JP2016080482A - 探査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】探査不可領域dの境界付近においても画像処理結果の数値が小さくなることを抑え、従来に比べ鮮明なデータを得られる探査方法を実現する。
【解決手段】探査範囲SAにおいて、媒質の表面を走査ラインに沿って走査しながら、電磁波を媒質中へ放射し、媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信ステップと、媒質表面上の各位置において受信された反射信号に基づき決定した指標値を平面上にマッピングした探査マップsを生成する探査マップ生成ステップと、を順次実行し、探査マップsを用いて媒質中に存在する物体の位置を探査する探査方法であって、探査範囲SAにおける探査不可領域dの各位置p1における指標値を、当該位置p1に対して縦方向y及び横方向xの両方の方向における最近接位置pe1、pe2に存在する指標値に基づいて決定する探査不可領域補完ステップを実行する。
【選択図】図4

Description

本発明は、所定の探査範囲において、媒質の表面を走査ラインに沿って走査しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信ステップと、
前記媒質表面上において前記送受信ステップで走査した各位置で、当該位置において受信された前記反射信号に基づき媒質中に物体が存在する確率を示す指標値を決定し、決定した前記指標値を平面上にマッピングした探査マップを生成する探査マップ生成ステップと、を順次実行し、
前記探査マップを用いて前記媒質中に存在する物体の位置を探査する探査方法に関する。
このような媒質中の探査にあたっては、電磁波の反射を用いて地中にある埋設物または空洞を探査する探査装置が知られている。特許文献1に示す探査装置は地表面上の位置(x,y)において、電磁波を地中に向けて放射し、埋設物からの反射信号を受信して、一定間隔の反射時間毎の受信信号強度を測定する。この探査装置は、地表面上の位置(x,y)を一定間隔の格子状に取り、反射時間をzとして、xyz空間において、xy平面で見た時に全ての位置にデータ値(受信信号強度)が存在する完全な3次元データを得、当該3次元データにマイグレーション処理を加えて可視化するように構成されている。
このように探査装置で走査する領域(以下、探査範囲SA)における埋設物の構造を可視化する技術が知られているが、探査装置を走査する際、例えば、探査範囲SAが道路上であり電柱や壁などの障害物が存在する場合や、探査装置が探査できる探査範囲SAの大きさが仕様上限定されている場合には、探査装置を走査できない領域(以下、探査不可領域d)が存在する。
このような場合には、図5(a)〜(d)に示すように、探査範囲SAのうち探査不可領域dを避けて、走査できる領域のみを走査するといった方法がとられている。図中では、実際に作業者が探査装置を走査する領域を太線で囲っている。
特開2000−75027号公報
例えば、図5(a)、(b)には、正方形の領域のみ走査可能な仕様の探査装置を用いる場合の例を示している。この場合には、物理的に探査不可能な領域に加え、探査範囲SAにおいて本来探査できるはずの領域の一部が探査不可領域dとなる。また、図5(c)、(d)には、正方形及び長方形の領域を操作可能な探査装置を用いる場合の例を示している。この場合には、物理的に探査不可能な領域が探査不可領域dとなる。
いずれの場合においても、探査不可領域dは走査できずデータが存在しないため、データがないことを示す値(例えば0などの数値)で埋めるといった方法が用いられる。この場合には、探査不可領域dの境界付近において画像処理結果の数値が小さくなり、最終的に得られるデータが不鮮明となるという問題がある。
そこで、本願発明の目的は、探査不可領域dの境界付近においても画像処理結果の数値が小さくなることを抑え、従来に比べ鮮明なデータを得られる探査方法を実現することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る探査方法は、所定の探査範囲において、媒質の表面を走査ラインに沿って走査しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信ステップと、
前記媒質表面上において前記送受信ステップで走査した各位置で、当該位置において受信された前記反射信号に基づき媒質中に物体が存在する確率を示す指標値を決定し、決定した前記指標値を平面上にマッピングした探査マップを生成する探査マップ生成ステップと、を順次実行し、
前記探査マップを用いて前記媒質中に存在する物体の位置を探査する探査方法であって、前記探査範囲に、前記送受信ステップで走査され前記指標値が決定された探査領域と、探査不可能な探査不可領域と、が存在し、
前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のいずれか又は両方の方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値に基づいて決定する探査不可領域補完ステップを実行する点に特徴を有する。
上記特徴構成によれば、従来0などの同一の数値で埋めていた探査不可領域における指標値が、探査マップの縦方向及び横方向のいずれか又は両方の方向における探査領域中の最近接位置の指標値に基づいて決定される。具体的には、縦方向及び横方向のいずれかの方向における探査領域中の最近接位置の指標値を用いる場合、例えば、探査不可領域中の各位置に最も近接する位置にある探査領域中の指標値の値をコピーする、もしくは、当該探査領域中の指標値の値に基づいて線形1次補完するなどの方法で、探査不可領域における各位置の指標値を決定することができる。また、縦方向及び横方向の両方の方向における探査領域中の最近接位置の指標値を用いる場合、各方向における探査領域中の最近接位置の指標値に基づいて決定した値の和をとるといった方法や、平均をとるといった方法などで、探査不可領域における各位置の指標値を決定することができる。よって、探査領域と探査不可領域との境界近傍において指標値が急峻に変化する(例えば、0になる)ことがなくなり、画像処理結果の数値が小さくなることを抑え、従来に比べ鮮明なデータを得られる探査方法を実現できる。
また、一般的に、探査範囲において媒質中に存在する物体(例えば、埋設管など)は、特定の1方向と当該1方向に垂直な方向とのいずれかに敷設され、探査マップの縦方向及び横方向はそれらの方向と一致するように設定される。このため、上述のように探査不可領域補完ステップにおいて探査不可領域中の各位置での指標値を決定することで、より媒質中に存在する物体の実態に則した指標値を得ることができる。
さらなる特徴構成は、前記探査不可領域補完ステップにおいて、
前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のいずれか又は両方の方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値と、前記位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて、当該距離が長くなるほど小さくなるように決定する点にある。
上記特徴構成によれば、探査不可領域において探査領域中の最近接位置から離れた位置の指標値ほど、指標値が小さくなる。通常、探査領域から離れるほど、探査領域における指標値とは異なる確率が高くなり、探査領域に近いほど、探査領域における指標値と近い確率が高くなる。このため、このような構成とすることで、探査領域近傍の探査不可領域中の各位置での指標値を、媒質中に物体が存在する確率に則したものとできる。
また、別の特徴構成は、前記探査不可領域補完ステップにおいて、
前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を決定するにあたり、
当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のそれぞれの方向について、当該方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値と、前記位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて仮指標値を決定し、
前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、前記探査マップの縦方向及び横方向のそれぞれについて決定した前記仮指標値の和に基づいて決定する点にある。
上記特徴構成によれば、探査マップの縦方向及び横方向の両方向における仮指標値に基づいて、探査不可領域における各位置の指標値が決定される。媒質中の物体として例えば埋設管などは、探査範囲において探査マップの縦方向及び横方向の両方向のいずれの方向にも敷設されている可能性があるため、探査不可領域中の各位置の指標値を、探査マップの縦方向及び横方向のそれぞれの方向について、当該方向における探査領域中の最近接位置の指標値に基づいて決定することで、媒質中の物体が縦方向に存在する確率及び横方向に存在する確率の両方に則したものとし、探査マップをより実際の状況に則したものとすることができる。
さらに、前記媒質中に存在する物体が、埋設管であり、
前記探査マップ生成ステップにおいて、前記探査マップの縦方向または横方向が、前記埋設管の敷設方向と一致するように設定する構成とすると好適である。
また、別の特徴構成は、前記媒質中に存在する物体が、特定の1方向に敷設された埋設管であり、
前記探査不可領域補完ステップにおいて、
前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記1方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値に基づいて決定する点にある。
上記特徴構成によれば、あらかじめ探査範囲において配置された埋設管の方向が把握できている場合(例えば、媒質中の物体が水道管の場合に、水道局の提供する水道管管理図を手にしている場合など)には、探査不可領域中の各位置における指標値を、当該位置に対して当該埋設管の配置された方向における探査領域中の最近接位置の指標値に基づいて決定する。探査領域aに対して埋設管の配置された方向と異なる方向には、埋設管が存在する確率は低いため、このような構成とすることで、探査不可領域中の各位置における指標値を、媒質中に埋設管が存在する確率に則したものとし、探査マップをより実際の状況に則したものとすることができる。
探査装置の概要図 探査装置のブロック図 探査不可領域補完のフローチャート図 探査不可領域の補完例 従来の探査不可領域を含む探査範囲の走査例
1.探査装置の概要
以下では本発明の実施形態を、図を用いて説明する。図1及び図2に示すように、本発明による探査装置3の一実施の形態は、送受信手段であるアンテナ31と、送受信機で得られた信号を処理する制御部30とを、主な機器として備えて構成されている。そして、本実施形態にあっては、制御部30における信号処理にその特徴がある。
また、図1(b)に示すように、探査装置3は、作業者により手押しされ、地中に埋設された埋設管Xなどを含む探査範囲SAにおいて設定された走査ラインSLに沿って走査される探査装置3は、走査ラインSLに沿って走査されたときに、地中に向けて探査用電磁波を放射し、当該探査用電磁波の反射波を処理し、探査範囲SA下の媒質中に存在する物体の位置を探査するために用いられる。本実施形態では、探査装置3は、探査範囲SAは地表上に設定され、媒質としての地中に存在する埋設管Xの位置を探査するために用いられる。本実施形態では、埋設管Xが「媒質中の物体」に相当する。また、以下では地表が「媒質の表面」に相当する。
探査装置3は、アンテナ31で取得した反射波に基づいて、図4に示すような探査マップsを出力する制御部30を備える。図4においては、埋設管Xが存在する確率が高い位置ほど白く、存在する確率が低いほど黒くなるように表示している。また、図中横方向をx方向とし、縦方向をy方向としている。制御部30により出力された探査マップsは探査装置3の上部に設置された表示部32に表示される。
より詳しくは、探査装置3は、手押し式のレーダ探査装置であり、埋設管Xの探査作業の対象となる所定の探査範囲SAにおいて設定された走査ラインSLに沿って走行する。なお、探査装置3を自走式のレーダ探査装置としても構わない。探査装置3は走行しながら、アンテナ31から探査用電磁波を地中に放射する。放射された電磁波の伝播経路に埋設管Xが存在すると、探査用電磁波はそこで反射される。この反射されて戻ってくる反射波が制御部30で処理され、目的となる埋設管Xの存在を評価するための探査マップsが生成される。
探査範囲SAは、一般的には歩道や道路などにおける特定区画であり、この探査範囲SA内で予め決められたパターンで走査ラインSLが設定される。本実施形態では、走査ラインSLは碁盤の目状に設定される。すなわち、直交する2方向のそれぞれに所定の間隔Lで走査ラインSLが設けられ、複数の走査ラインSLが格子状に配置される。2方向に設けられる走査ラインSLのうち少なくとも1方向が、埋設管Xの敷設方向に沿うように設けられる。その際、この走査ラインSLを規定する基準マーカMが指標として探査範囲SAの地表に付与される。
ここでいう、走査ラインSLを規定する基準マーカMとは、例えば走査ラインSLの起点、中間点、終点などを示す文字や記号であり、チョークやペンキなどで直接地表に描画してもよいし、三角コーンなどの標識体を地面に載置してもよい。あるいは、走査ラインSLを示す線を描画する方法やロープを載置するような方法でも走査ラインSLを規定する基準マーカMを作り出すことができる。つまり、この基準マーカMの地表の位置により、実際の走査位置と、その走査位置での探査データとが関係付けられることが重要である。
走査ラインSLの間隔Lは、探査範囲SA下に存在する埋設管Xの状態に基づいて決定される。具体的には、例えば、50cm間隔で設けると良い。なお、埋設管Xの埋設状態があらかじめ分かっている場合(例えば、長距離にわたって直線に存在することが判明している場合)には、より広い間隔で設けても構わない。
2.探査装置の詳細構成
図2に示すように探査装置3は、大きく分けて、アンテナ31、制御部30、表示部32を備える。制御部30は、アンテナ31で受信した電磁波を信号処理し、表示部32は、制御部30で信号処理された探査マップsを可視化した形態で表示部32を介して作業者に表示する。
2−1.アンテナ
探査装置3のアンテナ31は、好ましくは複数のアンテナ素子から構成されると良い探査装置3は、アンテナ31を通じてマイクロ波領域のパルス状の電磁波を地中に向けて所定の繰り返し周波数で放射するための高周波電源と送信部(いずれも不図示)、及びアンテナ31を通じて地中から反射してきた反射波を受信する受信部(不図示)を備える。
ところで探査装置3は、チョークで地面に描画された指標である基準マーカMを起点として、ないしは基準マーカMから所定の位置を起点として設定される走査ラインSLに沿って移動させられる。探査装置3には、その移動距離ないしは移動点を検出する位置検出センサユニット(不図示)が装備されている。この位置データは制御部30に送られ、地中から反射してきた反射波と合わされ、探査マップsを作成するために利用される。位置検出センサユニットは、簡単には走行車輪に連結したロータリエンコーダによって構築することができるが、GPSやジャイロによって構築しても良い。
2−2.表示部
表示部32は、探査マップsを作業者が視覚的に確認できる形態で表示するフラットパネルディスプレイからなる。具体的には、フラットパネルディスプレイには、探査マップsが、図4(b)に示す形態で可視化して表示される。図1(b)に示すように、フラットパネルディスプレイは探査装置3の上面に探査装置3を手押しする作業者から良く見えるように傾斜姿勢で設けられる。
2−3.制御部
制御部30は、マイクロコンピュータや半導体メモリなどによって構成される。制御部30は、作業者が探査装置3を所定の探査範囲SAにおいて、地表を走査ラインSLに沿って走査した際に、作業者が媒質中に存在する埋設管Xの位置を探査するための探査マップsを生成する。制御部30は、データ生成部51、探査不可領域補完処理部52、及び出力処理部53から構成される。
2−3−1.データ生成
図2に示すように、データ生成部51は、受信回路から入力してくる受信信号を、媒質表面上の位置(x,y)と、当該位置における前記反射信号に基づき決定される媒質中に埋設管Xが存在する確率を示す指標値tとの関係において整理し、処理する。ここで、指標値tは、反射波の反射時間や受信強度に基づいて決められる値で、埋設管Xの存在確率を示す。データ生成部51は、以降の処理で使用される探査マップsを生成するためのものであり、媒質表面上の各位置(x,y)における指標値tをxy平面上にマッピングした探査マップs(図4参照)を生成する。探査マップsを生成するにあたり、探査マップsのy方向またはx方向(図4における縦方向または横方向)は、埋設管Xの敷設方向と一致するように設定される。
ここで、探査装置3を地表面上で走査する場合、現場環境によっては、例えば、電柱や壁などの障害物が存在するなどの理由により、探査範囲SAのうち、探査装置3を走査できない探査不可領域dが存在する。このような領域においては、実質的なデータ値を持たず、図4(a)に示すようにデータが欠損している状態にある。制御部30には、探査不可領域dのデータを補完するための探査不可領域補完処理部52が備えられる。
2−3−2.探査不可領域補完処理
探査不可領域補完処理部52は、探査範囲SAのうち、探査不可能な探査不可領域d中の各位置での指標値tを、探査範囲SAを走査した際に反射信号を受信できた探査領域a(指標値tを取得できた領域)と探査不可領域dとの境界付近で探査領域a中に存在する指標値tに基づいて決定する。
より詳しくは、探査不可領域d中の各位置での指標値tを、当該位置に対して探査マップsの縦方向(y方向)及び横方向(x方向)のそれぞれの方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tに基づいて決定する。
具体的には、探査不可領域補完処理部52は、まず探査不可領域dの各位置に対してx方向及びy方向のそれぞれの方向について、当該方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tと、当該探査不可領域d中の位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて仮指標値を決定する。さらにx方向及びy方向のそれぞれについて決定した仮指標値の和に基づいて、探査不可領域d中の位置の指標値tを決定するように構成される。
本実施形態での不可領域補完処理を、図3のフローチャートを用いて具体的に説明する。
探査不可領域補完処理部52は、まず、探査不可領域dにおける各位置(x,y)を1つずつ取得する(#1)。次に、x方向及びy方向のいずれかを所定方向として、それぞれの方向について#11〜#13の処理を行う(#2)。
まず、#1で取得した(x,y)に対して、所定方向に存在する探査領域aにおける最近接位置peと、当該最近接位置peでの指標値tを取得する(#11)。
具体的には、例えば、図4(a)の探査不可領域dにおける位置p1の指標値tを求めるにあたり、所定方向がy方向の場合には、位置p1からy方向に存在する探査領域a中の最近接位置pe1と、当該最近接位置pe1における指標値tが取得される。所定方向がx方向の場合には、位置p1からx方向に存在する探査領域a中の最近接位置pe2と、当該最近接位置pe2における指標値tとが取得される。
次に、位置(x,y)と最近接位置peとの距離rを算出する(#12)。
さらに、最近接位置peでの指標値t及び#12で算出した距離rに基づき、評価関数f(t,r)を用いて(x,y)における、所定方向での仮指標値を算出する(#13)。評価関数f(t,r)は、(x,y)と最近接位置peとの距離が長くなるほど、評価関数により算出される指標値tが小さくなるような関数とすると良い。本実施形態では、
f(t,r)=t×(1/r)×A (Aは定数)
とする。
#11〜#13の処理が、x方向及びy方向のそれぞれについて行われ、x方向での仮指標値とy方向での仮指標値が算出される。x方向及びy方向の両方向について、#11〜#13の処理を行った場合、繰り返しを終了する(#14)。
続いて、探査不可領域補完処理部52は、x方向での仮指標値とy方向での仮指標値に基づいて(x,y)における指標値tを算出する(#21)。本実施形態では、x方向での仮指標値とy方向での仮指標値との和を(x,y)における指標値tとする。なお、各方向での仮指標値の平均値を(x,y)における指標値tとしても構わない。
探査不可領域補完処理部52は、#21で算出した指標値tを、探査マップs上にマッピングする(#22)。上記#2〜#22の処理を、探査不可領域dの全位置について行った場合に、繰り返しを終了する(#23)。以上のように、探査不可領域dの各位置について行われることで、探査不可領域dにおける各位置の指標値tが補完される。
具体例として、図4(b)に、図4(a)の状態の探査マップsに対して、探査不可領域補完処理部52により、以上のような方法で探査不可領域dの指標値tの値を補完した場合の一例を示す。図に示すように、探査不可領域補完処理部52による探査不可領域d中の各位置の指標値tの補完により、探査不可領域dにおいても埋設管Xのおおよその位置を把握することができるようになる。
2−3−3.出力処理
このようにして得られた探査マップsは、出力処理部53により、必要に応じて画像処理が施され表示部32に出力される。そして出力処理部53により出力された探査マップsが、表示部32で表示される。このような処理済のデータが表示部32に表示されることにより、作業者は、探査範囲SAにおける埋設管Xの位置を把握することができる。
3.探査方法
以上のような探査装置3を用いた探査方法について説明する。
まず、送受信ステップとして、図1に示すように、作業者が、探査装置3を所定の探査範囲SAにおいて、地表を走査ラインSLに沿って走査する。このとき、制御部30により電磁波が地中へ放射され、地中に存在する埋設管Xからの反射信号を受信する。
次に、探査マップ生成ステップとして、探査装置3の制御部30のデータ生成部51が、地表の位置(x,y)ごとに、当該位置において受信された反射信号に基づき地中に埋設管Xが存在する確率を示す指標値tを決定し、決定した指標値tを平面上にマッピングした探査マップsを生成する。
さらに、探査不可領域補完ステップとして、探査装置3の制御部30の探査不可領域補完処理部52が、探査不可領域d中の各位置の指標値tを、当該位置に対してx方向及びy方向のそれぞれの方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tに基づいて決定する。具体的には、上述したように探査不可領域d中の各位置での指標値tを決定するにあたり、当該位置に対して探査マップsの縦方向及び横方向のそれぞれの方向について、当該方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tと、当該位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて仮指標値を決定し、各方向の仮指標値の和を、探査不可領域d中の当該位置での指標値tとする。
最後に、出力ステップとして、制御部30の出力処理部53が、探査不可領域補完処理部52により補完された探査マップsを出力し、表示部32に表示する。以上のステップを経て、作業者は、探査不可領域dを走査することなしに、表示部32に表示された探査マップsを見て、地中の埋設管Xの位置を高効率かつ高精度に把握することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、探査不可領域d中の各位置の指標値tを、当該位置に対してx方向及びy方向のそれぞれの方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tと、当該最近接位置との距離と、の2つのパラメータに基づいて決定したが、当該最近接位置に存在する探査領域a中の指標値tのみに基づいて決定しても構わない。具体的には、例えば、探査不可領域d中の各位置の指標値tを、当該位置に対してx方向及びy方向の一方又は両方の方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tと同一の値としても構わない。
(2)上記実施形態においては、探査不可領域補完処理部52による探査不可領域d中の指標値tの補完処理として、x方向及びy方向のそれぞれの方向に存在するおける探査領域a中の最近接位置の指標値tの値を用いる場合の一例を示したが、x方向及びy方向のいずれかの所定方向に存在する探査領域a中の最近接位置の指標値tに基づいて補完しても構わない。この場合も、探査不可領域d中の各位置に対する当該所定方向における探査領域a中の最近接位置の指標値tと、探査不可領域d中の位置と当該最近接位置との距離とに基づいて、当該距離が長くなるほど小さくなるように決定すると好適である。
また、媒質中に存在する物体が、特定の1方向に敷設された埋設管Xであることがあらかじめ判明している場合には、探査不可領域補完ステップにおいて、探査不可領域d中の各位置での指標値tを、当該位置に対して埋設管Xの敷設された方向において最近接位置に存在する探査領域a中の指標値tに基づいて決定すると好適である。
(3)上記実施形態における図4(b)の右上の探査不可領域dの補完結果に示されるように、探査不可領域dの各位置における指標値tを、当該位置に対してx方向及びy方向のそれぞれの方向に存在する探査領域a中の最近接位置の指標値tに基づいて決定した場合には、本来媒質中に物体が存在しない箇所に指標値tが補完される場合がる。このため、あらかじめ媒質中の物体の敷設方向が1方向であることが判明している場合には、物体の敷設方向に対して垂直な方向(例えば、図4(a)の右上の探査不可領域dの場合、x方向)には補完を行わないといった例外処理を加えると好適である。
(4)上記実施形態においては、探査装置3が波動信号として電磁波を放射する場合の例について説明したが、波動信号として音波を放射しても構わない。
(5)上記実施形態では、探査装置3が媒質としての地中を探査する場合の例を説明したが、他の媒質であっても構わない。また、探査装置3が探査する対象が埋設管Xである場合の例を示したが、例えば、地中に存在する電線など他の物体を探査しても構わない。具体的には、例えば、探査装置3が鉄筋コンクリート構造の壁面を探査し、媒質が鉄筋コンクリートであり、探査する対象が鉄筋でるあるような構成でも構わない。
(6)上記実施形態では、縦方向及び横方向のそれぞれの方向において探査領域中の最近接位置の指標値を用いて1次線形補完することで仮指標値を決定する場合の一例を説明したが、仮指標値を決定するにあたり、その他公知の補完方法を用いても構わない。例えば、探査不可領域中の各位置に最も近接する位置にある探査領域中の指標値の値をコピーする、もしくは、当該探査領域中の指標値の値に基づいて異なる線形1次補完を行うなどの方法で、仮指標値を決定することができる。
また、探査不可領域dにおける各位置の指標値tを決定するにあたっては、縦方向及び横方向の各方向における仮指標値の和を求めるといった方法や、仮指標値の平均をとる(仮指標値の和を、和を求める際に用いた仮指標値の数で割る)といった方法などで、探査不可領域における各位置の指標値を決定することができる。
本発明は、探査不可領域dの境界付近においても画像処理結果の数値が小さくなることを抑え、従来に比べ鮮明なデータを得られる探査方法として利用可能である。
SA :探査範囲
SL :走査ライン
X :埋設管
a :探査領域
d :探査不可領域
s :探査マップ
x :探査マップの横方向
y :探査マップの縦方向

Claims (5)

  1. 所定の探査範囲において、媒質の表面を走査ラインに沿って走査しながら、電磁波または音波による波動信号を前記媒質中へ放射し、前記媒質中に存在する物体からの反射信号を受信する送受信ステップと、
    前記媒質表面上において前記送受信ステップで走査した各位置で、当該位置において受信された前記反射信号に基づき媒質中に物体が存在する確率を示す指標値を決定し、決定した前記指標値を平面上にマッピングした探査マップを生成する探査マップ生成ステップと、を順次実行し、
    前記探査マップを用いて前記媒質中に存在する物体の位置を探査する探査方法であって、
    前記探査範囲に、前記送受信ステップで走査され前記指標値が決定された探査領域と、探査不可能な探査不可領域と、が存在し、
    前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のいずれか又は両方の方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値に基づいて決定する探査不可領域補完ステップを実行する探査方法。
  2. 前記探査不可領域補完ステップにおいて、
    前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のいずれか又は両方の方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値と、前記位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて、当該距離が長くなるほど小さくなるように決定する請求項1に記載の探査方法。
  3. 前記探査不可領域補完ステップにおいて、
    前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を決定するにあたり、
    当該位置に対して前記探査マップの縦方向及び横方向のそれぞれの方向について、当該方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値と、前記位置から当該最近接位置までの距離と、に基づいて仮指標値を決定し、
    前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、前記探査マップの縦方向及び横方向のそれぞれについて決定した前記仮指標値の和に基づいて決定する請求項1又は2に記載の探査方法。
  4. 前記媒質中に存在する物体が、埋設管であり、
    前記探査マップ生成ステップにおいて、前記探査マップの縦方向または横方向が、前記埋設管の敷設方向と一致するように設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の探査方法。
  5. 前記媒質中に存在する物体が、特定の1方向に敷設された埋設管であり、
    前記探査不可領域補完ステップにおいて、
    前記探査不可領域中の各位置での前記指標値を、当該位置に対して前記1方向における前記探査領域中の最近接位置の前記指標値に基づいて決定する請求項1に記載の探査方法。
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