045mm以上0.1mm未満の割合が少なくなり、ダイラタント特性の傾向が強くなるため圧送性及び鏝塗り性を確保することが困難になる。一方、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料が60質量%超であると、珪石原料の粒度構成において粒径0.1mm以上0.5mm未満の割合が低くなり、結果として珪石原料による熱膨張が不足するため、十分なシール性を確保することができない。また、モルタルの粒度構成において粒径0.045mm以上0.1mm未満の割合が多くなり、ダイラタント特性の傾向が強くなるため圧送性及び鏝塗り性を確保することが困難になる。
粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料の含有量は、35質量%以上55質量%以下であることが好ましい。
第2の形態の耐火性モルタルは、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含む。粒径0.045mm未満のシリカ質原料が5質量%未満であると、耐火性モルタルの粒度構成において粒径0.045mm未満の割合が少なくなり、ダイラタント特性の傾向が強くなるため圧送性及び鏝塗り性を確保することが困難になる。一方、粒径0.045mm未満のシリカ質原料が35質量%超であると、粒径0.045mm以上0.5mm未満の珪石原料が少なくなるため、この珪石原料による熱膨張が不足するため、十分なシール性を確保することができない。
粒径0.045mm未満のシリカ質原料の含有量は、20質量以上30質量%以下であることが好ましい。
なお、シリカ質原料としては、珪石原料、溶融シリカ原料、シリカ超微粉等が挙げられる。
上記第1の形態及び第2の形態を含む本発明の耐火性モルタルにおいて、耐火粘土の含有量は1質量%以下(0を含む)であることが好ましい。本発明の耐火性モルタルは、従来の耐火性モルタルと同様に所定の水分を添加して混練後に施工するものであるが、耐火粘土の含有量を1質量%以下(0を含む)に抑えることで、添加水分を減らすことができる。これにより養生終了時の収縮を低減することができ、その結果、シール性を向上させることができる。
なお、本発明の耐火性モルタルにおいて、水分の添加量は耐火性モルタル100質量%に対する外掛けで10~50質量%程度であるが、耐火粘土の含有量を1質量%以下(0を含む)に抑えることで、水分の添加量は10~40質量%程度に減らすことができる。
本発明の耐火性モルタルは、上述の耐火原料(珪石原料、シリカ質原料及び耐火粘土)に加えて、デキストリン、アラビアゴム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、分散剤、カルベンダジム、ヨードメチルスルホン、塩化イソチアゾロン、イソチアゾロン等の各種添加剤を適宜含むことができる。
なお、定形耐火物としては、耐火物ブロック(プレキャストブロック)でもよいし、耐火煉瓦でもよい。
表1に示す耐火性モルタルに適量の水分を添加し混練して得たモルタル混練物について、シール性、圧送性及び鏝塗り性を評価し、これらの評価結果に基づき総合評価を行った。
なお、表1において、「シリカ質原料」とは、珪石原料、溶融シリカ原料等であり、「その他」とは、デキストリン、アラビアゴム、CMC等である。
Figure 0007421315000001
各評価項目の評価方法及び評価基準は以下のとおりである。
<シール性>
図2に示すように、溶融シリカを55質量%以上含む定形耐火物からなる耐火物ブロックを作製し、目地部にあたる箇所(モルタル鋳込み箇所)にモルタル混練物を鏝により塗布してシール性評価用の試料を得た。そして、この試料中のモルタル混練物の養生終了時の温度(室温)から自由水がなくなるまでの温度(100℃)の収縮量を、図3に示す要領で画像相関法により評価した。すなわち、この収縮量は「養生終了時の収縮量」に相当する。その後、自由水がなくなった状態から室温に戻し、室温から昇温して100℃における線熱膨張量をJISR2207-1に準拠して評価した。
シール性の評価は、線熱膨張量が収縮量以上である場合を〇(良好)、収縮量よりも線熱膨張量が下回る場合を×(不良)とした。
なお、このシール性の評価において、線熱膨張量が収縮量以上である場合は、上述のとおり必然的に(1)式を満たすことになる。一方、収縮量よりも線熱膨張量が下回る場合は、このシール性の評価に用いた耐火物ブロックは溶融シリカを55質量%以上含む定形耐火物からなり100℃における線熱膨張率は実質的に0である(殆ど熱膨張しない)から、(1)式を満たさないことになる。
<圧送性>
圧送ポンプのモーターの周波数を60Hzとした場合の当該圧送ポンプからのモルタル混練物の吐出量に基づき評価した。具体的には、吐出量が8L/分以上の場合を◎(優良)、5L/分以上8L/分未満の場合を〇(良好)、5L/分未満の場合を×(不良)とした。
なお、この圧送性の評価は、大型のプレキャストブロック等のように、耐火性モルタルを施工する面積が大きい場合を想定したものである。
<鏝塗り性>
鏝に所定量のモルタル混練物をすくってとどまる場合を〇(良好)、流れ出る場合を×(不良)とした。
なお、この鏝塗り性の評価は、築炉工が鏝塗りする場合を想定したものである。
<総合評価>
圧送性の評価が◎でその他の評価が〇の場合を◎(優良)、全ての評価が〇の場合を〇(良好)、いずれかの評価で1つでも×がある場合を×(不良)とした。
表1中、実施例1~6は本発明の範囲内にある耐火性モルタルである。これらの総合評価は◎(優良)又は〇(良好)であり、シール性、圧送性、鏝塗り性のいずれも良好な評価が得られた。なかでも実施例5、6は、各耐火原料の含有量が上述の好ましい範囲内にある耐火性モルタルである。その総合評価は◎(優良)であり、実施例1~4に比べてより良好な評価が得られた。
比較例1は、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料の含有量が少ない例であり、珪石原料による熱膨張が不足したためシール性の評価が×(不良)となった。
比較例2は、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料の含有量が多い例であり、ダイラタント特性の傾向が強くなったため圧送性及び鏝塗り性の評価が×(不良)となった。なお、比較例2では、そのモルタル混練物を鏝ですくえなかったので、シール性の評価を行うことができなかった。後述する比較例3~5においても同様である。
比較例3は、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料の含有量が少ない例であり、ダイラタント特性の傾向が強くなったため圧送性及び鏝塗り性の評価が×(不良)となった。
比較例4は、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料の含有量が多い例であり、この比較例4においてもダイラタント特性の傾向が強くなったため圧送性及び鏝塗り性の評価が×(不良)となった。
比較例5は、粒径0.045mm未満のシリカ質原料の含有量が少ない例であり、ダイラタント特性の傾向が強くなったため圧送性及び鏝塗り性の評価が×(不良)となった。
比較例6は、粒径0.045mm未満のシリカ質原料の含有量が多い例であり、珪石原料による熱膨張が不足したためシール性の評価が×(不良)となった。

Claims (8)

  1. 定形耐火物を用いてコークス炉の炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用するコークス炉目地用の耐火性モルタルであって、
    前記耐火性モルタルは、前記定形耐火物の間の目地厚みLに施工され、養生終了時の厚みをMとしたときにM<Lであり、且つ、
    100℃における前記耐火性モルタルの厚みMが(1)式を満たすことを特徴とする耐火性モルタル。
    =M(1+0.01αMT)≧L-0.005(αB1×LB1+αB2×LB2)・・・(1)
    ここでMは養生終了時の耐火性モルタルの厚み、αMTは100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率、そして隣接する定形耐火物をそれぞれ定形耐火物1と定形耐火物2とし、Lは室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚み、αB1は定形耐火物1の100℃における線熱膨張率、LB1は定形耐火物1の室温長さ、αB2は定形耐火物2の100℃における線熱膨張率、LB2は定形耐火物2の室温長さである。
  2. 100℃における耐火性モルタルの線熱膨張量が養生終了時の収縮量以上である、請求項1に記載の耐火性モルタル。
  3. 粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含む、請求項1又は2に記載の耐火性モルタル。
  4. 定形耐火物を用いて炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用する耐火性モルタルであって、粒径0.1mm以上0.5mm未満の珪石原料を5質量%以上50質量%以下、粒径0.045mm以上0.1mm未満の珪石原料を20質量%以上60質量%以下、粒径0.045mm未満のシリカ質原料を5質量以上35質量%以下含むことを特徴とする耐火性モルタル。
  5. 耐火粘土の含有量が1質量%以下(0を含む)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の耐火性モルタル。
  6. 溶融シリカを55質量%以上含む定形耐火物の接合に使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の耐火性モルタル。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の耐火性モルタルを定形耐火物の接合に使うことを特徴とするコークス炉の築炉方法。
  8. 定形耐火物を用いてコークス炉の炉壁を構築する際に定形耐火物同士の接合に使用するコークス炉目地用の耐火性モルタルの選定方法であって、100℃における耐火性モルタルの厚みMが(1)式を満たす耐火性モルタルを選定する耐火性モルタルの選定方法。
    =M(1+0.01αMT)≧L-0.005(αB1×LB1+αB2×LB2)・・・(1)
    ここでMは養生終了時の耐火性モルタルの厚み、αMTは100℃における耐火性モルタルの線熱膨張率、そして隣接する定形耐火物をそれぞれ定形耐火物1と定形耐火物2とし、Lは室温における定形耐火物1と定形耐火物2との間の目地厚み、αB1は定形耐火物1の100℃における線熱膨張率、LB1は定形耐火物1の室温長さ、αB2は定形耐火物2の100℃における線熱膨張率、LB2は定形耐火物2の室温長さである。
JP2019211585A 2019-11-22 2019-11-22 耐火性モルタル、コークス炉の築炉方法及び耐火性モルタルの選定方法 Active JP7421315B2 (ja)

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