JP2016084561A - 架橋アクリル繊維およびその製造方法および紡績糸および布帛 - Google Patents
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しかしながら、かかる繊維は弾性繊維であるため、取扱いが難しいなどの問題を有していた。
一方、吸放湿性を有する繊維としてアクリル繊維に架橋処理を施した架橋アクリル繊維が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
繊維長の変化率=(L2−L1)/L1×100
ただし、L1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維長であり、L2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維長である。
その際、以下に定義する繊維径の変化率が9%以上であるであることが好ましい。
繊維径の変化率=(R2−R1)/R1×100
ただし、R1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維径であり、R2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維径である。
繊維長の変化率=(L2−L1)/L1×100
ただし、L1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維長であり、L2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維長である。
ここで、前記繊維長の変化率が4%未満の場合、自己調節機能を有する布帛に適用できないおそれがあり好ましくない。
繊維径の変化率=(R2−R1)/R1×100
ただし、R1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維径であり、R2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維径である。
この酸性基を有するコモノマーとしては、アクリロニトリルと共重合できる酸性基を有する通常使用されているビニルモノマーが挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩類、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩類が挙げられる。
これらの顔料粒子を適宜使い分けることにより、任意の色相に着色された吸放湿発熱繊維を得ることができる。具体的には、顔料粒子としてコバルトブルー又はセルリアンブルーを用いる場合は、紺色に着色された吸放湿発熱繊維を得ることができる。
上記顔料粒子とモノマーとが混合されたブレンドモノマーは、必要によりジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイト、アセトン、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダンソーダ水溶液などの溶媒に添加される。ブレンド成分の添加量は、溶媒100質量部に対して10〜50質量部が好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。
得られたポリマー溶液は綿布濾布等で濾過され、ポリマー溶液中の夾雑物を除去される。
紡糸ノズルを用い、DMF等の有機溶媒と水との溶液などからなる5〜30℃の紡糸浴中に前記ポリマー溶液を紡出することによりゲル状繊維が得られる。
得られるゲル状繊維は、5〜30℃の冷延伸浴、続いて、80〜95℃熱延伸浴を3〜15倍のストレッチで通過し、脱溶媒(湿熱延伸)処理が施される。
湿熱延伸処理された繊維は、内部温度90〜150℃に設定されたサクションドラムドライヤー等で繊維水分を除去(乾熱乾燥)すると共に繊維内部構造を緻密化してアクリル繊維が得られる。
得られたアクリル繊維は、アクリル系繊維中の主としてニトリル基を、ヒドラジン化合物を用いて架橋処理すると同時に、または架橋処理後、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム等の無機塩基を用いて加水分解される。
架橋処理は、上記酸性基を有するコモノマー単位を15質量%以下含むアクリル繊維にヒドラジン化合物を反応させることにより、アクリル系繊維の窒素含有量の増加を1.0〜8.0質量%となるようにして架橋構造を導入させるものである。
反応条件は、特に制限はないが、例えば酸性基含有コモノマー単位を15質量%以下含むアクリル繊維を、ヒドラジン濃度1〜3質量%の水溶液を用いて、温度90〜140℃下(より好ましくは125〜140℃)で、1〜5時間の架橋処理を行うことが好ましい。
ヒドラジン化合物としては、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、水加ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等が使用でき、特に制限はない。
ここでヒドラジン濃度とは、前記ヒドラジン化合物中のヒドラジン成分の濃度をいう。
加水分解反応は、アクリル系繊維中のカルボキシル基量を2〜5meq/gにコントロ−ルすることが好ましい。
無機塩基を用いる加水分解反応は、水溶液、又は、水と混和可能な溶媒との混合溶液中で行うことが好ましい。無機塩基濃度は2.0〜10.0質量%が好ましい。反応温度は90〜140℃が好ましい(より好ましくは90〜120℃)。反応時間は1〜3時間が好ましい。加水分解処理後、酢酸または蟻酸水溶液で中和および水洗を行うことが好ましい。
ここで、架橋処理と加水分解処理とを同時に行う場合は、同浴で同時間の処理を行うことが好ましい。
かくして得られた架橋アクリル繊維において、単繊維繊度は0.1〜10.0dtex(より好ましくは、1.0〜6.0dtex)であることが好ましい。
また、他繊維と紡績して混紡糸にしてもよい。他繊維としては、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維等が例示される。混紡する場合は、混打綿工程で、原綿ブレンドミックス法を採用することが好ましい。これにより、混紡相手の素材の物性に助けられ、混紡糸の製造が容易になる。混紡割合は、通常行われる範囲で任意のものである。
前記他の繊維の形態は特に限定されず、長繊維(マルチフィラメント)でもよいし、短繊維でもよい。その際、前記繊維を単独で用いてもよいし、複数の繊維を用いて例えば混綿してもよい。
かかる布帛は特に衣料用として好ましく用いられる。かかる衣料としては、スポーツ衣料、下着などが例示される。
(1)繊維長の変化率
下記式により求めた。
繊維長の変化率=(L2−L1)/L1×100
ただし、L1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維長であり、L2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維長である。
(2)繊維径の変化率
下記式により求めた。
繊維径の変化率=(R2−R1)/R1×100
ただし、R1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維径であり、R2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維径である。
単繊維繊度1dtexの、定長カットしたアクリル繊維を濃度2.4%の水加ヒドラジン水溶液で浴比1:10、130℃、3時間の架橋処理をした。架橋処理をした繊維を3.3%%の水酸化ナトリウム溶液で、浴比1:10で100℃、1時間の加水分解処理をし、0.3%酢酸溶液、浴比1:10、70℃で1時間の中和処理をし、次いで9%の紡績用油剤溶液を浴比1:10で60℃、20分処理をし、140℃、5分間乾燥後、綿紡績用の単繊維繊度2.4dtexの架橋アクリル繊維を得た。
得られた架橋アクリル繊維において、繊維長の変化率は21.3%であり、繊維径の変化率は10.0%であった。
次いで、該架橋アクリル繊維を用いて、国際公開第2004/113599号パンフレットの実施例1と同様に筒編物を得たところ、吸水した際には繊維が伸長し布帛の目が開いて透湿性が向上し、逆に乾燥した際には繊維は収縮してもとの長さに戻り、布帛の目が詰まって透湿性が低下し、自己調節機能を有する布帛であった。
単繊維繊度1.7dtexの、定長カットしたアクリル繊維を濃度2.4%の水加ヒドラジン水溶液で浴比1:10、130℃、3時間の架橋処理をした。架橋処理をした繊維を3.3%の水酸化ナトリウム溶液で、浴比1:10で100℃、1時間の加水分解処理をし、0.3%酢酸溶液、浴比1:10、70℃で1時間の中和処理をし、次いで9%の紡績用油剤溶液を浴比1:10で60℃、20分処理をし、140℃、5分間乾燥後、梳毛紡績用の単繊維繊度4.7dtexの架橋アクリル繊維を得た。
得られた架橋アクリル繊維において、繊維長の変化率は6.4%であり、繊維径の変化率は20.2%であった。
単繊維繊度1dtexの、定長カットしたアクリル繊維を濃度2.4%の水加ヒドラジン水溶液で浴比1:10、130℃、3時間の架橋処理をした。架橋処理をした繊維を1.5%の水酸化ナトリウム溶液で、浴比1:10で100℃、1時間の加水分解処理をし、0.3%酢酸溶液、浴比1:10、70℃で1時間の中和処理をし、次いで9%の紡績用油剤溶液を浴比1:10で60℃、20分処理をし、140℃、5分間乾燥後、綿紡績用の単繊維繊度1.3dtexの架橋アクリル繊維を得た。
得られた架橋アクリル繊維において、繊維長の変化率は3%であり、繊維径の変化率は5.0%であった。
単繊維繊度1.7dtexの、定長カットしたアクリル繊維を濃度2.4%の水加ヒドラジン水溶液で浴比1:10、130℃、3時間の架橋処理をした。架橋処理をした繊維を1.5%の水酸化ナトリウム溶液で、浴比1:10で100℃、1時間加水分解処理をし、0.3%酢酸溶液、浴比1:10、70℃で1時間の中和処理をし、次いで9%の紡績用油剤溶液を浴比1:10で60℃、20分処理をし140℃、5分間乾燥後、梳毛紡績用の単繊維繊度3.0dtexの架橋アクリル繊維を得た。
得られた架橋アクリル繊維において、繊維長の変化率は3.0%であり、繊維径の変化率は8.0%であった。
Claims (6)
- アクリル繊維に架橋処理を施した架橋アクリル繊維であって、以下に定義する繊維長の変化率が4%以上であることを特徴とする架橋アクリル繊維。
繊維長の変化率=(L2−L1)/L1×100
ただし、L1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維長であり、L2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維長である。 - 以下に定義する繊維径の変化率が9%以上である、請求項1に記載の架橋アクリル繊維。
繊維径の変化率=(R2−R1)/R1×100
ただし、R1は繊維を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の繊維径であり、R2は、繊維を20℃の蒸留水中に60秒間浸漬した後の繊維径である。 - 単繊維繊度が0.1〜10.0dtexの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の架橋アクリル繊維。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の架橋アクリル繊維を用いてなる紡績糸。
- 請求項4に記載の紡績糸を用いてなる布帛。
- 請求項1に記載の架橋アクリル繊維の製造方法であって、アクリル繊維を、ヒドラジン濃度1〜3質量%の水溶液を用いて、温度90〜140℃下で、1〜5時間の架橋処理を行った後、または同時に、無機塩基濃度2.0〜10.0質量%の溶液中で、温度90〜140℃下で、1〜3時間の加水分解処理を行う、架橋アクリル繊維の製造方法。
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