JP2016081607A - セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔膜と、
前記多孔膜の少なくとも片面に
無機粒子と結着剤とを含有するコート層を持ち、
前記コート層は硫黄元素と窒素元素を含有することを特徴とするセパレータ。
【選択図】図1
Description
これは温度上昇によるシャットダウン機能によりポリオレフィン多孔膜の孔が閉塞されて電流が一旦遮断されても、電池温度が多孔膜を構成する樹脂の融点を超え、その多孔膜自体が溶融し、シャットダウン機能が失われる可能性を考慮したものである。
コート層を設けることにより、例えポリオレフィン多孔膜が溶融してシャットダウン機能が失われることがあっても電極間の短絡を防止することができ、
ポリオレフィンの融点を超える高温時でも絶縁性を維持できるセパレータとすることができる。
そこで本発明は、コート層の剥離強度を向上させたセパレータ、およびそれを使用した自己放電の少ないリチウムイオン二次電池を提供することを目的とした。
本実施形態のセパレータ10は、多孔膜14と、多孔膜14の少なくとも片面に塗布されたコート層12から成り、前記コート層12は、結着剤と、無機粒子を含有し、そのコート層は、硫黄元素と窒素元素を含有することを特徴としている。
本実施形態のコート層12は、結着剤と無機粒子を主成分として、構成され、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜である。さらに、無機粒子同士の結着力を高めるためを結着剤とともに硫黄元素と窒素元素を含有している。無機粒子の含有量は、特に限定はないが、コート層100質量%に対し、10質量%以上、99質量%以下が好ましく、更に好ましくは80質量%以上、98質量%以下である。10質量%以上であれば、リチウムイオン伝導度が高くなる傾向にあり、98質量%以下であれば、多孔膜の機械的強度が高い傾向にある観点から好ましい。
硫黄元素と窒素元素の両方を含む化合物としては、例えば、ペニシラミン、ペニシラミンメチル、ペニシラミンエチル、β−ホモペニシラミン、N−メチルペニシラミン、3−メチル−3−スルファニルブタン酸、2−アミノ−1,1−ジメチルエタンチオール、タウリン、チアゾールなどが挙げられる。また、硫黄元素を含む化合物としては、例えば、1−ブタンチオールなどのチオール、1,3−プロパンスルトンなどのスルトン、メタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸、などが挙げられる。窒素元素を含む化合物としては、ブチルアミンなどのアミン、アセトアミドやベンズアミドなどのアミド、ペンタンニトリルやベンゾニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。
本実施形態の多孔膜14は、特に限定されるものではなく、公知のものならば、いかなる材質の、いかなる製法によるものであってもよい。
好ましくは、重量平均分子量50万〜150万のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマーおよびグラフトコポリマーからなる群より選ばれる1種以上の樹脂からなるものが用いられる。
例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機粒子同士を結着させるための結着剤としては、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、寒天、カラギナン、ファーセラン、ペクチン、スターチ、マンナン、カードラン、アーネストガム、澱粉、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等多糖類;ゼラチン等のタンパク質;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、又はこれらの金属塩等の水溶性高分子や、合成重合体エマルジョンの例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリスチレン系重合体ラテックス、ポリブタジェン系重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート系重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリアクリレート系重合体ラテックス、塩化ビニル系重合体ラテックス、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン系共重合体エマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、アルギン酸とその塩、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。このなかでも、水溶性高分子がコストや結着性向上の点で好ましい。
本実施形態の無機粒子としては、具体的にはアルミナ、ベーマイト、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などが好適に用いられる。特にアルミナやベーマイトが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は0.01〜2μmの範囲が好ましい。無機粒子の平均粒子径が2μmを超えると、コート層を適切な厚みで成形する上で支障をきたすといった不具合が発生しやすい。
また、無機粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じる可能性があり、このように小さいものを用いることはコスト上の観点からも好ましい態様ではない。
次に、本実施形態に係るセパレータ10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図2を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに非水電解液をケース50に収容している。
正極20、負極30について具体的に説明する。正極20、負極30は、正極集電体22、負極集電体32と、正極集電体22、負極集電体32の表面に形成された活物質及びバインダーを含む正極活物質層24、負極活物質層34と、を備える。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li(CoxNiyMnz)O2、Li(NixCoyAlz)O2、Li(MnxAly)2O4、Li[LiwMnxNiyCoz]O2、LiVOPO4、LiFePO4等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
負極活物質層34のバインダー、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
次に、正極20および負極30の製造方法について説明する。
上記塗料を、正極集電体22、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
電解液は、電解質と非水溶媒と添加剤にて構成される。
電解質としてはリチウム二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2、LiN(CF3CF2CO)2等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電解質としてはLiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPF6がより好ましい。電解質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
非水溶媒としては、公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
以上、本発明の非水電解液、電極、ならびに、当該電解液及び電極を備えるリチウムイオン二次電池およびそれらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
[無機粒子の作製]
無機粒子としてアルミナ(Al2O3、平均粒径:0.20μm)を90質量%、硫黄元素と窒素元素を持つ化合物としてD−(−)−ペニシラミンを10質量%を混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。このときの遊星ボールミルのメディアは直径3mmのジルコニアビーズを用い、回転数は500rpmとし、混合時間は60minとした。
その後、アルミナの粒子表面に固着させるよう、アルミナとD−(−)−ペニシラミンの混合物を電気炉に入れ、窒素雰囲気に置換してから250℃で3時間加熱した。
これを再度、遊星ボールミルを用いて前記と同じ条件で粉砕混合したものを使用した。
コート層の無機粒子として前記の処理を行ったアルミナを30質量%、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴムを5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、塗料を作成した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。コート層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
セパレータ中の硫黄元素及び窒素元素の含有量の測定方法は、XPS[アルバック−ファイ株式会社製 PHI Quantera II]を用いて測定した。試料調製はAr雰囲気のグローブボックス中で大気非暴露の状態で行った。
剥離強度の試験方法は、23℃、50%RH条件下で引張り試験機[島津製作所社製 AGS−100NX]を用いて、ピール法(剥離速度300mm/分)にて多孔膜と無機耐熱層の界面での剥離強度を測定した。測定開始から測定終了までの100mmの間において、経時的に測定し、測定値の平均値を算出した。
無機粒子としてアルミナを95質量%、D−(−)−ペニシラミンを5質量%を混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
無機粒子としてアルミナを80質量%、D−(−)−ペニシラミンを20質量%を混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
D−(−)−ペニシラミンの替わりにタウリンを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
D−(−)−ペニシラミンの替わりにp−トルエンスルホン酸とアセトアミドをそれぞれ5質量%ずつ入れて、混合した。その後、混合物を電気炉に入れ、窒素雰囲気に置換してから100℃で1時間加熱した。それ以外は実施例1と同じである。
アルミナの替わりに炭酸カルシウムを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
アルミナの替わりにベーマイトを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
[セパレータの作製]
コート層の無機粒子としてアルミナを28質量%、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴムを5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、さらにD−(−)−ペニシラミンを3質量%、水を溶媒として63質量%混合し、塗料を作成した。このD−(−)−ペニシラミンが分散した塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。コート層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
硫黄元素および窒素元素の含有量の測定方法、および剥離強度の測定方法は実施例1と同じである。
[セパレータの作製]
コート層の無機粒子としてアルミナを30質量%、結着剤としてスチレン−ブタジエンゴムを5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、塗料を作成した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。コート層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
硫黄元素および窒素元素の含有量の測定方法、および剥離強度の測定方法は実施例1と同じである。
無機粒子として、炭酸カルシウムを使用した。それ以外は比較例1と同じである。
その結果、表1に示すとおり、実施例は比較例と比較し剥離強度が改善されている。
Claims (6)
- 多孔膜と、
前記多孔膜の少なくとも片面に無機粒子と結着剤とを含有するコート層を持ち、
前記コート層は硫黄元素と窒素元素を含有することを特徴とするセパレータ。 - 前記コート層中に硫黄元素と窒素元素を含む化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記コート層中に硫黄元素を含む化合物と、窒素元素を含む化合物の両方を含有することを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記コート層中の硫黄元素と窒素元素の量が前記コート層中の全元素に対してそれぞれ0.5mol%以上3.0mol%以下存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセパレータ。
- 前記無機粒子がアルミナあるいはベーマイトである請求項1〜4のいずれか一項に記載のセパレータ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレータを使用したリチウムイオン二次電池。
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