JP6887017B2 - 硬化性組成物、半硬化物、硬化物、光学部材、レンズ及び化合物 - Google Patents

硬化性組成物、半硬化物、硬化物、光学部材、レンズ及び化合物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、その硬化性組成物を硬化させた半硬化物及び硬化物、その硬化物を含む光学部材及びレンズ、並びに硬化性組成物に用いられる化合物に関する。
従来、カメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどの撮像モジュールの光学部材にはガラス材料が用いられていた。ガラス材料は様々な光学特性を備えており、環境耐性に優れるため好ましく用いられてきたが、軽量化や小型化が容易ではなく、加工性や生産性が悪いという欠点を有していた。これに対し、樹脂硬化物は、大量生産が可能であり、加工性にも優れているため、近年、様々な光学部材に用いられるようになってきている。
近年、撮像モジュールの小型化に伴い、撮像モジュールに用いられる光学部材を小型化することが求められているが、光学部材を小型化していくと、色収差の問題が生じる。このため、樹脂硬化物を用いた光学部材においては、硬化性組成物に種々の添加物を加えて硬化後の特性を変えることで、アッベ数(νd)や部分分散比(θg,F)を調整して色収差の補正を行うことが検討されている。
特許文献1には、アッベ数(νd)と部分分散比(θg,F)がともに高い光学部材を提供することができる化合物が記載されている。この化合物は、4,4’−ビス(アリール)ジフェニルスルホン骨格を有するものであり、化合物そのものをマトリックスポリマーに含有させたり、化合物を重合又は共重合させたりしたうえで、複合レンズの製造等に用いることが記載されている。
一方、4,4’−ビス(アリール)ジフェニルスルホン骨格と類似の骨格を有する化合物については、その屈折率特性や光学部材への応用がほとんど検討されていない。例えば、特許文献2には、4,4’−ビス(ピペラジノ)ジベンゾフェノン骨格を有する化合物が開示されているが、この文献には光重合開始剤としての有用性が記載されているだけで、光学部材用の化合物としての有用性についてはまったく触れられていない。
特開2012−167019号公報 WO2016/111923号公報
本発明者らが特許文献1に記載される光学部材を追試したところ、高温高湿下に置かれたときの湿熱耐久性に課題があることが見いだされた。レンズは装着する素子や機器によっては、高温高湿下で使用されることがあるため、湿熱耐久性に課題があることはレンズの用途に大きな制約が生じることを意味する。また、特許文献2に記載の類似化合物についても、その構造から、湿熱耐久性に課題があり、屈折率特性も劣ることが予測される。
このような従来技術の課題を解決するために、本発明者らは優れた屈折率特性を有していながら湿熱耐久性にも優れた光学部材を開発することと、そのような光学部材を提供しうる化合物と硬化性組成物を開発することを目的として鋭意検討を進めた。
鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、ビス(アリール)ベンゾフェノン骨格を有する化合物を用いれば、湿熱耐久性に優れているうえに、屈折率特性も良好な光学部材を提供できることを見いだした。その結果、上記の課題を解決するための具体的手段として以下の発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物を含む、硬化性組成物。
Figure 0006887017
一般式(1)において、
〜R10は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、
〜Rの少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基であり、
〜R10の少なくとも1つは、置換もしくは無置換のアリール基、又は、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(1)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
[2] R〜R10の少なくとも1つが、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基である、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 化合物が下記一般式(2)で表される、[1]に記載の硬化性組成物。
Figure 0006887017
一般式(2)において、
及びRは、各々独立に、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基を表し、
n1及びn2は、各々独立に0〜4の整数を表し、n1が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、また、n2が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、
11〜R20は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、
11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である。
11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのR、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのRは、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(2)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
[4] 化合物が下記一般式(3)で表される、[1]に記載の硬化性組成物。
Figure 0006887017
一般式(3)において、
、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々独立に、水素原子を表すか、あるいは、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基を表し、
11〜R20は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、
11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である。
とR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(3)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
[5] R12が(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である、[3]又は[4]に記載の硬化性組成物。
[6] R16〜R20の少なくとも1つが、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である、[3]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] R11、R15、R16及びR20が水素原子である、[3]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8] (メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基が下記一般式(4)で表される、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
Figure 0006887017
一般式(4)において、
Acは、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
は、カルボニル基、エーテル基、チオカルボニル基、チオエーテル基、又は、これらの基を組み合わせた連結基を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
m1は0〜10のいずれかの整数を表し、m1が2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよく、また、複数のLも同一であっても異なっていてもよく、
m2は0又は1を表し、
*は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基の結合部位を示す。
[9] (メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基が、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシアルキル基である、[8]に記載の硬化性組成物。
[10] 化合物が、分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を2つ以上含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[11] 化合物が、分子中に芳香環が2つ以上縮合した多環構造を含まない、[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[12] 硬化性組成物が、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[13] [1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性組成物の半硬化物。
[14] [1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
[15] [14]に記載の硬化物を含む光学部材。
[16] [14]に記載の硬化物を含むレンズ。
[17] 上記一般式(2)で表される化合物。
一般式(1)で表される化合物や一般式(1)で表される化合物を含む硬化性組成物を用いれば、屈折率特性が良好で、湿熱耐久性に優れている光学部材を提供することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
用語の説明
まず、本明細書において用いられている用語や記号について説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。すなわち、「無置換の」と記されていない限り、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、基の炭素数が記されているとき、その炭素数は、基に置換している置換基の炭素数も含めた総炭素数を意味する。例えばアルキル基の炭素数が記されている場合は、そのアルキル基に置換している置換基の炭素数も含めた総炭素数を意味する。
本明細書において「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリロイルオキシ」はアクリロイルオキシ及びメタクリロイルオキシを表す。
本明細書において「置換基」は、水素原子以外の1価の原子又は1価の原子団を意味する。好ましい置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、シアノ基、アミノ基を挙げることができる。より好ましい置換基として、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を挙げることができる。
本明細書において「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。
本明細書において「アルキル基」は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。また、直鎖部分と分枝部分と環状部分のうちの2種以上が混在していてもよい。好ましいのは、直鎖状又は分枝状のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、例えば1以上、2以上、4以上、6以上とすることができる。また、炭素数は30以下、20以下、10以下とすることができる。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。
本明細書において「アルケニル基」は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。また、直鎖部分と分枝部分と環状部分のうちの2種以上が混在していてもよい。好ましいのは、直鎖状又は分枝状のアルケニル基である。アルケニル基の炭素数は、例えば2以上、4以上、6以上とすることができる。また、炭素数は30以下、20以下、10以下とすることができる。アルケニル基の具体例として、エテニル基、n−プロペニル基、イソプロペニル基、n−ブテニル基、イソブテニル基、t−ブテニル基、n−ペンテニル基、イソペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソヘキセニル基、2−エチルヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基を挙げることができる。
本明細書において「アシル基」は、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基及びヘテロアリールカルボニル基の総称である。
本明細書において「アシルオキシ基」は、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基及びヘテロアリールカルボニルオキシ基の総称である。
本明細書において「アリール基」は、芳香族炭化水素環1つだけからなる基であってもよいし、芳香族炭化水素環に1つ以上の環が縮合した基であってもよい。芳香族炭化水素環に1つ以上の環が縮合した基である場合は、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環及び非芳香族複素環のうちの1以上が芳香族炭化水素環に縮合した基を採用することができる。アリール基の炭素数は、例えば6以上、10以上とすることができる。また、炭素数は30以下、18以下、14以下、10以下とすることができる。アリール基の具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基を挙げることができる。
本明細書において「ヘテロアリール基」は、複素芳香環1つだけからなる基であってもよいし、複素芳香環に1つ以上の環が縮合した基であってもよい。複素芳香環に1つ以上の環が縮合した基である場合は、芳香族炭化水素環、複素芳香環、脂肪族炭化水素環及び非芳香族複素環のうちの1以上が芳香族炭化水素環に縮合した基を採用することができる。ヘテロアリール基の環骨格形成原子数は、例えば5以上、6以上、9以上、10以上とすることができる。また、環骨格形成原子数は30以下、18以下、14以下、11以下とすることができる。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても複素芳香環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。ヘテロアリール基の複素芳香環の環骨格を構成するヘテロ原子として、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を挙げることができる。ヘテロアリール基の具体例として、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、トリアジニル基を挙げることができる。
本明細書における「アミノ基」は、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基を含む。ジアルキルアミノ基を構成する2つのアルキル基は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、ジアリールアミノ基を構成する2つのアリール基は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
本明細書における「アルコキシ基」のアルキル部分の説明と具体例、本明細書における「アルキルチオ基」のアルキル部分の説明と具体例、本明細書における「アシル基」がアルキルカルボニル基であるときのアルキル部分(アシル基からカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アシルオキシ基」がアルキルカルボニルオキシ基であるときのアルキル部分(アシル基からカルボニルオキシ基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アルコキシカルボニル基」のアルキル部分(アルコキシカルボニル基からオキシカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アミノ基」がジアルキルアミノ基であるときの各アルキル部分については、上記のアルキル基の説明と具体例を参照することができる。
本明細書における「アシル基」がアリールカルボニル基であるときのアリール部分(アシル基からカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アシルオキシ基」がアリールカルボニルオキシ基であるときのアリール部分(アシル基からカルボニルオキシ基を除いた部分)の説明と具体例、「アリールオキシ基」のアリール部分の説明と具体例、「アリールオキシカルボニル基」のアリール部分(アリールオキシカルボニル基からオキシカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アリールチオ基」のアリール部分の説明と具体例、本明細書における「アミノ基」がジアリールアミノ基であるときの各アリール部分については、上記のアリール基の説明と具体例を参照することができる。
本明細書における「アシル基」がヘテロアリールカルボニル基であるときのヘテロアリール部分(アシル基からカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「アシルオキシ基」がヘテロアリールカルボニルオキシ基であるときのヘテロアリール部分(アシル基からカルボニルオキシ基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「ヘテロアリールオキシ基」のヘテロアリール部分の説明と具体例、本明細書における「ヘテロアリールオキシカルボニル基」のヘテロアリール部分(ヘテロアリールオキシカルボニル基からオキシカルボニル基を除いた部分)の説明と具体例、本明細書における「ヘテロアリールチオ基」のヘテロアリール部分の説明と具体例については、上記のヘテロアリール基の説明と具体例を参照することができる。
本明細書において鎖状置換基の前に記載される「n−」はnormal(直鎖)の略であり、「t−」はtertiaryの略である。
本明細書において「モノマー」は、オリゴマー及びポリマーとは区別される概念であり、重量平均分子量が1,000以下の単量体をいう。
本明細書における「屈折率(nd)」、「アッベ数(νd)」及び「部分分散比(θg,F)」は、カルニュー精密屈折計(株式会社島津デバイス製造製、型番KPR−2000)を用いて測定した値である。測定手順の詳細については実施例1〜3の記載を参照することができる。本明細書における「屈折率(nd)」は、波長587.56nmにおける屈折率である。また、「アッベ数(νd)」及び「部分分散比(θg,F)」は、異なる波長における屈折率測定値から下記式により算出される値である。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)
ここで、ndは波長587.56nmにおける屈折率、nFは波長486.13nmにおける屈折率、nCは波長656.27nmにおける屈折率、ngは波長435.83nmにおける屈折率を表す。
一般式(1)で表される化合物
(定義)
下記一般式(1)で表される化合物について、詳細に説明する。
Figure 0006887017
一般式(1)において、R〜R10は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基である。また、R〜R10の少なくとも1つは、置換もしくは無置換のアリール基、又は、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
ここでRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(1)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
(R〜Rの説明)
〜Rの少なくとも1つがとる「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」又は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」は、1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を少なくとも1つ有するアリール基又はヘテロアリール基である。好ましくは、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を少なくとも1つ有するアリール基又はヘテロアリール基であり、より好ましくは、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を1つ又は2つ有するアリール基又はヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を1つ有するアリール基又はヘテロアリール基である。アリール基又はヘテロアリール基は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。そのような置換基として好ましいものとして、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を挙げることができる。
好ましいのは、R〜Rの1つ又は2つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」又は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」である場合であり、より好ましくはR〜Rの1つ又は2つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」である場合であり、さらに好ましくはR〜Rの1つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」である場合である。
〜Rの中では、R〜Rの少なくとも1つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」又は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」であることが好ましい。特に、R及びRの少なくとも1つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」又は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」であれば、溶解性が一段と良好になるため好ましい。
「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」又は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」以外のR〜Rは、これら以外の置換基であるか水素原子である。これら以外の置換基の数は、R〜Rのうちの0〜2つであることが好ましく、例えば0又は1つであってもよい。
(R〜R10の説明)
〜R10がとりうる「アリール基」は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基であってもよい。その場合は、R〜Rのいずれかが表す「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」と同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。好ましいのは、同じ基である場合である。
また、R〜R10がとりうる「ヘテロアリール基」は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基であってもよい。その場合は、R〜Rのいずれかが表す「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」と同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。好ましいのは、同じ基である場合である。
〜R10の中では、R〜Rの少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、例えばR及びRの少なくとも1つがアリール基である場合や、Rがアリール基である場合を挙げることができる。R及びRの少なくとも1つがアリール基であれば、溶解性が一段と高まる傾向があるため好ましい。
((メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基)
〜R10がとりうる「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」や「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」における「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むものであれば良いが、特に下記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006887017
一般式(4)において、
Acは、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
は、カルボニル基、エーテル基、チオカルボニル基、チオエーテル基、又は、これらの基を組み合わせた連結基を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
m1は0〜10のいずれかの整数を表し、m1が2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよく、また、複数のLも同一であっても異なっていてもよく、
m2は0又は1を表し、
*は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基の結合部位を示す。
一般式(4)のLがとりうるアルキレン基の炭素数は、2〜6が好ましく、2〜5がより好ましい。例えば、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−プロピレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、n−ブチレン基を挙げることができる。なお、ここではLに結合する側の原子を1位としてアルキレン基を記している。Lが分枝アルキレン基であれば、溶解性が一段と良好になる点で好ましい。
m1は1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であってもよい。mが2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよいが同一であることが好ましい。また、複数のLも同一であっても異なっていてもよいが同一であることが好ましい。
一般式(4)のLがとりうるアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−プロピレン基を挙げることができる。なお、ここではLに結合する側又は一般式(4)の*印側の原子を1位としてアルキレン基を記している。
m2は0又は1のいずれであってもよいが、1であるとき、LとLが表すアルキレン基は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(4)のLがとりうる連結基の具体例として、以下のものを挙げることができる。各連結基の左側の**印はLへの結合位置を示し、右側の**印はm2が1であるときはLへの結合位置を示し、m2が0であるときは一般式(4)の*と同義である。
mが2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006887017
「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」の例として、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシアルキル基を挙げることができる。
「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」の鎖長は、7〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましい。鎖長を好ましい範囲にまで長くすることによって、化合物の溶解性を良好にすることができる。
「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」がアリール基やヘテロアリール基に結合する位置は、これらのアリール基やヘテロアリール基のいずれの位置であってもよいが、3〜5位のいずれか1つ以上であることが好ましい。なお、ここでは「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」や「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」がベンゾフェノンへ結合する原子を1位の原子として記している。
一般式(1)で表される化合物における「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」の数は、2以上であることが好ましく、2〜4がより好ましく、2又は3がさらに好ましい。
以下に「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」の具体例を挙げる。ただし、本発明で採用することができる「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはない。なお、以下の構造におけるRは水素原子またはメチル基を表し、*印はアリール基又はヘテロアリール基への結合位置を表す。
Figure 0006887017
本願における下記の表記:
Figure 0006887017
は、以下のいずれかの構造を示すものである。すなわち、オキシエチレンオキシ基を構成するいずれか一方の炭素原子にメチル基が結合した構造を示すものである。
Figure 0006887017
((メタ)アクリロイルオキシ基を含まない置換基)
〜R10は、上記の「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基」や「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基」ではない置換基であってもよい。そのような置換基として、(メタ)アクリロイルオキシ基を含まない置換基を挙げることができる。また、そのような置換基の中で好ましいものとして、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を挙げることができる。別の観点から規定すると、好ましい置換基として、アルキル基又は下記の一般式(5)で表される基を挙げることができる。
Figure 0006887017
一般式(5)において、
Tは、水素原子、ヒドロキシル基、又は、ハロゲン原子を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
は、カルボニル基、エーテル基、チオカルボニル基、チオエーテル基、又は、これらの基を組み合わせた連結基を表し、
は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
m1は0〜10のいずれかの整数を表し、m1が2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよく、また、複数のLも同一であっても異なっていてもよく、
m2は0又は1を表し、Tが水素原子でm1が0であるとき、m2は1であり、
*は、一般式(5)で表される置換基の結合部位を示す。
一般式(5)におけるL、L、L、m1,m2の説明と具体例については、一般式(4)における対応する記載を参照することができる。
一般式(5)で表される基の具体例として、以下の基を挙げることができる。ただし、本発明で採用することができる基は、以下の具体例によって限定的に解釈されることはない。
HO−*
CHO−*
CHCHO−*
HOCHCHO−*
CHOCHCHO−*
CHS−*
CHCHS−*
(環状構造の形成)
一般式(1)におけるRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。形成される環状構造は芳香環であっても非芳香環であってもよい。また、形成される環状構造は、環骨格形成原子が炭素原子のみからなる環状構造であってもよいし、環骨格形成原子としてヘテロ原子を含む環状構造であってもよい。好ましいのは、環骨格形成原子が炭素原子のみからなる環状構造である。形成される環状構造の例として、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、シクロヘキセン環を挙げることができる。これらの環は置換基で置換されていてもよい。ただし、一般式(1)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。また、好ましいのは、R〜R10のうちのいずれの2つも互いに結合して環状構造を形成していない場合である。
(共役系)
一般式(1)で表される化合物は、ベンゾフェノン構造を含む共役系を有する。ベンゾフェノン構造を含む1つの共役系を構成する原子数(共役系のπ電子を有する共役系構成原子数)は、24〜38であることが好ましく、24〜34であることがより好ましく、26〜34であることがさらに好ましく、26〜32であることがさらにより好ましい。ベンゾフェノン構造を含む1つの共役系を構成する原子数を適切に制御することにより、化合物の溶解性低下と着色を回避することができる。ベンゾフェノン構造を含む1つの共役系を構成する原子の中には、ヘテロ原子が1〜7つ含まれていることが好ましく、1〜5つ含まれていることがより好ましく、例えば1〜3つ含むことも可能である。
(対称性)
一般式(1)で表される化合物は、一般式(1)の中央に記載されるカルボニル基の左右に結合している基が同じである対称化合物であっても、左右に結合している基が異なる非対称化合物であってもよい。対称化合物であれば、合成が容易であるという利点がある。
一般式(2)で表される化合物
(定義)
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006887017
一般式(2)において、
及びRは、各々独立に、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基を表し、
n1及びn2は、各々独立に0〜4の整数を表し、n1が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、また、n2が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、
11〜R20は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、
11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である。
11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのR、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのRは、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(2)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
(ベンゾフェノンの置換基)
一般式(2)で表される化合物は、ベンゾフェノンの各ベンゼン環にそれぞれ1つずつ置換フェニル基が置換している構造を持つ化合物である。置換フェニル基の置換位置は、ベンゾフェノンのベンゼン環のいずれの位置であってもよい。ベンゾフェノンの各ベンゼン環には、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基であるR及びRがそれぞれ置換していてもよい。Rの置換数n1とRの置換数n2は、各々独立に0〜2であることが好ましく、0又は1であってもよい。ベンゾフェノンの各ベンゼン環に対する置換フェニル基の置換位置は、3〜5位又は3’〜5’位のいずれかであることが好ましいが、RとRの置換位置は2〜6位又は2’〜6’位のいずれであってもよい。
(Ra、Rの説明)
a及びRは、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基であれば特に制限されるものではないが、好ましくはヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を挙げることができ、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基を挙げることができる。Ra及びRがとりうる置換基の具体例として、上記一般式(5)で表される基の具体例として挙げた基を例示することができる。
(R11〜R15の説明)
11〜R15の少なくとも1つは、「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」である。「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」は、R12〜R14のいずれか1つ以上であることが好ましい。R12であるときは、溶解性が良好になる点で好ましい。「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」以外の残りのR11〜R15は、「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」以外の置換基か水素原子である。R11〜R15のうち、「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」以外の置換基の数は0〜2であることが好ましく、0又は1であってもよい。具体的な置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、これらの基はアルコキシ基、アルコキシアルキレンオキシ基、あるいはアルキレンオキシ繰り返し単位を有する基で置換されていることも好ましい。なお、R11〜R15のうちR11及びR15は水素原子であることが好ましい。
(R16〜R20の説明)
16〜R20は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R16〜R20の少なくとも1つは置換基であることが好ましく、その置換基は「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」であってもよく、少なくとも1つが「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」であることが好ましい。R16〜R20の少なくとも1つが表す「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」と、R11〜R15の少なくとも1つが表す「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。R16〜R20がとりうる「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」以外の置換基の数は0〜2であることが好ましく、例えば0又は1であってもよい。「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」以外の置換基の炭素数は1〜10が好ましい。具体的な置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、これらの基はアルコキシ基、アルコキシアルキレンオキシ基、あるいはアルキレンオキシ繰り返し単位を有する基で置換されていることも好ましい。なお、R16〜R20のうちR16及びR20は水素原子であることが好ましい。
11〜R20がとりうる「(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基」の説明と具体例、R11とR12等が互いに結合して形成しうる環状構造の説明と具体例については、一般式(1)の説明中の対応する記載を参照することができる。
一般式(3)で表される化合物
(定義)
一般式(1)で表される化合物には、下記一般式(3)で表される化合物が含まれる。
Figure 0006887017
一般式(3)において、
、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々独立に、水素原子を表すか、あるいは、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基を表し、
11〜R20は、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、
11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基である。
とR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(3)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
(説明)
一般式(3)で表される化合物は、ベンゾフェノンの4位と4’位に置換フェニル基が置換している構造を持つ化合物である。一般式(3)のR、R、R、R、R、R、R及びR10の説明と具体例については、一般式(2)のR及びRの説明と具体例を参照することができる。一般式(3)のR11〜R20の説明と具体例については、一般式(2)の対応する記載を参照することができる。また、RとR等が互いに結合して形成しうる環状構造の説明と具体例については、一般式(1)の対応する記載を参照することができる。
具体例
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。ただし、本発明で採用することができる一般式(1)で表される化合物は、これらの具体例によって限定的に解釈されることはない。Meはメチル基を表す。
Figure 0006887017
Figure 0006887017
Figure 0006887017
Figure 0006887017
合成法
一般式(1)で表される化合物は、公知の合成法を適宜組み合わせて用いることにより合成することができる。
例えば、置換基を導入したい位置がハロゲン原子で置換されたベンゾフェノンを出発物質として選択し、ヒドロキシフェニルボロン酸と反応させることにより、ハロゲン原子をヒドロキシフェニル基で置換した化合物をまず合成することができる。次いで、合成した化合物のヒドロキシル基にヒドロキシアルキルハライドを反応させてヒドロキシル基をヒドロキシアルコキシ基に変換し、さらにアクリロイルハライドを反応させることによって、末端にアクリロイル基を導入した一般式(1)で表される化合物を合成することができる。これらの各工程は、いずれも周知の合成反応であり、その反応条件等は一般に知られている範囲内で適宜調整して最適化することができる。
一般式(1)で表される化合物の具体的な合成手順については、後述の実施例1〜3を参照することができる。
化合物の特性
一般式(1)で表される化合物は、硬化させなくても優れた屈折率特性を示す。すなわち、一般式(1)で表される化合物は、高い屈折率(nd)、低いアッベ数(νd)、高い部分分散比(θg,F)を示し、化合物を硬化させずに光学部材用化合物として用いることも可能である。
一般式(1)で表される化合物のアッベ数(νd)は特に限定されるものではないが、化合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の適切な溶剤に溶解させて塗布形成した膜のアッベ数は25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、19以下であることがさらに好ましく、18以下であることが特に好ましい。アッベ数(νd)を低く抑えることにより、広い波長領域にわたって色収差の補正を行うことができる。
また、一般式(1)で表される化合物の部分分散比(θg,F)も特に限定されるものではないが、化合物を適切な溶剤に溶解させて塗布形成した膜のアッベ数は部分分散比(θg,F)が0.70以上であることが好ましく、0.73以上であることがより好ましく、0.77以上であることがさらに好ましい。部分分散比(θg,F)を高くすることにより、特に短波長における色収差の補正を効果的に行うことができる。
一般式(1)で表される化合物を硬化させずに光学部材用化合物として用いる場合は、マトリックスポリマーに化合物を分散させて用いることができる。マトリックスポリマーとしては、本明細書の一部としてここに引用する特開2012−167019号公報の段落0098に記載される材料を用いることができる。これらの材料は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。マトリックスポリマーを選択する際には、一般式(1)で表される化合物との相溶性を考慮して選択することが好ましい。マトリックスポリマーに化合物を分散させて用いる場合、化合物の含有量は全体の1〜70質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましい。
硬化性組成物
一般式(1)で表される化合物は硬化させることにより、屈折率特性に優れるとともに湿熱安定性に優れた硬化物を形成することができる。硬化させる場合は、一般式(1)で表される化合物を含む硬化性組成物を調製しておき、それを硬化させることが好ましい。
硬化性組成物における一般式(1)で表される化合物の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して1〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。
硬化性組成物には、一般式(1)で表される化合物の他に、種々の成分を含有させることができる。例えば、一般式(1)で表される化合物以外の(メタ)アクリレートモノマー、重合制御剤、重合開始剤を好ましく含有させることができる。重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、硬化性組成物には、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を含有させることも可能である。これらの成分について、以下において詳しく説明する。
((メタ)アクリレートモノマー)
本発明の硬化性組成物に用いることができる(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーであってもよく、分子中に1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、本明細書の一部としてここに引用する特開2012−107191号公報の段落0037〜0046に記載の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
本発明で好ましく用いることができる(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、モノマー1(フェノキシエチルアクリレート)又はモノマー2(ベンジルアクリレート)で表わされる芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーや、モノマー3(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)で表される脂肪族環を有する二官能(メタ)アクリレートモノマー、モノマー4(ジシクロペンタニルアクリレート)で表わされる脂肪族環を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。(メタ)アクリレートモノマーの分子量は100〜500であることが好ましい。
Figure 0006887017
Figure 0006887017
(メタ)アクリレートモノマーの入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、ビスコート#192 PEA(モノマー1)(大阪有機化学工業株式会社製)、ビスコート#160 BZA(モノマー2)(大阪有機化学工業株式会社製)、A−DCP(モノマー3)(新中村化学工業株式会社製)、FA−513AS(モノマー4)(日立化成工業株式会社製)を好ましく用いることができる。
本発明の硬化性組成物が(メタ)アクリレートモノマーを含有する場合、(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、1〜80質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましく、3〜40質量%であることがさらに好ましい。
(重合制御剤)
本発明の硬化性組成物には、重合制御剤として、硬化性組成物の重合性成分の重合を制御する機能を有する化合物を用いることができる。好ましい重合制御剤として、例えば非共役ビニリデン基含有化合物を採用することができる。非共役ビニリデン基含有化合物としては、本明細書の一部としてここに引用する特開2012−107191号公報の段落0016〜0033に記載の化合物を用いることができる。非共役ビニリデン基含有化合物の分子量は、100〜400であることが好ましく、120〜350であることがより好ましく、130〜300であることが特に好ましい。非共役ビニリデン基含有化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、β−カリオフィレン(株式会社井上香料製造所製)や(+)−リモネン(東京化成工業株式会社製)などを好ましく用いることができる。
本発明の硬化性組成物が非共役ビニリデン基含有化合物を含有する場合、非共役ビニリデン基含有化合物の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
(熱ラジカル重合開始剤)
本発明の硬化性組成物に用いることができる熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を挙げることができる。
中でも、本発明の硬化性組成物は、熱ラジカル重合開始剤として、ハイドロパーオキサイド化合物を含むことが好ましい。ハイドロパーオキサイド化合物は、過酸化物であり、ペルオキシ基を有する化合物である。なお、ハイドロパーオキサイド化合物においては、ペルオキシ基(−O−O−)の一方の酸素原子には水素原子が置換しており、ハイドロパーオキサイド基(−O−O−H)を含む。分子内にハイドロパーオキサイド基を有するハイドロパーオキサイド化合物は非共役ビニリデン基含有化合物の重合中の連鎖移動を促進する効果があり、硬化性組成物が硬化する際の3次元構造のコントロール性がより向上し、半硬化物に変形性を付与することができる。
ハイドロパーオキサイド化合物の入手方法については特に制限は無く、商業的に入手してもよく、合成により製造してもよい。商業的に入手する場合は、例えば、日本油脂株式会社製のパークミルH−80(クメンハイドロパーオキサイド)等を用いることができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、ハイドロパーオキサイド化合物と、他の熱ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。他の熱ラジカル重合開始剤としては、非ハイドロパーオキサイド化合物を挙げることができる。ハイドロパーオキサイド化合物は熱ラジカル重合を開始する温度が一般に高いため、熱重合開始温度の低い非ハイドロパーオキサイド化合物を共に含むことが好ましい。非ハイドロパーオキサイド化合物としては、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、パーブチルO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製、パーブチルE)等のパーオキシエステル系化合物を用いることが好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5.0質量%であることがより好ましく、0.05〜2.0質量%であることがさらに好ましい。
熱ラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物を熱重合することにより、耐熱性が高い硬化物を成形することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の硬化性組成物に用いることができる光ラジカル重合開始剤として、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリオキシレート、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
中でも、本発明では、光ラジカル重合開始剤として、BASF社製、イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュア819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンを好ましく用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
なお、硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤の両方を含むことが好ましく、この場合、光ラジカル重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤の合計含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5.0質量%であることがより好ましく、0.05〜3.0質量%であることがさらに好ましい。
(ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体)
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は硬化性組成物の粘度を高める働きをするため、増粘剤もしくは増粘ポリマーとして機能する。このため、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を硬化性組成物に適量添加することにより、硬化性組成物の粘度を所望の範囲内に調整することが可能である。
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。中でも、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は共重合体であることが好ましい。ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体が共重合体である場合は、少なくとも一方の共重合成分がラジカル重合性基を有していればよい。また、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体が共重合体である場合は、側鎖にラジカル重合性基を有する単量体単位と、側鎖にアリール基を有する単量体単位を含む共重合体であることがより好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を挙げることができる。ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体には、ラジカル重合性基を有する繰り返し単位が、5〜100質量%含まれていることが好ましく、10〜90質量%含まれていることがより好ましく、20〜80質量%含まれていることがさらに好ましい。
以下において、本発明に好ましく用いられるラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の具体例を列挙するが、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体は以下の構造に限定されるものではない。
以下の構造式において、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素又はメチル基を表す。なお、1つのポリマー中における複数のRaは同一であっても、異なっていてもよい。また、nは0〜10の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
Figure 0006887017
Figure 0006887017
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の分子量(重量平均分子量)は、1,000〜10,000,000であることが好ましく、5,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜200,000であることがさらに好ましい。また、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体のガラス転移温度は、50〜400℃であることが好ましく、70〜350℃であることがより好ましく、100〜300℃であることがさらに好ましい。
ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の含有量は、硬化性組成物の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。なお、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体の含有量は、0質量%であってもよく、ラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を添加しない態様も好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の趣旨に反しない限りにおいて、硬化性組成物は上述した成分以外のポリマーやモノマー、分散剤、可塑剤、熱安定剤、離型剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(粘度)
本発明の硬化性組成物の粘度は、20,000mPa・s以下であることが好ましく、15,000mPa・s以下であることがより好ましく、13,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、10,000mPa・s以下であることが特に好ましい。硬化性組成物の粘度を上記範囲内とすることにより、硬化物を成形する際のハンドリング性を高め、高品質な硬化物を形成することができる。なお、硬化性組成物の粘度は、2,000mPa・s以上であることが好ましく、3,000mPa・s以上であることがより好ましく、4,000mPa・s以上であることがさらに好ましく、5,000mPa・s以上であることが特に好ましい。
硬化物の製造方法
本発明の硬化性組成物を硬化させることにより硬化物を製造することができる。硬化物を製造する際には、光硬化する工程及び熱硬化する工程のうちの少なくとも一方を行う。また、硬化物を製造する際には、硬化性組成物に光照射するか又は硬化性組成物を加熱することによって半硬化物を形成する工程と、得られた半硬化物に光照射するか又は半硬化物を加熱することによって硬化物を形成する工程を、順に行うことが好ましい。
(半硬化物を形成する工程)
半硬化物を形成する工程はまず転写工程を含むことが好ましい。転写工程は、上述した硬化性組成物に金型を押し当てる工程である。転写工程では、一対の金型の一方に注入された硬化性組成物に他方の金型を押し当てて硬化性組成物を押し広げる。
硬化物の製造方法で用いる金型は、窒化クロム処理が施されたものであることが好ましい。これにより、後に行う離型工程で良好な金型離型性を得ることができ、光学部材の製造効率を高めることができる。
窒化クロム処理としては、例えば金型表面に窒化クロム膜を成膜する方法を挙げることができる。金型表面に窒化クロム膜を製膜する方法としては、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法とPVD(Physical Vapor Deposition)法とがある。CVD法は、クロムを含む原料ガスと窒素を含む原料ガスとを高温で反応させて基体表面に窒化クロム膜を形成する方法である。また、PVD法は、アーク放電を利用して基体表面に窒化クロム膜を形成する方法(アーク式真空蒸着法)である。このアーク式真空蒸着法は、真空容器内に例えばクロムよりなる陰極(蒸発源)を配置し、陰極と真空容器の壁面との間でトリガを介してアーク放電を起こさせ、陰極を蒸発させると同時にアークプラズマによる金属のイオン化を図り、基体に負の電圧をかけておき、かつ真空容器に反応ガス例えば窒素ガスを数10mTorr(1.33Pa)程度入れることにより、イオン化した金属と反応ガスを基体の表面で反応させて化合物の膜を作るという方法である。本明細書における金型表面の窒化クロム処理は、上記CVD法、又はPVD法により実施されている。
ここで、金型は、一般的に2つの金型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができるようになっており、金型に低粘度の組成物を注入すると、成形型クリアランスへの漏れの原因となる。このため、金型に注入される硬化性組成物は、一定以上の粘度を有していることが好ましい。硬化性組成物の粘度を調整するために、硬化性組成物に上述したラジカル重合性基を側鎖に有する重合体を添加してもよい。
金型を押し当てる工程の後には、半硬化物を形成する工程が行われる。半硬化物は、金型内に注入された硬化性組成物を半硬化することで得られる。半硬化物を形成する工程では、光照射又は加熱を行う。本明細書では、このような工程を半硬化工程と呼ぶこともできる。
半硬化物を形成する工程では、本発明の硬化性組成物に対して光照射及び加熱のうち少なくとも一方を行って、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が10〜10mPa・sの半硬化物を形成することが好ましい。
ここで、本明細書中において「半硬化物」とは、硬化性組成物を重合したものであり、完全に固体となっておらず、ある程度流動性を有する状態の物を意味する。硬化性組成物の重合体の、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が10〜10mPa・sである場合、その重合体は半硬化物である。すなわち、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度の上限値として1.0×10mPa・s未満の物までを半硬化物とみなせる。一方、「硬化物」とは、硬化性組成物を重合により硬化させたものであり、完全に固体となっている状態の物を意味する。
光照射に用いられる光は、紫外線又は可視光線であることが好ましく、紫外線であることがより好ましい。例えばメタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)光源ランプなどが好適に使用される。光照射時の雰囲気は、空気又は不活性ガス置換雰囲気であることが好ましく、酸素濃度1%以下になるまで窒素置換した雰囲気であることがより好ましい。
半硬化工程において、加熱半硬化工程を設ける場合、加熱半硬化は、加熱後の半硬化物の25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が、10〜10mPa・sとなるように行うことが好ましい。
本発明は、上述した方法で製造される半硬化物に関するものであってもよい。このような半硬化物は、後述する硬化物の製造方法に好ましく用いることができる。ここで、半硬化物の複素粘度の好ましい範囲は、上述した半硬化物を形成する工程における半硬化物の複素粘度の好ましい範囲と同様である。
半硬化物には、光照射工程後において、光ラジカル重合開始剤が全て消費されていて全く含まれていなくてもよく、光ラジカル重合開始剤が残留していてもよい。
また、半硬化物のガラス転移温度は、−150〜0℃であることが好ましく、−50〜0℃であることがより好ましく、−20〜0℃であることが特に好ましい。
(硬化物を形成する工程)
硬化物を形成する工程は、半硬化物を成形型に入れ加圧変形し、加熱して熱重合させるか、もしくは光照射を行うことで光重合させることにより硬化物を得る重合工程を含むことが好ましい。本明細書では、このような工程を硬化工程と呼ぶこともできる。なお、硬化物を形成する工程における光照射の条件と加熱条件は、上述した半硬化工程における条件と同様である。
硬化工程が熱重合工程である場合、重合工程で用いられる成形型のことを、熱成形用成形型とも言う。熱成形用成形型は、一般に2つの成形型を組み合わせて内容物に加圧しながら加熱することができる構成となっていることが好ましい。また、硬化物の製造方法では、硬化物を得る熱重合工程において、成形型として金型を用いることがより好ましい。このような熱成形用成形型としては、例えば、特開2009−126011号公報に記載のものを用いることができる。また、金型は、窒化クロム処理が施されたものであることが好ましい。
熱重合工程では、成形型に入れた半硬化物を、加圧変形し、加熱して熱重合させて硬化物を得る。ここで、加圧変形と加熱は同時に行ってもよく、加圧変形した後で加熱を行ってもよく、加熱した後で加圧変形を行ってもよいが、その中でも加圧変形と加熱を同時に行うことが好ましい。また、加圧変形と加熱を同時に行った上で、加圧が安定してからさらに高温に加熱することも好ましい。
熱重合工程では、半硬化物を150℃以上の温度で加熱して硬化させ、硬化物を得る。
加熱温度は、150℃以上であり、160〜270℃であることが好ましく、165〜250℃であることがより好ましく、170〜230℃であることがさらに好ましい。
この硬化工程では、加熱を行うとともに加圧変形を行うことが好ましい。これにより金型内面の反転形状を硬化物に精度よく転写することができる。
加圧変形における圧力は、0.098MPa〜9.8MPaであることが好ましく、0.294MPa〜4.9MPaであることがより好ましく、0.294MPa〜2.94MPaであることが特に好ましい。
熱重合の時間は、30〜1000秒であることが好ましく、30〜500秒であることがより好ましく、60〜300秒であることが特に好ましい。熱重合時の雰囲気は、空気又は不活性ガス置換雰囲気であることが好ましく、酸素濃度1%以下になるまで窒素置換した雰囲気であることがより好ましい。
硬化工程の後には、離型工程が設けられる。硬化工程で熱重合を行った場合、離型工程では、150〜250℃の温度範囲で硬化物から金型を引き離すことが好ましい。離型工程における温度を上記範囲内とすることにより、硬化物から金型を容易に引き離すことができ、製造効率を高めることができる。
以上、本発明の硬化物の製造方法の一例について説明したが、本発明の構成はこれに限るものではなく、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、転写工程と半硬化工程で用いた金型を、そのまま硬化工程で用いてもよく、半硬化工程を行った後、半硬化物から金型を引き離し、この半硬化物を別の金型(熱成形用成形型)に移動させて硬化工程を行ってもよい。この場合、半硬化工程及び硬化工程で用いる金型には上述したクロム処理が施されていることが好ましい。
また、半硬化工程で、金型内の硬化性組成物に光照射を行うとともに、加熱を行うようにしてもよい。これにより、所望の硬化度を有する半硬化物を確実に得ることができる。半硬化物は、25℃、周波数10Hzにおける複素粘度が10〜10mPa・sであることが好ましい。
硬化物
一般式(1)で表される化合物を含む硬化性組成物を硬化させて得られる本発明の硬化物は、優れた屈折率特性と湿熱耐久性を有する。すなわち本発明の硬化物は、高い屈折率(nd)、低いアッベ数(νd)、高い部分分散比(θg,F)を有する。
本発明の硬化物のアッベ数(νd)は特に限定されるものではないが、30以下であることが好ましく、27以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましく、23以下であることが特に好ましい。アッベ数(νd)を低く抑えることにより、広い波長領域にわたって色収差の補正を行うことができる。
また、本発明の硬化物の部分分散比(θg,F)も特に限定されるものではないが、0.68以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.72以上であることがさらに好ましい。部分分散比(θg,F)を高くすることにより、特に短波長における色収差の補正を効果的に行うことができる。
本発明の硬化物は、湿熱耐久性にも優れている。したがって、高温高湿下で使用されることがあるレンズ等に効果的に用いることができる。
本発明の硬化物は、最大厚みが0.1〜10mmであることが好ましい。最大厚みは、より好ましくは0.1〜5mmであり、特に好ましくは0.15〜3mmである。本発明の硬化物は、最大直径が1〜1000mmであることが好ましい。最大直径は、より好ましくは2〜200mmであり、特に好ましくは2.5〜100mmである。
光学部材
本発明は、上述した硬化物を含む光学部材に関するものでもある。本発明の硬化物は、光学特性に優れた成形体であるため、光学部材に好ましく用いられる。本発明の光学部材の種類は、特に制限されない。特に、硬化性組成物の優れた光学特性を利用した光学部材、特に光を透過する光学部材(いわゆるパッシブ光学部材)として好適に利用することができる。このような光学部材を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP(Overhead projector)、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
また、光学機能装置に用いられるパッシブ光学部材としては、例えば、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。このようなパッシブ光学部材には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層が設けられてもよい。任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート膜等が挙げられる。コーティング層を形成するためのコーティング法としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
本発明の硬化物を用いた光学部材は、特にレンズ基材に好ましく用いられる。本発明の硬化性組成物を用いて製造されたレンズ基材は低アッベ数を有し、好ましくは、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、硬化性組成物を構成するモノマーの種類を適宜調整することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
なお、本明細書中において「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、ガラスレンズ基材や、プラスチックレンズ基材に積層させた複合レンズにすることができる。さらにレンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。但し、これらの膜や枠などは、レンズ基材に付加される部材であり、本明細書中でいうレンズ基材そのものとは区別される。
レンズ基材をレンズとして利用するに際しては、レンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、上述した膜や枠、その他レンズ基材などを付加してレンズとして用いてもよい。レンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。
レンズ基材は携帯電話やデジタルカメラ等の撮像用レンズやテレビ、ビデオカメラ等の撮映レンズ、さらには車載レンズ、内視鏡レンズに使用されることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。実施例に記載される材料種、材料の使用量、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
化合物の合成
(実施例1)化合物A−2の合成
Figure 0006887017
(1−1)中間体1の合成
1L三口フラスコに、窒素気流下で4,4‘−ジブロモベンゾフェノンを6.8g、p−ヒドロキシフェニルボロン酸を8.3g、1,4−ジオキサンを200mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を100mL加え、室温で30分撹拌した。その後、ビス(ジ−t−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II) [(AMPHOS)PdCl]を0.6g添加し、90℃で3時間反応を行った。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)により確認したのち、反応溶液を室温まで冷却した。析出した固体をろ過により回収し、テトラヒドロフランに溶解させた。シリカゲルろ過を行い、ろ液にヘキサンを添加して再結晶を行うことにより中間体1を6.7g得た。
(1−2)中間体2の合成
200mLの三口フラスコに、ジメチルホルムアミド(DMF)を40mLと、水素化ナトリウム(NaH)を0.48g(油性、60%)加え、氷浴中で10分撹拌した。ここに中間体1を2.0g加え、室温で1時間撹拌したのち、3−ブロモ−1−プロパノールを1.7g添加した。50℃に昇温し、4時間後、水を少量加え反応を停止した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、ろ液にヘキサンを加えて再結晶を行うことで、中間体2を1.0g得た。
(1−3)化合物A−2の合成
100mLの三口フラスコに、中間体2を1.0g、p−メトキシフェノール(MEHQ)を10mg、テトラヒドロフラン(THF)を10mL及びトリエチルアミン(TEA)を1.6mL加え、氷浴中で10分撹拌した。ここにメタクリル酸クロリドを1.0g加え、室温で4時間反応させたのち少量の水を加え反応を停止した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、ろ液にヘキサンを加えて再結晶を行うことで、化合物A−2を0.6g得た。化合物A−2のH−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)データは下記の通りであった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.88(s,6H)、2.05−2.15ppm(m,4H)、4.20−4.35ppm(m,4H)、4.50−4.65ppm(m,4H)、5.70ppm(s,2H)、6.05ppm(s,2H)、7.00−7.15ppm(d,2H)、7.25−7.35ppm(d,2H)、7.60−7.80ppm(m,8H)、7.85−8.00ppm(m,4H)
(実施例2)化合物A−4の合成
Figure 0006887017
(2−1)化合物Bの合成
2Lの三口フラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレートを100g入れ、さらにトリエチルアミンを132mLと、酢酸ブチルを650mL加えて攪拌した。反応溶液を5℃に保ちつつ、メタンスルホン酸クロリド70mLを1時間かけて滴下した。1時間攪拌後、反応溶液に水500mLを加え、攪拌した後、水層を除去する操作を3回繰り返した。次いで、ジブチルヒドロキシトルエンを30mg加えた後、減圧することで酢酸ブチルを留去し、化合物Bを160g得た。
(2−2)化合物A−4の合成
500mLの三口フラスコに、中間体1を5.0g、テトラヒドロフラン(THF)を50mL、ニトロベンゼンを0.05mL、炭酸セシウム(CsCO)を13.3g、及びテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を0.4g入れて攪拌した。ここに化合物Bを9.0g加え、80℃に保ちつつ、5時間反応させた。反応液を室温まで冷却したのちに、水300mLを加え、析出した粗結晶をろ過により回収した。粗結晶をテトラヒドロフランに溶解し、メタノールを加え再結晶することで、化合物A−4を6.5g得た。化合物A−4のH−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)データは下記の通りであった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ4.22−4.38ppm(m,4H)、4.55−4.70ppm(m,4H)、5.80−5.95ppm(d,2H)、6.15−6.30ppm(m,2H)、6.45−6.55ppm(d,2H)、7.00−7.15ppm(d,2H)、7.25−7.35ppm(d,2H)、7.60−7.80ppm(m,8H)、7.85−8.00ppm(m,4H)
(実施例3)化合物A−6の合成
Figure 0006887017
(3−1)中間体3の合成
200mL三口フラスコに、窒素気流下で4,4‘−ジクロロベンゾフェノンを2.0g、3−ヒドロキシメチル−4−メトキシフェニルボロン酸を4.4g、1,4−ジオキサンを40mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を40mL加え、室温で30分撹拌した。その後、ビス(ジ−t−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)[(AMPHOS)PdCl]を0.2g添加し、90℃で3時間反応を行った。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)により確認したのち、反応溶液を室温まで冷却、水を添加し、析出した固体をろ過により回収した。得られた粗結晶をメタノール中で撹拌し、洗浄することにより中間体3を3.5g得た。
(3−2)中間体4の合成
200mL三口フラスコに、窒素気流下で中間体3を3.3gと、テトラヒドロフラン(THF)を60mL入れ、氷浴中で10分撹拌した。ここに三臭化リン(PBr)を7.0g加え、室温で4時間反応させたのち少量の水を加えて反応を停止した。析出した粗結晶をろ過により回収し、メタノール及び酢酸エチルで洗浄することにより中間体4を3.5g得た。
(3−3)中間体5の合成
200mLの三口フラスコに、テトラヒドロフラン(THF)を40mLと、水素化ナトリウム(NaH)を0.56g(油性、60%)加え、氷浴で冷却したのち、2−メチル−1,3−プロパンジオール1.6gのテトラヒドロフラン溶液を3mL加え、室温で撹拌した。1時間後、中間体4を2.5g加え、60℃で3時間反応を行った。室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、ろ液にヘキサンを加え再結晶を行うことにより中間体5を2.3g得た。
(3−4)化合物A−6の合成
100mLの三口フラスコに、中間体5を1.8g、p−メトキシフェノール(MEHQ)を10mg、クロロホルムを20mL及びトリエチルアミン(TEA)を3.0mL加え、氷浴中で10分撹拌した。ここにメタクリル酸クロリドを2.0g加え、室温で4時間反応させたのち少量の水を加え反応を停止した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除いたあと、ヘキサン/酢酸エチルを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物A−6を1.3g得た。化合物A−6のH−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)データは下記の通りであった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ0.92−1.00(d,6H)、1.85(s,6H)、2.10−2.20ppm(m,2H)、3.40−3.50ppm(m,4H)、3.85ppm(s,6H)、4.00−4.20ppm(m,4H)、4.55ppm(s,4H)、5.60ppm(s,2H)、6.00ppm(s,2H)、7.10−7.20ppm(d,2H)、7.65−7.75ppm(m,4H)、7.80−7.90ppm(m,8H)
(実施例4)化合物A−17の合成
Figure 0006887017
(4−1)中間体6の合成
アクリル酸ヒドロキシプロピル40g、ジクロロメタン300mL、N,N−ジメチルアミノピリジン3.8g、無水コハク酸33.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール200mgを混合し、内温を40℃まで加熱した。12時間撹拌した後、室温へと冷却して水300mLを加えて1時間撹拌し、分液を行った。集めた有機層を1mol/Lの塩酸水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別して、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、透明なオイルである中間体6を70g得た。
(4−2)化合物17の合成
300mLの三口フラスコに、中間体3を9.1g、中間体6を11.1g、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)240mgおよびジクロロメタン100mLを加え、氷浴中で10分撹拌した。ここに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC・HCl)を9.2g加え、室温で4時間反応させた。反応液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過により硫酸マグネシウムを除いたあと、ヘキサン/酢酸エチルを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物A−17を15.0g得た。化合物A−17のH−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)データは下記の通りであった。
H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.10−1.20(d,6H)、2.56−2.68ppm(m,8H)、3.88ppm(s,6H)、4.00−4.20ppm(m,4H)、5.00−5.10ppm(m,2H)、5.15ppm(s,4H)、5.88−5.96ppm(m,2H)、6.05−6.20ppm(m,2H)、6.25−6.35ppm(m,2H)、7.15−7.25ppm(d,2H)、7.70−7.80ppm(m,4H)、7.80−7.90ppm(m,8H)
(比較例1)
特開2014−43565号公報に記載される方法で下記構造を有する化合物を合成した。これを比較化合物1とした。
Figure 0006887017
化合物の屈折率特性評価
実施例1〜4及び比較例1で得られた各化合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた。このとき、各化合物の濃度は1〜10重量パーセントの範囲内となるように調整した。得られた各溶液をスピンコーティングにより石英基板上に塗布し、80℃のホットプレート上で3時間乾燥させることで、膜厚200〜500nmの層を有する光学特性評価用基板を作製した。この評価用基板をV字形状に加工して、各サンプルの屈折率(nF)、アッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)をカルニュー精密屈折計(株式会社島津デバイス製造製:型番KPR−2000)を用いて測定した。測定は各サンプルについて3回行い、平均値を測定結果とした。結果を表1に示す。
Figure 0006887017
硬化性組成物の熱硬化と、熱硬化物の屈折率特性評価と湿熱耐久性評価
(実施例5〜8、比較例2)硬化性組成物の調製と熱硬化
表2に記載の組成となるように各成分を添加し、攪拌して均一にし、硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物を、直径20mm、厚み2mmの透明ガラス型に注入し、酸素濃度1%以下の雰囲気下、200℃に加熱することで熱硬化物を作製した。特性を評価するためにV字形状に加工して、実施例1〜4と同じ方法により各サンプルの屈折率(nF)、アッベ数(νd)及び部分分散比(θg,F)を測定した。また、下記の方法にしたがって、各サンプルの湿熱耐久性評価も行った。結果を表2に示す。
<湿熱耐久性評価>
屈折率(nd)を測定した各サンプルを85℃、相対湿度85%に保たれた恒温恒湿槽に入れて24時間保管した後、取り出した。次いで、25℃、相対湿度60%で1時間放置した後、屈折率(nd)を測定し、湿熱試験前後での屈折率の変化量を以下のA〜Cの3段階で評価した。
A:湿熱試験前後で屈折率変化が0.0005以下
B:湿熱試験前後で屈折率変化が0.0005より大きく、0.001以下
C:湿熱試験前後で屈折率変化が0.001より大きい
Figure 0006887017
表2に記載される各成分の配合量は質量%で表したものである。また、表2に記載される光重合開始剤と熱重合開始剤の詳細は下記の通りである。
イルガキュア819(BASF社製)
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
パーブチルO(日本油脂株式会社製)
t−ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート
パークミルH−80(日本油脂株式会社製)
クメンヒドロペルオキシド
表1に示すように、実施例1〜4は、比較例1に比べて屈折率(nF)が同等以上で、アッベ数(νd)が低く、部分分散比(θg,F)が高くて好ましい特性を有することが確認された。
表2に示すように、実施例5〜8は、比較例2に比べて湿熱耐久性が格段に改善されていることが確認された。また、共重合モノマー量が同じである実施例7及び8と比較例2との対比では、実施例7及び8の方が屈折率(nF)が同等以上で、アッベ数(νd)が低く、部分分散比(θg,F)が高くて好ましい特性を有することが確認された。
レンズの製造
(実施例9)複合レンズの製造
表面が窒化クロム処理された成形金型(硬化性組成物と接する面が非球面形状を有する)に実施例7で得た硬化性組成物を200mg注入し、硬化性組成物の成形金型と接していない側のすべての表面上を覆うように透明なガラスレンズ(硝材BK−7、直径33mm、中心厚み3mm、硬化性組成物と接する面の曲率半径=44.3mm、硬化性組成物と接しない面の曲率半径=330.9mmである凸レンズ)を被せて、硬化性組成物の直径が30mmとなるように押し広げた。この状態とした後、ガラスレンズの上方から、Execure3000(HOYA株式会社製)を用いて300mJ/cmの紫外線を照射して硬化性組成物を半硬化させた。次いで、成形金型及びガラスレンズによって挟まれた状態を維持したまま、硬化性組成物に0.196MPa(2kgf/cm)の圧力を印加しながら200℃まで昇温し、さらに硬化させた。ついで、金型温度を180℃に冷却した後、硬化性組成物の硬化物と成形金型とを0.05mm/秒の速度で引き離すことにより、複合レンズを製造した。

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む、硬化性組成物。
    Figure 0006887017
    一般式(1)において、
    〜R10は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、
    〜Rの少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基であり、
    〜R10の少なくとも1つは、置換もしくは無置換のアリール基、又は、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
    とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(1)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
  2. 〜R10の少なくとも1つが、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたアリール基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基で置換されたヘテロアリール基である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記化合物が下記一般式(2)で表される、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 0006887017
    一般式(2)において、
    及びRは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    n1及びn2は、各々独立に0〜4の整数を表し、n1が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、また、n2が2以上であるとき、複数のRは同一であっても異なっていてもよく、
    11〜R20は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である。
    11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのR、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのRは、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(2)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
  4. 前記化合物が下記一般式(3)で表される、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 0006887017
    一般式(3)において、
    、R、R、R、R、R、R及びR10は、各々独立に、水素原子を表すか、あるいは、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    11〜R20は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である。
    とR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(3)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
  5. 12が(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である、請求項3又は4に記載の硬化性組成物。
  6. 16〜R20の少なくとも1つが、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 11、R15、R16及びR20が水素原子である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基が下記一般式(4)で表される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    Figure 0006887017
    一般式(4)において、
    Acは、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、
    は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
    は、カルボニル基、エーテル基、チオカルボニル基、チオエーテル基、又は、これらの基を組み合わせた連結基を表し、
    は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、
    m1は0〜10のいずれかの整数を表し、m1が2以上であるとき、複数のLは同一であっても異なっていてもよく、また、複数のLも同一であっても異なっていてもよく、
    m2は0又は1を表し、
    *は、結合部位を示す。
  9. 前記一般式(4)で表される置換基が、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシカルボニルアシルオキシアルキル基である、請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. 前記化合物が、分子中に前記(メタ)アクリロイルオキシ基を含む置換基を2つ以上含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 前記化合物が、分子中に芳香環が2つ以上縮合した多環構造を含まない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  12. 前記硬化性組成物が、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物の半硬化物。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  15. 請求項14に記載の硬化物を含む光学部材。
  16. 請求項14に記載の硬化物を含むレンズ。
  17. 下記一般式(2)で表される化合物。
    Figure 0006887017
    一般式(2)において、
    及びRは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    n1及びn2は、各々独立に0〜4の整数を表し、
    11〜R20は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基を表し、
    11〜R15の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である。
    11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのR、ベンゼン環の隣り合う環骨格形成原子にそれぞれ結合した2つのRは、各々互いに結合して、環状構造を形成するのに必要な連結基を形成してもよい。ただし、一般式(2)で表される分子中に芳香環が3つ以上縮合した多環構造が含まれることはない。
  18. 及びR は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、
    n1及びn2は、0又は1を表し、
    11 〜R 20 は、各々独立に、水素原子、アルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基を表し、
    11 〜R 15 の少なくとも1つは、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルコキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基を含むアルキルチオ基である、
    請求項17に記載の化合物。
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