JP2016074801A - スタッドレスタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、ケナフ繊維を0.3〜20質量部および熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜20質量部配合してなるスタッドレスタイヤ用ゴム組成物によって、上記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
すなわち本発明は以下の通りである。
2.前記ケナフ繊維が、JIS A硬度が15〜50である熱可塑性エラストマーで予めマスターバッチ化されており、前記マスターバッチ中の前記ケナフ繊維の配合量(x)と前記熱可塑性エラストマーの配合量(y)の割合(質量比)が、(x)/(y)として3/97〜60/40であることを特徴とする前記1に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
3.前記1または2に記載のゴム組成物をトレッドに使用したスタッドレスタイヤ。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、通常のゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
これらのジエン系ゴムの中でも、本発明の効果の点からジエン系ゴムはNR、BRが好ましい。
本発明で使用されるケナフ繊維は、ケナフを破断、切断、または粉砕することによって得られる。またケナフ繊維は、ケナフの木質部、靱皮部、および靱皮部と木質部を合わせた全茎部から調製した繊維、ならびにこれらのブレンド繊維の総称である。ケナフ繊維としては、ケナフの靭皮部から調製した繊維であることが好ましい。
本発明で使用されるケナフ繊維の平均繊維径は、10μm〜1000μmが好ましく、15μm〜500μmがさらに好ましい。平均繊維長は、5μm〜10000μmが好ましく、10μm〜5000μmがさらに好ましい。
ケナフ繊維は、内部に例えば35容量%以上の空孔を有しており、その空孔の径が1μm〜20μm程度であることから、優れた排水性を有し、氷上性能を向上させるものと推測される。
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成からなる。熱膨張性マイクロカプセルの殻材はニトリル系重合体により形成することができる。
またマイクロカプセルの殻材中に内包する熱膨張性物質は、熱によって気化または膨張する特性をもち、例えば、イソアルカン、ノルマルアルカン等の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類が例示される。イソアルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン等を挙げることができ、ノルマルアルカンとしては、n−ブタン、n−プロパン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、それぞれ単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。熱膨張性物質の好ましい形態としては、常温で液体の炭化水素に、常温で気体の炭化水素を溶解させたものがよい。このような炭化水素の混合物を使用することにより、未加硫タイヤの加硫成形温度域(150℃〜190℃)において、低温領域から高温領域にかけて十分な膨張力を得ることができる。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えばスェーデン国エクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL 091DU−80」または「EXPANCEL 092DU−120」等、或いは松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー F−85D」または「マツモトマイクロスフェアー F−100D」等を使用することができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、ケナフ繊維を0.3〜20質量部および熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜20質量部配合してなることを特徴とする。
ケナフ繊維の配合量が0.3質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると氷上性能が悪化する。
熱膨張性マイクロカプセルの配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると耐摩耗性が悪化してしまうので、好ましくない。
ケナフ繊維のさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、2〜10質量部である。
熱膨張性マイクロカプセルのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜18質量部である。
熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性の凍結相あるいは結晶相を形成するハードセグメント(硬質セグメント)と、ゴム弾性を示すソフトセグメント(軟質セグメント)とからなるブロック共重合体を用いることができる。例えば、ポリエステルをハードセグメントとするポリエステル系エラストマー、ポリアミドをハードセグメントとするポリアミド系エラストマー、ポリスチレンをハードセグメントとするポリスチレン系エラストマー、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとするポリオレフィン系エラストマー、ハードセグメントにウレタン構造を持つポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらを1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、このようなブロック共重合体に対して柔軟性を付与するためにゴム成分をブレンドしてなる海島構造のものも、熱可塑性エラストマーとして用いることができる。
また、熱可塑性エラストマーは、JIS A硬度が15〜50であるのが好ましい。このJIS A硬度の範囲内であれば、氷上性能をさらに向上させることができる。なおJIS A硬度は、JIS K6253に基づき、20℃にて測定した値である。
また、マスターバッチ中のケナフ繊維の配合量(x)と熱可塑性エラストマーの配合量(y)の割合(質量比)は、(x)/(y)として3/97〜60/40であることが好ましい。この(x)/(y)の範囲内であれば、氷上性能をさらに向上させることができる。さらに好ましい(x)/(y)は、15/85〜55/45である。
熱可塑性エラストマーは、前記のようにケナフ繊維とマスターバッチ化する以外に、必要に応じて単独でゴム組成物に配合してもよい。その場合の熱可塑性エラストマーの配合量は、前記のケナフ繊維の配合量との関係を満たすことが好ましい。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;シランカップリング剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で170℃、10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
なお、実施例5〜11は、ケナフ繊維を、熱可塑性エラストマーで予めマスターバッチ化したものを使用した。マスターバッチの処方を表2に示す(質量部)。
*2:BR(日本ゼオン(株)製NipolBR1220)
*3:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シーストKH)
*4:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*5:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*6:シリカ(東ソー・シリカ(株)製NipsilAQ)
*7:老化防止剤6C(FLEXSYS製SANTOFLEX6PPD)
*8:老化防止剤RD(大内新興化学工業(株)製ノクラック224)
*9:シランカップリング剤(エボニックジャパン(株)製Si69)
*10:オイル(昭和シェル石油(株)製エクストラクト4号S)
*11:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*12:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*13:ケナフ繊維(平均繊維径=120μm、平均繊維長=5000μm)
*14:HPMC(松本油脂製薬(株)製マーポローズ60MP−50)
*15:紙繊維(王子製紙社製、平均繊維径=50μm、平均繊維長=1000μm)
*16:熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬(株)製マツモトマイクロスフェアF100)
*17:熱可塑性エラストマー(1)(JSR(株)製エクセリンク1100B、JISA硬度=19)
*18:熱可塑性エラストマー(2)(日本ゼオン(株)製クインタック3450、JIS A硬度=45)
*19:熱可塑性エラストマー(3)((株)クラレ製セプトン2004、JIS A硬度=67)
とくに、ケナフ繊維が、JIS A硬度が15〜50である熱可塑性エラストマーで予めマスターバッチ化されており、マスターバッチ中の前記ケナフ繊維の配合量(x)と熱可塑性エラストマーの配合量(y)の割合(質量比)が、(x)/(y)として3/97〜60/40の範囲内にある実施例6〜8、11は、本発明の効果がさらに高まる結果となった。
また、実施例4は、ケナフ繊維と熱可塑性エラストマーをマスターバッチ化せずに個別に配合した例であるが、熱可塑性エラストマーを配合していない実施例2と比較すると、氷上性能の向上が確認された。
実施例5は、熱可塑性エラストマーの配合量が本発明の好ましい範囲の下限未満であるので、該好ましい範囲を満たす他の実施例と比較して、氷上性能が若干低下した。
実施例9は、熱可塑性エラストマーのJIS A硬度が本発明の好ましい範囲を外れているので、該好ましい範囲を満たす他の実施例と比較して、氷上性能が若干低下した。
実施例10は、熱可塑性エラストマーの配合量が本発明の好ましい範囲の上限を超えているので、該好ましい範囲を満たす他の実施例と比較して、氷上性能が若干低下した。
これに対し、比較例2は、熱膨張性マイクロカプセルを配合していないので、氷上性能が悪化した。
比較例3は、ケナフ繊維の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、氷上性能が悪化した。
比較例4は、ケナフ繊維の配合量が本発明で規定する上限を超え、また熱膨張性マイクロカプセルの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、氷上性能が悪化した。
比較例5は、ケナフ繊維の替わりにHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を使用した例であるので、氷上性能の向上が確認されなかった。
比較例6は、ケナフ繊維の替わりに紙繊維を使用した例であるので、氷上性能の向上が確認されなかった。
Claims (3)
- ジエン系ゴム100質量部に対し、ケナフ繊維を0.3〜20質量部および熱膨張性マイクロカプセルを0.1〜20質量部配合してなることを特徴とするスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ケナフ繊維が、JIS A硬度が15〜50である熱可塑性エラストマーで予めマスターバッチ化されており、前記マスターバッチ中の前記ケナフ繊維の配合量(x)と前記熱可塑性エラストマーの配合量(y)の割合(質量比)が、(x)/(y)として3/97〜60/40であることを特徴とする請求項1に記載のスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のゴム組成物をトレッドに使用したスタッドレスタイヤ。
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