JP2016078532A - コンテナ船の舷側風防装置及び舷側風防方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、コンテナ船の甲板上に、船長方向と船幅方向とに複数列に亙って且つ上下に複数段に亙って積み付けられた多数のコンテナによって形成されたコンテナ群の揚力発生を促進すると共にコンテナ船における風による抵抗を減ずる装置と方法とを提供することを目的とする。
海上を航行中のコンテナ船の甲板上に、船長方向と船幅方向とに複数列に亙って且つ上下に複数段に亙って積み付けられた多数のコンテナによって形成されたコンテナ群が、見掛け風向が斜め前方の向かい風を受けると、コンテナ群の風上側の側面に正圧が発生し、風下側の側面に負圧が発生し、前記正圧と負圧の作用で揚力が発生する。当該揚力の船長方向成分は推力となり、コンテナ船の燃費向上に寄与する。複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間は、当該隙間を通って正圧側の空気が負圧側へ流れることにより、前記正圧と負圧とを希釈し、揚力発生を阻害すると共にコンテナ船における風による抵抗を増加させる。従って、前記隙間の左右舷側端に対峙して本発明に係る舷側風防装置をコンテナ船の上甲板に設置し、前記隙間の左右舷側端を外側から細長のシートで閉塞することにより、前記隙間を通る正圧側から負圧側への空気流を遮断し、前記正圧と負圧の希釈を防止して甲板上のコンテナ群の揚力発生を促進すると共にコンテナ船における風による抵抗を減ずることができる。
シート巻取装置と、シート巻取装置からシートを引き出して伸展させる伸縮可能なシート伸展装置とを設けることにより、荷役時にはシート伸展装置を収縮させると共にシート巻取装置にシートを巻き取って荷役作業の円滑化を図り、載貨航行時にはシート伸展装置を伸長させることによりシート巻取装置からシートを引き出し伸展させて、複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間の左右舷側端を塞ぐことが可能になる。
荷役時に、シート伸展装置を収縮させると共に下端から上端へ向けて舷側外方向へ傾斜させることにより、コンテナの荷役作業が円滑化される。
コンテナ船の甲板上に積み付けられたコンテナが形成する複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間の舷側端を前記隙間の外側から細長のシートで閉塞することにより、前記隙間を通る正圧側から負圧側への空気流を遮断し、前記正圧と負圧の希釈を防止して甲板上のコンテナ群の揚力発生を促進すると共にコンテナ船における風による抵抗を減ずることができる。
図1、2に示すように、コンテナ船の舷側風防装置1は、コンテナ船のハッチカバー上に積み付けられた多数のコンテナ100が形成する複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間Sの舷側端を隙間Sの外側から閉塞可能な細長矩形のシート2と、シート巻取装置3と、シート巻取装置3からシート2を引き出して伸展させる伸縮可能なシート伸展装置4とを備えている。コンテナ船の舷側風防装置1は、前記コンテナ列間の隙間Sの左右舷側端に対峙してコンテナ船の上甲板101に取り付けられている。
シート2は帆布のような耐久性のある布地で形成されており、コンテナ列間の船長方向の隙間Sの幅よりも若干大きな横幅を有し、シート伸展装置4の上端に固定されて船長方向に延在する棒状部材21に上端が固定され、シート巻取装置3の船長方向に延在する図示しない巻取ローラーに下端が固定されている。
シート巻取装置3は、前述の図示しない巻取ローラーと、巻取ローラー駆動用の図示しないサーボモータと、図示しないロック装置とを備えている。シート巻取装置3はシート伸展装置4の下端部に固定されている。
図1〜3に示すように、最上段のマスト41の頂部にシート2の上端部が固定された棒状部材21が固定されている。
図3に示すように、最下段のマスト41の下端は閉鎖され上端は開放されている。最下段のマスト41の底壁に油圧シリンダ5が取り付けられて上方へ延びている。油圧シリンダ5は、シリンダロッド5aと、シリンダロッド5aが挿入されたシリンダチューブ5bと、シリンダロッド5aの上端近傍部とシリンダチューブ5bとの間の環状隙間を閉鎖する油圧シール5cとを有している。シリンダロッド5aの下端部が最下段のマスト41の底壁によって軸支されている。
図3に示すように、中段のマスト41の下端は閉鎖され上端は開放されている。中段のマスト41の底壁に油圧シリンダ6が取り付けられて上方へ延びている。油圧シリンダ6は、シリンダロッド6aと、シリンダロッド6aが挿入されたシリンダチューブ6bと、シリンダロッド6aの上端近傍部とシリンダチューブ6bとの間の環状隙間を閉鎖する油圧シール6cとを有している。シリンダロッド6aの下端部が中段のマスト41の底壁によって軸支されている。油圧シリンダ5のシリンダチューブ5bが中段のマスト41の底壁を貫通して上方へ延びており、シリンダチューブ5bの下端近傍部が中段のマスト41の底壁に固定されている。
図3に示すように、最上段のマスト41の下端はシリンダチューブ5b用の挿通孔41aを除いて閉鎖され上端は閉鎖されている。油圧シリンダ6のシリンダチューブ6bが最上段のマスト41の底壁を貫通して上方へ延びており、シリンダチューブ6bの下端近傍部が上段のマスト41の底壁に固定されている。最上段のマスト41に、棒状部材21が固定されている。
図1、2に示すように、最下段のマスト41を、舷側外方向に揺動駆動するための油圧シリンダ7が配設されている。
ハッチカバー上へのコンテナ100の積載作業時には、図3(a)に示すように、油圧シリンダ5、6は収縮しており、油圧シリンダ5は挿通孔41aに遊動可能に挿通されて最上段のマスト41内へ延びている。3段のマスト41間の上下方向重畳量が最大値になって、シート伸展装置4は収縮している。シート2はシート巻取装置3によって最小長さまで巻き取られている。上端が棒状部材21に固定され下端が巻取ローラーに固定されたシート2には幅方向分布が均一の適度の引っ張り応力が作用し、長手方向と幅方向の弛みの発生を防止している。ロック装置が作動して巻取ローラの回転を防止している。油圧シリンダ7が伸長して図1で一点鎖線で示すように、また図2の左側部分に示すように、最下段のマスト41を下端から上端ヘ向けて舷側外方向へ揺動駆動して、シート伸展装置4を荷役領域から舷側外方向へ離脱させている。
油圧シリンダ5は収縮状態を維持するが、挿通孔41aに遊動可能に挿通されているので、最上段のマスト41の上方への移動を妨げない。
油圧シリンダ6が最大長さまで伸長して停止し、伸長状態を維持する。油圧シリンダ6に連動して上昇した最上段のマスト41は、中段のマスト41との上下方向重畳量が所定の最小値になって停止し、重畳量最小状態を維持する。
シリンダチューブ6bの上方への移動、ひいては最上段のマスト41の上方への移動に連動して、シート巻取装置3のロック装置の作動が停止し、サーボモータが作動し、シート2をシート巻取装置3から送り出す。最上段のマスト41は、シート2をシート巻取装置3から引き出しつつ上方へ移動する。シート巻取装置3のサーボモータは、シート2に常時引っ張り応力が働くように、油圧シリンダ6と連動して作動する。シート2には長手方向にも幅方向にも弛みは発生しない。
油圧シリンダ5が最大長さまで伸長して停止し、伸長状態を維持する。油圧シリンダ5に連動して上昇した中段のマスト41は、最下段のマスト41との上下方向重畳量が所定の最小値になって停止し、重畳量最小状態を維持する。
シリンダチューブ5bの上方への移動、ひいては中段のマスト41と最上段のマスト41の上方への移動に連動して、シート巻取装置3のサーボモータが作動し、シート2をシート巻取装置3から送り出す。最上段のマスト41は、シート2をシート巻取装置3から引き出しつつ上方へ移動する。シート巻取装置3のサーボモータは、シート2に常時引っ張り応力が働くように、油圧シリンダ5と連動して作動する。シート2には長手方向にも幅方向にも弛みは発生しない。
シート巻取装置3のサーボモータが停止し、ロック装置が作動して巻取ローラの回転を防止する。
油圧シリンダ7が収縮して、シート伸展装置4が直立し、シート2が直立する。図1に実線で示すように、また図2の右側部分に示すように、シート2は、コンテナ列の間の船長方向の隙間Sの左右舷側端を外側から塞ぐ。
上端が棒状部材21に固定され下端が巻取ローラーに固定されたシート2には幅方向分布が均一の適度の引っ張り応力が作用しているので、長手方向にも幅方向にも弛まない。またシート2の幅はコンテナ列の間の船長方向の隙間Sより若干広いので、シート2の両側縁部はコンテナ列の間の船長方向の隙間Sを挟む前後のコンテナの側縁部に隙間Sの外側から当接する。従って、シート2は、コンテナ列の間の船長方向の隙間Sの左右舷側端を効果的に塞ぐことができる。
複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間Sが放置されると、当該隙間Sを通って正圧側の空気が負圧側へ流れて前記正圧と負圧とが希釈され、揚力の発生が抑制されると共にコンテナ船における風による抵抗が増加する。舷側風防装置1を配設することにより、コンテナ列の間の船長方向の隙間Sを通る正圧側から負圧側への空気流を遮断して正圧と負圧の希釈を阻止し、コンテナ群による揚力発生を促進すると共にコンテナ船における風による抵抗を減ずることができる。
荷役時に、シート伸展装置4を収縮させると共に下端から上端へ向けて舷側外方向へ傾斜させることにより、コンテナの荷役作業が円滑化される。
シート伸展装置4のマスト41の積層段数は3に限定されない。
シート巻取装置3の巻取ローラー駆動装置として、サーボモータに代えてステッピングモータを使用しても良い。モータに代えて、バネを用いてシートを巻き取るようにしても良い。
2 シート
3 シート巻取装置
4 シート伸展装置
5、6、7 油圧シリンダ
Claims (3)
- コンテナ船の甲板上に積み付けられたコンテナが形成する複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間の舷側端を前記隙間の外側から閉塞可能な細長のシートと、シート巻取装置と、シート巻取装置からシートを引き出して伸展させる伸縮可能なシート伸展装置とを備え、前記コンテナ列間の隙間の左右舷側端に対峙してコンテナ船の上甲板に取り付けられることを特徴とするコンテナ船の舷側風防装置。
- シート伸展装置を、コンテナに沿って直立する稼働位置と下端から上端へ向けて舷側外方向へ傾斜した退避位置との間で揺動させる揺動装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ船の舷側風防装置。
- コンテナ船の甲板上に積み付けられたコンテナが形成する複数の船幅方向に延在するコンテナ列の間の船長方向の隙間の舷側端を前記隙間の外側から細長のシートで閉塞することを特徴とするコンテナ船の舷側風防方法。
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