以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る所在人数推定装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。本実施の形態における所在人数推定装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)等の汎用的なコンピュータで実現できる。
図2は、本実施の形態における所在人数推定装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において所在人数推定装置10を形成するサーバコンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
図1に戻り、本実施の形態における所在人数推定装置10は、乗降履歴情報生成部11、補正パラメータ算出部12、所在人数推定部13、乗降履歴情報記憶部14及び補正パラメータ情報記憶部15を有している。乗降履歴情報生成部11は、乗降履歴情報生成手段として設けられ、オフィスビル等の建物に設置されたエレベーターかごへの乗降の状況を示す情報に基づき各エレベーター利用者の乗降階及び乗降日時を含む乗降履歴情報を生成する。乗降履歴情報記憶部14には、乗降履歴情報生成部11により生成された乗降履歴情報が蓄積される。
補正パラメータ算出部12は、補正パラメータ算出手段として設けられ、建物の所定期間内における入館者数及び退館者数を取得し、その取得した入退館者数及び所定期間内にエレベーターかごを乗降したエレベーター利用者に対応する乗降履歴情報に基づいてエレベーター利用以外の者を含む各階の所在人数を算出するための補正パラメータを算出する。補正パラメータ情報記憶部15には、補正パラメータ算出部12により生成された補正パラメータを含む補正パラメータ情報が記憶される。
所在人数推定部13は、所在人数推定手段として設けられ、基準時点から現在までの所在人数推定期間内にエレベーターかごを乗降したエレベーター利用者に対応する乗降履歴情報から得られるエレベーター利用者の各階の所在人数を補正パラメータで補正することで、現時点におけるエレベーター利用以外の者を含む各階の所在人数を推定する。
所在人数推定装置10における各構成要素11〜13は、所在人数推定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部14,15は、所在人数推定装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
本実施の形態における所在人数推定装置10は、建物内にいる建物利用者(以下、「在場者」ともいう)の人数を階毎に推定するものである。エレベーター装置が設置された建物の利用者は、建物の出入口から入場するとエレベーターを利用して目的とする階(行先階)に移動することが想定されるが、中には階段を利用して目的とする階まで移動する者も存在しうる。従って、エレベーター利用者の乗降の状況を検出し、その乗降人数から各階の所在人数を算出するだけでは、各階の所在人数に誤差が生じうる。本実施の形態は、エレベーターかご(以下、単に「かご」と称する)への乗降の状況から階段の利用状況を推定し、エレベーター利用者に階段利用者を加えた各階の所在人数を推定するものである。なお、本実施の形態において「階段利用者」というのは、建物の階段を利用して階間を移動する者に限定しているものではなく、階段やエスカレータを利用するなどエレベーター以外の設備を利用して階間を移動する者の総称である。なお、「エレベーター利用者」はエレベーターかごを利用して階間を移動する者をいう。
また、入退館管理システムが常設されていれば、建物への入退場者数や各階の各部屋の在室者を常時監視できるので各階の所在人数が精度良く検出できるかもしれない。本実施の形態は、入退館管理システムが導入されていなくても、更に入退館者数を常時監視していなくても各階の所在人数を推定できるようにしたことを特徴とする。
次に、本実施の形態における動作について説明する。なお、本実施の形態では、説明の簡略化のために建物には、建物の各階に停止する1台のかごのみが設置されているものとして説明する。また、この建物は、6階建てで1階のみに出入口があるものとする。
まず、本実施の形態における所在人数推定装置10が所在人数の推定対象とする建物において、エレベーター制御装置は、エレベーターの運行状況を常時監視しており、かごの運行に伴い動作履歴データを所定の記憶装置に時系列的に蓄積する。動作履歴データには、かごの位置を表すデータ、かごの戸の開閉を表すデータ、秤装置が検出したかご内重量を表すデータ、乗場からの呼び登録ボタン操作、かご内からの停止階登録ボタン操作等かごの運行に関連するデータが含まれる。
本実施の形態における所在人数推定装置10は、各階の所在人数を推定する推定モードと、推定モードの実行に先立って補正パラメータを生成する学習モードと、の2種類のモードに従って動作する。まず、学習モードによる所在人数推定装置10の動作について図3に示したフローチャートを用いて説明する。学習モードによる動作は、補正パラメータを生成するために、推定モードによる動作を開始する前に1回だけ行えばよい。
まず、乗降履歴情報生成部11は、所定期間に含まれる動作履歴データをエレベーター制御装置から取得する(ステップ101)。学習モードでは補正パラメータを生成するので、この生成のために用いる動作履歴データはある程度のデータ量がある方が望ましい。補正パラメータを曜日毎に生成するのであれば、7日分の動作履歴データを少なくとも用いる必要がある。本実施の形態では、1日分の動作履歴データを用いる、つまり所定期間として1日が予め設定されているものとする。本実施の形態では、どの1日と言うことについて限定する必要はないが、所在人数を精度良く推定するためには典型的なパターンにて在場者が階間を移動する日が好適である。
動作履歴データを取得すると、乗降履歴情報生成部11は、取得した動作履歴データを分析することによって乗降履歴情報を生成する(ステップ102)。図4は、本実施の形態における乗降履歴情報のデータ構成の一例を示す図である。乗降履歴情報は、在場者がエレベーターを1回利用する毎に生成される。乗降履歴情報には、エレベーター利用者がかごに乗車した乗車階及び乗車日時と、かごに乗車した後に降車した降車階及び降車日時と、が組にして含まれる。
図4に示した乗降履歴情報のデータ設定例によると、9時38分に出入口のある1階から2人が乗車した後、続けて2階から1人が乗車することでかご内が3人となる。そして、1階から乗車したうちの1人が3階で降車した後、かご内に残る2人が6階で降車したことがわかる。そして、2人が降車したときに1人がかごに乗車し、そのかごには4階から1人が乗車してきて、かご内にいる2人が共に1階で降車したことがわかる。
例えば、9時38分における1階からの乗車人数は、かご内重量によって判断してよい。ただ、体重の個人差等を考慮すると同じ階での乗車人数を判別することは難しいかもしれない。この場合、戸の開閉で検出しうる停止階や停止階でのかご内重量の変化、つまり動作履歴データを時系列に分析することで同時に乗降車したエレベーター利用者の人数が検出可能となる。例えば、図4に示した乗降履歴情報のデータ設定例によると、9時38分に1階から乗車した人数が乗車時には1人か2人かは不明かもしれないが、2階から乗車してきたときのかご内重量の増加分、3階で降車したときのかご内重量の減少分、また6階でのかご内重量の減少分などかご内重量の変化を分析することによって、2階から1人乗車したことでかごに3人乗車していること、3階で降車したのは1階から乗車したうちの1人であることなどが判別しうる。
この例のように、乗降履歴情報生成部11が1人の乗降者に対応する乗降者情報を逐次1人分ずつ生成できるとは限らず、動作履歴データを時系列的に分析することによって3人分の乗降者情報をまとめて生成する場合もある。
なお、本実施の形態における乗降履歴情報生成部11は、エレベーターかごへの乗降の状況を示す情報として、エレベーター制御装置から動作履歴データを取得したが、例えば、エレベーターかご内の画像を取得し、その取得した画像を分析してエレベーター利用者の乗車階及び降車階を特定するなど他の手法を用いて乗降履歴情報を生成するようにしてもよい。
以上のようにして、乗降履歴情報生成部11は、エレベーター利用者毎に乗降履歴情報を生成すると、その生成した乗降履歴情報を乗降履歴情報記憶部14に保存する(ステップ103)。
乗降履歴情報生成部11が所定期間における乗降履歴情報を生成すると、補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報が生成されたのと同じ期間に含まれる入退館履歴データを取得する(ステップ104)。入退館履歴データには、建物に来た人が入館したときの日時、在場者が退館するときの日時が時系列的に含まれている。入退館履歴データは、建物に入退館管理システムが設置されていればそのシステムから取得すればよい。入退館管理システムが設置されていなくても、学習モードでの動作時のみに建物1階の出入口に赤外線センサ、レーザスキャンセンサ、あるいはカメラ等の入退館者を検出する検出手段を設置しておき、その検出手段が入館者又は退館者を検出したときに、その入館/退館の別とその検出日時とに基づき生成された入退館履歴データを取得するようにすればよい。
続いて、補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報記憶部14に保存された所定期間の乗降履歴情報及び入退館履歴データに基づき、次のようにして補正パラメータを算出する(ステップ105)。
ここで、「補正パラメータ」というのは、エレベーター利用による各階の所在人数からエレベーター利用以外の者を含む各階の所在人数を算出する際に用いるパラメータ値である。例えば、1階から4階までエレベーターを利用して10人の入館者が移動したことが乗降履歴情報から判別できたとする。ただ、実際には、エレベーターを利用して4階に移動した10人の他に階段を利用して移動した入館者が存在するかもしれない。本実施の形態では、乗降履歴情報から算出された各階のエレベーター利用者の所在人数に補正パラメータを乗算することで、エレベーター利用者と階段利用者とを合わせた各階の所在人数を算出する。
図5及び図6は、補正パラメータ算出部12が生成する補正パラメータ情報のデータ構成例を示す図である。このうち、図5は、出入口のある1階との階間移動用の補正パラメータ情報のデータ構成例であり、図6は、出入口のある1階以外の階間移動用の補正パラメータ情報のデータ構成例である。まず、図5に示した1階との階間移動用の補正パラメータ情報の生成について先に説明する。
図5(a)は、出入口のある1階を出発階とする階間移動用の補正パラメータ情報を、図5(b)は、出入口のある1階を行先階とする階間移動用の補正パラメータ情報をそれぞれ示す図である。なお、本実施の形態では、エレベーター利用者が乗車する「乗車階」とかごが停止してエレベーター利用者を乗せる「出発階」、またエレベーター利用者が降車する「降車階」とかごが停止してエレベーター利用者を降ろす「行先階」はそれぞれ同義である。図5(a)に示した補正パラメータ情報は、行先階毎に、エレベーター利用人数、階段利用人数、合計人数及び補正パラメータを対応させて設定される。図5(b)に示した補正パラメータ情報は、出発階毎に、エレベーター利用人数、階段利用人数、合計人数及び補正パラメータを対応させて設定される。各項目については、補正パラメータの算出方法の説明と合わせて説明する。まず、図5(a)に示した補正パラメータ情報の生成について説明する。
補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報記憶部14に保存された乗降履歴情報の中から、出入口のある1階を出発階とし、その1階からエレベーターに乗車して他の階(行先階)で降車した乗降履歴情報を抽出する。本実施の形態では、出入口は1階のみなのでエレベーター利用者全員のエレベーター利用に基づく乗降履歴情報が抽出される。そして、抽出した乗降履歴情報を行先階毎に集計して各階までのエレベーター利用人数を求める。図5(a)のデータ設定例を参照すると、1階から乗車後、2階で降車したのは5人、3階で降車したのは25人、また6階で降車したのは45人である。そして、各階への移動にエレベーターを利用した人数は合計150人である。
続いて、補正パラメータ算出部12は、入退館履歴データから入館者数を求めるが、ここでは250人の入館者がいたとする。250人の入館者は、各自の目的階に移動することになるが、ここでは1階には居室がなく目的階とならないものとして説明する。また、本実施の形態では、便宜的に各階の居室規模が同等で同等の人数が在室可能であるものとして説明すると、2階から6階までの各階を目的階とする入館者は、それぞれ均等に50人ずつとなる。図5では、「合計人数」の項目がこの数に対応する。なお、ここでは便宜的に各階に50人ずつに割り振ったが、各階への割り振りについては追って説明する。
ところで、以上の説明からすると、入館者数が250人であるのに対し、エレベーター利用者は150人であるということは、その差の100人は階段利用者であることがわかる。つまり、階段を利用して2階から6階のいずれかの階まで移動した者は100人いることになる。ここで、図5(a)のデータ設定例によると、6階を行先とする入館者50人のうちエレベーター利用者は45人なので階段利用者は5人と算出できる。また、5階を行先とする入館者50人のうちエレベーター利用者は40人なので階段利用者は10人と算出できる。同様に、4階、3階、2階の各階段利用者は15人、25人、45人と算出できる。
以上のようにして階毎のエレベーター利用者及び階段利用者を算出すると、補正パラメータ算出部12は、(エレベーター利用者+階段利用者)÷エレベーター利用者、という計算式にて補正パラメータを階毎に算出する。例えば、6階の補正パラメータは、50÷45=1.11と算出できる。また、5階の補正パラメータは、50÷40=1.25と算出できる。このようにして、各階の補正パラメータを算出する。
続いて、図5(b)に示した補正パラメータ情報の生成について説明する。基本的には、1階を出発階とする場合と同様に補正パラメータを算出する。1階を行先階とする場合の在場者は入館者ではなく退館者である。本実施の形態では、1階には居室がなく出入口しかないので、1階に降りたエレベーター利用者を退館者とみなす。補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報記憶部14に保存された乗降履歴情報の中から、2階から6階までの各階を出発階とし、出入口のある1階(行先階)で降車した乗降履歴情報を抽出し、その抽出した乗降履歴情報を出発階毎に集計してエレベーター利用人数を求める。図5(b)のデータ設定例を参照すると、1階へ向かうために6階で乗車したのは45人、5階で乗車したのは40人、また2階で乗車したのは3人である。そして、1階への移動にエレベーターを利用した人数は合計125人である。
また、補正パラメータ算出部12が入退館履歴データから求めた退館者数は250人で、2階から6階までの各階を出発階とする退館者はそれぞれ均等に50人ずつとする。退館者数が250人であるのに対し、エレベーター利用者は125人なので階段利用者は125人であることがわかる。各階の階段利用者は、上記と同様に各階の合計人数から各階のエレベーター利用者を減算することで算出できる。そして、補正パラメータ算出部12は、前述した計算式を用いて補正パラメータを階毎に算出する。
補正パラメータ算出部12は、以上のようにして出入口のある1階との階間移動用の補正パラメータ情報を生成する。続いて、図6に示した出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報の生成について説明する。
ここでは、2階から4階、6階から3階など出発階及び行先階を1階としない階間移動用の補正パラメータを移動方向及び移動距離に応じて算出することになる。
階間移動は、現在いる階から上の階に移動する場合(昇階時「UP」)と、下の階に移動する場合(降階時「DOWN」)とがある。出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報は、図6に示したように移動方向毎に設定される。補正パラメータ情報に含まれる移動距離は、移動する階数を示す。例えば、2階から1つ上の階の3階に移動する場合、6階から1つ下の階の5階に移動する場合の移動距離は1階床となる。また、4階から2つ上の階の6階に移動する場合、また4階から2つ下の階の2階に移動する場合の移動距離は2階床となる。この補正パラメータ情報は、昇階時及び降階時共に移動距離毎に、前述したエレベーター利用人数、階段利用人数、合計人数及び補正パラメータを対応させて設定される。
ここで、図6(a)に示した補正パラメータ情報の生成について説明するが、本実施の形態では、補正パラメータ情報に含まれる補正パラメータは、図5(a)に示した補正パラメータをそのまま利用する。すなわち、1階から2階への移動は1階床の移動なので、図5(a)において行先階が2階に対応した補正パラメータ“10.00”を1階床の補正パラメータとして利用する。1階から3階への移動は2階床の移動なので、図5(a)において行先階が3階に対応した補正パラメータ“2.00”を2階床の補正パラメータとして利用する。
ところで、2階床上る移動には、1階から3階だけでなく、2階から4階、3階から5階、更に4階から6階がある。このエレベーター利用による階間移動は、乗降履歴情報から得ることはできる。しかしながら、図5(a)に示した補正パラメータを算出する際に1階から3階までの階段利用者の人数は算出したものの、2階から4階などそれ以外の階段利用者の人数は乗降履歴情報を参照してもわからない。ただ、1階から3階まで階段を利用する在場者は、2階から4階に上がるときにも、また3階から5階、4階から6階に上がるときにも階段を利用すると推定できる。つまり、出入口階以外の階間移動の階段利用者の人数は正確に把握できないかもしれないが、人間の習性上、その人数比は出入口階からの移動及び出入口階への移動と同等であると考えられる。
そこで、本実施の形態においては、出入口階以外の階間移動用の補正パラメータに、出入口階との階間移動用の補正パラメータを利用して設定することにした。すなわち、図5(a)において2階〜6階をそれぞれ行先階とする補正パラメータを、図6(a)において1階床〜5階床をそれぞれ移動距離とする補正パラメータとして設定する。これは、降階時においても同様で、図5(b)において2階〜6階をそれぞれ出発階とする補正パラメータを、図6(b)において1階床〜5階床をそれぞれ移動距離とする補正パラメータとして設定する。なお、図6(a)、(b)におけるエレベーター利用人数及び階段利用人数は図5(a)、(b)に示した1階との階間移動の人数をそのままコピーしただけで、正しい階間移動の人数を示しているとは言い切れない。
以上のようにして、補正パラメータ算出部12は、算出した補正パラメータを含む補正パラメータ情報を生成すると、その生成した補正パラメータ情報を補正パラメータ情報記憶部15に保存する(ステップ106)。
次に、推定モードによる所在人数推定装置10の動作について図7に示したフローチャートを用いて説明する。
推定モードによる動作では、各階の所在人数を推定することになるが、この処理は、一定時間毎、例えば5分毎に実行することで各階の所在人数を5分毎に更新することになる。
所在人数推定部13は、基準時点、例えば本日の0時0分から現在までの間(所在人数推定期間)にかごを乗降したエレベーター利用者に対応する乗降履歴情報を乗降履歴情報記憶部14から読み出し取得する(ステップ111)。そして、取得した乗降履歴情報を分析することで、乗車階(出発階)毎降車階(行先階)毎にエレベーター利用者の人数を集計する(ステップ112)。この集計した結果を示すエレベーター利用人数テーブルを図8に示す。
図8に示したエレベーター利用人数テーブルの数値例を参照すると、所在人数推定期間内において、例えば6階で乗車したエレベーター利用者が、5階で降車したのは1人、4階で降車したのは2人、3階で降車したのは9人であることがわかる。また、5階で乗車したエレベーター利用者が6階で降車したのは2人、4階で降車したのは1人、3階で降車したのは1人であることがわかる。
続いて、所在人数推定部13は、各補正パラメータ情報を補正パラメータ情報記憶部15から読み出すことで取得すると(ステップ113)、次のようにしてエレベーター利用者の人数を補正して、エレベーター利用者及び階段利用者を含む各階の所在人数を推定する(ステップ114)。この補正後の階間移動の状況を示す階間移動人数テーブルを図9に示す。
例えば、6階から1階下の5階までのエレベーター利用者は1人であるが、これに対応する補正パラメータは、出入口階との階間移動ではなく、また降りる方向への移動なので、図6(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる、1階床に対応する補正パラメータ“16.67”である。従って、エレベーター利用者“1”に補正パラメータ“16.67”を乗算することでエレベーター利用者及び階段利用者を含む6階から5階への階間移動をした在場者は17人と算出される。なお、ここでは四捨五入して人数を特定する。同様に、例えば3階から2階上の5階までのエレベーター利用者は4人であるが、これに対応する補正パラメータは、出入口階との階間移動ではなく、また上る方向への移動なので、図6(a)に示した補正パラメータ情報に含まれる、2階床に対応する補正パラメータ“2.00”である。従って、エレベーター利用者“4”に補正パラメータ“2.00”を乗算することでエレベーター利用者及び階段利用者を含む3階から5階への階間移動をした在場者は8人と算出される。また、3階から2階下の1階までのエレベーター利用者は5人であるが、これに対応する補正パラメータは、出入口階との階間移動であるので、図5(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる、出発階を3階、行先階を1階に対応する補正パラメータ“4.17”である。従って、エレベーター利用者“5”に補正パラメータ“4.17”を乗算することでエレベーター利用者及び階段利用者を含む3階から1階への階間移動をした在場者は21人と算出される。
以上のようにして、エレベーター利用者及び階段利用者を含む階間移動の人数を算出すると、所在人数推定部13は、各階において行先階の人数から出発階の人数を減算することで当該階の所在人数を算出する。つまり、それぞれの階には、行先階として算出された人数の在場者が他の階から移動してきて、出発階として算出された人数の在場者が他の階へ移動していったのだから、その差分が当該階に残っている人数、すなわち所在人数と考えられる。例えば、6階を行先階として移動してきた人数は116人で、そのうち89人が6階を出発階として移動していったのだから、現時点では6階には116−89=27人の在場者が所在していると推定できる。他の階においても同様に計算することで各階の所在人数を推定できる。
なお、本実施の形態の場合、図9を用いた計算に基づく1階の所在人数の推定は行わない。1階は出入口しかないので所在人数は常に0である。
本実施の形態においては、以上説明したように現時点における各階の所在人数を推定するが、この推定する各階の所在人数は、基準時点から現時点までの在場者の増減した人数となる。従って、本実施の形態では、在場者が0人と推定される本日の0時0分を基準時点としたが、建物の運用によって基準時点を適宜設定すればよい。
所在人数推定部13は、以上のようにして推定した各階の所在人数をHDD24に保存したり、ディスプレイ27に表示したり、管理者利用のコンピュータ等にネットワーク経由で送信したりすることで情報を提供する。
ところで、本実施の形態では、図5及び図6に示した1組の補正パラメータを算出するようにした。つまり、全日、全時間帯に共通した補正パラメータを算出するようにしたが、時間帯あるいは曜日などによってエレベーターの利用状況、すなわち在場者の階間移動のパターンが典型的なパターンと異なることが想定される場合には、その時間の属性に応じて時間帯別に補正パラメータを生成してもよい。例えば、出社時間帯に含まれる乗降履歴情報を参照して補正パラメータを生成することで、出社時間帯後の所在人数を精度良く推定することが可能になる。
なお、本実施の形態では、前述したように補正パラメータをいったん生成すれば、その後は推定モードでの実行時にはその補正パラメータを繰り返し使用すればよい。ただ、在場者の階間移動のパターンが変わってくるような場合、例えば季節によって階段利用者が増減するような場合、そのときには学習モードで実行して、補正パラメータを更新するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、補正パラメータ算出部12が補正パラメータ情報を生成する過程において、建物の各階の利用が同等であることから在場者250人を各階均等に50人ずつに割り振った。ただ、各階に割り振る人数は、各階の従業員数や各階の用途、利用形態等を参照に適切な人数を各階に配分すればよい。このために、補正パラメータ算出部12に、ユーザにより設定される、在場者(入館者/退館者)を各階に割り振る人数を受け付け取得する手段を設けてもよい。
また、本実施の形態では、建物には1台のエレベーターかごのみが設置されているものとして説明したが、同じ場所に複数のかごが群管理されている場合、それらを個々に分けて考える必要はない。複数バンクが設置されている場合、階段とエレベーターとの位置関係によってエレベーター利用者と階段利用者との比率が変わってくる可能性があるので、学習モードではバンク毎に補正パラメータを算出し、推定モードではバンク毎に階間移動の人数を算出し、これらの人数を合算して各階の所在人数を推定するようにしてもよい。
また、前述した変形例は、後述する実施の形態にも適用してもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、6階建ての建物の最下階である1階に出入口がある場合を例にして説明した。本実施の形態においては、中間階(2階〜5階)のいずれかの階に出入口がある場合において出入口階以外の各階の所在人数を推定する場合について説明する。
本実施の形態における所在人数推定装置10の図2に示したハードウェア構成、図1に示した機能構成及び推定モードに関しては実施の形態1と同じでよい。本実施の形態は、補正パラメータを生成する学習モードにおいて、出入口が中間階に存在することに伴い補正パラメータを算出する処理(図3のステップ105)が多少異なってくる。以下、本実施の形態における補正パラメータを算出する処理について説明する。ここでは、3階のみに出入口があるものとして説明する。なお、実施の形態1と同様に、出入口階である3階には居室がなく入館者の目的階とならないものとする。
実施の形態1において説明したように、まず、補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報記憶部14に保存された乗降履歴情報及び入退館者数を参照して、出発階を3階、行先階を1,2,4〜6階とする図5(a)に対応する補正パラメータ情報を生成する。また、出発階を1,2,4〜6階、行先階を3階とする図5(b)に対応する補正パラメータ情報を生成する。
出入口のある3階との階間移動用の補正パラメータ情報を生成すると、続いて、図6に示した出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報の生成について説明する。
実施の形態1では、最下階の1階を出入口としていたので、図5に示した補正パラメータ情報の生成時に求めた補正パラメータを1階床〜5階床のUP/DOWN方向の補正パラメータとしてそのまま利用できた。しかしながら、中間階にある3階からは、3階から4階〜6階に上る(UP)方向の1階床〜3階床の移動、3階から2,1階に降りる(DOWN)方向の1階床〜2階床の移動及び6階から3階に降りる(DOWN)方向の3階床の移動に基づく補正パラメータしか得られていない。つまり、上る(UP)方向の1階床〜3階床の移動、降りる(DOWN)方向の1階床〜3階床の移動に基づく補正パラメータは、乗降履歴情報に基づき算出された、図5に示した出入口階との階間移動用の補正パラメータ情報から得ることはできる。しかしながら、図6におけるUP方向の4階床〜5階床の移動及びDOWN方向の4階床〜5階床の移動に基づく補正パラメータは、図5に示した補正パラメータ情報から得ることができない。このような場合、本実施の形態では、次のようにして4階床〜5階床のUP/DOWN方向の補正パラメータを算出する。
本実施の形態では、乗降履歴情報に基づき算出できない補正パラメータに対しては、乗降履歴情報に基づき算出した他の補正パラメータ、具体的には、図5に対応する、本実施の形態における出入口階との階間移動用の補正パラメータ情報から4階床〜5階床のUP/DOWN方向の補正パラメータを、UP/DOWN方向毎に移動距離(移動階床数)と補正パラメータとの関係を表す近似曲線(あるいは近似直線)を求める。
ところで、図6を参照すると、補正パラメータの値は、移動距離が長いほど小さくなり、また小さくなる比率は徐々に小さくなると考えられる。従って、補正パラメータは、次の式(1)で表される指数近似曲線で表現可能である。
y=aebx ・・・(1)
ここで、xは移動距離、yは補正パラメータ、eは自然対数の底、a,bは定数であり、この定数a,bを求めればよい。本実施の形態では、最小二乗法により、図5に対応する本実施の形態における補正パラメータ情報に含まれる移動距離xと補正パラメータyの値の組から定数a,bを求める。このとき、補正パラメータyの最小値は1.0(階段利用者が0人のとき)なので、補正パラメータの推定値が1.0を下回らないように、例えば、図5に対応する補正パラメータ情報から入手可能なxとyの値の組に、x=最大移動距離+1(本実施の形態の場合は最大移動距離が5階床なので、5+1=6)、y=1.0の組をダミーとして加えて最小二乗法により定数a,bを求める。
UP方向について1階床〜3階床の補正パラメータが図6(a)に示したとおりの値であれば、a=7.20、b=−0.38と算出される。つまりUP方向の指数近似曲線は、
y=7.20e-0.38x ・・・(2)
となる。
よって、UP方向について4階床の補正パラメータyは、式(2)にx=4を代入すると1.57、5階床の補正パラメータyは、式(2)にx=5を代入すると1.08と推定される。
同様に、DOWN方向について1階床〜3階床の補正パラメータが図6(b)に示したとおりの値であれば、a=15.57、b=−0.50と算出される。つまりDOWN方向の指数近似曲線は、
y=15.57e-0.50x ・・・(3)
となる。
よって、DOWN方向について4階床の補正パラメータyは、式(3)にx=4を代入すると2.11、5階床の補正パラメータyは、式(3)にx=5を代入すると1.28と推定される。
このように、出入口階以外の階間移動用の補正パラメータの全てを、出入口階との階間移動用の補正パラメータからそのまま得ることができなくても、出入口階との階間移動用の補正パラメータから推定により求めることができる。
なお、1階床の移動については階段利用人数が極端に多いために極端に高い値の補正パラメータが得られる場合がある。この場合に、移動距離が1階床のデータを用いて近似曲線を求めると推定結果が全体的に高い値となる近似曲線が得られる可能性がある。このため、この場合は、移動距離が1階床のデータを除いて近似曲線を求めることで推定精度を高めることが可能になる。
実施の形態3.
上記実施の形態1においては6階建ての建物の最下階である1階のみに出入口がある場合について、上記実施の形態2においては6階建ての建物の中間階である3階のみに出入口がある場合について、それぞれ説明した。本実施の形態においては、複数の階に出入口がある場合において出入口のみの階以外の各階の所在人数を推定する場合について説明する。なお、本実施の形態における所在人数推定装置10の図2に示したハードウェア構成、図1に示した機能構成に関しては実施の形態1と同じでよい。
本実施の形態は、補正パラメータを生成する学習モードにおいて、出入口が複数階に存在することに伴い補正パラメータを算出する処理(図3のステップ105)が多少異なってくる。以下、本実施の形態における補正パラメータを算出する処理について説明する。ここでは、1階と3階に出入口があるものとして説明する。ただ、1階には出入口だけ、3階には出入口に加えて居室があるものとする。
実施の形態1において説明したように、まず、補正パラメータ算出部12は、乗降履歴情報記憶部14に保存された乗降履歴情報及び入退館者数を参照して、出入口階を出発階及び行先階とする図5(a),図5(b)に対応する補正パラメータ情報を生成する。出入口階を1階とした場合の補正パラメータ情報は実施の形態1と同じでよいため、図5(a)及び図5(b)が得られることになる。なお、1階からの入館者が3階へ移動して3階の出入口からそのまま退館する移動はないことにする。つまり、1階から3階へ移動する者は3階の居室利用者となる。同様に、3階からの入館者が1階へ移動してそのまま退館する移動は考慮しないことにする。従って、3階から1階へ移動する者は、退館する直前は3階の居室利用者である。
出入口階を3階とした場合の補正パラメータ情報は、基本的には実施の形態2と同様に処理して求めるが、本実施の形態の場合、3階の出入口からの入館者がエレベーターを利用することなく3階の居室にそのまま移動する場合がある。また、3階を出発階とするエレベーター利用者は、3階の出入口からの入館者の場合と、3階の居室利用者の場合がある。従って、この移動を考慮して図5に対応する3階用の補正パラメータ情報を生成する必要がある。図10は、3階を出入口階とした場合における階間移動用の補正パラメータ情報のデータ構成例を示す図であり、1階を出入口階とした場合の図5に対応する。この図を参照しながら、3階を出入口階とした場合における階間移動用の補正パラメータ情報の生成について説明する。
まず、出発階を3階、行先階を2,4〜6階とする図5(a)に対応する補正パラメータ情報を生成する。3階を出発階とするエレベーター利用人数には、3階の出入口から入館してエレベーターに乗車する入館者の他に、3階出入口からではなく3階の居室からエレベーターに乗車した在場者が含まれる。そのため、乗降履歴情報を集計して図5(a)に対応する補正パラメータ情報を生成する際に、所定の割合(3階の居室からエレベーターに乗車する人数の割合)を差し引く。例えば、所定の割合として10%と予め設定されている場合、乗降履歴情報を集計して得たエレベーター利用人数から10%分を差し引いて設定する。例えば、3階から6階に移動したエレベーター利用人数が20人だとすると、この人数から10%を差し引いて18人が3階の出入口から入館して6階まで移動した人数とみなす。他の階も同様にしてエレベーター利用人数を算出する。この結果、各階への移動にエレベーターを利用した人数は合計35人となる。
なお、3階から出入口しかない1階へ移動する入館者はいないものとしているので、1階を行先階とする情報は図10(a)に設定されない。また、3階から3階の居室への移動にエレベーターは利用されないので3階を行先階とする情報は図10(a)に設定されない。
続いて、補正パラメータ算出部12は、入退館履歴データから入館者数を求めるが、ここでは125人の3階からの入館者がいたとする。125人の入館者は、各自の目的階に移動することになる。1階は居室がないため目的階とならない。本実施の形態においても便宜的に各階の居室規模が同等で同等の人数が在室可能であるものとして説明すると、2階から6階までの各階を目的階とする入館者は、それぞれ均等に25人ずつとなる。3階の居室へそのまま移動する入館者は図10(a)には表れてこないので図10(a)に示される合計人数は100(=125−25)人となる。
あるいは、所定の割合(他の階へ移動せずに3階の居室に入室した人の割合に相当)を差し引いて設定してもよい。例えば、所定の割合を予め40%と定めておき、求めた入館者数(例えば167人)から40%差し引いた値を合計人数(100人)として設定する。なお、ここでは便宜的に各階に25人ずつに割り振ったが、各階への割り振りについては上記実施の形態1と同様に任意に設定できる。
以上のようにして、各階へのエレベーター利用人数と移動した合計人数とが算出されると、実施の形態1と同様に、補正パラメータ算出部12は、合計人数からエレベーター利用人数を減算して階段利用者を階毎に算出し、そして、(エレベーター利用者+階段利用者)÷エレベーター利用者、という計算式にて補正パラメータを階毎に算出する。例えば、6階の補正パラメータは、25÷18=1.39と算出できる。
続いて、3階を行先階とする図10(b)に示した補正パラメータ情報の生成について説明する。基本的には、3階を出発階とする場合と同様に算出すればよい。すなわち、3階を行先階とする在場者は、1階を除く他の階から3階に移動して3階の出入口から退館する者だけではなく、3階の居室に移動する者が存在しうる。従って、図10(a)の生成時に、3階の居室から他の階に移動する場合を考慮して、エレベーター利用人数を差し引いたのと同様に、ここでも乗降履歴情報から得られたエレベーター利用人数から、所定の割合(3階で降車して3階の居室に移動する人数の割合)を差し引いた人数をエレベーター利用人数として設定する。図10(b)では、3階を出発階とする場合と同様に所定の割合として10%が設定されている場合のエレベーター利用人数が示されている。前述したように、1階から入館してそのまま3階から退館するという移動は考慮しないので、図10(b)には含まれていない。
続いて、補正パラメータ算出部12は、入退館履歴データから退館者数を求めるが、ここでは125人の3階からの退館者がいたとする。125人の退館者中には、1階を除く他の階から移動してきて3階から退館した在場者の他に、3階の居室から退館する在場者が存在する。本実施の形態においても便宜的に各階の居室規模が同等で同等の人数が在室可能であるものとして説明すると、1階を除く他の階から移動してきて退館する在場者は、それぞれ均等に25人ずつとなる。3階の居室からの退館者は図10(b)には表れてこないので図10(b)に示される合計人数は100(=125−25)人となる。
あるいは、所定の割合(3階の居室から退館した人の割合に相当)を差し引いて設定してもよい。例えば、所定の割合を予め20%と定めておき、求めた退館者数(例えば、125人)から20%差し引いた値を合計人数(100人)として設定する。なお、ここでは便宜的に各階に25人ずつに割り振ったが、各階への割り振りについては上記実施の形態1と同様に任意に設定できる。
補正パラメータ算出部12は、以上のようにして出入口のある1階及び3階それぞれの階間移動用の補正パラメータ情報を生成すると、続いて、図6に対応する出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報を生成する。基本的には、実施の形態1と同様に出入口階との階間移動用の補正パラメータ情報を参照して生成することになるが、実施の形態1では、出入口が1つしかないため、出入口階との階間移動用の補正パラメータ情報をコピーするようにして出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報を生成した。本実施の形態では、2つの出入口があるため2組の補正パラメータ情報(図5,図10)が存在し、このためこれらの補正パラメータ情報を必要により合算して生成する必要がある。この合算により生成した補正パラメータ情報を図11に示すが、これは、次のようにして生成する。
まず、現在いる階から上の階に移動する階間移動(昇階時「UP」)について説明する。5階床の移動は、1階の出入口から入館して6階に移動する階間移動しかない。従って、図5(a)において行先階が6階に対応した補正パラメータ“1.11”を5階床の補正パラメータとして利用する。4階床の移動は、1階の出入口から入館して5階に移動する階間移動しかない。従って、図5(a)において行先階が5階に対応した補正パラメータ“1.25”を4階床の補正パラメータとして利用する。
3階床の移動は、1階の出入口から入館して4階に移動する階間移動と、3階の出入口から入館して6階に移動する階間移動と、が存在する。従って、図5(a)において行先階が4階に対応したエレベーター利用人数“35”と、図10(a)において行先階が6階に対応したエレベーター利用人数“18”と、を合算して“53”を得る。また、図5(a)において行先階が4階に対応した階段利用人数“15”と、図10(a)において行先階が6階に対応した階段利用人数“7”と、を合算して“22”を得る。そして、(エレベーター利用者+階段利用者)÷エレベーター利用者、という計算式に代入して補正パラメータ“1.42”を算出する。
2階床の移動は、1階の出入口から入館して3階に移動する階間移動と、3階の出入口から入館して5階に移動する階間移動と、が存在する。従って、図5(a)において行先階が3階に対応したエレベーター利用人数“25”と、図10(a)において行先階が5階に対応したエレベーター利用人数“10”と、を合算して“35”を得る。また、図5(a)において行先階が3階に対応した階段利用人数“25”と、図10(a)において行先階が5階に対応した階段利用人数“15”と、を合算して“40”を得る。そして、上記計算式に代入することで補正パラメータ“2.14”を算出する。
1階床の移動は、1階の出入口から入館して2階に移動する階間移動、3階の出入口から入館して4階に移動する階間移動、及び2階から3階に移動して退館する階間移動が存在する。従って、図5(a)において行先階が2階に対応したエレベーター利用人数“5”と、図10(a)において行先階が4階に対応したエレベーター利用人数“5”と、図10(b)において出発階が2階に対応したエレベーター利用人数“2”と、を合算して“12”を得る。また、図5(a)において行先階が2階に対応した階段利用人数“45”と、図10(a)において行先階が4階に対応した階段利用人数“20”と、図10(b)において出発階が2階に対応した階段利用人数“23”と、を合算して“88”を得る。そして、上記計算式に代入することで補正パラメータ“8.33”を算出する。
このように、出入口階との階間移動用の補正パラメータ情報を参照して、UP方向の出入口以外の階間移動用の補正パラメータ情報を生成する。
現在いる階から下の階に移動する階間移動(降階時「DOWN」)についても同様に、例えば、6階から1階への移動しかない5階床の階間移動のような場合は、対応する補正パラメータを取得し、そのまま利用する。また、4階から1階及び6階から3階という複数の階間移動が存在する3階床の移動のような場合には、それぞれのエレベーター利用人数及び階段利用人数をそれぞれ合算して補正パラメータを算出する。
本実施の形態では、以上のようにして、UP/DOWN両方向の出入口以外の階間移動用の補正パラメータ情報を生成する。
次に、推定モードによる所在人数推定装置10の動作について説明する。本実施の形態における推定モードにおける処理手順は、実施の形態1の図7に示したフローチャートに示した手順と同じでよいが、出入口が複数階に存在することに伴い各階の所在人数を推定する処理(図7のステップ114)が多少異なってくる。本実施の形態では、図5,10,11に示した補正パラメータ情報を参照し、図12に示したエレベーター利用者の人数を次のように補正してエレベーター利用者及び階段利用者を含む各階の所在人数を推定する。この補正後の階間移動の状況を示す階間移動人数テーブルを図13に示す。
例えば、6階から1階下の5階までのエレベーター利用者は1人であるが、これに対応する補正パラメータは、出入口階との階間移動ではなく、また降りる方向への移動なので、図11(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる、1階床に対応する補正パラメータ“12.50”である。従って、エレベーター利用者“1”に補正パラメータ“12.50”を乗算することでエレベーター利用者及び階段利用者を含む6階から5階への階間移動をした在場者は13人と算出される。なお、ここでは四捨五入して人数を特定する。同様に、6階から4階や2階までの移動は、出入口階との階間移動ではなく、また降りる方向への移動なので、図11(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる“3.95”、“1.25”を用いて、2×3.95=8、14×1.25=18、とそれぞれ階間移動人数を算出する。一方、6階から1階までの移動は、出入口階との階間移動であり、また降りる方向への移動なので、図5(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる“1.11”を用いて、25×1.11=28、と階間移動人数を算出する。
6階から3階までの移動は、出入口階との階間移動であり、また降りる方向への移動なので、図10(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる“1.39”を用いて、9×1.39=13、と階間移動人数を算出する。ところで、6階から3階へ移動する在場者は、退館するとは限らず3階の居室に移動する場合もありうる。居室へ移動する場合を考慮すると、出入口階以外の階間移動用の補正パラメータ情報(図11(b))を用いることも考えられるが、本実施の形態では、居室移動あるいは退館という移動目的を考慮せずに、出入口階である3階への移動として図10(b)に示した補正パラメータ情報を用いることにする。
これと同様に、3階から1階までの移動は、3階の居室から1階の出入口までの移動と考えて、図5(b)に示した補正パラメータ情報に含まれる“4.17”を用いて、5×4.17=21、と3階から1階への階間移動をした人数を算出する。
以上のようにして、エレベーター利用者及び階段利用者を含む階間移動の人数を算出すると、所在人数推定部13は、実施の形態1と同様に各階において行先階の人数から出発階の人数を減算することで当該階の所在人数を算出する。例えば、6階を行先階として移動してきた人数は114人で、そのうち80人が6階を出発階として移動していったのだから、現時点では6階には114−80=34人の在場者が所在していると推定できる。他の2,4,5階においても同様に計算することで各階の所在人数を推定できる。
これに対し、3階の所在人数は、前述したような計算に従うと67−53=14人と計算される。しかしながら、階間移動人数はエレベーター利用者の人数に基づき算出しているので、3階に関してはそもそもエレベーターを利用しないで入退館する者、すなわち3階の出入口から入館して3階の居室へ移動する者及び3階の居室から退室して3階の出入口から退館する者の人数に関しては、エレベーター利用者の人数だけから上記計算方法では導出できない。そこで、3階に関しては、次のように推定する。
図13に示した階間移動人数テーブルから得られる3階を出発階とする人数(53人)は、
a.3階の居室から退室して他の階へ移動した人数
b.3階の出入口から入館して他の階へ移動した人数
の合算である。このうち、aは学習モードで予め設定しておく、所定の割合(3階の居室からエレベーターに乗車する人数の割合)を用いて推定する。上記説明では所定の割合を10%と設定していたので、この10%を用いると、a=53×10%=5人と推定される。aが求まると、bはその差分で求まるので、b=53−5=48人と推定される。
ところで、3階の出入口からの入館者の一部は、他の階へ移動せずに3階の居室に移動したと考えられる。
c.3階の出入口から入館して3階の居室に移動した人数
この人数cを、b(=48)と所定の割合(他の階へ移動せずに3階の居室に入室した人の割合)を用いて推定する。上記説明では所定の割合を40%と設定していたので、この40%を用いると、b:c=(100−40):40、すなわち、c=32人と推定される。
次に、図13に示した階間移動人数テーブルから得られる3階を行先階とする人数(67人)は、
d.他の階から移動して3階の居室に入室した人数
e.他の階から移動して3階の出入口から退館した人数
の合算である。このうち、dは学習モードで予め設定しておく、所定の割合(3階で降車して3階の居室に移動する人数の割合)を用いて推定する。上記説明では所定の割合を10%と設定していたので、この10%を用いると、d=67×10%=7人と推定される。dが求まると、eはその差分で求まるので、e=67−7=60人と推定される。
ところで、3階の出入口からの退館者の一部は、他の階からではなく3階の居室を退室してそのまま3階の出入口から退館したと考えられる。
f.3階の居室を退室して3階の出入口から退館した人数
この人数fを、e(=60)と所定の割合(3階の居室から退館した人の割合)を用いて推定する。上記説明では所定の割合を20%と設定していたので、この20%を用いると、e:f=(100−20):20、すなわち、f=15人と推定される。
以上の推定結果を参照に、3階の居室の出入り人数を推定する。まず、3階の居室への入室人数は、c+d=32+7=39人と推定される。また、3階の居室からの退室人数は、a+f=5+15=20人と推定される。
従って、3階の所在人数は3階の居室の在室人数に等しいので、39−20=19人と推定される。