JP2016058142A - リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

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Toshiaki Tsuno
利章 津野
田村 裕之
Hiroyuki Tamura
裕之 田村
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Abstract

【課題】硫化物固体電解質を用いたリチウムイオン電池において、電池素子への水分の浸入を抑制できるリチウムイオン電池の製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも片面にヒートシール用樹脂層31を有する金属箔32により包まれた、硫化物固体電解質を含む積層体を備える電池素子2を、ヒートシールにて封止し、ヒートシール部33に隣接する金属箔32の一部と他部、又は当該ヒートシール部33の外延部の金属箔32の一部と他部を互いに溶接する、リチウムイオン電池の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池の製造方法に関する。さらに詳しくは、硫化物固体電解質を含む積層体からなる電池素子を、ヒートシール用樹脂層を有する金属箔にて封止した構造を有するリチウムイオン電池の製造方法に関する。
リチウムイオン電池の電池素子を形成する固体電解質等は、水と接触することにより劣化する場合がある。そのため、リチウムイオン電池の性能を維持する観点から、電池素子を金属箔ラミネートフィルムや金属板材により封止することにより、電池素子への水分の侵入を防止している。
金属箔ラミネートフィルムにて電池素子を封止したラミネート型リチウムイオン電池の場合、外装材として、アルミラミネートフィルムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。外装材に樹脂のみのフィルムを用いると、大気中の水分が樹脂を透過して電池素子に侵入し、電池性能に悪影響を与える。そのため、アルミ箔の両面にラミネート樹脂層を有するアルミラミネートフィルムが使用されている。
リチウムイオン電池の製造では、アルミラミネートフィルムを熱融着で封止する。この場合、熱融着部には、2枚のアルミ箔の間に樹脂のみの部分が存在するため、融着部から大気中の水分が浸入するという欠点がある。
また、硫化物固体電解質を用いたリチウムイオン電池の場合、水分により硫化物固体電解質が加水分解して硫化水素を発生するという欠点がある。そのため、電池素子をより高度に封止し、水の浸入を防止する必要がある。
特開2000−340187号公報
本発明の目的は、硫化物固体電解質を用いたリチウムイオン電池において、電池素子への水分の浸入を抑制できるリチウムイオン電池の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下のリチウムイオン電池の製造方法等が提供される。
1.少なくとも片面にヒートシール用樹脂層を有する金属箔により包まれた、硫化物固体電解質を含む積層体を備える電池素子を、ヒートシールにて封止し、
ヒートシール部に隣接する金属箔の一部と他部、又は当該ヒートシール部の外延部の金属箔の一部と他部を互いに溶接する、リチウムイオン電池の製造方法。
2.前記金属箔を構成する金属の融点が、前記ヒートシール用樹脂の熱分解温度より300℃以上高い、1のリチウムイオン電池の製造方法。
3.前記硫化物固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質である、1又は2のリチウムイオン電池の製造方法。
4.前記金属箔を構成する金属の比重が5以上である、1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池の製造方法。
5.前記金属箔がステンレス箔であり、ヒートシール用樹脂がポリプロピレンを主とする樹脂である、1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池の製造方法。
6.前記金属箔が15〜150μmの厚さであり、ヒートシール用樹脂が10〜200μmの厚さである、1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池の製造方法。
7.上記1〜6のいずれかの製造方法により得られるリチウムイオン電池。
本発明によれば、電池素子への水分の浸入を抑制できるリチウムイオン電池の製造方法を提供することができる。
本発明の方法で製造したリチウムイオン電池では、水分による性能劣化が抑制できる。また、硫化水素の発生を抑制できる。
本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン電池の概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はA−A断面図を示している。 金属箔を溶接する前のA−A断面図である。 金属箔を溶接する前のB−B断面図である。
図1は、本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン電池の概略図であり、(a)は平面図であり、(b)はA−A断面図である。
また、図2は金属箔を溶接する前のA−A断面図であり、図3は金属箔を溶接する前のB−B断面図である。
図1において、リチウムイオン電池1は、電池素子2及び外装材3を備えている。電池素子2は、正極端子211を有する正極集電体層21、正極層22、固体電解質層23、負極層24、及び、負極端子251を有する負極集電体層25が、この順に積層された構造としてある。
外装材3は、金属箔32と、金属箔の片面にヒートシール用樹脂層31を有する。本実施形態では、外装材3の重なり部のヒートシール用樹脂層31を、加熱により融着(ヒートシール)して融着部33を形成し、その後、融着部33の端部の金属箔32を溶接することで溶接部34を形成している。これにより、従来、水の浸入口となっていた融着部33は、溶接部34、即ち、金属により遮蔽される。従って、水の浸入を防止できる。
尚、本実施形態のリチウムイオン電池1は、通常、リチウム二次電池であるが、リチウム一次電池でもよい。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法は、例えば、下記の工程(A)及び(B)を有する。
(A)少なくとも片面にヒートシール用樹脂層を有する金属箔(以下、外装材ということがある。)により包まれた、硫化物固体電解質を含む積層体を備える電池素子を、ヒートシール(融着)にて封止する工程
(B)ヒートシール部に隣接する金属箔の一部と他部(例えば、対向する金属箔)、又は当該ヒートシール部の外延部の金属箔の一部と他部を互いに溶接する工程
上記工程(A)において、本実施形態で外装材3は、電池素子2を収納するほぼ矩形の袋としてある。即ち、外装材3は、矩形の三辺があらかじめ融着部33によって加熱融着されることにより、袋状としてあり、矩形の残り一辺が開口端部となっている。この開口端部から、電池素子2を収納し、続いて、正極端子211及び負極端子251を挟むようにして、開口端部が加熱融着される。これにより、ヒートシール用樹脂層31どうしが融着し、さらに、正極端子211及び負極端子251と当接するヒートシール用樹脂層31は、融着部35によって、正極端子211及び負極端子251に密着する。このようにして、外装材3は、電池素子2を密封状態で封止する(図2、図3)。
工程(A)において、開口端部を溶着する前に、外装材3の内部に対して、真空引きを行い、電池素子2を真空密封してもよい。真空引きは、通常、数百〜数十Paまで真空引きされるが、特に限定されるものではない。このようにすると、電池素子2が外気から遮断されるので、固体電解質層23における固体電解質の分解を抑制でき、電池性能の低下を防止することができる。また、電池素子2が絶縁性の外装材3によって収納されるので、取扱い性及び安全性を向上させることができる。
また、電池素子2にほぼ大気圧と同じ圧力が作用するので、電池素子2における、電池素子を形成する各層間の接触面圧を高めることができ、電流密度の低下を抑制することができる。さらに、正極集電体層21、正極層22、固体電解質層23、負極層24及び負極集電体層25の側面に、絶縁性を有する外装材3が密着するので、例えば、正極層22と負極層24がショートするといった心配を排除することができる。
尚、正極端子211及び負極端子251と外装材3との密着性を向上させるために、プライマーや接着材等を用いてもよい。
また、本実施形態では予め袋状とした外装材3を使用したが、これに限らず、例えば、シート状の外装材を2枚使用して、電池素子2を挟んだ後で、四方を加熱して融着部33を形成してもよい。
上記工程(B)において、融着部33端部の金属箔32の溶接は、例えば、レーザー溶接で実施できる。具体的に、ヒートシールにより融着部33を形成した後に、金属箔32の側面の端面に外側からレーザー光(図2及び図3において矢印で示す。)を照射すればよい。尚、本発明においては、レーザーの照射方法は限定されるものではない。
レーザー溶接の方法は公知の方法でよい。例えば、炭酸ガスレーザーや、半導体レーザー等を線源として使用することができる。また、ファイバーを通したレーザー光でも、レンズで収束したレーザー光でも、反射鏡を使用して反射させたレーザー光を使用してもよい。
金属箔32を溶接することで、従来、水の浸入口となっていた融着部33は、溶接部34で封止される。従って、水の浸入を防止できる。
尚、融着部33又はその外延部の金属箔をすべて溶接することが、融着部33からの水分浸入を防止する観点から好ましい。しかしながら、必ずしも融着部33又はその外延部のすべてを溶接しなくてもよい。
また、本実施形態では、5層構造を有する電池素子を使用したがこれに限られない。
以下、本発明で使用する外装材及び電池素子を形成する材料について説明する。
上記工程(A)で使用する外装材には、少なくとも片面にヒートシール用樹脂層を有する金属箔を使用する。具体的には、特開2013−184290に記載の金属箔が挙げられる。
金属箔を構成する金属の融点は、ヒートシール用樹脂の熱分解温度より300℃以上高いことが好ましい。また、金属の比重が5以上であることが好ましい。これにより、溶接時の樹脂のガス化により生じる溶接の不具合を抑制でき、健全な溶接ビードを形成できる。例えば、金属がアルミニウムの場合、比重は2.7程度であるが、健全な溶接ができない場合がある。
金属の融点は、ヒートシール用樹脂の熱分解温度より400℃以上高いことがより好ましく、特に、500℃以上高いことが好ましい。尚、金属の融点とヒートシール用樹脂の熱分解温度の差は2000℃以下であることが好ましい。
金属の比重は6以上であることが好ましく、特に、7以上であることが好ましい。
金属箔を構成する金属としては、ステンレス、純鉄、炭素鋼、低合金鋼、銅、ニッケル、ジルコニウム、バナジウム、アルミ鉄合金、亜鉛銅合金等が挙げられる。なかでもステンレス(SUS304、SUS430等)が好ましい。
尚、金属箔には表面処理を施してもよい。例えば、電解クロメート、樹脂クロメート等各種クロメート処理や、その他のクロメートフリー化成処理を施してもよい。
金属箔の厚さは15〜150μmが好ましく、さらに40〜120μmがより好ましい。金属箔が薄いと溶接金属を形成するための金属量が不足し、溶接欠陥が発生しやすくなり、また金属の変形も生じやすく、溶接の制御が困難になる。一方、厚すぎると、重量が増すため、金属箔を用いる利点が少なくなる。
ヒートシール用樹脂としては、従来からヒートシール用に用いられている樹脂から金属箔の融点との関係で熱分解温度を考慮して選択すればよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらの共重合体等の樹脂、及びこれらを主とする樹脂を挙げることができる。ポリプロピレンの熱分解温度は、430℃、ポリエチレンの熱分解温度は450℃で、これらの共重合体では、これらの中間程度の値を示す。尚、ここで分解温度は、10%の重量変化が生じた温度を言う。
ヒートシール用樹脂としては、ポリプロピレンを主とする樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレンを50質量%以上含有する樹脂をいい、ポリプロピレン純粋樹脂の他に、合計が50質量%未満の割合で低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等の各種ポリエチレン、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン等を共重合した樹脂を挙げることができる。また、金属箔との密着性を向上させるために酸変性ポリオレフィンとしたものでもよい。ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でも、また、重合するポリプロピレン以外のオレフィンが1種類でも2種類以上でも、主となるポリプロピレンが50質量%以上、好ましくは70質量%以上、90質量%以上となっていればよい。好ましくは、重合されるものは、ポリプロピレン単独の時よりも分解温度を低下させるものの方が好ましく、ポリエチレン系の樹脂が特に好適である。
ヒートシール用樹脂の厚さは10〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。樹脂が薄いとヒートシール時に溶融する樹脂が少なくなり融着が不十分となる場合がある。一方、厚すぎると、金属箔の溶接時に分解ガスを多く発生するようになり、良好な溶接部を形成するために好ましくない。また、溶接される金属箔と金属箔の間の距離が広くなるため、溶融金属が分離し、溶接できない場合がある。
本発明で使用する外装材は、金属箔の両面にヒートシール用樹脂層を有していてもよく、片面のみに有していてもよい。片面のみに有する場合、金属箔の表面に、酸化物形成やめっき被覆、又は種々の樹脂層を施していてもよい。溶接に影響しない厚さであれば、絶縁性や放熱性等の機能を持たせるために外面側に被覆層を形成してもよい。例えば、30μm以下の厚みの樹脂フィルムを金属箔に被覆して絶縁性を与えることは、経済的にも、エンボス加工時の加工性の観点からも好適である。
ヒートシール用樹脂層は、単層でもよく、また、2層以上の積層でもよい。例えば、金属箔との密着性を向上させるために、酸変性させたポリプロピレン層を金属箔層に接する側に形成し、ヒートシール性を向上させたポリプロピレン層をその外層に形成してもよい。
尚、金属箔が厚い程、ヒートシール用樹脂の分解ガスに対する抵抗は増し、またヒートシール樹脂が薄い程、分解ガスの発生は少ない傾向となるので、金属箔の厚みとヒートシール樹脂の厚みの比、つまり、(金属箔の厚み)/(ヒートシール樹脂の厚み)が大きい程、溶接性は良好となる。その比は0.7以上が好ましく、1.2以上がさらに好ましい。
上述した外装材にて封止される電池素子は、硫化物固体電解質を含む積層体を有する。例えば、正極集電体層、正極層、固体電解質層、負極層及び負極集電体層をこの順に積層した構造を有する電池素子が好ましい。
(正極集電体層)
正極集電体層の材料は、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等である。
尚、上述した本実施形態の正極集電体層21は、矩形の一辺における一方の角部から突出した、細長い薄板状の正極端子211を有している。この正極端子211は、通常、正極集電体層21と一体的にプレス成形される。
(正極層)
正極層は、正極活物質を含む層である。正極活物質と固体電解質を含有することが好ましい。
固体電解質としては、後述する固体電解質層と同様な硫化物固体電解質が好ましい。
正極活物質としては、公知のものが使用できる。例えば、金属酸化物、硫化物等が挙げられる。硫化物には、金属硫化物、非金属硫化物が含まれる。
金属酸化物は、例えば遷移金属酸化物である。具体的には、V、V13、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、CuO等が挙げられる。
金属硫化物としては、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が挙げられる。
その他、金属酸化物としては、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)等が挙げられる。
非金属硫化物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物等が挙げられる。
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、金属インジウム、硫黄も正極活物質として使用できる。
(固体電解質層)
固体電解質層に用いる固体電解質としては、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質が好ましい。Li、P及びSを含む硫化物固体電解質としては、少なくともLiSを原料とする硫化物固体電解質がさらに好ましい。LiSを原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質がより好ましい。LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとその他硫化物のモル比が、50:50〜95:5であるものが特に好ましい。
また、LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質としては、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質が好ましい。
少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜82:18となる硫化物固体電解質が好ましく、より好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜82:18である硫化物固体電解質であり、例えば、LiS:P=68:32〜82:18、LiS:P=72:38〜78:22である。
また、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとPを原料とする硫化物固体電解質が好ましい。
LiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜82:18となる硫化物固体電解質が好ましく、より好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜82:18である。即ち、硫化物固体電解質に含まれるLi、P及びSを、LiSとPの比に換算した場合に、モル比がLiS:P=60:40〜82:18となる硫化物固体電解質が好ましく、より好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜82:18である硫化物固体電解質であり、例えば、LiS:P=68:32〜82:18、LiS:P=72:38〜78:22である。
固体電解質には、LiSとPの他、さらにハロゲン化物を添加してもよい。ハロゲン化物としてはLiI、LiBr、LiCl等が挙げられる。ハロゲン化物を添加した固体電解質として、具体的には、Li、P、S及びIを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びBrを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びClを含む硫化物固体電解質が挙げられる。
LiS及びPのモル量の合計に対するハロゲン化物のモル量の比は、好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=50:50〜99:1であり、より好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=60:40〜98:2であり、さらに好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=70:30〜98:2であり、特に好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=72:28〜98:2であり、例えば[LiS+P]:ハロゲン化物=72:28〜90:10、[LiS+P]:ハロゲン化物=75:25〜88:12である。
固体電解質としては、具体的にはLiS−P,LiI−LiS−P,LiBr−LiS−P,LiCl−LiS−P,LiPO−LiS−SiS等の硫化物固体電解質が挙げられる。
固体電解質は、MM(メカニカルミリング)法、溶融法、炭化水素系溶媒中で原料を接触させる方法(WO2009/047977)、炭化水素系溶媒中で原料を接触させる手段と粉砕合成手段とを交互に行う方法(特開2010−140893)、溶媒中で原料を接触させる工程の後に粉砕合成工程を行う方法(PCT/JP2012/005992)、その他の製造方法で得られたガラス状態のものを使用できる。
本発明において、硫化物固体電解質は、非結晶硫化物固体電解質でも結晶硫化物固体電解質でもよい。結晶硫化物固体電解質は、上記硫化物固体電解質が結晶化したものである。
結晶化固体電解質の結晶構造としては、例えばLiPS結晶構造、Li結晶構造、LiPS結晶構造、Li11結晶構造、Li4−xGe1−x系チオリシコンリージョンII型及びIII型の結晶構造(Kannoら、Journal of The Electrochemical Society,148(7)A742−746(2001)参照)、上記Li4−xGe1−x系チオリシコンリージョンII型及びIII型とは元素が一部異なる、チオリシコンリージョンII型及びIII型に類似の結晶構造(Solid State Ionics 177(2006)2721−2725参照)が挙げられるが、これらに限られるものではない。
1つの結晶構造のみからなっていてもよく、複数の結晶構造を有していてもよい。結晶構造はX線回折により確認できる。
結晶構造としては、より高いイオン伝導度が要求される場合にはLi11が好ましく、より高い化学安定性が要求される場合にはチオリシコンリージョンII型及びIII型の結晶構造、上述したチオリシコンリージョンII型及びIII型に類似の結晶構造、LiPS結晶構造が好ましい。
(負極層)
負極層は、負極活物質を含む層である。負極活物質と固体電解質を含有することが好ましい。
固体電解質としては、上述した固体電解質層と同様な硫化物固体電解質が好ましい。
負極活物質としては、公知のものが使用でき、例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組み合わせた合金を負極材として用いることができる。
(負極集電体層)
負極集電体層25の材料は、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等である。
尚、上述した実施形態の負極集電体層25は、矩形の一辺における他方の角部(正極端子211と対向する方の角部)から突出した、細長い薄板状の負極端子251を有している。この負極端子251は、通常、負極集電体層25と一体的にプレス成形される。
固体電解質層等、各層の作製方法としては、塗布法、プレス法、AD(エアロゾルデポジション)法、蒸着法等を用いることができる。また、形状維持のために、メッシュ等を内部に有する構成としてもよい。
本発明のリチウムイオン電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いることができる。
1 リチウムイオン電池
2 電池素子
3 外装材
21 正極集電体層
22 正極層
23 固体電解質層
24 負極層
25 負極集電体層
31 ヒートシール用樹脂層
32 金属箔
33 融着部
34 溶接部
35 融着部
211 正極端子
251 負極端子

Claims (4)

  1. 少なくとも片面にヒートシール用樹脂層を有する金属箔により包まれた、硫化物固体電解質を含む積層体を備える電池素子を、ヒートシールにて封止し、
    ヒートシール部に隣接する金属箔の一部と他部、又は当該ヒートシール部の外延部の金属箔の一部と他部を互いに溶接する、リチウムイオン電池の製造方法。
  2. 前記金属箔を構成する金属の融点が、前記ヒートシール用樹脂の熱分解温度より300℃以上高い、請求項1のリチウムイオン電池の製造方法。
  3. 前記硫化物固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質である、請求項1又は2のリチウムイオン電池の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られるリチウムイオン電池。
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