JP2016060848A - グラフト重合体及び洗剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
Y−O(CH2CH2O)nH (R2)
(式中Yはフェニル基、nは平均付加モル数であり、2〜200の数である。)
特許文献3には、さらに、上記液体洗浄剤組成物は、保存安定性に優れ、泥再付着防止性能にも優れることが開示されている。
本発明のグラフト重合体は、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位(p)を、所定の範囲で含有することを特徴としている。なお、「本発明のグラフト重合体」には、未反応の下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物も含まれる。
また、別の表現で補足すると、アリール基の水素原子の一部または全部が、芳香族環を有する基で置換されているアリール基をいう。
好ましくは、本発明の重合体の再汚染防止能や疎水成分の分散性がより向上する傾向にあることから、ベンジル化フェニル基(平均ベンジル付加モル数1〜10)、スチレン化フェニル基(平均スチレン付加モル数1〜10)、ナフチル基、アントラセニル基から選ばれる一種以上であり、更に好ましくは、ベンジル化フェニル基(平均ベンジル付加モル数1〜5)、スチレン化フェニル基(平均スチレン付加モル数1〜5)、ナフチル基、アントラセニル基から選ばれる一種以上であり、特に好ましくは、スチレン化フェニル基(平均スチレン付加モル数1〜3)であり、最も好ましくはスチレン化フェニル基(平均スチレン付加モル数2)である。
上記一般式(1)において、qはZの繰り返し数を表す。qは、1〜19が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、5〜12が一層好ましく、5〜10が特に好ましい。
qの値が前述の範囲であった場合、本発明のグラフト重合体の優れた特徴であるカーボンブラック分散能、クレー分散能及び再汚染防止能が向上するため好ましい。
上記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド等が例示される。
上記アルコールとしては、たとえば、ベンジル化フェノール、スチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール、フェノキシ化フェノール、ビスフェノール、ベンジル化ナフトール、スチレン化ナフトール、ナフトール、アントラセノール等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
なお、スチレン化フェノールとは、一般に、スチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノールの3種の混合物を総称することもある。
本発明の重合体は、カルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)を、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位との合計100質量%に対して10質量%以上、60質量%以下有している。より好ましくは25〜60質量%であり、更に好ましくは30〜60質量%であり、最も好ましくは35〜60質量%である。
上記カルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)の質量割合(質量%)を計算するときは、酸型換算で計算する。酸型換算とは、カルボン酸系単量体に由来する構造単位がカルボキシル基の塩を含む場合、対応する酸として計算することを言う。具体的には、カルボン酸系単量体に由来する構造単位がアクリル酸ナトリウムに由来する構造単位である場合、対応する酸であるアクリル酸に由来する構造単位として計算する。
本発明においてカルボン酸系単量体(単量体(A)ともいう)とは、カルボキシル基を有する単量体であり、本発明のグラフト重合体は、カルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)を必須とするグラフト重合体である。
上記カルボン酸系単量体は、1)不飽和二重結合と、2)カルボキシル基及び/又はその塩を必須として含有する単量体である。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等の、不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等の不飽和モノカルボン酸系単量体;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、2−メチレングルタル酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩等のジカルボン酸系単量体が挙げられる。
ジカルボン酸系単量体としては、分子内に1つの不飽和基と2つのカルボキシル基とを有する単量体であればよいが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩(有機アミン塩)等、又は、それらの無水物が好ましい。
金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の一価の金属の塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属の塩;アルミニウム、鉄等の塩等が挙げられる。
また、上記有機アミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;モノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;エチレンジアミン塩、トリエチレンジアミン塩等のポリアミン等の有機アミンの塩が挙げられる。
これらのうち、得られるグラフト重合体のカーボンブラック分散能、クレー分散能及び再汚染防止能の向上効果が高いことから、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
本発明のグラフト重合体は、構造単位(a)を1種のみ有していてもよいが、2種以上の構造単位(a)を有してもよい。
本発明のグラフト重合体を洗剤組成物に含有させて使用する場合、構造単位(a)を上述した特定の割合で含有することにより、グラフト重合体の水溶性が良好になり、構造単位(p)と相互作用して、優れたカーボンブラック分散能、優れたクレー分散能及び優れた再汚染防止能を発揮することが可能となる。
本発明のグラフト重合体は、その他の単量体に由来する構造単位(e)を上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位との合計100質量%に対して0質量%以上、30質量%以下有している。より好ましくは0〜25質量%であり、更に好ましくは0〜20質量%である。
上記その他の単量体に由来する構造単位(e)の質量割合(質量%)を計算するときは、酸基を有する場合は、酸型換算で計算し、アミノ基を有する場合にはアミン換算で計算する。アミン換算とは、その他の単量体に由来する構造単位がアミノ基の塩を含む場合、対応するアミンとして計算することを言う。具体的には、その他の単量体に由来する構造単位(e)がビニルアミンの塩酸塩に由来する構造単位である場合、対応するアミンであるビニルアミンに由来する構造単位として質量割合を計算する。
その他の単量体に由来する構造単位(e)が上記範囲内を超えた場合、グラフト重合体のカーボンブラック分散能、クレー分散能及び再汚染防止能が低下する傾向にある為、好ましくない。
また、上記他の単量体(E)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明のグラフト重合体は、酸量が上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位の合計に対して1〜60質量%であることが好ましい。酸量が上記範囲内であれば、無機粒子の分散性が向上する傾向にある。上記酸量は、後述する実施例に記載した方法により測定した数値である。
本発明のグラフト重合体の重量平均分子量は、各用途における所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のグラフト重合体の重量平均分子量は、具体的には、好ましくは400〜50000であり、より好ましくは500〜30000であり、さらに好ましくは1000〜20000であり、特に好ましくは1000〜15000であり、最も好ましくは1200〜9000である。この重量平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この重量平均分子量の値が小さすぎると、カーボンブラック分散能、クレー分散能及び再汚染防止能が低下する傾向にある。なお、本発明の重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
本発明のグラフト重合体組成物は、本発明のグラフト重合体を必須に含む。この他、未反応の酸基含有不飽和単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物等の重合反応の原料残渣や副生成物が含まれうる。
なお、本発明の重合体とは、単量体と上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物との共重合体および(未反応の)上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物からなる。
本発明の重合体組成物は、必要に応じて溶剤を含む。溶剤としては、水を必須として含むものが好ましく、水であることがより好ましい。本発明のグラフト重合体組成物が水等の溶剤を含む場合の溶剤の含有量は、取扱い性の観点から、グラフト重合体組成物100質量%に対して、10質量%〜99質量%であることが好ましい。
本発明のグラフト重合体組成物は、グラフト重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量が1〜50質量%であることが好ましい。上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量が上記範囲であることにより、保存安定性(特に水溶液として保存した場合の分離安定性)が良好なものとなる。
グラフト重合体組成物(固形分換算)100質量%に対する、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量は5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。
なお、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物とカルボン酸系単量体との共重合体は、「上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物」には該当しないものとする。
本発明において、グラフト重合体(組成物)の製造方法については特に言及する場合を除き、特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照することにより、製造可能である。好ましくは、本発明のグラフト重合体は、重合開始剤および上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の存在下で、単量体を重合する工程を必須として製造される。より好ましくは、溶媒の存在量を制限して重合する形態、具体的には、実質的に塊状重合(バルク重合)の形態や、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下で重合が行われる。この場合、塊状重合(バルク重合)に関する従来公知の知見が適宜参照され、さらに必要に応じて改良されうる。
より好ましくは、前記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物が50〜74質量%であり、カルボン酸系単量体が26〜50質量%である。
更に好ましくはポリオキシアルキレン系化合物が55〜72質量%であり、カルボン酸系単量体が28〜45質量%である。
最も好ましくはポリオキシアルキレン系化合物が60〜71質量%であり、カルボン酸系単量体が29〜40質量%である。
上記重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。
本発明のグラフト重合体の製造における上記有機過酸化物の使用量は、使用する全単量体100質量%に対して、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは2〜12質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
本発明のグラフト重合体の製造において、上記有機過酸化物に加え、他の重合開始剤を使用しても良い。他の重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物等が例示される。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の一部または全部を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始することが好ましい。上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物を幹とするグラフト重合が進行しやすくなる観点から、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の使用量の全量を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始することが特に好ましい。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法において、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の使用量は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物と全単量体(カルボン酸系単量体、その他の単量体)の使用量の合計の質量100質量%に対して、50質量%以上、90質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは55質量%以上、85質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上、80質量%以下である。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法において、重合温度は、100℃以上、150℃以下に設定することが好ましい。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法において、重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜300分である。なお、本発明において、「重合時間」とは上記の通りである。
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
上記の通り、溶媒の使用量は、反応系の全量に対して好ましくは10質量%以下である。溶媒の使用量は、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下であり、得られるグラフト重合体のグラフト率が向上する観点からは、最も好ましくは実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、グラフト重合時に積極的に溶媒を添加しない形態を意味し、不純物程度の溶媒の混入は許容されうることを意味する。
一方で、重合反応を有機溶剤のリフラックス下で実施することにより、反応器内の壁面や上部にゲル状付着物が付着するのを抑制することが可能となる。そのような観点からは、少量の有機溶剤を使用することが好ましい。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法は、上述した重合開始剤に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。
重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明のグラフト重合体(組成物)の製造方法は、単量体を重合する工程(重合工程)の他に、熟成工程を設けても良い。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、水処理剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、繊維処理剤、分散剤、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、洗剤組成物等として用いられうる。
本発明のグラフト重合体(または重合体組成物)は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
本発明のグラフト重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体(または重合体組成物)を含む。
本発明のグラフト重合体(またはグラフト重合体組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
上記無機顔料分散剤中における、本発明のグラフト重合体の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100質量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100質量部に対して、0.05〜2.0質量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
本発明のグラフト重合体(組成物)は、洗剤組成物にも添加しうる。
本発明のグラフト重合体(組成物)は、上述した重合体を含むが、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、当該グラフト重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
グラフト重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
GPCの測定条件:
装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:ジーエルサイエンス株式会社製 Polyethylene Oxide STANDARD
溶離液:0.1M酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=75/25(wt/wt)。
重合体組成物(固形分換算)中のグラフト重合体の含有量(質量%)=グラフト体収率とした。すなわち、重合体組成物の固形分の質量に対する、重合体組成物に含まれるグラフト重合体の質量の割合であり、以下の式で算出する。なお、重合体組成物の全質量を100%とする。また、重合体組成物の全質量とは固形分の質量に等しい。
100(%)−(重合体組成物中の未反応ポリオキシアルキレン化合物含有量(%)+重合体組成物中の固形物中の単量体含有量(%))
<残存単量体の測定>
残存単量体量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて定量した。
GPC装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:UV
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:ジーエルサイエンス株式会社製 Polyethylene Oxide STANDARD
溶離液:0.1M酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=75/25(wt/wt)。
測定波長:210nm
<構造単位(p)と構造単位(a)、構造単位(e)の質量比の計算方法>
構造単位(a)のグラフト重合体中の質量比(質量%)とは構造単位(a)のグラフト重合体中の質量の割合であり、以下の式で算出する。
構造単位(a)の仕込み組成比(%)×構造単位(a)の反応率(%)÷グラフト体収率(%)
構造単位(e)および構造単位(p)のグラフト重合体中の質量比(%)は、上記式と同様にして求められる。
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンでグラフト重合体組成物(グラフト重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
(1)グリシン67.6g、塩化ナトリウム52.6g、1mol/LのNaOH水溶液60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝液を調製した。
(2)塩化カルシウム2水和物0.082g、(1)で調製したグリシン緩衝液60.0gに純水を加えて1000gとし、分散液を調製した。
(3)固形分換算で0.1%の重合体組成物水溶液を調製した。
(4)約30cc容量の一般的な試験管に、カーボンブラック(洗濯科学協会より入手)0.1g、(2)の分散液を27g、(3)の重合体水溶液を3gを添加した。この時、試験液のカルシウム濃度は炭酸カルシウム換算で50ppmとなっていた。
(5)試験管をゴム栓で密封した後、上下に60回振った。この試験管を直射日光の当たらないところに20時間静置した後、分散液を目視にて観察した。
(6)20時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所、UV−1200;1cmセル、波長380nm)で吸光度を測定した。
(1)グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、NaOH2.4gに純水を加え、600gとした(これをバッファーとする)。
(2)バッファー60gに塩化カルシウム二水和物0.082gを加え、更に純水を加え、1000gとした(これをバッファーとする)。
(3)試験管(IWAKI GLASS製:直径18mm、高さ180mm)にJIS11種クレー0.3gを入れた後、測定対象の共重合体の0.1重量%水溶液(固形分重量換算)3gと、バッファーを27g加え、密封した。
(4)試験管を振り、クレーを分散させた。その後、試験管を暗所に20時間静置した。20時間後、分散液の上澄みを5cc取り、UV分光器(島津製作所、UV−1200;1cmセル、波長380nm)で吸光度を測定した。
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業株式会社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物11.0gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。
(4)ターゴットメーターを28℃にセットし、硬水1Lおよび界面活性剤水溶液5g、固形分換算で5.0%の重合体組成物水溶液1g、カーボンブラック1.0gをポットに入れ、150rpmで1分間攪拌した。その後、白布5枚を入れて100rpmで10分間攪拌した。
(5)手で白布の水を切り、28℃にした硬水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌した。これを2回行った。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白色度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下記数式2により再汚染防止率を求めた。なお、再汚染防止率が高いほど、再汚染防止能に優れることを意味する。
再汚染防止率は、以下の式で算出する。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)÷(原白布の白色度)×100
<実施例1>
温度計、SUS4枚羽根の攪拌機、還流冷却器を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール707(株式会社日本乳化剤製;ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド7モル付加物)147.8gを仕込み、窒素を吹き込みながら128℃まで昇温し、30分間維持した。次に、ジ−t−ブチルパーオキシド(以下、PBDとも称する)3.80gを190分間、100%アクリル酸(以下、AAとも称する)63.3gをPBD滴下開始20分後から210分間にわたって別々に連続的に滴下した。100%AA滴下終了後、60分間128℃で攪拌し(熟成)、熟成終了後に水希釈し本発明の重合体組成物(1)を得た。重合体組成物(1)に含まれる重合体の重量平均分子量は1700、固形分は76.0%であった。
また、重合体組成物(1)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。結果を表1に示す。
温度計、SUS4枚羽根の攪拌機、還流冷却器を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール707(株式会社日本乳化剤製;ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド7モル付加物)141.9gと無水マレイン酸20.3gを仕込み、窒素を吹き込みながら128℃まで昇温し、30分間維持した。次にPBD 3.04gを190分間、100%AA 40.5gをPBD滴下開始20分後から180分間にわたって別々に連続的に滴下した。100%AA滴下終了後、60分間128℃で攪拌し(熟成)、熟成終了後に水希釈し本発明の重合体組成物(2)を得た。重合体組成物(2)に含まれる重合体の重量平均分子量は1600、固形分は78.0%であった。
また、重合体組成物(2)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してアクリル酸が0ppmであり、マレイン酸が4500ppmであった。結果を表1に示す。
温度計、SUS4枚羽根の攪拌機、還流冷却器を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール710(株式会社日本乳化剤製;ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物)147.8gを仕込み、窒素を吹き込みながら128℃まで昇温し、30分間維持した。次に、PBD 3.80gを190分間、100%AA 63.3gをPBD滴下開始20分後から180分間にわたって別々に連続的に滴下した。100%AA滴下終了後、60分間128℃で攪拌し(熟成)、熟成終了後に水希釈し本発明の重合体組成物(3)を得た。重合体組成物(3)に含まれる重合体の重量平均分子量は2400、固形分は75.3%であった。
また、重合体組成物(3)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。結果を表1に示す。
温度計、SUS4枚羽根の攪拌機、還流冷却器を備えた容量500mlのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール710(株式会社日本乳化剤製;ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド10モル付加物)141.9gと無水マレイン酸20.3gを仕込み、窒素を吹き込みながら128℃まで昇温し、30分間維持した。次に、PBD 3.04gを190分間、100%AA 40.5gをPBD滴下開始20分後から180分間にわたって別々に連続的に滴下した。100%AA滴下終了後、60分間128℃で攪拌し(熟成)、熟成終了後に水希釈し本発明の重合体組成物(4)を得た。重合体組成物(4)に含まれる重合体の重量平均分子量は1600、固形分は72.4%であった。
また、重合体組成物(4)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してアクリル酸が0ppmであり、マレイン酸が4000ppmであった。結果を表1に示す。
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、重量平均分子量1300のジスチレン化フェノキシポリエチレングリコール(ジスチレン化フェノールにエチレンオキサイド平均20モル付加させて得られたもの。以下、DSPH200と称す。)192.0質量部を仕込んだ。仕込物を窒素気流下、加熱して溶解させ、攪拌下128℃まで昇温した。次に温度を128℃に保ちながら、パーブチルI(tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート75%含有、日本油脂株式会社製。以下、PBIと称す。)7.5質量部を250分にわたって連続的に滴下した。PBIの滴下を開始してから20分後にアクリル酸64.0質量部を240分にわたって滴下した。アクリル酸の滴下が終了してからさらに55分間攪拌を続けて重合体を得た。
得られた重合体にイオン交換水137.8質量部を添加したのち、35%H2O2(ADEKA製)1.05質量部を添加して、50〜70℃で30分熟成することにより、本発明の重合体を含む比較例重合体組成物(1)を得た。得られた重合体組成物の重量平均分子量は9800であった。
また、比較例重合体組成物(1)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、DSPH200を192.0質量部、マレイン酸12.8質量部、イソプロピルアルコール1.1質量部を仕込んだ。仕込物を窒素気流下、加熱して溶解させ、攪拌下128℃まで昇温した。次に温度を128℃に保ちながら、パーブチルI(tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート75%含有、日本油脂株式会社製。以下、PBIと称す。)7.5質量部を250分にわたって連続的に滴下した。PBIの滴下を開始してから20分後にアクリル酸51.2質量部を240分にわたって滴下した。アクリル酸の滴下が終了してからさらに55分間攪拌を続けて重合体を得た。
得られた重合体にイオン交換水137.8質量部を添加したのち、35%H2O2(ADEKA製)1.05質量部を添加して、50〜70℃で30分熟成することにより、本発明の重合体を含む比較例重合体組成物(2)を得た。得られた重合体組成物の重量平均分子量は6900であった。
また、比較例重合体組成物(2)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してマレイン酸が40ppmであり、アクリル酸が150ppmであった。
比較例1においてDSPH200を重量平均分子量2100のジスチレン化フェノキシポリエチレングリコール(ジスチレン化フェノールにエチレンオキサイド平均40モル付加させて得られたもの。以下、DSPH400と称す。)に変更したほかは合成例1と同様にして比較例重合体組成物(3)を得た。
得られた重合体組成物の重量平均分子量は19000であった。
また、比較例重合体組成物(3)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。
比較例2においてDSPH200をDSPH400に変更したほかは比較例2と同様にして比較例重合体組成物(4)を得た。
得られた重合体組成物の重量平均分子量は13500であった。
また、比較例重合体組成物(4)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してマレイン酸が100ppmであり、アクリル酸が140ppmであった。
上記結果から、本発明のグラフト重合体は従来の重合体と比較して、疎水性汚れと親水性汚れの両方に対する分散性に優れると共に、良好な再汚染防止能を有することが明らかとなった。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位(p)、及び、カルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)とを
必須として有する重合体であり、
前記構造単位(p)に含まれるオキシアルキレン基の繰り返し単位qが1〜19の整数であるグラフト重合体。
- 重量平均分子量が、400〜50000である請求項1に記載のグラフト重合体。
- 前記一般式(1)中のRが、二つ以上の芳香族環を有する炭素数10〜40のアリール基である請求項1または請求項2に記載のグラフト重合体。
- 前記一般式(1)中のRが、ベンジル化フェニル基(平均ベンジル付加モル数1〜5)、スチレン化フェニル基(平均スチレン付加モル数1〜5)、ナフチル基、アントラセニル基から選ばれる一種以上である請求項1〜3のいずれか一つに記載のグラフト重合体。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載のグラフト重合体を含む洗剤組成物。
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