JP2018185446A - 反射防止膜、光デバイスおよび反射防止膜の製造方法 - Google Patents

反射防止膜、光デバイスおよび反射防止膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止膜に照射された光の反射を確実に抑制できる反射防止膜を提供する。【解決手段】反射防止膜1は基板2上に設置され導電体を含む遮光層6と、遮光層6上に設置され誘電体を含む第1透過層7と、第1透過層7上に設置され導電体を含む半透過層8と、半透過層8上に設置され誘電体を含む第2透過層9と、を備え、遮光層6及び半透過層8は第1透過層7及び第2透過層9より消衰係数が大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止膜、光デバイスおよび反射防止膜の製造方法に関するものである。
光を照射する鏡をトーションバーで支持し鏡を搖動させる光スキャナーが特許文献1に開示されている。それによると、鏡には平面コイルが設置され、平面コイルの近くには磁石が設置されている。そして、コイルに交流の電流を流すことにより鏡が搖動する。
鏡に光を照射するとき光の一部が鏡を支持する支持体を照射する。支持体で反射した光は不要な光となって進行する。この不要な光は鏡で反射した光に対するノイズとなる。特許文献1の光スキャナーは支持体に反射防止膜を設置して不要な光が支持体から反射することを防止した。
光を吸収するフィルターが特許文献2に開示されている。それによると、フィルターはチタン膜と酸化アルミニウム膜とを交互に積層してフィルターを透過する光の強さを調整している。
特開2006−39156号公報 特開2007−206136号公報
特許文献1の反射防止膜はSiO2、TiO2、ZnO2等を積層した膜である。しかし、SiO2、TiO2、ZnO2は光が膜に吸収される程度を示す消衰係数が低い。このため、支持体の表面に反射率の高い膜が設置されているときには支持体で反射する光の影響を受けやすい。つまり、支持体の反射率の影響を受けやすかった。そこで、支持体等の基板の反射率が高いときにも反射防止膜に照射された光の反射を確実に抑制することができる反射防止膜が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる反射防止膜であって、基板上に設置され導電体を含む遮光層と、前記遮光層上に設置され誘電体を含む第1透過層と、前記第1透過層上に設置され導電体を含む半透過層と、前記半透過層上に設置され誘電体を含む第2透過層と、を備え、前記遮光層及び前記半透過層は前記第1透過層及び前記第2透過層より消衰係数が大きいことを特徴とする。
本適用例によれば、基板上に遮光層、第1透過層、半透過層及び第2透過層がこの順に設置されている。遮光層及び半透過層は導電体を含み、第1透過層及び第2透過層は誘電体を含んでいる。光は第2透過層において半透過層の反対側から入射される。この第2透過層に光が入射される面を入射面とする。入射面から入射する光の一部は第2透過層及び半透過層を通過する。さらに、光は第1透過層を進行して第1透過層と遮光層との界面に至る。第1透過層と遮光層との界面では一部の光が反射して進行方向を変える。そして、反射した光は第1透過層及び半透過層を通過し、第2透過層を進行して入射面に到達する。
第2透過層を進行する光の一部は入射面で反射して半透過層を通過して第1透過層に向かって進行する。半透過層は消衰係数が大きいので半透過層を通過するときに光強度が減衰して熱に変換される。従って、第1透過層と遮光層との界面と入射面との間を進行する光は半透過層を通過する毎に減衰する。
第1透過層と遮光層との界面では一部の光が遮光層に進入する。遮光層は消衰係数が大きいので、遮光層を進行する光の一部は遮光層に吸収される。従って、基板の反射率が高いときにも遮光層が光を消衰させることができる。その結果、基板の反射率が高いときにも反射防止膜に照射された光の反射を反射防止膜が確実に抑制することができる。
[適用例2]
上記適用例にかかる反射防止膜において、前記遮光層の材質はチタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄のいずれかを含み、前記第1透過層の材質は酸化アルミニウムを含み、前記半透過層の材質はチタンを含み、前記第2透過層の材質は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする。
本適用例によれば、遮光層の材質はチタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄のいずれかを含んでいる。チタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄は二酸化ケイ素、酸化チタン、過酸化亜鉛に比べて消衰係数が大きいので通過する光を効率よく減衰させることができる。半透過層の材質はチタンを含んでいる。チタンは二酸化ケイ素、酸化チタン、過酸化亜鉛に比べて消衰係数が大きいので通過する光を効率よく減衰させることができる。第1透過層及び第2透過層の材質は酸化アルミニウムを含んでいる。酸化アルミニウムは屈折率が空気とチタンとの間である。屈折率の差が大きい程反射率が高くなる。従って、光が空中から酸化アルミニウムの層に進入するときの反射率を光が空中からチタンの層に進入するときの反射率より小さくできる。その結果、基板上に遮光層だけを設置したときに比べて反射防止膜の反射率を小さくできる。
[適用例3]
上記適用例にかかる反射防止膜において、前記遮光層の厚みは前記半透過層の厚みより厚いことを特徴とする。
本適用例によれば、遮光層の厚みは半透過層の厚みより厚くなっている。遮光層の厚みを厚くすることにより確実に遮光層に進入する光を減衰させることができる。従って、基板の反射率が高いときにも遮光層に入射した光を遮光層が確実に減衰させることができる。
[適用例4]
上記適用例にかかる反射防止膜において、前記遮光層は厚みが80nm以上150nm以下のチタンであることを特徴とする。
本適用例によれば、遮光層の材質はチタンであり、遮光層の厚みが80nm以上になっている。遮光層の厚みが80nm以上のとき、遮光層を通過して反射する光の影響を低減できる。また、遮光層の厚みを150nm以下にすることにより生産性良く遮光層を製造することができる。
[適用例5]
上記適用例にかかる反射防止膜において、前記第1透過層は厚みが70nm以上90nm以下の酸化アルミニウムであり、前記半透過層は厚みが9nm以上12nm以下のチタンであり、前記第2透過層は厚みが60nm以上80nm以下の酸化アルミニウムであることを特徴とする。
本適用例によれば、第1透過層は厚みが70nm以上90nm以下の酸化アルミニウムになっている。そして、半透過層の厚みが9nm以上12nm以下のチタンになっている。そして、第2透過層の厚みが60nm以上80nm以下の酸化アルミニウムになっている。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率を低減する厚みに設定されているので、反射防止膜は光の反射を確実に抑制することができる。
[適用例6]
上記適用例にかかる反射防止膜において、前記第1透過層の厚みが75nm以上85nm以下であり、前記半透過層の厚みが10nm以上11nm以下であり、前記第2透過層の厚みが65nm以上75nm以下であることを特徴とする。
本適用例によれば、第1透過層の厚みが75nm以上85nm以下になっている。そして、半透過層の厚みが10nm以上11nm以下になっている。そして、第2透過層の厚みが65nm以上75nm以下になっている。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率をさらに低減する厚みに設定されているので、反射防止膜は光の反射をさらに確実に抑制することができる。
[適用例7]
本適用例にかかる光デバイスであって、光吸収部を備え、前記光吸収部に上記に記載の反射防止膜が設置されていることを特徴とする。
本適用例によれば、光デバイスは光吸収部を備えている。そして、光吸収部には上記に記載の反射防止膜が設置されている。この反射防止膜は基板に遮光層、第1透過層、半透過層及び第2透過層が設置されている。この構造の反射防止膜は光吸収部に照射された光の反射を確実に抑制することができる。したがって、光デバイスは光吸収部を照射する光の反射を確実に抑制することができる。
[適用例8]
上記適用例にかかる光デバイスにおいて、光を反射する鏡を有し、前記光吸収部は前記鏡を回転可能に支持するトーションバーを有し、前記鏡は前記鏡を照射する光線の進行方向を走査することを特徴とする。
本適用例によれば、光デバイスは光を反射する鏡を有している。そして、光吸収部は鏡を回転可能に支持するトーションバーを有している。トーションバーがねじれることにより鏡が回転する。そして、鏡が回転することにより、光デバイスは鏡を照射する光線の進行方向を走査する。
そして、光吸収部には反射防止膜が設置されている。この反射防止膜は照射された光の反射を確実に抑制することができる。したがって、光デバイスは鏡を照射する光を反射して、トーションバーを照射する光の反射を確実に抑制することができる。
[適用例9]
本適用例にかかる反射防止膜の製造方法であって、基板上に遮光層を設置し、前記遮光層上に第1透過層を設置し、前記第1透過層上に半透過層を設置し、前記半透過層上に第2透過層を設置し、前記第1透過層及び前記第2透過層の少なくとも一方を設置するときにALCVD法を用いたことを特徴とする。
本適用例によれば、反射防止膜の製造方法では、基板上に遮光層、第1透過層、半透過層及び第2透過層をこの順に設置している。そして、第1透過層及び第2透過層の少なくとも一方を設置するときにALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法を用いている。ALCVD法は酸化アルミニウムを原子レベルで積層できるので第1透過層及び第2透過層の少なくとも一方に精度良い膜厚の酸化アルミニウム層を設置することができる。
第1の実施形態にかかわる反射防止膜の構造を示す模式側断面図。 反射防止膜を光が進行して減衰する様子を説明するための模式図。 遮光層の膜厚に対する反射率の関係を示す図。 第1透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図。 半透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図。 第2透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図。 反射防止膜の製造方法のフローチャート。 反射防止膜の製造方法を説明するための模式図。 反射防止膜の製造方法を説明するための模式図。 反射防止膜の製造方法を説明するための模式図。 反射防止膜の製造方法を説明するための模式図。 反射防止膜の製造方法を説明するための模式図。 6インチシリコンウエハー上に形成した反射防止膜の反射率の分布を示す図。 第2の実施形態にかかわる画像表示装置の構成を示す構成図。 光スキャナーの構造を示す模式上面図。 光スキャナーの構造を示す模式側断面図。 歪検出素子を駆動する回路の回路図。
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、基板上に設置された反射防止膜と、この反射防止膜を製造する特徴的な例について図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる反射防止膜について図1〜図6に従って説明する。図1は、反射防止膜の構造を示す模式側断面図である。図1に示すように、反射防止膜1は基板2上に設置されている。基板2は剛性及び耐熱性を有する構造体であれば良く、基板2の材質は特に限定されない。例えば、基板2にはシリコン基板、ガラス板、金属板、セラミック基板等を用いることができる。本実施形態では、例えば、基板2の材質はシリコンである。従って、基板2は半導体やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に用いられる基板になっている。反射防止膜1は基板2を照射する光が反射することを抑制する膜である。
詳しくは、基板2上に第1絶縁膜3が設置され、第1絶縁膜3上に配線4が設置されている。第1絶縁膜3及び配線4上には第2絶縁膜5が設置されている。第1絶縁膜3及び第2絶縁膜5が配線4を覆って設置されているので、配線4に電流が流れるときにも配線4を流れる電流が基板2や反射防止膜1に漏えいすることが抑制されている。尚、配線4に代えてピエゾ抵抗素子等の電気素子を設置しても良い。
このように、基板2上に設置された第1絶縁膜3、配線4及び第2絶縁膜5等の部位の上に反射防止膜1が設置されても良く、基板2に重ねて反射防止膜1が設置されても良い。
第2絶縁膜5上には遮光層6が設置されている。遮光層6は第1絶縁膜3、配線4及び第2絶縁膜5を介して基板2上に設置されている。遮光層6は反射防止膜1において最も基板2側の層である。遮光層6は導電体を含む層である。導電体の材質は光の消衰係数が大きく正反射性材料で且つ材料反射率が低いものが好ましい。遮光層6における導電体の材質には例えばチタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄等の金属及びこれらの金属の合金を含むのが好ましい。これらの金属は材料反射率が70以下であり、水銀、アルミニウム、銀よりも材料反射率が低い。本実施形態では、例えば、遮光層6における導電体の材質にチタンが用いられている。従って、遮光層6はチタンからなる膜であるが、チタン以外の含有物を含む膜にしても良い。
遮光層6上に第1透過層7が設置されている。第1透過層7は誘電体を含む層である。誘電体の材質は導電体より光の屈折率が小さな材質が好ましく、本実施形態では、例えば、酸化アルミニウム(Al23)が採用されている。そして、第1透過層7の材質は酸化アルミニウムであるが、酸化アルミニウムを含み酸化アルミニウム以外の含有物を含む膜にしても良い。酸化アルミニウムの屈折率は1.66を示し、SiO2の屈折率:1.46に及ばないものの、低屈折率材料として好適である。
第1透過層7上に半透過層8が設置されている。半透過層8は導電体を含む層である。導電体の材質は光の消衰係数が大きな材質であれば良く、本実施形態では、例えば、チタンが採用されている。そして、半透過層8の材質はチタンであるが、チタンを含みチタン以外の含有物を含む膜にしても良い。
半透過層8上に第2透過層9が設置されている。第2透過層9は誘電体を含む層である。誘電体の材質は導電体より光の屈折率が小さな材質であれば良く、本実施形態では、例えば、酸化アルミニウムが採用されている。そして、第2透過層9の材質は酸化アルミニウムであるが、酸化アルミニウムを含み酸化アルミニウム以外の含有物を含む膜にしても良い。
そして、遮光層6及び半透過層8は第1透過層7及び第2透過層9より消衰係数が大きくなっている。遮光層6及び半透過層8に用いられるチタンの消衰係数は波長が400nm〜700nmのとき1.2から3.0の間で変化する。第1透過層7及び第2透過層9に用いられる酸化アルミニウムの消衰係数は0に近い値を示す。したがって、チタンは酸化アルミニウムより消衰係数が大きい。
図2は反射防止膜を光が進行して減衰する様子を説明するための模式図である。図2に示すように、光10は第2透過層9において半透過層8の反対側で空気中から入射される。図中光軸10aは光10の強度が最も高い部分が進行する軌跡を示している。そして、破線で示す光10の幅は光10の強度を示している。光10の幅が広い場所は光10の強度が強く、光10の幅が狭い場所は光10の強度が弱い状態を示している。
第2透過層9に光10が入射される面を入射面9aとする。入射面9aから入射する光10の一部は第2透過層9及び半透過層8を通過して第1透過層7を進行して第1透過層7と遮光層6との界面6aに至る。第1透過層7と遮光層6との界面6aでは一部の光10が反射して進行方向を変える。そして、反射した光10は第1透過層7及び半透過層8を通過し、第2透過層9を進行して入射面9aに到達する。
第2透過層9を進行する光10の一部は入射面9aで反射して半透過層8を通過して第1透過層7に向かって進行する。半透過層8は消衰係数が大きいので半透過層8を通過するときに光強度が減衰して熱に変換される。従って、第1透過層7と遮光層6との界面6aと入射面9aとの間を進行する光10は半透過層8を通過する毎に大きく減衰する。
第1透過層7と遮光層6との界面6aでは一部の光10が遮光層6に進入する。遮光層6は消衰係数が大きいので、遮光層6を進行する光は遮光層6に吸収される。従って、基板2や配線4の反射率が高いときにも遮光層6が光10を消衰させることができる。その結果、基板2や配線4の反射率が高いときにも反射防止膜1に照射された光10の反射を反射防止膜1が確実に抑制することができる。
遮光層6及び半透過層8の材質はチタンを含んでいる。チタンは二酸化ケイ素、酸化チタン、過酸化亜鉛に比べて消衰係数が大きいので通過する光10を効率よく減衰させることができる。第1透過層7及び第2透過層9の材質は酸化アルミニウムを含んでいる。光10の波長が400nm〜700nmの範囲で、空気の屈折率が約1.0である。酸化アルミニウムの屈折率が1.66程度である。そして、チタンの屈折率は1.7〜2.7の間で変化する。このとき、酸化アルミニウムは屈折率が空気とチタンとの間である。屈折率の差が大きい程反射率が高くなる。従って、光が空中から酸化アルミニウムの層に進入するときの反射率を光が空中からチタンの層に進入するときの反射率より小さくできる。その結果、基板上に遮光層6だけを設置したときに比べて反射防止膜1の反射率を小さくできる。
遮光層6の厚みは半透過層8の厚みより厚くなっている。遮光層6の厚みを厚くすることにより確実に遮光層6に進入する光10を減衰させることができる。従って、遮光層6に入射した光を遮光層6が確実に減衰させることができる。その結果、基板2の反射率が高いときにも基板2を照射する光10を反射防止膜1が確実に減衰させることができる。
図3は遮光層の膜厚に対する反射率の関係を示す図である。図3において、横軸は遮光層6の膜厚を示し、縦軸は遮光層6で反射する光の反射率を示している。遮光層6はチタンの膜である。そして、遮光層6上に第1透過層7、半透過層8及び第2透過層9が設置されていない状態のデータになっている。膜厚反射率相関線11は遮光層6の膜厚と遮光層6で反射する光10の反射率の関係を示している。尚、膜厚反射率相関線11は基板2上に第1絶縁膜3及び第2絶縁膜5を合わせた二酸化シリコンの膜が200nmの厚みで設置され、そのうえにチタンの遮光層6が設置された状態での遮光層6の膜厚と反射率との関係を示している。遮光層6に照射される光10の波長は700nmである。
膜厚反射率相関線11が示すように遮光層6の膜厚が40nmから70nmの範囲では反射率が大きく変化している。この範囲では光10の一部が遮光層6を透過して下層の第1絶縁膜3、第2絶縁膜5及び基板2に到達している。そして、第1絶縁膜3、第2絶縁膜5及び基板2で光10が反射して遮光層6を通過している。遮光層6の膜厚が80nm以上の範囲では反射率が60%近辺でほぼ一定の反射率になっている。この範囲では遮光層6を進行する光10が遮光層6で減衰して消滅している。そして、第1絶縁膜3、第2絶縁膜5及び基板2で光10が反射しても、光10は遮光層6を通過しない状態になっている。
従って、遮光層6の厚みは80nm以上であることが好ましい。遮光層6の厚みが80nm以上のとき、遮光層6を通過して反射する光の影響を低減できる。また、遮光層6の厚みは150nm以下であることが好ましい。遮光層6をスパッタ法を用いて製造するとき、膜厚が厚くするほど成膜にかかる時間が長くなるので生産性が低下する。従って、遮光層6の厚みを150nm以下にすることにより生産性良く遮光層6を製造することができる。
図4は第1透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図である。図4において、横軸は反射防止膜1に照射する光10の波長を示し、縦軸は反射防止膜1で反射する光10の反射率を示している。遮光層6の厚みが90nm、半透過層8の厚みが10.24nm、第2透過層9の厚みが70nmに設定されている。そして、第1透過層7の厚みを65nmから95nmまで5nm毎に変更して反射防止膜1に照射する光10の波長と反射防止膜1で反射される反射率との関係をシミュレーションした結果が図中に示されている。
遮光層6の材質はチタン、第1透過層7の材質は酸化アルミニウム、半透過層8の材質はチタン、第2透過層9の材質は酸化アルミニウムである。第1透過層の第1相関線12aは膜厚が65nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。第1透過層の第2相関線12bは膜厚が70nmのとき、第1透過層の第3相関線12cは膜厚が75nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
第1透過層の第4相関線12dは膜厚が80nmのとき、第1透過層の第5相関線12eは膜厚が85nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。第1透過層の第6相関線12fは膜厚が90nmのとき、第1透過層の第7相関線12gは膜厚が95nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
対象とする光10の波長を450nm〜650nmの範囲にする。この範囲で反射率が2%以下になっているのは、第1透過層の第2相関線12b、第1透過層の第3相関線12c、第1透過層の第4相関線12d、第1透過層の第5相関線12e及び第1透過層の第6相関線12fである。従って、第1透過層7の膜厚を70nm〜90nmにすることにより、反射率を2%以下に低減することができる。
反射率が1%以下になっているのは、第1透過層の第3相関線12c、第1透過層の第4相関線12d、第1透過層の第5相関線12eである。従って、第1透過層7の膜厚を75nm〜85nmにすることにより、反射率を1%以下に低減することができる。さらに、第1透過層7の膜厚を80nmにすることにより、反射率を0.6%以下に低減することができる。
図5は半透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図である。図5において、横軸は反射防止膜1に照射する光10の波長を示し、縦軸は反射防止膜1で反射する光10の反射率を示している。遮光層6の厚みが90nm、第1透過層7の厚みが78nm、第2透過層9の厚みが70nmに設定されている。そして、半透過層8の厚みを8nmから13nmまで1nm毎に変更し、加えて、半透過層8の厚みを10.24nmにしたときの反射防止膜1に照射する光10の波長と反射防止膜1で反射される反射率との関係をシミュレーションした結果が図中に示されている。
遮光層6の材質はチタン、第1透過層7の材質は酸化アルミニウム、半透過層8の材質はチタン、第2透過層9の材質は酸化アルミニウムである。半透過層の第1相関線13aは膜厚が8nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。半透過層の第2相関線13bは膜厚が9nmのとき、半透過層の第3相関線13cは膜厚が10nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
半透過層の第4相関線13dは膜厚が10.24nmのとき、半透過層の第5相関線13eは膜厚が11nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。半透過層の第6相関線13fは膜厚が12nmのとき、半透過層の第7相関線13gは膜厚が13nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
対象とする光10の波長を450nm〜650nmの範囲にする。この範囲で反射率が2%以下になっているのは、半透過層の第2相関線13b、半透過層の第3相関線13c、半透過層の第4相関線13d、半透過層の第5相関線13e、半透過層の第6相関線13fである。従って、半透過層8の膜厚を9nm以上12nm以下にすることにより、反射率を2%以下に低減することができる。
反射率が1%以下になっているのは、半透過層の第3相関線13c、半透過層の第4相関線13d、半透過層の第5相関線13eである。従って、半透過層8の膜厚を10nm以上11nm以下にすることにより、反射率を1%以下に低減することができる。さらに、半透過層8の膜厚を10.24nmにすることにより、反射率を0.7%以下に低減することができる。
図6は第2透過層の膜厚をパラメーターとして光の波長に対する反射防止膜の反射率の関係を示す図である。図6において、横軸は反射防止膜1に照射する光10の波長を示し、縦軸は反射防止膜1で反射する光10の反射率を示している。遮光層6の厚みが90nm、第1透過層7の厚みが78nm、半透過層8の厚みが10.24nmに設定されている。そして、第2透過層9の厚みを55nmから85nmまで5nm毎に変更して反射防止膜1に照射する光10の波長と反射防止膜1で反射される反射率との関係をシミュレーションした結果が図中に示されている。
遮光層6の材質はチタン、第1透過層7の材質は酸化アルミニウム、半透過層8の材質はチタン、第2透過層9の材質は酸化アルミニウムになっている。第2透過層の第1相関線14aは膜厚が55nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。第2透過層の第2相関線14bは膜厚が60nmのとき、第2透過層の第3相関線14cは膜厚が65nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
第2透過層の第4相関線14dは膜厚が70nmのとき、第2透過層の第5相関線14eは膜厚が75nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。第2透過層の第6相関線14fは膜厚が80nmのとき、第2透過層の第7相関線14gは膜厚が85nmのときの光10の波長に対する反射率の関係を示す。
対象とする光10の波長を450nm〜650nmの範囲にする。この範囲で反射率が2%以下になっているのは、第2透過層の第2相関線14b、第2透過層の第3相関線14c、第2透過層の第4相関線14d、第2透過層の第5相関線14e、第2透過層の第6相関線14fである。従って、第2透過層9の膜厚を60nm〜80nmにすることにより、反射率を2%以下に低減することができる。
反射率が1%以下になっているのは、第2透過層の第3相関線14c、第2透過層の第4相関線14d、第2透過層の第5相関線14eである。従って、第2透過層9の膜厚を65nm〜75nmにすることにより、反射率を1%以下に低減することができる。さらに、第2透過層9の膜厚を70nmにすることにより、反射率を0.7%以下に低減することができる。
以上のシミュレーション結果より、反射防止膜1の第1透過層7の厚みが70nm以上90nm以下であり、半透過層8の厚みが9nm以上12nm以下であり、第2透過層9の厚みが60nm以上80nm以下であるのが好ましい。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率を低減する厚みに設定されているので、反射防止膜1は光10の反射を確実に抑制することができる。
以上のシミュレーション結果より、反射防止膜1の第1透過層7の厚みが75nm以上85nm以下であり、半透過層8の厚みが10nm以上11nm以下であり、第2透過層9の厚みが65nm以上75nm以下であるのが好ましい。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率をさらに低減する厚みに設定されているので、反射防止膜1は光の反射をさらに確実に抑制することができる。
以上のシミュレーション結果より、反射防止膜1の第1透過層7の厚みが80nmであり、半透過層8の厚みが10.24nmであり、第2透過層9の厚みが70nmであるのが好ましい。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率をさらに低減する厚みに設定されているので、反射防止膜1は光の反射をさらに確実に抑制することができる。
次に上述した反射防止膜1の製造方法について図7〜図12にて説明する。図7は、反射防止膜の製造方法のフローチャートであり、図8〜図12は反射防止膜の製造方法を説明するための模式図である。図7のフローチャートにおいて、ステップS1は遮光層設置工程に相当し、基板上である第2絶縁膜5上に遮光層6を設置する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は第1透過層設置工程であり、遮光層6上に第1透過層7を設置する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は半透過層設置工程であり、第1透過層7上に半透過層8を設置する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は第2透過層設置工程であり、半透過層8上に第2透過層9を設置する工程である。以上の工程により反射防止膜1が完成する。
次に、図8〜図12を用いて、図7に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図8及び図9はステップS1の遮光層設置工程に対応する図である。図8に示すように、基板2を用意する。基板2はシリコン基板である。そして、基板2には第1絶縁膜3及び第2絶縁膜5が設置されている。第1絶縁膜3及び第2絶縁膜5は二酸化シリコンの膜であり、CVD法を用いて成膜されている。第1絶縁膜3と第2絶縁膜5との間には、配線や電気素子が設置されていても良い。
図9に示すように、ステップS1において、第2絶縁膜5上に遮光層6を成膜する。遮光層6の材料はチタンである。遮光層6の厚みが80nm以上であれば良いので、本実施形態では、例えば、遮光層6の厚みを90nmにする。厚みが薄い方が成膜する時間を短くすることができるので、生産性良く遮光層6を設置することができる。
遮光層6の設置方法にはスパッタ法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。本実施形態では、例えば、遮光層6の設置方法にはスパッタ法を採用した。スパッタ法において膜の成長速度を遅く設定することにより膜厚の精度を高めることができる。
図10はステップS2の第1透過層設置工程に対応する図である。図10に示すように、ステップS2において、遮光層6上に第1透過層7を設置する。第1透過層7の材料は酸化アルミニウムである。第1透過層7の厚みは75nm〜85nmであれば良いので、本実施形態では、例えば、第1透過層7の厚みを80nmにする。
第1透過層7の設置方法にはALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法を用いるのが好ましい。ALCVDは酸化アルミニウムが原子レベルで1層毎成膜されるので精度の良い膜厚にすることができる。
ALCVDは公知の方法であり、概要のみ説明する。基板2上にキャリアガス及びガス状のトリメチルアルミニウムを投入する。基板上の酸素原子とアルミニウム原子とが結合する。このとき、アルミニウムと結合していたメチルがアルミと分離する。基板2に付着したアルミニウム原子が核となってアルミニウム膜が基板の表面に沿って成長する。アルミニウムが基板2を覆ったところで、基板2上に漂うガス状のトリメチルアルミニウム及びメチルを除去する。この除去することをパージという。
次に、基板2上に酸素ガスを投入する。基板2上に並ぶアルミニウムと酸素が結合する。基板2上の総てのアルミニウムが酸素と結合したところで、酸素ガスを除去する。以上の工程で基板2上に酸化アルミニウムが1層分形成される。第1透過層7の厚みが80nmになるまで以上の工程を繰り返す。
ALCVD法を用いることにより酸化アルミニウムを原子レベルで積層できる。従って、第1透過層7に精度良い膜厚の酸化アルミニウム層を設置することができる。
図11はステップS3の半透過層設置工程に対応する図である。図11に示すように、ステップS3において、第1透過層7上に半透過層8を設置する。半透過層8の材料はチタンである。半透過層8の厚みは10nm以上11nm以下であれば良いので、本実施形態では、例えば、半透過層8の厚みを10.24nmにする。
半透過層8の設置方法にはスパッタ法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。本実施形態では、例えば、半透過層8の設置方法には遮光層6の設置方法と同じスパッタ法を採用した。スパッタ法において膜の成長速度を遅く設定することにより膜厚の精度を高めることができる。
図12はステップS4の第2透過層設置工程に対応する図である。図12に示すように、ステップS4において、半透過層8上に第2透過層9を設置する。第2透過層9の材料は酸化アルミニウムである。第2透過層9の厚みは65nm〜75nmであれば良いので、本実施形態では、例えば、第2透過層9の厚みを70nmにする。
第2透過層9の設置方法は第1透過層7と同じALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法を用いるのが好ましい。ALCVD法を用いることにより酸化アルミニウムを原子レベルで積層できる。従って、第2透過層9に精度良い膜厚の酸化アルミニウム層を設置することができる。以上の工程により反射防止膜1が完成する。
図13は6インチシリコンウエハー上に形成した反射防止膜の反射率の分布を示す図である。図13において、横軸は反射防止膜1に照射する光10の波長を示し、縦軸は反射防止膜1で反射する光10の反射率を示している。中心部の相関線15aはウエハーを厚み方向から見たときの中央部における光10の波長に対する反射率の関係を示す。ウエハーは円板状であり、中央部は外周の円の中心の部分を示す。ウエハーを厚み方向から見たときウエハーの中心を通り直交する2つの線で4分割する。この線とウエハーの中心を中心にして半径が2インチの円とが交差する4つの点を時計回りに上側点、右側点、下側点、左側点とする。
上側部の相関線15bは上側点における光10の波長に対する反射率の関係を示す。右側部の相関線15cは右側点における光10の波長に対する反射率の関係を示す。下側部の相関線15dは下側点における光10の波長に対する反射率の関係を示す。左側部の相関線15eは左側点における光10の波長に対する反射率の関係を示す。中心部の相関線15a〜左側部の相関線15eは反射防止膜1に照射する光10の波長と反射防止膜1で反射される反射率との関係を測定した結果である。
対象とする光10の波長を450nm〜650nmの範囲にする。この範囲では中心部の相関線15a、上側部の相関線15b、右側部の相関線15c、下側部の相関線15d及び左側部の相関線15eにおいて反射率が2%以下になっている。この結果からウエハーの総ての場所において反射率がほぼ2%以下になっているといえる。従って、本実施形態の製造方法を用いることで、ウエハー面内に極めて均一性良く各層の反射防止膜を形成できる。その結果、6インチウエハー全面に渡って均一性の高い反射率を得ることができる。
反射防止膜1の膜厚は219nm〜333nmである。反射防止膜1の膜厚が250nmのときの膜応力は60MPaであった。第1絶縁膜3及び第2絶縁膜5のSiO2の膜では膜応力が180MPa〜250MPaになるので、SiO2の膜に比べて反射防止膜1は膜応力を極めて小さくできる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板2上に遮光層6、第1透過層7、半透過層8及び第2透過層9がこの順に設置されている。遮光層6及び半透過層8は導電体を含み、第1透過層7及び第2透過層9は誘電体を含んでいる。光10は第2透過層9において半透過層8の反対側の入射面9aから入射される。入射面9aから入射する光10の一部は第2透過層9及び半透過層8を通過して第1透過層7を進行して第1透過層7と遮光層6との界面6aに至る。第1透過層7と遮光層6との界面6aでは一部の光10が反射して進行方向を変える。そして、反射した光10は第1透過層7及び半透過層8を通過し、第2透過層9を進行して入射面9aに到達する。
第2透過層9を進行する光10の一部は入射面9aで反射して半透過層8を通過して第1透過層7に向かって進行する。半透過層8は消衰係数が大きいので半透過層8を通過するときに光強度が減衰して熱に変換される。従って、第1透過層7と遮光層6との界面6aと入射面9aとの間を進行する光は半透過層8を通過する毎に減衰する。
第1透過層7と遮光層6との界面6aでは一部の光10が遮光層6に進入する。遮光層6は消衰係数が大きいので、遮光層6を進行する光10は遮光層6に吸収される。従って、基板2の反射率が高いときにも遮光層6が光10を消衰させることができる。その結果、基板2の反射率が高いときにも反射防止膜1に照射された光10の反射を反射防止膜1が確実に抑制することができる。基板2と遮光層6との間に反射率が高い配線や素子があるときにも反射防止膜1に照射された光10の反射を反射防止膜1が確実に抑制することができる。
(2)本実施形態によれば、遮光層6の材質はチタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄のいずれかを含んでいる。チタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄は二酸化ケイ素、酸化チタン、過酸化亜鉛に比べて消衰係数が大きいので通過する光10を効率よく減衰させることができる。半透過層8の材質はチタンを含んでいる。チタンは二酸化ケイ素、酸化チタン、過酸化亜鉛に比べて消衰係数が大きいので通過する光を効率よく減衰させることができる。第1透過層7及び第2透過層9の材質は酸化アルミニウムを含んでいる。酸化アルミニウムは屈折率が空気とチタンとの間である。屈折率の差が大きい程反射率が高くなる。従って、光が空中から酸化アルミニウムの層に進入するときの反射率を光が空中からチタンの層に進入するときの反射率より小さくできる。その結果、基板2上に遮光層6だけを設置したときに比べて反射防止膜1の反射率を小さくできる。
(3)本実施形態によれば、遮光層6の厚みは半透過層8の厚みより厚くなっている。遮光層6の厚みを厚くすることにより確実に遮光層6に進入する光10を減衰させることができる。従って、基板2の反射率が高いときにも遮光層6に入射した光を遮光層6が確実に減衰させることができる。
(4)本実施形態によれば、遮光層6の厚みが80nm以上になっている。遮光層6の厚みが80nm以上のとき、遮光層6を通過して反射する光10の影響を低減できる。また、遮光層6の厚みを150nm以下にすることにより生産性良く遮光層6を製造することができる。
(5)本実施形態によれば、第1透過層7の厚みが70nm以上90nm以下になっている。そして、半透過層8の厚みが9nm以上12nm以下になっている。そして、第2透過層9の厚みが60nm以上80nm以下になっている。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率を低減する厚みに設定されているので、反射防止膜1は光10の反射を確実に抑制することができる。
(6)本実施形態によれば、第1透過層7の厚みは75nm以上85nm以下が好ましい。そして、半透過層8の厚みは10nm以上11nm以下が好ましい。そして、第2透過層9の厚みは65nm以上75nm以下が好ましい。このとき、波長が450nm〜650nmの光に対して各層が反射率をさらに低減する厚みに設定されるので、反射防止膜1は光10の反射をさらに確実に抑制することができる。
(7)本実施形態によれば、反射防止膜1の製造方法では、基板2上に遮光層6、第1透過層7、半透過層8及び第2透過層9をこの順に設置している。従来の反射防止膜にSiO2を成膜するときにはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられていた。プラズマCVD法は成膜レートを安定性良く成膜することが難しく、面内均一性が低いので精度良い膜厚にすることが難しい。
一方、第1透過層7及び第2透過層9を設置するときにALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法を用いている。ALCVD法を用いることにより酸化アルミニウムを原子レベルで積層できるので第1透過層7及び第2透過層9に精度良い膜厚の酸化アルミニウム層を設置することができる。
(8)本実施形態によれば、反射防止膜1の膜厚は219nm〜333nmである。反射防止膜1は薄いのでドライエッチングを用いて容易に部分的に除去することができる。従って、反射防止膜1を容易にパターニングできる。また、基板2に応力が加わり難いので基板2が反ることを抑制することができる。
(9)本実施形態によれば、反射防止膜1はチタンと酸化アルミニウムとで構成することができる。このとき、反射防止膜1はフッ化水素に腐食され難い膜である。従って、基板2をフッ化水素ベーパーにてエッチングすることができる。その結果、基板2にスティクションが生じやすい構造物があるときにもフッ化水素ベーパーにてエッチングして構造物を製造することができる。
(10)本実施形態によれば、基板2サイズが6インチであっても、反射率を2%以下にすることができる。従って、広い範囲に反射防止膜1を設置することができる。
(11)本実施形態によれば、反射防止膜1の材料はチタンとアルミニウム及び酸素である。これらの材料は容易に入手可能である。そして、製造方法も入手しやすい装置で製造することができる。従って、反射防止膜1は容易に製造することができる。
(第2の実施形態)
次に、画像表示装置の一実施形態について図14から図17を用いて説明する。本実施形態の画像表示装置には第1の実施形態に記載の反射防止膜1が適用されている。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図14は、画像表示装置の構成を示す構成図である。図14に示す画像表示装置18は、スクリーンや壁面等のスクリーン19に光線となっている描画用レーザー光20を2次元的に走査することにより画像を表示する装置である。画像表示装置18は、描画用レーザー光20を射出する描画用光源ユニット21と、描画用レーザー光20を走査する光デバイスとしての光スキャナー22と、光スキャナー22で走査した描画用レーザー光20を反射させるミラー23と、描画用光源ユニット21及び光スキャナー22の作動を制御する制御部24とを有している。尚、ミラー23は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
描画用光源ユニット21は、赤色、緑色、青色の各色の光源としてのレーザー光源25r、25g、25bと、レーザー光源25r、25g、25bに対応して設けられたコリメーターレンズ26r、26g、26b及びダイクロイックミラー27r、27g、27bと、を備えている。
レーザー光源25r、25g、25bは、それぞれ、光源を駆動する図示しない駆動回路を有している。そして、レーザー光源25rは、赤色のレーザー光20rを射出し、レーザー光源25gは、緑色のレーザー光20gを射出し、レーザー光源25bは、青色のレーザー光20bを射出する。レーザー光20r、20g、20bは、それぞれ、制御部24から送信される駆動信号に対応して射出され、コリメーターレンズ26r、26g、26bによって平行光または略平行光にされる。レーザー光源25r、25g、25bとしては、例えば、端面発光半導体レーザー、面発光半導体レーザー等の半導体レーザーを用いることができる。半導体レーザーを用いることにより、レーザー光源25r、25g、25bの小型化を図ることができる。
このようなレーザー光源25r、25g、25bの配置に倣って、ダイクロイックミラー27r、ダイクロイックミラー27g、ダイクロイックミラー27bが配置されている。ダイクロイックミラー27rは、レーザー光20rを反射する特性を有している。ダイクロイックミラー27gは、レーザー光20gを反射するとともに、レーザー光20rを透過する特性を有している。ダイクロイックミラー27bは、レーザー光20bを反射するとともに、レーザー光20r、20gを透過する特性を有している。これらダイクロイックミラー27r、27g、27bによって、各色のレーザー光20r、20g、20bが合成されて光としての描画用レーザー光20となる。
光スキャナー22は描画用レーザー光20を反射する鏡としての反射面22aを備え、描画用光源ユニット21が射出する描画用レーザー光20は反射面22aを照射する。光スキャナー22は水平軸28を軸として反射面22aを揺動し、垂直軸29を軸として反射面22aを揺動する。これにより描画用レーザー光20は垂直及び水平の2方向に走査することができる。つまり、光スキャナー22は描画用レーザー光20を2次元走査する機能を有している。反射面22aで反射された描画用レーザー光20はミラー23で反射されてスクリーン19を照射する。そして、描画用レーザー光20によりスクリーン19に所定のパターンが描画される。
図15は光スキャナーの構造を示す模式上面図である。図16は光スキャナーの構造を示す模式側断面図であり、図15のAA線に沿う面からみた断面図である。図15及び図16に示すように、光スキャナー22は、有底角筒状の筐体32を備え、筐体32の底板32aは四角形となっている。底板32a上には角筒状の側板32bが立設されている。筐体32の内側では底板32a上に磁心33及びコイル34が設置されている。磁心33の形状は円柱状であり、磁心33を囲んでコイル34が配置されている。磁心33及びコイル34により電磁石が構成されている。コイル34には電圧印加部35が接続され、電圧印加部35はコイル34に電流を供給する。
筐体32の底板32aの1辺が延在する方向をX方向とする。X方向は水平軸28が延在する方向である。底面においてX方向と直交する方向をY方向とする。Y方向は垂直軸29が延在する方向である。磁心33の厚み方向をZ方向とする。筐体32の側板32bは底板32aからZ方向に延びている。Z方向は反射面22aが向く方向である。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ直交する。描画用レーザー光20は+Z方向側から照射され、反射面22aにて反射した描画用レーザー光20は+Z方向側に進行する。
筐体32上には構造体37が設置されている。構造体37はZ方向から見た形状が四角形の筒状の支持連結部40を備え、支持連結部40は側板32bに重ねて設置されている。支持連結部40のZ方向を向く面には酸化膜40aが設置されている。支持連結部40のZ方向側には外形形状が四角形の支持部41が設置されている。
支持部41においてY方向の中央にはX方向に延在するトーションバーとしての第3軸部42及びトーションバーとしての第4軸部43が設置されている。第3軸部42と第4軸部43とは対向して水平軸28に沿って配置されている。第3軸部42と第4軸部43との間には変位部44が設置されている。
第3軸部42は一端が支持部41と接続され、他端が変位部44と接続されている。同様に、第4軸部43の一端が支持部41と接続され、他端が変位部44と接続されている。これにより、第3軸部42及び第4軸部43が変位部44を支持する構造となっている。
第3軸部42及び第4軸部43は一対のトーションバーとして機能し、変位部44が水平軸28を回転軸にして揺動する。変位部44は板状の板状部材45と枠部としての磁石支持部46とから構成されている。磁石支持部46は板状部材45の−Z方向側に位置し筒状の形状となっている。
磁石支持部46の磁心33側には永久磁石47が設置されている。永久磁石47はコイル34及び磁心33からなる電磁石により駆動される。
変位部44においてX方向の中央にはY方向に延在するトーションバーとしての第1軸部48及びトーションバーとしての第2軸部49が設置されている。第1軸部48と第2軸部49とは対向して垂直軸29に沿って配置されている。第1軸部48と第2軸部49との間には可動板50が設置されている。可動板50は円形の板状であり、可動板50のZ方向側の面が反射面22aとなっている。
第1軸部48では一端が変位部44と接続され、他端が可動板50と接続されている。同様に、第2軸部49では一端が変位部44と接続され、他端が可動板50と接続されている。これにより、第1軸部48及び第2軸部49が可動板50を支持する構造となっている。第1軸部48及び第2軸部49は一対のトーションバーとして機能し、可動板50が垂直軸29を回転軸にして揺動する。
可動板50は垂直軸29を回転軸にして揺動または往復回動する第1の振動系を構成する。第1軸部48及び第2軸部49はトーションバーとして機能し第1軸部48及び第2軸部49は所定のばね定数を有している。可動板50が揺動するときの固有振動数は第1軸部48及び第2軸部49のばね定数と可動板50の質量とにより決まる。尚、トーションバーはねじり棒ばねとも呼ばれている。変位部44は水平軸28を回転軸にして揺動または往復回動する第2の振動系を構成する。永久磁石47、コイル34、磁心33及び電圧印加部35は、前述した第1の振動系及び第2の振動系を駆動させる駆動手段を構成する。
垂直軸29を回転軸にして可動板50を揺動するとともに、水平軸28を回転軸にして変位部44を揺動する。これにより、可動板50及び反射面22aを互いに直交する水平軸28、垂直軸29の2軸まわりに揺動させることができる。
可動板50のZ方向を向く面には光反射部としての反射膜51が設置され、照射する描画用レーザー光20の一部は反射膜51の表面である反射面22aで反射される。可動板50及び反射膜51により光反射部としての反射体52が構成されている。
変位部44の−Z方向側には磁石支持部46を介して永久磁石47が接合されている。変位部44、磁石支持部46及び永久磁石47は接着剤を用いて接着されている。永久磁石47は、Z方向から見た平面視において垂直軸29と水平軸28との交点を中心として対称となるように配置されている。
永久磁石47は水平軸28及び垂直軸29の両軸に対して傾斜する方向に延在する棒状をなしている。そして、永久磁石47は、その長手方向に磁化されている。+X方向かつ+Y方向の側の永久磁石47はN極に磁化され、−X方向かつ−Y方向の側の永久磁石47はS極に磁化されている。永久磁石47は平面視にて水平軸28及び垂直軸29に対してN極とS極とを結ぶ線分が傾斜する方向に磁化されている。
永久磁石47の直下には、コイル34及び磁心33が設けられている。コイル34は、磁心33に巻回されて設けられている。これにより、コイル34で発生した磁界を効率的に永久磁石47に作用させることができる。コイル34は電圧印加部35に電気的に接続されている。そして、電圧印加部35によりコイル34に電圧が印加されることで、コイル34から水平軸28及び垂直軸29に直交する磁束を有する磁界が発生する。
第3軸部42及び第4軸部43の支持部41側には歪検出素子53が設置されている。歪検出素子53は第3軸部42及び第4軸部43の表面の歪に応じて抵抗値が変化する素子である。第3軸部42及び第4軸部43がねじれるとき、回転角度に応じて歪検出素子53が歪む。そして、歪検出素子53の抵抗値を検出することにより第3軸部42及び第4軸部43の回転角を検出することが可能になっている。
第3軸部42及び第4軸部43の材質はシリコンであり、歪検出素子53は第3軸部42及び第4軸部43のシリコン単結晶に不純物をドーピングすることにより形成されている。歪検出素子53はピエゾ抵抗素子ともいわれる。歪検出素子53に接続して図示しない配線が設置されている。配線の材質はアルミニウムであり描画用レーザー光20を反射し易い材料で形成されている。
支持部41、第3軸部42、第4軸部43、変位部44、第1軸部48及び第2軸部49には+Z方向側に面に反射防止膜1が設置されている。支持部41、第3軸部42、第4軸部43、変位部44、第1軸部48及び第2軸部49は照射される光10や描画用レーザー光20を吸収する光吸収部54である。そして、光吸収部54に第1の実施形態に記載の反射防止膜1が設置されている。
反射防止膜1では基板2に遮光層6、第1透過層7、半透過層8及び第2透過層9が設置されている。この構造の反射防止膜1は光吸収部54に照射された光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。したがって、光スキャナー22は反射体52を照射する光10や描画用レーザー光20を反射して、光吸収部54を照射する光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。
光スキャナー22の反射体52は反射面22aを有している。光吸収部54は反射面22aを回転可能に支持する第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49を有している。第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49がねじれることにより反射面22aが回転する。そして、反射面22aが回転することにより、反射面22aは反射面22aを照射する描画用レーザー光20の進行方向を走査する。
そして、光吸収部54は反射防止膜1を有している。この反射防止膜1は照射された光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。光スキャナー22は反射面22aを照射する光10や描画用レーザー光20を反射する。そして、光吸収部54を照射する光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。さらに、反射防止膜1は薄いので第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49のばね定数に影響を与えることを抑制できる。
図17は歪検出素子を駆動する回路の回路図である。歪検出素子53は、第3軸部42及び第4軸部43に配置され、第3軸部42及び第4軸部43の歪を検出する。歪検出素子53は、2端子型のピエゾ抵抗素子である。歪検出素子53は端子57及び端子58を有している。
また、歪検出素子53は水平軸28の長手方向に対して傾斜した方向に延びる長手形状をなしている。一対の端子57、端子58は、信号処理回路59に電気的に接続されている。そして、歪検出素子53の検出信号は、信号処理回路59に入力される。
信号処理回路59は、第1抵抗素子62、第2抵抗素子63、第3抵抗素子64、駆動回路65及び処理部66を有している。第1抵抗素子62、第2抵抗素子63、第3抵抗素子64及び歪検出素子53は、ホイートストンブリッジ回路を構成している。ホイートストンブリッジ回路は駆動回路65から電力が供給され、歪検出素子53の抵抗値の変化に応じた電圧信号が処理部66へ出力される。そして、処理部66は歪検出素子53の出力から歪検出素子53の歪を演算する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、光スキャナー22は反射体52と光吸収部54とを備えている。そして、光吸収部54には上記に記載の反射防止膜1が設置されている。この反射防止膜1は基板2上に遮光層6、第1透過層7、半透過層8及び第2透過層9が設置されている。この構造の反射防止膜1は光吸収部54に照射された光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。したがって、光スキャナー22は反射体52を照射する光10や描画用レーザー光20を反射して、光吸収部54を照射する光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。
(2)本実施形態によれば、光スキャナー22において反射体52は反射面22aを有している。そして、光吸収部54は反射面22aを回転可能に支持する第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49を有している。第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49がねじれることにより反射面22aが回転する。そして、反射面22aが回転することにより、光スキャナー22は反射面22aを照射する描画用レーザー光20の進行方向を走査する。
そして、光吸収部54は反射防止膜1を有している。この反射防止膜1は照射された光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。したがって、光スキャナー22は反射面22aを照射する光10や描画用レーザー光20を反射して、光吸収部54に照射される光10や描画用レーザー光20の反射を確実に抑制することができる。従って、歪検出素子53が反射率の高い素子であっても歪検出素子53に向かって進行する光10や描画用レーザー光20を反射防止膜1が反射を確実に抑制させることができる。
(3)本実施形態によれば、反射防止膜1の膜厚は厚くても333nm以下である。半透過層8及び遮光層6にSiO2、TiO2、ZnO2を用いて同等の反射抑制をしたときに比べて膜の厚みを半分以下にすることができる。従って、反射防止膜1は薄いので第3軸部42、第4軸部43、第1軸部48及び第2軸部49のばね定数に影響を与えることを抑制できる。
(4)本実施形態によれば、光スキャナー22は2軸の揺動可能な反射体52を有している。このとき、入射される描画用レーザー光20が反射面22a以外の領域に照射されて反射する場合には、表示上のノイズとなる。光スキャナー22は光吸収部54に反射防止膜1が設置されている。従って、描画用レーザー光20が反射面22a以外の領域に照射されても反射が抑制される。その結果、スクリーン19に表示する画像にノイズが生じることを抑制できる。
(5)本実施形態によれば、反射防止膜1は内部応力の小さい膜である。したがって、板状部材45が反り難いので、反りを除去する工程を省くことができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1透過層7及び第2透過層9を設置するときにALCVD法を用いた。ALCVD法は第1透過層7だけに用いても良く、第2透過層9だけに用いても良い。いずれの場合でも、ALCVD法を用いた膜は精度良い膜厚にすることができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、基板2上に第1絶縁膜3、配線4及び第2絶縁膜5が設置された。基板2上に第1絶縁膜3、配線4及び第2絶縁膜5がなくても良い。そして、基板2上に直接遮光層6が設置されても良い。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、遮光層6に重ねて第1透過層7が設置された。遮光層6と第1透過層7との間に所定の層を設置しても良い。例えば、遮光層6と第1透過層7との密着性を向上させる層を設置しても良い。第1透過層7に重ねて半透過層8が設置された。第1透過層7と半透過層8との間に所定の層を設置しても良い。例えば、第1透過層7の屈折率と半透過層8の屈折率との中間の屈折率を有する材質の層を設置しても良い。第1透過層7と半透過層8との界面で光10が反射することを抑制することができる。
半透過層8と第2透過層9との間に所定の層を設置しても良い。例えば、半透過層8の屈折率と第2透過層9の屈折率との中間の屈折率を有する材質の層を設置しても良い。半透過層8と第2透過層9との界面で光10が反射することを抑制することができる。
(変形例4)
前記第2の実施形態では、光スキャナー22を画像表示装置18に適用した例を示した。他にも、光スキャナー22をHMD(Head Mounted Display)に適用しても良い。他にも、TOF(Time Of Flight)法を利用した距離計測用の光学スキャンデバイスに適用しても良い。
更に光学スキャンデバイスだけでなく、反射防止膜が設置された光学的なMEMSデバイスにも反射防止膜1を用いても良い。反射防止膜1は基板2の反射率が高いときにも確実に反射を抑制できるので、光のノイズを低減することができる。また、反射防止膜1はフッ化水素ベーパーに腐食され難い膜である。このため、MEMSのエッチング工程にフッ化水素ベーパーを用いてスティクションが生じ難い工程にすることができる。
反射防止膜1は光10を吸収して熱に変換することで光10の反射を極端に抑えている。このため、反射防止膜1を光吸収膜として用いても良い。例えば、焦電センサー等の光吸収膜に反射防止膜1を用いることができる。
1…反射防止膜、2…基板、6…遮光層、7…第1透過層、8…半透過層、9…第2透過層、20…光としての描画用レーザー光、22…光デバイスとしての光スキャナー、22a…鏡としての反射面、42…トーションバーとしての第3軸部、43…トーションバーとしての第4軸部、48…トーションバーとしての第1軸部、49…トーションバーとしての第2軸部、52…光反射部としての反射体、54…光吸収部。

Claims (9)

  1. 基板上に設置され導電体を含む遮光層と、
    前記遮光層上に設置され誘電体を含む第1透過層と、
    前記第1透過層上に設置され導電体を含む半透過層と、
    前記半透過層上に設置され誘電体を含む第2透過層と、を備え、
    前記遮光層及び前記半透過層は前記第1透過層及び前記第2透過層より消衰係数が大きいことを特徴とする反射防止膜。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜であって、
    前記遮光層の材質はチタン、金、クローム、ニッケル、白金、すず、銅、鉄のいずれかを含み、前記第1透過層の材質は酸化アルミニウムを含み、前記半透過層の材質はチタンを含み、前記第2透過層の材質は酸化アルミニウムを含むことを特徴とする反射防止膜。
  3. 請求項2に記載の反射防止膜であって、
    前記遮光層の厚みは前記半透過層の厚みより厚いことを特徴とする反射防止膜。
  4. 請求項2に記載の反射防止膜であって、
    前記遮光層は厚みが80nm以上150nm以下のチタンであることを特徴とする反射防止膜。
  5. 請求項2または3に記載の反射防止膜であって、
    前記第1透過層は厚みが70nm以上90nm以下の酸化アルミニウムであり、
    前記半透過層は厚みが9nm以上12nm以下のチタンであり、
    前記第2透過層は厚みが60nm以上80nm以下の酸化アルミニウムであることを特徴とする反射防止膜。
  6. 請求項5に記載の反射防止膜であって、
    前記第1透過層の厚みが75nm以上85nm以下であり、
    前記半透過層の厚みが10nm以上11nm以下であり、
    前記第2透過層の厚みが65nm以上75nm以下であることを特徴とする反射防止膜。
  7. 光吸収部を備え、
    前記光吸収部に請求項1から6のいずれか一項に記載の反射防止膜が設置されていることを特徴とする光デバイス。
  8. 請求項7に記載の光デバイスであって、
    光を反射する鏡を有し、
    前記光吸収部は前記鏡を回転可能に支持するトーションバーを有し、
    前記鏡は前記鏡を照射する光の進行方向を走査することを特徴とする光デバイス。
  9. 基板上に遮光層を設置し、
    前記遮光層上に第1透過層を設置し、
    前記第1透過層上に半透過層を設置し、
    前記半透過層上に第2透過層を設置し、
    前記第1透過層及び前記第2透過層の少なくとも一方を設置するときにALCVD法を用いたことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
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