JP2016069432A - ポリエステルフィルムおよび太陽電池裏面保護シート用ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルムおよび太陽電池裏面保護シート用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス度の高い、例えば、太陽電池裏面保護シート用として好適に利用することができるポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】1軸以上の方向に延伸されてなるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルム中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が7%以上であり、エチレングリコール成分のうち、バイオマス由来のエチレングリコールが50%以上である、ポリエステルフィルム、及び、太陽電池裏面保護シート用に用いられる当該ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジオール成分としてバイオ化率50%以上のエチレングリコールが使用されたポリエステルフィルム、および太陽電池裏面保護シート用ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、バイオマス資源由来のエチレングリコールと化石資源由来のジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルフィルム、および太陽電池裏面保護シート用ポリエスエルフィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、液晶ディスプレイ用フィルム、太陽電池裏面保護シート、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
ポリエステルフィルムの原料となるポリエステルは、従来、石油から得られたジカルボン酸と、石油から得られたジオールを、エステル化反応後、重縮合反応させて製造されている。従来のポリエステルフィルムは、このように石油原料由来の原料を用いていることから、焼却廃棄され大気中に化石資源からの二酸化炭素を多量に排出する。
一方で、サトウキビ、トウモロコシおよびサツマイモなどから得られる澱粉等を微生物で発酵させて得られたバイオエタノールから、ジオールであるエチレングリコール(以下、EGと記載することがある)を合成し、これをジカルボン酸であるテレフタル酸(以下、TPAと記載することがある)と重縮合させて得られたポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載することがある)が知られている(特許文献1参照。)。
バイオマス資源由来のPETは、焼却廃棄されても、バイオマス資源由来物質を使用している部分は、石油資源の使用量を抑制することに役立ち、仮に焼却処理して発生する二酸化炭素は、再び光合成によって植物に取り込まれることになり、大気中の二酸化炭素を増加させにくい材料である。
このように、特許文献1では、バイオマス由来物質を原料としてなるポリエステル繊維が開示されているが、1軸以上に延伸したポリエステルフィルムの技術は開示されていない。
光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンエネルギを得る手段として広く行われている。そして、太陽電池セルの光電変換効率の向上に伴って、多くの個人住宅にも太陽光発電システムが設けられるようになってきている。このような太陽光発電システムを実際のエネルギー源として用いるために、複数の太陽電池セルを電気的に直列に接続させた構成をなす太陽電池モジュールが使用されている。
太陽電池モジュールには、特許文献2のようにポリエステルフィルムが、太陽電池裏面シート内に用いられていることがわかる。しかしながら、バイオマス由来物質を原料としてなるポリエステルフィルムの開示はなされていない。太陽電池モジュールはサステナブルな製品として知られて入るが、当該モジュールを構成する部材のバイオマス度については、必ずしも高くはない。
特開2009−91694号公報 特開2011−77320号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、バイオマス度の高い、ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、1軸以上の方向に延伸されてなるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルム中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が7%以上であることを特徴とするポリエステルフィルム、および、太陽電池裏面保護シート用に用いられることを特徴とする当該ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、基材となるポリエステルフィルムのバイオマス度が優れ、環境負荷も低いポリエステルフィルムを提供でき、当該フィルムは、例えば、太陽電池裏面保護シート用として好適であり、その工業的価値は高い。
本発明において、バイオ化率が7%以上とは後述するように、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定し、その14Cの濃度が基準となる物質の濃度である107.44pMCの場合をバイオ化率100%として、その基準濃度(107.44pMC)に対する比率が7%で以上であることを表す。またバイオマスエチレングリコールとはバイオマス資源から製造したエチレングリコールであり、後述の手法にて測定して得られたバイオ化率の値が50%以上のエチレングリコールのことを指す。
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、化石資源由来であるが、コストの観点から、テレフタル酸を用いることが好ましい。
脂肪族グリコールとしては、バイオマス資源由来のバイオマスエチレングリコールを使用することが好ましい。ここでバイオマス資源とは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能な生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石炭、石油、天然ガスなどに由来する化石資源を除く資源のことを指す。
本発明にバイオマス資源はその発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源は具体的には、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油など)、グリセロール、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、キャッサバなど)、バガス、テルペン系化合物、パルプ黒液、生ごみ、排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法は、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、または微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法が挙げられる。
バイオマス資源からエチレングリコールに変換する方法としては、種々の方法をあげることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法、酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー若しくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法、微細化、圧縮、マイクロ波処理若しくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。これらの方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法が挙げられる。
また、別の方法の1つとして、サトウキビ、バガス、その他の炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらにこのエタノールからエチレンオキサイドを経て、精製する方法も挙げられる。このような手法により製造され、さらに蒸留操作等により精製する方法も採用する事ができる。或いはバイオマス資源からエチレングリコールを得る別の方法として、以下の方法も挙げることができる。すなわちバイオマス資源からグリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコール、フルクトースまたはセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応により、それらの化合物からエチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する方法である。また更なる別の方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらに、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。
その他、脂肪族グリコールとしては、化石資源由来のエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等を共重合させても構わない。しかしながら、化石資源由来の脂肪族グルコールを含有させすぎると、ポリエステルフィルム中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が7%未満になる懸念があるので、含有量の調整が必要である。
これらの、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールの組み合わせの中でも、化石資源由来のテレフタル酸と、バイオマス資源由来のバイオマスエチレングリコールからなる、バイオマスポリエチレンテレフタレート(PET)が、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明において、バイオ化率とは、エチレングリコール、ポリエステル構成全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定する事ができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子の重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、14C元素は全く含まれていない。したがって、これらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも、14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。
一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、グリコール化合物中の14C濃度を分析することにより、化石燃料などの化石資源を原料としたものか、あるいはバイオマス資源を原料にしたグリコール化合物か簡易に判別することが可能となる。また、この14C濃度は、1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いることが通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は、約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチック等が100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述で言うバイオ化率100%に相当する。一方、石油等の化石燃料由来の化学物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示すことも知られている。この値が上述で言うバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)−化石資源由来の化合物の混合比を算出することができるようになる。
さらに、この14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いる事が好ましく採用することができる。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値として用いている。
グリコール化合物中の14C濃度の詳細な分析方法は、まずグリコール化合物の前処理が必要となる。具体的にはグリコール化合物に含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。さらに、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCs+などの陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いてその炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、分離した143+を静電分析器により測定を行う。
上記のポリエステルはバイオマスエチレングリコールを用いること以外は、ポリエステルの製造方法として知られている任意の方法によって製造することができる。具体的には、芳香族ジカルボン酸とバイオマスエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、芳香族ジカルボン酸ジメチルのような芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとバイオマスエチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、芳香族ジカルボン酸のエチレングリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応を最初に行う。次いで、その第一段階の反応生成物を重縮合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。
本発明のポリエステルフィルムに活用する、ポリエステル樹脂の中で、酸成分としてテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸等を原料に用いて得られたポリエチレンテレフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、テレフタル酸ジメチル等由来の炭素原子が80%(8個)、エチレングリコール由来の炭素原子が20%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率50%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素原子のうち、エチレングリコール由来の全炭素原子、すなわちポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち20%の炭素原子であるが、その50%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子であることを表す。したがって、理論計算上、この場合のポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は10%以上となる。
本発明のポリエステルフィルムに活用する、ポリエステル樹脂の中で、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を原料に用いて得られたポリエチレンナフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素原子に対する割合は、2,6−ナフタレンジカルボン酸等由来の炭素原子が86%(12個)、エチレングリコール由来の炭素原子が14%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率50%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち、エチレングリコール由来の全炭素原子、すなわち、ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素原子のうち14%の炭素原子であるが、その50%以上がバイオマス由来の14Cを含む炭素原子であることを表す。故に、理論計算上、この場合のポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は7%以上となる。
本発明のポリエステルフィルム中の炭素原子について、バイオマス由来の14Cを含む炭素原子は7%以上だが、10%以上が好ましく、14%以上がより好ましく、18%以上が最も好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボキシル基濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボキシル基濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppm、アルミニウムであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppmの範囲とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、本発明のポリエステルフィルム中の化合物の量は、蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出が可能である。
重合触媒として使用されるチタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド若しくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタンと珪素若しくはジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの主たる構成成分であるポリエステルを重合する際に使用する重縮合触媒は、アルミニウムおよび/またはその化合物を用いても構わない。前記アルミニウムおよび/またはアルミニウム化合物として、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物を限定なく使用することができる。
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、などのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムに使用する助触媒として、リン化合物を使用することが好ましい。リン元素量として、0〜70ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜50ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものである。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の粒子が挙げられる。
また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、0.005〜5.0重量%の範囲で選択することができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、着色顔料を含有しても良い。この着色顔料には、公知の無機顔料、有機顔料などを用いることができる。
使用される無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムのような白色顔料、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、などの赤色顔料、赤口黄鉛、クロムパーミリオンなどの橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーンなどの緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエローなどの黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの紫色顔料、黒色酸化鉄などの黒色顔料が挙げられる。黒色顔料には、カーボンブラック(チャネル、ファーネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック等も用いることもできる。
また、有機顔料としては、例えば縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、オキサジン、キサンテン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などを挙げることができる。
これらの中では、有機顔料よりも無機顔料やカーボンブラックやカーボンナノチューブなどの方が、ポリエステルの溶融成型時の耐熱性や、屋外で使用した際の耐光性に優れることが多い。なお、太陽電池裏面保護シート用に供する場合、屋根との色調、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響が殆ど無いことを加味すると、カーボンブラックが好適である。
上記の着色顔料は1種類を単独で用いても良いが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
ポリエステルフィルム中に上記の着色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き二軸押出機を用い、バイオエチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に着色顔料や白色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、経済性の観点から好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の着色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、難燃剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にトリアジン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。もちろん、これらの紫外線吸収剤や添加剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを少なくとも1軸方向に、好ましくは2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べる。
1軸延伸フィルムであれば、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとする、もしくは、前記未延伸シートを横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行い、1軸延伸フィルムを得る。
2軸延伸フィルムであれば、前記未延伸シートを縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明では得られたフィルムにアニール処理をしても構わない。アニール処理とは、上記ポリエステルフィルムを、実質的に張力のかからない状態で熱処理を行うことを指す。
アニール処理時の熱処理温度は、ガラス転移温度〜二軸配向ポリエステルフィルムの融点から40℃以上低い温度範囲であることが好ましい。
アニール処理をする際に、ポリエステルフィルムに大きな張力がかかっていると延伸されるので、ポリエステルフィルムに実質的に張力がかからない状態でアニールするのが好ましい。実質的に張力がかからない状態とは、具体的にはアニール処理時のフィルム張力(kgf)が、100以下のことを指し、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。
アニール処理の形態としては、フィルムの製造過程にアニール処理をするインラインアニール処方でも、フィルムの製造後に処理をするオフラインアニール処方などが考えられるが、アニールする時間がフィルムの製造速度に制限されないオフラインアニール処方が好ましい。
アニールする時間は特に限定されず、ポリエステルフィルムの厚さやアニール温度により異なるが、一般に5秒〜10分が好ましく、より好ましくは10秒〜5分であり、さらに好ましくは15秒〜2分である。
アニール処理を施す赤外線加熱炉について特に限定はないが、例えば、炉内上部に走行フィルム幅より広い赤外線ヒーターを走行フィルムの全幅をカバーするように、多数、一定間隔で設置したものが好ましい。
赤外線ヒーターについては、近赤外線ヒーター、シーズヒーターを含む遠赤外線ヒーター双方が利用できるがフィルムに与える熱ダメージの点で近赤外線ヒーターが好ましい。
フィルムの熱処理は、炉内雰囲気を所定の温度にして行われるが、この温度については、例えば、次のような方法で調整できる。炉内の隣接するヒーター/ヒーター間、かつ走行フィルム上、5cm程度のフィルム近接位置に熱電対温度検出端を設置し、各位置の雰囲気温度を測定する。この雰囲気温度は、設置する個々のヒーターの出力、ヒーター本数、ヒーター設置間隔、走行フィルムとヒーターとの距離、炉内換気等によって変えることができるが、例えば可変出力の棒状近赤外線ヒーターの出力を0.5〜1.2kW/mの範囲で調整すると共に、適宜一定風量換気を行うことによりフィルム近接雰囲気温度を好ましい領域、すなわち150〜220℃の範囲とすることができる。
赤外線加熱炉では、走行フィルム近接位置での雰囲気温度が熱風式加熱炉の同位置での雰囲気温度より低温域であっても同等以上の加熱効果が得られるという特徴がある。このために熱風式加熱炉では、達成できなかった処理の短時間化、効率化が得られると共に、短時間処理であるためにフィルム歪みも小さくすることが可能となる。
本発明で得られたポリエステルフィルムには、塗布層を設けても構わない。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
塗布液組成物中のバインダーとして、水に溶解、乳化または懸濁する水性高分子としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルピロリドンおよびこれらの共重合体等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、1種または2種以上を混合して使用できる。
塗布液組成物中の成分として、架橋剤も含有されることが好ましい。架橋剤としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、アミド系などの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ポリイソシアヌレート、ブロックポリイソシアネート、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤が挙げられる。塗布液中には、塗布性を向上するために、本発明の効果を損なわない範囲で、無機や有機の粒子、潤滑剤、帯電防止剤、消泡剤等を含有させてもよい。
本発明のフィルムに設ける塗布層として、有機シラン化合物を含有する塗布層であってもよい。有機シラン化合物としては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等があり、これらの混合物や縮合反応物であっても良い。特に、分子内に有機官能機を持ったアルコキシシランがこのましい。その代表的な例としては、下記一般式で表される有機シラン化合物があり、これらは、シランカップリング剤として知られている。
XRSi(ORや(XR)(YR)Si(OR
(ここで、Rはメチル基またはエチル基で代表されるアルキル基やメトキシアルキル基等の置換アルキル基であり、R、Rはそれぞれ独立してプロピレン基等のアルキレン基、X、Yはそれぞれ独立して有機官能基である)。
上記一般式において、XやYの有機官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシシクロヘキシル基、メルカプト基およびグリシジル基が好ましい。また、有機官能基としては、N−β(アミノエチル)アミノ基のような置換アミノ基やポリエチレンイミンのように、置換されたものであってもよい。有機官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましく例示される。これらは一種または二種以上、および必要によっては、官能基を持たないアルコキシシランを含めた混合物や縮合物を用いることができる。
有機シラン化合物は、アルコール溶媒で希釈して用いることができるが、水系であることが好ましく、その際には、塗布性を改善する目的で各種の界面活性剤を配合することができる。また、必要に応じて先に挙げた水性高分子の1種もしくは2種以上を併用し塗布性の向上を図っても良い。また、本発明の塗布剤には、塗布面の滑り性確保する目的で、無機粒子や有機の粒子を加えても構わない。
また、塗布層の滑り性改良やブロッキング改良のために、塗布層中へ粒子を含有することも可能である。用いる粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明におけるバイオマス由来炭素を含むポリエステルフィルムは、従来の化石原料由来のポリエステルフィルムが使用されている、いずれの用途分野においても置き換えは可能であるが、近年積極的にグリーンエネルギーとして従前エネルギーの代替とされている、太陽電池モジュール用裏面保護シートに適用されることが好ましい。太陽電池裏面保護シートは、後述する部分放電圧を維持することが必要で、従来の化石資源由来のポリエステルフィルムと同レベルの部分放電圧を有することが好ましい。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。なお、ポリエステル原料重合時に使用するバイオマスエチレングリコールはインディアグライコール社(インド)製のエチレングリコールを用いた。
(1)極限粘度[dl/g]
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度:IV[dl/g]を求めた。なお、Huggins定数を0.33と仮定した。
(2)バイオ化率評価(14C濃度測定)
14Cの濃度測定は、測定サンプルに対して上述のようにタンデム加速器と質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法によって、構成全炭素量に対する放射性炭素である14Cの濃度を測定する。次に、107.44pMCの場合をバイオ化率100%として基準としこの値に対する濃度比として、バイオ化率を算出した。
(3)最大システム許容電圧
部分放電試験器:DAC−PD−7(総研電機社製)を用いて、IEC61730−2,11.1項準じて部分放電消滅電圧を10回測定した。下記方法にて最大許容システム電圧(Vdc)を計算して求めた。
最大許容システム電圧=(部分放電消滅電圧の平均値−部分放電消滅電圧の標準偏差)X√2÷1.5
<ポリエステル原料(1)>
化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部と、バイオマス由来エチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、20.0%であった。
<ポリエステル原料(2)>
出発原料であるエチレングリコールについて、バイオマス由来エチレングリコールと化石資源由来のエチレングリコールを重量にして半分半分とに混合したものを用いた以外は、ポリエステル原料(1)と同様にしてポリエステルのチップを得た。すなわち、化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部と、バイオマス由来エチレングリコール30重量部と、化石資源由来のエチレングリコール30重量部を出発原料とした。ポリエステルの極限粘度は0.62dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、10.0%であった。
<ポリエステル原料(3)の製造法>
化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部とバイオマス由来エチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(3)を得た。極限粘度は0.64dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、20.0%であった。
<ポリエステル原料(4)>
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに化石資源由来のテレフタル酸とバイオマス由来エチレングリコールを仕込み、常法に従ってエステル化反応を行い、オリゴマー混合物を得た。このオリゴマー混合物に重縮合触媒として、(1)塩基性酢酸アルミニウムを20g/lのアルミニウム化合物含有量となるように調整したバイオエチレングリコール溶液と、(2)4Lのエチレングリコールに3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを200g加えて185℃にて60分間還流下で攪拌後に冷却して得られたリン化合物のバイオマス由来エチレングリコール溶液の混合物とを、アルミニウム元素の残存量が20(ppm、リン元素の残存量が80ppmとなるように添加した。
次いで、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さらに280℃、13.3Pa下でポリエステルの極限粘度が0.60dl/gになるまで重縮合反応を行った。
反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgのポリエステル樹脂チップ:ポリエステルチップ化した。ポリエステルチップの極限粘度は0.60dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、20.0%であった。
<ポリエステル原料(5)の製造法>
化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部とバイオマス由来エチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のバイオマス由来エチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(5)を得た。極限粘度は0.64dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、20.0%であった。
<ポリエステル原料(6)の製造法>
出発原料であるエチレングリコールについて、バイオマス由来エチレングリコールをすべて化石資源由来のエチレングリコールに変更することを除いて、ポリエステル原料(1)と同様にしてポリエステルのチップを得た。すなわち、化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部と、化石資源由来のエチレングリコール60重量部を出発原料とした。ポリエステルチップの極限粘度は0.63dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、0.0%であった。
<ポリエステル原料(7)の製造法>
化石資源由来のテレフタル酸ジメチル100重量部と化石資源由来のエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子の化石資源由来のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(7)を得た。極限粘度は0.64dl/g、バイオマス由来炭素の混合割合を評価したところ、0.0%であった。得られたポリエステル原料の概要について、下記表1に示す。
Figure 2016069432
実施例1:
上記ポリエステル(1)、ポリエステル(2)、およびポリエステル(3)を5.0:93.0:2.0の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(A)の原料とし、上記ポリエステル(2)をポリエステル層(B)の原料とした。
双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/A=25/200/25の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる積層シートを得た。得られたシートを縦方向に89℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を100/120/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことで、横方向に3.8倍延伸し、フィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは250μmであった。評価結果を下記表2に示す。
実施例2〜4:
実施例1において、表2に記載の配合にすることを除いて、実施例1と同様なポリエステルフィルムを得た。評価結果を下記表2に示す。
比較例1:
実施例1において、表2に記載の配合にすることを除いて、実施例1と同様なポリエステルフィルムを得た。評価結果を下記表2に示す。
Figure 2016069432
実施例1〜4については、バイオマス由来のモノマー成分としてエチレングルコールを使用し、バイオマス由来含有量が規定範囲にあり、いずれの場合も、樹脂加工性や部分放電圧の面で、従来の化石資源由来のポリエステルフィルムに比べ遜色なく、良好なものであった。一方、比較例1は、バイオマス由来成分を含有していないため、従来の化石資源由来ポリエステルに該当するものであり、樹脂加工性や最大許容システム電圧に問題はないが、環境負荷が大きな物質である点で、本願発明の趣旨にはそぐわないものである。
本発明のフィルムは、例えば、太陽電池裏面保護シート用ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 1軸以上の方向に延伸されてなるポリエステルフィルムであり、当該ポリエステルフィルム中に含まれる全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の14C濃度を100%の基準とした14C濃度の比率が7%以上であることを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. エチレングリコール成分のうち、バイオマス由来成分のエチレングリコールが50%以上である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 太陽電池裏面保護シート用に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023157730A1 (ja) * 2022-02-16 2023-08-24 東洋紡株式会社 二軸配向ポリエステルフィルム
WO2024080273A1 (ja) * 2022-10-13 2024-04-18 東洋紡株式会社 ポリエステルフィルム

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