JP2016082919A - キノコの栽培方法 - Google Patents

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Koji Takahata
幸司 高畠
史 佐々木
Chikashi Sasaki
史 佐々木
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Kenichi Motoe
謙市 本江
昇輝 高畑
Nobuteru Takahata
昇輝 高畑
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Abstract

【課題】高価な空調設備と高度な栽培技術が不要で、キノコを簡単に菌床栽培することができるキノコの栽培方法を提供する。
【解決手段】上方が開口する円筒状あるいは角筒状の栽培袋12の底部に、培地本体14を任意の高さまで入れる。培地本体14の上面から、培地本体14の上方に位置する栽培袋12の開口端部までの高さを、培地本体14の高さに対して0.5〜2倍の長さにする。培地本体14の上方に、栽培袋12で囲まれ且つ通気をある程度遮断された空間を作る。培地本体14で最初に子実体を1次発生させて収穫した後、使用した培地本体14を上下反転して、底面を上面にする。上下反転した培地本体14の上面から、培地本体14の上方に位置する栽培袋12の開口端部までの高さを、培地本体14の高さに対して0.5〜2倍の長さにして、キノコ培地10を形成し、キノコを2次発生させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、菌床栽培によるキノコの栽培方法に関する。
従来、キノコの菌床栽培は、温湿度、風速風量、照度、二酸化炭素濃度等の各条件について厳格に管理することにより、均一、安定、大量生産が可能になっており、栽培工程の省力化、機械化を図るためにビンや袋を使用する菌床栽培が行われている。例えば、市場流通しているエノキタケ菌床栽培は、ビンに入れた培地の培養が完了した後、菌掻き・注水処理、芽出し(温度14〜15℃、湿度95%、CO0.1%)、生育前期(温度3〜4℃、湿度85〜90%、照度100LX、風速20cm/秒)、生育後期(温度5〜6℃、湿度75〜80%、照度300LX、風速20cm/秒)の各工程を必要とする。ヒラタケ菌床栽培では、エノキタケ菌床栽培の生育前期と生育後期が生育期(温度10〜14℃,湿度85〜90%,照度300LX,CO0.1%)となり、他はエノキタケ菌床栽培と同様な条件を必要とする。これらのキノコの均一な子実体を収穫するには、外界の環境変化に対して子実体の生育ステージに応じた栽培環境を臨機応変に対応できる高度な栽培技術を必要とする。
また、キノコの種によっては栽培袋がビンより作業性が良好なため、シイタケ、マイタケで普及している。栽培袋としては、例えば特許文献1と特許文献2に開示されたものがある。特許文献1のえのき茸の人口栽培法は、樹脂フィルムないしシートからなる栽培袋に、培養基を円柱状のブロック状に一体成形して培養し、培養過程終了後、子実体成育前期工程、後期工程で、えのき茸が、筒型の起立保持部の中にその周壁に沿って束状に子実体形成するものである。特許文献2の菌床栽培用袋は、栽培袋のピンホールの発生を妨ぐことができる分子配向に形成されたプラスチックフィルムからなり、栽培袋には、雑菌の侵入を阻止するフィルタが溶着されている。フィルタの溶着部は、フィルタの引き剥がしを容易にするため、曲線溶着部と直線溶着部を組み合わせて、引き剥がし応力を集中させた応力集中部が形成され、栽培袋からの培地の取り出しを容易にしているものである。
これらの栽培袋を利用した菌床栽培は、ビンを使用する菌床栽培と同様に、温湿度、風速風量、照度、二酸化炭素濃度等の各条件について厳格に管理する必要があり、環境を管理する空調設備を備える専用の発生室で行う必要がある。
特開2014−8048号公報 特許第4217256号公報
中山間地域の一般農家が新たな特用林産物としてエノキタケ・ヒラタケ栽培に参画するには、空調設備を備えた発生室を設けるための高額な設備投資と子実体形成に関する専門技術を具備することが必要であり、このことはエノキタケ・ヒラタケ菌床栽培の普及の大きな障害になっている。
また、上記各特許文献は、栽培袋による菌床栽培が開示されているが、子実体の発生、成育には、ビンによる菌床栽培と同様に空調設備によって管理することを前提としており、高額な設備投資と子実体形成に関する専門技術を具備することが必要である。また、栽培袋の底に入れる培地の高さと、培地の上方に位置する栽培袋の開口端部までの高さ(袖高)については論じられておらず、有効な袖高に設定して栽培する方法が考えられていない。また、最初の1次発生が終わった培地を使用して2次発生させることは考えられていない。
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高価な空調設備と高度な栽培技術が不要で、キノコを菌床培地で簡単に菌床栽培することができるキノコの栽培方法を提供することを目的とする。
本発明は、上方が開口する円筒状あるいは角筒状の容器の底部に、培地本体を任意の高さまで入れ、前記培地本体の上面から、前記培地本体の上方に位置する前記容器の開口端部までの高さを前記培地本体の高さに対して0.5〜2倍の長さにして、前記培地本体の上方に前記容器で囲まれて通気をある程度遮断された空間を作り、前記培地本体にキノコの菌を接種して子実体形成を促し、最初に子実体を1次発生させて収穫した後、使用した培地本体を上下反転して底面を上面にして、上方が開口する筒状の容器の底部に入れ、上下反転した前記培地本体の上面から、前記培地本体の上方に位置する前記容器の開口端部までの高さを前記培地本体の高さに対して0.5〜2倍の長さにしてキノコ培地を形成し、前記キノコを2次発生させるキノコの栽培方法である。
前記容器は、合成樹脂製の薄いシート状の栽培袋であり、最初に子実体を1次発生させた前記培地本体を、前記栽培袋内で前記条件に一致するように移動させて、前記子実体の2次発生用のキノコ培地として使用するものである。
前記栽培袋は、ポリプロピレン製等であり、殺菌用の熱に耐え得る程度の耐熱性を有するものある。前記キノコは、エノキタケとヒラタケ等である。
本発明のキノコの栽培方法は、高価な空調設備と高度な栽培技術を必要とせずに、キノコを、一般農家の倉庫や学校、一般家庭の軒下等できわめて簡単に栽培することができるものである。培地本体の上方には、栽培袋で囲まれて通気をある程度遮断された空間が作られているため、芽出しに必要な湿度が保たれ、子実体原基が誘導されて子実体を良好に形成することができる。さらに、最初の1次発生が終わった培地本体を使用して、さらにキノコを2次発生させ、効率的に収穫することができるものである。
この発明の一実施形態のキノコの栽培方法に用いるキノコ培地の斜視図である。 この発明の一実施例のキノコの栽培方法でエノキタケを栽培した写真である。 この発明の一実施例のキノコの栽培方法でヒラタケを栽培した写真である。
以下、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態を示すものであり、この実施形態のキノコの栽培方法に用いるキノコ培地10を示すものである。キノコ培地10は、通気を遮断する樹脂製フィルム等の薄いシートで作られた有底の円筒状あるいは角筒状の栽培袋12を使用する。
栽培袋12は、例えばポリプロピレン(PP)製であり、120℃程度の耐熱性を有し高温殺菌に耐えるものである。栽培袋12の底部12aに、培地本体14を底部12aから所定の高さまで入れる。ここで、培地本体14の高さを培地高Bとする。培地本体14の上面14aから、上面14aの上方に位置する栽培袋12の開口端部12bまでの高さを袖高Cとすると、袖高Cは培地高Bに対して0.5〜2倍の長さにする。これにより、培地本体14の上面14aの上方に、栽培袋12で囲まれて通気をある程度遮断された空間18が袖高Cの長さで作られる。空間18により、キノコの子実体16の芽出しに必要な湿度が保たれ、子実体原基が誘導されて子実体16を形成することができる。
なお、栽培袋12の深さは、栽培袋高Aとし、栽培袋高Aは、培地高Bと袖高Cの和である。この実施形態では、図1に示すように、袖高Cは培地高Bに対し約1倍である。培地本体14は、例えば広葉樹オガ粉の培地(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:2(W/W)、含水率63%)である。培地本体14は、針葉樹オガ粉でもよい。
培地本体14は、後述するように、最初に子実体16を1次発生させて子実体16を収穫した後、使用したキノコ培地10を上下反転して、2次発生用のキノコ培地10として用いることができる。
次に、この実施形態で作成したキノコ培地10を使用したエノキタケ・ヒラタケの栽培方法について説明する。先ず、作成したキノコ培地10に滅菌処理を行い、その後、培地本体14にキノコの菌を接種する。キノコの菌は担子菌類であり、例えばエノキタケ・ヒラタケである。そして、栽培袋12の開口端部12bを閉じて、所定の温度で所定期間培養する。例えば、20±2℃で60日間培養する。培養後、栽培袋12の開口端部12bを開封して、倉庫や屋外など、空調設備がない場所で、温度12℃以下、湿度90%前後の環境におき、子実体16の形成を促す。最初に子実体16を1次発生させ、子実体16を収穫する。
また、培地本体14を2次発生用のキノコ培地10として用いる場合は、最初に子実体16を1次発生させて子実体16を収穫した後、使用したキノコ培地10を上下反転して、栽培袋12の底部12aを上にして、底部12aを切断して開口し、2次発生用の開口端部を形成する。培地本体14は、上面14aが下になり底面14bが上になり、底面14bが、子実体16の2次発生をさせる面となる。培地本体14の上面から、培地本体14の上方に位置する栽培袋12の開口端部までの高さである袖高Cは、1次発生と同様に、培地高Bに対して0.5〜2倍の長さになるように栽培袋12の内側で培地本体14を摺動させる。1次発生では上方に位置した栽培袋12の開口端部12bは、培地本体14の下になり、培地本体14が直接空気に触れないように折り畳む。培地本体14の下側が空気に触れると、底から未熟な子実体16が発生するため、これを防ぐ。なお、折り畳んだ開口端部12bをシール等で閉鎖してもよい。
これにより、二次栽培用のキノコ培地10が作成される。作成された2次発生用のキノコ培地10は、1次発生と同様に、倉庫や屋外など、空調設備がない場所で、温度12℃以下、湿度90%前後の環境におき、子実体16の形成を促し、2次発生させて子実体16を収穫することができる。
この栽培方法は、従来のエノキタケ・ヒラタケの菌床栽培で必要な、芽出し、成育前期、成育後期の各工程を一つの生育期とし、温度12℃以下、湿度90%前後の環境におくだけで、子実体16が形成される。また従来の、培地本体の上面が容器の開口端部の近傍に位置する菌床栽培では、培地本体の表面が直接外気にさらされるため外気の湿度を厳密に制御しなければ子実体は形成しないが、この栽培方法は、培地本体14の上方に栽培袋12で囲まれて通気をある程度遮断された空間18が袖高Cの長さで作られるため、芽出しに必要な湿度が保たれ、子実体原基が誘導されて子実体16を形成する。2次発生でも、1次発生と同様に、培地本体14の上方に栽培袋12で囲まれて通気をある程度遮断された空間18が作られているため、子実体16が形成される。この様な一連の袋栽培方法により、エノキタケ・ヒラタケが空調設備を必要とせずに栽培可能となる。空調設備を具備しない倉庫や家屋等の軒下に設置しても子実体形成が可能である。
この実施形態で作成したキノコ培地10で栽培されたエノキタケ・ヒラタケの子実体16は、通常の菌床栽培で栽培されたものに比べて、子実体16の傘や柄は大きく、それらは濃褐色を呈し、大小不均一に発生し、自然界で発生している形態に類似する。
この実施形態のキノコ培地10の作成方法は、高価な空調設備と高度な栽培技術を必要とせずに、エノキタケ・ヒラタケをきわめて簡単に栽培することができ、新規性があり、利用度の高い技術である。従来の菌床栽培のように、芽出し、生育前記、生育後期の各工程を空調設備により厳密に制御して区別する必要がなく、取り入れやすいものである。従来は、温湿度、風速風量、照度、二酸化炭素濃度等を制御する発生室と、高度な栽培技術を必要としたエノキタケ・ヒラタケの栽培が、このキノコ培地10により、一般農家の倉庫や学校、一般家庭の軒下等で可能となる。このため、一般農家は農閑期にエノキタケ・ヒラタケ栽培に参画することができ、一般家庭でもエノキタケ・ヒラタケ栽培を楽しむことができる。学校でも、教材として利用可能であり、食育に寄与することができる。
さらに、新たな特用林産物の育成並びに中山間地域の振興に寄与することができ、汎用性が高く、地域産業として十分実用化可能である。栽培袋12は柔軟・軽量で扱いやすく、培地本体14を入れたり、培地本体14の上下を反転させた後に摺動させたりするなど、いろいろな操作を容易に行うことができる。栽培袋12は安価であり、培地本体14の上面14aは栽培袋12で囲まれているため、培地内では子実体形成に必要な湿度を適切に保つことができる。また、確実に2次発生させることができ、2回収穫して子実体16の総収量が多くなり、生産効率が良い。キノコ培地10を使用して上記の栽培方法で作られた子実体16は、自然界で発生している形態に類似したエノキタケ・ヒラタケを栽培することができ、天然の外観を有するものとして付加価値を高めた商品にすることができる。
次に、この発明の一実施形態のキノコ培地10の作成方法について、第1実施例として、700gの培地本体14で栽培した時の袖高Cが子実体16の形成に及ぼす影響を調べた。直径12cm、栽培袋高Aが30cmのポリプロピレン(PP)製の栽培袋12に広葉樹オガ粉の培地本体14(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:2(W/W)、含水率63%)を700g詰め、培地高Bを10cmに調整した。そして滅菌処理を行った後、エノキタケFv−1を接種し、栽培袋12の開口端部12bを閉じて20±2℃にて60日間培養した。培養後、栽培袋12の開口端部12bを開封し、袖高Cを4cm、8cm、12cm、16cmに調整して、温度12±2℃、湿度85~90%、照度300luxの条件で子実体16の形成を促した。この結果を、表1に示した。
表1から明らかなように、1次発生、2次発生共に袖高Cが高くなるにつれて子実体収量は多くなった。袖高Cが高くなるにつれて子実体収量が重くなり、発生する子実体16が大形化した。袖高Cが4cm(培地高Bに対して0.4倍)では、袖高Cが16cmのときの子実体収量の2/3程度となった。これらのことから培地本体14の重量が700gでは、袖高Cが8〜16cm(培地高Bに対して0.5〜2.0倍、収量と占有空間の体積を考慮すると、好ましくは0.8〜1.6倍)が適していると考えられる。
次に、第2実施例として、1000gの培地本体14で栽培した時の袖高Cが子実体16の形成に及ぼす影響を調べた。直径12cm、栽培袋高Aが30cmのポリプロピレン(PP)製の栽培袋12に広葉樹オガ粉の培地本体14(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:2(W/W)、含水率63%)を1000g詰め、培地高Bを14cmに調整した。そして滅菌処理を行った後、エノキタケFv−1を接種し、栽培袋12の開口端部12bを閉じて20±2℃にて60日間培養した。培養後、栽培袋12の開口端部12bを開封し、袖高Cを4cm、8cm、12cm、16cmに調整して、温度12±2℃、湿度85~90%、照度300luxの条件で子実体16の形成を促した。この結果を、表2に示した。
表2から明らかなように、1次発生、2次発生共に袖高Cが4cmのときで子実体収量が低くなり、袖高Cが8〜16cmではそれより重くて互いに同程度となった。子実体個体重は袖高Cが高くなるにつれて重くなる傾向を示した。これらのことから培地本体14の重量が1000gでは、袖高Cが8〜16cm(培地高Bに対して約0.6〜1.2倍)が適していると考えられる。
次に、第3実施例として1100gの培地本体14で栽培した時の袖高Cが子実体16の形成に及ぼす影響を調べた。直径12cm、栽培袋高Aが30cmのポリプロピレン(PP)製の栽培袋12に広葉樹オガ粉の培地本体14(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:2(W/W)、含水率63%)を1100g詰め、培地高Bを15cmに調整した。そして滅菌処理を行った後、エノキタケFv−1を接種し、栽培袋12の開口端部12bを閉じて20±2℃にて60日間培養した。培養後、栽培袋12の開口端部12bを開封し、袖高Cを3.5cm、7.4cm、10.5cm、15cmに調整して、温度12±2℃、湿度85~90%、照度300luxの条件で子実体16の形成を促した。この結果を、表3に示した。
表3から明らかなように、子実体収量は袖高Cが15cmで最も多くなり、次いで7.5〜10.5cmとなった。袖高Cが3.5cmでは最も少なくなった。袖高Cが高くなるにつれて子実体16の発生回数が少なくなり、集中して発生する傾向を示した。また、子実体個体重は、袖高Cが高くなるに伴い重くなり、大きな子実体16を発生する傾向を示した。これらのことから袖高Cが7.5〜15cm(培地高Bに対して0.5〜1.0倍)が適していると考えられる。
第1実施例〜第3実施例に示すように袖高Cが子実体16の形成に及ぼす影響を調べた結果、袖高Cにより子実体収量は著しく影響され、袖高Cは培地高Bに対して0.5〜1.6倍が適切であることが明らかになった。実際の利用に際しては袖高Cを培地高Bの2倍までに調整することが適していると考えられる。
次に、第4実施例として、2次発生における上面発生と底面発生との比較を行った。直径12cm、栽培袋高Aが30cmのポリプロピレン(PP)製の栽培袋12に広葉樹オガ粉の培地本体14(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:1(W/W)、含水率63%)を1100g詰め、培地高Bを15cmに調整した。そして、滅菌処理を行った後、エノキタケFv−1を接種し、栽培袋12の開口端部12bを閉じて20±2℃にて60日間培養した。培養後、栽培袋12の開口端部12bを開封し、袖高Cを15cmに調整して、温度12±2℃、湿度85~90%、照度300luxの条件で子実体16の形成を促した。1次発生後、通常の上面14aから上面発生並びに反転させて元の底面14bからの底面発生を比較した。底面14bからの発生では、栽培袋12の底部12aを開封し、袖高Cが10cmになるように培地本体14を摺動させて子実体16の形成を促した。
また、1次発生後の発生処理(無処理、菌掻き処理、注水処理、菌掻き・注水の組み合わせ処理)を比較した。なお、各試験区において、1次発生の子実体収量、発生個数、個体重に差がないように配置した。この結果を、表4に示した。
表4から明らかなように、上面発生と底面発生では、無処理、菌掻き処理、注水処理、菌掻きと注水処理の組み合わせ処理と、いずれの試験区においても上面発生に比べて底面発生の方が、子実体収量が多くなった。
このように袋栽培において、1次発生後、培地本体14を反転させて底面14bより子実体16の形成を促す栽培方法が有効であることが明らかになった。
次に、第5実施例として、発生室、倉庫、屋外でのエノキタケ栽培の比較を行った。直径12cm、栽培袋高Aが30cmのポリプロピレン(PP)製の栽培袋12に広葉樹オガ粉の培地本体14(広葉樹オガ粉:米ぬか=3:1(W/W)、含水率63%)を1100g詰め、培地高Bを15cmに調整した。そして、滅菌処理を行った後、エノキタケFv−1を接種し、栽培袋12の開口端部12bを閉じて20±2℃にて60日間培養した。
培養後、平成24年12月1日に、栽培袋12の開口端部12bを開封し、発生室(12±2℃、湿度90%以上)、倉庫(10〜2℃)、屋外(軒下:10〜−4℃)に設置し、子実体16の形成を促した。発生室は空調設備を具備して温湿度、照度が一定に保たれた。倉庫、屋外では空調設備は具備されていない状態である。この結果を表5に示した。
表5から明らかなように、空調設備のない屋外、倉庫でも発生室と同様に子実体16が発生し、総発生の収量は、発生室、倉庫、屋外で有意差がなかった。屋外では集中して発生する傾向を示し、倉庫、屋外の方が発生室より個体重が重く、大きな子実体16を発生する傾向を示した。エノキタケの袋栽培では、空調設備のない倉庫や屋外においても子実体16の形成が可能であり、子実体収量は空調設備の有無に関係ないことが明らかになった。
次に、この発明によるキノコ培地で栽培したエノキタケの写真を図2に示す。栽培条件は、上記第1実施例と同様であり、20±2℃で60日間培養し、12℃以下の倉庫で子実体を発生させた。この結果、図2に示すように、良好な栽培結果が得られた。
なお、各実施例ではエノキタケを用いて説明したが、ヒラタケについても、上記実施例1と同様に、20±2℃で40日間培養し、12℃以下の倉庫で子実体を発生させた。この結果、図3に示す写真のように、エノキタケと同様にこの発明の栽培方法で栽培できることが確認された。
以上より、上記各実施例で説明したように、本発明によるキノコ培地の作成方法は、高価な空調施設や高度な栽培技術を必要とせずに極めて簡便にキノコの菌床栽培を可能にするものであり、一般農家の倉庫や一般家庭、学校の軒下等で簡便にキノコの菌床栽培を可能にすることから、中山間地域の振興や学校での食育に寄与し、地域産業の育成に貢献することが期待される。
10 キノコ培地
12 栽培袋
12a 底部
12b 開口端部
14 培地本体
14a 上面
14b 底面
16 子実体
18 空間

Claims (4)

  1. 上方が開口する円筒状あるいは角筒状の容器の底部に、培地本体を任意の高さまで入れ、前記培地本体の上面から、前記培地本体の上方に位置する前記容器の開口端部までの高さを前記培地本体の高さに対して0.5〜2倍の長さにして、前記培地本体の上方に前記容器で囲まれて通気をある程度遮断された空間を作り、前記培地本体にキノコの菌を接種して子実体形成を促し、最初に子実体を1次発生させて収穫した後、使用した培地本体を上下反転して底面を上面にして、上方が開口する筒状の容器の底部に入れ、上下反転した前記培地本体の上面から、前記培地本体の上方に位置する前記容器の開口端部までの高さを前記培地本体の高さに対して0.5〜2倍の長さにしてキノコ培地を形成し、前記キノコを2次発生させることを特徴とするキノコの栽培方法。
  2. 前記容器は、合成樹脂で作られたシート状の栽培袋であり、最初に子実体を1次発生させた前記培地本体を、前記栽培袋内で移動させて、前記子実体の2次発生用のキノコ培地として使用する請求項1記載のキノコの栽培方法。
  3. 前記栽培袋は、ポリプロピレン製であり、殺菌用の熱に耐え得る耐熱性を有する請求項1または2記載のキノコの栽培方法。
  4. 前記キノコは、エノキタケとヒラタケである請求項1記載のキノコの栽培方法。
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