JP2016074101A - 液体吐出装置 - Google Patents

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亨 丹生
秀俊 児玉
Hidetoshi Kodama
秀俊 児玉
小池 良和
Yoshikazu Koike
良和 小池
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Abstract

【課題】上流側ローラー対及び下流側ローラー対を含む搬送系の偏心により回転検出部からの出力パルスの間隔がばらついても、この出力パルスから生成される吐出タイミング信号による液体吐出ヘッドの吐出タイミングを適切に制御できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】搬送ローラー対を構成する駆動ローラーと、排出ローラー対を構成する駆動ローラーとの回転比は、1対N(但しNは自然数)となっている。搬送ローラー対の駆動ローラーの端部に設けられたエンコーダーからの出力パルスを基に吐出タイミング信号が生成される。印刷制御部81は、回転位置に基づき補正データCDを参照して取得した補正値を補正値設定部82に設定する。吐出タイミング信号生成部83は、エンコーダー59からのエンコーダーパルス信号ESとクロック信号CKとに基づいて生成した基準パルスを補正値に応じた出力タイミングにずらして吐出タイミング信号PTSを生成する。
【選択図】図10

Description

本発明は、用紙等の媒体に対して相対的に往復移動しつつ、複数のノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
従来から、用紙等の媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置として、液体吐出ヘッドの複数のノズルからインク(液体の一例)を吐出することで用紙等の媒体に印刷を行うインクジェット式プリンター(以降、単に「プリンター」ともいう。)が広く知られている。こうしたプリンターの中には、液体吐出ヘッドを用紙の搬送方向に挟んだ上流側と下流側の両側に搬送ローラー対を配置し、上流側と下流側の搬送ローラー対によって用紙を挟んだ状態で両ローラー対を回転させることで媒体の搬送が行われるローラー方式の搬送装置を備えたものが知られている(例えば特許文献1、2等)。
この種のプリンターでは、搬送装置を構成する上流側と下流側の両ローラー対の各駆動ローラーに、電動モーター等の動力源の動力が輪列を介して上流側ローラー対と下流側ローラー対とに伝達される。よって、上流側の搬送ローラー対と下流側の排出ローラー対は輪列を介して所定の駆動比で連結されている。
また、一方のローラー対(例えば搬送ローラー対)を構成する駆動ローラーの端部にはロータリーエンコーダーが設けられ、ロータリーエンコーダーの出力信号から液体吐出ヘッドからの液体の吐出タイミングを決める吐出タイミング信号が生成される。液体吐出ヘッドからは吐出タイミング信号に基づく吐出タイミングで液体が吐出される。
また、例えば特許文献2に記載のプリンター(記録装置)では、記録媒体の搬送に関与するローラーの種類や個数に応じて搬送誤差補正を行う。記録媒体の搬送に関与するローラーは、固有の偏心量を持ち、それぞれ記録される画像の画質に影響与えることがある。そこで記録媒体上を、搬送に関与するローラーの個数及び組み合わせに応じた領域に分け、それぞれの領域で搬送誤差を検出可能なパターンを記録し、それぞれのパターンから算出された搬送誤差の補正値を反映させて記録媒体を搬送するようにする。
特開2011−240650号公報 特開2012−101547号公報
ところで、特許文献1及び2に記載の搬送系を構成するローラー対の駆動ローラーが偏心している場合がある。この種の偏心があると、ローラーが1回転する間にロータリーエンコーダーから出力されるパルスの間隔がばらつくことになる。この種のパルス間隔のばらつきがあると、ロータリーエンコーダーの出力信号を基に生成される吐出タイミング信号のパルスもばらつくことになる。この場合、媒体の搬送速度が例えば一定であっても、液体吐出ヘッドからの吐出タイミングの時間間隔が搬送系の偏心に起因してばらつくため、印刷品質が低下するという問題があった。
なお、液体吐出装置は、ラインプリンターとシリアルプリンターのどちらにおいても、液体吐出ヘッドから吐出される液体の吐出時間間隔のばらつきに起因し、印刷位置精度が低下するという概ね同様の課題がある。
本発明の目的は、上流側ローラー対及び下流側ローラー対を含む搬送系の偏心により回転検出部からの出力パルスの間隔がばらついても、この出力パルスから生成される吐出制御信号による液体吐出ヘッドの吐出タイミングを適切に制御できる液体吐出装置を提供する。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドよりも搬送方向の上流側に配置された上流側ローラー対と、液体吐出ヘッドよりも搬送方向の下流側に配置された下流側ローラー対と、前記上流側ローラー対及び下流側ローラー対のうち一方の駆動ローラーである第1ローラーの回転位置を検出する回転検出部と、前記回転検出部の出力信号から生成した吐出制御信号を用いて前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する制御部と、を備え、前記第1ローラーと、前記上流側ローラー対及び下流側ローラー対のうち前記第1ローラーを備えた側ではない他方の駆動ローラーである第2ローラーとの回転比は、1対N(但しNは自然数)に設定され、前記制御部は、吐出制御信号を前記第1ローラーの回転位置に応じて補正して前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する。
この構成によれば、第1ローラーと第2ローラーとの回転比は、1対N(但しNは自然数)に設定されており、媒体は、上流側ローラー対と下流側ローラー対とうち少なくとも一方にニップされた状態で搬送される。制御部は、第1ローラーの回転位置を検出する回転検出部の出力信号から生成した吐出制御信号に基づき液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する。このとき、制御部は、吐出制御信号を第1ローラーの回転位置に応じて補正して液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する。よって、上流側ローラー対と下流側ローラー対とを含む搬送系の偏心により回転検出部からの出力パルスの間隔がばらついても、この出力パルスから生成される吐出制御信号が第1ローラーの回転位置に応じて補正されることで、液体吐出ヘッドの吐出タイミングを適切に制御できる。この結果、液体吐出ヘッドから適切な吐出タイミングで液体を吐出することができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記回転位置と、前記第1ローラーと前記第2ローラーとを含む搬送系の偏心による前記回転検出部の出力信号のパルスのずれに起因する吐出タイミングのずれを補正する補正値との対応関係を示す補正情報を参照して、前記回転位置に応じた補正量を取得することが好ましい。
この構成によれば、制御部は、補正情報を参照し、回転検出部により検出された回転位置に対応する補正量を取得し、この補正量で吐出制御信号を補正して吐出タイミングを制御する。よって、搬送系のローラー等に偏心があっても、液体吐出ヘッドから適切な吐出タイミングで液体を吐出させることができる。
なお、上記液体吐出装置において、前記補正情報は、搬送方向に搬送される媒体に印刷したテストパターンのピッチのずれ量の測定結果に基づいて当該ずれ量を低減又は解消することが可能な補正値を前記第1ローラーの異なる回転角ごとに求め、当該回転角と前記補正値とを対応付けたテーブルデータであることが好ましい。また、上記液体吐出装置において、前記上流側ローラー対及び下流側ローラー対は共通の動力源の動力で駆動されることが好ましい。さらに上記液体吐出装置において、前記動力源は少なくとも前記液体吐出ヘッドから液体を吐出して行われる記録動作中に一定速度に駆動制御されることが好ましい。
また、上記液体吐出装置では、前記回転検出部が設けられた前記第1ローラーは、前記第2ローラーよりも媒体に対する外周面の摩擦係数が大きいことが好ましい。
この構成によれば、第1ローラーの外周面の相対的に大きな摩擦係数により媒体は、第2ローラーで必要に応じて滑りつつ、第1ローラーの回転とほぼ同速度で搬送される。そして、媒体の搬送速度により近い側の回転速度で回転する第1ローラーに回転検出部が設けられているので、媒体とローラーとの間の滑りの影響をさほど受けず、吐出タイミングをより適切に制御できる。
上記液体吐出装置では、前記回転検出部が設けられた前記第1ローラーは、前記上流側ローラー対を構成する駆動ローラーであることが好ましい。
この構成によれば、回転検出部は上流側ローラー対を構成する駆動ローラーの回転を検出するので、媒体を上流側ローラー対でニップして送りつつ、下流側ローラー対に媒体が僅かに滑りつつ搬送された場合でも、媒体とローラーとの間の滑りの影響をさほど受けず、吐出タイミングをより適切に制御できる。
上記液体吐出装置では、媒体は、搬送過程において、前記上流側ローラー対と前記下流側ローラー対とのうち、前記上流側ローラー対だけにニップされて搬送される第1搬送過程と、前記上流側ローラー対と前記下流側ローラー対との両方にニップされて搬送される第2搬送過程と、前記下流側ローラー対だけにニップされて搬送される第3搬送過程とをとり、前記制御部は、前記第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、前記吐出タイミングを補正することが好ましい。
この構成によれば、制御部は、媒体の第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、吐出制御信号を補正して適切な吐出タイミングに制御する。よって、媒体における少なくとも2つの搬送過程に対応する少なくとも2つの領域での印刷品質が向上する。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、媒体の第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、異なる補正情報を参照して前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを補正することが好ましい。
この構成によれば、媒体の第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、液体吐出ヘッドの吐出タイミングが異なる補正情報を参照して補正される。よって、各搬送過程に応じた適切な吐出タイミングに補正され、一層高い印刷品質で印刷を行うことができる。
上記液体吐出装置では、前記第1ローラーと前記第2ローラーとの間で動力を伝達する動力伝達機構は、前記第1ローラーに一体回転可能に設けられた第1ギアと、前記第2ローラーに一体回転可能に設けられた第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとの間に介在する一つ以上のアイドルギアとを備え、少なくとも一つの前記アイドルギアの歯数と前記第1ギアの歯数とは、1対M(但しMは自然数)の比に設定されていることが好ましい。
この構成によれば、少なくとも一つのアイドルギアの歯数と、第1ローラーに設けられた第1ギアの歯数とは、1対M(但しMは自然数)の比に設定されているので、アイドルギアの偏心分も補正した適切な吐出タイミングに制御できる。
一実施形態におけるプリンターを示す模式側断面図。 印刷ヘッド及び搬送系を示す模式側面図。 搬送系の動力伝達機構を示す模式側面図。 搬送ローラー対及び排出ローラー対を含む搬送系を示す斜視図。 エンコーダーを示す模式側面図。 補正テーブルを示す模式図。 (a)〜(c)は用紙の第1〜第3搬送過程を示す模式側面図。 用紙における搬送過程の異なる各領域を示す模式平面図。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 吐出制御装置の電気的構成を示すブロック図。 用紙に印刷されたテストパターンを示す模式平面図。 テストパターン印刷時における吐出タイミング信号と、補正後の吐出タイミング信号とを示す信号波形図。 吐出タイミング信号の生成方法を説明する信号波形図。 吐出制御ルーチンを示すフローチャート。 変形例における搬送系の動力伝達機構を示す模式図。
以下、液体吐出装置の一実施形態として、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出部を備え、媒体の一例である用紙にインクを吐出して文書や画像を印刷するインクジェット式のプリンターについて、図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体吐出装置の一例としてのプリンター11は、略直方体の筐体12と、図1に一点鎖線で示す搬送経路13に沿って用紙14を搬送する搬送部15とを備える。筐体12内には、搬送経路13の途中に位置する印刷領域16の下側に配置されて用紙14の印刷される部分を支持する支持台17と、支持台17に対して印刷領域16を挟んで対向して位置し搬送中の用紙14に液体の一例としてのインクを吐出する液体吐出部18とが設けられている。
液体吐出部18は、印刷領域16における用紙14の搬送方向Yと交差する幅方向に亘ってインクを同時に吐出可能な所謂ラインヘッドであって、支持台17に支持された状態で通過する用紙14に向かってインクを吐出することにより印刷を行う。
搬送経路13は、筐体12の底部に挿抜可能に備えられた給送カセット27内に積層された用紙14のうちピックアップローラー28により送り出された最上位の用紙14を印刷領域16まで供給する第1供給経路21を備える。第1供給経路21へ送り出された用紙14は、分離ローラー29により1枚ずつ分離された後、供給ローラー対31により送られ、印刷領域16まで給送される。
また、搬送経路13は、筐体12の一側面に備えられたカバー12aを開けることによって露出する挿入口12bから挿入された用紙14を、印刷領域16まで給送する第2供給経路22を備える。挿入口12bから挿入された用紙14は供給ローラー対32により印刷領域16に向かって給送される。
さらに、図1に示すように、第1供給経路21と第2供給経路22とが合流した位置と印刷領域16との間には、供給ローラー対33と搬送ローラー対34とが設けられている。
また、印刷領域16よりも搬送方向Yの下流側には、排出ローラー対35が設けられている。印刷済みの用紙14は、この排出ローラー対35と、印刷領域16と排出口38とを結ぶ排出経路23に沿って排出ローラー対35よりも下流側に設けられた複数の排出ローラー対36との回転により搬送された後に排出口38から排出され、載置台39に載置される。なお、載置台39を備えず、排出ローラー対35を通った印刷後の用紙14が筐体12の排出側の一側部に開口する排出口を通って排出され、排出された印刷後の用紙14を排出トレイで受ける構成でもよい。
さらに、本実施形態のプリンター11は両面印刷が可能である。両面印刷時には、排出ローラー対35よりも下流側に排出された印刷後の用紙14は分岐機構40により分岐経路24へ送られる。分岐経路24には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐ローラー対41が設けられている。印刷領域16を一旦通過した印刷後の用紙14は、分岐ローラー対41の正転により分岐経路24へその後端まで送られた後、分岐ローラー対41の逆転によりその後端が反転経路25へ案内され、反転経路25に沿って設けられた複数のローラー対42により反転経路25を経由して搬送される。この搬送の結果、用紙14は表裏が反転した状態で第1供給経路21及び第2供給経路22の合流点付近で合流し、さらにローラー対33,34により印刷領域16へ再供給される。このため、用紙14は、非印刷面が液体吐出部18と対向する状態で再供給され、液体吐出部18により非印刷面への印刷が施される。
図1に示す排出ローラー対35は、駆動ローラー45と歯付きローラー46とにより構成されている。排出ローラー対35以外にも、排出経路23、分岐経路24及び反転経路25には、他のローラー対36,41,42の駆動ローラーと対をなす歯付きローラー47と、これらの経路23,24,25に沿った複数の箇所に単独でも設けられた歯付きローラー47も存在する。各歯付きローラー46,47は、排出経路23、分岐経路24及び反転経路25において、用紙14の印刷が施された面である印刷面(インク付着面)が通過する側に設けられている。
本実施形態では、ピックアップローラー28、分離ローラー29、供給ローラー対31,32が給送モーター58(図9参照)の動力で駆動される。供給ローラー対33、搬送ローラー対34及び排出ローラー対35が搬送モーター63(図4参照)の動力で駆動される。なお、両面印刷のために用紙14を反転させる分岐機構40、分岐ローラー対41及びローラー対42も搬送モーター63により駆動される。
図2に示すように、本実施形態では、搬送方向Yに支持台17を挟んだ両側には、搬送ローラー対34と排出ローラー対35とが設けられている。支持台17に対して上流側に設けられた搬送ローラー対34は、動力源の一例としての搬送モーター63(図4参照)の動力に基づいて回転する円筒状の駆動ローラー50(例えばスマップローラー)と、駆動ローラー50の回転に伴って連れ回りする従動ローラー51とにより構成されている。また、排出ローラー対35は、同じく搬送モーター63の動力に基づいて回転する円筒状の駆動ローラー45と、駆動ローラー45の回転に伴って連れ回りする歯付きローラー46とにより構成されている。この歯付きローラー46に対して搬送方向Yの上流側と下流側には同様の歯付きローラー47が複数個設けられている。液体吐出部18は支持台17の支持面17aと所定のギャップを隔てて対向する状態で配置された印刷ヘッド48を有している。印刷ヘッド48の支持台17と対向する面が、ノズルが開口するノズル開口面となっている。なお、本実施形態では、搬送ローラー対34により上流側ローラー対が構成され、排出ローラー対35により下流側ローラー対が構成される。
搬送方向Yにおいて搬送ローラー対34と印刷ヘッド48との間の位置には、用紙14の印刷される面を押さえつつ連れ回りする小ローラー52が設けられている。また、搬送方向Yに印刷ヘッド48と排出ローラー対35との間に配置された歯付きローラー47は、用紙14の印刷後の部分を印刷面側から押さえて案内する。この小ローラー52と歯付きローラー47によりによって用紙14は支持台17の支持面17aと平行となるように案内される。このため、支持面17aに押さえ付けられた用紙14の部分には、印刷ヘッド48のノズルから所定のギャップを隔ててインク滴が吐出される。なお、供給ローラー対33は、搬送モーター63(図4参照)の動力に基づいて回転する円柱状の駆動ローラー53と、駆動ローラー53の回転に伴って連れ回りする従動ローラー54とにより構成されている。
また、搬送方向Yにおいて供給ローラー対33と搬送ローラー対34との間の位置には、用紙14の搬送方向Yにおける端部を検知可能な紙検出センサー55が設けられている。例えば紙検出センサー55が用紙14の先端を検知したときの用紙14の位置を基準(原点)にして、その基準位置からの用紙14の搬送距離をカウンター(図示せず)で計数することでその計数値から用紙14の現在の位置(搬送位置)が把握される。例えば用紙14の先端が紙検出センサー55に検知されてからその用紙14の印刷開始位置に対応する所定の搬送距離だけ搬送されることで用紙14が印刷開始位置に到達し、印刷ヘッド48からのインク滴の吐出が開始される。
筐体12内には、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の複数色(例えば4色)のインクがそれぞれ収容された複数個(例えば4個)の不図示のインク収容体(例えばインクカートリッジ)が設けられている。液体吐出部18には、各インク収容体から複数色のインクが供給される。印刷ヘッド48のノズル開口面には、幅方向Xに一定のノズルピッチで配列された多数個のノズルにより構成されるノズル群がインク色ごとに形成されている。例えば幅方向Xに想定最大幅の用紙14の幅よりも若干広い範囲にノズルが配列されている。複数のノズル群からは、それぞれ対応するインク色のインクが吐出される。このため、想定最大幅の用紙14の幅分の複数ライン分の印刷を一回の吐出で実現可能である。なお、印刷ヘッド48が吐出可能なインク色は4色に限らず、3色、5〜8色でもよく、さらに黒1色でもよい。
印刷ヘッド48には、各ノズルと対応する複数の吐出駆動素子がノズル列毎にノズル数と同数内蔵されている。そして、ノズル列数分の複数の吐出駆動素子により吐出駆動素子群49(図10参照)が構成される。吐出駆動素子は、例えば圧電振動子又は静電駆動素子からなり、所定駆動波形の駆動パルス(電圧パルス)が印加されると、電歪作用又は静電駆動作用により、ノズルに連通するインク室の内壁部(振動板)を振動させて、インク室を膨張・圧縮(復元)させることによりノズルからインク滴を吐出させる。なお、吐出駆動素子としては、圧電駆動素子(ピエゾ素子)、静電駆動素子の他、インクを加熱して膜沸騰による気泡(バブル)の圧力を利用してノズルからインク滴を吐出させるヒータ素子などを挙げることができる。
図4に示すように、搬送ローラー対34を構成する駆動ローラー50は軸方向の両端部で一対の軸受57,67により回転可能な状態で支持されている。駆動ローラー50は、その表面が用紙14に当たるローラー部50aを有している。駆動ローラー50の一端部には回転検出部の一例としてのエンコーダー59が設けられている。エンコーダー59は例えばロータリーエンコーダーにより構成される。エンコーダー59は、円板状のスケール板60と、スケール板の1回転を検出する第1センサー61と、スケール板60の回転量に比例する数のパルスを出力可能な第2センサー62とを備えている。スケール板60は、駆動ローラー50の端部にこれと一体回転可能な状態で固定されている。第1センサー61及び第2センサー62は、筐体12内のフレームに支持された状態で所定位置に固定されている。このエンコーダーの詳細な構成は後述する。
図4に示すように、駆動ローラー50のエンコーダー59側と反対側となる端部にはギア64(歯車)が固定されている。ギア64の近傍には電動モーターからなる搬送モーター63が不図示のフレームに固定された支持板65に支持された状態で配設されている。搬送モーター63の駆動軸に固定されたピニオンギア66(駆動歯車)は、駆動ローラー50のギア64と噛合している。
また、排出ローラー対35を構成する駆動ローラー45は、軸方向の両端部で一対の軸受67により回転可能な状態で支持されている。駆動ローラー45は、軸方向に所定の間隔を開けて配置された複数の円環状のローラー部45aを有している。駆動ローラー45の端部にはギア68(歯車)が固定されている。ギア64,68との間には、軸部69aを中心に回転可能に支持されたアイドルギア69が介在している。アイドルギア69はその周方向の二箇所で各ギア64、68とそれぞれ噛合している。よって、搬送モーター63の回転は、そのピニオンギア66及びギア64を介して両ギア64,66のギア比に応じた回転速度に減速されて駆動ローラー50に伝達される。また、搬送モーター63の回転は、そのピニオンギア66、ギア64、アイドルギア69及びギア68を介して所定のギア比に減速されて駆動ローラー45に伝達される。
図3に示すように、駆動ローラー50と共に回転するにギア64の歯部64Tの歯数N1は、駆動ローラー45と共に回転するにギア68の歯部68Tの歯数N2と同じになっている(N1=N2)。駆動ローラー50と駆動ローラー45は同期して同じ回転速度で回転する。本例では、アイドルギア69の歯部69Tの歯数N3は、各駆動ローラー45,50のギア64,68の歯数N1,N2よりも多い。本例では、歯数N3は、歯数N1(=N2)の2〜3倍の範囲内の所定倍の数値に設定されている。
また、図3に示すように、搬送ローラー対34を構成する駆動ローラー50の外径D1(直径)すなわちローラー部50aの外径D1は、排出ローラー対35を構成する駆動ローラー45の外径D2(直径)すなわちローラー部45aの外径D2とほぼ同じになっている。詳しくは、駆動ローラー45の外径D2が、駆動ローラー50の外径D1よりも若干大きい。本例では、例えば外径D2が外径D1の約1.1倍に設定されている。つまり、駆動ローラー45の外周長が、駆動ローラー50の外周長よりも少し長くなっている。
また、ローラー部50aの表面の摩擦係数μ1は、ローラー部45aの表面の摩擦係数μ2よりも大きい。ローラー部50aの表面には、駆動ローラー50を構成する金属管(金属素管)の表面に無機材料又は金属材料からなる多数の粒子が分散された塗膜が形成されている。本例では粒子の一例としてアルミナ粒子等の無機材料粒子を用いている。このため、ローラー部50aの表面の用紙に対する摩擦係数μ1が相対的に大きくなっている。一方、ローラー部45aは合成樹脂製(例えばゴム製)のローラーにより構成され、その表面の摩擦係数μ2が摩擦係数μ1よりも小さい(μ1>μ2)。このため、搬送ローラー対34の送り力が、排出ローラー対35の送り力よりも強くなっている。なお、駆動ローラー50の表面の摩擦係数μ1をローラー部45aの表面の摩擦係数μ2よりも大きくする構成は、上記の粒子分散塗膜に替え、凹凸を形成するなどの表面加工により実現してもよい。
このため、搬送ローラー対34と排出ローラー対35の両方に用紙14をニップして搬送する場合、1周当たりの外周長が相対的に若干長くかつその外周面の摩擦係数μ2が相対的に小さい排出ローラー対35が用紙14に対して若干滑りつつ、両ローラー対34,35によって用紙14を搬送する。よって、このとき、用紙14は、搬送ローラー対34の駆動ローラー50の周速にほぼ等しい搬送速度で搬送される。
そして、駆動ローラー50と駆動ローラー45はそれぞれの一端部に設けられたギア64,68の歯数N1,N2が同じ(N1=N2)なので、アイドルギア69を介して同期して回転する。このため、駆動ローラー50が1回転すれば、駆動ローラー45も1回転する。
図5に示すように、スケール板60には、周方向の1箇所に原点検出用の矩形のパターンからなる原点パターン60aが周方向に所定幅で印刷されている。また、スケール板60には、原点パターン60aの形成位置と径方向に異なる位置(図5の例ではより外側の位置)に、周方向に一定ピッチで配列された複数の線状パターン60bが周方向全域に渡って例えば印刷により形成されている。スケール板60はその円環形状の基材が透明樹脂からなり、原点パターン60a及び線状パターン60bが光を遮ることができる非透光性のパターンとなっている。なお、線状パターン60bは、スケール板60の1周に例えば100〜1000の範囲内の所定数形成されている。
図5に示す第1センサー61及び第2センサー62は共に光学式センサーであり、それぞれスケール板60を挟む両側に発光素子と受光素子とを有している。第1センサー61は、スケール板60が駆動ローラー50と共に回転して原点位置に配置される度に、原点パターン60aで光が遮られることによって発生する原点パルスを含む原点検出用パルス信号を出力する。また、第2センサー62は、線状パターン60bを検出対象とし、スケール板60が駆動ローラー50と共に回転して、線状パターン60bに光を遮られる度にパルスを発生し、駆動ローラー50の回転量に比例する数のパルスを含むエンコーダーパルス信号ES(図10を参照)を出力する。なお、エンコーダー59のスケール板60の基材を不透明材料で構成し、原点パターン60a及び線状パターン60bに替えてスケール板60に光の透光が可能なスリット(孔)を形成してもよい。
ここで、ギア64が駆動ローラー50に対して偏心して組み付けられている場合がある。また、駆動ローラー50及び駆動ローラー45のうち少なくとも一方がそれぞれの許容誤差範囲内で軸受に対して偏心している場合がある。さらにエンコーダー59のスケール板60が駆動ローラー50に対して許容誤差範囲内で偏心している場合がある。これらの偏心があると、搬送モーター63が駆動されたときにピニオンギア66と噛合するギア64及び駆動ローラー50が共に偏心する状態で回転する。このときスケール板60は、駆動ローラー50に対して偏心する状態で回転する。一方、ギア64とアイドルギア69を介して回転伝達可能な状態で連結されているギア68は、駆動ローラー45に対して偏心して回転する。さらに駆動ローラー45の軸心が軸受67の軸心とずれていると、駆動ローラー45は偏心した状態で回転する。
このため、第1センサー61が1回転を検出した時から、スケール板60が偏心して1回転する間に第2センサー62から出力されるエンコーダーパルス信号のパルスの間隔は、たとえ搬送モーター63が一定回転速度で駆動されていても、駆動ローラー50の偏心及びスケール板60の偏心に応じて変化する。このとき、ローラー部50aの周速から決まる搬送速度は、偏心する駆動ローラー50が一回転する間に変化する。また、ローラー部45aの周速から決まる搬送速度は、駆動ローラー45が偏心する状態で一回転する間に変化する。このように用紙14の搬送速度は、搬送モーター63がたとえ一定速度で駆動されていても、各ローラー45,50等の偏心によってスケール板60が一回転する間に変化する。
また、エンコーダー59の第2センサー62が出力するエンコーダーパルス信号ESから、印刷ヘッド48のノズルからインク滴を吐出する吐出タイミングを決める吐出タイミング信号PTSが生成される。このため、吐出タイミング信号のパルスの間隔が偏心に起因するスケール板60の回転速度のばらつきの影響を受ける。
図7に示すように、印刷中の用紙14は、搬送過程における搬送ローラー対34と排出ローラー対35との位置関係によって、図7(a)〜(c)に示す3つの状態をとる。図7(a)では、用紙14が両ローラー対34,35のうち上流側の搬送ローラー対34にのみ挟持(ニップ)された状態で搬送ローラー対34の回転によって搬送される。このように搬送ローラー対34によってのみ用紙14が搬送される領域を「第1領域」と呼ぶことにする。また、図7(b)では、用紙14が両ローラー対34,35のうちの両方に挟持(ニップ)された状態で両ローラー対34,35の回転によって搬送される。このように両ローラー対34,35に用紙14が挟持された状態で搬送される領域を「第2領域」と呼ぶことにする。さらに図7(c)では、用紙14が両ローラー対34,35のうち下流側の排出ローラー対35にのみ挟持(ニップ)された状態で排出ローラー対35の回転によって搬送される。このように排出ローラー対35によってのみ用紙14が搬送される領域を「第3領域」と呼ぶことにする。
そして、図8に示すように、用紙14から見ると、用紙14が第1搬送過程にあるとき(図7(a))、用紙14は上流側の搬送ローラー対34にのみ挟持された片持ちの状態で搬送方向Yの先端側に位置する第1領域A1に印刷される。このとき、用紙14は搬送駆動ローラー50の周速と等しい搬送速度で搬送される。
また、用紙14が第2領域にあるとき(図7(b))、用紙14は上流側と下流側の両ローラー対34,35により搬送方向Yの二箇所で挟持された両持ちの状態で、搬送方向Yの中央部に位置する第2領域A2に印刷される。このとき、用紙14は搬送駆動ローラー50の周速と等しい搬送速度で搬送され、下流側の排出ローラー対35に挟持される部分で若干滑りながら搬送される。
さらに用紙14が第3領域にあるとき(図7(c))、用紙14は下流側の排出ローラー対35にのみ挟持された片持ちの状態で、搬送方向Yの後端側に位置する第3領域A3に印刷される。このとき、用紙14は排出駆動ローラー45の周速と等しい搬送速度で搬送され、第1及び第2搬送領域にあるときに比べ、若干高速な搬送速度で搬送される。
次に図9を参照してプリンター11の電気的構成について説明する。図9に示すように、プリンター11に備えられたコントローラー70は、コンピューター71、ヘッド駆動回路72及びモーター駆動回路73を備える。コンピューター71には、入力系として、操作部20、紙検出センサー55及びエンコーダー59等が接続されている。また、コンピューター71には、出力系としてヘッド駆動回路72が接続されている。ヘッド駆動回路72には印刷ヘッド48が接続されている。
モーター駆動回路73には、それぞれ給送モーター58及び搬送モーター63が接続されている。給送モーター58及び搬送モーター63は、それぞれの回転軸の回転速度に比例する周期でパルスを出力する回転パルス発生装置58a,63a(例えばロータリエンコーダー)を内蔵している。モーター駆動回路73は、回転パルス発生装置58aから入力するパルス信号に基づいて給送モーター58を一定速度に速度制御する。また、モーター駆動回路73は、回転パルス発生装置63aから入力するパルス信号に基づいて搬送モーター63を一定速度に速度制御する。なお、搬送モーター63が給送系の動力源を兼ねる構成とし、モーター駆動回路73が、搬送モーター63に内蔵された回転パルス発生装置63aから入力するパルス信号に基づいて搬送モーター63を一定速度に速度制御することで、給送系のローラー28,29、ローラー対31,32及び搬送系のローラー45,50,53等を駆動させてもよい。
モーター駆動回路73は指令値を出力することにより、モーター58,63に指令値に応じた駆動電圧を印加してモーター58,63をそれぞれ駆動制御する。本例では、指令値として例えばPWM(pulse width modulation)信号が出力され、各モーター58,63はPWM信号のデューティ比(PWM信号の周期に対するパルス幅の比)に応じた電流が流れることで速度制御される。
このとき、モーター駆動回路73は、回転パルス発生装置58a,63aからのパルス信号を基に取得した実速度を、速度制御データを参照して取得した目標速度に近づけるフィードバック制御演算を行ってその演算結果に基づいてモーター58,63をそれぞれ一定速度に速度制御する。この結果、用紙14は印刷モードに応じた一定速度で給送及び搬送される。なお、モーター駆動回路73によるモーター58,63の制御は、フィードバック制御に替え、フィードフォワード制御でもよい。
ここで、用紙14が一定速度で搬送されている過程で印刷ヘッド48のノズルからインク滴が一定の吐出周期で吐出される。コンピューター71は、エンコーダー59から入力する単位時間当たりの入力パルスのパルス周期に比例する吐出タイミングで印刷ヘッド48を吐出制御する。このため、用紙14には搬送方向Yに一定のドットピッチで印刷が施される。
また、図9に示す紙検出センサー55は、給送経路上の所定位置で用紙14の先端を検知し、その先端が検知されたときの位置が用紙14の搬送方向Yの位置(搬送位置)を計測する際の基準位置に用いられる。紙検出センサー55は、例えば光学式又は接触式のセンサーである。
エンコーダー59は、搬送ローラー対34を構成する搬送駆動ローラー50の回転量に比例する数のパルスを有するエンコーダーパルス信号ESを出力する。詳しくは、第1センサー61は、駆動ローラー50と共に回転するスケール板60が1回転する度に原点パターン60aを検出して1パルスからなる原点パルス信号を出力する。また、第2センサー62は、駆動ローラー50と共に回転するスケール板60が360度/M(但しMは線状パターンの本数)回転する度に1パルスを出力するエンコーダーパルス信号ESを出力する。よって、コンピューター71は、エンコーダー59を構成する各センサー61,62から入力する2種類の信号に基づき、第1センサー61から原点パルスを入力したときの駆動ローラー50の回転方向の位置(回転角)である原点位置(原点回転角)から、エンコーダーパルス信号ESのパルスエッジ数を計数する。コンピューター71は、この計数値から駆動ローラー50の1回転における原点を基準とする回転角を把握する。ここで、エンコーダーパルス信号ESを後述するASIC76(Application Specific IC(特定用途向けIC))内の回路で1/K倍(但しKは2以上の自然数)の周期のパルス信号に変換し、この変換後のパルス信号のパルスエッジを計数することで回転角に応じた計数値を取得してもよい。また、このパルス信号のパルスエッジ周期が印刷ヘッド48のノズルからインク滴を吐出する吐出周期となっており、このパルス信号に基づき印刷ヘッド48のノズルからのインク滴の吐出制御が行われる。
図9に示すように、コンピューター71は、CPU75、前述のASIC76、RAM77及び不揮発性メモリー78を備えている。CPU75は、不揮発性メモリー78に記憶された制御プログラム(例えばファームウェア用プログラム)を実行することにより、操作系、印刷系等の各種制御を司る。特に本実施形態では、CPU75が不揮発性メモリー78に記憶された図14に示す吐出制御ルーチンのプログラムを実行することにより、印刷ヘッド48の吐出制御を行う。また、RAM77には、印刷データ及びCPU75の演算結果などが一時的に記憶される。
また、図9に示すように、不揮発性メモリー78には、図14にフローチャートで示される吐出制御ルーチンのプログラムPRが記憶されている。また、図9に示す不揮発性メモリー78には、印刷ヘッド48のノズルからインク滴を吐出する吐出タイミングを決める吐出タイミング信号PTSをヘッド駆動回路72へ入力するタイミング、すなわち印刷ヘッド48のノズルからインク滴を吐出するタイミングを補正するための補正データCDが記憶されている。
図6はこの補正データCDの詳細を示す。図6に示すように、補正データCDは、用紙14が搬送過程で順番にとりうる図7(a)〜(c)に示す第1〜第3搬送過程ごとに用意された第1〜第3補正テーブルCD1〜CD3を備えている。すなわち、用紙14が図7(a)に示す第1搬送過程にあるときに用いられる第1補正テーブルCD1と、用紙14が図7(b)に示す第2搬送過程にあるときに用いられる第2補正テーブルCD2と、用紙14が図7(c)に示す第3搬送過程にあるときに用いられる第3補正テーブルCD3とが用意されている。各補正テーブルCD1〜CD3は、基準パルスのカウント数と補正値との対応関係が示されたテーブルデータである。ここで、基準パルスは吐出タイミング信号PTSと同周期のパルス信号である。
コンピューター71は、エンコーダー59の第1センサー61からの原点信号のパルス入力時点に、その内部の不図示の第1カウンターをリセットする。そして、第2センサー62からのエンコーダーパルス信号ESに基づきコンピューター71が内部の回路で生成した基準パルスを入力する度に第1カウンターがその計数値を「1」ずつ加算し、リセット時点から入力した基準パルスのパルス数を計数する。各補正テーブルCD1〜CD3における基準パルスの値は、この第1カウンターの計数値に相当する。スケール板60が原点検出時点から1回転する間に、基準パルスの値は、「0」から「Pk」まで変化する。つまり、各補正テーブルCD1〜CD3は、エンコーダー59が端部に固定された駆動ローラー50が1回転する範囲で設定され、駆動ローラー50の1回転ごとに繰り返し使用される。
そして、各補正テーブルCD1〜CD3には、基準パルスのカウント数と対応付けて補正値が設定されている。すなわち、補正テーブルCD1には、基準パルスのカウント数「0,1,2,…,Pk」と対応付けて補正値「a0,a1,a2,…,ak」が設定されている。補正テーブルCD2には、基準パルスのカウント数「0,1,2,…,Pk」と対応付けて補正値「b0,b1,b2,…,bk」が設定されている。さらに補正テーブルCD3には、基準パルスのカウント数「0,1,2,…,Pk」と対応付けて補正値「c0,c1,c2,…,ck」が設定されている。補正テーブル中の各補正値は、搬送系の駆動ローラー45,50の軸受57,67の軸線に対する偏心、及び駆動ローラー50の軸心に対するエンコーダー59の組み付け位置の偏心に起因する吐出タイミングのずれを補正するために用いられる。
次に図10を参照して、コンピューター71内に構築され、インクの吐出タイミングを制御する吐出制御装置80の構成を説明する。図10に示すように、吐出制御装置80は、印刷制御部81、不揮発性メモリー78、補正値設定部82、吐出タイミング信号生成部83、ヘッド駆動回路72及び吐出駆動素子群49などを備えている。
印刷制御部81は、プリンター11の操作系、印刷系などの各種制御を統括的に司る主制御部91と、不揮発性メモリー78に格納された補正データCDを参照して搬送駆動ローラー50の回転位置(回転角)を示す基準パルスのカウント値に対応する補正値を取得する補正部92とを備えている。さらに印刷制御部81は、吐出駆動素子にインク滴を吐出させる際に印加される駆動パルスを生成する駆動パルス生成部93を備えている。
主制御部91は、操作部20等の操作系、紙検出センサー55等の検出系、印刷ヘッド48、給送モーター58及び搬送モーター63等の駆動系を制御する。主制御部91は、印刷データから取得した各種のコマンドによりモーター58,63を制御し、印刷ジョブデータから取得した印刷画像データ(ラスターデータ)に印刷ヘッド48で制御可能な形式に変換するなどの所定の処理を施した後にこの処理後の印刷画像データをヘッド駆動回路72に出力する機能を有している。
補正部92は、駆動ローラー50の原点を基準とする回転位置を管理する前述の第1カウンターと、用紙14が第1〜第3搬送過程のうちどの搬送過程にあるか判断するために必要な用紙14の搬送位置を管理する不図示の第2カウンターとを有する位置管理部94を備えている。第1カウンターは、基準パルスのパルス数を計数して駆動ローラー50の原点からの回転位置(回転角)に相当するカウント値を計数する。また、第2カウンターは、用紙14の先端が紙検出センサー55に検知された時にリセットされてからエンコーダーパルス信号ESのパルス数を計数することで用紙14の搬送過程における搬送位置に相当する計数値を計数する。位置管理部94は、第2カウンターの計数値で示される搬送位置から用紙14が第1〜第3搬送過程のうちいずれの搬送過程にあるかどうかを判定する。そして、補正部92は、不揮発性メモリー78に用意された第1〜第3補正テーブルCD1〜CD3のうちそのとき用紙14の搬送過程に対応する一つを選択する。
補正部92は、用紙14が第1搬送過程にあれば第1補正テーブルCD1を選択し、第2搬送過程にあれば第2補正テーブルCD2を選択し、さらに第3搬送過程にあれば第3補正テーブルCD3を選択する。そして、補正部92は、用紙14が属する搬送過程に応じて選択した補正テーブルを参照し、そのときの駆動ローラー50の回転角に応じた補正値を取得する。そして、補正部92は、取得した補正値を補正値設定部82に設定する。補正値設定部82は、例えば不図示のレジスターを内蔵し、印刷制御部81がレジスターに補正値を格納することで、補正値が設定される。
吐出タイミング信号生成部83は、エンコーダー59からのエンコーダーパルス信号ES及びクロック信号CKを入力するとともに補正値設定部82から補正値を入力し、印刷ヘッド48の吐出タイミングを決定する吐出タイミング信号PTSを、補正値に応じたタイミングで生成する。吐出タイミング信号生成部83は、エンコーダー59から入力したエンコーダーパルス信号ESを基にこれよりパルス周期の短い基準パルスSP(図13参照)を生成する第一信号生成部と、基準パルスSPよりもパルス周期の十分短い補正計数用パルスCP(図13参照)を生成する第二信号生成部(いずれも図示せず)とを備える。さらに、吐出タイミング信号生成部83は、基準パルスSPと補正計数用パルスCPとを入力するディレイカウンター95を備える。ディレイカウンター95には、補正値設定部82からの補正値(ディレイカウント値)が目標値として設定される。ディレイカウンター95は、図13に示すように、基準パルスSPをトリガーとして補正計数用パルスCPの計数を開始してその計数値が補正値に達すると、吐出タイミング信号PTSをヘッド駆動回路72に出力する機能を有している。よって、吐出タイミング信号生成部83は、基準パルスSPに対して補正値設定部82に設定された補正値に応じた分だけ遅れたタイミングで吐出タイミング信号PTSを出力する。
以下、上記の機能構成部分の詳細を説明する。
印刷制御部81は、ヘッド駆動回路72に対して印刷ヘッド48のノズルからインクを吐出する吐出制御に必要な印刷画像データ及びコマンドを、例えば印刷ヘッド48から同時に駆動される所定のライン数(ラスターライン数)単位で送信する。
駆動パルス生成部93は、印刷ヘッド48のノズルから1ドットを吐出する吐出周期(1周期)毎に複数種類(例えば2種類又は3種類)の吐出波形を含む駆動パルス(電圧パルス)を生成してヘッド駆動回路72へ出力する。本実施形態の印刷ヘッド48は複数サイズのインク滴を吐出可能であり、一例として大中小の3種類のインク滴を吐出可能である。ヘッド駆動回路72は、入力した駆動パルスのうち1種又は2種の波形を選択して吐出駆動素子群49のうちの選択された吐出駆動素子に階調値に応じた吐出波形の駆動パルスが印加されることで、インク滴のサイズが決定される。
ヘッド駆動回路72は、入力される印刷画像データ(階調値データ)に基づいて吐出周期ごとに入力される駆動パルス中の複数の吐出波形のうち階調値に応じたものを選択し、吐出タイミング信号PTSに基づくタイミングでその選択した吐出波形の駆動パルスを吐出駆動素子群49に印加する。この結果、吐出駆動素子群49のう駆動圧パルスが印加された吐出駆動素子の例えば電歪作用によってインク室が膨張・圧縮(復元)することによりノズルからインク滴が吐出される。印刷画像データの階調値が例えば2ビットである場合、階調値が「00」のときは吐出なし、「01」のときは小ドット、「10」のときは中ドット、「11」のときは大ドットのインク滴が吐出される。なお、印刷画像データの階調値を2階調とし、印刷ヘッド48が1種類のサイズのインク滴しか吐出できない構成でもよい。
図6に示す補正データCDは、プリンター11に出荷前に図11に示すテストパターンTPを印刷させ、そのテストパターンTPの印刷結果に基づいて作成されて不揮発性メモリー78に記憶される。図11に示すように、テストパターンTPは、複数本の直線Lを搬送方向Yに一定ピッチで含むラダーパターンからなる。すなわち、同図に示すように、用紙14の搬送方向Yに対して直交する直線L(直線パターン)を、印刷解像度から決まるドットピッチ又はこのドットピッチの整数倍のピッチとなる一定の間隔で印刷する。テストパターンTPは、用紙14が第1〜第3搬送過程(図7(a)〜(c))にあるときにそれぞれ個別に印刷され、用紙14には領域A1〜A3ごとにテストパターンTPが印刷される。
また、テストパターンTPの各直線Lの搬送方向Yにおける位置と、エンコーダー59と共に一体的に回転する駆動ローラー50の原点からの回転位置との対応関係は、位置管理部94の各カウンターの計数値から把握される。エンコーダー59からのエンコーダーパルス信号ESを基に生成される吐出タイミング信号PTSがヘッド駆動回路72(図9参照)に入力されることで、搬送駆動ローラー50の回転速度、すなわち用紙14の搬送速度に比例する吐出タイミングで印刷ヘッド48のノズルからインク滴が吐出される。
ここで、搬送ローラー対34、排出ローラー対35、動力伝達機構56を構成する各ギア64,68及びエンコーダー59に偏心がある場合、用紙14に印刷されたテストパターンTPを構成する複数の直線Lは一定間隔ではなく、図11に示すように不等間隔となる。これは、各駆動ローラー45,50の偏心、動力伝達機構56を構成する各ギア64,68の偏心、エンコーダー59の搬送駆動ローラー50に対する組付位置の偏心などによって、搬送モーター63の回転速度が一定でも、エンコーダー59から出力されるエンコーダーパルス信号ESのパルスの周期が偏心によって一定でなくなるからである。
図12に示すように、テストパターン印刷時の吐出タイミング信号tPTSは、上記の偏心が原因でそのパルスが不等間隔になっている。そして、本例では、テストパターンTPの印刷結果を例えばスキャナーに読み取らせたパターン画像を基に、直線Lの間隔、つまりパルスの間隔が等間隔としうる吐出タイミング信号PTSを生成するために必要な補正量ΔCを計算する。この補正量ΔCは駆動ローラー50の1回転における回転角毎に計算される。そして、ディレイカウンター95に目標値としてセットされるべき補正値CVを、補正量ΔCの補正を加えて計算する。そして、用紙14の第1〜第3領域A1〜A3ごとの各テストパターンTPのそれぞれから第1〜第3補正テーブルCD1〜CD3が作成される。
次にプリンター11の作用を説明する。
以下、図14を参照して、コンピューター71が同図にフローチャートで示されるプログラムPRを実行して行う吐出制御について説明する。このフローチャートでは印刷ヘッド48の吐出制御に特化して説明する。例えばユーザーが例えばプリンター11に接続されたパーソナルコンピューター(PC)から印刷ジョブデータを送ると、その印刷ジョブデータは例えばLANを経由してプリンター11が受信する。プリンター11内では印刷ジョブデータの受信をトリガーにして、モーター駆動回路73が各モーター58,63の駆動を開始して各モーター58,63を一定速度に速度制御する。このとき用紙14は駆動ローラー45,50等の偏心により僅かに速度が変化しながらほぼ一定速度で搬送される。また、コンピューター71は、印刷ジョブデータの受信後、モーター58,63の駆動により搬送された用紙14が印刷ヘッド48からインク滴を吐出するべき印刷開始位置に到達すると、図14に示す吐出制御ルーチンのプログラムPRを実行する。
ここで、位置管理部94内の第1カウンターは、第1センサー61から原点信号を入力するとリセットされ、リセット以後、第2センサー62からのエンコーダーパルス信号を基に生成された基準パルスを計数する。よって、第1カウンターの計数値であるパルス数は、駆動ローラー50の原点信号入力時点を原点とする回転角を示す値となる。
まずステップS11では、用紙は第1搬送過程であるか否かを判定する。用紙が第1搬送過程にあればステップS12に進み、第1搬送過程になければステップS13に進む。ここで、給送された用紙14はその給送経路の途中で紙検出センサー55により先端が検知される。紙検出センサー55が用紙14の先端を検知すると、第2カウンターがリセットされるとともにそれ以後にエンコーダー59から入力するエンコーダーパルス信号ESのパルスのエッジの数を計数する。そして、コンピューター71は、第2カウンターの計数値から把握される搬送位置から用紙14が3つの搬送過程のうちどの搬送過程にあるかを判定する。用紙14が第1搬送過程にあればステップS12に進み、第1搬送過程になければステップS13に進む。
ステップS12では、第1補正テーブルに基づいて吐出タイミング信号を生成する。詳しくは、第1搬送過程で用いる第1補正テーブルCD1を不揮発性メモリー78から読み出す。そして、第1カウンターから駆動ローラー50の回転角を示す基準パルスのパルス数を取得する。そして、そのパルス数に対応する補正値CVを取得する。そして、その取得した補正値CVを補正値設定部82に設定する。この補正値設定部82に設定された補正値CVは、吐出タイミング信号生成部83のディレイカウンター95に目標値として設定される。ディレイカウンター95は基準パルスSPの入力時点から補正計数用パルスCPの数を計数し、その計数値が補正値CVに達すると、吐出タイミング信号PTSを生成する。生成された吐出タイミング信号PTSはヘッド駆動回路72に出力され、吐出駆動素子群49のうち印刷画像データのドットに対応する吐出駆動素子にそのタイミングで駆動パルスが印加されることで、印刷ヘッド48のノズルからのインク滴の吐出タイミングが制御される。こうして用紙14が第1搬送過程にあるときは、第1補正テーブルCD1に基づいてその時々の駆動ローラー50の回転角に応じた補正量で吐出タイミングが制御されるので、駆動ローラー45,50及びエンコーダー59の偏心等に依らず、用紙14に搬送方向Yに一定のドットピッチで印刷が施される。
ステップS13では、用紙は第2搬送過程にあるか否かを判定する。用紙14が第2搬送過程にあればステップS14に進み、第2搬送過程になければステップS15に進む。
ステップS14では、第2補正テーブルに基づいて吐出タイミング信号を生成する。詳しくは、第2搬送過程で用いる第2補正テーブルCD2を不揮発性メモリー78から読み出す。そして、第1カウンターから駆動ローラー50の回転角を示す基準パルスのパルス数(カウント値)を取得する。そして、そのパルス数に対応する補正値CVを取得する。そして、その取得した補正値CVを補正値設定部82に設定する。この補正値設定部82に設定された補正値CVは、吐出タイミング信号生成部83のディレイカウンター95に目標値として設定される。ディレイカウンター95は基準パルスSPの入力時点から補正計数用パルスCPの数を計数し、その計数値が補正値CVに達すると、吐出タイミング信号PTSを生成する。生成された吐出タイミング信号PTSはヘッド駆動回路72に出力され、吐出駆動素子群49のうち印刷画像データのドットに対応する吐出駆動素子にそのタイミングで駆動パルスが印加されることで、印刷ヘッド48のノズルからのインク滴の吐出タイミングが制御される。こうして用紙14が第2搬送過程にあるときは、第2補正テーブルCD2に基づいてその時々の駆動ローラー50の回転角に応じた補正量で吐出タイミングが制御されるので、駆動ローラー45,50及びエンコーダー59の偏心等に依らず、用紙14に搬送方向Yに一定のドットピッチで印刷が施される。
ステップS15では、用紙は第3搬送過程にあるか否かを判定する。用紙14が第3搬送過程にあればステップS16に進み、第3搬送過程になければステップS17に進む。
ステップS16では、第3補正テーブルに基づいて吐出タイミング信号を生成する。詳しくは、第3搬送過程で用いる第3補正テーブルCD3を不揮発性メモリー78から読み出す。そして、第1カウンターから駆動ローラー50の回転角を示す基準パルスのパルス数(カウント値)を取得する。そして、そのパルス数に対応する補正値CVを取得する。そして、その取得した補正値CVを補正値設定部82に設定する。この補正値設定部82に設定された補正値CVは、吐出タイミング信号生成部83のディレイカウンター95に目標値として設定される。ディレイカウンター95は基準パルスSPの入力時点から補正計数用パルスCPの数を計数し、その計数値が補正値CVに達すると、吐出タイミング信号PTSを生成する。生成された吐出タイミング信号PTSはヘッド駆動回路72に出力され、吐出駆動素子群49のうち印刷画像データのドットに対応する吐出駆動素子にそのタイミングで駆動パルスが印加されることで、印刷ヘッド48のノズルからのインク滴の吐出タイミングが制御される。こうして用紙14が第3搬送過程にあるときは、第3補正テーブルCD3に基づいてその時々の駆動ローラー50の回転角に応じた補正値CVで吐出タイミングが制御されるので、駆動ローラー45,50及びエンコーダー59の偏心等に依らず、用紙14に搬送方向Yに一定のドットピッチで印刷が施される。
ステップS17では、印刷終了であるか否かを判定する。印刷終了でなければステップS11に戻り、印刷終了であれば当該ルーチンを終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)搬送駆動ローラー50(第1ローラーの一例)と排出駆動ローラー45(第2ローラーの一例)との回転比は、1対N(特に本例ではN=1)に設定されており、用紙14は、搬送ローラー対34及び排出ローラー対35のうち少なくとも一方にニップされた状態で搬送される。印刷制御部81は、搬送駆動ローラー50の回転角を検出するエンコーダー59からのエンコーダーパルス信号ESから生成した吐出タイミング信号PTSに基づき印刷ヘッド48の吐出タイミングを制御する。このとき、印刷制御部81は、吐出タイミング信号PTSを搬送駆動ローラー50の回転角に応じて補正して印刷ヘッド48の吐出タイミングを制御する。よって、搬送ローラー対34と排出ローラー対35とを含む搬送系における各駆動ローラー45,50等の偏心があっても、適切な吐出タイミングでインク滴を吐出することができる。
(2)コンピューター71は、補正データCD(補正情報の一例)を参照し、エンコーダー59により検出された回転角に対応する補正値CVを取得し、この補正値CVで吐出タイミング信号PTSを補正する。よって、搬送系の駆動ローラー45,50等の偏心があっても、印刷ヘッド48から適切な吐出タイミングでインク滴を吐出できる。
(3)駆動ローラー50の外周面の相対的に大きな摩擦抵抗により用紙14は、排出駆動ローラー45で必要に応じて滑りつつ、駆動ローラー50の回転とほぼ同速度で搬送される。そして、用紙14の搬送速度により近い側の回転速度で回転する駆動ローラー50にエンコーダー59が設けられている。よって、用紙14と駆動ローラー45との滑りの影響をさほど受けず、吐出タイミングをより適切に制御することができる。
(4)特にエンコーダー59は上流側の搬送ローラー対34を構成する駆動ローラー50に設けられている。このため、用紙14を上流側の搬送ローラー対34でニップして送りつつ、下流側の排出ローラー対35に用紙14が僅かに滑りつつ搬送される場合でも、用紙14と駆動ローラー45間の滑りの影響をさほど受けず、吐出タイミングをより適切に制御できる。
(5)用紙14は、上流側の搬送ローラー対34と下流側の排出ローラー対35とのうち、上流側の搬送ローラー対34だけにニップされて搬送される第1搬送過程と、搬送ローラー対34と排出ローラー対35との両方にニップされて搬送される第2搬送過程と、排出ローラー対35だけにニップされて搬送される第3搬送過程とをとる。そして、三つの搬送過程の全てで吐出タイミング信号PTSを補正するので、用紙14の全領域(つまり第1〜第3領域A1〜A3)に対して高い印刷品質で印刷を施すことができる。
(6)用紙14の第1〜第3搬送過程の全てにおいて、印刷ヘッド48の吐出タイミングが異なる補正テーブルCD1〜CD3を参照して補正される。よって、各搬送過程に応じた適切な吐出タイミングに補正され、一層高い印刷品質で印刷を行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・図15に示すように、搬送駆動ローラー50のギア64と、排出駆動ローラー45のギア68と、両ギア64,68間に介在するアイドルギア列101を含む動力伝達機構100中のアイドルギアは、図3に示すような1つの大径(歯数の多い)のアイドルギア69に替え、複数のアイドルギア102〜104からなるアイドルギア列101でもよい。アイドルギア列101は、ギア64の歯部64Tと歯数が同じ歯部102T,103T,104Tを有する複数(本例では3つ)のアイドルギア102,103,104を備える。そして、アイドルギア102〜104の歯数とギア64(第1ギアの一例)の歯数の比は、1対M(但しMは自然数)に設定されている。特に図15に示す本例では、アイドルギア102〜104の歯数とギア64の歯数の比が1対1(M=1の例)に設定されている。つまり、ギア64とアイドルギア102〜104との回転比が、1対M(但しMは自然数)に設定されており、特に図15に示す本例では1:1に設定されている。このため、補正データCDを構成する第1〜第3補正テーブルCD1〜CD3を用いれば、印刷ヘッド48をアイドルギア102〜104の偏心分も補正された適切な吐出タイミングで制御できる。
・図15に示すような複数のアイドルギアを備えた構成において、複数のアイドルギアのうち少なくとも1つのアイドルギアの歯数とギア64の歯数との比が、1対Mに設定されていればよい。また、複数のアイドルギアの歯数が全て同じである必要はなく、複数のアイドルギアの歯数が異なり、それぞれについて各アイドルギアの歯数とギア64の歯数との比が、1対Mであればよい。また、ギア64,68間に介在するアイドルギアが1つであって、その1つのアイドルギアの歯数とギア64の歯数との比が、1対Mに設定された構成でもよい。
・補正データCDは補正テーブルCD1〜CD3のうち少なくとも2つを備えていればよい。この構成によれば、用紙14の第1〜第3領域A1〜A3のうち少なくとも2つの領域で高い印刷品質で印刷できる。さらに補正データCDは補正テーブルCD1〜CD3のうち少なくとも1つを備えていればよい。例えば第1〜第3搬送過程のうち2つの搬送過程で補正が必要な場合、1つの搬送過程で補正が必要な場合は、その補正が必要な搬送過程においてのみ補正テーブルを使用すればよいので、コンピューター71による印刷ヘッド48の吐出制御を簡単にすることができる。また。補正データCDは、第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、共通の補正テーブルを使用してもよい。
・さらに搬送モーター63の駆動軸に対してピニオンギア66も偏心している場合がある。このため、駆動ローラー50のギア64の歯数を、ピニオンギア66の歯数の2以上の自然数倍にするとよい。
・上流側の搬送駆動ローラーと下流側の排出駆動ローラーとの回転比は、1対1に限定されず、例えば1:2、1:3、1:4、1:5のうちのいずれかでもよい。この場合、各駆動ローラー45,50による搬送速度が同じか第1ローラー(エンコーダーが設けられる側のローラー)の方が、若干周速が速くなるように各駆動ローラーの外径を設定すればよい。
・ラインプリンターに限定されず、シリアルプリンターでもよい。シリアルプリンターでも搬送精度を向上させることができる。
・エンコーダー59を下流側の排出ローラー対35を構成する排出駆動ローラー45の端部に設けてもよい。この場合、エンコーダー59が設けられた排出駆動ローラー45が第1ローラーの一例に相当し、エンコーダー59が設けられていない側の搬送駆動ローラー50が第2ローラーの一例に相当する。そして、第1ローラーの一例である排出駆動ローラー45と、第2ローラーの一例である排出駆動ローラー45との回転比を、1対N(但しNは自然数)に設定すればよい。なお、第2ローラーの一例である側の駆動ローラーに吐出タイミングの補正以外の他の用途で使用するエンコーダーが設けられていてもよい。
・用紙14の搬送速度の異なる複数の速度モード(印刷モード)毎に補正データを用意し、不揮発性メモリー78に記憶しておいてもよい。例えば速度モードごとにテストパターンTPを印刷し、テストパターンTPの各直線Lのピッチを計測して、各ピッチが同じになるよう異なる回転角毎(基準パルスのパルス数)に補正値を取得し、速度モードごとかつ搬送領域ごとに補正データを作成して不揮発性メモリー78に記憶する。
・印刷制御部81を構成する各機能部は、プログラムを実行するCPU75によりソフトウェアで実現したり、ASIC等の電子回路によりハードウェアで実現したり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現したりしてもよい。
・液体吐出装置の一例であるプリンター(印刷装置)は、用紙14等の媒体に印刷できるものであれば、印刷機能だけを備えたプリンターに限定されず、複合機であってもよい。さらに、プリンターは、ラインプリンターに限らず、シリアルプリンターやラテラル式プリンターでもよい。
・媒体は用紙に限定されず、樹脂製のフィルム、金属箔、金属フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、セラミックシートなどであってもよい。
11…液体吐出装置の一例としてのプリンター、14…媒体の一例としての用紙、20…操作部、18…液体吐出部、34…上流側ローラー対の一例としての搬送ローラー対、35…下流側ローラー対の一例としての排出ローラー対、45…第2ローラーの一例としての排出駆動ローラー、48…液体吐出ヘッドの一例としての印刷ヘッド、50…第1ローラー及び駆動ローラーの一例としての搬送駆動ローラー、49…吐出駆動素子群、55…紙検出センサー、56…動力伝達機構、58…給送モーター、59…エンコーダー、61…第1センサー、62…第2センサー、63…搬送モーター、64…第1ギアの一例としてのギア、68…第2ギアの一例としてのギア、69…アイドルギア、70…コントローラー,アイドルギア、71…制御部の一例としてのコンピューター、72…ヘッド駆動回路、78…記憶部の一例としての不揮発性メモリー、80…吐出制御装置、81…印刷制御部、82…補正値設定部、83…吐出タイミング信号生成部、91…主制御部、92…補正部、93…駆動パルス生成部、94…位置管理部、95…ディレイカウンター、100…動力伝達機構、102〜104…アイドルギア、CD…補正データ、CD1〜CD3…補正テーブル、N1…第1ギアの歯数、N2…第2ギアの歯数、N3…アイドルギアの歯数、PTS…吐出制御信号の一例としての吐出タイミング信号、TP…テストパターン、SP…基準パルス、CP…補正計数用パルス、ΔC…補正量、μ1…第1ローラーの摩擦係数、μ2…第2ローラーの摩擦係数。

Claims (7)

  1. 液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
    液体吐出ヘッドよりも搬送方向の上流側に配置された上流側ローラー対と、
    液体吐出ヘッドよりも搬送方向の下流側に配置された下流側ローラー対と、
    前記上流側ローラー対及び下流側ローラー対のうち一方の駆動ローラーである第1ローラーの回転位置を検出する回転検出部と、
    前記回転検出部の出力信号から生成した吐出制御信号を用いて前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する制御部と、を備え、
    前記第1ローラーと、前記上流側ローラー対及び下流側ローラー対のうち前記第1ローラーを備えた側ではない他方の駆動ローラーである第2ローラーとの回転比は、1対N(但しNは自然数)に設定され、
    前記制御部は、吐出制御信号を前記第1ローラーの回転位置に応じて補正して前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを制御する、ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記制御部は、前記回転位置と、前記第1ローラーと前記第2ローラーとを含む搬送系の偏心による前記回転検出部の出力信号のパルスのずれに起因する吐出タイミングのずれを補正する補正量との対応関係を示す補正情報を参照して、前記回転位置に応じた補正量を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記回転検出部が設けられた前記第1ローラーは、前記第2ローラーよりも媒体に対する外周面の摩擦係数が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記回転検出部が設けられた前記第1ローラーは、前記上流側ローラー対を構成する駆動ローラーであることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 媒体は、搬送過程において、前記上流側ローラー対と前記下流側ローラー対とのうち、前記上流側ローラー対だけにニップされて搬送される第1搬送過程と、前記上流側ローラー対と前記下流側ローラー対との両方にニップされて搬送される第2搬送過程と、前記下流側ローラー対だけにニップされて搬送される第3搬送過程とをとり、
    前記制御部は、前記第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、前記吐出タイミングを補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記制御部は、媒体の第1〜第3搬送過程のうち少なくとも2つの搬送過程において、異なる補正情報を参照して前記液体吐出ヘッドの吐出タイミングを補正することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 前記第1ローラーと前記第2ローラーとの間で動力を伝達する動力伝達機構は、前記第1ローラーに一体回転可能に設けられた第1ギアと、前記第2ローラーに一体回転可能に設けられた第2ギアと、前記第1ギアと前記第2ギアとの間に介在する一つ以上のアイドルギアとを備え、
    少なくとも一つの前記アイドルギアの歯数と前記第1ギアの歯数とは、1対M(但しMは自然数)の比に設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019181797A (ja) * 2018-04-10 2019-10-24 コニカミノルタ株式会社 情報処理装置、インクジェット記録装置及び画像記録調整方法
EP3705303A1 (en) 2019-03-06 2020-09-09 Ricoh Company, Ltd. Liquid discharge apparatus and image forming apparatus

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