JP2016072179A - 正極活物質、およびそれを有する合材電極、非水電解質二次電池用正極、および非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質、およびそれを有する合材電極、非水電解質二次電池用正極、および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量でかつ、実用的な負荷特性を兼ね備えたリチウム二次電池用正極活物質の提供。【解決手段】遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有し、組成が式(1)で表され、かつ式(2)を満たすリチウム複合酸化物からなる正極活物質。Li[LiaMnbNicMe1−b−c]O2−d(1)(MeはMn及びNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素;a、b、c、dは0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2)9.0≦Nix−NiE≦20.0(2)(NiEはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%);Nixはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%))図1は正極活物質のSEM写真(5000倍)を示す。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム複合酸化物を含む正極活物質、およびそれを用いた合材電極、非水電解質二次電池用正極、および非水電解質二次電池に関する。
近年、非水電解質二次電池、特にリチウム二次電池は、高いエネルギー密度で高い電圧を有することから、パソコンや携帯機器などの電源として広く使用されている。また、リチウム二次電池は、環境に配慮した電気自動車やハイブリッド自動車の電源としても有望である。
現行のリチウム二次電池用正極活物質には、主として4V程度の電池電圧を示すリチウム含有遷移金属酸化物材料が用いられており、具体的には、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウムなどが用いられている。マンガン系複合酸化物は、安価かつ合成が比較的容易であり、電池とした時の安全性に優れる一方、容量が低く、高温特性(サイクル、保存)が劣る。層状リチウムニッケル系複合酸化物は、容量が高く、高温特性に優れる反面、合成が難しく、電池とした時の安全性に劣り、保管にも注意を要する等の欠点を抱えている。層状リチウムコバルト系複合酸化物は、合成が容易かつ電池性能バランスが優れているため、携帯機器用の電源として広く用いられているが、安全性が不十分な点や高コストである点が大きな欠点となっている。
リチウム二次電池用活物質を、更に高エネルギー密度化するためには、より高容量の正極活物質が必要とされている。
近年、この要求に応えられる可能性を有する正極活物質として、電気化学的に不活性であるが理論容量が344mAh/gと高い層状のLiMnOと、電気化学的に活性ではあるが理論容量は150mAh/gと低い層状のLiMO(Mは、Co、Niなどの遷移金属)からなるLi過剰固溶体が、200mAh/gを超える高容量、且つ、比較的高い真密度を有することから、次世代の高容量正極活物質として検討されている。例えば、特許文献1では、高容量化のためにLiMnOとLiMOの組成比、すなわちマンガン組成比率及びMであるニッケル、コバルトの最適組成比の提案がなされている。Mn/Ni比率が多い組成ほど、Co比率が多い組成ほど、Ni比率が少なくなるため、ニッケルの平均原子価が増加しやすく(体積抵抗率が減少しやすく)、それだけ容量低下を引き起こしやすくなる。一方、Mn/Ni比率が少ない組成ほど、ニッケル比率が多くなるため、ニッケルの平均原子価が増加しにくく(体積抵抗率が減少しにくく)なり、それだけ容量低下を引き起こしにくくなると記載されている。その好適な組成範囲は0.36<Mn<0.66、0.004<Ni<0.17、Co<0.34とされている。しかし、実施例を見る限り、1C(150mA/g)での放電容量は150〜160mAh/gレベルであり、実用的な負荷特性を有しているとは言い難い。また、充放電を繰り返すうちに、マンガンが溶出し電池特性を低下させてしまうという問題点がある。
また、正極活物質粒子の表面と内部でリチウム遷移金属複合酸化物の組成を変える、もしくは平均組成は同一だが、粒子の中心部から表面へ濃度勾配を持たせることにより、高容量及び負荷特性を改良した発明が提案されている。
例えば特許文献2では、α−NaFeO型結晶構造を有し、平均組成が組成式Li1+αMe1−α(MeはCo、Ni及びMnを含む遷移金属、α>0)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、コアと被覆部を有する粒子であり、前記被覆部のコバルト濃度が前記コアのコバルト濃度よりも高く、前記被覆部のマンガン濃度が前記コアのマンガン濃度よりも低く、前記被覆部に存在するコバルトの比率が前記コアに存在する前記遷移金属の量に対してモル比で3〜10%であることを特徴とする非水電解質二次電池用活物質により、高率放電特性が優れると提案されているが、コバルト組成比率が高くなると容量は低下する傾向にあり、かつ、コストも高くなるというデメリットがあった。
以上のことから、高容量を狙ったマンガン組成比率が高いLi過剰固溶体において、高容量でかつ実用的な負荷特性を兼ね備えたものはなかった。
特許第5157071号公報 特開2013−182783号公報
本発明の目的は、高容量でかつ、実用的な負荷特性を兼ね備えたリチウム二次電池用として好適な正極活物質、それを用いた合材電極、非水電解質二次電池用正極、並びにこの非水電解質二次電池用正極を備えるリチウム二次電池を提供することにある。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物からなる粒子において、平均組成は同一(均一)であるが、上記粒子の中心部から表面へニッケルの組成比率について濃度勾配を持たせ、粒子全体の組成比よりも表層部のニッケル組成比が高くすることで、高容量でかつ実用的な負荷特性を兼ね備えることができる正極活物質を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は次の構成を要旨とするものである。
[1] 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(2)を満たす、正極活物質。
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
9.0≦Ni−Ni≦20.0 (2)
(式中、Niはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%)を表し、Niはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%)を表す。)
[2] 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
で表され、かつ当該リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.45以上0.70以下である、正極活物質。
[3] 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)で表される正極活物質であって、
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
で表され、かつ当該リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)と全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が、0.20を超え0.60未満である、正極活物質。
[4] 前記正極活物質が球状粒子であり、当該球状粒子の直径が200nm以上50μm以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]に記載の正極活物質。
[5] 前記球状粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子からなることを特徴とする上記[4]記載の正極活物質。
[6] Meは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、バナジウム(V)、およびタングステン(W)の中から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする上記[5]記載の正極活物質。
[7] Meは少なくともコバルト(Co)を含むことを特徴とする上記[5]記載の正極活物質。
[8] 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が、下記式(1)
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn、Ni以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、0≦d≦0.2を満たす)
で表される正極活物質であって、下記(i)〜(iii)の工程
(i)Mn、Ni及びMeを含む水酸化物および/または炭酸塩からなり、下記式(2)
9.0≦Ni−Ni≦20.0 (2)
(式中、Niはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%)を表し、Niはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%)を表す。)
を満たす粒子を100℃〜550℃で酸化させる工程
(ii)上記(i)で得られた酸化物とリチウム塩とを混合して混合物を得る工程、
(iii)前記混合物を熱処理する工程を含む固相法
によって得られる、正極活物質。
[9] 上記[1]〜[8]に記載の正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む、合材電極。
[10] 上記[9]に記載の合材電極と集電体とからなる、非水電解質二次電池用正極。
[11] 上記[11]に記載の非水電解質二次電池用正極を含む、非水電解質二次電池。
なお、本発明においては、マンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物からなる正極活物質全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高いことが重要であるが、これにより負荷特性が向上する理由としては、過剰Liの遷移金属サイト置換に伴ったNiの価数変化(Ni(II)→Ni(III)が生じ、Ni(III)/Ni(II)の比率が増大し、Ni平均原子価が上がる結果、結晶の電子状態が変化して導電性が向上するためと考えられる。
本発明の正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池用正極を適用すれば、高容量でかつ、実用的な負荷特性を兼ね備えた非水電解質二次電池を提供することができる。
図1は実施例1の正極活物質のSEM写真(5000倍)である。 図2は実施例1の正極活物質のTEM−EDSラインマッピング分析結果である。 図3は実施例2の正極活物質のSEM写真(5000倍)である。 図4は比較例1の正極活物質のSEM写真(5000倍)である。 図5は比較例2の正極活物質のSEM写真(5000倍)である。 図6は比較例3の正極活物質のSEM写真(5000倍)である。 図7は実施例1の正極活物質を用いた放電曲線である。 図8は実施例2の正極活物質を用いた放電曲線である。 図9は比較例1の正極活物質を用いた放電曲線である。 図10は比較例2の正極活物質を用いた放電曲線である。 図11は比較例3の正極活物質を用いた放電曲線である。
〈本発明の正極活物質〉
以下、本発明の正極活物質について説明する。
本発明の第1の態様の正極活物質は、遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、全体の組成が下記式(1)で表される正極活物質であって、9.0≦Ni−Ni≦20.0である。このように、リチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高いことにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn以外でかつNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
上記式(1)で表わされる正極活物質(以下、Li過剰固溶体ということがある)は、金属元素Meの種類及びその元素の比率は、求められる特性に応じて任意に選択することができる。放電容量が大きく、高率放電特性が優れた非水電解質二次電池を得ることができるという点で、コアに存在するMnの比率は、Me及びNiの合計比率よりもモル比で大きいことが好ましい。
上記式(1)中のMeは、Co、Zr、Zn、Cr、Fe、Ti、Vなどの遷移金属の中から選択される少なくとも1種類の元素である。より高容量の正極活物質が得られる点から、Meは、Co又はCoを含む組合せであることが好ましい。
本発明におけるリチウム遷移金属複合酸化物(リチウム複合酸化物)は、本質的に、金属元素としてLi、Ni及びMn、遷移金属を含む複合酸化物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、少量のNa,Ca等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、例えば、Mg、Sr、Ba、Cd、Zn、Al、Ga、B、Zr、Ti、Ca、Ce、Y、Nb、Cr、Fe、V、またはそれらの組合せなど他の金属を含有してもよい。
本発明の第1の態様の正極活物質は、リチウム複合酸化物全体の組成比(Ni)よりもこのリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(Ni)が高いことを特徴としている。正極活物質の全体の組成比として、EPMAにより、無作為に3点ピックアップして測定し、Ni、Mn組成比を算出した。光電子分光装置(XPS)により、無作為に3点ピックアップして測定し、Nix、およびMnxの組成比(原子%)を算出した。本発明において表層部とは、用いるXPSの検出感度にもよるが、前記リチウム複合酸化物の表面から50nm以内を意味する。
本発明では、特に、全体の組成比よりも表層部に存在するNiの組成比率は9.0≦Ni−Ni≦20.0の範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは11.0≦Ni−Ni≦18.0であり、この範囲に制御することにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。9.0未満であると全体の組成比に近づくため、本発明の効果が十分に得られるとはいえない。一方20.0以上となると、実用的な負荷特性を得ることができず、好ましくない。
全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い正極活物質を得るためには、全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い前駆体を得ることが必要である。
また、本発明の第2の態様の正極活物質は、リチウム複合酸化物全体の組成比(Ni)よりも、このリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(Ni)が高く、一粒子におけるNi濃度は表層部の方が高く、逆に、Mn濃度は表層部の方が低いことにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.45以上0.70以下であり、表層部でマンガン組成比が低く、ニッケル組成比が高いことが好ましい。さらに好ましくは0.50以上0.67以下であり、この範囲に制御することにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。マンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)マンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.45未満であると、表層部のマンガン組成比に対するニッケル組成比が少ないため本発明の効果が十分に得られるとはいえない。また、マンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.70を超えると表層部が全体の組成比に近づくため、本発明の効果が十分に得られるとはいえない。
全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高く、一粒子におけるNi濃度は表層部の方が高く、逆に、Mn濃度は表層部の方が低い正極活物質を得るためには、全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高く、一粒子におけるNi濃度は表層部の方が高く、逆に、Mn濃度は表層部の方が低い前駆体を得ることが必要である。
また、本発明の第3の態様の正極活物質は、リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)とリチウム複合酸化物全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が、0.20<(Ni/Mn−Ni/Mn)<0.60の式を満たすことにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。さらに好ましくは0.30以上0.50以下であり、この範囲に制御することにより、高容量でかつ、実用的な負荷特性を得ることができる。
表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)から全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.20以下である場合には、表層部のマンガン組成比に対するニッケル組成比が少ないため本発明の効果が十分に得られるとはいえない。0.60以上である場合には、表層部が全体の組成比に近づくため、本発明の効果が十分に得られるとはいえない。
表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)と全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が、0.2<(Ni/Mn−Ni/Mn)<0.6の式を満たす正極活物質を得るためには、表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)と全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が、0.2<(Ni/Mn−Ni/Mn)<0.6の式を満たす前駆体を得ることが必要である。
すなわち、前記第1〜第3の態様を含む本発明は、遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物からなる粒子において、平均組成は同一(均一)であるが、上記粒子の中心部から表面へニッケルの組成比率について濃度勾配を持たせ、粒子全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い正極活物質およびその前駆体を得ることが重要である。
図2に、本発明の正極活物質を構成する二次粒子のマンガン、ニッケルおよびコバルトについて、TEM‐EDSを用いたラインマッピングによる元素分析を行った結果を示す。この結果から、正極活物質の中心部から表層部にかけて、ニッケル組成比(Ni)が徐々に高くなっていることがわかる。一方、マンガンは中心部から表層部にかけて、当該表層部ほど組成比が低くなっており、コバルトにおいてもそのような傾向である。
本発明の正極活物質はリチウム複合酸化物粒子の中心部はマンガン濃度が高く、ニッケル濃度が低いため、Li1+α(Ni,Mn)1−α(α>0)で表される、いわゆる「リチウム過剰型」であり、一方、リチウム複合酸化物粒子の表層部は、ニッケル濃度が高く、Mn濃度が低いため、Li(Ni,Mn)Oで表される、いわゆる「LiMeO型」を主体となるものであると予想される。
本発明の第1〜第3の態様の正極活物質における上記Li過剰固溶体の形状は、高い嵩密度を有する電極とすることができる点から、球状であることが好ましい。平均粒子径は、任意の大きさを有することができるが、200nm〜50μmであることが好ましく、500nm〜30μmであることがより好ましく、1μm〜15μmであることがさらに好ましい。
ここで本明細書において、球状粒子は、真球のみでなく、楕円体などであってもよく、長軸と短軸の長さの比が1/1〜4/1であればよい。
ここで、上記Li過剰固溶体の球状粒子は一次球状粒子が凝集した二次粒子であることが好ましい。一次球状粒子の凝集体である二次粒子を含むことにより、ハンドリング性が向上すると共に、正極材に関する既存設備が使用できる場合が多くなる。
Li過剰固溶体の二次粒子における一次球状粒子の平均粒子径は、80nm以下であることが好ましく、10〜70nmであることがより好ましく、20〜60nmであることがさらに好ましい。
上記二次粒子の球状粒子の平均粒子径は、任意の大きさを有することができるが、40nm〜100μmであることが好ましく、500nm〜50μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましい。
上記二次粒子は3次元網目構造を有することが好ましい。3次元網目構造は、球状の一次粒子が粒界溶融・接合を起すことにより形成される。3次元網目構造を有する二次粒子では、応力が緩和されるため、積層欠陥が無い、又は積層欠陥密度が非常に小さい理想的な結晶構造を生み出すことが可能となる。さらに、リチウムイオンが空孔から3次元的に入ることが可能となるため、リチウムイオンの拡散時間が短くなり、負荷特性が良好となる。
〈正極活物質の製造方法〉
本発明の正極活物質の製造方法は、特に限定されないが、固相法であることが好ましい。先ず、固相法を用いた本発明の正極活物質の製造方法について説明する。
(固相法)
本発明の正極活物質は、(i)Mn、Ni及び前記Meを含む水酸化物または炭酸塩またはこれらの組み合わせからなり、9.0≦Ni−Ni≦20.0であり、二次粒子全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い前駆体粒子を100℃〜550℃で酸化させる工程、(ii)(i)で作製した酸化物とリチウム塩とを混合して混合物を得る工程、(iii)前記混合物を熱処理する工程を含む固相法によって得ることができる。
Mn、Ni及び前記Meを含む水酸化物、および/または炭酸塩からなり、9.0≦Ni−Ni≦20.0であり、二次粒子全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い前駆体粒子を得ることが重要である。上記の前駆体粒子が得られれば、製造法は特に限定されない。
二次粒子全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い前駆体粒子を得るためには、マンガン、ニッケルを含む遷移金属塩水溶液を水溶液中で共沈させる際に、遷移金属塩水溶液を滴下後に水溶液のpHが7.3以上になるように調整することが非常に重要である。なぜなら、ニッケル化合物の共沈率はpH7.0からアルカリ側になるにつれて、高くなるためである。二次粒子全体の組成比(Ni)よりも表層部のニッケル組成比(Ni)が高い前駆体粒子を得るためには、マンガン化合物が共沈した後に、ニッケル化合物が後から共沈するように調整することが重要である。
上記リチウム塩としては、例えば、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、蓚酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、過酸化リチウム、硫酸リチウム、フッ化リチウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウムなどが挙げられ、この中から選ばれる少なくとも1種類以上の塩を用いることが可能であり、単独で用いることも、2種類以上を混合して用いることもできる。炭酸リチウムは工程(iii)で所定の温度範囲で熱処理する際、融点が724℃であるため、それ以下の温度であれば、固相を維持することができる。その他リチウム塩についても融点以下で熱処理することにより固相を維持することができる。
混合方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、乳鉢を用いて乾式混合する方法が挙げられる。
上記得られた混合物を熱処理する。この工程は固相法で行うことができる。
熱処理温度が600℃未満の場合には、熱処理が不十分であることから、結晶性も低く、目的の負荷特性が得られない場合がある。熱処理温度が720℃より高い場合には、得られる固溶体は規則構造が発達したものとなる結果、遷移金属原子の結晶配列に規則化が起こり、積層欠陥密度が高くなり、負荷特性が低下する場合がある。
上記熱処理温度は、600℃〜700℃であることが好ましく、610〜660℃であることがより好ましい。
熱処理温度は焼成条件における最高温度を意味する。
前熱処理として焼成する最高温度に至る前に100℃〜550℃で焼成してもよく、段階的に焼成してもよい。より好ましくは酸化物結晶に転移しない熱処理温度である150℃〜500℃であり、さらに好ましくは200℃〜400℃である。
熱処理する際のガス雰囲気は、酸化雰囲気が確保されていれば、特に限定されるものではなく、例えば、空気、酸素、及び酸素との混合ガスを用いることができる。
〈本発明の合材電極〉
本発明の合材電極は、上述した本発明の正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む。
本発明の正極用活物質は、少なくとも一部が炭素系材料を含んでいてもよく、被覆(コーティング)されていてもよい。本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の少なくとも一部が導電性を向上させることを目的に炭素系材料を含んでいれば、その製造方法は特に限定されるものではないが、例えばCVDやメカニカルミリングによって複合化する方法などがある。メカノケミカル的手法による複合化とは、ビーズミル、振動ミル又はボールミル等の媒体撹拌型混合機を用いた複合化であり、その後熱処理することにより、より強固に複合化させることも可能である。
本発明の合材電極に用いられる導電助剤としては、特に制限されず、従来公知のものを利用することができ、例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト微粒子、鱗片上黒鉛、炭素繊維などの炭素材料を挙げることができる。特に、平均繊維径10〜900nmの超極細繊維状炭素を用いることが、サイクル特性の向上に関して好ましいと考えられる。このような超極細繊維状炭素に関しては例えば、特開2010−245423号公報の記載を参照することができる。特開2010−245423号公報には、比表面積が5〜20m/gの範囲にあり、平均繊維径が5〜900nmの範囲にあり、且つ分岐構造を有さない微細炭素繊維が記載されている。
本発明による正極用活物質は、本発明のLi過剰固溶体が必須成分として含有されている限り、これ以外の他の正極活物質を併用したとしても、特に支障はない。例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物、スピネルMn系などが挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiCoO、Li(Co、Mn)O、Li(Co、Mg)O、LiNiO、Li(Ni、Al)O、Li(Ni、Mn、Co)O、Li(Li、Ni、Mn、Co)O等が挙げられる。リチウム−遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiVPO及びこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等が挙げられる。スピネルMn系としては、例えば、LiMn、Li(Mn、Ni)等が挙げられる。また、リチウム非含有の正極材としてMnO、5酸化バナジウム等の酸化物や硫黄を添加してもよい。これらのリチウム非含有正極材を添加することで、不可逆容量を抑制することが可能となる。これらの正極活物質も複数種を併用することができる。
なお、これらの正極活物質がそれぞれ固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
本発明の正極に用いられるバインダーは、活物質同士又は活物質と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリアミド(PA)、全芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリアクリロニトリル(PAN)などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、及びユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
また、水系のエマルジョンをバインダーとして用いてもよく、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素変性スチレンーブタジエンゴム、オレフィン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体などのゴム系の材料を挙げることができる。
水系バインダーエマルジョンを用いる場合、必要に応じてカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の増粘材を使用することもできる。
〈本発明の非水電解質二次電池用正極〉
本発明の非水電解質二次電池用正極は、上述した本発明の合材電極と集電体とからなる。本発明の非水電解質二次電池用正極は、本発明の正極材料が集電体の表面に形成されてなることが好ましい。本発明の非水電解質二次電池用正極は、非水電解質二次電池の容量を高くすることができ、さらに負荷特性を高めることもできる。
本発明の非水電解質二次電池用正極に用いられる集電体は、任意の導電性材料から形成することができる。したがって例えば、集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、等の金属材料、特にアルミニウム、ステンレス鋼から形成することができる。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、任意の方法で製造することができる。本発明の非水電解質二次電池用正極は、例えば、正極用活物質、バインダー、導電助剤等を含む正極材料を分散媒中に分散させて、この分散した合材電極を集電体に塗布し、乾燥後、圧密化することで得ることができる。
この場合の分散媒は、本発明の目的及び効果を損なわない限り制限されるものではなく、例えば有機溶媒を用いることができる。具体的にはこの分散媒は、非水系溶媒、例えばアルコール、アルカン、アルケン、アルキン、ケトン、エーテル、エステル、芳香族化合物、又は含窒素環化合物であってよく、特にイソプロピルアルコール(IPA)、又はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好適に利用できる。
また、乾燥温度は、使用する分散媒の沸点を考慮し適宜選択することがでる。例えば50℃以上、70℃以上、又は90℃以上であって、100℃以下、150℃以下、200℃以下、又は250℃以下であるように選択できる。
〈本発明の非水電解質二次電池〉
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウム電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウム全固体電池等が挙げられるが、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池では、本発明の非水電解質二次電池用正極、電解液又は電解質を含む電解質層、及び負極材料層が集電体の表面に形成されてなる負極が、正極材料層と負極材料層とが向き合い積層されている。また、電解質層が液状又はケル状の場合は、セパレータを介して積層してもよい。
非水電解質は、一般に極性の高い非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液を用いることができる。用いるリチウム塩(電解質塩)としては、例えば、LiClO,LiBF、LiAsF、LiPF、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等を挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
非水電解液に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類から選ばれる少なくとも1種以上の溶媒が好適に用いられる。
また、電池のサイクル特性・保存特性を改善する目的で、非水電解液に耐還元性および耐酸化性を改善する添加剤を添加することも有効である。例えば、ビニレンカーボネート、酢酸ビニルなどの還元重合化合物やビフェニル系、ターフェニル系、ピロール、アニリン、プロパンスルトン、チオフェン等の酸化性化合物が挙げられる。添加する添加剤の量としては、0.1〜3重量%が好ましい。
また、電池の安全性改善の観点から、難燃剤を添加してもよい。難燃剤としては、フォスファゼン系化合物、リン酸エステル系化合物等が挙げられる。好適な添加量は1〜20重量%である。
非水電解液における電解質塩(リチウム塩)の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。電解液はリチウム塩とこれを可溶な非水溶媒からなることを特徴とする。
また、非水電解液としてリチウム塩からなる常温溶融塩(イオン性液体)を用いることも可能である。イオン性液体は粘度を調整するために、上記の非水電解液に混合しても構わない。
これらの液状の電解液が多孔質構造を有するセパレータに含浸・保持されることで電解質層として機能する。電解質層の厚さ(すなはち、セパレータの厚さ)は、内部抵抗を低減させるには薄ければ薄いほどよいといえる。電解質層の厚さは、通常1〜100μm、好ましくは5〜50μmとするのがよい。セパレータの空孔率は強度の観点から90体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
セパレーターとしては、優れた高率放電性能を示す微多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。微多孔膜としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂の単層もしくは積層膜や、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系微多孔膜を挙げることができる。
また、不織布状のセパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、セルロース、アラミド、ガラスファイバー等の繊維素材を用いたナノファイバーや紙を用いることができる。
また、耐電圧の観点から、耐酸化性の良好なセパレータが特に好適に好まれ、多孔質膜や不織布等の基材の上にフッ素系樹脂やアラミド、あるいはセラミックコートしたものが好適に使用される。
また、電池の液漏れ防止の観点から、非水電解液をゲル化したゲルポリマー電解質を適用しても構わない。ゲルポリマー電解質は、前記の非水電解液に膨潤・ゲル化するポリマーと前記の非水電解液を組み合わせることで作製することができる。
具体的な、ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVDF−HFP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリシロキサンおよびこれらの共重合体、およびこれらの架橋物等が挙げられる。
また、本発明に用いられる電解質には、液体を含まない全固体電解質を適用することも可能である。全固体電解質を適用する場合は、上記のセパレータは併用する必要がない。全固体電解質としては、溶媒(可塑剤)を含まない真性のポリマー電解質や無機系固体電解質を挙げることができる。真性のポリマー電解質としては、フレキシブルかつリチウム塩溶解可能な分子構造を有するポリマーの架橋体、無機系固体電解質としては、リチウム含有酸化物、リチウム硫黄化合物などが挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池の負極に用いられる負極活物質としては、リチウムを可逆的に吸蔵及び放出できるものであれば特に制限されず、従来公知の負極活物質を使用することができる。例えば、高結晶性カーボンであるグラファイト(天然グラファイト、人造グラファイト等)、低結晶性カーボン(ソフトカーボン、ハードカーボン)、低温焼成カーボン、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等)、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンフィブリルなどの炭素材料、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等のリチウムと合金化する元素の単体、及びこれらの元素を含む酸化物(一酸化ケイ素(SiO)、SiO(0<x<2)、二酸化スズ(SnO)、SnO(0<x<2)、SnSiOなど)及びナノ酸化鉄、リチウム金属等の金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物を挙げることができる。なお、これらの負極活物質は、単独で使用することも、2種以上の混合物の形態で使用することも可能である。
負極に用いられる導電助剤、バインダー及び集電体は、集電体として銅が使用できることを除いては、本発明の非水電解質二次電池用正極で説明したものと同様である。
しかして本発明によれば、下記の態様を包含する。
[21] 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物からなり、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)
Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
(式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
で表され、かつ当該リチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(Ni)より表層部のニッケル組成比(Ni)が高いことを特徴とする、正極活物質。
[22] 下記式(2)
9.0≦Ni−Ni≦20.0 (2)
(式中、Niはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%)を表し、Niはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%)を表す。)
を満たす、上記[21]の正極活物質。
[23] 当該リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.45以上0.70以下である、上記[21]または[22]の正極活物質。
[24] 前記リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)と全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)(Ni/Mn−Ni/Mn)が、0.20を超え0.60未満である、上記[21]〜[23]の正極活物質。
(組成の確認方法)
下記実施例及び比較例で得られた正極活物質の組成を確認するため、化学分析により、Li、Ni、Co、Mn比率を測定した。化学分析は、ICP発光光度分析装置(アジエントテクノロジー社製、ICP−AES 720−ES)により実施した。
(Ni、Mnの算出法)
下記実施例及び比較例で得られた正極活物質の全体の組成比として、EPMAにより、無作為に3点ピックアップして測定し、Ni、Mn比率を算出した。装置は島津製作所製 EPMA−1400。電子線径50μmΦ、加速電圧15kV、電流値10nA。
(Ni、Mnの算出法)
下記実施例及び比較例で得られた正極活物質の表層部における組成比として、光電子分光装置(XPS)により、無作為に3点ピックアップして測定し、Ni、Mn比率を算出した。装置は、光電子分光装置(XPS)Thermo Scientific社K−Alpha、X線源;Al−Kαモノクロ(1486.7eV)、X線スポットサイズ;400μm、Flood Gun on、真空度;<5×10−8mbar、検出角0度、Narrow scan(P.E.50eV)により実施した。
(平均粒子径の算出)
下記実施例及び比較例で得られた正極活物質を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、5000倍の画像より無作為に10点ピックアップしてその直径を測長し、平均値を算出した。
(TEM−EDSによるライン元素分析)
下記実施例の二次粒子断面の元素分析をTEM−EDSで行った。装置は透過電子顕微鏡JEM−2010(日本電子製 加速電圧200kV)で実施し、ラインマッピングはS−5200(日立ハイテクノロジーズ製)に付帯のEDS検出器にて加速電圧15kVにて行った。
本発明の正極活物質は以下の方法により作製した。
(実施例1)
(前駆体酸化物粒子の作製)
本実施例の正極活物質の前駆体であるマンガン、コバルト及びニッケルを含む酸化物粒子(前駆体酸化物粒子)は、以下のように作製した。
硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業社製、一級試薬)13.64g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)2.06g、及び硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)5.04gを100mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。その後、pH7.0になるまで25%アンモニア水溶液を添加した。
次に、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、特級試薬)26.9gを1000mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。この炭酸水素ナトリウム水溶液を500rpmで攪拌しながら、上記作製した水溶液と25%アンモニア水溶液とを同時に滴下し、滴下中及pH7.0になるように調整し、滴下後はpH調整を行わず、30分間撹拌を実施。マンガン、コバルト及びニッケルを含む炭酸塩の粒子である乳白色の沈殿物を得た。その後、洗浄・吸引濾過し、120℃で乾燥した。さらに200℃で酸化処理をすることで、マンガン、コバルト及びニッケルを含む前駆体酸化物粒子を得た。この前駆体酸化物粒子は一次粒子が凝集した二次粒子であった。
(正極活物質の作製)
本実施例の正極活物質の作製は以下のように行った。
炭酸リチウム(和光純薬工業社製、特級試薬、融点723℃)1.94gと、上記作製した前駆体酸化物粒子2.03gを秤量し、瑪瑙乳鉢を用いて乾式混合した。
次に、この混合物を50mlのアルミナ坩堝に入れ、焼成炉内で熱処理を行った。熱処理は、大気中で、昇温速度5℃/minで620℃まで昇温、12時間熱処理し、その後、室温まで降温した。
得られた粉末に蒸留水を加え、充分に撹拌し、蒸留水で洗浄を5回繰り返した後、吸引濾過し、100℃で5時間、200℃で5時間乾燥することで実施例1の正極活物質を得た。
上記の方法で測定した正極活物質の組成は、Li[Li0.2Co0.07Ni0.17Mn0.56]Oであった。また、一次粒子が凝集した二次粒子であり、直径は平均で2.3μmであった。SEM写真、TEM−EDSによるライン元素マッピング分析結果をそれぞれ図1、図2、全体の組成比及び表層の組成比は表1に示す。
(実施例2)
(前駆体酸化物粒子の作製)
前駆体酸化物粒子の合成時、金属塩水溶液をあらかじめpH調整しないこと、金属塩水溶液に炭酸水素ナトリウム添加する際にpH調整しないこと、2液混合後にpH7.5になるように塩酸を添加し、pH調整したこと以外は実施例1と同じ方法で合成を行った。詳細を述べる。
硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業社製、一級試薬)13.64g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)2.06g、及び硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)5.04gを100mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。
次に、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、特級試薬)26.9gを1000mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。この炭酸水素ナトリウム水溶液を攪拌しているところへ、マンガン、コバルト及びニッケルを含む金属塩水溶液を添加し終わった後、pHが7.5になるように塩酸を添加して調整しながら30分間撹拌後、炭酸塩の粒子である乳白色の沈殿物を得た。その後吸引濾過し、120℃で乾燥した。さらに200℃で酸化処理をすることで、マンガン、コバルト及びニッケルを含む前駆体酸化物粒子を得た。この前駆体酸化物粒子は一次粒子が凝集した二次粒子であった。その後、洗浄・吸引濾過し、120℃で乾燥した。さらに200℃で酸化処理をすることで、マンガン、コバルト及びニッケルを含む前駆体酸化物粒子を得た。この前駆体酸化物粒子は一次粒子が凝集した二次粒子であった。
(正極活物質の作製)
本実施例の正極活物質の作製は実施例1と同じ方法で得た。正極活物質の組成は、Li[Li0.2Co0.07Ni0.17Mn0.56]Oであった。また、一次粒子が凝集した二次粒子であり、直径は2.4μであった。SEM写真を図3に示し、全体の組成比及び表層の組成比は表1に示す。
(比較例1)
(前駆体酸化物粒子の作製)
前駆体酸化物粒子の合成時、2液混合後にpH7.0になるように塩酸を添加したこと以外は実施例2と同じ方法で合成を行った。詳細を述べる。
硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業社製、一級試薬)13.64g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)2.06g、及び硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)5.04gを100mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。
次に、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、特級試薬)26.9gを1000mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。この炭酸水素ナトリウム水溶液を攪拌しているところへ、マンガン、コバルト及びニッケルを含む金属塩水溶液を添加し終わった後、pHが7.0になるように塩酸を添加して調整しながら30分間撹拌後、炭酸塩の粒子である乳白色の沈殿物を得た。その後吸引濾過し、120℃で乾燥した。さらに200℃で酸化処理をすることで、マンガン、コバルト及びニッケルを含む前駆体酸化物粒子を得た。この前駆体酸化物粒子は一次粒子が凝集した二次粒子であった。
(正極活物質の作製)
本実施例の正極活物質の作製は実施例1と同じ方法で得た。正極活物質の組成は、Li[Li0.2Co0.07Ni0.17Mn0.56]Oであった。また、一次粒子が凝集した二次粒子であり、直径は2.8μであった。SEM写真を図4に示す。
(比較例2)
(前駆体酸化物粒子の作製)
本実施例の正極活物質の前駆体であるマンガン、コバルト及びニッケルを含む酸化物粒子(前駆体酸化物粒子)は、以下のように作製した。
硫酸マンガン五水和物(和光純薬工業社製、一級試薬)13.64g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)2.06g、及び硝酸ニッケル六水和物(和光純薬工業社製、特級試薬)5.04gを100mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。
その後、pH7.3になるまで25%アンモニア水溶液を添加して調整しながら30分間撹拌した。
次に、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、特級試薬)26.9gを1000mlの蒸留水に溶解し、水溶液を作製した。この炭酸水素ナトリウム水溶液を500rpmで攪拌しながら、上記作製した水溶液と25%アンモニア水溶液とを同時に滴下し、滴下中pH7.0になるようにコントロールした後、マンガン、コバルト及びニッケルを含む炭酸塩の粒子である乳白色の沈殿物を得た。その後、洗浄・吸引濾過し、120℃で乾燥した。さらに200℃で酸化処理をすることで、マンガン、コバルト及びニッケルを含む前駆体酸化物粒子を得た。この前駆体酸化物粒子は一次粒子が凝集した二次粒子であった。
(正極活物質の作製)
本実施例の正極活物質の作製は実施例1と同じ方法で得た。正極活物質の組成は、Li[Li0.2Co0.07Ni0.17Mn0.56]Oであった。また、一次粒子が凝集した二次粒子であり、直径は2.7μであった。SEM写真を図5に示し、全体の組成比及び表層の組成比は表1に示す。
(比較例3)
(前駆体酸化物粒子の作製)
本実施例の正極活物質の前駆体であるマンガン、コバルト及びニッケルを含む酸化物粒子(前駆体酸化物粒子)は、撹拌時間を120分と長くしたこと以外は実施例1と同じ方法で得た。
(正極活物質の作製)
本実施例の正極活物質の作製は実施例1と同じ方法で得た。正極活物質の組成は、Li[Li0.2Co0.07Ni0.17Mn0.56]Oであった。また、一次粒子が凝集した二次粒子であり、直径は2.5μであった。SEM写真を図6に示し、全体の組成比及び表層の組成比は表1に示す。
(リチウムイオン二次電池用正極活物質の電気化学的評価)
上記実施例及び比較例で得られた正極活物質を用いて以下の手順で評価セルを作製し、初期充放電特性及び高い電流密度条件での放電特性の評価を行った。
実施例及び比較例で得られた正極活物質75質量部、導電材としてアセチレンブラック
(電気化学工業製のデンカブラック)10質量部、及びバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(ダイキン社製、F104)15質量部を混合し、活物質重量が所定量となるように電極シートを作製した。
作製した電極シートを直径17mmの円形に打ち抜いた後、導電性ペースト(日本黒鉛工業社製、バニーハイトT−602)を用いて20μmのAl箔に接着し、170℃で10時間真空乾燥し、電池特性評価用の正極とした。作製した正極の物性を下記表1に示す。
作製したセルの25℃における初期充放電特性を以下に示す試験条件にて評価した。
初期充放電容量の測定は、480mA/g(0.2C)の一定電流で4.8Vまで充電し、続いて48mA/g(2C)の定電流で2.0Vまで放電して行った。その後、240mA/g(1C)、120mA/g(0.5C)の一定電流で同様に行った後、実用的な速度である、48mA/gの一定電流で4.8Vまで充電し、続いて48mA/gの定電流で2.0Vまで放電して行った。
上記実施例及び比較例の2Cの放電容量と測定された480mA/g(0.2C)放電容量に対する48mA/g(2C)放電容量の維持率を表1に示す。また、実施例1、2及び比較例1〜3の0.2C〜2Cの放電曲線を図7〜11に示す。
上記測定結果より、実施例1および2における2Cの放電容量は、150mAh/g以上であり、比較例1〜3に比べ非常に高かった。また、(0.2C)放電容量に対する(2C)放電容量の維持率も60%以上であり、比較例1〜3に比べ非常に高かった。すなわち、本発明の正極活物質を用いた電池特性評価用の正極は、初期充放電特性に優れ、高容量化を達成することができた。

Claims (11)

  1. 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(2)を満たす、正極活物質。
    Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
    (式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
    9.0≦Ni−Ni≦20.0 (2)
    (式中、Niはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%)を表し、Niはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%)を表す。)
  2. 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)
    Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
    (式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
    で表され、かつ当該リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が0.45以上0.70以下である、正極活物質。
  3. 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が下記式(1)で表される正極活物質であって、
    Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
    (式中、MeはMn以外およびNi以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、b>c、0≦d≦0.2を満たす)
    で表され、かつ当該リチウム複合酸化物の表層部におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)と全体におけるマンガン組成比(Mn)に対するニッケル組成比(Ni)が、0.20を超え0.60未満である、正極活物質。
  4. 前記正極活物質が球状粒子であり、当該球状粒子の直径が200nm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質。
  5. 前記球状粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子からなることを特徴とする請求項4記載の正極活物質。
  6. Meは、コバルト(Co)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、バナジウム(V)、およびタングステン(W)の中から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項5記載の正極活物質。
  7. Meは少なくともコバルト(Co)を含むことを特徴とする請求項5記載の正極活物質。
  8. 遷移金属として少なくともマンガンとニッケルを含有するリチウム複合酸化物を含み、当該リチウム複合酸化物全体の組成が、下記式(1)
    Li[LiMnNiMe1−b−c]O2−d (1)
    (式中、MeはMn、Ni以外の遷移金属の中から選ばれる少なくとも1種類の元素であり、a、b、c、dは、0<a<1/3、0<b<1、0<c<2/3、0≦d≦0.2を満たす)
    で表される正極活物質であって、下記(i)〜(iii)の工程
    (i)Mn、Ni及びMeを含む水酸化物および/または炭酸塩からなり、下記式(2)
    9.0≦Ni−Ni≦20.0 (2)
    (式中、Niはリチウム複合酸化物全体のニッケル組成比(at%)を表し、Niはリチウム複合酸化物の表層部におけるニッケル組成比(at%)を表す。)
    を満たす粒子を100℃〜550℃で酸化させる工程
    (ii)上記(i)で得られた酸化物とリチウム塩とを混合して混合物を得る工程、
    (iii)前記混合物を熱処理する工程を含む固相法
    によって得られる、正極活物質。
  9. 上記請求項1〜8のいずれかに記載の正極活物質と、導電助剤と、バインダーとを含む、合材電極。
  10. 上記請求項9に記載の合材電極と集電体とからなる、非水電解質二次電池用正極。
  11. 上記請求項10に記載の非水電解質二次電池用正極を含む、非水電解質二次電池。
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