JP2019048992A - 組成物、硬化物及び光透過性積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)下記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、
(B)透明性樹脂、
(C)重合性モノマー、並びに、
(D)重合開始剤
を含有する組成物である。
本発明の組成物は、(A)上記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、(B)透明性樹脂、(C)重合性モノマー、並びに、(D)重合開始剤を含有する。以下、本発明に係る透明部材形成用組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
本発明の組成物に含有されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物(以下、「縮合三環性化合物」と略称することがある。)は、下記一般式(1)で表されるものである。上記縮合三環性化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、下記の製造方法1〜3により製造することができる。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、例えば、特開2008−266169号公報に記載の製造方法に従い、遷移元素化合物触媒及び無機塩基の存在下、下記一般式(13)で表されるビニルエステル化合物と、下記一般式(3)で表される水酸基含有化合物とを反応させることにより、合成することが可能である。上記無機塩基は、粒子径150μm未満の粒子を10重量%以上含有する固体の無機塩基であることが好ましい。具体的には、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物は、後述する合成例1〜2のようにして合成することが可能である。
(式中、R6は、水素原子又は有機基を示す。)
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、上記一般式(3)で表される水酸基含有化合物から、下記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
(式中、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキルオキシ基を示し、環Z、X、R1、R2、及びmは上記の通りである。)
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(7)で表されるヒドロキシアルキルオキシ基含有化合物から、上記一般式(5)で表される脱離基含有化合物を経由して、上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物を得ることを含む製造方法により、合成することも可能である。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物のうち、W1及びW2が独立に上記一般式(4)で表される基である化合物は、R3が水素原子である場合、例えば、上述の製造方法1における一般式(3)で表される化合物を用いることができ、また、R3が炭素数1〜10のアルキル基である場合、例えば、上記一般式(3)で表される化合物にR3OH(R3は前記の通り。)を反応させてエーテル化する等、常法により製造することができる。
本発明における「透明樹脂」とは、可視光を一定量透過する樹脂のことをいい、特に、その透過性を利用しつつ用いられる樹脂のことをいう。透明樹脂としては、これに限られるものではないが、例えば、可視光線領域(380〜750nm)における一つ以上の波長において、透過率が20%以上である樹脂、好ましくは透過率が50%以上である樹脂、より好ましくは透過率が80%以上である樹脂、更に好ましくは透過率が90%以上である樹脂、更により好ましくは、透過率が95%以上、98%以上、99%以上若しくは100%である樹脂が挙げられる。
また、(B)透明性樹脂の含有量は、透明性樹脂として上記シリコーン変性アクリル樹脂乃至アクリルシリコーン樹脂を用いる場合、下限値として30質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%が更に好ましく、上限値として98質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、85質量%が更に好ましい。
(B)透明性樹脂の含有量は、透明性樹脂として上記テルペン樹脂を用いる場合、下限値として30質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、40質量%が更に好ましく、上限値として80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%が更に好ましい。
上記透明性樹脂の含有量が上記範囲内であると、得られる組成物において塗布性と上記縮合三環性化合物の溶解性とを維持しつつ、屈折率、透過率及び等方性を損なうことなく加工性にも優れた硬化物を得やすい。
本発明において、(C)重合性モノマーは、(A)縮合三環性化合物及び(B)透明性樹脂を溶解することができる重合性モノマーであれば特に限定されないが、本発明の組成物を用いて得られる硬化物において透明性と屈折率を損なわず複屈折を生じない重合性モノマーが好ましく、更に、室温(20℃)で液状である重合性モノマーがより好ましい。
本明細書において、「エーテル性酸素原子」とは、式−O−で表される2価の酸素原子を意味する。
R9のエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、特に限定されず、例えば、*−OCH2−、*−OCH2CH2−、*−OCH2CH2CH2−、*−CH2OCH2−、*−CH2OCH2CH2−、*−CH2CH2OCH2−等が挙げられ、*−OCH2−、*−OCH2CH2−、*−OCH2CH2CH2−が好ましく、*−OCH2−、*−OCH2CH2−がより好ましい(*は、式(c1)におけるR10との結合手を表す)。
R10の1価の環式基としては、上記脂肪族環式基における環構造を構成する隣接炭素原子間が不飽和であるものであってもよい。
上記式中、RC1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。RC1としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
(C2)2官能(メタ)アクリレートは、下記一般式(c2)で表される2官能(メタ)アクリレートである。
式(c2)におけるR12が含んでいてもよい(2価の)環式基は、芳香族でも脂肪族でもよいが好ましくは2価の脂肪族環式基である。なお、R12は2価の環式基のみから構成されてもよい。該環式基の炭素数は好ましくは6〜15、より好ましくは7〜12である。該環式基は、炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していてもよい。
本発明において、(D)重合開始剤としては、特にラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素等を挙げることができる。また、ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、それと還元剤とを併用して、レドックス型開始剤としてもよい。これらのラジカル重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
本発明の組成物は、上述の成分を含有するものであるので、特に溶剤を含有しなくても、(C)重合性モノマーが(A)縮合三環性化合物及び(B)透明性樹脂を溶解することとなって、液状の組成物を得ることができる。しかしながら、本発明の組成物は、必要に応じて、各成分の溶解性向上や溶解均一性補助等のために、適宜溶剤を含有するものであってもよい。溶剤としては、有機溶剤が好ましい。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート(MA)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル等の他のエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等、
その他、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシブタノール(BM)、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール(ターピネオール)等も挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じて、更に添加剤を含有するものであってもよい。添加剤としては、界面活性剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの添加剤としては特に限定されず、例えば公知のものを用いることができる。
本発明の組成物は、上述した本発明の組成物を硬化することにより得られる。この硬化物は、高い透過率及び高い屈折率を有し、複屈折を生じないので、光学的特性が求められる用途に好適であり、例えば、各種光学用部材、接着剤(例えばタッチパネルとオーバーコートとの接着層、又は電極とレンズとの接着層)、ハードコート等に特に好適である。具体的には、例えば、レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、ガラス等のオーバーコート、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素;LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、CCD等の光学素子の封止部材が挙げられる。
光透過性積層体としては、例えば、硬化物が、光透過性部材と接している面と反対側の面において、第2の光透過性部材と接している態様であってもよい。このような、いわば光透過性部材を硬化物で挟む態様であっても、高い透過率と高い屈折率とを有し、複屈折を生じない積層体が得られる。
上記一般式(1)で表される縮合三環性化合物としては、下記式で表される化合物1及び2(いずれも粉状)を準備した。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1を準備した。
(1)軽灰炭酸ナトリウム
粒子径分布:250μm以上;3重量%
150μm以上250μm未満;15重量%
75μm以上150μm未満;50重量%
75μm未満;32重量%
なお、上記の粒子径分布は、60メッシュ(250μm)、100メッシュ(150μm)、200メッシュ(75μm)のふるいを用いて仕分けた後、最終的に得られた篩上成分及び篩下成分各々の重量を測定することにより算出した。
(1)ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I):[Ir(cod)Cl]2
(1)9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン
尚、上記ヒドロキシ化合物(1)を化合物2として用いた。
(1)プロピオン酸ビニル
冷却管、及び、凝縮液を分液させて有機層を反応容器に戻し水層を系外に排出するためのデカンターを取り付けた1000ml反応容器に、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl]2(839mg、1.25mmol)、軽灰炭酸ナトリウム(12.7g、0.12mol)、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン(225g、0.5mol)、プロピオン酸ビニル(125g、1.25mol)、及びトルエン(300ml)を仕込んだ後、表面積が10cm2の撹拌羽根を用い回転数を250rpmに設定し、撹拌しながら徐々に温度を上げて還流させた。還流下、副生する水をデカンターで除去しながら、5時間反応させた。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンの転化率は100%であり、9,9’−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンを基準として9,9’−ビス(6−ビニロキシ−2−ナフチル)フルオレン(化合物1)が81%、ビス6−ナフトールフルオレンモノビニルエーテルが4%の収率で生成していた。
1H−NMR(CDCl3):4.47(dd、2H、J=1.5Hz、5.0Hz)、4.81(dd、2H、J=3.5Hz、12.0Hz)、6.71(dd、2H、J=6.0Hz)、7.12−7.82(m、20H)
(B)透明性樹脂としては、下記式で表されるシリコーン変性アクリル樹脂及びテルペン樹脂を準備した。
(C)重合性モノマーとしては、下記式で表される1官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを準備した。
(D)−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
表1に示す材料を表1に示す量(単位:質量部)で混錬し、均一な液体として組成物を得た。比較例3は、更に、チタン酸バリウムフィラーを組成物全体の10質量%添加して上記混練を行った。比較例1は、組成物・硬化物の調製に代り、カーボネート基板(厚さ100μm)を用いた。
得られた組成物をガラス基板上にスピンコートを用いて約3μmの厚さに塗布し、高圧水銀灯で露光して硬化させて約3μmの硬化膜を得た。
得られた硬化物について下記評価を行った。
得られた硬化膜について、分光測定器(MCPD−3000、大塚電子社製)を用いて、波長400nmでの透過率を測定した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
◎:透過率が97以上である
○:透過率が90以上、97未満である
△:透過率が90未満である
得られた硬化膜について、分光エリプソメーター(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製)を用い、20℃で波長633nmにおける屈折率を測定した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
○:屈折率が1.60以上である
×:屈折率が1.60未満である
コントラスト計(CT−1、壺坂電気社製)を用い、入射光(最大5000(cd/m2))の角度を0〜90度(°)の範囲で少しずつ変更し、得られた各硬化膜を透過した後の光の強度を確認した。下記基準により評価した結果を表1に示す。
○:すべての角度で光が透過する
×:光が透過しない特定の角度がある又は透過する光の強度が入射光の10分の1以下である。
これに対し、比較例1のカーボネート基板は、透過率は良好であったが、屈折率が低く、複屈折を生じた。上記一般式(1)におけるW1及びW2が上記一般式(2)であり該一般式(2)におけるビニロキシ基に代りグリシジルオキシ基を有する化合物に相当する比較化合物1を含有する比較例2〜3の組成物は、複屈折は生じないものの、高い透過率又は高い屈折率の何れかに劣り、高透過率と高屈折率との両立ができなかった。これは、比較化合物1では、ナフタレン環の置換基が、ナフタレン環に直接結合する酸素原子から炭素数2以上の連結基を介して更に酸素原子を有する骨格を含んでいることに起因すると考えられる。従来技術に従って無機フィラーを添加した比較例3は、比較例2に比べて、屈折率は高めることができたが、透過率はかえって低下した。
Claims (6)
- (A)下記一般式(1)で表されるビニル基、アルコキシ基又は水酸基含有縮合三環性化合物、
(B)透明性樹脂、
(C)重合性モノマー、並びに、
(D)重合開始剤
を含有する組成物。
- (B)成分は、(メタ)アクリル系モノマーである請求項1記載の組成物。
- 更に、(D)重合開始剤を含有する請求項1又は2記載の組成物。
- 接着性組成物である、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物の硬化物。
- 光透過性部材と請求項5記載の硬化物とを含む光透過性積層体。
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