JP2016084262A - 珪化バリウム系多結晶体及びその用途 - Google Patents

珪化バリウム系多結晶体及びその用途 Download PDF

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雅実 召田
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、スパッタリングターゲット又は熱電変換素子として好適な珪化バリウム多結晶体を提供することである。【解決手段】 15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素を含み、含有酸素量が20atm%以下であることを特徴とする珪化バリウム多結晶体。【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の組成を有する珪化バリウム多結晶体及びその用途に関するものである。
シリコンを含有するワイドギャップ半導体は非常に特異的な特性を示すため、太陽電池材料等の環境エネルギー分野で広く利用されている。中でも、バリウム(Ba)とシリコン(Si)からなる珪化バリウムは、BaSi組成でバンドギャップが1.3eVと、シリコンの1.1eVよりも大きいため、注目されている(例えば、非特許文献1)。さらにSrを添加することでバンドギャップを1.4eVまで調整する事が可能である(例えば、特許文献1、非特許文献2)。
珪化バリウムの利用形態としては、膜として用いることが有効である。例えば、特許文献2にはn型とn+型珪化バリウム膜を積層した太陽電池がその例として挙げられている。膜の作製方法として以前より知られているのは、シリコン(111)上へMBE法(分子線エピタキシー法)にて製膜する方法で、各元素を精密に製膜することが可能であるが、成膜速度が遅く、特殊な装置であることから、量産には向いていない。そこで、量産向きの膜の作製方法が求められる。
量産に向いている膜の作製方法としてスパッタリング法が挙げられる。スパッタリング法は陰極に設置したターゲットにArイオンなどの正イオンを物理的に衝突させ、その衝突エネルギーでターゲットを構成する材料を放出させて、対面に設置した基板上にターゲット材料とほぼ同組成の膜を堆積する方法であり、直流スパッタリング法(DCスパッタリング法)と高周波スパッタリング法(RFスパッタリング法)がある。この方法を用いることで、例えばMBE法では困難な大面積への高速成膜が可能となる。
また、近年熱電変換が注目されている。熱電変換とは熱電変換素子の両端に温度差をかけることで発電が可能となる方法であり、熱電変換素子に求められる重要な因子は、ゼーベック係数、熱伝導率、抵抗率である。熱電変換素子材料は、ゼーベック係数が高く、熱伝導率並びに抵抗率が低いことが求められる。その中で珪化バリウムは高いゼーベック係数を持つことから熱電変換素子用材料としても、利用が期待されている(例えば、非特許文献3)。
特開2005−294810号公報 特開2009−66719号公報
Japanese Journal of Applied Physics Vol.49 04DP05−01−04DP05−05(2010) Japanese Journal of Applied Physics Vol.45 No.14 L390−392(2006) Journal of Applied Physics Vol.102 063703(2007)
本発明の目的は、珪化バリウム系多結晶体及びその用途を提供することである。
本発明は、
(1)15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素を含み、含有酸素量が20atm%以下であることを特徴とする珪化バリウム多結晶体。
(2)15族元素の添加量が0.0001atm%以上30atm%以下であることを特徴とする(1)に記載の珪化バリウム多結晶体。
(3)15族元素がアンチモンであることを特徴とする(1)または(2)に記載の珪化バリウム多結晶体。
(4)BaSi斜方晶の結晶を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体。
(5)密度が3.0g/cm以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体。
(6)バリウムと平均粒径が10mm以下であるシリコン粉末から珪化バリウム合金を合成する工程と、前記珪化バリウム合金を粉砕して珪化バリウム粉末とする工程と、前記珪化バリウム粉末を600℃〜1100℃でホットプレス処理する工程とを含んでなり、15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素をいずれかの工程で添加することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体の製造方法。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体からなるスパッタリングターゲット。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体からなる熱電変換素子。
(9)(7)に記載のスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする珪化バリウム結晶膜の製造方法。
に関するものである。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、抵抗率が10−5Ωcm以上10Ωcm未満であるため、n型半導体として好適であり、太陽電池などに代表される半導体デバイス用スパッタリングターゲットに使用することができる。さらに熱電変換材料としても使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素を含有することを特徴とする。珪化バリウム多結晶体中に15族元素を添加することで多結晶体中の珪素部分が15族元素に置き換わり、電子(キャリア)を発生する。そうすることで電気伝導性を向上させ、半導体として利用可能となる。半導体型はホール効果測定装置を用いて、キャリア密度を測定することで判別が可能となる。例えば、n型ならば絶対値が負であり、p型ならば絶対値が正となるため、判別が可能である。また、サーモプローブ法を用いても判別可能である。この方法は2端子測定で、一方を他方よりも加熱した状態で、電位差を測定し、加熱した電極の電位を見ることで判断できる。例えば、加熱した電極電位が高い場合n型となる。
15族元素の含有率は0.0001atm%以上30atm%以下とすることが好ましい。含有量の算出は珪素とバリウムの含有量をそれぞれ(A)、(B)として、15族元素含有量(C)をした時含有率は下記の式であらわされる。
含有率(atm%)=(C)/((A)+(B)+(C))
なお、含有量はICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)やEDS(エネルギー分散型X線分析)、EPMA(電子線マイクロアナライザー)等、多結晶体中における元素含有率を測定可能な分析手法を用いることで測定することができる。
好ましい添加量の範囲としては利用用途によって異なり、スパッタリングターゲットとして利用する場合、太陽電池用途では半導体物性を示すことが重要であるため、抵抗率よりもキャリア密度や移動度が重視されるため、0.0001atm%以上1atm%以下が好ましい。熱電変換材料用途では半導体物性よりも、導電体でもよく、何より抵抗率の低減が重要であるので、0.1atm%以上30atm%以下であることがより好ましい。
15族元素の添加量が0.0001atm%未満の場合、キャリア発生量が少ないために、太陽電池に利用した際、光の取り出し効率が悪くなる傾向にあり、抵抗率も高いために、太陽電池の性能として問題が発生するおそれがある。また、熱電変換材料に利用した場合においても、抵抗率が高く、発電効率の低下が懸念される。添加量を30atm%より多く添加した場合、太陽電池用途においてはデバイス作製時に価電子帯にキャリアが存在するようになり、発電効率が低下することが懸念される。また、熱電変換材料においても抵抗率は低くなる場合、導電性が過剰に向上するため、熱伝導率が高くなり、発電効率が低下する可能性が高い。
添加元素の種類については15族元素であれば特に限定しないが、シリコンに対して元素置換しても大きなひずみを生じない元素であることが好ましく、例えばリン、アンチモン、などが好ましい。そうすることでスパッタリングターゲットとして利用した場合、作製した薄膜の結晶の安定性が向上し、導電性や光吸収特性が向上する。また、ホウ素又はアルミニウムを添加した場合他の元素と比べ珪化バリウム多結晶体のキャリア密度を高くすることができる。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、多結晶体中の含有酸素量が20atm%以下であることが必要であり、10atm%以下である事が好ましく、5atm%以下であることがより好ましく、3atm%以下であることが更に好ましい。多結晶体中の酸素含有量を20atm%以下とすることで、多結晶体中の酸素が偏析する部分が少なくなり、強度が向上するからである。特に、添加元素を加えることによる影響も大きく、添加元素の存在により、珪化バリウム多結晶体の酸化が進みやすくなり、珪化バリウムの結晶性の維持がより困難となる。
珪化バリウム系多結晶体中の酸素酸素量の測定は、珪化バリウム系多結晶体を熱分解させ、炭素・窒素・水素分析装置を用いて酸素量を熱伝導度法により測定を行うことで求めることができる。また、XPS(X線光電子分光)、EPMAなどの元素分析により測定する方法なども挙げられる。
本発明の珪化バリウム系多結晶体は、BaSi斜方晶の結晶を有することが好ましい。このような結晶相を有する珪化バリウム系多結晶体は、割れのなく、より強度の高い珪化バリウム系多結晶体を得ることができる。
なお、BaSi斜方晶の結晶を有するかどうかは、XRD回折試験において以下のように確認することができる。すなわち、斜方晶系の結晶構造に帰属されるピークとは、Cuを線源とするXRDの2Θ=20〜80°の範囲内に検出される回折ピークが、JCPDS(Joint Committee for Powder Diffraction Standards)カードのNo.01−071−2327に帰属されるピークパターンまたはそれに類似したピークパターン(シフトしたピークパターン)に指数付けできるものであることを指す。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、放電の安定性や表層から起きる酸化の防止の観点からその密度が3.0g/cm以上であることが必要であり、3.2g/cm以上であることが好ましい。多結晶体の密度を3.0g/cm以上とすることでバルク体中に開気孔が少なくなり、表面の酸化が進みにくくなる。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、10−5〜10Ωcmと低抵抗であり、スパッタリングターゲットにした際、DCスパッタにより製膜することが可能となる。また、熱電変換材料としての性能も従来よりも向上している。抵抗率が10−5〜10Ωcmの多結晶体は、スパッタリングターゲットとして好適であり、抵抗率が10−5〜10Ωcmの多結晶体は、熱電変換材料として好適である。
多結晶体の半導体特性としてはn型であることが望ましい。そうすることで熱電変換素子のn型半導体部分に利用可能となる。
本発明の珪化バリウム多結晶体の製造方法について説明する。
本発明の珪化バリウム多結晶体の製造方法は、バリウムと平均粒径が10mm以下であるシリコン粉末から珪化バリウム合金を合成する工程と、前記珪化バリウム合金を粉砕して珪化バリウム粉末とする工程と、前記珪化バリウム粉末を600℃〜1100℃でホットプレス処理する工程とを含んでなり、15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素をいずれかの工程で添加することを特徴とする。
以下に、本発明の珪化バリウム多結晶体の製造方法について詳細に説明する。
まず、バリウムと平均粒径が10mm以下であるシリコン粉末から珪化バリウム合金を合成する。合成方法は特に限定されないが、極力酸素を含有させないような合成方法が好ましく、そのためには容器などに酸素を含有する機材をなるべく使用しない装置であるアーク溶解法が好ましい。アーク溶解法とは電極から放電させることで局所的に加熱し溶融する手法である。この方法は簡便に2000℃付近までの高温処理が可能となり、合金化処理に優れている。また、雰囲気制御もできるために、不活性ガス雰囲気中などで処理が可能であり、低酸素量とすることが可能となる。バリウムの融点が約720℃、シリコンの融点が約1400℃であることから、双方を均一に溶融するためにも、高速で昇温が可能であるアーク溶解炉は有効である。
元素を添加するタイミングとしては、原料合成時が望ましい。なぜなら、各種添加金属元素は珪化バリウムと反応性があるため、多結晶体合成後、添加金属と珪化バリウムが反応することで、バリウム―添加元素合金や珪化バリウムの酸化の促進などが起き、多結晶体の形状を維持することが困難となる。特にアンチモンはその傾向が強いため注意が必要となる。そこで、原料合成時に添加元素を加えることでその問題を解決する。例えば、原料合成時にアーク溶解法を用いる場合、添加元素が合金化し、それ以上反応が進行しないようにすることが可能である。さらに、高速で添加元素も含めて溶融させる効果として、加熱状態で珪化バリウムのシリコン部分を添加元素に置き換えることにより、キャリアを発生するようになるため、伝導率を向上させることが可能となる。また、溶融状態で添加元素を加えることで珪化バリウム原料に対し添加元素を均一に混合することが可能となる。例えば、アンチモンを添加する場合においては、その融点が600℃程度であるため、後のホットプレス時に融解し、珪化バリウムと反応する可能性があるが、融解によるアンチモンの偏析などを危惧するならば、原料合成の段階で添加しておくことが望ましい。そうすることでアンチモンが高分散した状態で存在することが可能となる。
または、合金化した添加元素を用意することで、添加物と珪化バリウムとの化合物の酸化を抑制することが可能となる。その合金は例えばアンチモン系ならばBa−Sb系、Sb−Si系、Ba−Sb−Si系等が考えられ、特に酸化に対し耐性のある材料を利用することが望ましい。その場合においては、より珪化バリウムに近い組成となるため、原料合成時だけでなく、ホットプレス時に添加する場合においても酸化の抑制や、添加元素分散性の向上に寄与することができる。
原料であるシリコン粉末の平均粒径は10mm以下のものを使用し、5mm以下であることがより好ましい。平均粒径とは粉末もしくは破砕物の平均粒子径を示しており、その粒径は例えば粒度分布計などで測定される粒径における平均粒径を指す。粒径が10mmより大きくとなると、溶解時に未溶解や未反応のシリコンの残渣が残ることで珪化バリウム合金体中に発生するシリコン粗粒によって割れが生じるため、珪化バリウム多結晶体を製造する事が困難となる。また、粒径が0.1mmよりも小さいとアーク溶解法を利用する際に放電のエネルギーによりシリコン粉末が溶融する前に飛散し、安定的、かつ必要な組成比に溶解することが困難となる可能性があるため、シリコン粉末の平均粒径は0.1mm以上のものを使うことが望ましい。
また、原料であるバリウム及びシリコン粉末中の酸素含有量は極力少ないことが望ましく、具体的には20atm%以下であることが好ましく、10atm%以下であることがより好ましい。原料中の酸素含有量を少なくすることで、多結晶体に残留する酸素が減少し、成膜した珪化バリウム膜の酸素量も減少することで純度も向上する。原料の一つであるバリウムは空気に触れると速やかに酸化が進行するため、酸素量を軽減するためには、空気に触れないように溶解装置に設置する必要がある。手法の一つとして、気化しやすい有機溶媒に浸漬したまま装置に投入するという方法がある。その場合の溶媒としては、水を含みにくい非極性溶媒が望ましく、また、20℃における蒸気圧が0.4kPa以上30kPa以下、さらに1kPa以上20kPa以下であることが望ましい。そうすることで、投入時に完全に揮発しにくく、かつ装置利用時に溶媒が気化している。具体的な溶媒としてはn−ヘキサンやn−ヘプタンなどが好ましい。
次に、得られた珪化バリウム合金を粉砕して粉末状とする。なお、15族元素を添加した後に珪化バリウム合金を粉砕してもよい。珪化バリウム粉末中の酸素含有量は20atm%以下であることが好ましく、珪化バリウム合金の合成後から酸素含有量を増加させないため、粉砕作業は不活性ガス、乾燥ガス雰囲気で行うことが好ましい。珪化バリウム粉末表面の酸化を防ぎ、酸素含有量を低く抑えることができるからである。
次に、珪化バリウム粉末を600℃〜1100℃でホットプレス処理する。ホットプレス法は粉末を加圧しながら温度を与えることで焼結を進める装置であり、加熱時に一軸加圧を行なうことで焼成時の拡散を補助し、拡散係数が低い場合や、金属など粒子径が大きい場合など焼結しにくい材料を焼結できるようにする焼成法である。ホットプレス法により焼成を行なうことで従来よりも密度が向上し、3.0g/cm以上の珪化バリウム多結晶体を得ることが可能となる。
ホットプレス処理における焼成温度は600℃以上1100℃以下であり、好ましくは、700℃以上1000℃以下で焼成する。600℃より低い温度では焼結が進まず、密度が成形体密度と同程度にしか向上しない。また、1100℃よりも高い温度にて焼成を行なうと融点が近いために珪化バリウムが溶融する可能性がある。
焼成時の圧力は10MPa以上100MPa以下である事が好ましい。多結晶体の密度を向上させ、一般的に用いられるカーボン製の金型でも使用に耐えうるからである。焼結の雰囲気は酸素を含まない雰囲気で行なう事が好ましい。
ホットプレス処理の焼成温度における保持時間は30分以上であることが望ましく、さらに言えば1時間以上であることが望ましい。保持時間が短いと内部まで均一に加熱できず多結晶体として保形が難しい。更に添加元素を入れている場合、添加元素部分が割れの起点となるために望む多結晶体を得ることがさらに困難となる。特にアンチモンのような焼成温度以下で溶融する材料は冷却時の固化による膨張収縮により珪化バリウム多結晶体に応力を与えるため割れが生じやすい。また、保持時間が長いほど添加元素の固溶が促進するために多結晶体への添加元素が均一に分散するようになり、添加元素による割れを防止することが可能となる。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、所定の寸法に加工してもよい。加工方法は特に限定しないが、平面研削法、ロータリー研削法または円筒研削法等を用いることができる。水と反応するために加工時の水の取扱には注意を要する。
本発明の珪化バリウム多結晶体は、必要に応じて平板状または円筒状の支持体にハンダ材等の接着剤により固定(ボンディング)しても良い。支持体の材質は、熱伝導率が高く成型物を支持できる強度があれば特に限定されないが、熱伝導率が高く強度が高いことからCu、SUSまたはTiなどの金属が好ましい。支持体の形状は平板形状の成形物には平板形状の支持体を用い、円筒形状の成形物には円筒形状の支持体を用いる。成形物と支持体を接着する接着材(ボンディング材)は、支持するために十分な接着強度があれば特に限定されないが、導電性の樹脂、スズ系ハンダ材またはインジウム系のハンダ材を使用することが出来る。導電性、熱伝導性が高く、かつ柔らかく変形しやすいことからインジウムハンダが好ましい。その理由は、ターゲット表面の熱を効率的に冷却でき、熱膨張により発生した多結晶体と支持体の間の応力を吸収し多結晶体の割れを防止することができるためである。
また、必要に応じて熱電変換素子用途に適した形状に加工してもよい。
以下、本発明の実施例をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(結晶性の確認方法)
XRD装置を用いて20°〜80°まで走査し、ピーク位置から結晶方位を同定した。
(添加元素量の確認方法)
ICP−AESを用いて、元素分析を実施し、添加元素の含有率を計算した。添加量がICP−AESの測定下限界以下の場合においては、SIMS(二次イオン質量分析法)を用いて特定の添加元素の含有率を計算した。
(酸素含有量の確認方法)
対象物を熱分解させ、酸素・窒素・水素分析装置(Leco社製)を用いて酸素量を熱伝導度法により測定した。
(抵抗率の測定方法)
4探針法により測定した。
(半導体の伝導型の判別方法)
ホール効果測定装置を用いて測定を行った。
(かさ密度の測定方法)
多結晶体の重量並びに寸法を測定することで密度を測定した。
(実施例1)
バリウム(純度99.9%)とシリコン粉末(純度4N 平均粒径130μm)を原子量比が1:2になるように100g秤量し、更に金属アンチモンをバリウム、シリコン、アンチモン原子量の合計に対し5atm%となるように添加しアーク溶解を行なった。アーク溶解は銅製の水冷鋳型に混合原料を約10gずつ投入し、真空処理後、アルゴンを封入しアーク放電しながら材料を溶融し合金を作製した。アーク溶解した後、窒素ガス雰囲気にて合成した珪化バリウム合金をメノウ乳鉢を用いて粉砕した。
次に、作製した珪化バリウム粉末75gを75mmφのカーボン製の金型を用いてホットプレス処理を行なった。200℃/hにて昇温し、最終的に800℃まで温度を増加させ、その際の加圧条件は800℃保持の際に40MPaまで上昇させ、保持時間1時間にてホットプレス処理を行った。降温は5時間で約50℃まで降温し、金型を取り出し、多結晶体の回収を行なった。
その後、前記多結晶体を75mmφ×4mmtの形状に加工した。多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度、結晶性、半導体の伝導型及び抵抗率を表1に示す。
ボンディング材料としてインジウムハンダを用いて、Cu製のバッキングプレート上に前記多結晶体をボンディングして、珪化バリウムスパッタリングターゲットを得た。
得られたターゲットについて以下の条件で放電評価を行なった。
放電方式 :RF/DCスパッタ
成膜装置 :マグネトロンスパッタ装置
ターゲットサイズ:75mmφ
成膜圧力 :0.5Pa
添加ガス :アルゴン
放電パワー :100W
基板温度 :25℃
同様の条件にて成膜を行なった結果、RFにおいてもDCにおいても珪素−バリウム混合薄膜を作製する事が可能であることを確認した。
(実施例2)
アンチモンの添加量を10atm%とした以外は実施例1と同様の方法で珪化バリウム多結晶体を作製した。多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度、結晶性、半導体の伝導型、半導体の伝導型及び抵抗率を表1に示す。
本多結晶体を実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットとし、成膜を行った結果、RFにおいてもDCにおいても珪素―バリウム混合薄膜を作製することが可能であることを確認した。
(実施例3)
アンチモンの添加量を0.005atm%とした以外は実施例1と同様の方法で珪化バリウム多結晶体を作製した。多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度、結晶性、半導体の伝導型及び抵抗率を表1に示す。
本多結晶体を実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットとし、成膜を行った結果、RFにおいてもDCにおいても珪素―バリウム混合薄膜を作製することが可能であることを確認した。
(実施例4)
アンチモンの添加量を添加量を2atm%とした以外は実施例1と同様の方法で珪化バリウム多結晶体を作製した。多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度、結晶性、半導体の伝導型及び抵抗率を表1に示す。
本多結晶体を実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットとし、製膜を行った結果、RFにおいてもDCにおいても珪素―バリウム混合薄膜を作製することが可能であることを確認した。
(比較例1)
添加元素を加えない以外は実施例1と同様の方法で珪化バリウム多結晶体を作製した。多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度、結晶性、半導体の伝導型及び抵抗率を表1に示す。
本多結晶体を実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットとし、成膜を行った結果、RFでのみ珪素―バリウム混合薄膜を作製することが可能であり、DCでは成膜することができなかった。
(比較例2)
作製した珪化バリウム粉末75gを90mmΦの金属製金型を用いて30MPaにて成型を行い、できた珪化バリウム成型体を更に300MPaにて1分間CIP装置により加圧することによって得られた成型体を電気炉を用いて800℃1時間大気雰囲気焼成を行った以外は実施例1と同様の方法で作製した。割れのある多結晶体が得られ、多結晶体の組成、酸素含有量、かさ密度及び結晶性のみ測定した。
Figure 2016084262

Claims (9)

  1. 15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素を含み、含有酸素量が20atm%以下であることを特徴とする珪化バリウム多結晶体。
  2. 15族元素の添加量が0.0001atm%以上30atm%以下であることを特徴とする請求項1に記載の珪化バリウム多結晶体。
  3. 15族元素がアンチモンであることを特徴とする請求項1または2に記載の珪化バリウム多結晶体。
  4. BaSi斜方晶の結晶を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体。
  5. 密度が3.0g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体。
  6. バリウムと平均粒径が10mm以下であるシリコン粉末から珪化バリウム合金を合成する工程と、前記珪化バリウム合金を粉砕して珪化バリウム粉末とする工程と、前記珪化バリウム粉末を600℃〜1100℃でホットプレス処理する工程とを含んでなり、15族元素のうち少なくとも1種類以上の元素をいずれかの工程で添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体からなるスパッタリングターゲット。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の珪化バリウム多結晶体からなる熱電変換素子。
  9. 請求項7に記載のスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする珪化バリウム結晶膜の製造方法。
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