JP2016061121A - 自転車電子鍵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レノイドを用いて馬蹄型錠を開錠する際の低消費電力化が図ることができる自転車電子鍵装置を提供する。
【解決手段】施錠/開錠機構部30は、プラスチック製の施開錠部材31と、施開錠部材31の部材本体31aの一端部を回動可能に支持するための施開錠部材支持軸32と、ロッドの先端部が部材本体31aの他端部に取り付けられたソレノイド33と、ソレノイド33のロッドの中央部に取り付けられたかつ馬蹄型錠20の施錠時に部材本体31aの他端部を馬蹄型錠20側に付勢して施開錠部材31の錠杆係止爪31bを馬蹄型錠20の錠杆22内に圧入するための押しばね34と、錠杆係止爪31bと施開錠部材支持軸32との間に取り付けられたストッパー35とを備える。錠杆係止爪31bの先端部の下端面は、施開錠部材支持軸32の中心点を中心とする半径Rの円弧状の曲面とされている。
【選択図】図3

Description

本発明は、馬蹄型錠(馬蹄型自転車錠)を電子的に開錠するのに好適な自転車電子鍵装置に関する。
従来、馬蹄型錠を電子的に開錠するための自転車電子鍵装置として、下記の特許文献1に開示されたリング錠装置がある。
このリング錠装置では、パッシブタイプの非接触無線タグをリーダーに近づけてソレノイド(プルソレノイド)の電源をオンしてロッド(プルロッド)を基端部側へ引き寄せるとともに、ロッドの先端に固着された錠杆係止用ストッパーを施錠方向へ常時付勢している押しばねに抗して基端部側へ引き寄せて、錠杆係止用ストッパーの先端部による錠杆の係止部への圧入係止状態を解除すると同時に、復元用の引きばねの復元力で錠杆がケーシング内に引き戻されて復帰し開錠することにより、手動で施錠された馬蹄型錠(リング錠)を物理鍵ではなく汎用のカードを用いて開錠できるようにしている。
特開2012−1955号公報
しかしながら、上記の特許文献1に開示されたリング錠装置では、錠杆係止用ストッパーを押しばねに抗して基端側方向へ移動させて、錠杆係止用ストッパーの先端部を係止部から離脱させ、復元用の引きばねによって錠杆を引き戻してケーシング内に復帰させることによって馬蹄型錠を開錠するように構成されているため、ソレノイドのロッドの先端を錠杆係止用ストッパーの基端側壁板に連結固定している(公報の段落0019,0020および図4,5参照)。
そのため、開錠時に錠杆係止用ストッパーの先端部にロッドの軸方向と垂直方向に印加されている引きばねの引張力とロッドの軸方向に印加されている押しばねの押圧力とに抗して錠杆係止用ストッパーを基端側方向へ移動させるためにはロッドを大きな力でソレノイドの固定鉄芯に吸引させる必要があるため、ソレノイドの消費電力が大きくなるという問題がある。
本発明の目的は、ソレノイドを用いて馬蹄型錠を開錠する際の低消費電力化を図ることができる自転車電子鍵装置を提供することにある。
本発明の自転車電子鍵装置は、馬蹄型錠(20)と、該馬蹄型錠を施錠および開錠するための施錠/開錠機構部(30)と、該施錠/開錠機構部を電子制御するための電子制御部(40)とを具備し、前記施錠/開錠機構部が、長方形板状の部材本体(31a;31a’)、および、先端部が前記馬蹄型錠に向けて該部材本体から垂直に突出するように該部材本体に取り付けられた錠杆係止爪(31b;31b’)を備えた施開錠部材(31;31’)と、前記部材本体の一端部を回動可能に支持するための施開錠部材支持軸(32)と、ロッドの先端部が前記部材本体の他端部に該部材本体の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたソレノイド(33)と、該ソレノイドの前記ロッドの中央部に取り付けられた、かつ、前記馬蹄型錠の施錠時に前記部材本体の他端部を該馬蹄型錠側に付勢して前記錠杆係止爪を前記馬蹄型錠の錠杆(22)内に圧入するための押しばね(34)と、前記錠杆係止爪と前記施開錠部材支持軸との間に取り付けられたストッパー(35)とを備え、前記電子制御部が、ICカード(51)に書き込まれた開錠許可識別データを読み取るためのカードリーダ部(41,42)と、該カードリーダ部によって読み取られた前記開錠許可識別データに基づいて前記ソレノイドを駆動するための制御部(43)とを備え、前記施開錠部材の少なくとも前記錠杆係止爪の先端部の前記馬蹄型錠の施錠時に前記錠杆の爪係止部(22a)と当接する側の面がプラスチック製とされている、
ことを特徴とする。
ここで、前記錠杆係止爪の先端部の前記馬蹄型錠の施錠時に前記錠杆の前記爪係止部と当接する側の面が、前記施開錠部材支持軸を中心とする半径Rの円弧状の曲面とされており、前記馬蹄型錠が施錠された状態では、前記錠杆係止爪の先端部が前記施開錠部材支持軸から前記半径Rの位置で前記爪係止部と当接するようにされていてもよい。
前記錠杆係止爪(31b)が前記部材本体(31a)の一端部および他端部間に取り付けられていてもよい。
前記錠杆係止爪(31b’)が前記部材本体(31a’)の他端部に取り付けられていてもよい。
前記施錠/開錠機構部が、鍵(1)を用いて前記馬蹄型錠を開錠させるための手動施錠部材(36)をさらに備え、該手動施錠部材が、回動板(36a)と、押し板(36b)と、前記回動板の中心部に取り付けられた支持軸(36c)とを備え、前記回動板が、前記支持軸を回転軸として回動可能とされており、前記押し板の末端部が、前記馬蹄型錠が施錠された状態では先端部が前記部材本体の他端部と当接するように、前記回動板の先端面に固定されており、前記鍵がシリンダー錠(52)に差し込まれて回されると、前記回動板の末端部が該シリンダー錠によって押されて該回動板が回動し、前記部材本体の他端部が前記押し板によって押されて、前記錠杆係止爪の先端部が前記爪係止部から引き出されるようにされていてもよい。
前記電子制御部が、前記鍵が前記シリンダー錠の差込口に差し込まれて回されると接点が閉じるマイクロスイッチ(46)をさらに備え、前記制御部が、前記マイクロスイッチの前記接点が所定の時間以上閉じられた場合にのみ、前記馬蹄型錠用の電子キーとして登録されていない未登録ICカード(51c)を登録するための電子キー登録処理および/または前記馬蹄型錠用の電子キーとして登録されている登録済みICカード(51b)の登録を消去するための電子キー登録消去処理を実行してもよい。
本発明の自転車電子鍵装置は、施開錠部材の少なくとも錠杆係止爪の先端部の馬蹄型錠の施錠時に錠杆の爪係止部と当接する側の面をプラスチック製にするとともに施開錠部材の部材本体の一端部を施開錠部材支持軸によって回動可能に支持することにより、施開錠部材の錠杆係止爪を馬蹄型錠の錠杆から小さい力で引き出せるため、ソレノイドを用いて馬蹄型錠を開錠する際の低消費電力化を図ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施例による自転車電子鍵装置の外観を示す図であり、(a)は自転車電子鍵装置の左側面図であり、(b)は自転車電子鍵装置の正面図である。 図1に示した自転車電子鍵装置が具備する電子制御部40の取付位置について説明するための図であり、(a)は自転車電子鍵装置の左側面図であり、(b)は自転車電子鍵装置の正面図である。 図1に示した自転車電子鍵装置が具備する馬蹄型錠20および施錠/開錠機構部30の構成示す図である。 図1に示した自転車電子鍵装置が具備する施開錠部材の構成について説明するための図であり、(a)は図3に示した施開錠部材31の構成について説明するための図であり、(b)は施開錠部材31の一変形例である施開錠部材31’の構成について説明するための図である。 図1に示した自転車電子鍵装置が具備する手動施錠部材36の構成および機能について説明するための図である。 図1に示した自転車電子鍵装置が具備する電子制御部40の構成を示すブロック図である。 図6に示したCPU43のICカード51を電子キーとして用いて馬蹄型錠20を開錠する際の動作について説明するためのフローチャートである。 図6に示したCPU43の自転車電子鍵装置によって未登録カードを電子キーとして登録する際の動作について説明するためのフローチャートである。 図6に示したCPU43の登録済みのICカード51を消去する際の動作について説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の自転車電子鍵装置の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による自転車電子鍵装置は、筺体10と、馬蹄型錠20と、馬蹄型錠20を施錠および開錠するための施錠/開錠機構部30と、施錠/開錠機構部30を電子制御するための電子制御部40とを具備する。
ここで、筺体10は、図1(a),(b)に示すように、シャーシ11と、シャーシ11に被せられて取り付けられる蓋12とを備える。
なお、以下では、蓋12側を自転車電子鍵装置の表側とするとともに馬蹄型錠20の開口部側を自転車電子鍵装置の下側として説明する。
蓋12の左上側部分には、馬蹄型錠20の電子キーとして用いるICカード51(図6参照)をかざす個所を示す長方形状のカードリーダ枠線12aが記されている。蓋12のカードリーダ枠線12aの中央下側部分には、LED47(図6参照)の発光を外部から見られるようにするためのLED窓12bが形成されている。蓋12のLED窓12bの右下側部分には、馬蹄型錠20の鍵1(物理鍵)を差し込むためのシリンダー錠52の鍵差込口が露出されている。
シャーシ11の右側部分には、馬蹄型錠20が開口部(両端部間の部分)を下側にして取り付けられている。また、シャーシ11の右下側部分には、馬蹄型錠20の開口部に通される自転車の車輪を通すための切欠きが形成されている。
施錠/開錠機構部30および電子制御部40は、シャーシ11の左側部分に裏面側からこの順番で重ねられて取り付けられている(図2参照)。
馬蹄型錠20は、日本工業規格においてJIS D9111に規定する自転車に用いる錠として同規格JIS D9456で規定された金属製のものであり、図3に示すように、中空の通路を内部に備えた馬蹄形状のケーシング21と、半環状の錠杆22(かんぬき)と、円板状の摘み23と、引きばね24と、固定ピン25とを備える。
錠杆22の基端部と摘み23との間には、後述の錠杆係止爪31aの先端部を貫通させて係止するための爪係止部22a(係止用孔や凹欠部など)が形成されている。
引きばね24の一端は錠杆22の基端部に固定されており、引きばね24の他端はケーシング21内の右端部に取り付けられた固定ピン25に固定されている。
これにより、錠杆22の略中央部の外周面に取り付けられた摘み23を手で図3図示反時計方向に移動させると、錠杆22が引きばね24の付勢力に抗してケーシング21の通路に沿って移動し、爪係止部22aに錠杆係止爪31aが圧入係止されて錠杆22が固定されることにより、同図に示すように馬蹄型錠20は全体として環状をなして自転車の車輪を囲繞するように施錠される。
施錠/開錠機構部30は、図3に示すように、施開錠部材31と、施開錠部材支持軸32と、ソレノイド33(プルソレノイド)と、押しばね34と、ストッパー35と、手動施錠部材36とを備える。
ここで、施開錠部材31は、従来の金属製の馬蹄型錠における施開錠時の摺動によるガリや腐食による摩擦抵抗を低減させるとともに、軽量化によるソレノイド33の駆動時の低消費電力化を図るために、ポリアセタールやナイロンなどのプラスチック製とされている。
また、施開錠部材31は、従来の馬蹄型錠および上記の特許文献1に開示されたリング錠装置では1本の棒状のものが使用されているが、梃子の原理を応用してソレノイド33の駆動時の低消費電力化を図るために、正面視で凸状の板状とされている。
すなわち、施開錠部材31は、長方形板状の部材本体31aと、先端部が馬蹄型錠20に向けて部材本体31aから垂直に突出するように末端部が部材本体31aの長手方向の中央よりも下端部側(好ましくは、部材本体31aの長さ(上端面から下端面までの長さ)=aとし、部材本体31aの上端面から錠杆係止爪31bの上端面までの長さ=bとすると、a:b≒1.5:1となる位置)の右側面に一体的に取り付けられた錠杆係止爪31bとを備える。
部材本体31aの上端部は、シャーシ11の馬蹄型錠20よりも左側の上方部に取り付けられた施開錠部材支持軸32に、施開錠部材支持軸32を回転軸として回動可能に取り付けられている。
部材本体31aの下端部には、ソレノイド33のロッド(プルロッド)の先端部を摺動自在に取り付けるための楕円状の貫通孔31cが、長軸が部材本体31aの長手方向に沿うように形成されており、図3に矢印で示すようにソレノイド33を駆動してロッドの基端部を固定鉄芯側に直線的に移動させて施開錠部材支持軸32を回転軸として施開錠部材31の部材本体31aを時計回りに回動させたときに、部材本体31aの下端部が円軌道に沿って時計回りに移動できるようにされている。
これにより、馬蹄型錠20が施錠された状態の時にソレノイド33を駆動すると、図3に矢印で示すように施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部を錠杆22の爪係止部22aから引き出して、馬蹄型錠20を開錠させることができる(図6参照)。
施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部の下端面(馬蹄型錠20の施錠時に爪係止部22aと当接する側の面)は、小さい力で錠杆係止爪31bの先端部を錠杆22の爪係止部22aから引き出すことができるように、図4(a)に示すように施開錠部材支持軸32の中心点を中心とする半径Rの円弧状の曲面とされている。
施開錠部材31の寸法の一例を以下に示す。
(a)部材本体31aの長さ(a)=63mm
(b)部材本体31aの幅=7mm
(c)錠杆係止爪31bの長さ=9mm
(d)錠杆係止爪31bの幅=5mm
(e)部材本体31aの上端面から錠杆係止爪31bの上端面までの長さ(b)=34.5mm
(f)半径R=35.5mm
(g)貫通孔31cの定点間の長さ=2.5mmおよび貫通孔31cの短径=2mm
(h)部材本体31aの下端面から貫通孔31cの下側の定点までの長さ=2.3mm
なお、施開錠部材31は正面視で凸状の板状としたが、更なる軽量化を図るために、図4(b)に示す施開錠部材31’のように正面視でL状の板状(すなわち、部材本体31a’の長さ(上端面から下端面までの長さ)=a’とし、部材本体31a’の上端面から錠杆係止爪31b’の下端面までの長さ=b’とすると、a’:b’=1:1となる形状)としてもよい。
この場合には、錠杆係止爪31b’の末端部は、先端部が馬蹄型錠20に向けて部材本体31a’から垂直に突出するように部材本体31a’の下端部の右側面に一体的に取り付けられる。これに伴い、ソレノイド33は錠杆係止爪31b’の末端部の位置に取り付ける。
また、図3(a)に示した施開錠部材31の貫通孔31cおよび錠杆係止爪31bと同様に、ソレノイド33のロッドの先端部を摺動自在に取り付けるための楕円状の貫通孔31c’は部材本体31a’の下端部に形成されるとともに、錠杆係止爪31b’の先端部の下端面(馬蹄型錠20の施錠時に爪係止部22aと当接する側の面)は施開錠部材支持軸32の中心点を中心とする半径Rの円弧状の曲面とされる。
押しばね34は、ソレノイド33のロッドの中央部に取り付けられており、馬蹄型錠20の施錠時に施開錠部材31の部材本体31aの下端部を錠杆係止爪31b側に付勢して、錠杆係止爪31bを錠杆22内に圧入するためのものである。
このとき、施開錠部材31の部材本体31aの上端部は施開錠部材支持軸32を回転軸として回動可能に取り付けられているため、梃子の原理により押しばね34の押圧力よりも大きな力で錠杆係止爪31bを錠杆22内に圧入することができる。
ストッパー35は、馬蹄型錠20が施錠された状態では施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部が2mmほど錠杆22内に圧入されて施開錠部材支持軸32の中心点から半径Rの位置で錠杆22の爪係止部22aと当接するように、シャーシ11の錠杆係止爪31bと施開錠部材支持軸32との間に取り付けられている(図3参照)。
このように構成された施錠/開錠機構部30では、以下に示す理由(イ),(ロ)により上記の特許文献1に開示されたリング錠装置に比べて大幅に小さい力で引きばね24の引張力と押しばね35の押圧力とに抗してソレノイド33のロッドを固定鉄芯側に移動させることができるため、馬蹄型錠20の開錠時のソレノイド33の消費電力を大幅に低減することができる。
(イ)馬蹄型錠20が施錠された状態では、施開錠部材31の錠杆係止爪31bには錠杆22を介して引きばね24による大きな引張力が略上方に向けて印加されるが、この引張力の大部分を施開錠部材支持軸32で施開錠部材31を介して支えることができる。
(ロ)馬蹄型錠20の開錠時には、施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部の曲面に沿って馬蹄型錠20の錠杆22を移動させることができる。
手動施錠部材36は、図3および図5に示すように、回動板36aと、回動板36aの先端部に取り付けられた押し板36bと、回動板36aの中心部に取り付けられた支持軸36cとを備える。
ここで、回動板36aは、末端部がシリンダー錠52に設けられた係合部52aとマイクロスイッチ46の接点との間に位置するように、かつ、支持軸36cを回転軸として回動可能に取り付けられている。
また、押し板36bは、馬蹄型錠20が施錠された状態では先端部が施開錠部材31の部材本体31aの下端部の右側面と当接するように、末端部が回動板36aの先端面に固定されている。
これにより、鍵1がシリンダー錠52の差込口に差し込まれて図5図示時計方向に回されると、回動板36aの末端部がシリンダー錠52の係合部52aによって押されて反時計方向に回るため、マイクロスイッチ46の接点を回動板36aの末端部によって閉じさせることができるとともに、部材本体31aの下端部を押し板36bの先端部によって同図図示左方向に押して錠杆係止爪31bの先端部を錠杆22の爪係止部22aから引き出すことができる。
その結果、利用者は、ICカード51を忘れてきたり紛失したりしても、鍵1を用いて馬蹄型錠20を開錠させることができる。
電子制御部40は、図6に示すように、アンテナ41と、無線タグリーダ42と、CPU43(制御部)と、DC/DC変換部44と、電池45と、マイクロスイッチ46と、LED47と、ブザー48とを備える。
ここで、アンテナ41は、図2(a),(b)に示すアンテナ基板41’に形成されている。
無線タグリーダ42は、アンテナ41と共にカードリーダ部を構成し、ICカード51からアンテナ41を介して送信されてくる開錠許可識別データ(固有識別番号、マスタカード識別符号および未登録カード識別符号など)をCPU43に出力する。また、無線タグリーダ42は、図2(b)に示すRFIC42’に組み込まれている。
CPU43は、後述する馬蹄型錠開錠処理、電子キー登録処理および電子キー登録消去処理などを行う。
DC/DC変換部44は、電池45から入力される直流電圧の値を無線タグリーダ42、CPU43、マイクロスイッチ46、LED47およびブザー48の安定的な動作直流電圧値に変換する。
マイクロスイッチ46は、図3および図5に示すように、シャーシ11のシリンダー錠52の右下側に取り付けられており、馬蹄型錠20の鍵1がシリンダー錠52の差込口に差し込まれて回されると、手動施錠部材36の回動板36aによって接点が閉じられて、スイッチオン信号SONをCPU43に出力する。
LED47は、CPU43によって青色または赤色に点灯または点滅される。
ブザー48は、CPU43によって鳴動されると、確認音を出力する。
RFIC42’、CPU43、DC/DC変換部44、LED47およびブザー48は、図2(a),(b)に示すプリント基板40’(以下、「PWB40’」と称する。)上に実装されている。
次に、ICカード51を電子キーとして用いて馬蹄型錠20を開錠する際のCPU43の動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
利用者が、ICカード51をカードリーダ枠線12a内にかざすと、ICカード51に格納されている固有識別番号がICカード51からアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信される。
CPU43は、ICカード51の固有識別番号を受信すると、受信した固有識別番号が内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS11,S12)。
受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致することを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させ、開錠操作が正常に受け付けられたことを示すためにLED47を青色に5秒間だけ点灯させるとともに、ソレノイド33に内蔵されたコイルにソレノイド駆動電流を一定時間だけ流してソレノイド33を動作させる(ステップS13)。
これにより、ソレノイド33が動作して、ソレノイド33のロッドが固定鉄芯側に引き寄せられることにより、錠杆係止爪31bの先端部が錠杆22の爪係止部22aから引き出されて、馬蹄型錠20が開錠される。
一方、ステップS12において受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致しないことを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、開錠操作が正常に受け付けられなかったことを示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点灯させる(ステップS14)。
次に、馬蹄型錠20用の電子キーとして登録されていないICカード51(以下、「未登録ICカード51c」と称する。)を電子キーとして自転車電子鍵装置によって登録する際のCPU43の動作について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
利用者は、馬蹄型錠20の鍵1をシリンダー錠52の差込口に差し込んで30秒以上回す。これにより、マイクロスイッチ46の接点がシリンダー錠52によって手動施錠部材36の回動板36aを介して閉じられて、スイッチオン信号SONがマイクロスイッチ46からCPU43に30秒以上出力される。
スイッチオン信号SONが入力されてから30秒経過すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録処理指示が正常に受け付けられたことを示すためにLED47を青色に5秒間だけ点灯させる(ステップS21,S22)。
利用者は、LED47の青色点灯を確認すると、鍵1を離したのち、マスタカードであるICカード51(以下、「マスタICカード51a」と称する。)をカードリーダ枠線12a内にかざす。これより、マスタICカード51aに格納されているマスタカード識別符号(マスタカードであることを示す符号)および固有識別番号が、マスタICカード51aからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信される。
CPU43は、マスタICカード51aのマスタカード識別符号および固有識別番号を受信すると、受信した固有識別番号が内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS23,S24)。
受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致しないことを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録処理指示が正常に受け付けられなかったことを示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点灯させる(ステップS29)。
一方、受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致することを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、正常に電子キー登録処理指示が受け付けられたことを示すためにLED47を青色に5秒間だけ点灯させる(ステップS25)。
利用者は、LED47の青色点灯を確認すると、未登録ICカード51cをカードリーダ枠線12a内にかざす。これにより、未登録ICカード51cに格納されている未登録カード識別符号(未登録カードであることを示す符号)が、未登録ICカード51cからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信される。
CPU43は、未登録カード識別符号を受信すると、電子キー登録処理を開始して、内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号を未登録ICカード51cに書き込むとともに未登録カード識別符号を消去する(ステップS26,S27)。
その後、CPU43は、電子キー登録処理の終了を示すためにブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、他の未登録ICカード51cの登録可能を示すためにLED47を青色に5秒間だけ点滅させる(ステップS28)。
LED47の青色点滅が終了するまで利用者が他の未登録ICカード51cをカードリーダ枠線12a内にかざすと、CPU43はステップS26〜S28の動作を繰り返す。
一方、LED47の青色点滅が終了するまで利用者が他の未登録ICカード51cをカードリーダ枠線12a内にかざさないと、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録処理指示が正常に受け付けられなかったことを示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点灯させる(ステップS26,S29)。
なお、利用者が馬蹄型錠20用の電子キーとして登録されているICカード51(以下、「登録済みICカード51b」と称する。)を誤ってカードリーダ枠線12a内にかざすと、内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号と同じ固有識別番号が登録済みICカード51bからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信されてくるため、CPU43は、ブザー48を鳴動させてエラー音を5秒間だけ出力させ、電子キー登録処理不可を示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点滅させるとともに、電子キー登録処理を強制終了する。
同様にして、利用者が誤って規格外のICカードをカードリーダ枠線12a内にかざした場合にも、未登録カード識別符号がこのICカードからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信されてこないため、CPU43は、ブザー48を鳴動させてエラー音を5秒間だけ出力させ、電子キー登録処理不可を示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点滅させるとともに、電子キー登録処理を強制終了する。
次に、登録済みICカード51bの登録を消去する際のCPU43の動作について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
利用者は、馬蹄型錠20の鍵1をシリンダー錠52の差込口に差し込んで30秒以上回す。これにより、マイクロスイッチ46の接点が手動施錠部材36の回動板36aによって閉じられて、スイッチオン信号SONがマイクロスイッチ46からCPU43に30秒以上出力される。
スイッチオン信号SONが入力されてから30秒経過すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、LED47を青色に5秒間だけ点灯させる(ステップS31,S32)。
利用者は、LED47の青色点灯を確認すると、鍵1を離したのち、マスタICカード51aをカードリーダ枠線12a内にかざす。これにより、マスタICカード51aに格納されているマスタカード識別符号および固有識別番号が、マスタICカード51aからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信される。
CPU43は、マスタICカード51aのマスタカード識別符号および固有識別番号を受信すると、受信した固有識別番号が内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS33,S34)。
受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致しないことを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録消去処理指示が正常に受け付けられなかったことを示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点灯させる(ステップS39)。
一方、受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致することを確認すると、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、正常に電子キー登録消去指示が受け付けられたことを示すためにLED47を青色に5秒間だけ点灯させる(ステップS35)。
利用者は、LED47の青色点灯を確認すると、登録済みICカード51bをカードリーダ枠線12a内にかざす。これにより、登録済みICカード51bに格納されている固有識別番号が、登録済みICカード51bからアンテナ41および無線タグリーダ42を介してCPU43に送信される。
CPU43は、登録済みICカード51bの固有識別番号を受信すると、受信した固有識別番号が内蔵メモリに格納されている登録固有識別番号と一致するか否かを確認する(ステップS36)。
受信した固有識別番号が登録固有識別番号と一致することを確認すると、CPU43は、電子キー登録消去処理を開始して、登録済みICカード51bに書き込まれている固有識別番号を消去するとともに、登録済みICカード51bに未登録カード識別符号を書き込む(ステップS37)。
CPU43は、電子キー登録消去処理を終了すると、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録消去処理の終了を示すためにLED47を青色に5秒間だけ点滅させる(ステップS38)。
このとき、登録を消去したい登録済みICカード51bが複数ある場合には、利用者は、LED47が青色に点滅している間に次の登録済みICカード51bをカードリーダ枠線12a内にかざす。これにより、CPU43は、ステップS36〜S38の動作を繰り返す。
一方、LED47の青色点滅が終了するまで利用者が他の登録済みICカード51bをカードリーダ枠線12a内にかざさないと、CPU43は、ブザー48を鳴動させて確認音を5秒間だけ出力させるとともに、電子キー登録消去指示が正常に受け付けられなかったことを示すためにLED47を赤色に5秒間だけ点灯させる(ステップS36,S39)。
以上の説明では、施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部の下端面を施開錠部材支持軸32の中心点を中心とする半径Rの円弧状の曲面としたが、平面としてもよい。
この場合にも、施開錠部材31をプラスチック製にするとともに梃子の原理を利用して錠杆係止爪31bを馬蹄型錠20の錠杆22から引き出せる形状としているため、上記特許文献1に開示されたリング錠装置よりも小さい力で錠杆係止爪31bを馬蹄型錠20の錠杆22から引き出すことができる。
また、施開錠部材31をプラスチック製としたが、冷間圧延鋼板(SPC)製として、施開錠部材31の錠杆係止爪31bの先端部の下端面(馬蹄型錠20の施錠時に爪係止部22aと当接する側の面)にプラスチック膜をコーティングにより形成してもよい。
この場合には、施開錠部材31をプラスチック製とした場合よりも軽量化が図れないが、梃子の原理を利用して錠杆係止爪31bを馬蹄型錠20の錠杆22から引き出せる形状としているため、上記特許文献1に開示されたリング錠装置よりも小さい力で錠杆係止爪31bを馬蹄型錠20の錠杆22から引き出すことができる。
また、電子制御部40を自転車電子鍵装置に取り付けたが、電子制御部40を既存の電動アシスト自転車の電源入/切用操作ボックス内に取り付けることにより、利用者がより操作し易くすることができる。
また、電子制御部40は電池45を備えたが、電池45の代わりに電動アシスト自転車のバッテリーやハブ発電装置付き自転車などの電源バッテリーを使用してもよい。
1 鍵
10 筺体
11 シャーシ
12 蓋
12a カードリーダ枠線
12b LED窓
20 馬蹄型錠
21 ケーシング
22 錠杆
22a 爪係止部
23 摘み
24 引きばね
25 固定ピン
30 施錠/開錠機構部
31,31’ 施開錠部材
31a,31a’ 部材本体
31b,31b’ 錠杆係止爪
31c,31c’ 貫通孔
32 施開錠部材支持軸
33 ソレノイド
34 押しばね
35 ストッパー
36 手動施錠部材
36a 回動板
36b 押し板
36c 支持軸
40 電子制御部
40’ PWB
41 アンテナ
41’ アンテナ基板
42 無線タグリーダ
42’ RFIC
43 CPU
44 DC/DC変換部
45 電池
46 マイクロスイッチ
47 LED
48 ブザー
51 ICカード
51a マスタICカード
51b 登録済みICカード
51c 未登録ICカード
52 シリンダー錠
52a 係合部
ON スイッチオン信号
S11〜S24,S21〜S29,S31〜S39 ステップ

Claims (6)

  1. 馬蹄型錠(20)と、
    該馬蹄型錠を施錠および開錠するための施錠/開錠機構部(30)と、
    該施錠/開錠機構部を電子制御するための電子制御部(40)とを具備し、
    前記施錠/開錠機構部が、
    長方形板状の部材本体(31a;31a’)、および、先端部が前記馬蹄型錠に向けて該部材本体から垂直に突出するように該部材本体に取り付けられた錠杆係止爪(31b;31b’)を備えた施開錠部材(31;31’)と、
    前記部材本体の一端部を回動可能に支持するための施開錠部材支持軸(32)と、
    ロッドの先端部が前記部材本体の他端部に該部材本体の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられたソレノイド(33)と、
    該ソレノイドの前記ロッドの中央部に取り付けられた、かつ、前記馬蹄型錠の施錠時に前記部材本体の他端部を該馬蹄型錠側に付勢して前記錠杆係止爪を前記馬蹄型錠の錠杆(22)内に圧入するための押しばね(34)と、
    前記錠杆係止爪と前記施開錠部材支持軸との間に取り付けられたストッパー(35)とを備え、
    前記電子制御部が、
    ICカード(51)に書き込まれた開錠許可識別データを読み取るためのカードリーダ部(41,42)と、
    該カードリーダ部によって読み取られた前記開錠許可識別データに基づいて前記ソレノイドを駆動するための制御部(43)とを備え、
    前記施開錠部材の少なくとも前記錠杆係止爪の先端部の前記馬蹄型錠の施錠時に前記錠杆の爪係止部(22a)と当接する側の面がプラスチック製とされている、
    ことを特徴とする、自転車電子鍵装置。
  2. 前記錠杆係止爪の先端部の前記馬蹄型錠の施錠時に前記錠杆の前記爪係止部と当接する側の面が、前記施開錠部材支持軸を中心とする半径Rの円弧状の曲面とされており、
    前記馬蹄型錠が施錠された状態では、前記錠杆係止爪の先端部が前記施開錠部材支持軸から前記半径Rの位置で前記爪係止部と当接するようにされている、
    ことを特徴とする、請求項1記載の自転車電子鍵装置。
  3. 前記錠杆係止爪(31b)が前記部材本体(31a)の一端部および他端部間に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の自転車電子鍵装置。
  4. 前記錠杆係止爪(31b’)が前記部材本体(31a’)の他端部に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の自転車電子鍵装置。
  5. 前記施錠/開錠機構部が、鍵(1)を用いて前記馬蹄型錠を開錠させるための手動施錠部材(36)をさらに備え、
    該手動施錠部材が、回動板(36a)と、押し板(36b)と、前記回動板の中心部に取り付けられた支持軸(36c)とを備え、
    前記回動板が、前記支持軸を回転軸として回動可能とされており、
    前記押し板の末端部が、前記馬蹄型錠が施錠された状態では先端部が前記部材本体の他端部と当接するように、前記回動板の先端面に固定されており、
    前記鍵がシリンダー錠(52)に差し込まれて回されると、前記回動板の末端部が該シリンダー錠によって押されて該回動板が回動し、前記部材本体の他端部が前記押し板によって押されて、前記錠杆係止爪の先端部が前記爪係止部から引き出されるようにされている、
    ことを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の自転車電子鍵装置。
  6. 前記電子制御部が、前記鍵が前記シリンダー錠の差込口に差し込まれて回されると接点が閉じるマイクロスイッチ(46)をさらに備え、
    前記制御部が、前記マイクロスイッチの前記接点が所定の時間以上閉じられた場合にのみ、前記馬蹄型錠用の電子キーとして登録されていない未登録ICカード(51c)を登録するための電子キー登録処理および/または前記馬蹄型錠用の電子キーとして登録されている登録済みICカード(51b)の登録を消去するための電子キー登録消去処理を実行する、
    ことを特徴とする、請求項5記載の自転車電子鍵装置。
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