JP2016066063A - ディスプレイ用ハーフミラーフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた表面品位と低彩度を有し、視認角度による色変化が小さく、かつ優れた反射性と透過性を両立するディスプレイ用ハーフミラーフィルムを提供する。
【解決手段】下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、ディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
(1)樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に合計250層以上積層され、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となる積層フィルムであること。
(2)波長帯域400〜700nmにおける平均反射率が40%以上80%以下であり、平均反射率と平均透過率の和が90%以上であること。
(3)フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度が0以上7以下であること。
(4)フィルム表面に平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上の凹凸がないこと。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムに関する。
近年、表示と通信にデジタル技術を活用してディスプレイ上に映像や情報を表示するデジタルサイネージと呼ばれる広告媒体が急速に拡大しており、ミラーディスプレイとセンサーを組み合わせることで無人時は鏡、人が近付いた時はディスプレイを表示させるハーフミラーとして、従来とは異なる空間演出が可能となっている。また、各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器、鏡用ディスプレイ装置等の様々なミラーディスプレイ装置が開発されている。
そのような中で、ディスプレイを動作していない状態において、ハーフミラーの裏面側が極力見えないように構成すると共に、ディスプレイ動作時はディスプレイ映像を鮮明に見えることができる薄型ディスプレイ用ハーフミラー及びそのハーフミラーを用いた薄型ディスプレイ装置が提案されている(特許文献1参照)。また、表示部の外観不良が少なく、後加工成形が可能であり、さらに表示部での風景などの外部情報および情報の視認性が向上するヘッドアップディスプレイおよびそれを用いた移動機器が提案されている(特許文献2参照)。
特許第5232839号公報 特開2013−54350号公報
特許文献1記載の薄型ディスプレイ用ハーフミラーは、ハーフミラーの裏面側に透明フィルムと遮光フィルムを貼着するだけで構成することができ、ハーフミラーは無色透明のガラス板の裏面全体にスパッタリングによって光を一部透過する金属薄膜層を設けたハーフミラーである。しかしながら、金属を使用しているため、紫外・可視光領域に吸収帯を持ち、光の反射率と透過率を足しても100%を大きく下回り、ミラーディスプレイとして高反射が必要な場合、ディスプレイの透過率が低くなるためディスプレイの表示が見難くなる。また、ディスプレイの輝度を上げるために、消費電力が高くなる問題が有った。さらに、一層ずつ積み上げて積層するため、工程上の問題である蒸着ムラや印刷ムラが頻発し易く、外観不良となるケースが多く、ディスプレイの大型化によりコスト高が問題となっていた。
特許文献2記載のヘッドアップディスプレイは、表示部が、透明基材、接着層、ハーフミラー材の順で構成されており、ハーフミラー材は、光の吸収・拡散効果がほとんど無い、異なる屈折率の2種類の樹脂層を交互に50層以上積層し、最表層の厚膜層の厚みを5μm以上とすることで、接着層の凹凸がハーフミラー材の内部の薄膜層へ転写することを防止することができる。しかしながら、積層不良に起因するフローマークの発生による表面凹凸の抑制、また、積層不良に起因する大型ディスプレイにおける部分的な色付きによる彩度の上昇及び斜めから視認した際の色変化については十分に考慮されていない。
そこで本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解決し、優れた表面品位と低彩度を有し、視認角度による色変化が小さく、かつ優れた反射性と透過性を両立するディスプレイ用ハーフミラーフィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
[I]下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、ディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
(1)樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に合計250層以上積層され、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となる積層フィルムであること。
(2)波長帯域400〜700nmにおける平均反射率が40%以上80%以下であり、平均反射率と平均透過率の和が90%以上であること。
(3)フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度が0以上7以下であること。
(4)フィルム表面に平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上の凹凸がないこと。
[II]波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%以下であることを特徴とする、[I]に記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
[III]前記積層フィルムの少なくとも片面に、アクリル・ウレタン共重合樹脂と2種類以上の架橋剤からなる易接着層が設けられた、[I]又は[II]に記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
[IV][I]〜[III]のいずれかに記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルムにおいて、ガラス、粘着剤、及びディスプレイ用ハーフミラーフィルムをこの順に積層して得られる、ディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体。
[V]前記ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの片面に印刷層が設けられた、[IV]に記載のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体。
本発明により、優れた表面品位と低彩度を有し、視認角度による色変化が小さく、さらに優れた反射性と透過性を両立するディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得ることができる。
より具体的には、ハーフミラー材として、光吸収が小さいため反射と透過のバランスが良く、ディスプレイ用途に求められる彩度の低さ、視認角度が制限されない色の安定性、及びディスプレイ透過時に視認されるスジが無く表面品位に優れるため、それを用いたミラーディスプレイ装置として、例えば、各種表示装置、テレビジョン装置、デジタルサイネージ、携帯型電子機器、鏡用ディスプレイ装置等に好適に用いることができる。
実施例1〜3、7、8、比較例1、及び比較例2の設計層厚みを示す図 実施例4の設計層厚みを示す図 実施例5の設計層厚みを示す図 実施例6の設計層厚みを示す図 比較例3の設計層厚みを示す図 比較例4の設計層厚みを示す図 比較例5の設計層厚みを示す図
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂B層からなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に合計250層以上積層され、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となる積層フィルムである。
本発明における積層フィルムは、厚み方向に交互に合計250層以上積層された構造である必要がある。より好ましくは、厚み方向に交互に合計400層以上積層された構造であり、さらに好ましくは、800層以上積層された構造である。250層未満の場合、可視光を均一に反射できず、彩度の大きなフィルムとなってしまうことがある。
本発明における積層フィルムは、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となることが必要である。より好ましくは、5μm以上10μm以下である。1μm未満の場合、積層不良に起因するフローマークが発生することで表面凹凸が発生し、ディスプレイ透過時にフィルム表面がスジ状に見えることがある。また、積層不良に起因する部分的な色付きが発生し、その部分の彩度が上昇することがある。加えて、積層不良に起因する特定角度から視認した際の色変化が発生し、正面から視認した場合と色目が異なることがある。20μmを超える場合、積層フィルムの全体厚みが厚くなり、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムとしてはコシが強すぎて取り扱い難くなることがある。
本発明における積層フィルムの好ましい層構成の一例として、設計層厚みを示す図を説明する。図1は、2種類の樹脂(以下、樹脂A、樹脂Bという)からなる層を厚み方向に交互に積層したフィルムにおいて、樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂B層からなる層(以下、B層という)を、各層順(以下、層番号という)に対してプロットした図である。図の整数の層番号のみに層厚みが対応しており、A層は奇数番号に対応し、B層は偶数番号に対応する。また、厚膜層はA層で形成されることが好ましい。図2、図3、及び図4についても同様である。図1〜4に示す層構成の通り、一方の表面から反対の表面に向かうにつれて、層厚みが増加したのち減少する層構成の場合は、極一部に積層不良が生じ、設計値から外れたとしても、他の部分に同程度の層厚みが存在しているため、彩度を低減化することができる。また、層構成が減少から増加に変化、及び増加から減少に変化する箇所は積層不良が生じ易く、彩度の上昇及び特定角度から視認した際の色変化の原因となるため、1μm以上20μm以下である厚みの中間厚膜層を上記箇所に設けることが好ましい。中間厚膜層が無い場合、積層不良により特定波長における光の反射が設計値と異なるため、色付きが発生し易く、後述するフィルム表面の1m×1mの範囲における彩度を7以下とすることができなくなることに加え、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%以下とすることができなくなる。図5は図1の中間厚膜層を有さない層構成であり、層厚み傾斜が変化する位置にて中間厚膜層がないため積層構造が歪みやすく、彩度及び特定角度から視認した際の色変化が大きくなることがある。図6は図1の表層厚膜層を有さない構造であり、積層不良によるフローマークが発生することで積層フィルムの表面に凹凸が生じ、ディスプレイ光がディスプレイ用ハーフミラーフィルムを透過する際にスジ状の欠点として視認されることがある。図7は図4の積層数が201層である構造であり、積層数が小さいことで可視光を均一に反射できず、彩度が大きくなることがある。
また、本発明では便宜上、図1、図2、図5、及び図6の層厚み構成を4段の傾斜構造、図3の層厚み構成を3段の傾斜構造、図4、及び図7の層厚み構成を2段の傾斜構造と呼ぶこととする。ここで、本発明で言う「4段の傾斜構造」とは、4本の単調増加曲線および/または単調減少曲線で近似できる構造のことを指す。
本発明では、樹脂Aからなる厚膜層は、積層フィルムの両側の最表層と、単調増加曲線及び/または単調減少曲線の変化点、すなわち中間層に位置する。また、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層を3層以上含む2段以上の傾斜とすると、ごく一部に積層不良が生じて設計層厚みから外れた場合でも、他の部位に同程度の層厚みが存在しているため、色付きを最小限に抑えることができる。
本発明における積層フィルムは、色付きを抑制する観点から、層対厚み10nm以上220nm未満の層数が、層対厚み220nm以上350nm以下の層数より多いことが好ましい。ここで、本発明で言う「層対厚み」とは、隣接するA層およびB層のそれぞれの層厚みを足した厚みを指す。また、層対厚みは、A層のみについて一方のフィルム表面から数えたm番目のA層と、隣接するB層のみについて同表面から数えたm番目のB層の層厚みを足したものでなければならない。ここで、mは整数を表している。例えば、一方のフィルム表面から反対側の表面にA1層/B1層/A2層/B2層/A3層/B3層・・・の順番で並んでいる場合、A1層とB1層が1番目の層対であり、A2層とB2層が2番目の層対であり、A3層とB3層が3番目の層対となる。層対厚み10nm以上220nm未満の層数が、層対厚み220nm以上350nm以下の層数と同数または少ないと、波長帯域400nm〜1100nmの反射帯域において低波長側ほど反射率が低下するため、赤みを帯びた外観になることがある。これは、低波長側の反射を起こす層対の密度が薄くなるために起こるものである。従って、積層フィルムを構成する層の層対厚み序列としては、単調に等差数列的に層対厚みが増減するのではなく、上記条件を満たしながら等比数列的に層対厚みが増減することが好ましい。より好ましくは、層対厚み120nm以上220nm未満の層数が、層対厚み220nm以上350nm以下の層数に対して1.05倍以上2.5倍以下であることが好ましい。
本発明における樹脂A、樹脂Bの2種類の樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の何れであっても良く、共重合体や2種類以上の樹脂が混合されたものであっても良い。中でも、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点から、ポリエステル樹脂を用いることが特に好ましい。
ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体等を挙げることができる。中でも屈折率の高いテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種類のみを用いても良く、2種類以上を併用しても良く、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合しても良い。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種類のみを用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
前記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂から選ばれた樹脂Aおよび樹脂Bの好ましい組み合わせは、一方の樹脂と同一の基本骨格を含む樹脂を用いることが好ましい。ここで、本発明で言う「基本骨格」とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことを指し、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、エチレンテレフタレートが基本骨格であり、この場合の他の樹脂としては、例えば、エチレンテレフタレート単位とシクロヘキサン1,4−ジメチレンテレフタレート単位からなる重合体(共重合体)が挙げられる。また、別の例として、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。同一の基本骨格の樹脂を用いると、積層フィルムの製膜において、フローマーク等の積層不良や層間での剥離等の問題が生じ難くなる。
樹脂Aとしては、耐押し跡性(耐打痕性)、フィルム自体の腰の強さの観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
樹脂Bとしては、屈折率の上昇を抑制する観点から、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル酸、シクロヘキサンジカルボン酸を含有、または、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールA成分を含有した上記樹脂Aの共重合体を、上記樹脂Aと混合または単独で用いることが好ましい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率が40%以上80%以下である。より好ましくは45%以上70%以下である。平均反射率が40%未満の場合、反射率が低くミラー調の外観とならないことがある。平均反射率が80%を超える場合、透過率が低くなるため、ディスプレイ透過時にディスプレイが暗くなり、十分な明るさを得るためにディスプレイの輝度を上げることによりに電力消費が大きくなることがある。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、平均反射率と平均透過率の和が90%以上である。平均反射率と平均透過率の和が90%未満の場合、ミラーディスプレイ用途ではミラー調を実現するために高反射率である必要があることから、平均透過率が低くなるため、ディスプレイ透過時にディスプレイが暗くなり、十分な明るさを得るためにディスプレイの輝度を上げることによりに電力消費が大きくなることがある。
平均反射率と平均透過率の和を90%以上とするためには、金属フリーの構成とすることが好ましい。金属薄膜層によりハーフミラーフィルムとした場合、金属の吸収により、平均反射率と平均透過率の和を90%以上とすることができないことがある。例えば、一般的なアルミ蒸着とすると平均反射率と平均透過率の和は75%程度となる。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度が0以上7以下である。より好ましくは0以上5以下であり、さらに好ましくは0以上3以下である。フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度が7を超える場合、色付きが大きくなり、ディスプレイ自体が表示する色調が変化することに加え、視野角度による色付き変化も大きくなるため、視聴位置により色のバラツキが大きくなることがある。また、ディスプレイの大型化により、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムも大面積化する必要があり、1m×1mサイズにおいても全ての箇所で低彩度が求められる。また、1m×1mの範囲内の一部のみでも彩度が7を超えると、その箇所のみが周囲とディスプレイの色調が変化することがある。
1m×1mの範囲における彩度を0以上7以下とするためには、積層フィルム製造時の積層状態を均一とすることが必要である。図1〜7に示す層構成において、層構成が減少から増加に変化、及び増加から減少に変化する箇所は積層不良が生じ易く、部分的な彩度の上昇が発生する原因となるため、1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層を上記箇所に設けることが好ましい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、フィルム表面に平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上の凹凸がない。本発明における積層フィルムは、A層とB層を交互に積層させているため、積層不良によるフローマークが生じることがある。フローマークは積層フィルムの表面で発生する場合が多く、積層フィルムの表面にスジ状の凹凸が生じる。凹凸高さが高くなるほどフローマークは視認しやすく、平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上であると、ディスプレイ透過時にスジが視認されることがある。
平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上の凹凸が無い表面状態、すなわちフローマークの無い表面状態とするためには、積層フィルムの表層部における積層不良を抑制することが必要である。フローマークが最も顕著に発生する箇所は積層フィルム製造時のフィードブロックから口金までの経路の配管部分であり、配管の壁面の影響により、配管付近の樹脂速度が低下し、配管壁面付近と配管中心部の溶融樹脂の流速差が発生して積層不良が生じる。よって、積層不良が発生しないよう配管壁面から一定の距離が同一ポリマーとなるよう、1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層を両側の最表層に設けることが好ましい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下である。積層フィルムは、視認する際の角度が大きくなるに従い反射できる光の波長が低波長シフトする。そのため、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%を超える場合、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを正面から視認した場合と、斜めから視認した場合では色目が異なることがある。
波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%以下とするためには、積層フィルム製造時の積層状態を均一とすることが必要である。積層フィルムの層対厚みは赤味を帯びた外観とならないよう、層対厚み120nm以上220nm未満の層数が、層対厚み220nm以上350nm以下の層数に対して1.05倍以上2.5倍以下であることが好ましいが、この場合高波長側の反射を起こす層対の密度が薄くなる。そのため、積層不良が発生すると波長帯域700〜900nmの反射波長変化が大きくなり、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差が大きくなる。図1〜7に示す層構成において、層構成が減少から増加に変化、及び増加から減少に変化する箇所は積層不良が生じ易いため、1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層を上記箇所に設けることが好ましい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、ヘイズが3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは、2.0以下であり、1.5以下であることが特に好ましい。ヘイズが3.0を超える場合、ディスプレイを透過させた際に、ディスプレイの視認性が低下することがある。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、積層フィルムのA層の面内平均屈折率と、B層の面内平均屈折率の差が0.055以上0.120以下であることが好ましい。より好ましくは、0.060以上0.115以下である。面内平均屈折率の差が0.055未満の場合、十分な反射率およびミラー調が得られなくなることがある。面内平均屈折率の差が0.120を超える場合、透過率が低くなり過ぎてディスプレイの視認性が低下することがある。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、前記積層フィルムの少なくとも片面に、アクリル・ウレタン共重合樹脂と2種類以上の架橋剤からなる易接着層が設けられていることが好ましい。積層フィルムに印刷層またはハードコート層を施す際、処理面に易接着層が設けられていない場合、界面における密着性が低下することがある。また、印刷層とハードコート層を積層フィルムの両面に施す際は、両面に易接着層が設けられていることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる易接着層を構成するアクリル・ウレタン共重合樹脂としては、アクリル系モノマーは、例えばアルキルアクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等)、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー等を用いることができる。また、本発明におけるウレタン成分としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物を、乳化重合、懸濁重合等の公知のウレタン樹脂の重合方法によって反応させることで得られる樹脂を用いることができる。ウレタン成分を構成するポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、グリセリン等を用いることができる。
本発明における易接着層を構成する架橋剤としては、架橋性官能基を共重合することが好ましく、例えば、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化或いはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤等を用いることができる。また、ハードコート層やシリコーン系接着層との耐湿熱接着性の観点から、2種類以上の架橋剤を用いることが好ましく、具体的には、架橋剤の少なくとも1種類がオキサゾリン系架橋剤またはカルボジイミド系架橋剤を用いることが好ましい。
さらに、前記易接着層の成分だけであると帯電し易いため、その結果、静電気によりディスプレイ用ハーフミラーフィルムとガラスとの間の接着層に異物が混入し、外観欠点となる問題を引き起こすことがある。そのため易接着層の成分には、帯電防止の観点から、導電性高分子を含んでいることが好ましい。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン・ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレン、ポリヘテロサイクル・ビニレン、特に好ましくは、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、ディスプレイ側の表面にハードコート層を設けることで、積層フィルムが傷つくことを抑制でき、加工時のハンドリング性を向上させることができる。ただし、コスト面からハードコート層を必要としない用途に対しては、必ずしもハードコート層を設けなくてもよい。
ハードコート層としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート樹脂、シリコーン系樹脂等を用いることができる。その中で、硬度、耐久性および生産性の観点から、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、アクリル系樹脂であり、活性線硬化型のアクリル系樹脂であることが最も好ましい。
ハードコート層の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤等を用いることができる。本発明におけるハードコート層の厚みは、用途に応じて決められるが、通常は0.1μm以上30μm以下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以上15μm以下である。ハードコート層の厚みが0.1μm未満の場合、ハードコート層の組成物が十分硬化していても、膜厚が薄すぎるために表面硬度が低くなり、傷が付き易くなることがある。ハードコート層の厚みが30μmを超える場合、折り曲げなどの応力により硬化膜にクラックが入り易くなることがある。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体は、前記本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムにおいて、ガラス、粘着剤、及びディスプレイ用ハーフミラーフィルムをこの順に積層して得られることが好ましい。
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムに印刷層を設ける場合、該ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの波長帯域400〜700nmにおける反射率が55%以上では、本発明のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体は、ガラス、粘着剤、印刷層、及びディスプレイ用ハーフミラーフィルムをこの順に積層して得られることが好ましい。ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの波長帯域400〜700nmにおける反射率が55%以上でディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体が、ガラス、粘着剤、ディスプレイ用ミラーフィルム、及び印刷層の順に積層された場合、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの反射率が高いため、印刷層の色目が認識し難くなることがある。ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの波長帯域400〜700nmにおける反射率が55%未満では、ディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体における印刷層の位置は、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムのガラス側、非ガラス側のいずれの位置でも良い。
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムにハードコート層を設ける場合、本発明のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体は、ガラス、粘着剤、ディスプレイ用ハーフミラーフィルム、及びハードコート層の順に積層されることが好ましい。ガラス積層体をディスプレイに取り付ける際に、ハードコート層が最外層部に塗布されていることで、取り付け加工時のキズ付きを防ぎ、収率低下を抑制することができる。
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムに印刷層およびハードコート層を設ける場合、ハードコート層は最外層部とする必要があるため、ガラス積層体の構成は、ガラス、粘着剤、印刷層、ディスプレイ用ハーフミラーフィルム、およびハードコート層の順とすることが好ましい。
本発明における粘着剤としては、ディスプレイ用途に求められる高い視認性、美観や外観の観点から高い透明性が求められるため、光学用透明粘着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)を用いることが好ましい。ここでの光学用透明粘着剤とは、フィルムやシートなどの支持基材がない両面粘着剤のことである。特に、本発明では、ハーフミラー材の積層フィルムとの密着性、延伸、成型時の追随性からアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基とメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N,N―ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー等を用いることができ、これら1種もしくは2種以上のモノマーを用いて共重合される。さらに、これらは多種のモノマーと共重合することができる。多種のモノマーとしては、例えばアクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)のスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコンなどの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を用いることができる。また、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等を用いることも可能である。
さらに、市販のアクリル系粘着剤としては、例えば、米国3M社、または住友3M製OCA、8146、8171,8172,8173D,8180,8182,8185,8187,8188,8189,8191,8192,8095,9483、8146、CEF08A04,05、06、07シリーズ、リンテック社製MO−3005C/G、MO−3006C/G、MO−2105G/I、MO−2106G/I、日東電工社製CR9707、CS9621T、CS9622T、CS3623、CS9663L、CS9662L、巴川製紙社製TD06A、TI14A、MA54A、サンエー化研社製SANCUARY OP,DH,DKタイプ、積水化学社製5400シリーズ 5402,5405、DIC社製ダイタック 8080、8080NR、0835N、LT6003W、Z87011W、Z87012W、東洋インキ社製FS601、日立化成社製ファインセットTE−250S121、パナック社製PDS1などが挙げられる。
本発明における粘着剤の厚みは、25μm以上400μm以下が好ましく、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。25μm未満の場合、欠点輝度分布むらが大きくなることがある。400μmを超える場合、貼り合わせ後にバリ等の欠点が発生することがある。
本発明における粘着剤には、各種の添加剤、例えば粘度調整剤、可塑剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機または無機微粒子、充填剤、耐電防止剤、核剤、硬化剤等が配合されてもよい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体は、本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムの片面に印刷層が設けられていることが好ましい。ただし、デザイン性やコスト面、透過性から印刷層を必要としない用途に対しては、必ずしも印刷層を設けなくてもよい。
本発明における印刷層としては、バインダー樹脂、顔料または染料等で構成することができる。バインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド系樹脂、熱可塑性エラストマー系樹脂等が好ましく、特に柔軟な被膜を作成することができる樹脂が好ましい。また、バインダー樹脂中には、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを配合することが好ましい。塗布方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などが好ましく、より好ましくはスクリーン印刷である。特に多色刷りや階調色彩、薄膜印刷を必要とする場合には、オフセット印刷法やグラビア印刷法が好ましい。また、単色の場合は、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。また、本発明における印刷層の厚みは、透過率確保のため5μm以下で塗布することが好ましく、印刷層を形成するインキとしては2液硬化型インキであることが好ましい。
次に、本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムの好ましい製造方法の一例を以下に説明するが、これによって制限されるものではない。
まず、2種類の樹脂A及び樹脂Bをペレットの形態で用意する。該ペレットは、必要に応じて熱風中あるいは真空下で乾燥された後、各々2台の押出機にそれぞれ供給される。各押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化してフィルター等を介して異物や変性した樹脂を取り除く。2台の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂Aと樹脂Bは、それぞれ多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を、少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが望ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度に積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリット形状(長さ、幅、間隙)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。このため、本発明の特徴である層構成を容易に達成することができる。一方、従来の装置では、300層以上の積層を達成するためには、スクエアーミキサーを併用することが一般的であるが、このような方法では積層流が相似系で変形して積層されるために、任意の層厚みを達成することが困難である。
2段以上の傾斜構造をとる場合、薄い層から厚い層への変化もしくは厚い層から薄い層への層厚みの変化が、非常に急になる。本発明では多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いる。ただし、この別個のフィードブロックから送り込まれた樹脂が合流する箇所では合流直後に層厚み分布が変化し、幅方向の色調をばらつかせる大きな一因となっていた。さらにはフィードブロックから口金までの経路で配管の壁面の影響により配管付近の樹脂速度が低下するため、配管壁面付近と配管中心部の流速差により更にフィルム幅方向の色調均一性が悪化していた。そのため、フィルム最表層部および別個のフィードブロックの樹脂合流部の一定の距離を同一のポリマーで置換することで積層比を崩すことなく、幅方向で均一な色調を発現する積層フィルムを得ることができる。このとき、積層フィルムの両側の最表層の厚膜層を樹脂Aとする場合、樹脂Aからなる層が表層厚膜層(両側の最表層)に該当する。また、中層厚膜層とする樹脂は、耐押跡性向上のために高結晶性樹脂とすることが好ましい。厚膜層の厚み調整は該当する層の厚みに相当する各流量をスリットの間隙で調整することが好ましく、この際、各スリット間隙の間隙精度は±10μm以下であることが好ましい。このような特殊なフィードブロックを用いることにより、高精度でかつ2段以上の傾斜構造を形成する積層フィルムを得ることができる。
次に、本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムの特徴である波長帯域400nm〜700nmにおける平均反射率を40%以上80%以下とするためには、各層の層厚みを、下記、式1に基づいて設計する必要がある。本発明における積層フィルムは、光を反射/透過することを可能とするが、その反射率については樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の屈折率差と層数によって制御することができる。
2×(na・da+nb・db)=λ 式1
na:樹脂Aからなる層の面内平均屈折率
nb:樹脂Bからなる層の面内平均屈折率
da:樹脂Aからなる層の層厚み(nm)
db:樹脂Bからなる層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
このようにして所望の層構成に形成した溶融積層体は、次にダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の回転冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルム(無延伸フィルム)が得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針金状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の回転冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて回転冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルム(無延伸フィルム)は、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向及び幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二軸方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向及び/または幅方向に再延伸しても良い。特に本発明においては面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
まず、逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで長手方向の延伸とは、フィルムに長手方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行っても良く、また、複数本のロール対を用いて多段階で行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムに易接着層を設ける場合には、塗剤をコーティングして積層する方法が好ましい。塗剤をコーティングする方法としては、本発明における積層フィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、本発明における積層フィルムの製造工程中にコーティングを行うことで易接着層を一度に積層させる、いわゆるインラインコーティング方法がある。コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶媒は、環境汚染や防爆性の観点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。
インラインコーティングで易接着層を積層する場合には、一軸延伸された積層フィルムに連続的に易接着層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗剤を塗布する前に、積層フィルムの表面にコロナ放電処理等を施すことが好ましい。これは、積層フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。
易接着層には、発明の効果を損なわない範囲であれば、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑材、顔料、染料、有機または無機の粒子、充填材、界面活性剤等を配合しても良い。
続いて行う幅方向の延伸とは、フィルムの幅方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常はテンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、フィルムに熱を加えて予熱した後、幅方向に延伸する。テンター直前に塗布された水系塗剤はこの予熱時に乾燥される。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、本発明における積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましい。また、延伸温度としては本発明における積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。二軸延伸された積層フィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
次いで、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、連続的に易接着層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗材を塗布する前に、本発明における積層フィルムの表面にコロナ放電処理などを施すことが好ましい。これは、積層フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。次に、塗剤を塗布したキャストフィルム(無延伸フィルム)を同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時及び/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能で、かつ任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、面積倍率として8〜30倍が特に好ましい。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前及び/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向及び/または幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前及び/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)フィルムの層構成及び層厚み
ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを積層フィルム全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuOを使用してサンプルを染色した。
フィルムの層構成及び層厚みの具体的な求め方を説明する。約40,000倍のTEM写真を、CanonScanD123U(キャノン(株)製)を用いて画像サイズ729dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで、画像処理ソフト(販売元プラネトロン(株)、Imagc−Pro Plus ver.4)を用いて、該JPEGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域における平均の明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)でデータ採取後、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア アプリケーションズ)プログラムにより、微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。得られた層厚みのうち、薄膜層は1μm未満の厚みの層とした。薄膜層については、隣り合うA層およびB層の層厚みの和の平均値を全ての組について順次求めた。隣り合うA層とB層からなる組の平均層厚みと隣り合う組の平均層厚みとの差が50nm以下の範囲で連続的に単調増加もしくは単調減少配列している群を傾斜構造と定義した。傾斜構造は組番号と平均層厚みの関係を最小二乗近似した際、そのRの二乗が0.5以上となる正もしくは負の傾きを持つものとし、図1、図2、図5、及び図6の構成を4段の傾斜構造、図3の構成を3段の傾斜構造、図4、及び図7の構成を2段の傾斜構造と呼ぶこととした。
(2)平均反射率
1m×1mのサイズのディスプレイ用ハーフミラーフィルムの中央部から5cm四方のサンプルを切り出した。次いで、分光光度計((株)日立製作所製、U−4100 Spectrophotometer)を用いて、入射角度Φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜1200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。サンプルの裏面を油性インキで黒塗りした。次いで、波長帯域400〜700nmにおける平均反射率及び波長帯域700〜900nmにおける平均反射率を算出した。平均反射率の算出方法は、波長1nm毎の絶対反射率のデータを用いてシンプソン法公式に基づき、反射曲線と波長帯域で囲まれた面積を計算し、波長帯域の幅である300nmで除することにより、平均反射率を求めた。なお、シンプソン法についての詳細な説明は、山内二郎他著書の「電子計算機のための数値計算法I」(培風館)(昭和40年)に記載されている。
(3)平均透過率
1m×1mのサイズのディスプレイ用ハーフミラーフィルムの中央部から5cm四方のサンプルを切り出した。次いで、分光光度計((株)日立製作所製、U−4100 Spectrophotometer)を用いて、入射角度Φ=10度における透過率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムである。測定波長は、250nm〜1200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。次いで、波長帯域400〜700nmにおける平均透過率を算出した。平均透過率の算出方法は、波長1nm毎の絶対反射率のデータを用いてシンプソン法公式に基づき、透過曲線と波長帯域で囲まれた面積を計算し、波長帯域の幅である300nmで除することにより、平均透過率を求めた。
(4)フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度
1m×1mのサイズのディスプレイ用ハーフミラーフィルムの縦横共に10cm間隔で計121箇所から5cm四方のサンプルを切り出した。分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−3600d)を用いて、各サンプルにおけるa、bを測定し、n数5の平均値を算出した。
なお、測定の手段としては、分光測色計付属のゼロ構成ボックスで反射率のゼロ構成を行い、次いで、付属の白色校正板を用いて100%校正を行った後、以下の条件でフィルムのaを測定した。
モード:反射、SCI/SCE同時校正
測定径:8mm
サンプル:非測定面側に黒インキを塗布
光源:D65
次に、a、bより彩度Cを求めた。彩度Cの定義は以下の通りである。1m×1mの範囲における最大彩度Cは1m×1mの範囲から縦横共に10cm間隔で計121箇所から採取した各サンプルにおいて彩度Cが最大となる値とした。
・彩度C=((a+(b1/2
彩度Cの計算に用いたa、bはSCIの値とした。
(5)フィルム表面の凹凸
1m×1mのサイズのディスプレイ用ハーフミラーフィルムをフラットイルミネーター(日本電通(株)製、HF−SL−A48LCG)上に置き、長径50mm以上のスジの有無を確認した。次いで、スジ発生部を表面形状測定装置((株)菱化システム製、VertScan2.0)によりフィルム両面を観察し、フィルム表面の凹凸平均高さを求めた。スジが視認できない場合はフィルム表面の凹凸高さは0nmとした。
フラットイルミネーター輝度:10,000cd
表面形状測定装置:(株)菱化システム、VertScan2.0
観察倍率:対物レンズ5倍
測定環境:23℃、湿度65%RH
(6)ヘイズ
23℃、相対湿度65%の条件で、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを2時間放置した後、全自動直読ヘイズコンピューター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を用いて測定し、n数3の平均値を算出した。
(7)面内平均屈折率
積層フィルムのA層、B層のそれぞれについて、厚さ0.5mmのフィルムに切り取り、幅5mm、長さ20mmの大きさの試験片を切り出し、アッベ屈折率計(アタゴ製、DR−M2)によって、23℃、589nm波長における屈折率を測定し、n数5の平均値を算出した。
(8)ミラー性
(2)平均反射率の測定結果により、以下の基準で評価した。
○:40%以上
×:40%未満
(9)ディスプレイ視認性
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も暗くした状態でディスプレイ前面に置き、該ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを通して見た場合に、2mm×2mmサイズの文字を50cm離れた距離で目視観察し、以下の基準で評価した。
○:文字が確認できる。
△:特定角度で文字が確認できる。
×:文字が確認できない。
(10)色目視認性
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も明るくした状態で全面黒色としたディスプレイ前面に置き、該ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを通して見た場合に、以下の基準で評価した。
○:色付きが認識できない。
×:色付きが認識できる。
(11)スジ視認性
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も明るくした状態で全面白色としたディスプレイ前面に置き、該ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを通して見た場合に、以下の基準でスジの視認性を評価した。スジが直線状のものはスジ長を長径、スジが弧状のものは弦の長さを長径とした。なお、ディスプレイを通して視認できる長径5mm以上のスジは暗室下の方が視認し易いため、暗室下で評価した。
○:暗室下で長径5mm以上のスジが視認できない。
×:暗室下で長径5mm以上のスジが視認できる。
(12)角度45°での色目変化視認性
ディスプレイ用ハーフミラーフィルムをノートパソコン(パナソニック(株)製、CF−N9、画面サイズ縦165mm×横260mm)の明るさ設定を最も明るくした状態で全面黒色としたディスプレイ前面に置き、該ディスプレイ用ハーフミラーフィルム正面及び45°の角度にて見た場合に、以下の基準で評価した。
〇:正面と45°の角度で視認した際の色付き変化が認識できない
×:正面と45°の角度で視認した際の色付き変化が認識できる
(原料)
(樹脂A−1)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行う。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量部を添加した後、重縮合反応槽に移行する。さらに、加熱昇温しながら反応系を除々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、固有粘度(IV)0.63のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)を得た。
(樹脂A−2)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部の混合物を用いた以外は、樹脂A−1と同様に重合を行い、固有粘度(IV)0.67のポリエチレンナフタレート(以下、PENということがある)を得た。
(樹脂A−3)
樹脂A−1と樹脂A−2を1:1で混合したポリエステル。
(樹脂B−1)
固有粘度(IV)0.55のスピログリコール(SPG)21mol%、及びシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)24mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−2)
固有粘度(IV)0.72のシクロヘキサンジメタノール(CHDM)30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−3)
樹脂A−1と樹脂B−2を65:35で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(樹脂B−4)
樹脂A−1と樹脂B−2を1:3で混合した共重合ポリエチレンテレフタレート。
(易接着層の組成物−I)
・アクリル・ウレタン共重合樹脂(a)の水分散体:山南合成化学(株)製、サンナロンWG658(固形分濃度30重量%)
・イソシアネート化合物(b)の水分散体:第一工業製薬(株)製、エラストロンE−37(固形分濃度28重量%)
・エポキシ化合物(c)の水分散体:DIC(株)製、CR−5L(固形分濃度100重量%)
・ポリチオフェン構造を有する化合物および陰イオン構造を有する化合物からなる組成物(d)の水分散体(固形分濃度1.3重量%)
・オキサゾリン化合物(e)の水分散体:日本触媒(株)製、エポクロスWS−500(固形分濃度40重量%)
・カルボジイミド化合物(f)の水分散体:日清紡(株)製、カルボジライトV−04(固形分濃度40%)
・シリカ粒子(g):日揮触媒化成(株)製、スフェリカスラリー140(固形分濃度40%)
・アセチレンジオール系界面活性剤(h):日信化学(株)製、オルフィンEXP4051(固形分濃度50%)
・水系溶媒(i):純水
上記した(a)〜(h)を固形分重量比で、(a)/(b)/(c)/(d)/(e)/(f)/(g)/(h)=100/100/75/25/60/60/10/15となるように混合し、かつ前記水系塗剤の固形分濃度が3重量%となるように(i)を混合し、濃度調整した。
(実施例1)
樹脂A−1および樹脂B−1を、各々別のベント付き二軸押出機で280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、301個のスリットを有する部材を別個に3個有する901層のフィードブロックにて合流させた。なお、厚膜層となる両側の最表層は樹脂A−1となり、樹脂A−1と樹脂B−1が交互に積層され、かつ隣接する樹脂A−1からなる層と樹脂B−1からなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。次いで、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加で表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得た。次いで、該一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの塗れ張力を55mN/mとし、#4のメタバーで易接着層の組成物−Iをフィルムの両面に塗布した。
得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのままテンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、次いで、同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取り、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸された積層フィルムのフィルム全体厚みは、122μmであった。この積層フィルムの層設計は図1の通りであり、スリット間隙を調整することにより、各層の層厚みを制御した。該積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、画像処理により層厚み分布を求めた。最表層となる層番号1及び層番号901の層厚みは何れも10μmであり、樹脂A−1で構成される層番号226、層番号451、及び層番号676の層厚みは4μmであった。このディスプレイ用ハーフミラーフィルムの特性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂B−1を樹脂B−2に変更した以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
樹脂A−1を樹脂A−3、樹脂B−1を樹脂B−2に変更した以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
フィルムの層設計を図2、積層数が801となるようにフィードブロックのスリット形状等を変更して厚み調整し、積層フィルム全体厚みを108μmとした以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号801の層厚みはいずれも10μmであり、樹脂A−1で構成される層番号201、層番号401、及び層番号601の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例5)
フィルムの層設計を図3となるようにフィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、積層フィルム全体厚みを118μmとした以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号901の層厚みは何れも10μmであり、樹脂A−1で構成される層番号301及び層番号601の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例6)
フィルムの層設計を図4となるようにフィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、積層フィルム全体厚みを114μmとした以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号901の層厚みは何れも10μmであり、樹脂A−1で構成される層番号451の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
寸法130cm×100cm×厚み3mmの板ガラスを準備し、粘着剤に3M社製アクリル系粘着剤(OCA)8172を準備した。粘着層の厚みは50μmである。クリーンルームで、シートラミネート機を用いて、最初に粘着剤と実施例1の手順で作成したディスプレイ用ハーフミラーフィルムを貼り合せ、次いで粘着剤が付いたディスプレイ用ハーフミラーフィルムと板ガラスとの貼り合せを行い、ディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体を得た。結果を表1に示す。
(実施例8)
東洋インキ製造株式会社製水性グラビアインキ「アクワエコワール」の墨とメジウムを1:4で混合したインキを調整し、実施例1の手順で作成したディスプレイ用ハーフミラーフィルムの易接着処理面にグラビア印刷機により、印刷速度50m/minで印刷、60℃の熱風で乾燥し、印刷したディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。上記印刷をしたディスプレイ用ハーフミラーフィルムの印刷面に実施例7と同様に粘着剤および板ガラスを貼り合せ、ディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体を得た。印刷厚みは1.5μmであり、ガラス積層体としての波長帯域400〜700nmにおける平均反射率は15%、平均透過率はは12%であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
樹脂A−1を樹脂A−2、樹脂B−1を樹脂B−3に変更した以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
樹脂B−1を樹脂B−4に変更した以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例3)
フィルムの層設計を図5となるようにフィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、積層フィルム全体厚みを110μmとした以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる樹脂A−1で構成される層番号1及び層番号901の層厚みは何れも10μmであった。結果を表1に示す。
(比較例4)
フィルムの層設計を図6となるようにフィードブロックのスリット形状を変更して厚み調整し、積層フィルム全体厚みを110μmとした以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号901の層厚みは何れも0.5μmであり、樹脂A−1で構成される層番号226、層番号451、及び層番号676の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例5)
フィルムの層設計を図7、フィルム積層数が201となるようにフィードブロックのスリット形状等を変更し、厚み調整した以外は実施例1と同様にして、ディスプレイ用ハーフミラーフィルムを得た。最表層となる層番号1及び層番号201の層厚みは何れも10μmであり、樹脂A−1で構成される層番号101の層厚みは4μmであった。結果を表1に示す。
(比較例6)
フィルム全体厚み23μm、ヘイズ0.3%の単層透明PETフィルムに、アルミを波長帯域400〜700nmにおける平均透過率が55%程度となるように蒸着させた。結果を表1に示す。
Figure 2016066063
Figure 2016066063
本発明のディスプレイ用ハーフミラーフィルムは、優れた表面品位と低彩度を有し、視認角度による色変化が小さく、さらに優れた反射性と透過性を両立するため、それを用いたミラーディスプレイ装置として、例えば、各種表示装置、テレビジョン装置、デジタルサイネージ、携帯型電子機器、鏡用ディスプレイ装置等に好適に用いることができる。
1:層番号
2:層厚み
3:厚膜層
4:A層の層厚み分布
5:B層の層厚み分布

Claims (5)

  1. 下記(1)〜(4)の全てを満たすことを特徴とする、ディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
    (1)樹脂Aからなる層(以下、A層という)と樹脂Bからなる層(以下、B層という)を有し、厚み方向に交互に合計250層以上積層され、少なくとも1μm以上20μm以下である厚みの厚膜層が3層以上含まれ、かつ該厚膜層が両側の最表層となる積層フィルムであること。
    (2)波長帯域400〜700nmにおける平均反射率が40%以上80%以下であり、平均反射率と平均透過率の和が90%以上であること。
    (3)フィルム表面の1m×1mの範囲における彩度が0以上7以下であること。
    (4)フィルム表面に平均高さ±5nm以上、かつ長径50mm以上の凹凸がないこと。
  2. 波長帯域400〜700nmにおける平均反射率と波長帯域700〜900nmにおける平均反射率の差の絶対値が5%以下である、請求項1に記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
  3. 前記積層フィルムの少なくとも片面に、アクリル・ウレタン共重合樹脂と2種類以上の架橋剤からなる易接着層が設けられた、請求項1又は2に記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ用ハーフミラーフィルムにおいて、ガラス、粘着剤、及びディスプレイ用ハーフミラーフィルムをこの順に積層して得られる、ディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体。
  5. 前記ディスプレイ用ハーフミラーフィルムの片面に印刷層が設けられた、請求項4に記載のディスプレイ用ハーフミラーガラス積層体。
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