JP2016060672A - 複数のサファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイの厚みか又は複数のサファイア単結晶の最大の厚みに対して、ダイ間の間隙又はサファイア単結晶間の間隙を最適に設定することで、フラッティングの防止と熱バランスの改善による結晶欠陥の防止が可能な、複数のサファイア単結晶とその製造方法を提供する。
【解決手段】スリットを有する複数のダイを坩堝に収容し、坩堝に酸化アルミニウム原料を投入して加熱し、スリット上部に酸化アルミニウム融液溜まりを形成し、その融液に種結晶を接触させて引き上げることで複数のサファイア単結晶を成長させ、各ダイ間の間隙Dを、ダイの厚みtの0.33倍以上0.67倍以下に設定して複数のサファイア単結晶を製造し、複数のサファイア単結晶間の間隙dを、複数のサファイア単結晶の厚みの内、最大の厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下に設定する。
【選択図】図9

Description

本発明は、複数のサファイア単結晶とその製造方法に関する。
現在、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子に代表される半導体基板材料として、サファイア単結晶基板が広く用いられている。サファイア単結晶基板の量産方法としては、CZ法(チョクラルスキー法)とEFG法(Edge-defined Film-fed. Growth法)に大別される。
CZ法は、基板素材となるサファイア単結晶を塊状にインゴットで育成し、育成によって得られたインゴットから基板状にスライスする方法である。一方EFG法は、サファイア単結晶を平板状に育成し、育成によって得られたサファイア単結晶を任意の形状に切り抜く方法である。これら二つの育成方法の内、EFG法を用いて複数のサファイア単結晶を同時に成長させる方法が出願され、公開されている(例えば、特許文献1参照)。
前述の特許文献1記載の単結晶製造方法では、平板形状のサファイア単結晶を成長させる原料融液の液面の長手方向に対して垂直な方向に種結晶を配置し、種結晶を引き上げることにより、平板状の複数のサファイア単結晶を製造する。複数のサファイア単結晶を一括で成長させることが出来るので、サファイア単結晶の量産性を向上させることが可能となる。
特許第4465481号公報
しかしながら、特許文献1記載の製造方法では、複数のサファイア単結晶間で単結晶同士が貼り付く、フラッティングが発生するおそれがある。フラッティングの原因としては原料融液の液面の液溜まりを形成するダイ間の間隙を小さく設定し過ぎることが考えられる。ダイ間の間隙を小さく設定し過ぎると、種結晶を原料融液の液面とダイに接触させて種結晶の一部を溶融する際に、ダイ間の間隙に種結晶の入り込みが発生するため、フラッティングが発生し、隣接するサファイア単結晶同士が貼り付いて一体化してしまうと云う課題があった。フラッティングが発生すると、一体化したサファイア単結晶は不良品となり量産性や歩留まりの低下を招いていた。また、ダイ間の間隙が小さくなると、複数のサファイア単結晶間の間隙も小さくなり、フラッティング発生の原因となる。
更に、ダイ間の間隙を小さく設定し過ぎると複数のサファイア単結晶間の間隙も小さくなり、サファイア単結晶間の熱バランスが悪化し、フラッティングの発生を免れたその他の個々のサファイア単結晶に結晶欠陥を招いてしまう。従って、フラッティングだけで無くサファイア単結晶の結晶品質の低下も招いてしまい、量産性の著しい低下を引き起こしていた。
本発明は、上記事情に照らしてなされたものであり、ダイの厚みか又は複数のサファイア単結晶の最大の厚みに対して、ダイ間の間隙又はサファイア単結晶間の間隙を最適に設定することで、フラッティングの防止と熱バランスの改善による結晶欠陥の防止が可能な、複数のサファイア単結晶とその製造方法の提供を課題とする。
前記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、
(1)本発明の複数のサファイア単結晶の製造方法は、スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝に酸化アルミニウム原料を投入して加熱し、酸化アルミニウム原料を坩堝内で溶融して酸化アルミニウム融液を用意し、スリットを介してスリット上部に酸化アルミニウム融液溜まりを形成し、そのスリット上部の酸化アルミニウム融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する複数のサファイア単結晶を成長させ、各ダイ間の間隙Dを、ダイの厚みtの0.33倍以上0.67倍以下に設定して複数のサファイア単結晶を製造することを特徴とする。
(2)本発明の複数のサファイア単結晶の製造方法の一実施形態は、間隙Dを厚みtの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
Figure 2016060672

を満足することが好ましい。
(3)また、本発明の複数のサファイア単結晶は共通の種結晶から形成されており、更にサファイア単結晶間の間隙dが、複数のサファイア単結晶の厚みの内、最大の厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下に設定されることを特徴とする。
(4)本発明の複数のサファイア単結晶の一実施形態は、間隙dが厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
Figure 2016060672

を満足することが好ましい。
(5)本発明の複数のサファイア単結晶の、他の実施形態は、複数の前記サファイア単結晶の主面の結晶軸のずれ角が、0.5°以下の範囲内であることが好ましい。
前記(1)、(3)の発明に依れば、ダイの厚みtか又は複数のサファイア単結晶における最大の厚みtmの、0.33倍以上0.67倍以下の範囲内に設定された間隙D及びdで、複数のサファイア単結晶を形成する。このような間隙D又はdで複数のサファイア単結晶を形成することにより、ダイ間の間隙又はサファイア単結晶間の間隙への種結晶の入り込みが防止され、フラッティングの発生も防止され、隣接するサファイア単結晶同士の貼り付きを解消することが可能となる。
更に、前記の通り間隙D又はdを設定することにより、種結晶と融液溜まりとの接触時に、隣同士のダイの各融液が表面張力によって繋がる事も防止出来る。従って、歩留まりの低下を解消してより高い量産性で以てサファイア単結晶を育成することが可能となった。更に、フラッティングに起因する結晶欠陥の発生も防止することが出来る。
更に、目安となるダイ間の間隙Dが分かるため、ダイ間の間隙Dの最適化の検証回数を減少させることが可能となり、その結果、サファイア単結晶の複数枚育成の開発及び結晶品質の改善スピードを向上させることが可能となる。
更に、前記(2)、(4)の発明に依れば、フラッティング発生の防止やフラッティングに起因する結晶欠陥の発生防止に加えて、育成成長する各サファイア単結晶間の熱バランスを結晶育成に適した最適な状態で保持する事が可能となった。加えて、熱バランスの保持によって各サファイア単結晶の育成条件を均一に保持することが可能となった。この為、線欠陥及び結晶粒界といった結晶箇所が無く更に結晶品質が改善されたサファイア単結晶を複数引き上げることが可能となった。従って、より実用的なサファイア単結晶を複数同時に引き上げることが出来、更なる歩留まりの改善と量産性の向上を図ることが可能となる。
更に、前記(5)の発明に依れば、サファイア単結晶毎における結晶軸のずれ角の補正に必要な研磨量を、サファイア単結晶の厚み方向において1.5mm程度に収めることが可能となった。この為、半導体用基板としてのサファイア単結晶の加工性を向上させることが可能となる。
EFG法によるサファイア単結晶の製造装置を示す概略構成図である。 (a)本発明の実施形態に係るダイの一例を模式的に示す平面図である。(b)同図(a)の正面図である。(c)同図(a)の側面図である。 (a)本発明の実施形態に係る種結晶の一例を示す説明図である。(b)本発明の実施形態に係る種結晶の他の例を示す説明図である。(c)本発明の実施形態に係る種結晶の更に他の例を示す説明図である。 本発明の実施形態における種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す斜視図である。 (a)本発明の実施形態における種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す正面図である。(b)本発明の実施形態における、種結晶の一部を溶融する様子を示す正面図である。 本発明の実施形態におけるネックが成長する様子を模式的に示す斜視図である。 (a)本発明の実施形態に係る種結晶において、下辺が櫛歯形状の種結晶を示す説明図である。(b)本発明の実施形態に係る種結晶において、下辺が鋸形形状の種結晶を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るサファイア単結晶のスプレディング工程を模式的に示す斜視図である。 EFG法により得られる、本発明の実施形態に係る複数のサファイア単結晶を部分的に示す斜視図である。 本発明の実施形態の変更例における、種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す斜視図である。 (a)本発明の実施形態の変更例に係る種結晶の正面図である。(b)同図(a)の平面図である。(c)同図(a)の側面図である。 (a)図11の種結晶を用いて育成されたサファイア単結晶の底面図である。 (b)同図(a)の正面図である。(c)同図(a)の側面図である。 (a)本発明の他の変更例に係る種結晶の正面図である。(b)同図(a)の平面図である。(c)同図(a)の側面図である。 図13に示す種結晶と、仕切り板との位置関係を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態に係る複数のサファイア単結晶及びその製造方法について、図1から図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、サファイア単結晶の製造装置1は、サファイア単結晶2を育成する育成容器3と、育成したサファイア単結晶2を引き上げる引き上げ容器4とから構成され、EFG(Edge-defined Film-fed. Growth)法によりサファイア単結晶2を育成成長する。
育成容器3は、坩堝5、坩堝駆動部6、ヒータ7、電極8、ダイ9、及び断熱材10を備える。坩堝5はモリブデン製であり、酸化アルミニウム原料を溶融する。坩堝駆動部6は、坩堝5をその鉛直方向を軸として回転させる。ヒータ7は坩堝5を加熱する。また、電極8はヒータ7を通電する。ダイ9は坩堝5内に設置され、サファイア単結晶2を引き上げる際の酸化アルミニウム融液(以下、必要に応じて単に「融液」と表記)21の液面形状を決定する。また断熱材10は、坩堝5とヒータ7とダイ9を取り囲んでいる。
更に育成容器3は、雰囲気ガス導入口11と排気口12を備える。雰囲気ガス導入口11は、雰囲気ガスとして例えばアルゴンガスを育成容器3内に導入するための導入口であり、坩堝5やヒータ7、及びダイ9の酸化消耗を防止する。一方、排気口12は育成容器3内を排気するために備えられる。
引き上げ容器4は、シャフト13、シャフト駆動部14、ゲートバルブ15、及び基板出入口16を備え、種結晶17から育成成長した複数の平板形状のサファイア単結晶2を引き上げる。シャフト13は種結晶17を保持する。またシャフト駆動部14は、シャフト13を坩堝5に向けて昇降させると共に、その昇降方向を軸としてシャフト13を回転させる。ゲートバルブ15は育成容器3と引き上げ容器4とを仕切る。また基板出入口16は、種結晶17を出し入れする。
なお製造装置1は図示されない制御部も有しており、この制御部により坩堝駆動部6及びシャフト駆動部14の回転を制御する。
次に、ダイ9について説明する。ダイ9はモリブデン製であり、図2に示すように多数の仕切り板18を有する。図2ではダイの一例として、仕切り板18が30枚であり、ダイ9が15個形成されている場合を示している。仕切り板18は同一の平板形状を有し、微小間隙(スリット)19を形成するように互いに平行に配置されて、1つのダイ9を形成している。スリット19は、ダイ9のほぼ全幅に亘って設けられる。また複数のダイ9は同一形状を有すると共に、その長手方向が互いに平行となるように所定の間隔で並列に配置されているため、複数のスリット19が設けられることとなる。各仕切り板18の上部は斜面30が形成されており、互いの斜面30が向かい合わせで配置されることで、鋭角の開口部20が形成されている。またスリット19は融液21を毛細管現象によって、各ダイ9の下端から開口部20に上昇させる役割を有している。
坩堝5内に投入される酸化アルミニウム原料は、坩堝5の温度上昇に基づいて溶融(原料メルト)し、融液21となる。この融液21の一部は、ダイ9のスリット19に侵入し、前記のように毛細管現象に基づいてスリット19内を上昇し開口部20から露出して、開口部20で酸化アルミニウム融液溜まり22が形成される(図5(a)参照)。EFG法では、酸化アルミニウム融液溜まり(以下、必要に応じて「融液溜まり」と表記)22で形成される融液面の形状に従って、サファイア単結晶2が成長する。図2に示したダイ9では、融液面の形状は細長い長方形となるので、平板形状のサファイア単結晶2が製造される。
次に、種結晶17について説明する。図1、図4、及び図5に示すように本実施形態では、種結晶17として平板形状の基板を用い、更にc軸が主面(結晶面28と直交する面)の面方向に沿って水平なサファイア単結晶製の基板を用いる。更に、種結晶17の平面方向とダイ9の長手方向は、互いに90°の角度で以て直交となるように、種結晶17が配置される。従って、種結晶17のc軸は、仕切り板18と垂直になる。また、種結晶17とサファイア単結晶2も90°の角度で以て直交するので、図1ではサファイア単結晶2の側面を示している。種結晶17の平面方向と仕切り板18の長手方向との位置関係を垂直にする(種結晶17を仕切り板18と交叉させる)ことにより、融液21と種結晶17との接触面積を最小にすることが可能となる。従って、種結晶17の接触部分が融液21と馴染み易くなり、サファイア単結晶2での結晶欠陥の発生が低減又は解消される。
種結晶17は、シャフト13の下部の基板保持具(図示せず)との接触面積が大きいと、熱膨張率の差による応力のため変形し、場合によっては破損してしまう。反対に熱膨張率の差により種結晶17の固定が緩む場合もある。従って、種結晶17と基板保持具との接触面積は小さい方が好ましい。また、種結晶17は基板保持具に確実に固定できる基板形状の必要がある。
図3は種結晶17の基板形状の一例を示した図である。このうち、同図(a)及び(b)は、種結晶17の上部に切り欠き部23を設けたものである。この切り欠き部23を利用して、例えば2カ所の切り欠き部23の下側からU字形の基板保持具を差し込んで、接触面積を小さくしつつ確実に種結晶17を保持することが可能となる。
また、図3(c)に示したように、種結晶17内側に切り欠き穴24を設けても良い。この切り欠き穴24を利用して、例えば2カ所の切り欠き穴24に係止爪を差し込んで、基板保持具と種結晶17との接触面積を小さくしつつ、確実に種結晶17を保持することが可能となる。
次に、前記製造装置1を使用したサファイア単結晶2の製造方法を説明する。最初にサファイア原料である、造粒された酸化アルミニウム原料粉末(99.99%酸化アルミニウム)をダイ9が収納された坩堝5に所定量投入して充填する。酸化アルミニウム原料粉末には、製造しようとするサファイア単結晶の純度又は組成に応じて、酸化アルミニウム以外の化合物や元素が含まれていても良い。
続いて、坩堝5やヒータ7若しくはダイ9を酸化消耗させないために、育成容器3内をアルゴンガスで置換し、酸素濃度を所定値以下とする。
次に、ヒータ7で加熱して坩堝5を所定の温度とし、酸化アルミニウム原料粉末を溶融する。酸化アルミニウムの融点は2050℃〜2072℃程度なので、坩堝5の加熱温度はその融点以上の温度(例えば2100℃)に設定する。加熱後しばらくすると原料粉末が溶融して、酸化アルミニウム融液21が用意される。更に融液21の一部はダイ9のスリット19を毛細管現象により上昇してダイ9の表面に達し、スリット19上部に融液溜まり22が形成される。
次に図4及び図5に示すように、スリット19上部の融液溜まり22の長手方向に対して垂直な角度に種結晶17を保持しつつ降下させ、種結晶17を融液溜まり22の融液面に接触させる。なお、種結晶17は、予め基板出入口16から引き上げ容器4内に導入しておく。図4ではスリット19や開口部20の見易さを優先するため、融液21と融液溜まり22の図示を省略している。
図4は、種結晶17と仕切り板18との位置関係を示した図である。前記の通り、種結晶17の平面方向を仕切り板18の長手方向と直交させることにより、種結晶17と融液21との接触面積を小さくすることが可能となる。従って、種結晶17の接触部分が融液21となじみ、育成成長されるサファイア単結晶2に結晶欠陥が生じにくくなる。更に、融液21と種結晶17との接触面積を小さくすることで、後述するネック25を細く形成することができ、この点でもサファイア単結晶2の結晶欠陥の発生を低減又は解消して、結晶品質を高品質に保つことが可能となる。従って、サファイア単結晶2の歩留まりを向上させることが出来る。
種結晶17を融液面に接触させる際に、種結晶17の下部を仕切り板18の上部に接触させて溶融しても良い。図5(b)は、種結晶17の一部を溶融する様子を示した図である。このように種結晶17の一部を溶融することで、種結晶17と融液21との温度差を速やかに解消ことができ、サファイア単結晶2での結晶欠陥の発生を更に低減することが可能となる。
続いて基板保持具を所定の上昇速度で引き上げて、種結晶17の引き上げを開始し、図6に示すようにネック25を形成する。具体的には、まずシャフト13により基板保持具を高速で上昇させながら細いネック25を作製(ネッキング)する。以降ではこの工程をネッキング工程と称する。図6はネック25が成長する様子を示した説明図である。ネック25は、種結晶17の厚みT若しくは融液溜まり22の幅程度の細い径を有する結晶部分であり、結晶欠陥を低減又は除去するために形成される。またネック25の長さは、その径の3倍程度まで形成される。この程度まで結晶成長されると、ネック25で結晶欠陥が発生しても、その欠陥はサファイア単結晶2まで形成されることが防止される。従ってネッキング工程を経ることにより、結晶欠陥が低減又は解消された平板形状のサファイア単結晶2を製造することが可能となる。
なお本実施形態の製造方法に依れば、種結晶と融液面とを平行に接触させる製造方法と比較して、結晶欠陥が除去されるまでにサファイア単結晶2の引き上げに必要となる原料が少なくて済むので、製造コストを下げることが可能となる。また、サファイア単結晶2の引き上げ方向において結晶欠陥が抜け切るまでの時間も短くて済むので、製造速度の向上も図れる。
なお、ネッキング工程をより容易にするため、種結晶17の下辺に凹凸を設けてもよい。図7は、種結晶17の下辺の形状を例示した図であり、同図(a)は下辺が櫛歯形状の場合を、同図(b)では鋸形形状の場合を示している。
この凹凸の間隔は、開口部20の間隔に合わせ、凸部分を融液溜まり22の中心に合わせる。凸部分を設けることで凸部分をサファイア単結晶2の成長開始点とすることができ、ネック25がより容易に形成可能となる。なお、凹凸の形状は図7に示したものには限定されず、例えば波形の凹凸形状であっても良い。
ネッキング工程を経た後、ヒータ7を制御して坩堝5の温度を降下させると共に、基板保持具の上昇速度を所定の速度に設定し、種結晶17を中心に図8に示すようにサファイア単結晶2をダイ9の長手方向に拡幅するように結晶成長させる(スプレディング)。サファイア単結晶2が、ダイ9の全幅(仕切り板18の端)まで拡幅すると(フルスプレッド)、ダイ9の全幅と同程度の幅を有する、面積の広い平板形状のサファイア単結晶2が育成される(直胴工程)。図8は、スプレディング工程によりサファイア単結晶2の幅が広がる様子を示した模式図である。幅の広いサファイア単結晶2が得られることにより、サファイア単結晶製品の歩留まりが向上する。
スプレディング工程により、ダイ9の全幅までサファイア単結晶2を成長させた後、図9に示すようにダイ9の全幅と同程度の一定幅を有する、平板形状の直胴部分26を所定の速度で所定の長さ(直胴長さ)まで引き上げて、平板形状のサファイア単結晶2を得る。
この後、得られたサファイア単結晶2を放冷し、ゲートバルブ15を空け、引き上げ容器4側に移動して、基板出入口16から取り出す。得られた平板形状のサファイア単結晶2の外観を図9に示す。直胴長さは特に限定されないが、2インチ以上(50.8mm以上)が好ましい。
以上説明したような製造装置1、種結晶17、及びダイ9を用いることにより、共通の種結晶17から複数のサファイア単結晶2を同時に製造することが出来る。従って、一枚当たりのサファイア単結晶2の製造コストを下げることが可能となる。
またEFG法では、複数のサファイア単結晶2の主面27の面方向が、種結晶17の結晶面28と同じ結晶方向を取りながら、複数のサファイア単結晶2が育成成長される。一例として、種結晶17がサファイア単結晶製で結晶面28がc面の場合、得られる平板形状のサファイア単結晶2の全ての主面27を、c面とすることが出来る。従って、複数のサファイア単結晶2を結晶方向の観点から見てばらつきの無い状態で得ることが出来る。
従って、種結晶17、及び仕切り板18を含めたダイ9は、精密に位置決めする必要がある。よって図1に示したように製造装置1は、ダイ9を設置する坩堝5を回転する坩堝駆動部6、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。またシャフト13に関しても、シャフト13を回転するシャフト駆動部14、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。即ち、ダイ9に対する種結晶17の位置決めは、制御部によりシャフト13又は坩堝5を回転させて調整する。
なお、種結晶17とダイ9との精密な位置決めについては、各仕切り板18の斜面30の一部を切り欠いたダイ9を使用することによっても行うことが出来る。図10は、ダイ9に切り欠き部29を設けた例を示した図である。図10では一例として、斜面30の長手方向での中央に、V字形の切り欠き部29をそれぞれ設けたダイ9を図示している。
切り欠き部29は、ダイ9の厚さ方向において一直線上に形成されている。このような切り欠き部29を設けることにより、種結晶17と融液面との接触時における位置決めが容易となり、各サファイア単結晶2間の製品品質のばらつきを低減若しくは解消することが可能となる。
尚、種結晶17の結晶面28はc面に限定されず、例えばr面、a面、m面等、所望の結晶面に設定することが可能である。このように結晶面28を任意に設定することで、サファイア単結晶2の主面27の面方向も任意に変更することが可能となる。
上述した効果に加えて、本実施形態では各ダイ9間の間隙Dを、ダイ9の厚みtの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内に設定して複数のサファイア単結晶2を製造している。具体的には、ダイ9の厚みtが2.0mm〜6.5mmの範囲内で製造されるとすると、各ダイ9間の間隙Dは、最小0.68mm(0.33×2.0mm)〜最大4.36mm(0.67×6.5mm)の範囲内に設定されることになる。但し間隙Dの計算値は、小数点以下第3位を四捨五入した。
このように間隙Dを設定することにより、共通の種結晶17から複数形成されるサファイア単結晶2間の間隙dは、複数のサファイア単結晶2の厚みの内、最大の厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下に設定される(図9参照)。複数のサファイア単結晶2の厚みにばらつきが発生しても、複数のサファイア単結晶2における厚みの最大値は、ダイ9の厚みtを超えることは無い。従って、理想的には前記厚みtと前記厚みtmは等しくなり、間隙Dと間隙dも等しく形成される。このような間隙D又はdで複数のサファイア単結晶2が形成されることで、ダイ9間の間隙又はサファイア単結晶2間の間隙への種結晶17の入り込みを防止して、フラッティングの発生も防止し、隣接するサファイア単結晶2同士の貼り付きを解消することが可能となることを、本出願人は検証の末、見出した。更に、前記の通り間隙D又はdを設定することにより、種結晶17と融液溜まり22との接触時に、隣同士のダイ9の各融液21が表面張力によって繋がる事も防止出来るため、歩留まりの低下を解消してより高い量産性で以てサファイア単結晶2を育成することが可能となった。更に、フラッティングに起因する結晶欠陥の発生も防止することが出来る。
更に、目安となるダイ間の間隙Dが分かるため、ダイ間の間隙Dの最適化の検証回数を減少させることが可能となり、その結果、サファイア単結晶2の複数枚育成の開発及び結晶品質の改善スピードを向上させることが可能となる。
また、前記幅と厚みを有するサファイア単結晶2の育成に関して、種結晶17の厚みTの好ましい設定値として、2mm以上が挙げられる。厚みTを2mm以上に設定することにより、サファイア単結晶2の引き上げ時に於ける種結晶17の変形が防止され、育成成長されるサファイア単結晶2の主面27と、種結晶17の結晶面28間の結晶軸方向のずれ角を抑制することが可能となった。更に坩堝5の高温条件下でも種結晶17の強度が保たれると共に、育成成長される各サファイア単結晶2の重量に加えて種結晶17自体の自重による種結晶17の変形が防止可能となり、前記結晶軸方向のずれ角抑制の効果を得ることが出来る。
前記効果に加えて、本実施形態では前記種結晶17の形状及びその剛性によって、各サファイア単結晶2間での主面27の結晶軸のずれ角を0.5°以下の範囲内に収めることが出来る。より具体的には、結晶育成の引き上げ進行に伴って増加していくサファイア単結晶2の重量に対して種結晶17の変形を防止し、種結晶17の結晶面28と、サファイア単結晶2の主面27での結晶面との間で生じる結晶軸方向のずれ角を、0.5°以下に収まる種結晶17の形状を設定している。これにより、サファイア単結晶2毎における結晶軸のずれ角の補正に必要な研磨量を、サファイア単結晶2の厚み方向において1.5mm程度に収めることが可能となった。この為、本実施形態のサファイア単結晶2では、半導体用基板としての加工性向上という効果も有するものである。
本実施形態の製造方法に依れば、結晶品質が保持された大型のサファイア単結晶2を、共通の種結晶17から一度に複数形成することが可能となった。
更に好ましくは、間隙Dを前記厚みtの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
Figure 2016060672

を満足するように設定することである。
このように間隙Dを設定することにより、共通の種結晶17から複数形成されるサファイア単結晶2間の間隙dも、前記厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
Figure 2016060672

の関係を満足することになる。具体的には、ダイ9の厚みtを2.0mm〜6.5mmの範囲内で製造されるとすると、各ダイ9間の間隙Dは前記数3より、最小0.96mm〜最大2.28mmの範囲内に設定されることになる。但し間隙Dの計算値は、小数点以下第3位を四捨五入した。
前記の通り、理想的には間隙Dと間隙dは等しく形成される。このような間隙D又はdで複数のサファイア単結晶2が形成されることで、前記フラッティング発生の防止やフラッティングに起因する結晶欠陥の発生防止に加えて、更に、各サファイア単結晶2間に於ける熱バランスを坩堝5内の温度と各サファイア単結晶2同士の放射熱とにより均一に保つことが可能となる。従って、結晶品質がより改善されたサファイア単結晶2を複数同時に育成成長させることが可能になった。
より具体的には、各サファイア単結晶2端面の温度を、ダイ9上の融液溜まり22と各サファイア単結晶2同士の放射熱とによって均一に保ち、育成成長する各サファイア単結晶2間の熱バランスを結晶育成に適した最適な状態で保持する事が可能となった。加えて、本実施形態では前記熱バランスの保持によって各サファイア単結晶2の育成条件を均一に保持することが可能となった。この為、線欠陥及び結晶粒界といった結晶箇所が無く更に結晶品質が改善されたサファイア単結晶2を複数引き上げることが可能となった。従って、より実用的なサファイア単結晶2を複数同時に引き上げることが出来、更なる歩留まりの改善と量産性の向上を図ることが可能となる。
なお間隙D又は間隙dを、前記厚みt又は前記厚みtmの0.33倍未満とすると、フラッティングが発生してしまう。一方、0.67倍を超えると間隙D又は間隙dが開きすぎてしまい、一度に製造できるサファイア単結晶の枚数が削減されてしまい、量産性が低下する。従って、量産性を確保しつつフラッティング防止を両立可能な範囲として、本発明では間隙D又は間隙dを、前記厚みt又は前記厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下と設定する、
なお、各サファイア単結晶2間の厚みのばらつきや、各サファイア単結晶2における直胴長さに亘る厚みの変動を、ダイ9の厚みをtとすると(図2(b)、図4等参照)、0.01t以上0.1t以下の範囲内に収めることが、隣同士のサファイア単結晶2のくっ付き(フラッティング)を防止可能になると云う点から好ましい。
なお本発明は、前述の実施形態に限定するものでは無く、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。即ち本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱すること無く、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることが出来るものである。
例えば本発明は、主面にステップ構造を有するサファイア単結晶の育成にも適用することが可能である。サファイア単結晶の主面を例えばc面とする、EFG法によるサファイア単結晶の製造方法において、種結晶のm軸をサファイア単結晶の引き上げ方向に合わせる。更に、引き上げ方向に対して垂直方向に位置する種結晶のc軸を、引き上げ方向を回転軸としてサファイア単結晶の主面の法線に対してa軸方向に所定角度(例えば、0.05°以上)に傾斜させて育成しても良い。なお、前記実施形態と重複する説明は省略又は簡略化する。
ここで、c軸が傾斜した種結晶について図11を参照して説明する。図11に示す種結晶31の平面の法線をZ軸、種結晶31の側面(結晶面)の法線をY軸、及び種結晶31の正面の法線をX軸とする直交座標系を用いて説明する。Z軸はサファイア単結晶の引き上げ方向に対して平行に配置されている。
種結晶31のc軸は、図11(a)に示すように、Z軸(引き上げ方向の軸)とのなす角αが所定の範囲内(例えば、90°±0.5°)に調整されており、また、図11(b)に示すように、c軸は、X軸方向(a軸方向)に所定角度β(例えば、0.05°以上1.0°以下の範囲)に傾斜している。一方、引き上げ軸方向(Z軸方向)のm軸は、図11(a)に示すように、c軸に対して垂直であり、また、 このm軸は、図11(c)に示すように、引き上げ軸方向(Z軸)とのずれ角γが、Z軸に対してX軸方向に所定角度の範囲内(例えば、0.5°以下)に調整されている。
このように種結晶31のc軸をX軸方向に所定角度βだけ傾斜させることにより、この
種結晶31を用いて育成成長されたサファイア単結晶32は、図12(a)に示すようにc軸がZ軸(引き上げ方向)を回転軸として主面の法線nv方向に対して所定角度β(前記の通り、0.05°以上1.0°以下の範囲)で傾斜している。即ち所定角度βに対応した、主面におけるc軸の傾斜角度を有するサファイア単結晶を前記間隔dで以て得ることが出来る。これにより、得られるサファイア単結晶の主面におけるステップ構造が全て同一方向になり、結晶欠陥の無い複数のサファイア単結晶を得ることが出来る。またm軸とZ軸とのずれ角は前記γ(0.5°)以内に形成され、図12(c)に示すようにc軸とZ軸とは前記α(90°±0.5°)以内に形成される。なお、図12(c)ではネックの図示は省略している。
サファイア単結晶の主面であるc面にステップ構造が現れることで、明確な結晶晶癖面が現れる。
なお、図11及び図12に示す変更例では、予めc軸がa軸方向に所定角度βだけ傾斜した種結晶31を用いて、c軸がnv方向に対して所定角度β傾斜したサファイア単結晶32を育成する場合を説明したが、これに限定されず図13に示す種結晶33を用いてサファイア単結晶を育成しても良い。
種結晶33のc軸は図13(a)に示すように、Z軸とのなす角αが所定の範囲内(例えば、90°±0.5°)に調整されており、また図13(b)に示すようにc軸はY軸方向に平行に調整されている。一方、引き上げ方向(Z軸)のm軸は、図13(a)に示すようにc軸に対して垂直であり、図13(c)に示すようにZ軸とのずれ角γがZ軸に対してX軸方向(a軸方向)に所定の範囲内(0.5°以下)に調整されている。
図13に示す種結晶33を用いた場合には、図14に示すように種結晶33の側面(端面)の法線を仕切り板18の法線に対して所定角度βずらして位置決めする。
従って、前記制御部によりシャフト13又は坩堝5を回転させて、種結晶33の側面(端面)の法線が仕切り板18の法線に対して所定角度βの範囲内となるように精度良く位置決めする。これにより、c軸が所定方向に所定角度βだけ傾斜したサファイア単結晶を得ることが出来る。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例)
本実施例においては、図1に示す製造装置1及び図2に示すような切り欠き部29の無いダイを使用し、EFG法により主面がc面のサファイア単結晶を育成成長した。ダイは16個用意し、互いに平行に所定間隙Dで並列に配置した。
酸化アルミニウム原料には、造粒された酸化アルミニウム原料粉末(99.99%酸化アルミニウム)を用い、ダイ9を収納した坩堝5に所定量投入して溶融し、酸化アルミニウム融液を得た。また雰囲気ガスとして、アルゴンガスを育成容器3内に導入した。
種結晶には、サファイア単結晶製で厚みTが2mmの基板を用い、更にc軸が主面(結晶面28と直交する面)の面方向に沿って水平な基板とした。種結晶の形状は図3(a)に示す基板とした。更に、その種結晶の平面方向とダイの長手方向とを、図4に示すように互いに90°の角度で以て直交となるように、種結晶を配置した。
その種結晶を用いて、16枚の平板形状のサファイア単結晶を引き上げて育成成長した。サファイア単結晶の幅は2インチ程度とした。
実施例は全部で例1〜例10まで行い、実施例1〜4では間隙Dをダイの厚みtの0.34倍に設定した。一方、実施例5〜10では間隙Dが前記数3を満足するように設定した。ダイの厚みtは、実施例1〜4では3.3mm〜4.5mmの範囲内で適宜表1に示すように設定し、実施例5〜10では3.3mm〜6.5mmの範囲内で適宜表1に示すように設定した。従って間隙Dは表1に示すように、実施例1〜4では最小1.12mm〜最大1.53mmに適宜設定し、実施例5〜10では最小1.20mm〜最大2.28mmの範囲内に適宜設定した。但し間隙Dの計算値は、小数点以下第3位を四捨五入した。
Figure 2016060672
育成成長された16枚の平板形状のサファイア単結晶間の間隙dを測定したところ、全ての実施例1〜10に亘って、間隙dは16枚の中で最大の厚みtmの0.33倍以上0.67倍以上の範囲に収められていることが確認された。なお、各実施例における厚みtmはダイの厚みtと等しい値であった(前記の通り、各実施例においてダイの厚みtは異なる)。更に、実施例5〜10では間隙dが数4を満足することも確認された。
育成成長された16枚の平板形状のサファイア単結晶におけるフラッティングの発生を各実施例1〜10で確認したところ、全ての実施例に関してフラッティングの発生が防止され、隣接するサファイア単結晶同士の貼り付きが解消されていることが確認された。
更に各実施例5〜10では、16枚全てのサファイア単結晶に亘って線欠陥及び結晶粒界といった結晶箇所が無いことが確認された。
(比較例)
以下に、前記実施例の比較例を説明する。なお比較例では、実施例と重複する部分や工程は記載を省略又は簡略化し、異なる部分や工程を重点的に説明する。
比較例が実施例と異なる点は、ダイの厚みtを4.5mmに設定すると共に、ダイ間の間隙Dを1.3mmに設定し、間隙Dを厚みtの約0.29倍とし、0.33倍未満に設定した点である。
育成成長された16枚の平板形状のサファイア単結晶間の間隙dを測定したところ、間隙dは16枚の中で最大の厚みtmの0.33倍未満である、約0.29倍で形成されていることが確認された。なお、比較例における厚みtmはダイの厚みtと等しい値であった。
育成成長された16枚の平板形状のサファイア単結晶におけるフラッティングの発生を確認したところ、一部の間隙dでフラッティングが発生していることが確認された。
1 サファイア単結晶の製造装置
2、32 サファイア単結晶
3 育成容器
4 引き上げ容器
5 坩堝
6 坩堝駆動部
7 ヒータ
8 電極
9 ダイ
10 断熱材
11 雰囲気ガス導入口
12 排気口
13 シャフト
14 シャフト駆動部
15 ゲートバルブ
16 基板出入口
17、31、33 種結晶
18 仕切り板
19 スリット
20 開口部
21 酸化アルミニウム融液
22 酸化アルミニウム融液溜まり
23 種結晶の切り欠き部
24 種結晶の切り欠き穴
25 ネック
26 直胴部分
27 主面
28 結晶面
29 仕切り板の切り欠き部
30 斜面
T 種結晶の厚み
t ダイの厚み
tm サファイア単結晶の最大の厚み
D ダイ間の間隙
d サファイア単結晶間の間隙
前記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、
(1)本発明の複数のサファイア単結晶の製造方法は、スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、坩堝に酸化アルミニウム原料を投入して加熱し、酸化アルミニウム原料を坩堝内で溶融して酸化アルミニウム融液を用意し、スリットを介してスリット上部に酸化アルミニウム融液溜まりを形成し、そのスリット上部の酸化アルミニウム融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する複数のサファイア単結晶を成長させ、各ダイ間の間隙Dを、ダイの厚みtの0.33倍以上0.67倍以下に設定し、間隙Dを厚みtの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
Figure 2016060672

を満足し、更に、ダイの厚みtを2.0mm〜6.5mmの範囲内に設定して複数のサファイア単結晶を製造することを特徴とする。
前記発明に依れば、ダイの厚みt、0.33倍以上0.67倍以下の範囲内に設定された間隙D、複数のサファイア単結晶を形成する。このような間隙D複数のサファイア単結晶を形成することにより、ダイ間の間隙又はサファイア単結晶間の間隙への種結晶の入り込みが防止され、フラッティングの発生も防止され、隣接するサファイア単結晶同士の貼り付きを解消することが可能となる。
更に、前記の通り間隙D設定することにより、種結晶と融液溜まりとの接触時に、隣同士のダイの各融液が表面張力によって繋がる事も防止出来る。従って、歩留まりの低下を解消してより高い量産性で以てサファイア単結晶を育成することが可能となった。更に、フラッティングに起因する結晶欠陥の発生も防止することが出来る。
更に、前記発明に依れば、フラッティング発生の防止やフラッティングに起因する結晶欠陥の発生防止に加えて、育成成長する各サファイア単結晶間の熱バランスを結晶育成に適した最適な状態で保持する事が可能となった。加えて、熱バランスの保持によって各サファイア単結晶の育成条件を均一に保持することが可能となった。この為、線欠陥及び結晶粒界といった結晶箇所が無く更に結晶品質が改善されたサファイア単結晶を複数引き上げることが可能となった。従って、より実用的なサファイア単結晶を複数同時に引き上げることが出来、更なる歩留まりの改善と量産性の向上を図ることが可能となる。

Claims (5)

  1. スリットを有すると共に、各々の長手方向が平行に配置された複数のダイを坩堝に収容し、
    坩堝に酸化アルミニウム原料を投入して加熱し、酸化アルミニウム原料を坩堝内で溶融して酸化アルミニウム融液を用意し、
    スリットを介してスリット上部に酸化アルミニウム融液溜まりを形成し、
    そのスリット上部の酸化アルミニウム融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する複数のサファイア単結晶を成長させ、
    各ダイ間の間隙Dを、ダイの厚みtの0.33倍以上0.67倍以下に設定して複数のサファイア単結晶を製造することを特徴とする、複数のサファイア単結晶の製造方法。
  2. 前記間隙Dを前記厚みtの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
    Figure 2016060672

    を満足することを特徴とする請求項1記載の複数のサファイア単結晶の製造方法。
  3. 複数のサファイア単結晶は共通の種結晶から形成されており、
    更にサファイア単結晶間の間隙dが、複数のサファイア単結晶の厚みの内、最大の厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下に設定されることを特徴とする、複数のサファイア単結晶。
  4. 前記間隙dが、前記厚みtmの0.33倍以上0.67倍以下の範囲内で更に、
    Figure 2016060672

    を満足することを特徴とする請求項3記載の複数のサファイア単結晶。
  5. 複数の前記サファイア単結晶の主面の結晶軸のずれ角が、0.5°以下の範囲内であることを特徴とする請求項3又は4の何れかに記載の複数のサファイア単結晶。
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