JP2016079360A - カチオン重合性組成物及びその用途、並びに硬化遅延剤 - Google Patents

カチオン重合性組成物及びその用途、並びに硬化遅延剤 Download PDF

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奈美 鬼丸
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Abstract

【課題】適切な可使時間を有し、且つ良好な硬化物を得ることができるカチオン重合性組成物を提供する。
【解決手段】(A)密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有し、前記Mulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物と、(B)カチオン重合性化合物と、(C)光カチオン重合開始剤とを含有するカチオン重合性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、カチオン重合性組成物及びその用途、並びに硬化遅延剤に関する。
各種のインク組成物、コーティング組成物、封止用組成物、接着剤用組成物、ナノインプリント用組成物および光学材料用組成物として、種々の硬化性組成物が知られている。硬化性組成物の一つとして、従来、光ラジカル重合性組成物が良く知られている。しかしながら、光ラジカル硬化性組成物は、空気中で光硬化反応を行うと、酸素による停止反応が起こるため、硬化不良を起こすという問題がある。
これに対して、光カチオン重合性組成物は、酸素阻害反応の懸念が無いため、空気中で反応させることが可能である。このため、光カチオン重合性組成物について、多くの分野で提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
光カチオン硬化性組成物は、光照射を受けて、含有成分であるカチオン重合性化合物が重合して、硬化する。しかしながら、ここでの重合速度が速すぎる場合、光照射直後に硬化してしまうため、例えば、前記組成物に予め光照射して、対象部材に塗布することが困難となる。したがって、カチオン硬化性組成物には、光照射後に作業が可能な時間、いわゆる可使時間を有することが求められる。
カチオン重合性組成物の硬化速度を調整するために、硬化遅延剤を添加することが知られている。硬化遅延剤として、例えば、特許文献1にはポリオール化合物が、特許文献2〜4にはポリエーテル化合物が記載されている。
特開2004−137321号公報 特開2007−056119号公報 特開2012−082266号公報 特許第4478116号公報
本発明者らの検討によれば、硬化遅延剤の種類によっては、可使時間が短い、またはカチオン重合性化合物の重合性が低下して硬化物が得られないことが判明した。本発明は、適切な可使時間を有し、且つ良好な硬化物を得ることができるカチオン重合性組成物を提供することを課題とする。また、前記組成物から形成された硬化層を有する電子デバイス、およびカチオン重合用の硬化遅延剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記特定の含窒素化合物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[9]に関する。
[1](A)密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有し、前記Mulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物と、(B)カチオン重合性化合物と、(C)光カチオン重合開始剤とを含有するカチオン重合性組成物。
[2]化合物(A)が、脂肪族含窒素化合物、脂環族含窒素化合物および芳香族含窒素化合物から選択される少なくとも1種である前記[1]に記載のカチオン重合性組成物。
[3]化合物(A)が、下記式1〜9で表される化合物から選択される少なくとも1種である前記[1]または[2]に記載のカチオン重合性組成物。
Figure 2016079360
[各式中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、R1はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、2つまたは3つのR1が相互に結合して環を形成してもよく、隣接した環炭素原子に結合した2つのR2が相互に結合して環を形成してもよく、ただし、各式中に含まれる全ての窒素原子の、前記非経験的分子軌道法により求められたMulliken chargesが、−0.2300以上0未満となるように、X、R1およびR2は選択される。]
[4]化合物(A)が、下記式で表される化合物から選択される少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物。
Figure 2016079360
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる、有機エレクトロルミネッセンス素子用封止材。
[6]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる、有機太陽電池素子用封止材。
[7]基材フィルムと、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子または有機太陽電池素子封止用シート。
[8]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物から形成された硬化層を有する電子デバイス。
[9](A)密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有し、前記Mulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物を含有する、光カチオン重合用の硬化遅延剤。
本発明によれば、適切な可使時間を有し、且つ良好な硬化物を得ることができるカチオン重合性組成物を提供することができる。また、前記組成物から形成された硬化層を有する電子デバイス、およびカチオン重合用の硬化遅延剤を提供することができる。
図1(a)は、有機EL素子の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
〔カチオン重合性組成物〕
本発明のカチオン重合性組成物は、
(A)以下に説明する窒素原子含有化合物と、
(B)カチオン重合性化合物と、
(C)光カチオン重合開始剤と
を含有する。
以下、上記化合物をそれぞれ「成分(A)」〜「成分(C)」ともいう。
《窒素原子含有化合物(A)》
窒素原子含有化合物(A)は、密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法(HF)、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有する。窒素原子N1のMulliken chargesは、好ましくは−0.1000〜−0.2300、より好ましくは−0.1500〜−0.2300である。
上記計算における「最適化」とは、量子化学計算における「構造最適化」を意味し、いわゆるminimize計算により行われる。例えば後述の量子化学計算ソフトウエアであるGAMESSにおいて、インプットキーワードとして「RUNTYP=OPTIMIZE」を指定する。
閉殻構造を有する分子(例:中性分子)の場合、制限法である、B3LYPおよびRHFで計算を行い、開殻構造を有する分子(例:ラジカル)の場合、非制限法である、UB3LYPおよびUHFで計算を行う。
成分(A)を用いることで、光照射によるカチオン重合性化合物(B)の重合が適切に抑制される。上記Mulliken chargesを有する窒素原子N1が、光照射により光カチオン重合開始剤(C)から発生した酸に作用し、重合硬化を遅延させるものと考えられる。したがって、本発明のカチオン重合性組成物は、適切な可使時間を有することができる。また、成分(A)を用いても、カチオン重合性組成物から形成された硬化物の物性値の変化は、成分(A)を用いない場合と比べて、小さい。
成分(A)は、前記非経験的分子軌道法により求められたMulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物である。この化合物は、上記作用が過度に働かないため、本発明のカチオン重合性組成物が適切に重合硬化する点で好ましい。
成分(A)としては、例えば、脂肪族含窒素化合物、脂環族含窒素化合物、芳香族含窒素化合物が挙げられ、脂環族含窒素化合物、芳香族含窒素化合物が好ましい。より具体的には、下記式1〜9で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016079360
各式中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、R1はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、2つまたは3つのR1が相互に結合して環を形成してもよく、隣接した環炭素原子に結合した2つのR2が相互に結合して環を形成してもよい。ただし、各式中に含まれる全ての窒素原子の、前記非経験的分子軌道法により求められたMulliken chargesが、−0.2300以上0未満となるように、X、R1およびR2は選択される。各式中に含まれる全ての窒素原子のMulliken chargesは、好ましくは−0.1000〜−0.2300、より好ましくは−0.1500〜−0.2300である。
3つのR1が相互に結合して形成された環を有する化合物としては、例えば、下記式10で表される化合物が挙げられる。隣接した環炭素原子に結合した2つのR1またはR2が相互に結合して形成された環としては、例えば、シクロヘキサン環等の脂肪族環、ベンゼン環等の芳香族環が挙げられる。このような化合物としては、例えば、下記式11〜15で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016079360
各式中、XおよびR2は上記式1〜9中の同一記号と同義であり、R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基である。式10において、環構造を形成する各炭素原子は置換基を有してもよく、例えば前記R3として記載した基が挙げられる。
上記例示の成分(A)は、ポリエチレングリコール等のポリエーテル化合物と比較して、酸分解によるアウトガスが発生しにくい。したがって、本発明のカチオン重合性組成物を硬化する際、または硬化後に硬化物が高熱環境下におかれた際、アウトガスの発生量は小さい。このため、前記組成物を、例えば有機EL素子用封止材として用いる場合、アウトガスにより素子の劣化を起こす恐れが小さい。
式1〜15において、ハロゲン原子および炭化水素基としては、下記基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数4〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、イコセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、デシニル基、イコシニル基等の炭素数2〜20のアルキニル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の炭素数4〜30のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の飽和多環式基;シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の炭素数4〜30のシクロアルケニル基;ノルボネニル基等の不飽和多環式基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜30のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等の炭素数7〜30のアラルキル基が挙げられる。
成分(A)の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、各式中、N原子の隣に記載した値は、上記Mulliken chargesを示す。
Figure 2016079360
成分(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカチオン重合性組成物中、成分(A)の含有量は、必要とされる可使時間の程度、光照射後の加熱の有無、硬化物の物性等により適宜選択される。成分(A)の含有量は、カチオン重合性化合物(B)100質量部に対して、通常0.05〜5質量部、好ましくは通常0.05〜2質量部、より好ましくは通常0.1〜1質量部である。成分(A)の含有量が前記範囲にあると、遅延性と硬化性のバランスの点で好ましい。
また、成分(A)の添加量は、遅延硬化剤として従来使用されてきたポリエーテル化合物と比較して、少量でもよい。例えば、成分(A)の含有量は、カチオン重合性化合物(B)100質量部に対して、0.05〜1質量部という添加量であってもよい。
成分(A)は、カチオン重合性組成物における光カチオン重合反応を遅延させることから、適当量を配合することにより光照射後の可使時間および硬化時間を制御する反応調節剤としての役割を果たし、作業性を大幅に向上させることができる。このため、成分(A)は、光カチオン重合用の硬化遅延剤として用いることができる。
《カチオン重合性化合物(B)》
カチオン重合性化合物(B)は、光カチオン重合開始剤(C)の存在下で光照射することにより、重合反応や架橋反応を起こす化合物である。成分(B)としては、環状エーテル構造を有する化合物が挙げられる。
環状エーテル構造としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環等の脂肪族環が挙げられる。環状エーテル構造を有する化合物としては、例えば、オキシラン化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物が挙げられる。
カチオン重合性化合物(B)としては、1分子中に環状エーテル構造を2以上有する化合物が好ましく、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜5である。
オキシラン化合物としては、例えば、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル等の、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキシドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールの、ポリグリシジルエーテル;
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類に1種または2種以上のアルキレンオキシドを付加することにより得られるポリエーテルジオールの、ジグリシジルエーテル;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロへキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のオキシラン環含有脂環式化合物;
エポキシノボラック樹脂;
が挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシエチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル−(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−[[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル]オキセタン、1,4−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,2−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,3−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。
オキソラン化合物としては、例えば、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2,2−ジエチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソランが挙げられる。
成分(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカチオン重合性組成物中、成分(B)の含有量は、成分(A)および成分(C)を除く組成物100質量%中、通常20〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%である。成分(B)の含有量が前記範囲にあると、硬化性の点で好ましい。
《光カチオン重合開始剤(C)》
光カチオン重合開始剤(C)は、紫外線照射等の光照射によりカチオン重合性化合物(B)の重合を開始させる化合物であり、例えば、光酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤は、光照射を受けて酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩が挙げられる。好ましいオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート等のヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩が挙げられる。
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有複素環式化合物、ハロアルキル基含有炭化水素化合物が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物の具体例としては、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のs−トリアジン誘導体;1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタンが挙げられる。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物およびこれらの化合物のα−ジアゾ化合物が挙げられる。好ましいスルホン化合物の具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンが挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類が挙げられる。好ましいスルホン酸化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートが挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドが挙げられる。
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンが挙げられる。
成分(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のカチオン重合性組成物中、成分(C)の含有量は、カチオン重合性化合物(B)100質量部に対して、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部、より好ましくは0.5〜2質量部である。成分(C)の含有量が前期範囲にあると、硬化性と遅延性のバランスの点で好ましい。
《その他の成分》
本発明のカチオン重合性組成物は、その用途に応じて、種々の成分をさらに含有することができる。例えば、乾燥剤、潜在性乾燥剤、粘着性樹脂、充填材、密着性向上剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、金属イオン捕捉剤、老化防止剤、着色剤、溶剤が挙げられる。
乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属の酸化物が挙げられる。
潜在性乾燥剤とは、光酸発生剤、光塩基発生剤、熱酸発生剤、熱塩基発生剤のいずれか一つ以上を共存させた場合に、光または熱により吸水機能を発現する乾燥剤をいう。例えば、テトラキス[(5-ブチル-5-エチル-1,3-ジオキサ-2-シクロヘキシルオキシ)メチル]メタン、1,3-ビス(5-ヒドロキシ-1,3-ジオキサ-2-シクロヘキシルオキシ)-2-プロパノールが挙げられる。
例えば、本発明のカチオン重合性組成物中、乾燥剤および潜在性乾燥剤は合計で、カチオン重合性化合物(B)100質量部に対して、通常5〜70質量部、好ましくは15〜50質量部の範囲で含まれてもよい。
《調製方法》
本発明のカチオン重合性組成物は、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール等の混合機を用いて、常温または加温下、例えば5〜60℃で、成分(A)〜(C)、必要に応じてその他の成分を混合することで、調製することができる。
〔カチオン重合性組成物の用途〕
本発明のカチオン重合性組成物は、例えば、インク組成物、コーティング組成物、封止用組成物、接着剤用組成物、ナノインプリント用組成物、光学部材形成用組成物として用いることができる。
本発明のカチオン重合性組成物は、光照射により硬化反応が開始するが、光照射中および光照射直後に硬化が完了しないため、充分な可使時間を有する。例えば、前記組成物に光を照射した後にある部材に塗布し、前記部材と他の部材とを貼り合わせることで、または、前記組成物をある部材に塗布した後に光を照射して、前記部材と他の部材とを貼り合わせることで、部材同士を接着することが可能である。
本発明のカチオン重合性組成物は、光を照射した後、硬化反応が進行して作業が不可能になるまでの使用可能時間(可使時間)が1分以上であることが好ましく、より好ましくは5〜60分、さらに好ましくは15〜60分である。この可使時間は、実施例記載の条件で決定することができる。
以上の特性を有することから、本発明のカチオン重合性組成物は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子用封止材、偏光板を液晶パネルに固定する接着剤、有機太陽電池素子用封止材として好適に用いることができる。例えば、前記組成物に光を照射して活性化させ、完全に硬化するまでに封止材として用いることで、カチオン重合を開始するための光照射に有機EL素子がさらされることなく、有機EL素子を封止することができる。
カチオン重合性組成物は、例えば、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、バーコーター、ディスペンサー、インクジェット装置を用いて、基板等の部材上に塗布することができる。塗布の態様としては、基板全面でもよく、一部でもよく、前記組成物からなる層の形成箇所に応じて適宜変更すればよい。
放射線としては、カチオン重合を開始できれば特に限定されないが、紫外光が好ましい。放射線照射は、公知の方法および条件を採用することができるが、例えば、高圧水銀ランプを用い、紫外線照射によって行うことができる。照射量は、例えば500〜15000mJ/cm2である。
放射線照射後に硬化を促進するために加熱を行う場合は、加熱温度としては、50〜150℃が好ましく、60〜100℃がより好ましく;加熱時間としては、1分間〜24時間が好ましく、10分間〜5時間がより好ましい。
本発明のカチオン重合性組成物を用いて封止層を形成する場合、封止層の膜厚は、用途に応じて特に限定されないが、例えば1〜500μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜100μmである。封止層の膜厚は、例えば、デプスゲージ547−251((株)ミツトヨ製)で測定することができる。
本発明のカチオン重合性組成物は、上述のようにそのまま封止材として用いてもよいが、シート状に加工して用いてもよい。例えば、基材フィルムと、前記フィルム上に形成された、本発明のカチオン重合性組成物からなる層とを有するシート、例えば有機EL素子または有機太陽電池素子封止用シートが挙げられる。カチオン重合性組成物からなる層は、封止する有機EL素子または有機太陽電池素子全体を覆えるように、基材フィルムの全面または部分的に形成されていてもよい。
〔電子デバイス〕
本発明の電子デバイスは、上記カチオン重合性組成物から形成された硬化層、例えば封止層、を備える。電子デバイスとしては、例えば、有機EL装置、有機太陽電池および液晶表示装置が挙げられる。有機EL装置としては、例えば、有機EL照明装置、有機EL表示装置が挙げられる。
有機EL装置の一例は、上述した封止層を備える。例えば有機EL装置は、基板と、基板上に設けられ、上記カチオン重合性組成物から形成された封止層により封止された有機EL素子と、基板において有機EL素子の少なくとも周辺部に形成された接着剤層と、接着剤層により基板に固定され、基板および接着剤層とともに有機EL素子を収納して外気から遮断するための封止用基板とを備える有機EL装置である。
図1(a)は、有機EL装置の一例を模式的に示す断面図である。図1(a)に示す有機EL装置1は、有機EL素子10と、有機EL素子10を収納して外気から遮断するための構造体20と、有機EL素子10を封止する封止層30とを備えている。
有機EL素子10は、構造の詳細を省略するが、有機材料からなる有機発光層が互いに対向する一対の電極の間に挟持されてなる構造であればよく、すなわち有機発光層が互いに対向する陽極と陰極との間に挟持されてなる構造であればよく、例えば、陽極/電荷(正孔)輸送層/有機発光層/陰極等からなる公知の構造をとることができる。
有機発光層は、有機材料である発光材料、すなわち、有機発光材料を含有する。有機発光層に含まれる有機発光材料は低分子有機発光材料であっても、高分子有機発光材料であってもよい。例えば、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)、BeBq3(ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリネート)ベリリウム)等の基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料を用いることができる。また、インクジェット法による有機発光材料の塗布法を用いる場合には、それに好適な高分子有機発光材料であることが好ましい。高分子有機発光材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリアセチレン(Poly acetylene)およびその誘導体、ポリフェニレン(Poly phenylene)およびその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Poly para phenylene ethylene)およびその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly 3−hexyl thiophene(P3HT))およびその誘導体、ポリフルオレン(Poly fluorene(PF))およびその誘導体等を選択して用いることができる。
有機EL素子10の陽極および陰極は、それぞれ導電性の材料からなる。
有機EL素子10が有する陽極の材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズ等が選択される。
なお、有機EL素子10においては、陽極と有機発光層との間に、正孔注入層および/または中間層が配置されていてもよい。陽極と有機発光層との間に、正孔注入層および中間層が配置される場合、陽極上に正孔注入層が配置され、正孔注入層上に中間層が配置され、そして中間層上に有機発光層が配置される。また、陽極から有機発光層へ効率的に正孔を輸送できる限り、正孔注入層および中間層は省略されてもよい。
有機EL素子10が有する陰極の材料としては、例えば、ITO、IZOおよび酸化スズ等を選択することができる。また、例えば、バリウム(Ba)、酸化バリウム(BaO)、アルミニウム(Al)およびAlを含む合金等を選択することも可能である。
なお、有機EL素子10においては、陰極と有機発光層との間に、例えば、バリウム(Ba)、フッ化リチウム(LiF)等からなる電子注入層が配置されていてもよい。
有機EL装置1が有する構造体20は、基板(素子用基板)22と、基板22において有機EL素子10の周辺部上に形成された接着剤層26と、接着剤層26により基板22に固定された封止用基板24とを備えている。有機EL素子10は、基板22、封止用基板24および接着剤層26によって密封されており、さらに封止層30により封止されている。有機EL装置1内部は封止用基板24と封止層30との間に中空構造を有してもよく、当該中空は有機EL素子10を劣化させないために不活性ガスで満たされていてもよい。
接着剤層26は、従来公知のシール材を用いて形成することができる。
封止層30は、上述した本発明のカチオン重合性組成物から形成される。
有機EL装置1の基板22としてはガラス基板および樹脂基板等が挙げられ、基板の構成材料としては、例えば、無アルカリガラス等のガラス;ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、フルオレン環変性ポリエステル、ポリオレフィン(例:ポリエチレン、ポリプロピレン)、脂環式ポリオレフィン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、(メタ)アクリロイル化合物等の樹脂が挙げられる。
封止用基板24としてはガラスや樹脂等からなる構造体が挙げられる。封止用基板24の構成材料としては、基板22と同様に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等の樹脂が挙げられ、その他基板22の構成材料として例示した樹脂が挙げられる。また、封止用基板24には、無機材料からなるもの、例えば、無アルカリガラス基板等のガラス基板のように無機材料から形成された基板、無機材料と樹脂とを混練して得られた材料から形成された基板、ガラス基板または樹脂基板上に無機材料が蒸着または塗布された基板を用いることも可能である。
接着剤層26は、封止用基板24を基板22に固定するとともに、封止用基板24と基板22との間で、有機EL素子10を密封する。なお、構造体20の構造は、有機EL素子10を収納するとともに接着剤層26を用いてそれを密封できればよく、特に限定されない。
以上の構造の有機EL装置1は、封止層30により有機EL素子10が封止されており、また接着剤層26を備えることで、素子内に水分が侵入することを低減することができる。このため、有機EL装置1は、水分に起因する、輝度や発光効率等の発光特性の低下を抑制することができる。
本発明のカチオン重合性組成物を用いて有機EL素子を封止する方法としては、例えば、(1)本発明の組成物に光を照射した後、前記組成物が硬化するまでの間に、基板と封止用基板との間に前記組成物を満たして有機EL素子を封止する方法、(2)本発明の組成物を封止用基板上の有機EL素子に対応する部分に塗布し、光を照射して前記組成物を活性化した後に、必要に応じて封止用基板周辺部にシール材を塗布し、基板上の有機EL素子が前記組成物により覆われるように基板と封止用基板とを貼り合わせる方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
[Mulliken chargesの計算]
窒素原子含有化合物について、Mulliken chargesの計算は次のように行った。Chem Bio3D Ultra13.0(PerkinElmer)にて目的化合物の構造式を描き、このソフトに付属しているGAMESSのキーワードを(U)B3LYP/6−31G*に指定して、Minimize計算を行った。前記化合物がラジカルや電荷を含むときは、Wave Function、spin、charge等の設定を行った。また、シクロヘキサン環における椅子型および舟型構造、置換基がアキシアル、エクアトリアル等をとる可能性がある場合は、それぞれに対して、Minimize計算を行った。次に、得られた構造のうち最小エネルギーを有する構造に対して、R(U)HF/STO−3Gにて計算を行い、Mulliken chargesを求めた。この場合も、前記化合物がラジカルや電荷を含むときは、Wave Function、spin、charge等の設定を行った。
一例として、下記化合物A−1の計算時に用いたキーワードを以下に示す。
$CONTRL MULT=2 SCFTYP=UHF RUNTYP=OPTIMIZE
COORD=ZMTMPC MAXIT=200 NZVAR=0 DFTTYP=B3LYP $END
$SYSTEM TIMLIM=600000 MWORDS=10 $END
$STATPT NSTEP=100 OPTTOL=0.0001 $END
$SCF DIRSCF=.T. DAMP=.T. $END
$BASIS GBASIS=N31 NGAUSS=6 NDFUNC=1 $END
$GUESS GUESS=HUCKEL $END
[カチオン重合性組成物の調製]
カチオン重合性組成物の調製に用いた、窒素原子含有化合物(A)その他の化合物、カチオン重合性化合物(B)、光カチオン重合開始剤(C)を以下に示す。
《成分(A)その他の化合物》
A−1:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(-0.208)
A−2:4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル
(-0.207)
A−3:1−メチル−2−アザアダマンタン−N−オキシル(-0.223)
A−4:キノキサリン(-0.222)
A−5:5−メチルキノキサリン(NA:-0.225、NB:-0.223)
A−6:2,3−ジクロロキノキサリン(-0.211)
A−7:フタラジン(-0.151)
A−8:6−メチルフタラジン(NA:-0.153、NB:-0.152)
A−9:ベンゾチアジアゾール(-0.226)
A−10:ピラゾール(NA:-0.152、NB:-0.234)
A−11:キノリン(-0.241)
A−1、A−2、A4〜A11は東京化成工業(株)製である。A−3は和光純薬工業(株)製である。括弧内の数値は窒素原子のMulliken chargesである。
Figure 2016079360
《成分(B)》
B−1:jER828(三菱化学(株)製) ビスフェノールAジグリシジルエーテル
B−2:セロキサイド2021P((株)ダイセル製) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
B−3:EX−313(ナガセケムテックス(株)製)
グリセリンポリグリシジルエーテル
《成分(C)》
C−1:CPI−110P(サンアプロ(株)製) 4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート
《潜在性乾燥剤(D)》
D−1:テトラキス[(5-ブチル-5-エチル-1,3-ジオキサ-2-シクロヘキシルオキシ)メチル]メタン
Figure 2016079360
D−2:
1,3-ビス(5-ヒドロキシ-1,3-ジオキサ-2-シクロヘキシルオキシ)-2-プロパノール
Figure 2016079360
[実施例1]
フラスコに、A−1を0.2部、B−1を100部、C−1を1部入れ、50℃に加温しながら、これら成分の混合物を均一となるまで撹拌し、カチオン重合性組成物を調製した。
[実施例2〜13および比較例1〜3]
表1に示す種類および配合量の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カチオン重合性組成物を調製した。
[評価方法]
《可使時間》
可使時間は次のように評価した。
調製したカチオン重合性組成物を、厚さ1.1mm、50mm角のガラス基板上に、10μLずつ5か所、計50μLを滴下した。この基板に高圧水銀ランプ(HLR400F−21、セン特殊光源)および波長カットフィルター(ZUL0350 Longpass Filter、アサヒスペクトラ)を組み合わせ、20mW、1.5J/cm2の条件で滴下面より光照射した。照度は、365nmの波長で、積算光量計UVR−T1、トプコンテクノハウスにて確認した。UV照射後、前記ガラス基板上に、前記カチオン重合性組成物を介して、厚さ1.1mm、50mm角のガラス基板を貼り合せた。
2枚のガラス基板を貼り合せた積層体に指で水平方向に力を加えた。ガラス基板がずれなくなった時間が光照射後15分以上の場合をAA、ガラス基板がずれなくなった時間が光照射後15分未満の場合、または貼り合わせ時にカチオン重合性組成物がすでに硬化しており、ガラス基板を貼り合せられなかった場合をBBと評価した。
《硬化性》
硬化性は次のように評価した。《可使時間》の評価で作製した上記積層体を100℃で30分間ホットプレート上で焼成し、冷却した。積層体に指で水平方向に力を加えてもガラス基板がずれない場合をAA、ガラス基板がずれた場合をBBと評価した。
《アウトガス》
調製したカチオン重合性組成物を、内径30mmのシャーレに1000〜1,500mg秤量し、高圧水銀ランプ(HLR400F−21、セン特殊光源)および波長カットフィルター(ZUL0350 Longpass Filter、アサヒスペクトラ)を組み合わせ、20mW、1.5J/cm2の条件で滴下面より光照射した。照度は、365nmの波長で、積算光量計UVR−T1、トプコンテクノハウスにて確認した。シャーレ上の光照射後のカチオン重合性組成物の重量を測定し、100℃で30分間ホットプレート上で焼成し、冷却後の重量を測定した。重量減少が0.5%以上の場合をBB、0.5%未満の場合をAAと評価した。
《有機EL素子評価》
縦横30mm角、厚さ0.7mmのガラス基板に膜厚15nmのITO膜が2mmのパターンで形成された洗浄ガラス基板に、2−TNATA(4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、30nm)、NPD(N,N-ジ-[(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル]-1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン、50nm)、Alq3(50nm)、LiF(0.8nm)、Al(150nm)を真空度1×10-4〜2×10-4Pa、蒸着速度1〜2Å/s(LiFのみ0.1Å/s)で蒸着し、その上にアルミナターゲットを用いて、RF電力100W、全圧0.3Pa、高周波マグネトロンスパッタリング装置でAl23(100nm)を製膜し、発光面積2mm角となる有機EL素子を作成した。括弧内の数値は、各層の膜厚を示す。
次に21mm×28mm、厚さ1.1mmであり、周囲より2mmの部分に幅1mm、深さ0.3mmの溝を有する封止ガラス基板の中央部に、調製したカチオン重合性組成物6.5μLを滴下し、高圧水銀ランプ(HLR400F−21、セン特殊光源)および波長カットフィルター(ZUL0350 Longpass Filter、アサヒスペクトラ)を組み合わせ、20mW、1.5J/cm2の条件で滴下面より光照射後、ディスペンサー(SHOT mini200、武蔵エンジニアリング)にて、封止ガラス基板周辺部にシール材(TB3124M、スリーボンド)を描画し、先に作製した有機EL素子の発光部分をカチオン重合性組成物が覆うように貼り合せた。
次に素子部をマスクし、周辺シール材部分に高圧水銀ランプ(HLR400F−21、セン特殊光源)をフィルター無しで1.5J/cm2の条件で光照射し、100℃で30分間ホットプレート上で焼成した。
ここまでの作業は不活性雰囲気下で行った。
封止した有機EL素子を60℃、90%RHの恒温恒湿器に入れ、250時間までに直径100μm以上のダークスポットが発生しなかった場合をAA、前記ダークスポットが発生した場合をBBと評価した。
Figure 2016079360
1 有機EL装置
10 有機EL素子
20 構造体
22 基板
24 封止用基板
26 接着剤層
30 封止層

Claims (9)

  1. (A)密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有し、前記Mulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物と、
    (B)カチオン重合性化合物と、
    (C)光カチオン重合開始剤と
    を含有するカチオン重合性組成物。
  2. 化合物(A)が、脂肪族含窒素化合物、脂環族含窒素化合物および芳香族含窒素化合物から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のカチオン重合性組成物。
  3. 化合物(A)が、下記式1〜9で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のカチオン重合性組成物。
    Figure 2016079360
    [各式中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、R1はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基または炭化水素基であり、2つまたは3つのR1が相互に結合して環を形成してもよく、隣接した環炭素原子に結合した2つのR2が相互に結合して環を形成してもよく、ただし、各式中に含まれる全ての窒素原子の、前記非経験的分子軌道法により求められたMulliken chargesが、−0.2300以上0未満となるように、X、R1およびR2は選択される。]
  4. 化合物(A)が、下記式で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物。
    Figure 2016079360
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる、有機エレクトロルミネッセンス素子用封止材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる、有機太陽電池素子用封止材。
  7. 基材フィルムと、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物からなる層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子または有機太陽電池素子封止用シート。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン重合性組成物から形成された硬化層を有する電子デバイス。
  9. (A)密度汎関数法(汎関数:B3LYP、基底関数:6−31G*)により最適化された構造において、非経験的分子軌道法(ハートリーフォック法、基底関数:STO−3G)により求められたMulliken chargesが−0.2300以上0未満の窒素原子N1を有し、前記Mulliken chargesが−0.2300未満の窒素原子N2を有さない化合物
    を含有する、光カチオン重合用の硬化遅延剤。
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