JP2016069417A - 組成物、硬化物及び光透過性積層体 - Google Patents

組成物、硬化物及び光透過性積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラーを添加しなくても光の透過率及び屈折率が高く、複屈折を生じない硬化物が得られる組成物、該組成物の硬化物、並びに、光透過性部材と該硬化物とを含む光透過性積層体の提供。
【解決手段】(A)式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、(B)透明性樹脂、(C)重合性モノマー、並びに、(D)重合開始剤を含有する組成物。化合物(A)はフルオレン骨格を有する化合物が好ましい。
Figure 2016069417

(W及びWは各々独立に末端にビニル基をエーテル結合等で保持する芳香族炭化水素環;環Y及び環Yは各々独立に芳香族炭化水素環;Rは単結合、置換/未置換のメチレン基、−O−、−NH−又は−S−;R3a及びR3bは各々独立にシアノ基、ハロゲン又は1価炭化水素基;n及びnは各々独立に0〜4の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、硬化物及び光透過性積層体に関する。
従来より、透明性樹脂は、ガラスと比較して、軽く、割れにくく、かつ、染色等の加工が容易である。そのため、近年、透明部材の材料として、ポリエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメタクリレート、脂環式ポリオレフィン、ポリカーボネート等の透明性樹脂を使用することが主流になりつつある。
このような透明性樹脂を用いることにより、所望の形状を有する硬化物のほか、接着剤、オーバーコート等、様々な透明部材として用途が拡大されてきている。近年、透明性樹脂は、光学材料にも用いることが期待されるが、そのためにはより高度な透明性が求められる。
透明部材は、透明性を高めるためには、高屈折率であることが求められる。一方、複数の透明部材を貼り合せる等の場合、例えば、光学用部材と粘着剤層の界面に屈折率差が生じると、浅い角度の光で全反射が起こり、光の取り出し効率が低下して、屈折率が低下することがある。また、透明部材が複屈折を生じると、該部材の向こう側の像が二重に見えてしまい、視認性に劣る。
透明部材の高屈折率化のため、フィラーを含有させることが知られている。例えば、複合材料用途のエポキシ樹脂組成物に繊維を含有したもの(例えば、特許文献1)、また、光学用部材に用いられる粘着剤組成物に二酸化チタン等のチタン系ナノ粒子を含有したものが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2013−543035号公報 特開2014−41385号公報
しかしながら、高屈折率化を実現するためには、フィラーを多く入れる必要がある。そうすると、視認性が悪くなったり、透明性を損なうという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題に鑑み、フィラーを添加しなくても、光の透過率及び屈折率が高く、複屈折を生じない硬化物が得られる組成物、該組成物の硬化物、並びに、光透過性部材と該硬化物とを含む光透過性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、フルオレン骨格等の縮合三環性化合物を用いることにより、視認性が良く、屈折率の高い接着剤やハードコートが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第一の態様は、
(A)下記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、
(B)透明性樹脂、
(C)重合性モノマー、並びに、
(D)重合開始剤
を含有する組成物である。
Figure 2016069417
(式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(4)で表される基を示し、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
Figure 2016069417
(式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
Figure 2016069417
(式中、環Z、X、R、R、及びmは前記の通りであり、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様の組成物の硬化物である。
本発明の第三の態様は、光透過性部材と本発明の第二の態様の硬化物とを含む光透過性積層体である。
本発明によれば、視認性が良好であり、屈折率の高い、接着剤、ハードコート等の用途に好適な組成物、該組成物の硬化物、及び、光透過性部材と該硬化物とを含む光透過性積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<組成物>
本発明の組成物は、(A)上記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、(B)透明性樹脂、(C)重合性モノマー、並びに、(D)重合開始剤を含有する。以下、本発明に係る透明部材形成用組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
[(A)一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物]
本発明の組成物に含有されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物(以下、「縮合三環性化合物」と略称することがある。)は、下記一般式(1)で表されるものである。上記縮合三環性化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2016069417
上記一般式(1)において、W及びWは、独立に下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(4)で表される基を示し、W及びWのいずれもが下記一般式(2)で表される基であること及びW及びWのいずれもが下記一般式(4)で表される基であることが好ましく、W及びWのいずれもが下記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2016069417
Figure 2016069417
上記一般式(2)及び(4)において、環Zとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、光学的特性の点でナフタレン環であるのがより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれる環ZとWに含まれる環Zとは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、W及びWの両方が直結する炭素原子にXを介して結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Xは、独立に単結合又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基等の炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、単結合;C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC2−3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、より好ましくはC1−6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロへキシル基等のC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、より好ましくはC5−6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、より好ましくはC6−8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6−10アリール−C1−4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、より好ましくはC1−6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基等のC5−10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)等の−OR4aで示される基[式中、R4aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC1−12アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、より好ましくはC1−6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基等のC5−10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)等の−SR4bで示される基[式中、R4bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC1−6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC1−12アルキルアミノ基、好ましくはC1−8アルキルアミノ基、より好ましくはC1−6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロへキシルアミノ基等のC5−10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC6−10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC6−10アリール−C1−4アルキルアミノ基)等の−NHR4cで示される基[式中、R4cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C1−12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C1−8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C1−6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロへキシルアミノ基等のジ(C5−10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C6−10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C6−10アリール−C1−4アルキル)アミノ基)等の−N(R4dで示される基[式中、R4dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基等)]等が挙げられる。
これらのうち、代表的には、Rは、1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基等であってもよい。
好ましいRとしては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)等]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R2a及びR2bは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
なお、mが2以上の整数である場合、Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記一般式(2)及び(4)において、Rの数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であってもよい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、WにおけるmとWにおけるmとは、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(4)において、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、水素原子が好ましい。Rはとしてのアルキル基としては、C1−6アルキル基が好ましく、C1−4アルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。なお、W及びWがいずれも上記一般式(4)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記一般式(2)で表される基であり、他方が上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。W及びWがいずれも上記一般式(4)で表される基である場合、Wに含まれるRとWに含まれるRとは、同一であることが好ましく、Wに含まれるRとWに含まれるRとがいずれも水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、環Y及び環Yとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Y及び環Yは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましい。なお、環Y及び環Yは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよい。
上記一般式(1)において、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、典型的には単結合である。ここで、置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、珪素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)において、R3a及びR3bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6−10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、n1が2以上の整数である場合、R3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。更に、R3aとR3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y及び環Yに対するR3a及びR3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、0又は1、特に0である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性に更に優れる。本発明においては、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物がビニル基を有する場合であっても、かかるビニル基は重合反応に用いられないものと考えられる。かかる上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物におけるビニル基も、本発明の組成物から得られる硬化物の高屈折率化に関与すると考えられる。
上記一般式(1)で表される化合物は、種々の用途、例えば、光学材料にも用いることが可能な接着剤やハードコート;平坦化膜(例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる配向膜及び平坦化膜);反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク等のレジスト下層膜;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ及び隔壁;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置;レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;低透湿膜(例えば、水蒸気バリア層として用いられる低透湿膜);半導体用材料に用いることができる。
上述の通り、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、上記一般式(1)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光透過率、屈折率等の光学的特性及び熱的特性に更に優れるため好ましい。また、上記一般式(1)で表される化合物において上記一般式(2)又は(4)で表される基におけるXが単結合であり、Rが単結合である場合には屈折率等の光学特性はより優れる傾向がある。特に、上記一般式(1)で表される化合物においてW及びWがいずれも上記一般式(2)である場合には光学的特性及び熱的特性は格段に向上する傾向があり好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016069417
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物の含有量は、本発明の組成物の全質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが更に好ましい。上記縮合三環性化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる組成物において上記縮合三環性化合物の溶解性が良く、塗布性も良好で、高い屈折率と透過率を有し、複屈折のない硬化物を得やすい。
[一般式(1)で表される縮合三環性化合物の製造方法]
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、下記の製造方法1〜3により製造することができる。
・製造方法1
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、特開2008−266169号公報に記載の製造方法に従い、遷移元素化合物触媒及び無機塩基の存在下、下記一般式(13)で表されるビニルエステル化合物と、下記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とを反応させることにより、合成することが可能である。上記無機塩基は、粒子径150μm未満の粒子を10重量%以上含有する固体の無機塩基であることが好ましい。具体的には、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、後述する合成例1〜2のようにして合成することが可能である。
−CO−O−CH=CH (13)
(式中、Rは、水素原子又は有機基を示す。)
Figure 2016069417
(式中、W及びWは独立に下記一般式(4)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2016069417
(式中、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
なお、上記一般式(3)で表される化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(14)で表される化合物及び/又は下記一般式(15)で表される化合物と、下記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(14)で表される化合物及び下記一般式(15)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(3)で表される所望の水酸基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とする水酸基含有化合物を分離してもよい。
Figure 2016069417
(上記一般式(14)、(15)、及び(16)中、環Y、環Y、環Z、R、R、R、R3a、R3b、m、n1、及びn2は上記の通りである。)
上記一般式(3)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、特開2011−201791号公報又は特開2002−255929号公報において、特許請求の範囲に記載されたフルオレン系化合物の製造方法に用いることができると記載されているものが挙げられる。
・製造方法2
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物から、下記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
Figure 2016069417
(式中、W及びWは独立に下記一般式(6)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2016069417

(式中、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルオキシ基を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物としては、例えば、塩化チオニル、下記式で表される化合物等が挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜140℃、より好ましくは30〜130℃が挙げられる。
Figure 2016069417
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、好ましくはジアザビシクロウンデセン、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、より好ましくはカリウム−t−ブトキシドが挙げられる。また、反応温度としては、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜60℃が挙げられる。
・製造方法3
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物から、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
Figure 2016069417

(式中、W及びWは独立に下記一般式(8)で表される基又は水酸基を示し、ただし、W及びWは同時に水酸基ではなく、環Y、環Y、R、R3a、R3b、n1、及びn2は上記の通りである。)
Figure 2016069417

(式中、lは1〜4の整数を示し、環Z、X、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物は、例えば、酸触媒の存在下、下記一般式(17)で表される化合物及び/又は下記一般式(18)で表される化合物と、上記一般式(16)で表される化合物とを反応させることにより、合成することができる。適宜、下記一般式(17)で表される化合物及び下記一般式(18)で表される化合物の組み合わせ方や添加量等を調整することにより、上記一般式(7)で表される所望のヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を得ることができる。また、反応後に、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法により、目的とするヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物を分離してもよい。上記一般式(7)で表される化合物の合成に用いられる酸触媒、反応条件等としては、例えば、上記一般式(3)で表される化合物の合成方法の説明中で例示したものが挙げられる。
Figure 2016069417

(上記一般式(17)及び(18)中、環Z、R、R、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物は、例えば、上記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物と脱離基含有化合物とを反応させることにより、合成することができる。脱離基含有化合物及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物とビニル化剤とを反応させることにより、合成することができる。ビニル化剤及び反応温度としては、例えば、上記製造方法2について例示したものが挙げられる。
・製造方法4
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物のうち、W及びWが独立に上記一般式(4)で表される基である化合物は、Rが水素原子である場合、例えば、上述の製造方法1における一般式(3)で表される化合物を用いることができ、また、Rが炭素数1〜10のアルキル基である場合、例えば、上記一般式(3)で表される化合物にROH(Rは前記の通り。)を反応させてエーテル化する等、常法により製造することができる。
[(B)透明性樹脂]
本発明における「透明樹脂」とは、可視光を一定量透過する樹脂のことをいい、特に、その透過性を利用しつつ用いられる樹脂のことをいう。透明樹脂としては、これに限られるものではないが、例えば、可視光線領域(380〜750nm)における一つ以上の波長において、透過率が20%以上である樹脂、好ましくは透過率が50%以上である樹脂、より好ましくは透過率が80%以上である樹脂、更に好ましくは透過率が90%以上である樹脂、更により好ましくは、透過率が95%以上、98%以上、99%以上若しくは100%である樹脂が挙げられる。
本発明において、(B)透明性樹脂としては、上記のような透過性を有する樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、テルペン樹脂、ポリカーボネート、メタクリル酸−スチレン共重合体(MS樹脂)、環状オレフィン系樹脂(COP)等が挙げられ、アクリル樹脂、テルペン樹脂が好ましい。アクリル樹脂としては、シリコーン変性アクリル樹脂乃至アクリルシリコーン樹脂が好ましい。テルペン樹脂としては、特に限定されないが、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂等の各種変性テルペン樹脂であってもよいが、水添テルペン樹脂が好ましい。
(B)透明性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよいが、1種類でも十分に高い透明性と屈折率とを有し複屈折のない硬化物が得られる組成物を構成することができる。
(B)透明性樹脂の含有量は、本発明の組成物の全質量に対して、下限値として30質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましく、上限値として98質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、85質量%が更に好ましい。
また、(B)透明性樹脂の含有量は、透明性樹脂として上記シリコーン変性アクリル樹脂乃至アクリルシリコーン樹脂を用いる場合、下限値として30質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%が更に好ましく、上限値として98質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、85質量%が更に好ましい。
(B)透明性樹脂の含有量は、透明性樹脂として上記テルペン樹脂を用いる場合、下限値として30質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、40質量%が更に好ましく、上限値として80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%が更に好ましい。
上記透明性樹脂の含有量が上記範囲内であると、得られる組成物において塗布性と上記縮合三環性化合物の溶解性とを維持しつつ、屈折率、透過率及び等方性を損なうことなく加工性にも優れた硬化物を得やすい。
[(C)重合性モノマー]
本発明において、(C)重合性モノマーは、(A)縮合三環性化合物及び(B)透明性樹脂を溶解することができる重合性モノマーであれば特に限定されないが、本発明の組成物を用いて得られる硬化物において透明性と屈折率を損なわず複屈折を生じない重合性モノマーが好ましく、更に、室温(20℃)で液状である重合性モノマーがより好ましい。
本発明において、かかる(C)重合性モノマーとしては、アクリル系モノマーが好ましい。アクリル系モノマーとしては、その官能基数は特に限定されず、例えば、1官能モノマー、2官能モノマー、3官能モノマー等であってよいが、1官能モノマー又は2官能モノマーが好ましい。また、アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(以下、「(メタ)アクリレート」ということがある。)が好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む概念である。
本発明において、(C)重合性モノマーとしては、下記一般式(c1)で表される1官能(メタ)アクリレート(以下、「(C1)1官能(メタ)アクリレート」ということがある。)又は後述の一般式(c2)で表される2官能(メタ)アクリレート(以下、「(C2)2官能(メタ)アクリレート」ということがある。)が好ましい。
[(C1)1官能(メタ)アクリレート]
Figure 2016069417
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、上記アルキレン基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、R10は炭素数6〜20の1価の環式基又は1価の鎖状炭化水素基を示し、上記1価の鎖状炭化水素基はエーテル性酸素原子及び/又は水酸基を有していてもよい。)
式(c1)におけるRのアルキレン基としては、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキサメチレン基、イソヘキシレン基等である。透明性、屈折率及び等方性の点から、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
としては、エーテル性酸素原子を有する炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
本明細書において、「エーテル性酸素原子」とは、式−O−で表される2価の酸素原子を意味する。
のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、特に限定されず、例えば、*−OCH−、*−OCHCH−、*−OCHCHCH−、*−CHOCH−、*−CHOCHCH−、*−CHCHOCH−等が挙げられ、*−OCH−、*−OCHCH−、*−OCHCHCH−が好ましく、*−OCH−、*−OCHCH−がより好ましい(*は、式(c1)におけるR10との結合手を表す)。
式(c1)におけるR10の1価の環式基は、好ましくは脂肪族環式基である。該環式基の炭素数は好ましくは7〜15、より好ましくは8〜12である。該環式基は、炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していてもよい。
該環式基としては、モノシクロアルカン、又はビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等のポリシクロアルキル基等が挙げられ、透明性、屈折率及び等方性の点から、好ましくはポリシクロアルキル基であり、より好ましくはトリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基である。
10の1価の環式基としては、上記脂肪族環式基における環構造を構成する隣接炭素原子間が不飽和であるものであってもよい。
式(c1)におけるR10の1価の鎖状炭化水素基は、好ましくは脂肪族鎖状炭化水素基である。また、エーテル性酸素原子、水酸基、又は、エーテル性酸素原子及び水酸基を有していてもよい。R10としての1価の鎖状炭化水素基は、エーテル性酸素原子を1〜20個有していてもよく、好ましくは1〜15個であり、より好ましくは1〜10個であり、更にが好ましくは1〜5個である。R10としての1価の鎖状炭化水素基は、水酸基を有する場合、該鎖状炭化水素基の末端に有することが好ましい。該脂肪族鎖状炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜20であり、より好ましくは3〜15である。
(C1)1官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、R10が1価の環式基となる場合、下記式(c1−1)〜(c1−9)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、透明性、屈折率及び等方性を適度なものとするためには、下記式(c1−3)〜(c1−9)で表される化合物が好ましく、下記式(c1−3)〜(c1−5)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2016069417
Figure 2016069417
上記式中、R及びRは上記と同じであり、その例示、好ましいもの等も上記と同じである。
上記式中、RC1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。RC1としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
また、R10が1価の鎖状炭化水素基となる場合、(C1)1官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールモノメチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチル(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。中でも、アルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、n−ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらの(C1)1官能(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記1官能(メタ)アクリレートとしては、上記式(c1−3)〜(c1−5)で表される化合物であって、Rが*−OCH−又は*−OCHCH−を示す化合物が好ましく、上記式(c1−4)〜(c1−5)で表される化合物であって、Rが*−OCH−又は*−OCHCH−を示す化合物がより好ましく、上記式(c1−5)で表される化合物であって、Rが*−OCH−又は*−OCHCH−を示す化合物が更に好ましい(*は、式(c1−3)〜(c1−5)における環式基との結合手を表す)。
[(C2)2官能(メタ)アクリレート]
(C2)2官能(メタ)アクリレートは、下記一般式(c2)で表される2官能(メタ)アクリレートである。
Figure 2016069417
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基を示し、R12は環式基又は酸素原子を含んでいてもよい炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す。)
式(c2)におけるR11として、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロレン基である。透明性、屈折率及び等方性の点から、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
式(c2)におけるR12が含んでいてもよい(2価の)環式基は、芳香族でも脂肪族でもよいが好ましくは2価の脂肪族環式基である。なお、R12は2価の環式基のみから構成されてもよい。該環式基の炭素数は好ましくは6〜15、より好ましくは7〜12である。該環式基は、炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していてもよい。
該環式基としては、モノシクロアルカン、又はビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基又はベンゼン環等の芳香族環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等のモノシクロアルキレン基;アダマンチレン基、ノルボルニレン基、イソボルニレン基、トリシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基等のポリシクロアルキレン基等が挙げられ、透明性、屈折率及び等方性の点から、好ましくはポリシクロアルキレン基であり、より好ましくはトリシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基である。
(C2)2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、上記式(c1−1)〜(c1−9)における環式基に、該式における−R−O−C(=O)CR=CHが更に結合した一般式(但し、Rは上記式(c2)におけるR11に替える(R11は上述と同じ。)。以下、「2官能相当式」ということがある。)で表される化合物等が挙げられる。これらの中でも、透明性、屈折率及び等方性を適度なものとするためには、式(c1−3)〜(c1−9)の2官能相当式で表される化合物が好ましく、式(c1−3)〜(c1−5)の2官能相当式で表される化合物がより好ましく、式(c1−4)の2官能相当式で表される化合物がより好ましい。
(C2)2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカンジ(メタ)アクリレート等の脂肪族環式基含有ジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルコキシ化(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;エトキシ化(3)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のアルコキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
(C)重合性モノマーは、1種類を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよいが、1種類でも十分に高い透明性と屈折率とを有し複屈折のない硬化物が得られる組成物を構成することができる。
(C)重合性モノマーは、例えば、用いる(B)透明性樹脂に合せて選択することができる。(B)透明性樹脂と(C)重合性モノマーとの組み合わせの例としては、例えば、(B)透明性樹脂としてテルペン樹脂を用いる場合、(C)重合性モノマーとしては、(C1)1官能(メタ)アクリレートを用いることができ、好ましくは式(c1−5)で表される化合物を用いることができる。また、例えば、(B)透明性樹脂としてシリコーン変性アクリル樹脂乃至アクリルシリコーン樹脂を用いる場合、(C)重合性モノマーとしては、(C2)2官能(メタ)アクリレートを用いることができ、好ましくは式(c1−4)の2官能相当式で表される化合物を用いることができる。
(C)重合性モノマーの含有量は、本発明の組成物の全質量に対して、下限値として0.1質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、5質量%が更に好ましく、上限値として60質量%が好ましく、55質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましい。上記範囲内とすることにより、耐熱性及び耐エッチング性を向上させることができる。
また、(C)重合性モノマーの、本発明の組成物の全質量に占める含有量は、(B)透明性樹脂としてシリコーン変性アクリル樹脂乃至アクリルシリコーン樹脂を用いる場合、下限値として0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、3質量%が更に好ましく、上限値として40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%が更に好ましく、(B)透明性樹脂としてテルペン樹脂を用いる場合、下限値として5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%が更に好ましく、上限値として60質量%が好ましく、55質量%がより好ましく、50質量%が更に好ましい。
[(D)重合開始剤]
本発明において、(D)重合開始剤としては、特にラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素等を挙げることができる。また、ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、それと還元剤とを併用して、レドックス型開始剤としてもよい。これらのラジカル重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
(D)重合開始剤の含有量は、本発明の組成物の全質量に対して、下限値として0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、上限値として10質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。
[(E)溶剤]
本発明の組成物は、上述の成分を含有するものであるので、特に溶剤を含有しなくても、(C)重合性モノマーが(A)縮合三環性化合物及び(B)透明性樹脂を溶解することとなって、液状の組成物を得ることができる。しかしながら、本発明の組成物は、必要に応じて、各成分の溶解性向上や溶解均一性補助等のために、適宜溶剤を含有するものであってもよい。溶剤としては、有機溶剤が好ましい。
この有機溶剤としては、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート(MA)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル等の他のエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等、
その他、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシブタノール(BM)、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール(ターピネオール)等も挙げられる。
(E)溶剤の使用量は特に限定されず、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。(A)縮合三環性化合物及び(B)透明性樹脂の密度の維持と、硬化した際の耐性維持等の観点から、本発明の組成物全体の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。本発明においては、実質0質量%であること(すなわち無溶剤組成物であること)が最も好ましい。
<その他の成分>
本発明の組成物は、必要に応じて、更に添加剤を含有するものであってもよい。添加剤としては、界面活性剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの添加剤としては特に限定されず、例えば公知のものを用いることができる。
<硬化物>
本発明の組成物は、上述した本発明の組成物を硬化することにより得られる。この硬化物は、高い透過率及び高い屈折率を有し、複屈折を生じないので、光学的特性が求められる用途に好適であり、例えば、各種光学用部材、接着剤(例えばタッチパネルとオーバーコートとの接着層、又は電極とレンズとの接着層)、ハードコート等に特に好適である。具体的には、例えば、レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、ガラス等のオーバーコート、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素;LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD等の光学素子の封止部材が挙げられる。
本発明の硬化物は、本発明の組成物を接着剤、ハードコート等として用いる場合、例えば、光透過性部材等の被塗布体上に、スピンコート等の常法により本発明の組成物を塗布し、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜160℃の温度で硬化させることにより、得ることができる。硬化時間は、適宜、設定すればよく、例えば、5分〜100時間程度である。
このような方法により、例えば、光透過性部材と該硬化物とを含む光透過性積層体を製造することができ、かかる光透過性積層体もまた本発明の一つである。
光透過性積層体としては、例えば、硬化物が、光透過性部材と接している面と反対側の面において、第2の光透過性部材と接している態様であってもよい。このような、いわば光透過性部材を硬化物で挟む態様であっても、高い透過率と高い屈折率とを有し、複屈折を生じない積層体が得られる。
本発明の硬化物は、また、透明部材として得ることもできる。透明部材は、必要に応じて触媒を含有する本発明の組成物を、ガラス製若しくは金属製の型に注入して、又は、透明部材を形成させる対象物(例えば、光学素子)に塗布して、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜160℃の温度で硬化させることにより、得ることができる。硬化時間は、適宜、設定すればよく、例えば、5分〜100時間程度である。特に、レンズは、実質的に溶剤を含有しない本発明の組成物から好適に得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
<(A)上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物、及び比較化合物>
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物としては、下記式で表される化合物1及び2(いずれも粉状)を準備した。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1を準備した。
Figure 2016069417
Figure 2016069417
化合物1の合成法を下記に示す(合成例1)。合成例で用いた材料は下記の通りである。
[無機塩基]
(1)軽灰炭酸ナトリウム
粒子径分布:250μm以上;3重量%
150μm以上250μm未満;15重量%
75μm以上150μm未満;50重量%
75μm未満;32重量%
なお、上記の粒子径分布は、60メッシュ(250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)のふるいを用いて仕分けた後、最終的に得られた篩上成分及び篩下成分各々の重量を測定することにより算出した。
[遷移元素化合物触媒]
(1)ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I):[Ir(cod)Cl]
[ヒドロキシ化合物]
(1)9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン
尚、上記ヒドロキシ化合物(1)を化合物2として用いた。
[ビニルエステル化合物]
(1)プロピオン酸ビニル
[合成例1]化合物1の合成
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl](839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(225g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cmの撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンを基準として9,9’−ビス(6−ビニロキシ−2−ナフチル)フルオレン(化合物1)が81%、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテルが4%の収率で生成していた。
H−NMR(CDCl):4.47(dd、2H、J=1.5Hz、5.0Hz)、4.81(dd、2H、J=3.5Hz、12.0Hz)、6.71(dd、2H、J=6.0Hz)、7.12−7.82(m、20H)
<(B)透明性樹脂>
(B)透明性樹脂としては、下記式で表されるシリコーン変性アクリル樹脂及びテルペン樹脂を準備した。
シリコーン変性アクリル樹脂(重量平均分子量(Mw)1000、液状)
Figure 2016069417
テルペン樹脂(重量平均分子量(Mw)約2000、粉状)
Figure 2016069417
<(C)重合性モノマー>
(C)重合性モノマーとしては、下記式で表される1官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを準備した。
(1)1官能(メタ)アクリレート(液状)
Figure 2016069417
(2)2官能(メタ)アクリレート
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDMA;液状)
Figure 2016069417
<(D)重合開始剤>
(D)−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
<組成物及びその硬化物の調製>
表1に示す材料を表1に示す量(単位:質量部)で混錬し、均一な液体として組成物を得た。比較例3は、更に、チタン酸バリウムフィラーを組成物全体の10質量%添加して上記混練を行った。比較例1は、組成物・硬化物の調製に代り、カーボネート基板(厚さ100μm)を用いた。
得られた組成物をガラス基板上にスピンコートを用いて約3μmの厚さに塗布し、高圧水銀灯で露光して硬化させて約3μmの硬化膜を得た。
得られた硬化物について下記評価を行った。
<透過率>
得られた硬化膜について、分光測定器(MCPD−3000、大塚電子社製)を用いて、波長400nmでの透過率を測定した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
◎:透過率が97以上である
○:透過率が90以上、97未満である
△:透過率が90未満である
<屈折率>
得られた硬化膜について、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製)を用い、20℃で波長633nmにおける屈折率を測定した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
○:屈折率が1.60以上である
×:屈折率が1.60未満である
<複屈折の測定>
コントラスト計(CT−1、壺坂電気社製)を用い、入射光(最大5000(cd/m))の角度を0〜90度(°)の範囲で少しずつ変更し、得られた各硬化膜を透過した後の光の強度を確認した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
○:すべての角度で光が透過する
×:光が透過しない特定の角度がある又は透過する光の強度が入射光の10分の1以下である。
Figure 2016069417
表1から分かるように、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物、透明性樹脂、重合性モノマー及び重合開始剤を含有する実施例1〜3の組成物から得られた硬化物は、高い透過率と高い屈折率とを有しており、複屈折を生じない点で優れていた。
これに対し、比較例1のカーボネート基板は、透過率は良好であったが、屈折率が低く、複屈折を生じた。上記一般式(1)におけるW及びWが上記一般式(2)であり該一般式(2)におけるビニロキシ基に代りグリシジルオキシ基を有する化合物に相当する比較化合物1を含有する比較例2〜3の組成物は、複屈折は生じないものの、高い透過率又は高い屈折率の何れかに劣り、高透過率と高屈折率との両立ができなかった。これは、比較化合物1では、ナフタレン環の置換基が、ナフタレン環に直接結合する酸素原子から炭素数2以上の連結基を介して更に酸素原子を有する骨格を含んでいることに起因すると考えられる。従来技術に従って無機フィラーを添加した比較例3は、比較例2に比べて、屈折率は高めることができたが、透過率はかえって低下した。

Claims (6)

  1. (A)下記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、
    (B)透明性樹脂、
    (C)重合性モノマー、並びに、
    (D)重合開始剤
    を含有する組成物。
    Figure 2016069417
    (式中、W及びWは独立に下記一般式(2)で表される基又は下記一般式(4)で表される基を示し、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、−O−で示される基、−NH−で示される基、又は−S−で示される基を示し、R3a及びR3bは独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2は独立に0〜4の整数を示す。)
    Figure 2016069417
    (式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は−S−で示される基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Rは1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、若しくは−N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a〜R4dは独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
    Figure 2016069417
    (式中、環Z、X、R、R、及びmは前記の通りであり、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
  2. (B)成分は、(メタ)アクリル系モノマーである請求項1記載の組成物。
  3. 更に、(D)重合開始剤を含有する請求項1又は2記載の組成物。
  4. 接着性組成物である、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物の硬化物。
  6. 光透過性部材と請求項5記載の硬化物とを含む光透過性積層体。
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