以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、作業機械の一例としてのショベルの概要を説明する。
図1は、本実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
本実施形態に係るショベル(作業機械の一例)は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、作業装置としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
上部旋回体3は、後述する旋回用電動機21(図2参照)により電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26等が設けられる。
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
尚、図中にて、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
<ショベルの油圧駆動系>
本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、エンジン11と、減速機13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係る油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等を含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、後述するエンジンコントローラ(ECM:Engine Control Module)30Cの制御下で、所定の目標回転数で定回転する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、減速機13を介してメインポンプ14、パイロットポンプ15を駆動する。また、エンジン11は、減速機13を介して電動発電機12を駆動し、電動発電機12に発電させる。
減速機13は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、エンジン11及び後述する電動発電機12が接続される2つの入力軸と、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が直列に同軸接続される1つの出力軸を有する。減速機13は、エンジン11及び電動発電機12の動力を所定の減速比でメインポンプ14及びパイロットポンプ15に伝達することができる。また、減速機13は、エンジン11の動力を所定の減速比で、電動発電機12とメインポンプ14及びパイロットポンプ15とに分配して伝達することができる。
メインポンプ14(油圧ポンプの一例)は、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、エンジン11、或いは、エンジン11及び電動発電機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30Aの制御下で、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
コントロールバルブ17は、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に供給可能に構成される。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
<ショベルの電気駆動系>
本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、電動発電機12と、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、インバータ18Aを含む。また、本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、旋回用電動機21と、電流センサ21sと、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回減速機24と、インバータ18Bを含む。
電動発電機12(電動機の一例)は、油圧駆動系に対するアシスト動力源であり、上部旋回体3の後部に搭載される。電動発電機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。また、電動発電機12には、所定のセンサ、具体的には、回転軸の回転角を検出するセンサ(例えば、ロータリエンコーダやレゾルバ等)が未搭載である。電動発電機12は、インバータ18Aを介してキャパシタ19を含む蓄電系120や旋回用電動機21と接続される。電動発電機12は、インバータ18Aを介してキャパシタ19や旋回用電動機21から供給される三相交流電力で力行運転し、エンジン11をアシストする態様で、減速機13を介してメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。また、電動発電機12は、エンジン11により駆動されることにより発電運転を行い、発電電力をキャパシタ19や旋回用電動機21に供給することができる。電動発電機12の力行運転と発電運転との切替制御は、後述するハイブリッドコントローラ(以下、「HBコントローラ」)30Bの制御下で、インバータ18Aにより実現されてよい。
電流センサ12s1は、電動発電機12の三相(U相、V相、W相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、電動発電機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出される旋回用電動機21の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、一対一の通信線やCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、HBコントローラ30Bに取り込まれ、HBコントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
電圧センサ12s2は、電動発電機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電流センサ21sは、例えば、電動発電機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出される旋回用電動機21の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、一対一の通信線や車載ネットワークを通じて、HBコントローラ30Bに取り込まれ、HBコントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
インバータ18A(第2の制御装置の一例)は、HBコントローラ30Bの制御下で、電動発電機12を駆動制御する。インバータ18Aは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路を含む。
具体的には、インバータ18Aの制御回路は、電流センサ12s1及び電圧センサ12s2の検出信号に基づき、逐次、電動発電機12の回転軸の回転角等を推定してよい。例えば、当該制御回路は、例えば、既知の拡張誘起電圧(EEFM:Extended Electromotive Force)モデルに基づき、電動発電機12の回転軸の回転角や回転速度等を推定する。そして、当該制御回路は、逐次導出される回転角や回転速度の推定値に基づき、電動発電機12の動作状態を把握しながら、電動発電機12の駆動制御(以下、「センサレス制御」)を行ってよい。これにより、電動発電機12には、回転角や回転位置を検出する所定のセンサ(例えば、ロータリエンコーダ等)が設けられる必要が無い。そのため、メカニカルなセンサを削減することができ、ショベルのコストを抑制することができると共に、センサの汚れ等による検出不良を抑制することができる。
尚、インバータ18Aの制御回路は、電圧センサ12s2による電動発電機12の印加電圧の検出値の代わりに、HBコントローラ30Bから入力される、或いは、自身が制御の過程で生成する電動発電機12の電圧指令値を用いて、電動発電機12の回転軸の回転角等を推定してもよい。この場合、電圧センサ12s2は、省略されうる。また、インバータ18Aの駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18Aの外部(例えば、HBコントローラ30B(第2の制御装置の一例))に設けられてもよい。
旋回用電動機21は、下部走行体1と上部旋回体3との間を接続する旋回機構2に設けられ、HBコントローラ30Bの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行う。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続され、インバータ18Bを介してキャパシタ19や電動発電機12から供給される三相交流電力により駆動される。また、旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して、回生電力をキャパシタ19や電動発電機12に供給する。これにより、回生電力で、キャパシタ19を充電したり、電動発電機12を駆動したりすることができる。旋回用電動機21の力行運転と回生運転との切替制御は、HBコントローラ30Bの制御下で、インバータ18Bにより実現されてよい。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
電流センサ21sは、旋回用電動機21の三相(U相、V相、W相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ21sは、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路に設けられる。電流センサ21sにより検出される、旋回用電動機21の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、HBコントローラ30Bに取り込まれ、HBコントローラ30B経由で、インバータ18Bに入力されてもよい。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転位置(回転角)等を検出する。レゾルバ22により検出された回転角に対応する検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワーク等を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、一対一の通信線やCAN等の車載ネットワークを通じて、HBコントローラ30Bに取り込まれ、HBコントローラ30B経由でインバータ18Bに入力されてもよい。
メカニカルブレーキ23は、HBコントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21の回転軸21Aに対して、機械的に制動力を発生させる。これにより、メカニカルブレーキ23は、上部旋回体3の旋回制動を行ったり、上部旋回体3の停止状態を維持させたりすることができる。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aと接続され、旋回用電動機21の出力(トルク)を所定の減速比で減速させることにより、トルクを増大させて、上部旋回体3を旋回駆動する。即ち、力行運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、上部旋回体3を旋回駆動する。また、旋回減速機24は、上部旋回体3の慣性回転力を増速させて旋回用電動機21に伝達し、回生電力を発生させる。即ち、回生運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して伝達される上部旋回体3の慣性回転力により回生発電を行い、上部旋回体3を旋回制動する。
インバータ18Bは、HBコントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21を駆動制御する。インバータ18Bは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM信号)を出力する制御回路を含む。
具体的には、インバータ18Bの制御回路は、電流センサ21s及びレゾルバ22の検出信号に基づき、旋回用電動機21に関する速度フィードバック制御及びトルクフィードバック制御を行う。
<ショベルの蓄電系>
本実施形態に係るショベルの蓄電系120は、キャパシタ19と、昇降圧コンバータ100と、DCバス110を含む。蓄電系120は、例えば、電気駆動系のインバータ18A,18Bと共に、上部旋回体3の右側前部に搭載される。
キャパシタ19は、電動発電機12や旋回用電動機21に電力を供給すると共に、電動発電機12や旋回用電動機21の発電電力を充電する蓄電装置の一例である。また、キャパシタ19と昇降圧コンバータ100を含む負荷側のメイン回路との間を遮断するリレー(以下、「遮断リレー」)が設けられる。これにより、キャパシタ19は、ショベルの停止時やショベルの異常時(例えば、転倒等の事故発生時)に、HBコントローラ30Bによる制御下で、メイン回路と切り離される。そのため、オペレータの不在時の異常や、オペレータの在席時の異常に起因して、キャパシタ19に非常に大きな短絡電流が流れるような事態を抑制することができる。遮断リレーは、例えば、キャパシタ19と昇降圧コンバータ100との間の正極側及び負極側の双方の電力経路に設けられる。
昇降圧コンバータ100は、キャパシタ19の電力を昇圧し、DCバス110に出力したり、DCバス110に供給される電力を降圧し、キャパシタ19に蓄電させたりする。昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス110の電圧検出値、キャパシタ19の電圧検出値、及びキャパシタ19の電流検出値に基づき、HBコントローラ30Bにより実現されてよい。
DCバス110は、インバータ18A,18Bと昇降圧コンバータ100との間に設けられ、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。
<ショベルの操作系>
また、本実施形態に係るショベルの操作系は、パイロットポンプ15、操作装置26、圧力センサ29等を含む。
パイロットポンプ15は、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11、或いはエンジン11及び電動発電機12により駆動される。
操作装置26は、例えば、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(例えば、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、それぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)や電動アクチュエータ(旋回用電動機21等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26(レバー26A,26B、及びペダル26C)は、油圧ライン27を介して、コントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、各油圧アクチュエータを駆動することができる。また、操作装置26は、油圧ライン28を介して圧力センサ29に接続される。
圧力センサ29は、上述の如く、油圧ライン28を介して操作装置26と接続され、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26における各動作要素の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。圧力センサ29は、ショベルコントローラ30Aに接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号(圧力検出値)は、ショベルコントローラ30Aに取り込まれる。
<ショベルの制御系>
本実施形態に係るショベルの制御系は、制御装置30と、スタータモータ11stを含む。
制御装置30は、ショベルコントローラ30Aと、HBコントローラ30Bと、エンジンコントローラ30Cを含む。
ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30B、及びエンジンコントローラ30C等は、それぞれの機能が任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、ショベルコントローラ30A、HBコントローラ30B、及びエンジンコントローラ30C等は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置と、I/O(Input-Output)インタフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されてよい。
ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30B及びエンジンコントローラ30Cを含む各種コントローラと連携し、ショベルの駆動制御を行う。例えば、ショベルコントローラ30Aは、HBコントローラ30B及びエンジンコントローラ30C等の各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル全体(ショベルに搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
HBコントローラ30Bは、ショベルコントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作状態に対応する圧力センサ29の検出値を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。例えば、HBコントローラ30Bは、圧力センサ29により検出される、操作装置26の操作状態に対応する検出値に基づき、インバータ18Aを駆動し、電動発電機12の運転状態(力行運転及び発電運転)の切替制御を行う。また、例えば、HBコントローラ30Bは、圧力センサ29により検出される、操作装置26の操作状態に対応する検出値に基づき、インバータ18Bを駆動し、旋回用電動機21の運転状態(力行運転及び回生運転)の切替制御を行う。また、例えば、HBコントローラ30Bは、圧力センサ29により検出される、操作装置26の操作状態に対応する検出値に基づき、昇降圧コンバータ100を駆動し、昇降圧コンバータ100の昇圧運転と降圧運転、換言すれば、キャパシタ19の放電状態と充電状態との切替制御を行う。
エンジンコントローラ30Cは、ショベルコントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、エンジン11の設定回転数やエンジン11の設定回転数に対応するショベルの運転モード等を含む制御指令)に基づき、エンジン11の駆動制御を行う。具体的には、エンジンコントローラ30Cは、制御対象のスタータモータ11stやエンジン11の燃料噴射装置等のアクチュエータに制御指令を出力することで、エンジン11の駆動制御を実現する。
スタータモータ11st(他の電動機の一例)は、図示しない補機バッテリ(例えば、鉛蓄電池)からの電力で作動し、エンジンコントローラ30Cの制御下で、エンジン11のクランクシャフトを強制的に回転させ、エンジン11を始動させる。具体的には、スタータモータ11stは、電動発電機12の場合ように、回転数や回転位置等に関する詳細な制御はなされず、電動発電機12よりも相対的に小さい助勢度でエンジン11をアシストすることで、エンジン11を始動させる。つまり、スタータモータ11stは、でんどうあいっ
[エンジン制御処理の詳細]
次に、図3(図3A、図3B)を参照して、制御装置30によるエンジン制御処理の詳細について説明する。
<ショベルの起動時におけるエンジン制御処理>
制御装置30は、ショベルの起動時(例えば、ショベルのキースイッチがONされた場合)に、エンジン11を始動させ、エンジン11の回転数(以下、「エンジン回転数」)をアイドリング用の所定の回転数(以下、「アイドリング回転数」)N1まで上昇させると共に、エンジン11をショベルが作業可能な所定の回転数(以下、「作業用回転数」)N2まで上昇させる。以下、図3Aを参照して、具体的な処理フローについて説明する。
尚、作業用回転数N2は、オペレータやサービスマン等のユーザによる設定操作に応じて、可変されうる。
図3Aは、ショベルの起動時における制御装置30のエンジン制御処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、ショベルのキースイッチがONされると開始される。
ステップS102にて、エンジンコントローラ30Cは、エンジン11を始動させる制御(以下、「エンジン始動制御」)を開始する。これにより、エンジン11で駆動されるメインポンプ14が始動される。換言すれば、エンジンコントローラ30Cは、メインポンプ14を始動させる制御を開始する。具体的には、エンジンコントローラ30Cは、スタータモータ11stを通電させるスタータスイッチをONし、スタータモータ11stを作動させると共に、強制駆動されるエンジン11の回転に合わせて、燃料噴射装置から燃料を噴射させる。
ステップS104にて、ショベルコントローラ30Aは、例えば、エンジン11のクランク角センサの検出信号等に基づき、エンジン回転数をモニタリングすること等により、エンジン11が始動完了したか否かを判定する。つまり、ショベルコントローラ30Aは、メインポンプ14が安定した回転状態に対応する始動完了状態になったか、否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン11が始動完了していない場合、エンジン11の始動が完了するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン11が始動完了した場合、ステップS106に進む。
ステップS106にて、エンジンコントローラ30Cは、エンジン11の回転数を相対的に緩やかに上昇させるように、燃料噴射量を調整しながら、エンジン11の制御を行う。これにより、エンジン11の回転数の上昇に伴う黒煙の発生を抑制することができる。
ステップS108にて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数がアイドリング回転数N1に到達したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数がアイドリング回転数N1に到達していない場合、エンジン回転数がアイドリング回転数N1に到達するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン回転数がアイドリング回転数N1に到達した場合、ステップS112に進む。
ステップS110にて、エンジンコントローラ30Cは、エンジン回転数の上昇を停止させ、アイドリング回転数N1でのエンジン11の定回転を維持させる。
ステップS112にて、ショベルコントローラ30Aは、ショベルの作業が開始されるための条件(以下、「作業開始条件」)が成立したか否かを判定する。作業開始条件には、例えば、"ショベルの電気駆動系の起動処理が終了したこと"が含まれる。ショベルの電気駆動系の起動処理が終了しなければ、ショベルは、電気駆動系を動作させることができないからである。ショベルの電気駆動系の起動処理には、例えば、遮断リレーの異常(例えば、固着等)を検知するための処理(以下、「遮断リレー異常検知処理」)が含まれる。遮断リレー異常検知処理としては、例えば、特開2013-28962号に開示される方法が採用されうる。キャパシタ19は、上述の如く、ショベルの停止時や異常時にメイン回路から切り離される必要があるところ、仮に、遮断リレーの固着が発生すると、固着した遮断リレーを通じて、キャパシタ19に大きな短絡電流が流れてしまう可能性があるからである。また、作業開始条件には、"オペレータによる作業開始を示す操作(以下、「作業開始操作」)があったこと"が含まれる。作業開始操作は、例えば、専用の操作部に対する操作であってもよいし、ショベルの作業のためのエンジン11の目標回転数、或いは、目標回転数に対応する運転モードを設定(選択)する操作であってもよい。ショベルコントローラ30Aは、作業開始条件が成立していない場合、作業開始条件が成立するまで待機(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、作業開始条件が成立した場合、ステップS114に進む。
ステップS114にて、エンジンコントローラ30C及びHBコントローラ30Bは、協調して、エンジン回転数(つまり、メインポンプ14の回転数)を速やかに上昇させる態様の制御(以下、「加速アシスト制御」)を開始する。具体的には、エンジンコントローラ30Cは、ステップS106の場合と同様に、黒煙の発生を抑制する態様で、燃料噴射量を調整しながら、エンジン11の回転数を上昇させると共に、ハイブリッドコントローラ30Bは、電動発電機12にエンジン11の回転数の上昇をアシスト(加速アシスト)させる。これにより、エンジン11の黒煙の発生を抑制しながら、電動発電機12のアシスト動力によって、エンジン回転数を速やかに上昇させることができる。
ステップS116にて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達していない場合、作業用回転数N2に到達するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達した場合、ステップS118に進む。
ステップS118にて、エンジンコントローラ30Cは、エンジン回転数を作業用回転数N2に維持させ、今回の処理を終了する。
<ショベルのアイドリングストップ機能に関するエンジン制御処理>
制御装置30は、ショベルのアイドリングストップ機能に関するエンジン制御処理を行う。具体的には、制御装置30は、ショベルの起動から停止までの間で、所定のエンジン停止条件が成立すると、エンジン11を停止させる。これにより、メインポンプ14が停止される。エンジン停止条件には、例えば、"操作装置26が操作されていない状態が所定時間以上継続していること"が含まれる。ショベルの非操作状態が継続されている場合、不要にメインポンプ14が駆動されることになり、燃料消費等の観点から好ましくないからである。その後、制御装置30は、所定のエンジン始動条件が成立すると、エンジン11を始動させ、作業用回転数N2まで上昇させる。これにより、メインポンプ14が始動され、メインポンプ14の回転数が作業用回転数N2に対応する所定の回転数まで上昇する。エンジン始動条件には、例えば、"操作装置26に対する操作がされたこと"が含まれる。以下、図3Bを参照して、具体的な処理フローについて説明する。
図3Bは、ショベルのアイドリングストップ機能に関する制御装置30のエンジン制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、ショベルの起動時における初期処理の終了後からショベルの停止時における終了処理の開始前までの間に、所定の処理間隔で繰り返し実行される。
ステップS202にて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン停止条件が成立したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン停止条件が成立した場合、ステップS204に進み、エンジン停止条件が成立していない場合、本ステップの処理を終了する。
ステップS204にて、エンジンコントローラ30Cは、所定のタイミングで、燃料噴射装置による燃料噴射を停止させる等により、エンジン11を停止させ、ステップS206に進む。つまり、エンジンコントローラ30Cは、メインポンプ14を停止させる。
ステップS206にて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン始動条件が成立したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン始動条件が成立していない場合、エンジン始動条件が成立するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン始動条件が成立した場合、ステップS208に進む。
ステップS208にて、エンジンコントローラ30C(第1の制御装置の一例)は、図3AのステップS102の場合と同様、エンジン始動制御を開始する。つまり、エンジンコントローラ30Cは、メインポンプ14を始動させる制御を開始する。
ステップS210にて、ショベルコントローラ30Aは、図3AのステップS104の場合と同様、エンジン11が始動完了したか否かを判定する。つまり、ショベルコントローラ30Aは、メインポンプ14が安定した回転状態に対応する始動完了状態になったか、否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン11が始動完了していない場合、エンジン11が始動完了するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し、エンジン11が始動完了した場合、ステップS212に進む。
ステップS212にて、エンジンコントローラ30Cは、図3AのステップS106の場合と同様、エンジン11の回転数(つまり、メインポンプ14の回転数)を相対的に緩やかに上昇させるように、燃料噴射量を調整しながら、エンジン11の制御を行う。
ステップS214にて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数が電動発電機12による加速アシストを開始する所定の回転数(以下、「アシスト開始回転数」)Nth(<N1)に到達したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数がアシスト開始回転数Nth(所定閾値の一例)に到達していない場合、アシスト開始回転数Nthに到達するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン回転数がアシスト開始回転数Nthに到達した場合、ステップS216に進む。
尚、本ステップにて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数の代わりに、メインポンプ14の回転数がアシスト開始回転数Nthに対応する所定の回転数に到達したか否かを判定してもよい。
ステップS216にて、エンジンコントローラ30C及びHBコントローラ30Bは、図3のステップS114の場合と同様、協調して、加速アシスト制御を開始する。これにより、エンジン11の黒煙の発生を抑制しながら、電動発電機12のアシスト動力によって、エンジン回転数(つまり、メインポンプ14の回転数)を速やかに上昇させることができる。
ステップS218にて、ショベルコントローラ30Aは、図3AのステップS116の場合と同様、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達したか否かを判定する。ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達していない場合、作業用回転数N2に到達するまで待機し(つまり、本ステップの処理を繰り返し)、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達した場合、ステップS220に進む。
尚、本ステップにて、ショベルコントローラ30Aは、エンジン回転数の代わりに、メインポンプ14の回転数が作業用回転数N2に対応する所定の回転数に到達したか否かを判定してもよい。
ステップS220にて、エンジンコントローラ30Cは、図3AのステップS118の場合と同様、エンジン回転数を作業用回転数N2に維持させ、今回の処理を終了する。
[本実施形態の作用]
次に、図4を参照して、本実施形態に係るショベルの作用について説明する。
図4は、エンジン11の始動開始からエンジン回転数が作業用回転数N2に上昇するまでのエンジン回転数の時間変化を示す図である。図4にて、実線、点線、及び一点鎖線は、本実施形態に係るショベルのアイドリングストップ機能によるエンジン11の停止状態から復帰時(以下、「アイドリングストップ復帰時」)、比較例に係るショベルのアイドリングストップ復帰時、及び本実施形態に係るショベルの起動時のそれぞれにおけるエンジン回転数の時間変化を表す。
尚、比較例に係るショベルは、本実施形態に係るショベルと同様、エンジンをアシスト駆動する電動発電機を有する態様であってもよいし、当該電動発電機を有さない態様であってもよい。
<比較例に係るショベルのアイドリングストップ復帰時の動作>
図4(点線)に示すように、時刻t0にて、比較例に係るショベルは、エンジン始動条件の成立に基づき、エンジンの始動を開始している。
その後、時刻t1にて、比較例に係るショベルは、エンジンが始動完了し、エンジン回転数が上昇し始める。そして、時刻t4にて、比較例に係るショベルは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達し、エンジン回転数が作業用回転数N2に維持される。このとき、時刻t1から時刻t4までの期間において、比較例に係るショベルのエンジンは、外部から電動発電機による加速アシストを受けることができない。そのため、燃料噴射量の急増に伴う黒煙の発生を抑制する観点からエンジン回転数の上昇速度は緩やかに制限される。よって、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達する時刻t4が相対的に遅くなってしまうため、オペレータは、直ぐに作業を開始したくても、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達するのを待つ必要が生じてしまう可能性がある。
<本実施形態に係るショベルの起動時における動作>
図4(一点鎖線)に示すように、時刻t0にて、本実施形態に係るショベルは、キースイッチがONされるのに伴い、エンジン11の始動を開始している(図3AのステップS102)。
その後、時刻t1にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン11が始動完了し、エンジン回転数が上昇し始める(図3AのステップS104のYES及びステップS106)。
その後、時刻t5にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン回転数がアイドリング回転数N1に到達すると、エンジン回転数をアイドリング回転数N1に維持する(図3AのステップS108のYES及びステップS110)。
その後、時刻t6にて、本実施形態に係るショベルは、リレー異常検知処理が終了する等し作業開始条件が成立すると、加速アシスト制御を開始し(図3AのステップS114)、エンジン回転数が急上昇し始める。そして、時刻t7にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達すると、エンジン回転数を作業用回転数N2に維持する(図3AのステップS116のYES及びステップS118)。これにより、本実施形態に係るショベルは、作業開始条件の成立後、エンジン回転数を速やかに作業用回転数N2まで上昇させることができる。
<本実施形態に係るショベルのアイドリングストップの復帰時における動作>
図4(実線)に示すように、時刻t0にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン始動条件の成立に伴い、エンジン11の始動を開始している(図3BのステップS208)。
その後、時刻t1にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン11が始動完了し、エンジン回転数が上昇し始める(図3BのステップS210のYES及びステップS212)。
その直後、時刻t2にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン回転数がアシスト開始回転数Nthに到達すると、加速アシスト制御を開始し(図3BのステップS214のYES及びステップS216)、急速にエンジン回転数が上昇し始める。本実施形態に係るショベルは、その起動時と異なり、電気駆動系が既に起動済みであるため、上述のリレー異常検知処理等の起動処理を行う必要が無いからである。そして、時刻t3(<t7<t4)にて、本実施形態に係るショベルは、エンジン回転数が作業用回転数N2に到達すると、エンジン回転数を作業用回転数N2に維持する(図3BのステップS218のYES及びステップS220)。これにより、比較例のショベルでは、上述の如く、アイドリングストップからの復帰時において、エンジン回転数の上昇が制限されるところ、本実施形態に係るショベルは、エンジン11の始動完了後、エンジン回転数を速やかに作業用回転数N2まで上昇させることができる。
また、センサレス制御を用いる場合、エンジン11の回転数が停止状態に近い低速域の場合、上述の拡張誘起電圧モデルを用いるだけでは、電動発電機12の回転角を精度良く推定できない。そのため、例えば、電動発電機12に高周波の信号電流を重畳して印加する既知の方法が採用される。よって、この場合、重畳される高周波の信号電流によるトルク脈動、騒音、及び損失が増加すると共に、電流制限にかかりやすくなるという問題が生じうる。
これに対して、本実施形態では、エンジン11の始動完了後に、換言すれば、エンジン回転数がある程度上昇してから加速アシスト制御が開始される。そのため、本実施形態に係るショベルのインバータ18Aは、高周波の信号電流を重畳して印加する方法を利用せずとも、拡張誘起電圧モデル等を用いて、電動発電機12の回転角を精度良く推定することができる。よって、インバータ18Aは、電動発電機12に高周波の信号電流を重畳して印加する方法を利用せずとも、センサレス制御で電動発電機12に加速アシストを行わせ、アイドリングストップからの復帰時におけるエンジン回転数の速やかな上昇を実現することができる。つまり、自動停止されたメインポンプ14を停止状態から作業開始可能な回転数までより速やかに復帰させることができる。
また、本実施形態に係るショベルは、アイドリングストップからの復帰時において、ショベルの起動時とは異なり、電気駆動系が既に起動済であるため、上述の如く、アイドリング回転数N1よりも低いアシスト開始回転数Nthに到達した時点で、加速アシスト制御を開始できる。よって、本実施形態に係るショベルは、アイドリングストップからの復帰時において、ショベルの起動時よりも更に速やかに、エンジン回転数を作業用回転数に上昇させることができる。
尚、アシスト開始回転数Nthは、例えば、電動発電機12に高周波の信号電流を重畳して印加する方法を用いずとも、センサレス制御として許容可能な精度の電動発電機12の回転角を推定可能な電動発電機12の回転数の下限値として設定されてよい。また、エンジン11の始動完了の時点で、センサレス制御として許容可能な精度の電動発電機12の回転角を推定可能なエンジン回転数に到達する場合、エンジン始動完了の時点で、加速アシスト制御が開始されてもよい。この場合、図3BのステップS212,S214の処理は省略される。また、加速アシスト制御の開始タイミングは、エンジン回転数の代わりに、エンジン11の始動開始からの経過時間に基づき規定されてもよい。つまり、エンジン11の始動開始から上述のアシスト開始回転数Nthに到達するまでの時間、或いは、エンジン11が始動完了するまでの時間に相当する所定時間Tthを用いて、エンジン11の始動開始から所定時間Tthが経過してした場合に、加速アシスト制御が開始される態様であってもよい。
このように、本実施形態に係るショベルは、エンジン11をアシストし、メインポンプ14を駆動する、回転角を検出するセンサを未搭載の電動発電機12と、エンジン11の自動停止(つまり、メインポンプ14の自動停止)を行わせると共に、その後、エンジン11の自動始動(つまり、メインポンプの自動始動)を行わせる、アイドリングストップ機能に関する制御を行うエンジンコントローラ30Cを備える。そして、電動発電機12は、アイドリングストップからの復帰時において、エンジン11(メインポンプ14)の自動始動が完了した後に、エンジン11(メインポンプ14)の加速アシストを開始する。
これにより、本実施形態に係るショベルは、エンジン11(メインポンプ14)の始動完了後に、エンジン回転数(メインポンプ14の回転数)を速やかに上昇させることができる。また、エンジン11の始動完了後のある程度エンジン回転数が上昇した時点から電動発電機12は加速アシストを行うため、回転角を検出するセンサを未搭載の電動発電機12を前提として、センサレス制御が適用される場合であっても、電動発電機12に高周波の信号電流を印加する必要がない。よって、電動発電機12によるエンジン11の加速アシスト時における騒音等の発生を防止することができる。
また、本実施形態に係るショベルは、スタータモータ11stを備える。そして、スタータモータ11stは、エンジン11の自動始動時において、エンジン11の始動アシストを行ってよい。
これにより、スタータモータ11stによりエンジン11の始動が実現され、電動発電機12は、エンジン11が始動完了した後に、エンジン11の加速アシストを開始することができる。
また、本実施形態では、電動発電機12は、エンジン回転数がアシスト開始回転数Nth以上になった場合に、エンジン11の加速アシストを開始する。
これにより、制御装置30は、エンジン11の加速アシストの開始タイミングを具体的に特定し、その開始タイミングに合わせて、インバータ18Aに加速アシスト制御を実行させることができる。
また、本実施形態では、電動発電機12は、ショベルの起動に伴いエンジン11の始動が行われる場合と、アイドリングストップからの復帰の際に自動始動が行われる場合とで、その開始タイミングが異なるように、エンジン11の加速アシストを行う。
これにより、電動発電機12は、アイドリングストップからの復帰時において、ショベルの起動時よりも早いタイミングからエンジン11の加速アシストを行うことができる。
また、本実施形態では、スタータモータ11stは、アイドリングストップからの復帰時において、エンジン11の自動始動時に、相対的に低い助勢度でエンジン11をアシストし、その後、電動発電機12は、相対的に高い助勢度でエンジン11をアシストする。
これにより、スタータモータ11stは、補機バッテリからの相対的に小さい電力でエンジン11を始動させることができると共に、電動発電機12は、エンジン11の始動完了後、キャパシタ19からの相対的に大きな電力で、速やかにエンジン回転数を上昇させることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態において、スタータモータ11stの代わりに、電動発電機12の動力でエンジン11が始動されてもよい。つまり、電動発電機12は、アイドリングストップから復帰する際のエンジン11の自動始動時に、エンジン11の始動アシストを行い、エンジン11の自動始動が完了した後に、エンジン11の加速アシストを行う態様であってよい。これにより、スタータモータ11stの作動をショベルの起動時に限定し、スタータモータ11stの故障発生や故障による交換頻度を抑制することができる。この場合、電動発電機12は、アイドリングストップからの復帰時において、エンジン11の自動始動時に、相対的に低い助勢度でエンジン11をアシストし、その後、相対的に高い助勢度でエンジン11をアシストしてよい。これにより、エンジン11の自動始動時において、回転角や回転位置等が細かく制御されなくとも、過電流が生じないような相対的に低い出力で電動発電機12を運転させることができる。つまり、インバータ18Aは、エンジン11の自動始動時において、電動発電機12の回転角を推定せず、或いは、高周波の信号電流を電動発電機12に印加することなく、相対的に低い精度で電動発電機12の回転角を推定しながら、電動発電機12を制御し、電動発電機12にエンジン11の始動アシストを行わせてよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、メインポンプ14は、その始動時を除き、電動発電機12の動力だけで駆動されてもよい。即ち、上述した実施形態及び変形例において、ショベルは、エンジン11が省略され、蓄電系120の電力だけで駆動される電動ショベルや、エンジン11が発電用途に利用されるシリーズ方式のハイブリッドショベルであってもよい。この場合、制御装置30は、上述した実施形態と同様、メインポンプ14の自動停止からの復帰時に、スタータモータ11stに対応するメインポンプ14の始動用のスタータモータ(以下、「ポンプスタータモータ」)にメインポンプ14の始動アシストを行わせると共に、メインポンプ14の始動完了後、電動発電機12にメインポンプ14の加速アシストを行わせてよい。また、この場合、制御装置30は、上述した変形例と同様、メインポンプ14の自動停止からの復帰時に、相対的に低い助勢度で電動発電機12にメインポンプ14の始動アシストを行わせ、メインポンプ14の始動完了後、相対的に高い助勢度で電動発電機12にメインポンプ14の加速アシストを行わせてもよい。また、この場合、制御装置30は、ショベルの起動時に、電気駆動系の起動を待って、ポンプスタータモータを用いたメインポンプ14の始動を開始してよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、ショベルの代わりに、油圧駆動系の動力源としての電動発電機を備える任意の作業機械(産業用車両、フォークリフト、クレーン等)が適用されてもよい。