JP2016061016A - ハイブリッド式建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】オペレータの意思に基づいてエンジンの停止や再始動を行い、安全でかつ使い勝手の良いアイドリングストップ機能を搭載したハイブリッド式建設機械を提供する。【解決手段】エンジンと、コントローラと、コントローラと補助機器に電力を供給する第1の蓄電装置と、アシスト発電モータに電力を供給する第2の蓄電装置と備えたハイブリッド式建設機械において、第1蓄電状態検出センサと第2蓄電状態検出センサとが検出した蓄電装置の蓄電状態とを読み込み、操作レバー装置の操作が所定時間なされないときであって、第1の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上であって、かつ第2の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上のときにエンジンを停止させるエンジン停止制御部と、エンジンが停止した後に、再始動装置の操作があった場合に、アシスト発電モータを駆動して、エンジンを再始動するエンジン再始動制御部とを備えた。【選択図】 図2

Description

本発明は、ハイブリッド式建設機械に関する。
省エネ、排ガス低減の技術として、エンジンを搭載した油圧ショベル等の作業機械において、作業の休止時間などに無駄な燃料消費を抑えるために、自動的にエンジンを停止するアイドリングストップを行う技術が提案されている。
そして、エンジンとエンジンをアシストする電動機と蓄電装置とを備えたハイブリッド型ショベルにおいて、アイドリングストップ後のエンジン始動用のスタータモータの使用頻度を低減させるために、電動機に蓄電装置から電力を供給して力行運転することで、エンジンの駆動を再開する発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−28962号公報
上述した従来技術においては、アイドリングストップ後のエンジン再始動時に、蓄電装置の蓄電量が所定値より小さい場合には、蓄電装置と電動機とを用いずに24V系の鉛バッテリから電力を供給してスタータモータによりエンジンを再始動する。24V系の鉛バッテリは、スタータモータの他にコントローラや補機系統に電力を供給するものであって、通常のエンジン運転時には、エンジンにより駆動されるオルタネータ(発電機)により、充電されている。
アイドリングストップによりエンジンが停止すると、オルタネータは停止するので、24V系の鉛バッテリは充電されず放電のみの状態になる。ハイブリッド型ショベルの場合、アイドリングストップしても、オペレータのために、作業灯、室内灯などに電力供給が必要な場合がある。このときに、鉛バッテリの放電状態を監視せずに、長時間にわたって電力を使用すると、過放電状態となり、各機器への電力を供給できなくなる恐れが生じる。
特に、鉛バッテリが劣化して容量が少ない状態のときに、エンジンが停止して上述したような放電がなされると、最悪の場合コントローラへの電力供給もされなくなり、エンジンの再始動ができなくなる恐れも生じる。
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、オペレータの意思に基づいてエンジンの停止や再始動を行い、安全でかつ使い勝手の良いアイドリングストップ機能を搭載したハイブリッド式建設機械を提供するものである。
上記の目的を達成するために、第1の発明は、エンジンと、前記エンジンと機械的に接続されアシスト駆動や発電制動を行うとともに、前記エンジンの始動を可能とするアシスト発電モータと、前記エンジンと前記アシスト発電モータの合計トルクで駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプの吐出した圧油により駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータの駆動を指令する操作レバー装置と、前記操作レバー装置による前記複数の油圧アクチュエータの作動をロックまたは、ロック解除するロックレバー機構と、前記アシスト発電モータのアシスト駆動や発電制動を制御するコントローラと、前記コントローラと補助機器に電力を供給する第1の蓄電装置と、前記アシスト発電モータに電力を供給する第2の蓄電装置と、前記エンジンのアイドリングストップ後に、オペレータが前記エンジンを再始動させるために操作する再始動装置とを備えたハイブリッド式建設機械において、前記第1の蓄電装置の蓄電状態を検出する第1蓄電状態検出センサと、前記第2の蓄電装置の蓄電状態を検出する第2蓄電状態検出センサとを備え、前記コントローラは、前記第1蓄電状態検出センサが検出した前記第1の蓄電装置の蓄電状態と前記第2蓄電状態検出センサが検出した前記第2の蓄電装置の蓄電状態とを読み込み、前記操作レバー装置の操作が所定時間なされないとき又は前記ロックレバー機構による前記複数の油圧アクチュエータの作動ロック状態が所定時間以上継続したときであって、前記第1の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上であって、かつ前記第2の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上のときに前記エンジンを停止させるエンジン停止制御部と、前記エンジンが停止した後に、前記再始動装置の操作があった場合に、前記アシスト発電モータを駆動して、前記エンジンを再始動するエンジン再始動制御部とを備えたものとする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記第1の蓄電装置から前記コントローラと前記補助機器に供給される電力の供給路には、電力供給の遮断/連通をそれぞれ制御するリレー回路がさらに備えられ、前記コントローラは、前記エンジン停止制御部による前記エンジンの停止期間に、動作を継続すべく予め設定された機器のみに電力を供給するように、前記リレー回路に制御指令を出力する機器動作制御部を備えることを特徴とする。
更に、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記再始動装置とは別に、前記エンジンの始動や停止のために操作するキースイッチを備えたことを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記再始動装置は、押しボタン式のスイッチであって、所定の押圧回数の操作又は所定の押圧保持時間の操作により、オン状態となることを特徴とする。
更に、第5の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記再始動装置は、回転/押しボタン式のスイッチであって、オペレータが前記スイッチを回転させた後に押圧することで、オン状態となることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1または第2の発明において、前記エンジンのラジエータ水温を検出する水温度センサと、前記圧油の温度を検出する油温度センサと、外気の温度を検出する外気温度センサとを更に備え、前記エンジン停止制御部は、前記水温度センサが検出したラジエータ水温と、前記油温度センサが検出した圧油の温度と、前記外気温度センサが検出した外気の温度とを取込み、前記ラジエータ水温、前記圧油の温度、前記外気の温度の少なくともいずれか1つが、予め定めた一の設定温度より低い場合、または予め定めた他の設定温度より高い場合には、前記エンジンを停止させないことを特徴とする。
本発明によれば、蓄電装置と鉛バッテリの各蓄電状態に応じて、アイドリングストップを行うので、オペレータの意思に基づいてエンジンの停止や再始動を行い、安全でかつ使い勝手の良いアイドリングストップ機能を搭載したハイブリッド式建設機械を提供できる。
本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を示す側面図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成する電動・油圧機器のシステム構成図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラの制御ロジックの概要を示すブロック図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラのアイドリングストップ時の制御フローを示すフローチャート図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラのエンジン再始動時の制御フローを示すフローチャート図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するスイッチパネルと再始動スイッチとを示す正面概略図である。 本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態を構成する電動・油圧機器のシステム構成図である。
以下、ハイブリッド式建設機械として油圧ショベルを例にとって本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を示す側面図、図2は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成する電動・油圧機器のシステム構成図である。
図1において、油圧ショベルは下部走行体10と、下部走行体10の上部に旋回可能に設けた上部旋回体20と、一端が上部旋回体20に連結された多関節リンク機構からなるショベル機構30を備えている。
下部走行体10は、左右一対のクローラ11及びクローラフレーム12(図1には片側のみを示す)を備えており、各クローラ11は図示しない減速機構を介して走行用油圧モータ13,14(図2参照)により、それぞれ独立に駆動される。
上部旋回体20は、下部走行体10に旋回可能に取り付けられた旋回フレーム21を有していて、この旋回フレーム21には、エンジン22と、エンジン22により駆動されるアシスト発電モータ23と、旋回電動モータ25と、アシスト発電モータ23及び旋回電動モータ25に接続される蓄電装置である高電圧系バッテリ(第2の蓄電装置)24と、旋回油圧モータ27とが搭載されている。また、この旋回フレーム21には、図2に示す油圧ポンプ41及びコントロールバルブ42を含む油圧システム40と、パワーコントロールユニット50と、エンジンコントローラ61、バッテリコントローラ62、及びコントローラ60を含む制御システムとが搭載されている。
旋回フレーム21は、旋回電動モータ25の回転を減速する減速機構を含み、旋回電動モータ25と旋回油圧モータ27の駆動力により駆動させる旋回機構26を介して、下部走行体10の上部に旋回可能に取り付けられている。
ショベル機構30は、ブーム31と、ブーム31を駆動するためのブームシリンダ32と、ブーム31の先端部近傍に回転自在に軸支されたアーム33と、アーム33を駆動するためのアームシリンダ34と、アーム33の先端に回転可能に軸支されたバケット35と、バケット35を駆動するためのバケットシリンダ36とをもって構成されている。ブーム31の基端部は、旋回フレーム21に回転可能に軸支されている。ブーム31、アーム33及びバケット35は、それぞれの連結軸を中心として垂直方向に駆動することで、掘削等の作業を行う。
次に、油圧システム40は、図2に示すように、エンジン22と、エンジン22によって駆動される油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41から吐出される動作油により駆動される走行用油圧モータ13,14、旋回油圧モータ27、ブームシリンダ32、アームシリンダ34及びバケットシリンダ36と、これらの各油圧アクチュエータに供給される動作油の供給量及び供給方向を、操作レバー72からの指令に基づいて切り換えるコントロールバルブ42とをもって構成されている。
なお、操作レバー72とコントロールバルブ42との間には、パイロット圧信号遮断弁76が設けられている。パイロット圧信号遮断弁76は、オペレータが運転席に乗り降りする部位に配置されたロックレバー(ロックレバー機構)71のレバー上げ(ロック)動作に連動して操作レバー72からコントロールバルブ42への指令信号を遮断する。この結果、油圧部のロック機能が働く。また、操作レバー72の指令信号は、油圧→電気信号変換デバイス(例えば、圧力センサ)74によって電気信号に変換され、旋回パイロット圧信号としてコントローラ60に入力されている。
エンジン22は、始動用のスタータモータ28を備えていて、オペレータの操作に応じて、コントローラ60とエンジンコントローラ61とにより制御される。オペレータが操作するスイッチとして、キーを挿入して、オフの位置から、オンまたはスタートのいずれかの位置に操作するキースイッチ70と、アイドリングストップ中に、キースイッチ70の操作とは別にエンジン22を再始動させ得る再始動装置である再始動スイッチ73とがある。キースイッチ70の位置信号とロックレバー71のロック/ロック解除信号と再始動スイッチ73の再始動信号とは、それぞれコントローラ60に入力されている。
キースイッチ70の上流側には、一般的に自動車に使用される24Vの鉛バッテリである低電圧系バッテリ(第1の蓄電装置)29が接続されていて、キースイッチ70の下流側には、電装品等の負荷が接続されている。キースイッチ70をオンまたはスタートの位置に操作すると、キースイッチ70を介して低電圧系バッテリ29から各負荷へ電力が供給される。油圧ショベルを起動するときには、キースイッチ70をスタートの位置へ操作することで、低電圧系バッテリ29からスタータモータ28へ電力が供給される。スタータモータ28が駆動することでエンジン22が回転して始動する。
低電圧系バッテリ29の負荷としては、図2に示すように、スタータモータ28の他に、パワーコントロールユニット50や、コントローラ60とエンジンコントローラ61とバッテリコントローラ62とからなるコントローラ系や、エアコン80と作業灯81と室内灯82とその他の電装品83とからなる補助機器系とがある。
エンジンコントローラ61とバッテリコントローラ62と作業灯81と室内灯82とその他の電装品83とは、詳細は後述するリレー回路84を介して低電圧系バッテリ29に接続している。
アシスト発電モータ23は、エンジン22と油圧ポンプ41と同一の駆動軸で連結されたモータ・ジェネレータであり、力行時にはエンジン22をアシストして合計のトルクで油圧ポンプ41やエアコン80等の補機負荷を駆動し、回生時にはエンジン22により駆動されて発電をおこなう。発電されたエネルギは,インバータ53によって直流に変換され、高電圧系バッテリ24に供給され蓄電される。
旋回電動モータ25は、旋回油圧モータ27と同一の回転軸で連結されたモータ・ジェネレータであり、力行動作する場合にはモータとして駆動力を発生し、旋回油圧モータ27の発生するトルクとの合計トルクで上部旋回体20を駆動する。また、上部旋回体20によって制動される場合には発電機として動作して電力を回生する。回生されたエネルギは、インバータ52によって直流に変換され、高電圧系バッテリ24に供給され蓄電される。
高電圧系バッテリ24は、ハイブリッド自動車等に使用される蓄電池であり、例えばリチウムイオンバッテリが用いられる。また、コントローラ60とバッテリコントローラ62とにより制御される。なお、本実施の形態においては、リチウムイオンバッテリを用いているが、キャパシタを用いることもできるし、キャパシタとバッテリの双方を併用することもできる。
パワーコントロールユニット55は、アシスト発電モータ23を駆動するためのインバータ53と、旋回電動モータ25を駆動するためのインバータ52と、それらの制御部とを含んでいる。インバータ52,53は、旋回電動モータ25とアシスト発電モータ23とで発生する動力を任意に制御するために設けられている。すなわち、インバータ52,53は、力行時には、リチウムイオンバッテリ24からの直流電力を交流電力に変換してアシスト発電モータ23、及び旋回電動モータ26に供給し、回生時には、アシスト発電モータ23、及び旋回電動モータ26からの交流電力を直流電力に変換してリチウムイオンバッテリ24に蓄電する。
低電圧系バッテリ29の出力端子部には、鉛バッテリ電圧を検出する電圧センサ(第1蓄電状態検出センサ)29aが設けられていて、検出した信号はコントローラ60に入力され、蓄電状態(蓄電量)が算出される。リチウムイオンバッテリ24には、リチウムイオンバッテリ24を構成する各セルの電圧や電流を検出するセンサ(第2蓄電状態検出センサ)24aが設けられていて、検出した信号はバッテリコントローラ62に取込まれ、SOC(State of charge:充電率)を算出し第2蓄電状態検出センサが検出した蓄電状態として、コントローラ60に入力される。
エンジン22には、ラジエータ水温を検出する温度センサ22aと外気温度を検出する外気温センサとが設けられていて、検出した信号はエンジンコントローラ61介してコントローラ60に入力される。また、油圧ポンプ41には、圧油の温度を検出する油温センサ91が設けられていて、検出した信号はコントローラ60に入力される。
エアコン80は、エアコンのスイッチ状態やブロアの稼動状態を、エアコン稼動状態検出信号として、コントローラ60へ出力している。
コントローラ60は、エンジンコントローラ61、パワーコントロールユニット50、およびバッテリコントローラ62とCANなどの通信手段を介して接続されている。オペレータの各種操作量や電源部の蓄電状態や車体情報などを入力し、これらの状態に応じてオペレータの要求を満たすための油圧ショベルの動作を決定し、エンジン22や各アクチュエータ、リチウムイオンバッテリ24、アシスト発電モータ23、及び旋回電動モータ25等を制御する。
次に、コントローラ60におけるアイドリングストップに関する制御について図3乃至図5を用いて説明する。図3は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラの制御ロジックの概要を示すブロック図、図4は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラのアイドリングストップ時の制御フローを示すフローチャート図、図5は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラのエンジン再始動時の制御フローを示すフローチャート図、図6は本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態を構成するスイッチパネルと再始動スイッチとを示す正面概略図である。図3乃至図6において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
コントローラ60におけるアイドリングストップに関する制御部は、図3に示すように、エンジン停止制御部63とエンジン再始動制御部64とアシスト発電モータ制御部65と機器動作制御部66とを備えている。
エンジン停止制御部63は、油圧ショベルの運転中にオペレータの操作が所定の時間に実施されないことを検知した場合に、鉛バッテリ29とリチウムイオンバッテリ24の蓄電状態と、エアコン80の稼動状態や圧油の温度、ラジエータ水温、外気温の状態を取込み、閾値と比較して、エンジン22を停止する指令を出力するか否かの判断を行う。停止することを判断した場合には、目標エンジン回転数指令を算出してエンジンコントローラ61へ出力し、エンジン22の回転数を制御して停止させる。
オペレータの操作の有無は、ロックレバー71がロック状態であることで判断する。鉛バッテリ29とリチウムイオンバッテリ24の蓄電状態は、電圧センサ29aが検出した鉛バッテリ29の電圧とバッテリコントローラ62からのリチウムイオンバッテリ24のSOCと予め定めた閾値とを比較することで判断する。本実施の形態においては、オペレータの操作の有無の判断にロックレバー71のロック状態を用いているが、その他の情報、例えば操作レバー72の状態を用いても良い。
また、エアコン80が稼動中の場合は、エアコン80の消費電力が大きいため、アイドリングストップ(エンジン22の停止)は行わないようにする。また、圧油の温度やラジエータ水温が予め定めた閾値より低い場合は、エンジン22が暖まっていないと判断してエンジン22の停止は行わないようにする。さらに、圧油の温度やラジエータ水温が予め定めた他の閾値より高い場合は、オーバーヒートの可能性があるためエンジン22の停止は行わないようにする。
機器動作制御部66は、鉛バッテリ29が、アイドリングストップ中に、電力を供給する機器を選択するものであって、鉛バッテリ29と補機系の機器81,82,83や各コントローラ61,62との間に配置されたリレー回路84へON/OFFを切り替えるための指令信号を出力する。このことにより、アイドリングストップ中に使用したい機器、例えば、作業灯81や室内灯82等については、鉛バッテリ29からの電力供給を継続することができ、その他の機器への電力供給は遮断することができる。
エンジン再始動制御部64は、アイドリングストップ中に、オペレータが再始動装置である再始動スイッチ73を操作したときに、エンジン22とアシスト発電モータ23とを制御する信号を生成する。アシスト発電モータ制御部65へ再始動指令を出力すると共に、エンジン22がアシスト発電モータ23により所定回転数まで昇速された後に、エンジンコントローラ61へ通常のエンジン制御指令を出力する。
アシスト発電モータ制御部65は、エンジン再始動制御部64から再始動指令を入力後、アシスト発電モータ23によってエンジン22を再始動するために、目標アシストモータ回転数を算出して、パワーコントロールユニット50のインバータ53へ指令信号を出力してアシスト発電モータ23を駆動する。
次に、コントローラ60のアイドリングストップ時の処理内容について図4を用いて説明する。具体的には、オペレータがキースイッチ70を操作してエンジン22を始動した後、オペレータの操作が所定時間なされないことを、ロックレバー71のロック/ロック解除信号で検知し、エンジン停止制御部63がエンジン22を停止させる場合を例に説明する。
まず、コントローラ60は、オペレータのキースイッチ70の操作によりエンジン22を始動する(ステップS101)。このとき、鉛バッテリ29から、スタータモータ28へ電力が供給され、スタータモータ28によりエンジン22が始動される。
エンジン停止制御部63は、ロックレバー71のロック状態を検出したときに、ロック状態の経過時間を計測し、予め定めた所定時間を経過しているか否かを判断する(ステップS102)。具体的には、オペレータが操作を中断してロックレバーをロック状態にした後、例えば、30〜60秒経過した場合が想定される。ロック状態の経過時間が所定時間を経過している場合には、YESと判断されて(ステップS103)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS102)へ戻る。
エンジン停止制御部63は、鉛バッテリ29の電圧が、予め定めた所定値以上か否かを判断する(ステップS103)。本実施の形態においては、再始動時にアシスト発電モータ23でエンジン22を駆動することを基本とするが、リチウムイオンバッテリ24や電動機等のハイブリッド系の異常や、寒冷地など環境の変化等によって、エンジン再始動時にアシスト発電モータ23を使用できない場合は、スタータモータ28によるエンジン22の始動を行わなければならない。このため、スタータモータ28を駆動する為の電力の確保が必要となり、鉛バッテリ電圧が所定値よりも下回った場合には、アイドリングストップを行わないようにする。鉛バッテリ29の所定電圧は、例えば22V〜24Vに設定し、この数値は、通常の鉛バッテリ29でスタータモータ28を始動可能とする電圧とする。鉛バッテリ29の電圧が、予め定めた所定値以上の場合には、YESと判断されて(ステップS104)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS102)へ戻る。
エンジン停止制御部63は、リチウムイオンバッテリ24のSOCが予め定めた所定値以上か否かを判断する(ステップS104)。本実施の形態においては、エンジン22を再始動する際に、アシスト発電モータ23を駆動する為に電力供給を行わなければならない。このため、リチウムイオンバッテリ24の充電状態を表すSOCが所定値未満の場合には、アイドリングストップを行わないようにする。リチウムイオンバッテリ24のSOCは、例えば35%〜50%の範囲において設定する。これは,ハイブリッドショベルとしての機能を考慮した際に、アイドリングストップからの復帰後に、頻繁な充電がなされないように考慮した設定値である。リチウムイオンバッテリ24のSOCが予め定めた所定値以上の場合には、YESと判断されて(ステップS105)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS102)へ戻る。
エンジン停止制御部63は、ラジエータ水温や圧油温が、予め定めた所定値の範囲内であるか否かを判断する(ステップS105)。本実施の形態においては、ラジエータ水温は暖気が完了した水温以上であること、またオーバーヒートしない温度より低いことを温度条件とする。圧油温についても、上限はオーバーヒートしない温度であることを条件として設定する。また、温度条件として外気温についても条件を含めてもよい。ラジエータ水温や圧油温が、予め定めた所定値の範囲内である場合には、YESと判断されて(ステップS106)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS102)へ戻る。
エンジン停止制御部63は、停止条件が成立したので目標エンジン回転数指令を算出してエンジンコントローラ61へ出力し、エンジン22の回転数を制御して停止させる(ステップS106)。
機器動作制御部66は、アイドリングストップ中に、動作を継続したい機器及び各コントローラへ電力供給するための制御を行う(ステップS107)。具体的には、動作を継続したい機器のリレー回路にはON指令を、それ以外の機器のリレー回路にはOFF指令を出力する。
次に、コントローラ60のアイドリングストップ後の再始動時の処理内容について図5を用いて説明する。具体的には、オペレータがキースイッチ70とは別に設けられた再始動装置である再始動スイッチ73を操作してエンジン22を再始動させる場合を例に説明する。
まず、コントローラ60は、エンジン22が停止してからの時間の計測を開始する(ステップS201)。
エンジン再始動制御部64は、計測したエンジン22の停止時間が、予め定めた所定時間より短いか否かを判断する(ステップS202)。具体的には、所定時間を例えば15分〜20分程度に設定する場合が想定される。顧客によってこの時間設定を5分刻みで変更可能としても良い。また、安全性の面から長時間の設定は避けるべきであり、設定可能な設定値の最大値を例えば60分としても良い。エンジン22の停止時間が、所定時間より短い場合には、YESと判断されて(ステップS203)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS205)へ進む。
エンジン再始動制御部64は、鉛バッテリ29の電圧が、予め定めた所定値以上か否かを判断する(ステップS203)。本実施の形態においては、アイドリングストップ中に、各コントローラや一部の機器により電力が消費されるので、鉛バッテリ29の電圧は徐々に下がることを想定している。ここで、所定値は、ステップS202のエンジン停止時間の規定から想定される電圧降下の値と、寒冷地での動作や鉛バッテリ29の劣化時等の状況の変化等を考慮して定められる。鉛バッテリ29の電圧が、予め定めた所定値以上の場合には、YESと判断されて(ステップS204)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS205)へ進む。
ステップS202において、エンジン22の停止時間が所定時間より短くないと判断された場合と、ステップS203において、鉛バッテリ29の電圧が、予め定めた所定値未満と判断された場合には、コントローラ60は鉛バッテリ29の消費電力の抑制の観点からタイムアウト処理を行う(ステップS205)。タイムアウト処理とは、通常の油圧ショベルにおいて、オペレータがキースイッチ70をオフにしたときと同等の処理であって、具体的には、エンジン22停止の後に、コントローラや一部の機器に供給されていた電源を遮断する。なお、ステップS205の処理が実行された場合、キースイッチ70はオンの位置にあるので、再度、油圧ショベルを起動する場合、オペレータは、キースイッチ70を一端オフにした後に、再起動する必要がある。
エンジン再始動制御部64は、オペレータによる再始動スイッチ73の操作があったか否かを判断する(ステップS204)。ここで、再始動スイッチ73は、例えば押しボタン式のものとして、オペレータによって押しボタンスイッチが所定時間以上押圧操作されたことを判断して、オンになった(操作があった)と判断する。
本実施の形態における再始動スイッチ73は、例えば、図6に示すように、車体のキャブ内に設置されたスイッチパネル92の中に配置された、操作ボタンやスイッチのうちの1つのスイッチ92(a)である。このスイッチ92(a)は、通常は、モニタに表示されるメニューを選択するために回したり押したりする押しボタン式のスイッチであり、アイドリングストップの時のみ、エンジン再始動スイッチ73として使用することができる。なお、再始動スイッチ73がオンとなったことを判断する条件としては、一度押しボタン式のスイッチを回した後に押されたことを検出した場合としても良く、また、押しボタン式のスイッチが所定回数である二回連続で押圧操作されたことを検出した場合としても良い。このように、オペレータによる2つ以上の操作を認識することで、再始動の意思を間違いなく判断することが可能であるため、誤動作を防止することができ安全性を確保できる。
ステップS204において、オペレータによる再始動スイッチ73の操作があった場合には、YESと判断されて(ステップS206)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(ステップS201)へ戻る。
エンジン再始動制御部64は、オペレータによるロックレバー71のロック操作があったか否かを判断する(ステップS206)。ロックレバー71は、操作されるパイロット圧信号を遮断することで、アクチュエータの動作をロックして安全機能を保っているので、ロックが解除されている場合は、エンジン22を始動すべきではない。オペレータによるロックレバー71のロック操作があった場合には、YESと判断されてエンジン22を始動するために(ステップS207)へ進み、それ以外の場合には、NOと判断されて(END)へ進み処理フローを終了する。
アシスト発電モータ制御部65は、アシスト発電モータ23でエンジン22を始動すべく制御信号を出力する(ステップS207)。具体的には、エンジン再始動制御部64から再始動指令を入力後、アシスト発電モータ23によってエンジン22を再始動するために、目標アシストモータ回転数を算出して、パワーコントロールユニット50のインバータ53へ指令信号を出力してアシスト発電モータ23を駆動する。
エンジン再始動制御部64は、エンジン22がアシスト発電モータ23により所定回転数まで昇速された後に、エンジンコントローラ61へ通常のエンジン制御指令を出力し、機器動作制御部66は、アイドリングストップ中に動作を停止していた機器やコントローラ等に電力を供給するために、リレー回路84へ制御指令を出力する(ステップS208)。
以上の様に、エンジン22の再始動時に、オペレータの意思によって押すことができる再始動スイッチ73、例えば押しボタン式のスイッチを設けることで、アイドリングストップの後、簡単に再始動することが可能になる。
また、アイドリングストップから復帰してエンジン22を再始動する際には、アシスト発電モータ23を駆動してエンジン22を始動するので、応答良く再始動することができる。更に、アシスト発電モータ23を駆動してエンジン22を始動するので、スタータモータ28の駆動回数を大幅に削減できる。この結果、鉛バッテリ29の劣化を抑えることができる。
上述した本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態によれば、蓄電装置24と鉛バッテリ29の各蓄電状態に応じて、アイドリングストップを行うので、オペレータの意思に基づいてエンジン22の停止や再始動を行い、安全でかつ使い勝手の良いアイドリングストップ機能を搭載したハイブリッド式建設機械を提供できる。
また、上述した本発明のハイブリッド式建設機械の第1の実施の形態によれば、
アイドリングストップ中にも使用したい機器については稼働させることが可能となるため、オペレータにとって使い勝手の良い機能を実現することができる。
以下、本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図7は本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態を構成する電動・油圧機器のシステム構成図である。図7において、図1乃至図6に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態において、油圧ショベルの概略システムは、第1の実施の形態と同じであるが、エンジン22を始動する際にスタータモータを使用せずに、毎回アシスト発電モータ23を用いることが第1の実施の形態と異なる。具体的には、図7に示すようにキースイッチ70に替えて、押しボタン式のエンジン始動スイッチ77を設けた点と、スタータモータ28を省略した点と、再始動装置である再始動スイッチ73を省略した点が異なる。
本実施の形態において、エンジン始動スイッチ77は、電気的には鉛バッテリ29と接続されていて、エンジン始動スイッチ77をオペレータがオン操作すると、各コントローラ60、61、62やその他の補機系の機器に鉛バッテリ29から電力が供給される。
また、エンジン始動スイッチ77のオン操作により、コントローラ60に対してエンジン始動の信号が入力され、コントローラ60から、パワーコントロールユニット50及びエンジンコントローラ61に対して、エンジン22を始動するための信号が出力される。エンジン22の始動方法に関しては、第1の実施の形態のエンジン再始動時における流れと同等であるので、詳細な説明は省略する。
なお、本実施の形態においては、鉛バッテリ29を搭載した例をもとに説明しているが、鉛バッテリ29を搭載せずに全ての電力をリチウムイオンバッテリ24から供給するような構成にしても良い。
上述した本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した本発明のハイブリッド式建設機械の第2の実施の形態によれば、エンジン22を始動するためのスタータモータを省くことが可能であるため、コスト削減に貢献できる。また、エンジン22を始動する際にはアシスト発電モータ23を用いる為、エンジン始動の応答性が良く、静かであるという効果もある。さらに、毎回同じ方法でエンジン22を始動するため、オペレータにとって違和感がなく、使い勝手の良いアイドリングストップ機能を実現することができる。
10 下部走行体
11 クローラ
12 クローラフレーム
13 右走行用油圧モータ
14 左走行用油圧モータ
20 上部旋回体
21 旋回フレーム
22 エンジン
23 アシスト発電モータ
24 リチウムイオンバッテリ(第2の蓄電装置)
25 旋回電動モータ
26 旋回機構
27 旋回油圧モータ
29 鉛バッテリ(第1の蓄電装置)
30 フロント作業装置
31 ブーム
32 ブームシリンダ
33 アーム
34 アームシリンダ
35 バケット
36 バケットシリンダ
40 油圧システム
41 油圧ポンプ
42 コントロールバルブ
50 パワーコントロールユニット
52 旋回電動モータ用インバータ
53 アシスト発電モータ用インバータ
60 コントローラ
61 エンジンコントローラ
62 バッテリコントローラ
63 エンジン停止制御部
64 エンジン再始動制御部
65 アシスト発電モータ制御部
66 機器動作制御部
70 キースイッチ
71 ロックレバー
72 旋回操作レバー
73 再始動スイッチ
77 エンジン始動スイッチ
80 エアコン
84 リレー回路

Claims (6)

  1. エンジンと、前記エンジンと機械的に接続されアシスト駆動や発電制動を行うとともに、前記エンジンの始動を可能とするアシスト発電モータと、前記エンジンと前記アシスト発電モータの合計トルクで駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプの吐出した圧油により駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータの駆動を指令する操作レバー装置と、前記操作レバー装置による前記複数の油圧アクチュエータの作動をロックまたは、ロック解除するロックレバー機構と、前記アシスト発電モータのアシスト駆動や発電制動を制御するコントローラと、前記コントローラと補助機器に電力を供給する第1の蓄電装置と、前記アシスト発電モータに電力を供給する第2の蓄電装置と、前記エンジンのアイドリングストップ後に、オペレータが前記エンジンを再始動させるために操作する再始動装置とを備えたハイブリッド式建設機械において、
    前記第1の蓄電装置の蓄電状態を検出する第1蓄電状態検出センサと、前記第2の蓄電装置の蓄電状態を検出する第2蓄電状態検出センサとを備え、
    前記コントローラは、前記第1蓄電状態検出センサが検出した前記第1の蓄電装置の蓄電状態と前記第2蓄電状態検出センサが検出した前記第2の蓄電装置の蓄電状態とを読み込み、前記操作レバー装置の操作が所定時間なされないとき又は前記ロックレバー機構による前記複数の油圧アクチュエータの作動ロック状態が所定時間以上継続したときであって、前記第1の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上であって、かつ前記第2の蓄電装置の蓄電状態が所定値以上のときに前記エンジンを停止させるエンジン停止制御部と、
    前記エンジンが停止した後に、前記再始動装置の操作があった場合に、前記アシスト発電モータを駆動して、前記エンジンを再始動するエンジン再始動制御部とを備えた
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド式建設機械において、
    前記第1の蓄電装置から前記コントローラと前記補助機器に供給される電力の供給路には、電力供給の遮断/連通をそれぞれ制御するリレー回路がさらに備えられ、
    前記コントローラは、前記エンジン停止制御部による前記エンジンの停止期間に、動作を継続すべく予め設定された機器のみに電力を供給するように、前記リレー回路に制御指令を出力する機器動作制御部を備える
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
  3. 請求項1または2に記載のハイブリッド式建設機械において、
    前記再始動装置とは別に、前記エンジンの始動や停止のために操作するキースイッチを備えた
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッド式建設機械において、
    前記再始動装置は、押しボタン式のスイッチであって、所定の押圧回数の操作又は所定の押圧保持時間の操作により、オン状態となる
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッド式建設機械において、
    前記再始動装置は、回転/押しボタン式のスイッチであって、オペレータが前記スイッチを回転させた後に押圧することで、オン状態となる
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
  6. 請求項1または2に記載のハイブリッド式建設機械において、
    前記エンジンのラジエータ水温を検出する水温度センサと、前記圧油の温度を検出する油温度センサと、外気の温度を検出する外気温度センサとを更に備え、
    前記エンジン停止制御部は、前記水温度センサが検出したラジエータ水温と、前記油温度センサが検出した圧油の温度と、前記外気温度センサが検出した外気の温度とを取込み、前記ラジエータ水温、前記圧油の温度、前記外気の温度の少なくともいずれか1つが、予め定めた一の設定温度より低い場合、または予め定めた他の設定温度より高い場合には、前記エンジンを停止させない
    ことを特徴とするハイブリッド式建設機械。
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