JP2016060705A - 1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1,6−ヘキサンジオールの工業的製造に適した、低い酸価、移送時及び水素還元時の温度において低粘度、並びに低い平均分子量を有する1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物とを、[OH]/[COOH]が1.1〜2.0([COOH]は有機酸混合物中に含まれるモノカルボン酸やジカルボン酸のカルボキシル基のモル数を、[OH]は水素還元物中に含まれるモノアルコールやジオールのヒドロキシル基のモル数を示す。)となるように混合し、混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応させることを特徴とする、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法に関する。1,6−ヘキサンジオール前駆組成物は、水素還元することにより1,6−ヘキサンジオールへ変換できる。
従来、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物は、例えば、以下の方法により製造されることが知られている。
特許文献1には、シクロヘキサンの空気酸化によって得られた液相酸化反応液(アジピン酸やヒドロキシカプロン酸などを含有)と水酸化ナトリウム水溶液とを接触させて、当該有機酸をナトリウム塩として水相に抽出した後、得られた水溶液に硫酸を加えて中和し、中和後の反応液にメチルイソブチルケトンを加えて抽出することにより、カルボン酸混合物を含有する有機溶媒溶液を得、次いで、前記溶液を濃縮した後、1,6−ヘキサンジオールの水溶液と混合して、常圧下、200〜260℃でエステル化することにより、アジピン酸エステルの含有率が34.7質量%、ヒドロキシカプロン酸エステルの含有率が40.5質量%であり、更に、酸価が3.1mgKOH/gであるエステル化物の液状混合物を得たことが開示されている(実施例1)。
特許文献2及び3には、常法で製造されたカルボン酸混合物(水溶液)を、特許文献1の実施例1に記載されている方法により調整された水素化分解用反応液によりエステル化して、酸価が0.8mgKOH/gであるエステル化物を得たことが開示されている(いずれも実施例の前段部)。
特許文献4には、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸及び水を含有する溶液と、粗製1,6−ヘキサンジオールとを、220℃、1〜1.4バール(絶対圧力)でエステル化することによって、酸価がSZ(SZの意味は不明)10mg未満KOH/gになるまでエステル化を行った後、低沸点成分を留去することによってカルボン酸誘導体及びジオールからなるエステルを主に含有するオリゴマー混合物を得たことが開示されている(実施例)。
なお、本文献には、段落番号0088に酸価の好適な範囲が記載されてあるが、「特に有利に5〜10mgKOH/g」との記載があることから、5mgKOH/gであると考えるのが相当である。
特許文献5には、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸及び水を含有し、部分的にオリゴマーの形のジカルボン酸溶液(DCL)と、1,6−ヘキサンジオールとを混合し、220℃、1〜1.4バール(絶対圧力)でエステル化することによって、酸価が6mgKOH/gになるまでエステル化を行った後、低沸点成分を留去することによってカルボン酸誘導体及びジオールからなるエステルを主として含有するオリゴマー混合物を得たことが開示されている(実施例)。
特開平3−115237号公報 特開平7−165643号公報 特開平7−233108号公報 特表2012−523386号公報 特表2013−537882号公報
しかしながら、特許文献1〜3の方法においては、効率良くカルボン酸混合物を抽出するために、多量の有機溶媒を使用しなければならないという問題があった。
また、いずれの場合においても、酸価が5mgKOH/gがそれ以上であった。そのため、依然として、当該エステル組成物を用いた水素還元による1,6−ヘキサンジオールの製造において、触媒の急激な劣化の原因となったり、製造装置内壁の腐食の原因となるなどの問題を有していた。
一方で、本発明者らは、1,6−ヘキサンジオールの工業的な製造に関して以下の課題を新たに見出した。
即ち、続く水素還元工程(ジオールの製造工程)において、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物(エステル化物)を移送する必要があるため、移送する際の温度(200〜210℃)において当該組成物の粘度を可能な限り低く抑えなければならないという課題を見出した。
また、水素還元工程において、十分な水素流通(バブリング)及びスムーズな攪拌を行うため、水素還元させる際の温度(240〜250℃)において、当該組成物の粘度を可能な限り低く抑えなければならないという課題を見出した。
更には、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物(エステル化物)の大半はオリゴマーとなっているが、その平均分子量を低くして、水素還元に影響を与えない前駆組成物を得る必要性をも見出した。
上記課題は、いずれも低い酸価を維持しながら達成すべき課題であることを新たに認識したものである。
本発明の課題は、上記問題点を解決し、1,6−ヘキサンジオールの工業的製造に適した、低い酸価、移送時及び水素還元時の温度において低粘度、並びに低い平均分子量を有する1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、
1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物
とを、
[OH]/[COOH]が1.1〜2.0
([COOH]は有機酸混合物中に含まれるモノカルボン酸やジカルボン酸のカルボキシル基のモル数を、[OH]は水素還元物中に含まれるモノアルコールやジオールのヒドロキシル基のモル数を示す。)
となるように混合し、
混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応させることを特徴とする、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法によって解決される。
本発明により、1,6−ヘキサンジオールの製造の工業的製造に最適な1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法を提供することができる。
本発明の水素還元物を循環利用する際のフロー図である。 実施例3において使用した製造装置の模式図である。
本発明の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物は、アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物とを混合し、混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応(以下、エステル化反応と称することもある)させることによって製造される。
エステル化反応において、カルボキシル基とヒドロキシル基との反応は、副生成物として水が生じさせる平衡反応である。下記にアジピン酸1分子と1,6−ヘキサンジオール2分子との反応を示す。
Figure 2016060705
そのため、水を反応液から除去しなければ逆反応が起こってしまい、目的とするエステルが十分に得られない。本発明の場合、逆反応が起こると、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物(エステル混合物)の酸価が高くなってしまうという問題があった。
一方で、水の除去を完全に行う、又は高濃度の基質で反応を行うと、エステル化が極めて素早く進行してしまい、エステル単量体でとどまることなく、オリゴマー(エステル多量体)まで反応が進行してしまうという問題もあった。
Figure 2016060705
(式中、nは繰り返し単位を示す。)
オリゴマーが多量に生じてしまうと、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物(エステル混合物)の平均分子量が向上してしまい、続く水素還元による1,6−ヘキサンジオールの製造に影響を与える蓋然性がある。
また、当該組成物の粘度が高くなると、先に述べた通り、移送や水素還元時の攪拌に悪影響を及ぼす蓋然性がある。
以上のように、液中の水の含有率が高くなると酸価が高くなり、水の含有率が低くなるとオリゴマー化が促進されるように、両者はトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係)にあるため、液中の水の含有率を細かく管理する必要がある。
従って、本発明のように「混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応」させることによって、酸価の上昇と、平均分子量の増大、高粘度化を抑えることができる。
(有機酸混合物)
本発明の有機酸混合物は、アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸を主成分とするものであり、28〜34質量%のアジピン酸、30〜43質量%ヒドロキシカプロン酸を含むが、その大半はオリゴマーとして存在している。
なお、前記オリゴマーは、例えば、アジピン酸を起源とするユニット(下記の左式)や、ヒドロキシカプロン酸を起源とするユニット(下記の右式)からなるオリゴマーが大半を占める。
Figure 2016060705
前記有機酸混合物は、それぞれの成分を混合して調製しても良いが、例えば、特許文献1に記載の方法により、シクロヘキサンの空気酸化によって得られた液相酸化反応液から水抽出したものを使用するのが経済的な観点から望ましい。
この場合には、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸及びそれらのオリゴマー以外にも、例えば、グルタル酸、コハク酸などのジカルボン酸;カプロン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ブタン酸などのモノカルボン酸;ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシブタン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;ホルミルペンタン酸、ホルミルブタン酸などのホルミルモノカルボン酸のようなカルボン酸成分を含む。
また、中性成分として、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンなどを含んでいても良く、前記のジカルボン酸やヒドロキシモノカルボン酸は、オリゴマーとして存在している場合もある。
本発明の有機酸混合物の水分含有率は、好ましくは0.01〜4.0質量%、更に好ましくは0.05〜3質量%である。この範囲とすることで、有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールとを混合して得られる混合液中の水分含有率を適正な範囲にコントロールすることができる。
本発明の有機酸混合物の酸価は、好ましくは300〜500mgKOH/g、更に好ましくは370〜430mgKOH/gである。
前記有機酸混合物の融点は、好ましくは70〜85℃、更に好ましくは75〜80℃である。
(水素還元物)
本発明の水素還元物は、1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物(以下、水素還元物と称することもある)であり、アジピン酸エステル、ヒドロキシカプロン酸エステルや、それらの酸のオリゴマーエステルを含むカルボン酸エステル混合物を水素還元したものである。
前記水素還元物は、工業的な観点から本発明の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の水素還元反応によって得られた1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物が好適に使用される。なお、水素還元物の大半は、1,6−ヘキサンジオールの精製に付されるため、前記水素還元物は全水素還元物の一部を循環して使用される。
また、前記水素還元後、必要に応じて低沸点成分の除去を行っても良く、それにより当該混合物の組成が大きく変化することはない。なお、純粋な1,6−ヘキサンジオールをそのまま用いることができる。
本発明で使用する水素還元物には、前記水素還元反応によって得られた1,6−ヘキサンジオールのみならず、グルタル酸エステルやヒドロキシペンタン酸エステル由来の1,5−ペンタンジオールや、コハク酸エステル、ヒドロキシブタン酸エステル由来の1,4−ブタンジオールなどを含んでいても良い。
前記水素還元物中の1,6−ヘキサンジオールの含有率は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上である。この範囲とすることで、1,6−ヘキサンジオールの生産性が高く維持される。
水素還元物中の水分含有率は、好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。この範囲とすることで、有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールとを混合して得られる混合液中の水分含有率を適正な範囲にコントロールすることができる。
(有機酸混合物と水素還元物とからなる混合液)
有機酸混合物と水素還元物とからなる混合液は、有機酸混合物と水素還元物とを混合することによって生成させるが、例えば、有機酸混合物と水素還元物とを、それぞれ同一反応器に供給することによって行われる。
前記混合液において、有機酸混合物と水素還元物との混合割合は、
有機酸混合物中に含まれるモノカルボン酸やジカルボン酸のカルボキシル基のモル数を[COOH]、
水素還元物中に含まれるモノアルコールやジオールのヒドロキシル基のモル数を[OH]とした場合において、
[OH]/[COOH]を、好ましくは1.1〜2.0、更に好ましくは1.2〜1.8となるように供給、混合する。
このときのカルボキシル基及びヒドロキシル基のモル数は、水酸化カリウムを用いた中和滴定法や電位差滴定法により測定することができる。
有機酸混合物や水素還元物の供給速度は、混合容器の大きさにも依存するが、前記の[OH]/[COOH]の範囲を満たすものであり、かつ混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持できるものならば特に制限されないが、
有機酸混合物の供給量は、好ましくは1100〜1500L/h、更に好ましくは1200〜1400L/h、
水素還元物の供給量は、好ましくは1000〜1400L/h、更に好ましくは1100〜1300L/hである。
(前駆混合物(エステル混合物)の合成)
本発明の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物(エステル混合物)は、例えば、前記の混合溶液を、好ましくは200〜300℃、更に好ましくは220〜280℃に加熱して、混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応させるなどの方法よって行われる。その際の圧力は特に制限されないが、自己圧がかかる場合には耐圧容器で行うのが望ましい。
前記反応において多量の水が発生するが、不活性ガス(例えば、窒素など)を流通させながら水を水蒸気として同伴させて除きつつ、上記水分含有率を維持させることもできる。また、有機酸混合物や水素還元物に含まれていた低沸点成分、副生した低沸点成分を除去しながら反応を行うことが望ましい。
得られたエステル混合物は、本発明の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物であり、以下の物性値を有するものである。
本発明における前駆組成物の酸価は2mgKOH/g以下であるが、より好ましくは1mgKOH/g以下である。この範囲とすることで、次の水素還元(ジオールの製造工程)で使用する触媒の急激な劣化や、製造装置内の腐食を制御することができる。
本発明における前駆組成物の200℃及び250℃における粘度は、回転式粘度計を用いて推算した。
例えば、50〜150℃における複数の粘度を測定し、それらから温度依存性を考慮した近似式を算出することで、200℃及び250℃における粘度を推算できる。
200℃における粘度の推算値は20cp以下、より好ましくは15cP以下である。この範囲とすることで、前駆組成物の移送が容易となる。
250℃における粘度の推算値は15cP以下、より好ましくは10cP以下である。この範囲とすることで、水素還元工程において、十分な水素流通(バブリング)及びスムーズな攪拌を行うことができる。
なお、灯油の20℃における粘度が10であり、この粘度と同等又はそれ以下であれば、移送や水素還元の際の攪拌がスムーズに行える。
本発明における前駆組成物の分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値であり、2000以下であるが、より好ましくは1800以下である。この範囲とすることで、水素還元反応がスムーズに進行する。
なお、本発明においては「混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応」させるため、前記前駆組成物の水分含有率も、通常、0.01〜0.2質量%にある。
(水素還元反応)
本発明の水素還元反応は、前記の前駆組成物を、水素雰囲気にて触媒と接触させるなどの一般的な方法によって行うことができる。
水素還元反応で使用する触媒としては、エステル基をヒドロキシル基に変換できる触媒ならば特に限定されないが、好ましくは銅を含有する固体触媒であり、具体的には、例えば、酸化銅−酸化亜鉛触媒、酸化銅−酸化クロム触媒、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム触媒、酸化銅−酸化亜鉛−酸化チタン触媒、酸化銅−酸化鉄−酸化アルミニウム触媒、酸化銅−酸化ケイ素触媒などが挙げられるが、酸化銅−酸化亜鉛触媒、酸化銅−酸化クロム触媒が好適に使用される。なお、これらの触媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、その形態は特に限定されず、粉末、顆状、錠剤などの形態から適宜選択できる。
前記触媒の使用量は、前駆組成物に対して、好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の水素還元反応は、例えば、前駆組成物と固体触媒とを混合し、水素雰囲気にて加熱攪拌するなどの方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは100〜350℃、更に好ましくは200〜300℃であり、反応圧力は1〜35MPa、更に好ましくは5〜30MPaである。
本発明の好ましい実施態様としては、1,6−ヘキサンジオールを含有する水素還元物を循環利用する方法が挙げられる(図1)。
(1)有機酸混合物と水素還元物(1,6−ヘキサンジオールを含有)を混合する。
(2)前記の混合液を用いてエステル化反応を行い、前駆組成物を製造する。
(3)前駆組成物を水素還元反応して1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物を得る。
(4)前記水素還元物の一部を循環させて、有機酸混合物との混合液(1)に使用する。
それ以外の1,6−ヘキサンジオールは精製することによって、不純物が低減された製品とする。
この方法により、工業的な生産規模に適した1,6−ヘキサンジオールの製造方法を提供することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、粘度及び分子量の測定は、下記の機器を使用した。
粘度;ブルックフィールド社製 デジタル粘度計(型式DV−II+Pro)
分子量;東ソー社製 HLC−8020
実施例1A(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造)
内容積1Lのガラス製容器に、下記組成の有機酸混合物369g、及び下記組成の水素化物283gを混合した([OH]/[COOH]=1.7)。
(有機酸混合物)
アジピン酸;28質量%
ヒドロキシカプロン酸;35質量%
水;0.1質量%
(水素還元物)
1,6−ヘキサンジオール;64質量%
1,5−ペンタンジオール;11質量%
水;1.0質量%
次いで、窒素を流通させながら240℃まで昇温して低沸点成分を除去しつつ、混合液中の水分含有率が0.01〜0.2質量%の範囲となるまで4.5時間反応させた。
反応終了後、得られた反応液(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物)は、以下の物性で示される新規な組成物であった。
酸価;0.5mgKOH/g
200℃における粘度;4.1cP
250℃における粘度;2.7cP
平均分子量;920
実施例1B(1,6−ヘキサンジオールの製造)
内容積200mLのオートクレーブに、実施例1Aで得られた組成物120g、及び酸化銅−酸化亜鉛触媒1質量%(組成物に対して)を加え、水素雰囲気にて、攪拌しながら245℃、27MPaで5時間反応させた。
なお、エステル化反応器から水素還元反応器への前記組成物の移送、供給、及び水素還元時の攪拌・対流はスムーズに行われた。
反応終了後、得られた反応液を分析したところ、1,6−ヘキサンジオールの反応収率は97%であった(有機酸中のアジピン酸、及びヒドロキシカプロン酸基準)。
実施例2A(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造)
内容積1Lのガラス製容器に、下記組成の有機酸混合物391g、及び下記組成の水素化物310gを混合した([OH]/[COOH]=1.7)。
(有機酸混合物)
アジピン酸;26質量%
ヒドロキシカプロン酸;32質量%
水;0.1質量%
(水素還元物)
1,6−ヘキサンジオール;57質量%
1,5−ペンタンジオール;9質量%
水;1.0質量%
次いで、窒素を流通させて低沸点成分を除去しつつ、混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら、250℃まで昇温して5時間反応させた。
反応終了後、得られた反応液(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物)は、以下の物性で示される新規な組成物であった。
酸価;0.5mgKOH/g
200℃における粘度;9.2cP
250℃における粘度;5.7cP
平均分子量;1290
実施例2B(1,6−ヘキサンジオールの製造)
内容積200mLのオートクレーブに、実施例2Aで得られた組成物120g、及び酸化銅−酸化亜鉛触媒1質量%(組成物に対して)を加え、水素雰囲気にて、攪拌しながら245℃、27MPaで5時間反応させた。
なお、エステル化反応器から水素還元反応器への前記組成物の移送、供給、及び水素還元時の攪拌・対流はスムーズに行われた。
反応終了後、得られた反応液を分析したところ、1,6−ヘキサンジオールの反応収率は94%であった(有機酸中のアジピン酸、及びヒドロキシカプロン酸基準)。
実施例3A(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造)
反応は図2で示される装置を用いた。
下記組成の有機酸混合物を1300L/h、及び下記組成の水素化物を1220L/hでエステル化反応器に供給して混合した([OH]/[COOH]=1.4)。
(有機酸混合物)
アジピン酸;32質量%
ヒドロキシカプロン酸;32質量%
水;0.08質量%
(水素還元物)
1,6−ヘキサンジオール;55質量%
1,5−ペンタンジオール;10質量%
水;1.2質量%
次いで、窒素を流通させて低沸点成分を除去しつつ、混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら、245℃まで昇温して14時間反応させた。
反応終了後、得られた反応液(1,6−ヘキサンジオール前駆組成物)は、以下の物性で示される新規な組成物であった。
酸価;0.7mgKOH/g
200℃における粘度;10.5cP
250℃における粘度;6.5cP
平均分子量;1750
実施例3B(1,6−ヘキサンジオールの製造)
実施例3Aで得られた組成物を2200L/hで水素還元反応器に供給するとともに、酸化銅−酸化亜鉛触媒が0.1〜0.3質量%(組成物に対して)になるように水素還元反応器に加え、270〜280℃、27〜28MPaで2時間反応させた。
なお、エステル化反応器から水素還元反応器への前記組成物の移送、供給、及び水素還元時の攪拌・対流はスムーズに行われた。
反応終了後、得られた反応液を分析したところ、1,6−ヘキサンジオールの反応収率は91%であった(有機酸中のアジピン酸、及びヒドロキシカプロン酸基準)。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2016060705
以上の結果より、本発明の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物が、1,6−ヘキサンジオールの工業的な生産において極めて有効であることが分かる。
本発明は、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法に関する。1,6−ヘキサンジオール前駆組成物は、水素還元することにより1,6−ヘキサンジオールへ変換できる。

Claims (12)

  1. アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、
    1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物
    とを、
    [OH]/[COOH]が1.1〜2.0
    ([COOH]は有機酸混合物中に含まれるモノカルボン酸やジカルボン酸のカルボキシル基のモル数を、[OH]は水素還元物中に含まれるモノアルコールやジオールのヒドロキシル基のモル数を示す。)
    となるように混合し、
    混合液中の水分含有率を0.01〜0.2質量%にした後に、この範囲を維持しながら反応させることを特徴とする、1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の製造方法。
  2. 有機酸混合物が28〜34質量%のアジピン酸、30〜43質量%ヒドロキシカプロン酸を含むものである、請求項1記載の製造方法。
  3. 有機酸混合物の水分含有率が0.01〜4.0質量%である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造方法。
  4. 有機酸混合物の酸価が300〜500mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 有機酸混合物の融点が70〜85℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 水素還元物中の1,6−ヘキサンジオールの含有率が50質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 水素還元物中の水分含有率が0.01〜3質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 1,6−ヘキサンジオール前駆組成物が以下の物性値を満たすものである、、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
    酸価が2mgKOH/g以下
    200℃における粘度が15cP以下
    250℃における粘度が10cP以下
    数平均分子量が2000以下
  9. 1,6−ヘキサンジオール前駆組成物の水分含有率が0.01〜0.2質量%である請求項8記載の製造方法。
  10. アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物とを反応させて得られるエステル混合物であって、
    酸価が2mgKOH/g以下
    200℃における粘度が15cP以下
    250℃における粘度が10cP以下
    数平均分子量が2000以下
    である1,6−ヘキサンジオール前駆組成物。
  11. 水分含有率が0.01〜0.2質量%である請求項10記載の1,6−ヘキサンジオール前駆組成物。
  12. アジピン酸及びヒドロキシカプロン酸(大半はオリゴマーとして存在)を主成分とする有機酸混合物と、1,6−ヘキサンジオールを主成分とする水素還元物とを反応させて得られるエステル混合物であって、
    酸価が2mgKOH/g以下
    200℃における粘度が15cP以下
    250℃における粘度が10cP以下
    数平均分子量が2000以下
    である1,6−ヘキサンジオール前駆組成物を水素還元する、1,6−ヘキサンジオールの製造方法。
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