JP2016070823A - 振動検出部品、これを用いた音響装置及び情報機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成で高感度に振動を検出することのできる振動検出部品を提供する。【解決手段】 振動検出部品は、光透過性を有する振動板と、前記振動板の内部に向けて前記振動板の法線に対して一定の傾斜角度で光を照射する発光素子と、前記発光素子から出射され前記振動板と当該振動板が接する媒質との界面で反射された前記光を受光して受光量に応じた電気信号を出力する受光素子と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、振動検出部品と、これを用いた音響装置及び情報機器に関する。
スマートフォン等の情報機器のユーザーインターフェースでは、表示画面にタッチセンサを重ねて搭載する、あるいは表示画面にタッチセンサを組み込むことで、表示装置と入力装置を同一の面に統合している。表示装置と入力装置の双方を小型の筐体上に十分な面積で搭載することで、使用者の利便性を高めている。近年、フィルムスピーカーと呼ばれる薄型スピーカー技術が発展しており、表示画面に薄型スピーカーを重ねることで、携帯性を損ねることなく従来の携帯機器よりも大きな面積のスピーカーを搭載することが可能になってきている。大面積のスピーカーは、従来から携帯機器に使用されてきた小型のスピーカーと較べて、低音の出力に優れる。また使用者の正面に配置できるので、使用者にとって再生音がより明瞭になる。
一般に、スピーカーにおいて振動板の質量は音質の設計の上で重要な要素である。同一の面に、画面表示、タッチセンサ入力部、平面スピーカーのインターフェースが重ねられた機器を想定した場合、画面の保護シール・反射防止フィルタなどの貼り付け、汚れの付着などにより、振動板の質量が設計された値から外れて再生音や周波数特性が変化する。また、振動板のヤング率やポアソン比といった材料物理特性が温度変化や経時により変化した場合も、再生音が変動する。組み立てや環境の変化による再生音の変化は、スマートフォン等の携帯機器に限らず、壁掛け式テレビ等の画面にフィルムスピーカを組み込む場合にも発生する。
入力された音声信号がスピーカーで設計された特性通りに再生されないという問題に対して、スピーカーの振動板の変位を検出し、変位量をスピーカー駆動アンプにフィードバックすることで、設計により意図された再生音からの誤差を最小化する解決法がある。小型マイクロフォンに適した振動検出方法として、振動板の内部に屈折率が異なるパタンを形成して光導波路とし、振動板のたわみによる透過光の強度の変化から振動板の変位を検出する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2002−243537号公報
従来の振動検出方法をスピーカーの振動板の変位検出に用いる場合、スピーカーの直径が10 cm程度だとすると、1μm程度の微小な変位を検出する必要があり、従来手法で十分な感度を得るのは困難である。また、従来の構成では、検出感度を上げるためにたわみやすい部位を振動板の一部に形成しているが、これをスピーカーの振動板に適用すると、スピーカーの振動特性の劣化が懸念される。
そこで、簡易な構成で高感度に振動板の振動を検出することのできる技術を提供することを課題とする。
ひとつの態様では、振動検出部品は、
光透過性を有する振動板と、
前記振動板の内部に向けて前記振動板の法線に対して一定の傾斜角度で光を照射する発光素子と、
前記発光素子から出射され、前記振動板と当該振動板が接する媒質との界面で反射された前記光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する受光素子と、
を有する。
簡易な構成で、振動板の振動を高感度で検出することができる。この技術を薄型スピーカーに適用する場合、フィードバック制御による再生音質向上が可能となる。
実施形態の振動検出部品の概略構成図である。 振動検出の原理を説明する図である。 振動板表面に光反射層を配置した例を示す図である。 振動検出部品の受光素子近傍の拡大図である。 振動検出部品の変形例1として、受光素子を振動板の面内方向に配置したときのスポット位置の変化と変位量の関係を説明する図である。 振動検出部品の変形例2として、受光素子を振動板の面内方向に対して斜めに配置したときのスポット位置の変化と変位量の関係を説明する図である。 変形例2で単一の受光素子を用いた場合の構成例を示す図である。 変形例2で2つの受光素子を用いた場合の構成例を示す図である。 変形例2で3つ以上の受光素子を用いた場合の構成例を示す図である。 振動検出部品の変形例3として、複数の異なる測定光路を設定する場合の配置例を示す正面図である。 発光素子を振動板の内部に組み込む例を示す図である。 振動検出部品をスピーカ又はマイクロフォンの前面板に適用する例を示す図である。 実施形態の振動検出部品を用いたスピーカーの概略構成図である。 実施形態の振動検出部品を情報機器に適用したときの構成例を示す図である。 実施形態の振動検出部品を情報機器に適用したときの別の例を示す図である。 実施形態の振動検出部品を情報機器に適用したときのさらに別の例を示す図である。
以下で図面を参照して発明の実施形態を説明する。
図1は実施形態の振動検出部品10Aの概略構成を示す。図1(A)は断面図、図1(B)は正面図である。この例では、振動検出部品10Aは表示装置の前面板に適用される。振動検出部品10Aは、光透過性の振動板11と、振動板11の内部に法線方向に対して一定の傾斜角度をもって光を出射する発光素子12と、振動板11と外部媒質(空気、水等)との界面で反射された前記光を受けて振動板11の変位に関する電気信号に変換する受光素子13を有する。
図1の構成例では、振動板11、発光素子12、及び受光素子13が、フレーム14に保持され、発光素子12と受光素子13は円形の振動板11の直径を通る軸O上の対向する位置に配置されてる。振動板11はガラスや樹脂等の透明な素材で形成され、内部を光が透過することができる。フレーム14は、振動検出部品10Aにとって必須ではないが、用いる場合は振動板11と同等またはそれ以上の剛性を持つ素材で形成されているのが望ましい。
実施形態では、後述するように振動板11の変位に応じて発光素子12から発せられた光の光路が変化することを利用して、振動板11の変位または振動を検出する。発光素子12と受光素子13を一定の剛性を有するフレーム14に固定することで、フレーム14の曲げ歪みのような振動以外の要因による光路の変化を抑制する。フレーム14は、必ずしも振動板11の全周を保持する必要はなく、振動板11の一部を保持する構成でもよい。
発光素子12は、発光ダイオードやレーザーダイオード等を用いることができる。必要に応じて発光素子12にスリットやレンズを備えたものを用い、出射光の拡散を抑制して平行な光ビームを得る。受光素子13には、フォトダイオードやフォトトランジスタ、硫化カドミウム(CdS)セルなど、光量を電気信号に変換する素子を用いる。
図2は、振動検出部品10Aの振動検出の原理を説明する図である。発光素子12は、振動板11の内部に斜め方向に光を出射する。振動板11の法線方向の軸をX、面内方向の軸をOとすると、発光素子12からの光と法線(軸X)のなす角度(入射角)はθ1である。受光素子13は、振動板11の内部を透過し、表面で反射された光を受光する。ここで、発光素子12と受光素子13の間の距離をL、振動板11の厚さをDとする。
実線で描かれた振動板11は初期位置aにあり、外部の振動体や媒質(気体、液体等)からなんら振動を受けていない。初期位置aは自由位置と称してもよく、この位置にある振動板11の変位をゼロとする。この場合、振動板11と外部媒質との界面で反射された光は光路aを通って受光素子13に入射する。
振動板11が振動すると、破線で示すように、振動板11の位置が法線(X軸)方向に変位する。振動板11の表面で反射された光は光路bを通って受光素子13に入射する。振動板11の変位量がΔXであるとき、受光素子13上でのスポット位置はΔPだけ変化する。
振動板11の変位と光路の変化を関連づける方法としていくつかの方法が考えられるが、図2では、振動板11と振動板11に接する気体(たとえば空気)との間の全反射を用いる。発光素子12から発せられた光が、受光素子13に到達するまでに一度だけ振動板11と空気の界面で全反射を起こす場合を考える。
振動板11の屈折率をn1とし、振動板11と接している空気の屈折率をn2とすると、
sinθ1 > n2/n1 (1)
を満たし、かつ、
tanθ1≒L/2D (2)
を満たす場合に、スポット位置の変化ΔPから振動板11の変位量ΔXを求めることができる。式(1)は全反射のために必要な条件、式(2)は、1回だけ全反射した光のスポットがちょうど受光素子13またはその近傍に到達する条件である。
このとき、受光素子13でのスポット位置の変化ΔPは、光路aと光路bの間の法線(軸X)に沿った方向での距離2×ΔXに等しい。
ΔP=2ΔX (3)
式(3)は、図2(B)に示すように、発光素子12からの出射光と振動板11の表面が成す角度をθ2とすると(θ2=90°−θ1)、全反射面を鏡として合同な直角三角形が2つできることからも説明される。
後述するように、受光素子13を2つ以上配置して、受光素子13からの電流信号の変化に基づいてスポット位置の変化を検出し、振動量を求めることができる。あるいは、後述するように、単一の受光素子13を用いて、光スポットのサイズと受光素子13の有効受光面積とのずれに基づいて、スポット位置の変化を検出して振動量を求めてもよい。この構成により、振動板11のサイズに依らず、振動板11の変位量を高感度に検出することができる。
図3は、振動検出部品10Aの振動板11の表面に光反射層15を形成する例を示す。光反射層15は、たとえば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、パラジウム−銀(Pd−Ag)合金などの高反射率の金属を蒸着して形成される。振動板11の表面に光反射層15を設けることで、光ビームの全反射を利用する代わりに、鏡面反射を利用する。鏡面反射を利用するので、式(1)の全反射条件sinθ1 > n2/n1を満たさなくても、変位量または振動の検出が可能になる。また、光反射層15により、外部からの光(迷光)による検出感度の低下を防ぐことができる。
図3の構成は、振動板11の表面が不透明になるので、表示装置の前面板として用いることはできないが、表示装置の背面板として用いることができる。したがって、表示機器の表示面の裏側にフィルムスピーカを重ねて配置する場合等に、表示面のサイズに依らず設計された周波数特性からのずれを感度良く検知することができる。
図4は、受光素子13周辺の拡大断面図である。図2の光反射層15のない振動板11を表示装置の前面板として用いる場合、外部から振動板11に入射する光が直接受光素子13に入射するおそれがある。その場合、振動板11の変位検出の妨げとなる。
そこで、振動板11を保持するフレーム14の内側の端部と受光素子13の受光面との間の距離Mを、D×n1/|(n2)2−(n1)21/2よりも大きくとる。
M>D×n1/|(n2)2−(n1)21/2 (4)
ここで、右辺のD×n1/|(n2)2−(n1)21/2は、臨界角度の条件を計算したものであり、外部から振動板11に入射する光が一回屈折して軸Oに沿って進む距離d1を表わす。これにより、外部から振動板11に入射する光が受光素子13に直接到達することを防止する。
外部からの入射光がフレーム14で反射した後に受光素子13に入射する場合も、同様に振動板11の変位の検出の妨げとなる。したがって、式(4)の距離MをD×n1/|(n2)2−(n1)21/2の3倍以上長くとるのが望ましい。外部からの光は、受光素子13に到達するまでに少なくともフレーム14によって3回反以上反射され、強度が弱くなるため、検出感度への影響を小さく抑えることができる。
別の方法として、フレーム14の振動板11を保持する面に光の反射を抑制する素材、または光を吸収する素材を用いてもよい。あるいはフレーム14の内面(振動板11の保持面)に光の反射を抑制する表面加工を行うことで、外部からの入射光が受光素子13に到達することを防止してもよい。
<変形例1>
図5は、変形例1として、振動検出部品10Bの構成を示す。振動検出部品10Bでは、受光素子23を振動板11の面内方向に配置する。この場合、受光素子23上でのスポット位置の変化ΔPは、振動板11の変位量ΔXを用いて式(5)で表すことができる。
ΔP=2LΔX/D (5)
ここで、Dは振動板の厚さ、Lは初期位置における発光素子12から受光素子23の受光位置までの軸Oに沿った距離である。
発光素子12から出射した光が振動板11の初期位置で全反射される点をP1、光路aを通って受光素子13に入射する点をP3、変位後の光路bと初期位置の振動板11の表面との交点をP2、光路bを通って受光素子13に入射する点をP4とすると、P1−P2−P4−p3を結ぶ平行四辺形ができる。スポット位置の変化ΔPは、P1とP2間の長さd2に等しい。長さd2は2×ΔX/tanθ2=2×L×ΔX/Dで求められる。したがって、受光素子23上のスポット位置の変化ΔPから、振動板11の変位量ΔXを求めることができる。
図5のように、受光素子23を軸Oに沿って(すなわち面内方向に)配置した場合、受光素子23上での光のスポット位置の変化は2LΔX/Dとなるので、図2の垂直配置(振動板11の厚さ方向に配置)に比べて、振動板11の小さい振幅を光スポット位置の大きな変化として検出することができる。外部からの入射光を防止するという観点からは、図5の構成を、図3のように表面に光反射層15を配置した構成と組み合わせるのが望ましい。
<変形例2>
図6は、変形例2として、振動検出部品10Cの構成を示す。振動検出部品10Cでは、受光素子33を振動板11の法線(軸X)に対して角度φ傾けて配置する。この場合、受光素子33上でのスポット位置の変化ΔPは、振動板11の変位量ΔXを用いて式(6)で表すことができる。
ΔP=2ΔX cosθ2/cos(φ−θ2) (6)
ここでθ2は発光素子12からの出射光が振動板11の入射面に対してなす角(すなわち90°−θ1)である。光路aと光路bに直交する補助線を引き、光路aと光路bの間の距離をd3とすると、d3=2ΔX cosθ2であるから、
cos(φ−θ2)=ΔP/d=ΔP/2ΔX cosθ2 (7)
となって、式(6)のΔPが求まる。
角度θ2は、tanθ2=D/2Lから振動板11の厚さと、発光素子12と受光素子33間の距離Lで決まるが、角度φは受光素子33の配置の設計により自由に変えることができる。振動検出部品を大口径のスピーカーに適用する場合、光ビームの光路長の増大につれてビーム径が大きくなる傾向にあること、大口径スピーカーでは同じ音量を得るための振動板11の変位が小口径のスピーカーよりも小さくなること、から振動検出感度が低減するおそれがある。このような場合に、受光素子33を斜め配置して角度φを調整することで、スピーカのサイズ(口径)に合わせて最適な振動検出感度を得ることができる。
図7は、単一の受光素子33を斜め配置する構成例を示す。受光素子33を一つ用いる場合、振動板11の振動により反射光の光路位置がずれることで、光スポットのサイズと受光素子33の有効な受光面積にずれが生じる。有効な受光面積は、受光素子33からの電流量により求めることができる。有効受光面積のずれに基づいて振動板11の変位を検出することができる。
図8は、受光素子を2つ用いる構成例を示す。受光素子33aと33bを、その受光面が同一平面となるように並べて配置し、初期位置で光スポットが、両方の受光面の真ん中に達するように設計する。この場合、図8(B)に示すように、2つの受光素子33aと33bで検出される光量(電流)の差がゼロになる。振動板11の振動により光路が変化し、光スポットが受光素子33a側にずれたときに光量差がマイナス方向に変化し、光スポットが受光素子33b側にずれたときに光量差はプラス方向に変化する。この方法は線形性に優れ、振動板11の変位の絶対量を変位の方向を含めて正確に計測することができる。もっとも、受光位置の検出方法は図(B)の例に限定されず、光量の変化の方向は図8(B)と逆方向であってもよいし、光量差の替わりに2つの受光素子33a、33bでの光量(電流)の比を用いてもよい。
図9は、受光素子33を3以上並べた構成例を示す。たとえばフォトダイオードを複数配置した場合、最大の光量を検出した素子の位置の変化は、フォトダイオードの配列ピッチに対応した離散的な変位として検出することができる。図9の構成に、図8の隣接する素子間の光量差(あるいは光量比)の変化を組み合わせることで、フォトダイオードの配列ピッチよりも微小な変位をアナログ的に検出することも可能である。これにより広いダイナミックレンジが確保できる。
なお、図7〜9の構成、及び図8と図9を組み合わせる構成のいずれも、図2の法線方向への受光素子の配置や、変形例1の面内配置にも適用することができる。
<変形例3>
図10は、変形例3の振動検出部品10Dの構成を示す。振動検出部品10Dでは、発光素子12と受光素子13の間で異なる測定光路を設定する。図10の例では、発光素子12aと受光素子13aの間の測定光路、発光素子12aと受光素子13cの間の測定光路、発光素子12bと受光素子13bの間の測定光路が設定されている。光ビームの進行方向を変えることで振動板11の中心以外の箇所での振動(変位)を検出することができる。
スピーカーの径によっては、受光素子13上での光スポットの位置の変化が過大となる可能性があるが、変位が中央に比べて小さい辺縁部の振動を検出するようにすれば、大振幅でも飽和しない振動検出が可能となる。
また、発光素子12と受光素子13のペアを複数を用いることで、振動板11の複数の位置での振動の検出が可能となる。図10のように、受光素子13a、13cに対して発光素子12aを共通に用いて光ビームを分割することで、発光素子の数を削減することも可能である。
<変形例4>
図11は、変形例4の振動検出部品10Eの構成を示す。図2の基本構成と変形例1〜3では、発光素子12と受光素子13(又は23又は33)をフレーム14に固定したが、図11のように、発光素子12と受光素子13(又は23又は33)を振動板11の内部に埋め込むことも可能である。
この場合、振動板11の表面に電極16を形成して発光素子12及び受光素子13(又は23又は33)と配線接続する。フレーム14に、素子側の電極16と対向する電極17を配置しておき、フレーム14で振動板11を挟み込む構成にする。これにより、振動検出感度を振動板11と発光素子12及び受光素子13(又は23又は33)の設計だけで決定することができる。振動検出部品10Eをフレーム14にはめ込むだけで、異なる振動検出感度の振動検出部品10Eに交換可能になり、組み立て工程の効率化、簡素化が実現する。
<適用例>
図12は、振動検出部品10をスピーカーあるいはマイクロフォン用の前面板30に適用する例を示す。振動検出部品10は、上述した振動検出部品10A〜10Eのいずれの構成を採用してもよい。前面板30は、振動検出部品10と、励振機構20を有する。励振機構20で振動検出部品10の振動板11を振動させる。励振機構20を、たとえば振動検出部品10を保持するフレーム14の内面に取り付ける。たわみが振動板11に伝搬し、振動板11全体から発音するスピーカー、あるいは振動板11全体で集音するマイクロフォンを構成することができる。スピーカーによる音声出力と、振動検出部品10による振動検出は両立可能である。同様にマイクロフォンによる集音と、振動検出部品10による振動検出は両立可能である。励振機構20を透明なピエゾ素子と透明電極で形成する場合は、振動検出部品10の光透過性を損なうことなく、振動板11の裏面あるいは表面に大面積の励振機構20を配置することも可能である。励振機構をボイスコイルとマグネットで構成してもよい。
図13は、前面板30を音響装置としてのスピーカー40に適用した例を示す。前面板30の振動検出部品10で振動板11の変位を検出し、検出信号を信号変換回路35に供給する。信号変換回路35は、受光素子13による検出光量(あるいは光スポット位置)の変位量を、振動板11の変位に対応した電気信号に変換して出力する。信号変換回路35は、PI(Proportional-Integral)制御回路やPID(Proportional-Integral-Derivative)制御回路等の安定化回路であってもよいし、ルックアップテーブル(LUT)による信号変換回路であってもよい。
変換された電気信号は増幅回路31にフィードバックされる。増幅回路31は、フィードバック信号に基づいて、実際の再生音と設計された再生音との誤差を最小にするスピーカー駆動信号を生成し出力する。スピーカー駆動信号は励振機構20に供給されて、励振強度が調整される。この構成により、スピーカー40の再生音質が向上する。
フィルムスピーカーを用いた場合、通常は、スピーカー用の前面板30の特性、励振機構20の特性、前面板30への物質の付着や環境温度変化などが原因となり、再生すべき電気信号と実際に出力される音響との間に誤差が生じる。フィードバック制御によりその誤差を補正することで、入力信号に従ったより正確な音響出力が可能となる。前面板30に実施形態の振動検出部品10A〜10Eを用いることで、振動板11の内部を透過する光の光路変化に基づいて振動板11の振動量を高感度に検出することができ、安定した再生音を出力することができる。
図14は、実施形態の前面板30を情報機器1Aに適用した例を示す。図14(A)は正面図、図14(B)は側面図である。この例では、振動検出部品10を表示部2の表示面2aに重ねて配置し、励振機構20を表示部2と隣接するように情報機器1Aの筐体5内に配置する。表示部2は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)2bと図示しないタッチセンサを含む。
情報機器1Aはまた、図示はしないが信号変換回路35や増幅回路31を有する。スピーカー駆動信号の入力を受けて、励振機構20が表示部2の端部を励振すると、振動検出部品10を含む表示画面全体が振動する。音声再生中に振動検出部品10による変位の検出およびフィードバック制御が実行されることは上述のとおりである。これにより薄型の情報機器1Aの表示画面全体から安定した再生音が出力される。
図15は、実施形態の前面板30を情報機器1Bに適用した例を示す。図15(A)は正面図、図15(B)は側面図である。図14と同様に、振動検出部品10が表示部2の前面に配置されている。励振機構20は、表示部2の背面に配置される。励振機構20を表示部2の背面に配置することで、画面の視認性を損なうことなく、表示画面全体を励振することが可能である。
図16は、実施形態の前面板30を情報機器1Cに適用した例を示す。この例では、振動板11に複数の発光素子12と受光素子13を配置した振検出部品10を用いる。この例では、2つの励振機構20が表示部2の背面の異なる位置に取り付けられ、それぞれの励振機構20に対応して、発光素子12と受光素子13のペアが配置される。発光素子12と受光素子13のペアで、励振機構に対応した位置で振動板11の変位を検出する。この構成により、単一の表示面2a上で、複数のチャネルの発音が可能となる。
実施形態の振動検出部品10を用いた前面板30は、情報機器1A〜1Cはもとより、視覚の提示を目的とする任意の装置の前面に重ねることで、表示画面に重ねて高音質の音源を配置することができる。装置の表示画面を最大に利用した大面積のスピーカーにより、臨場感を高めることができる。たとえば、水槽や絵画の透明カバーのような視覚の展示を目的とするもののほか、窓などにも適用することができる。
振動板11の形状は、矩形や円形に限定されず、正方形、楕円形、菱形、六角形等、任意の形状が可能である。振動板11の大きさや形状に依らず、高感度で振動板11の振動の変化を検知することができるので、前面板30に物理特性の変化が生じる場合でも、振動特性の変化による音質劣化を防止し、原音に忠実な再生が可能となる。
以上の説明について以下の付記を提示する。
(付記1)
光透過性を有する振動板と、
前記振動板の内部に向けて前記振動板の法線に対して一定の傾斜角度で光を照射する発光素子と、
前記発光素子から出射され、前記振動板と当該振動板が接する媒質との界面で反射された前記光を受光して、前記振動板の振動に関する電気信号に変換する受光素子と、
を有することを特徴とする振動検出部品。
(付記2)
前記振動板は前記振動板よりも屈折率の低い外部媒質と接し、前記界面は全反射条件を満たすことを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記3)
前記振動板、前記発光素子及び前記受光素子を保持するフレーム、
をさらに有し、
前記振動板の屈折率をn1、前記外部媒質の屈折率をn2、前記振動板の厚さをD、前記振動板を保持する前記フレームの内側端部から前記受光素子までの距離をMとすると、
M>D×n1/|(n2)2−(n1)21/2
を満たすことを特徴とする付記2に記載の振動検出部品。
(付記4)
前記振動板の表面に形成された光反射層、
をさらに有し、前記振動板と前記光反射層の前記界面は鏡面反射条件を満たすことを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記5)
前記発光素子と前記受光素子は、前記振動板をはさんで互いに対向するように前記振動板の内部に埋め込まれていることを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記6)
前記振動板を保持するフレーム、
をさらに有し、
前記振動板の表面に、前記発光素子及び前記受光素子との電気的な接続を取る素子電極が設けられ、前記フレームの前記素子電極と対向する位置に対向電極が設けられていることを特徴とする付記5に記載の振動検出部品。
(付記7)
前記受光素子の受光面は、前記振動板の前記法線方向の軸と平行に配置されていることを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記8)
前記受光素子の受光面は、前記振動板の前記法線方向の軸と垂直に配置されていることを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記9)
前記受光素子の受光面は、前記振動板の前記法線方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記10)
前記発光素子と前記受光素子のペアが2以上配置されることを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記11)
前記発光素子と前記受光素子を結ぶ点は、前記振動板の中心を通らないことを特徴とする付記1に記載の振動検出部品。
(付記12)
付記1〜11のいずれか1項に記載の振動検出部品と、
前記振動検出部品を振動させる励振機構と、
前記振動検出部品から出力される前記電気信号と音声入力信号とに基づいて前記励振機構を駆動する駆動信号を生成する増幅回路と、
を有することを特徴とする音響装置。
(付記13)
前記電気信号を前記振動板の振動または変位量を表わす制御信号に変換する信号変換回路、
をさらに有し、前記制御信号が前記増幅回路に入力されることを特徴とする付記12に記載の音響装置。
(付記14)
表示部と、
前記表部の前面または背面に配置される付記1〜11のいずれか1項に記載の振動検出部品と、
前記振動検出部品を振動させる励振機構と、
前記振動検出部品から出力される前記電気信号と音声入力信号とに基づいて前記励振機構を駆動する駆動信号を生成する増幅回路と、
を有することを特徴とする情報機器。
1A〜1C 情報機器
2 表示部
2a 表示面
10、10A〜10E 振動検出部品
11 振動板
12 発光素子
13 受光素子
14 フレーム
20 励振機構
30 前面板
40 スピーカ(音響装置)

Claims (8)

  1. 光透過性を有する振動板と、
    前記振動板の内部に向けて前記振動板の法線に対して一定の傾斜角度で光を照射する発光素子と、
    前記発光素子から出射され、前記振動板と当該振動板が接する媒質との界面で反射された前記光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する受光素子と、
    を有することを特徴とする振動検出部品。
  2. 前記振動板は前記振動板よりも屈折率の低い外部媒質と接し、前記界面は全反射条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の振動検出部品。
  3. 前記振動板、前記発光素子及び前記受光素子を保持するフレーム、
    をさらに有し、
    前記振動板の屈折率をn1、前記外部媒質の屈折率をn2、前記振動板の厚さをD、前記振動板を保持する前記フレームの内側端部から前記受光素子までの距離をMとすると、
    M>D×n1/|(n2)2−(n1)21/2
    を満たすことを特徴とする請求項2に記載の振動検出部品。
  4. 前記振動板の表面に形成された光反射層、
    をさらに有し、前記振動板と前記光反射層の前記界面は鏡面反射条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の振動検出部品。
  5. 前記発光素子と前記受光素子は、前記振動板をはさんで互いに対向するように前記振動板の内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の振動検出部品。
  6. 前記振動板を保持するフレーム、
    をさらに有し、
    前記振動板の表面に、前記発光素子及び前記受光素子との電気的な接続を取る素子電極が設けられ、前記フレームの前記素子電極と対向する位置に対向電極が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の振動検出部品。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動検出部品と、
    前記振動検出部品を振動させる励振機構と、
    前記振動検出部品から出力される前記電気信号と音声入力信号とに基づいて前記励振機構を駆動する駆動信号を生成する増幅回路と、
    を有することを特徴とする音響装置。
  8. 表示画面と、
    前記表示画面の前面または背面に配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動検出部品と、
    前記振動検出部品を振動させる励振機構と、
    前記振動検出部品から出力される前記電気信号と音声入力信号とに基づいて前記励振機構を駆動する駆動信号を生成する増幅回路と、
    を有することを特徴とする情報機器。
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