JP2016058296A - リチウムイオン電池用正極活物質、正極材料、正極、およびリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のリチウムイオン電池用正極活物質は、一般式(1):LiXTiYM1−YSZにより示される化合物を含んでいる。ここで、上記一般式(1)において、2≦X≦20、0<Y≦1、3≦Z≦14の関係を満たす。また、MはMoおよびVから選択される1種または2種の元素である。
【選択図】なし
Description
一般式(1):LiXTiYM1−YSZ(ただし、上記一般式(1)において、2≦X≦20、0<Y≦1、3≦Z≦14の関係を満たし、MはMoおよびVから選択される1種または2種の元素である)により示される化合物を含む、リチウムイオン電池用正極活物質が提供される。
上記リチウムイオン電池用正極活物質を含む、正極材料が提供される。
上記正極材料からなる正極活物質層を備える、正極が提供される。
上記正極と、電解質層と、負極とを備えた、リチウムイオン電池が提供される。
はじめに、本実施形態のリチウムイオン電池用正極活物質(A)について説明する。
本実施形態のリチウムイオン電池用正極活物質(A)(以下、正極活物質(A)とも呼ぶ。)は、一般式(1):LiXTiYM1−YSZにより示される化合物を含んでいる。
ここで、上記一般式(1)において、2≦X≦20、0<Y≦1、3≦Z≦14の関係を満たす。また、MはMoおよびVから選択される1種または2種の元素であり、好ましくはMoである。
また、正極活物質(A)は、上記一般式(1)において、上記Zが、好ましくは3以上12以下であり、より好ましくは6以上10以下であり、特に好ましくは7以上9以下である。
具体的な化合物としては、例えば、Li2TiS3、Li4TiS4、Li6TiS5、Li6TiS6、Li8TiS6、Li10TiS7、Li14TiS9、Li14Ti0.5Mo0.5S9、Li14Ti0.25Mo0.75S9、Li14Ti0.75Mo0.25S9、Li14Ti0.5V0.5S8.75、Li14Ti0.25V0.75S8.625、Li14Ti0.75V0.25S8.875、Li14Ti0.25Mo0.5V0.25S8.875、Li14Ti0.25Mo0.25V0.5S8.75、Li10Ti0.5Mo0.5S7、Li10Ti0.25Mo0.75S7、Li10Ti0.75Mo0.25S7、Li10Ti0.5V0.5S6.75、Li10Ti0.25V0.75S6.625、Li10Ti0.75V0.25S6.875、Li12Ti0.5Mo0.5S8、Li12Ti0.25Mo0.75S8、Li14Ti0.75Mo0.25S8、Li12Ti0.5V0.5S7.75、Li12Ti0.25V0.75S7.625、Li12Ti0.75V0.25S7.875、Li16Ti0.5Mo0.5S10、Li16Ti0.25Mo0.75S10、Li16Ti0.75Mo0.25S10、Li16Ti0.5V0.5S9.75、Li16Ti0.25V0.75S9.625、Li16Ti0.75V0.25S9.875、Li18Ti0.5Mo0.5S11、Li18Ti0.25Mo0.75S11、Li18Ti0.75Mo0.25S11、Li18Ti0.5V0.5S10.75、Li18Ti0.25V0.75S10.625、Li18Ti0.75V0.25S10.875、Li20Ti0.5Mo0.5S12、Li20Ti0.25Mo0.75S12、Li20Ti0.75Mo0.25S12、Li20Ti0.5V0.5S11.75、Li20Ti0.25V0.75S11.625、Li20Ti0.75V0.25S11.875等が挙げられる。これらの中でも、Li14Ti0.5Mo0.5S9、Li14Ti0.25Mo0.75S9、Li14Ti0.75Mo0.25S9、Li14Ti0.5V0.5S8.75、Li14Ti0.25V0.75S8.625、Li14Ti0.75V0.25S8.875、Li14Ti0.25Mo0.5V0.25S8.875、Li14Ti0.25Mo0.25V0.5S8.75、Li10Ti0.5Mo0.5S7、Li10Ti0.25Mo0.75S7、Li10Ti0.75Mo0.25S7、Li10Ti0.5V0.5S6.75、Li10Ti0.25V0.75S6.625、Li10Ti0.75V0.25S6.875、Li12Ti0.5Mo0.5S8、Li12Ti0.25Mo0.75S8、Li14Ti0.75Mo0.25S8、Li12Ti0.5V0.5S7.75、Li12Ti0.25V0.75S7.625、Li12Ti0.75V0.25S7.875からなる群から選択される一種または二種以上の化合物が好ましい。
上記Xおよび上記Zを上記範囲内とすることにより、得られるリチウムイオン電池の容量密度をより一層向上させることができる。
まず詳細は後述するが、正極活物質(A)は、通常は原料であるチタン硫化物とリチウム硫化物を混合することにより得ることができる。ここで、原料であるチタン硫化物は、リチウムイオンのインターカレーションによる体積収縮が小さい材料である。このチタン硫化物にリチウム硫化物を混合し、硫黄の量を高めると、チタン硫化物の結晶構造からなるドメインが微細化し、非晶質のLiXTiYM1−YSZにより示される化合物が生成することでリチウムイオンが出入りするサイトが広がるとともにリチウムイオンが出入りするサイト数が増加し、大きな容量密度を実現できていると推察される。また、正極活物質(A)はリチウムイオンが出入りするサイトが広がることによりインターカレーションによる体積収縮がより一層小さい材料となり、優れたサイクル特性を実現できていると推察される。
上記Yを上記範囲内とすることにより、得られるリチウムイオン電池の容量密度をより大きくすることができるとともに、サイクル特性をより一層向上させることができる。
ここで、回折角2θ=26.7±0.3°の位置に存在する回折ピークは、硫化リチウム由来の回折ピークを表している。したがって、IA/I0は、正極活物質(A)中の硫化リチウムの含有量の指標を表している。IA/I0が小さいほど、正極活物質(A)に含まれる硫化リチウムの量が少ないことを意味する。
原料である硫化リチウムのIA/I0の値は通常は205程度である。そのため、上記IA/I0が上記上限値以下である正極活物質(A)は、原料であるチタン硫化物とリチウム硫化物の反応が十分に進み、新たな化合物が生成していることを意味する。
また、IA/I0は小さければ小さいほど好ましいため下限値は特に限定されないが、例えば0.01以上である。
ここで、回折角2θ=34.8±0.3°の位置に存在する回折ピークは、二硫化チタン由来の回折ピークを表している。したがって、IB/I0は、正極活物質(A)中の二硫化チタンの含有量の指標を表している。IB/I0が小さいほど、正極活物質(A)に含まれる二硫化チタンの量が少ないことを意味する。
原料である二硫化チタンのIB/I0の値は通常は31程度である。そのため、上記IB/I0が上記上限値以下である正極活物質(A)は、原料であるチタン硫化物、およびリチウム硫化物の反応が十分に進み、新たな化合物が生成していることを意味する。
また、IB/I0は小さければ小さいほど好ましいため下限値は特に限定されないが、例えば0.01以上である。
正極活物質(A)の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、より一層高密度の正極を作製することができる。
つづいて、正極活物質(A)の製造方法について説明する。
正極活物質(A)は、例えば、原料であるチタン硫化物、リチウム硫化物、必要に応じてモリブデン硫化物、バナジウム硫化物等を粉砕混合することにより得ることができる。以下、具体的に説明する。
また、Li−Ti−S化合物と、Li−M−S化合物とを別々に作成し、正極活物質(A)が所望の組成比になるように、これらの化合物を所定のモル比で粉砕混合することにより、正極活物質(A)を得ることもできる。
なお、Li−Ti−S化合物は構成元素として、Li、Ti、およびSを含んでいるものであり、Li−M−S化合物は構成元素として、Li、M、およびSを含んでいるものである。
各原料の混合モル比は、例えば、ICP発光分光分析により求めることができるが、通常は仕込みの重量比から算出できる。
以下であることが好ましく、−60℃以下であることがより好ましい。上記不活性ガス雰囲気下とは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下のことである。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましい。混合系への不活性ガスの導入方法としては、混合系内が不活性ガス雰囲気で満たされる方法であれば特に限定されないが、不活性ガスをパージする方法、不活性ガスを一定量導入し続ける方法等が挙げられる。
本実施形態のリチウム硫化物としては、例えば、Li2Sを用いることができる。
本実施形態のLi2Sとしては特に限定されず、市販されているLi2Sを使用してもよいし、例えば水酸化リチウムと硫化水素との反応により得られるLi2Sを使用してもよい。高純度な正極活物質を得る観点から、不純物の少ないLi2Sを使用することが好ましい。
本実施形態のチタン硫化物としては、例えば、TiS2、TiS、Ti2S3、TiS3等を用いることができる。これらの中でも入手容易性の観点からTiS2が好ましい。
本実施形態のTiS2としては特に限定されず、市販されているTiS2を使用することができる。高純度な正極活物質を得る観点から、不純物の少ないTiS2を使用することが好ましい。
本実施形態のモリブデン硫化物としては、例えば、MoS2、Mo2S3、Mo2S5、MoS3等を用いることができる。これらの中でも入手容易性の観点からMoS2が好ましい。
本実施形態のMoS2としては特に限定されず、市販されているMoS2を使用することができる。高純度な正極活物質を得る観点から、不純物の少ないMoS2を使用することが好ましい。
本実施形態のバナジウム硫化物としては、例えば、V2S3、V3S4、VS、V5S8、VS2、V2S5、VS3、VS4、VS5等を用いることができる。これらの中でも入手容易性の観点からV2S3が好ましい。
本実施形態のV2S3としては特に限定されず、市販されているV2S3を使用することができる。高純度な正極活物質を得る観点から、不純物の少ないV2S3を使用することが好ましい。
本実施形態のS(硫黄)としては特に限定されず、市販されている硫黄を使用することができる。高純度な正極活物質を得る観点から、不純物の少ない硫黄を使用することが好ましい。
これらの粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
また、粉砕、分級、または造粒する工程は、原料に対しておこなってもよいし、上記混合物に対しておこなってもよい。
つぎに、本実施形態の正極材料(P)について説明する。
正極材料(P)は、本実施形態の正極活物質(A)を含んでいる。そして、正極材料(P)は、本実施形態の正極活物質(A)以外の成分として、導電助剤(B)および固体電解質材料(C)から選択される1種以上の材料をさらに含むことが好ましい。これにより、より一層大きな容量密度を有するとともにサイクル特性にもより一層優れるリチウムイオン電池を得ることができる。
正極材料(P)は、正極の導電性を向上させる観点から、導電助剤(B)を含むことが好ましい。導電助剤(B)としてはリチウムイオン電池に使用可能な通常の導電助剤であれば特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケチェンブラック等のカーボンブラック;カーボンファイバー;気相法炭素繊維;黒鉛;カーボンナノチューブ;等の炭素材料が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、粒子径が小さく、価格が安いカーボンブラックが好ましい。
正極材料(P)を全固体リチウムイオン電池用の正極に用いる場合は、正極材料(P)は固体電解質材料(C)を含むことが好ましい。固体電解質材料(C)としては、イオン伝導性および絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、一般的に全固体リチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料等を挙げることができる。これらの中でも、硫化物固体電解質材料が好ましい。これにより、正極活物質(A)との界面抵抗がより一層低下し、出力特性に優れた全固体リチウムイオン電池とすることができる。
固体電解質材料(C)の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、リチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
正極材料(P)は、正極活物質(A)同士および正極活物質(A)と集電体とを結着させる役割をもつバインダー(D)を含んでもよい。ただし、正極活物質(A)は水と接触すると加水分解を起こすため、水溶性のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン微粒子、スチレン・ブタジエン系ゴム微粒子等が水に分散した水系バインダーは適さない。
バインダー(D)はリチウムイオン電池に通常使用されるバインダーの中で有機溶剤系バインダーであれば特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド等が挙げられる。これらのバインダーは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極材料(P)は、有機溶媒系バインダーを使用すると比較的粘性が得られ易いため通常は不要であるが、塗布に適したスラリーの流動性を調整する点から、増粘剤を含んでもよい。本実施形態の増粘剤としては膨潤性粘度鉱物のスクメタイト、ポリビニルカルボン酸アミド等が挙げられる。これらの増粘剤は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極材料(P)は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した正極活物質(A)とは異なる種類の正極活物質(F)を含んでもよい。
正極活物質(F)としてはリチウムイオンを可逆に放出・吸蔵でき、電子輸送が容易におこなえるように電子伝導度が高い材料が好ましい。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、リチウム−マンガン−ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO4)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;Li2S、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS2、FeS、MoS2、Li−Mo−S化合物等の硫化物;硫黄を含浸したアセチレンブラック、硫黄を含浸した多孔質炭素、硫黄と炭素の混合粉等の硫黄を活物質とした材料;等を用いることができる。これらの正極活物質(F)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極材料(P)の各種材料の配合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されないが、正極活物質(A)と、導電助剤(B)と、固体電解質材料(C)とを含む場合、以下の配合割合が好ましい。
正極材料(P)の全固形分100質量%に対し、正極活物質(A)の含有量をX質量%とし、導電助剤(B)の含有量をY質量%としたとき、正極活物質(A)の含有量に対する導電助剤(B)の含有量の比(Y/X)が好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.40以上、特に好ましく0.50以上、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。
以上から、Y/Xが上記範囲内であると、得られるリチウムイオン電池の正極材料(P)の単位重量当たりの容量密度をより向上させることができる。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討した。その結果、Y/Xを上記範囲内とすることにより、得られるリチウムイオン電池の放電容量密度を向上させることができることを見出した。
以上から、Z/Xが上記範囲内であると、得られるリチウムイオン電池の正極材料(P)の単位重量当たりの容量密度をより一層向上させることができる。
正極材料(P)の配合が上記範囲内であると、得られるリチウムイオン電池の電池特性がとくに優れている。
次に、正極材料(P)の調製方法について説明する。
正極材料(P)は、例えば、正極活物質(A)、導電助剤(B)、固体電解質材料(C)、必要に応じて、バインダー(D)、増粘剤(E)、正極活物質(A)とは異なる種類の正極活物質(F)、溶剤等を混合機により混合することにより調製することができる。
混合機としては、ボールミル、プラネタリーミキサー等公知のものが使用でき、特に限定されない。混合方法も特に限定されず、公知の方法に準じておこなうことができる。
つぎに、本実施形態の正極について説明する。
本実施形態の正極は、正極材料(P)からなる正極活物質層を備えている。
つぎに、本実施形態の正極の製造方法について説明する。
本実施形態の正極は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、本実施形態の正極材料(P)からなる正極活物質層をアルミ等の集電体の表面に形成することにより得ることができる。
つぎに、本実施形態に係るリチウムイオン電池100について説明する。図1は、本発明に係る実施形態のリチウムイオン電池100の構造の一例を示す断面図である。
リチウムイオン電池100は、一般的に公知の方法に準じて製造される。例えば、本実施形態の正極110および負極130をセパレーター中心に重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成し非水電解液を封入することにより作製される。
負極130は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。負極130は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層を銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の集電体の表面に形成することにより得られる。
次に、電解質層120について説明する。電解質層120は、正極110および負極130の間に形成される層である。
電解質層120とは、セパレーターに非水電解液を含浸させたものや、固体電解質材料を含む固体電解質層が挙げられる。
上記電解質としては、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、活物質の種類に応じて選択すればよい。例えば、LiClO4、LiBF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3 SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等が挙げられる。
本実施形態の固体電解質層における固体電解質材料の含有量は、所望の絶縁性が得られる割合であれば特に限定されるものではないが、例えば、10体積%以上100体積%以下の範囲内、中でも、50体積%以上100体積%以下の範囲内であることが好ましい。
リチウムイオン電池100は電解質層120として、上述した固体電解質層を用いることによって全固体リチウムイオン電池とすることができる。
本実施形態の全固体リチウムイオン電池は、例えば、本実施形態の正極110、負極130、および、正極110と負極130との間に固体電解質により形成された固体電解質層を有するものである。
全固体リチウムイオン電池の正極材料として、正極材料(P)を用いると、放電容量密度、サイクル特性等の電池特性が良好で、かつ、高い安全性を有するリチウムイオン電池とすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
はじめに、以下の実施例、比較例における測定方法を説明する。
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折法により、実施例および比較例で得られた正極活物質の粒度分布を測定した。測定結果から、各正極活物質について、重量基準の累積分布における50%累積時の粒径(d50、平均粒子径)をそれぞれ求めた。また、同様にして、各原料の平均粒子径をそれぞれ求めた。
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント社製、SPS3000)を用いて、ICP発光分光分析法により測定し、実施例および比較例で得られた正極活物質中の各元素の質量%をそれぞれ求め、それらの値に基づいて、各元素のモル比をそれぞれ計算した。得られた結果を表1に示す。
(3.1)正極材料(P)の調製
アルゴン雰囲気下で、実施例および比較例で得られた正極活物質を370mgと、導電助剤であるケッチェンブラックを185mgとを乳鉢を用いて15分間混合した。次いで、その混合物にLi-P-S系固体電解質材料であるLi11P3S12を445mg加え、乳鉢を用いて5分間混合した。得られた混合物をAl2O3製ポットに加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。Al2O3製ポット内はアルゴン雰囲気とした。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ120rpmで、24時間処理を行い、正極材料を得た。
次いで、実施例および比較例で得られた正極材料を導電性アルミ箔粘着テープ(寺岡製作所社製、φ14mm)の粘着面に付着させ、正極を得た。
つづいて、プレス治具を用いて、Li-P-S系固体電解質材料(Li11P3S12)を83MPaにて予備プレスを行った。その後、それを正極にのせて、さらに250MPa、10分間プレス成型をおこない、正極上に固体電解質層を形成した。
また、上記方法で得られた正極、固体電解質層、負極であるインジウム箔(φ=14mm、t=0.5mm)をこの順で積層させて全固体型リチウムイオン電池を作製した。次いで、得られた全固体型リチウムイオン電池について、電流密度65μA/cm2の条件で充電終止電位3.0Vまで充電した後、電流密度65μA/cm2の条件で、放電終止電位0.4Vまで放電させる条件で充放電を10回行った。
ここで、1回目の放電容量を100%としたときの10回目の放電容量を放電容量変化率[%]とした。正極材料に対する放電容量密度と放電容量変化率について得られた結果を表1に示す。
実施例および比較例で使用したLi-P-S系固体電解質材料であるLi11P3S12を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、純度99.9%)、P2S5(関東化学製試薬)を使用した。Li3Nは、以下の手順で作製した。
まず、窒素雰囲気のグローブボックス中で、Li箔(本城金属社製純度99.8%、厚さ0.5mm)にステンレス製の剣山を使用しφ1mm以下の穴を多数開けた。Li箔は穴の部分から黒紫色に変化し始め、そのまま、常温で24時間放置することでLi箔すべてが黒紫色のLi3Nに変化した。Li3Nは、メノウ乳鉢で粉砕後、ステンレス製篩で篩い分けし、75μm以下の粉末を回収し固体電解質材料の原料とした。
つづいて、アルゴングローブボックス中で各原料をLi2S:P2S5:Li3N=67.5:22.5:10.0(モル%)になるように精秤し、これら粉末を20分間メノウ乳鉢で混合した。次いで、混合粉末2gを秤量し、φ10mmのジルコニア製ボール500gとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて100rpmで1時間混合粉砕した。次いで、400rpmで15時間混合粉砕した。混合粉砕後の粉末はカーボンボートに入れアルゴン気流中で300℃、2時間加熱処理し、Li11P3S12組成のLi-P-S系固体電解質材料を得た。
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて、X線回折分析法により、実施例および比較例で得られた正極活物質の回折スペクトルをそれぞれ求めた。なお、線源としてCuKα線を用いた。
ここで、回折角2θ=20°の位置の強度をバックグラウンド強度I0とし、回折角2θ=26.7±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をIAとし、回折角2θ=34.8±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をIBとし、IA/I0およびIB/I0をそれぞれ求めた。得られた結果を表1に示す。
<実施例1>
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、5.07mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、35.5mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が6μmの正極活物質1を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、MoS2(和光純薬工業社製、4.7mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、32.5mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Aを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(1.09mmol)と混合物A(1.09mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Bを得た。
得られた混合物Bは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質2を得た。
実施例2と同様の操作で混合物Aを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(1.68mmol)と混合物A(0.56mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Cを得た。
得られた混合物Cは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質3を得た。
実施例2と同様の操作で混合物Aを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(0.53mmol)と混合物A(1.60mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Dを得た。
得られた混合物Dは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質4を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、V2S3(高純度化学研究所社製、2.6mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、36.6mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Eを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(1.17mmol)と混合物E(1.17mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Fを得た。
得られた混合物Fは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質5を得た。
実施例5と同様の操作で混合物Eを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(1.74mmol)と混合物E(0.58mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Gを得た。
得られた混合物Gは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質6を得た。
実施例5と同様の操作で混合物Eを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(0.59mmol)と混合物E(1.77mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Hを得た。
得られた混合物Hは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質7を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、13.9mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、13.9mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が15μmの正極活物質8を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、10.8mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、21.6mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が12μmの正極活物質9を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、8.8mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、26.4mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が9μmの正極活物質10を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、6.4mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、32.2mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が8μmの混合物Iを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、MoS2(和光純薬工業社製、5.6mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、28.2mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Jを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物I(1.37mmol)と混合物J(1.37mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Kを得た。
得られた混合物Kは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質11を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、5.7mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、34.1mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が8μmの混合物Lを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、MoS2(和光純薬工業社製、5.0mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、30.3mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Mを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物L(1.21mmol)と混合物M(1.21mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Nを得た。
得られた混合物Nは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質12を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、4.6mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、36.7mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が8μmの混合物Oを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、V2S3(高純度化学研究所社製、2.4mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、37.7mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Pを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物O(1.06mmol)と混合物P(1.06mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Qを得た。
得られた混合物Qは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質13を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、4.2mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、37.7mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が8μmの混合物Rを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、V2S3(高純度化学研究所社製、2.1mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、38.6mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Sを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物R(0.48mmol)と混合物S(1.45mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Tを得た。
得られた混合物Tは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が3μmの正極活物質14を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、3.9mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、38.5mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が8μmの混合物Uを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、V2S3(高純度化学研究所社製、2.0mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、39.4mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Vを得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物U(0.45mmol)と混合物V(1.33mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Wを得た。
得られた混合物Wは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が2μmの正極活物質15を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(0.55mmol)、混合物A(1.10mmol)および混合物E(0.55mmol)を秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Xを得た。
得られた混合物Xは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質16を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、正極活物質1(0.57mmol)、混合物A(0.57mmol)および混合物E(1.14mmol)を秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物Yを得た。
得られた混合物Yは乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が5μmの正極活物質17を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、43.5mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が21μmの正極活物質18を得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、TiS2(高純度化学研究所社製、8.1mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、28.2mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物を得た。
得られた混合物は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が6μmの混合物Zを得た。
アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、MoS2(和光純薬工業社製、6.9mmol)と、Li2S(シグマアルドリッチジャパン社製、24.0mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物A'を得た。
次いで、アルゴン雰囲気下で、Al2O3製ポットに、混合物Z(0.84mmol)と混合物A'(0.84mmol)とを秤量して加え、さらにZrO2ボールを入れ、Al2O3製ポットを密閉した。
次いで、Al2O3製ポットを、ボールミル回転台に乗せ97rpmで、4日間処理を行い、混合物B'を得た。
得られた混合物B'は乳鉢により粉砕し、目開き43μmの篩により分級して、平均粒子径d50が21μmの正極活物質19を得た。
実施例で得られた正極活物質1〜17は、比較例で得られた正極活物質18〜19に比べて大きな放電容量(容量密度)を有していた。また、実施例で得られた正極活物質1〜17は、サイクル特性にも優れていた。
110 正極
120 電解質層
130 負極
Claims (11)
- 一般式(1):LiXTiYM1−YSZ(ただし、前記一般式(1)において、2≦X≦20、0<Y≦1、3≦Z≦14の関係を満たし、MはMoおよびVから選択される1種または2種の元素である)により示される化合物を含む、リチウムイオン電池用正極活物質。
- 請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極活物質において、
前記一般式(1)において、0.1≦Y≦0.9の関係を満たす、リチウムイオン電池用正極活物質。 - 請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用正極活物質において、
線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られるスペクトルにおいて、
回折角2θ=20°の位置の強度をバックグラウンド強度I0とし、
回折角2θ=26.7±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をIAとしたとき、
IA/I0の値が20以下である、リチウムイオン電池用正極活物質。 - 請求項1乃至3いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極活物質において、
線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られるスペクトルにおいて、
回折角2θ=20°の位置の強度をバックグラウンド強度I0とし、
回折角2θ=34.8±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をIBとしたとき、
IB/I0の値が10以下である、リチウムイオン電池用正極活物質。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極活物質において、
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が0.5μm以上20μm以下である、リチウムイオン電池用正極活物質。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極活物質を含む、正極材料。
- 請求項6に記載の正極材料において、
導電助剤をさらに含む、正極材料。 - 請求項6または7に記載の正極材料において、
固体電解質材料をさらに含む、正極材料。 - 請求項6乃至8いずれか一項に記載の正極材料からなる正極活物質層を備える、正極。
- 請求項9に記載の正極と、電解質層と、負極とを備えた、リチウムイオン電池。
- 請求項10に記載のリチウムイオン電池において、
前記電解質層が固体電解質により形成された固体電解質層である、リチウムイオン電池。
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