以下、実施形態の処理装置、処理システム、ICカード、および発券機を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る処理装置は、鉄道の駅等に設置される自動改札機である。図1は、実施形態に係る自動改札機10の外観構成図である。自動改札機10は、第1の方向(図中、A方向)に移動する利用者(乗客)に対して改札処理を行う自動改札機10Aと、第2の方向(図中、B方向)に移動する利用者に対して改札処理を行う自動改札機10Bの2つを対面させてセットで使用される場合がある。以下、セットで使用される場合において、いずれの自動改札機であるかを区別しないときは、単に自動改札機10と称して説明する。また、自動改札機10は、セットで使用されるのではなく、単体で、一方向にのみ利用者の通行を許可するように用いられてもよい。また、自動改札機10が設置された駅を、当該駅と称する。
図1に示すように、自動改札機10は、磁気券投入口12と、磁気券排出口14と、ICカードI/F(インターフェース)部20と、表示部30と、扉部40、42とを備える。磁気券投入口12に投入された磁気券は、内部の搬送機構で搬送されながら図示しない磁気券処理部によって情報が読み取られ、必要に応じて磁気券排出口14から排出される。ICカードI/F部20は、例えば、利用者によって翳されたICカード100と通信を行うリーダライタ(後述)と、翳されたICカード100を撮像するカメラ(後述)を備える。なお、ICカードI/F部20は、ICカードの他、決済機能を有する携帯電話等の電子デバイスとも通信を行うことが可能である。表示部30は、磁気券またはICカード100を処理した結果として得られる情報(チャージ残額等)を表示する。扉部40は、自装置を利用した利用者の通行を、許可または禁止する。扉部42は、セットで使用される反対側の自動改札機10を利用した利用者の通行を、許可または禁止する。なお、図1では、処理装置がIC磁気併用機である例を示したが、処理装置はIC専用機であってもよい。
図2は、第1の実施形態に係るICカードI/F部20と、自動改札機10を制御する制御部50を中心とした機能構成図である。ICカードI/F部20は、リーダライタ22と、カメラ24と、ライト26とを備える。リーダライタ22は、例えば電磁誘導方式によりICカード100に給電すると共に、ICカード100と無線通信を行う。この無線通信は、例えば13.56[MHz]といったISMバンドで行われる。リーダライタ22は、ICカード100から所定の方式でエンコードされた情報を読み込む。また、リーダライタ22は、エンコードされた情報をICカード100に書き込む。カメラ24は、利用者によってICカードI/F部20の上方に翳されたICカード100を撮像する。ライト26は、カメラ24が撮像動作を行う際に、ICカード100を照射する。リーダライタのアンテナは、例えばカメラ24の光軸を囲むように巻き回される。図3は、実施形態のリーダライタ22のアンテナ22A、カメラ24、およびライト26の位置関係を例示した図である。図中、24Aはカメラ24の光軸である。なお、カメラ24やライト26の動作タイミングについては任意に設定されてよい。
制御部50は、デコード部52と、エンコード部54と、SF(Stored Fare system)処理部56と、回数券処理部58と、情報読取部60と、利用面判定部62と、表示制御部64と、扉制御部66とを備える。これらの機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。例えば、デコード部52とエンコード部54は、リーダライタ22に内蔵されるハードウェアであってもよい。
デコード部52は、リーダライタ22がICカード100から読み取ったエンコード情報をデコードし、他の機能部に出力する。エンコード部54は、他の機能部により指示された情報をエンコードし、リーダライタ22に出力する。リーダライタ22は、エンコード部54から入力された情報をICカード100に書き込む。
SF処理部56は、ICカード100が保持する電子マネーのチャージ残高に基づく運賃収受を行う。ここで、ICカード100が保持する情報について説明する。図4は、第1の実施形態に係るICカード100が保持する情報の一例を示す図である。第1の実施形態に係るICカード100は、自身の識別情報であるID、入場駅、経由駅、出場駅、チャージ残高、回数券残り回数、回数券1回分の運賃、過去の履歴などの情報を保持している。なお、ICカード100は、各履歴において運賃に代えてチャージ残高を保持してもよい。
入場処理を行う場合、SF処理部56は、電子マネーのチャージ残高が当該駅からの最低運賃以上であるか否かを判定する。電子マネーのチャージ残高が当該駅からの最低運賃以上である場合、SF処理部56は、例えば、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、チャージ残高等を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、チャージ残高が当該駅からの最低運賃未満である場合、SF処理部56は、例えば、残高不足である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
出場処理を行う場合、SF処理部56は、ICカード100が保持する入場駅および経由駅の情報を用いて図示しない運賃テーブルを検索し、運賃を導出する。そして、SF処理部56は、チャージ残高が運賃以上であるか否かを判定する。チャージ残高が運賃以上である場合、SF処理部56は、例えば、チャージ残高から運賃を差し引いた更新後のチャージ残高をICカード100に書き込むようにエンコード部54に指示し、更新後のチャージ残高を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、チャージ残高が運賃未満である場合、SF処理部56は、例えば、チャージを促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
また、経由駅処理を行う場合、SF処理部56は、出場処理を行った後、経由駅情報に当該駅の情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54に指示する。
回数券処理部58は、ICカード100が保持する回数券情報(回数券残り回数、および回数券1回分の運賃)に基づく運賃収受を行う。
入場処理を行う場合、回数券処理部58は、回数券残り回数が1回以上であり、且つ回数券1回分の運賃が当該駅からの最低運賃以上であるか否かを判定する。回数券残り回数が1回以上であり、且つ回数券1回分の運賃が当該駅からの最低運賃以上である場合、回数券処理部58は、例えば、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、回数券での入場である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、回数券残り回数が0回以上である場合、または回数券1回分の運賃が当該駅からの最低運賃未満である場合、回数券処理部58は、例えば、回数券での入場が不可である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
出場処理を行う場合、回数券処理部58は、ICカード100が保持する入場駅および経由駅の情報を用いて図示しない運賃テーブルを検索し、運賃を導出する。そして、回数券処理部58は、回数券1回分の運賃が、上記導出した運賃以上であるか否かを判定する。回数券1回分の運賃が、上記導出した運賃以上である場合、回数券処理部58は、例えば、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。回数券1回分の運賃が、上記導出した運賃未満である場合、回数券処理部58は、例えば、精算機による清算を促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
ここで、SF処理部56と回数券処理部58のいずれが処理を行うかは、情報読取部60および利用面判定部62の処理によって決定される。以下、これについて説明する。情報読取部60は、カメラ24により撮像されたICカード100の画像を解析し、ICカード100が表示する情報を読み取る。利用面判定部62は、情報読取部60により読み取られた情報が、ICカード100の第1の面において表示された情報であるか、ICカード100の第2の面において表示された情報であるかを判定する。
図5は、第1の実施形態に係るICカード100の外観図である。ICカード100の第1の面100−1には、第1の二次元コード102―1と、例えば「通常チャージ」といった、人により認識可能な可視情報104−1とが印刷されている。一方、ICカード100の第2の面100−2には、第2の二次元コード102―2と、例えば「回数券」といった、人により認識可能な可視情報104−2とが印刷されている。
実施形態の自動改札機10は、利用者によって、ICカード100が第1の面100―1を上向きにして翳された場合、すなわち、反対側の第2の面100―2がカメラ24によって撮像された場合、第1の面100―1に表示された「通常チャージ」に対応付けられた利用の意図(第1の面に対応付けられた利用の意図)を有すると判定する。従って、利用面判定部62は、情報読取部60により読み取られた情報が第2の二次元コード102―2に基づく情報である場合、電子マネーのチャージ残高に基づく処理をSF処理部56に行わせる。第2の二次元コード102―2は、電子マネーのチャージ残高に基づく処理を示す識別情報等を含んでいる。
一方、実施形態の自動改札機10は、利用者によって、ICカード100が第2の面100―2を上向きにして翳された場合、すなわち、反対側の第1の面100―1がカメラ24によって撮像された場合、第2の面100―2に表示された「回数券」に対応付けられた利用の意図(第2の面に対応付けられた利用の意図)を有すると判定する。従って、利用面判定部62は、情報読取部60により読み取られた情報が第1の二次元コード102―1に基づく情報である場合、回数券情報に基づく処理を回数券処理部58に行わせる。第1の二次元コード102―1は、回数券情報に基づく処理を示す識別情報等を含んでいる。
これらによって、ICカード100を利用する利用者は、手前側に見えている可視情報104―1または可視情報104―2に対応する運賃処理を受けることができる。この結果、実施形態の自動改札機10は、直感的に分かりやすいICカード100の利用の態様を提供することができる。
なお、ICカード100において、可視情報104−1および可視情報104−2の表示は省略されてもよく、抽象的なマーク、色彩等に置換されてもよい。また、二次元コードに代えて、ICカード100の翳された面を識別可能な他の種類の情報が表示されてもよい。また、上記とは逆に、利用面判定部62は、ICカード100が第1の面100―1を上向きにして翳された場合、回数券情報に基づく処理を回数券処理部58に行わせ、ICカード100が第2の面100―2を上向きにして翳された場合、電子マネーのチャージ残高に基づく処理をSF処理部56に行わせてもよい。
ここで、ICカード100の内部構成について説明する。図6は、実施形態のICカード100の内部構成を示す分解斜視図である。ICカード100は、第1の面100―1を有する印刷シート110、互いに接続されたアンテナコイル130およびICチップ140が搭載された機能シート120、第2の面100―2を有する印刷シート150が順に積層された構成となっている。また、図示しない厚み調整シート等が、印刷シート110と印刷シート150の間の任意の箇所に挿入される。ICチップ140は、制御部142と記憶部144を備える。制御部142は、例えばCPU等のプロセッサを含む。また、記憶部144は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の書き換え可能な不揮発性メモリを含む。制御部142は、自動改札機10のリーダライタ22からアンテナコイル130が受信した書き込みコマンドに応じて、受信した情報を記憶部144に書き込む。記憶部144には、図4で例示した内容の情報が、エンコードされた状態で格納される。また、制御部142は、自動改札機10のリーダライタ22からアンテナコイル130が受信した読み出しコマンドに応じて、記憶部144から情報を読み出して、アンテナコイル130により自動改札機10のリーダライタ22に送信する。
以下、ICカード100を発券する発券機200について説明する。発券機200は、例えば、駅などに設置され、ICカード100を購入する利用者によって操作される。また、発券機200は、利用者から申込書を提出された、駅係員によって操作されるものであってもよい。
図7は、実施形態のICカード100を発券する発券機200の構成図である。発券機200は、例えば、表示部202と、操作入力部204と、記憶部206と、通信部208と、制御部210と、ICカード搬送部212、リーダライタ214と、印刷部216とを備える。
表示部202は、購入案内のための表示を行う。表示部202は、例えば、操作入力部204と一体のタッチパネルとして構成される。表示部202には、電子マネーのチャージ金額、回数券の1回分の運賃や回数などを指定するためのGUI(Graphical User Interface)スイッチ等が設定される。操作入力部204として機能するGUIスイッチに対してタッチ操作がなされると、操作位置の情報等が制御部210に入力される。なお、操作入力部204は、機械式スイッチを備えるものであってもよい。記憶部206には、回数券についての料金テーブル等が格納されている。通信部208は、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して図示しない上位サーバと通信する。
制御部210は、例えばCPU等のプロセッサを含む。制御部210は、操作入力部204から入力された情報に基づき購入内容を確定させる。制御部210は、記憶部206に格納された料金テーブルを参照したり、通信部208を介して上位サーバに照会をおこなったりすることで、購入内容を確定させる。購入内容を確定させると、制御部210は、図示しないストック部に格納された発券前のICカード100をリーダライタ214の通信可能範囲に搬送するように、ICカード搬送部212に指示する。
制御部210は、リーダライタ214に、確定した購入内容に基づくチャージ残高、回数券の残り回数および1回分の運賃等の情報を、ICカード100に書き込ませる。また、制御部210は、第1および第2の二次元コード102―1、102―2や可視情報104―1、104―2をICカード100の表面に印刷するように印刷部216に指示する。なお、予め印刷されたICカード100が発券機200に供給される場合、印刷部216は省略することができる。
以下、第1の実施形態に係る自動改札機10により実行される処理の流れについて説明する。なお、磁気券に関する処理の流れの説明は省略する。図8は、第1の実施形態に係る自動改札機10により実行される入場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、自動改札機10は、リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外であるか否かを判定する(ステップS300)。本判定は、カメラ24により撮像された画像に基づいて行ってもよいし、リーダライタ22が受信したICカードまたは電子デバイスの識別情報を参照して行ってもよい。ここで、「ICカード100以外である」とは、携帯電話等の電子デバイスの他、第1または第2の二次元コード102―1、102―2が印刷されていないICカードを含むものとしてよい。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外である場合、SF処理部56が、電子マネーのチャージ残高が当該駅の最低運賃以上であるか否かを判定する(ステップS302)。電子マネーのチャージ残高が当該駅の最低運賃以上である場合、SF処理部56は、利用者の入場を許可する(ステップS304)。この場合、前述したように、SF処理部56は、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、チャージ残高等を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、電子マネーのチャージ残高が最低運賃未満である場合、SF処理部56は、利用者の入場を不許可とする(ステップS312)。この場合、前述したように、SF処理部56は、残高不足である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100である場合、利用面判定部62が、ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳されたか否かを判定する(ステップS306)。ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳された場合、ステップS302以下の処理が実行される。
ICカード100の第1の面100―1を下向きにしてICカード100が翳された場合、回数券処理部58が、回数券の残り回数が1回以上であるか否かを判定する(ステップS308)。回数券の残り回数が1回以上である場合、回数券処理部58は、回数券の1回分の運賃が最低運賃以上であるか否かを判定する(ステップS310)。回数券の残り回数が1回以上であり、且つ回数券の1回分の運賃が最低運賃以上である場合、回数券処理部58は、入場を許可する(ステップS304)。入場を許可する場合の動作は、SF処理部56による動作と同様であってよい。一方、回数券の残り回数が1回未満である場合、または回数券の1回分の運賃が最低運賃未満である場合、回数券処理部58は、利用者の入場を不許可とする(ステップS312)。入場を不許可とする場合の動作は、SF処理部56による動作と同様であってよい。
図9は、第1の実施形態に係る自動改札機10により実行される出場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、自動改札機10は、リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外であるか否かを判定する(ステップS400)。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外である場合、SF処理部56が、当該駅までの運賃を計算し(ステップS402)、電子マネーのチャージ残高が運賃以上であるか否かを判定する(ステップS404)。電子マネーのチャージ残高が運賃以上である場合、SF処理部56は、電子マネーのチャージ残高から運賃を差し引いた更新後のチャージ残高をICカード100に書き込むように制御し(ステップS406)、利用者の出場を許可する(ステップS408)。この場合、前述したように、SF処理部56は、運賃が差し引かれた更新後のチャージ残高を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、電子マネーのチャージ残高が運賃未満である場合、SF処理部56は、利用者の出場を不許可とする(ステップS420)。この場合、前述したように、SF処理部56は、チャージを促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100である場合、利用面判定部62が、ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳されたか否かを判定する(ステップS410)。ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳された場合、ステップS402以下の処理が実行される。
ICカード100の第1の面100―1を下向きにしてICカード100が翳された場合、回数券処理部58が、当該駅までの運賃を計算する(ステップS412)。そして、回数券処理部58は、回数券の残り回数が1回以上であるか否かを判定する(ステップS414)。回数券の残り回数が1回以上である場合、回数券処理部58は、回数券の1回分の運賃が最低運賃以上であるか否かを判定する(ステップS416)。回数券の残り回数が1回以上であり、且つ回数券の1回分の運賃が最低運賃以上である場合、回数券処理部58は、回数券の残り回数から1を差し引いた更新後の残り回数をICカード100に書き込むように制御し(ステップS418)、出場を許可する(ステップS408)。出場を許可する場合の動作は、SF処理部56による動作と同様であってよい。一方、回数券の残り回数が1回未満である場合、または回数券の1回分の運賃が最低運賃未満である場合、回数券処理部58は、利用者の出場を不許可とする(ステップS420)。この場合、前述したように、回数券処理部58は、精算機による清算を促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
以上説明した第1の実施形態によれば、従来、一つのICカードによって利用者が一種類のサービスを受けることができなかったところを、複数のサービスのいずれかを利用者自らの選択で享受することができる。従って、利用者にとっての利便性を高めることができる。例えば、回数券に期限が設定されている場合、チャージ残高を用いた運賃支払いの方が安い場合であっても、回数券の方で支払いを行いたいような場面が想定される。また、回数券を多用することによって割引を受けようとするニーズを喚起することもできる。
なお、応用例として、まず第2の面100―2を上向けにしてICカードI/F部20に翳し、回数券で運賃収受を行い、不足額が生じた場合、利用者がICカード100を反転させて再度ICカードI/F部20に翳すことで、不足額をチャージ残高から差し引くといった利用を許容してもよい。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る処理装置は、鉄道の駅等に設置される自動改札機である。自動改札機の外観構成については、図1を参照することとし、説明を省略する。図10は、第2の実施形態に係るICカードI/F部20と、自動改札機10を制御する制御部50を中心とした機能構成図である。ICカードI/F部20は、第1の実施形態と同様の機能および構成を有する。第2の実施形態に係る制御部50は、定期券処理部68を更に備える。
定期券処理部68は、ICカードI/F部20に翳されたICカード100が定期券である場合、当該駅が定期券区間内であるか否かを判定する。当該駅が入場駅である場合、定期券処理部68は、当該駅が定期券区間内であれば入場を許可する。当該駅が出場駅である場合、定期券処理部68は、入場駅と当該駅の双方が定期券区間内であれば出場を許可する。
図11は、第2の実施形態に係るICカード100が保持する情報の一例を示す図である。第2の実施形態に係るICカード100は、自身の識別情報であるID、入場駅、経由駅、出場駅、チャージ残高、回数券残り回数、回数券1回分の運賃、定期券の区間および期限、過去の履歴などの情報を保持している。なお、ICカード100は、各履歴において運賃に代えて残高を保持してもよい。
図12は、第2の実施形態に係る自動改札機10により実行される入場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、定期券処理部68が、リーダライタ22により検知されたものが定期券付きのICカード100または電子デバイスであるか否かを判定する(ステップS500)。リーダライタ22により検知されたものが定期券付きのICカード100または電子デバイスである場合、定期券処理部68は、当該駅が定期券区間内であり、かつ当日が定期券の期限内であるか否かを判定する(ステップS502)。ステップS500とS502の双方において肯定的な判定を得た場合、定期券処理部68は、利用者の入場を許可する(ステップS504)。この場合、定期券処理部68は、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、定期券での利用であることを表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、ステップS500とS502のいずれかにおいて否定的な判定を得た場合、SF処理部56および回数券処理部58によって、図8のステップS300〜S312の処理が実行される。これについて再度の説明は省略する。
図13は、第2の実施形態に係る自動改札機10により実行される出場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、定期券処理部68が、リーダライタ22により検知されたものが定期券付きのICカード100または電子デバイスであるか否かを判定する(ステップS600)。リーダライタ22により検知されたものが定期券付きのICカード100または電子デバイスである場合、定期券処理部68は、入場駅および当該駅が定期券区間内であり、かつ当日が定期券の期限内であるか否かを判定する(ステップS602)。ステップS600とS602の双方において肯定的な判定を得た場合、定期券処理部68は、利用者の出場を許可する(ステップS604)。この場合、定期券処理部68は、定期券での利用であることを表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、ステップS600とS602のいずれかにおいて否定的な判定を得た場合、SF処理部56および回数券処理部58によって、図9のステップS400〜S420の処理が実行される。なお、ステップS402においてSF処理部56は、定期券区間の終端駅から当該駅までの運賃を計算し、ステップS412において回数券処理部58は同様に、定期券区間の終端駅から当該駅までの運賃を計算すると読み替える。
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、利用者にとっての利便性を高めることができる。また、定期券と通常のチャージ、および回数券というように、三種類以上のサービスを一つのICカード100によって利用可能にすることができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る処理装置は、鉄道の駅等に設置される自動改札機である。自動改札機の外観構成については、図1を参照することとし、説明を省略する。図14は、第3の実施形態に係るICカードI/F部20と、自動改札機10を制御する制御部50を中心とした機能構成図である。ICカードI/F部20は、第1の実施形態と同様の機能および構成を有する。
第3の実施形態に係る制御部50は、SF処理部56および回数券処理部58に代えて、私用SF処理部70と公用SF処理部72を備える。第3の実施形態に係るICカード100は、私用で用いられる電子マネーのチャージ残高(以下、私用チャージ残高)と、公用(公用、社用、その他、私用でないものをいう)で用いられる電子マネーのチャージ残高(以下、公用チャージ残高)との双方を保持している。ここで、公用チャージ残高とは、利用者が個人の出費でチャージを行うものではなく、勤務する会社や公共機関等の出費でチャージが行われるものである。図15は、第3の実施形態に係るICカード100が保持する情報の一例を示す図である。第3の実施形態に係るICカード100は、自身の識別情報であるID、入場駅、経由駅、出場駅、私用チャージ残高、公用チャージ残高、過去の履歴などの情報を保持している。なお、ICカード100は、各履歴において運賃に代えて残高を保持してもよい。
図16は、第3の実施形態に係るICカード100の外観図である。ICカード100の第1の面100−1には、第1の二次元コード102―1と、例えば「私用チャージ」といった、人により認識可能な可視情報104−1とが印刷されている。一方、ICカード100の第2の面100−2には、第2の二次元コード102―2と、例えば「公用チャージ」といった、人により認識可能な可視情報104−2とが印刷されている。
実施形態の自動改札機10は、利用者によって、ICカード100が第1の面100―1を上向きにして翳された場合、すなわち、反対側の第2の面100―2がカメラ24によって撮像された場合、第1の面100―1に表示された「私用チャージ」に対応付けられた利用の意図(第1の面に対応付けられた利用の意図)を有すると判定する。従って、利用面判定部62は、情報読取部60により読み取られた情報が第2の二次元コード102―2に基づく情報である場合、私用チャージ残高に基づく処理を私用SF処理部70に行わせる。第2の二次元コード102―2は、私用チャージ残高に基づく処理を示す識別情報等を含んでいる。
一方、実施形態の自動改札機10は、利用者によって、ICカード100が第2の面100―2を上向きにして翳された場合、すなわち、反対側の第1の面100―1がカメラ24によって撮像された場合、第2の面100―2に表示された「公用チャージ」に対応付けられた利用の意図(第2の面に対応付けられた利用の意図)を有すると判定する。従って、利用面判定部62は、情報読取部60により読み取られた情報が第1の二次元コード102―1に基づく情報である場合、公用チャージ残高に基づく処理を公用SF処理部72に行わせる。第1の二次元コード102―1は、公用チャージ残高に基づく処理を示す識別情報等を含んでいる。
これらによって、ICカード100を利用する利用者は、手前側に見えている可視情報104―1、104―2に対応する運賃処理を受けることができる。この結果、実施形態の自動改札機10は、直感的に分かりやすいICカード100の利用の態様を提供することができる。
なお、ICカード100において、可視情報104−1および可視情報104−2の表示は省略されてもよく、抽象的なマーク、色彩等に置換されてもよい。また、二次元コードに代えて、ICカード100の翳された面がいずれであるかを識別可能な他の種類の情報が表示されてもよい。また、上記とは逆に、利用面判定部62は、ICカード100が第1の面100―1を上向きにして翳された場合、公用チャージ残高に基づく処理を公用SF処理部72に行わせ、ICカード100が第2の面100―2を上向きにして翳された場合、私用チャージ残高に基づく処理を私用SF処理部70に行わせてもよい。
以下、第3の実施形態に係る自動改札機10により実行される処理の流れについて説明する。なお、磁気券に関する処理の流れの説明は省略する。図17は、第3の実施形態に係る自動改札機10により実行される入場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、自動改札機10は、リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外であるか否かを判定する(ステップS700)。本判定は、カメラ24により撮像された画像に基づいて行ってもよいし、リーダライタ22が受信したICカードまたは電子デバイスの識別情報を参照して行ってもよい。ここで、「ICカード100以外である」とは、携帯電話等の電子デバイスの他、第1または第2の二次元コード102―1、102―2が印刷されていないICカードを含むものとしてよい。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外である場合、私用SF処理部70が、私用チャージ残高が当該駅の最低運賃以上であるか否かを判定する(ステップS702)。なお、本実施形態において、自動改札機10は、携帯電話等の電子デバイスに記憶されたチャージ残高を私用チャージ残高として扱うものとする。私用チャージ残高が当該駅の最低運賃以上である場合、私用SF処理部70は、利用者の入場を許可する(ステップS704)。この場合、私用SF処理部70は、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、私用チャージ残高等を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、私用チャージ残高が当該駅の最低運賃未満である場合、私用SF処理部70は、利用者の入場を不許可とする(ステップS710)。この場合、私用SF処理部70は、残高不足である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100である場合、利用面判定部62が、ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳されたか否かを判定する(ステップS706)。ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳された場合、ステップS702以下の処理が実行される。
ICカード100の第1の面100―1を下向きにしてICカード100が翳された場合、公用SF処理部72が、公用チャージ残高が当該駅の最低運賃以上であるか否かを判定する(ステップS708)。公用チャージ残高が当該駅の最低運賃以上である場合、公用SF処理部72は、利用者の入場を許可する(ステップS704)。この場合、公用SF処理部70は、入場駅情報をICカード100に書き込むようにエンコード部54およびリーダライタ22に指示し、公用チャージ残高等を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、公用チャージ残高が当該駅の最低運賃未満である場合、公用SF処理部72は、利用者の入場を不許可とする(ステップS710)。この場合、公用SF処理部72は、残高不足である旨の情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
図18は、第3の実施形態に係る自動改札機10により実行される出場処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、リーダライタ22がICカード100または携帯電話等の電子デバイスを検知したときに開始される。
まず、自動改札機10は、リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外であるか否かを判定する(ステップS800)。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100以外である場合、私用SF処理部70が、当該駅までの運賃を計算し(ステップS802)、私用チャージ残高が運賃以上であるか否かを判定する(ステップS804)。私用チャージ残高が運賃以上である場合、私用SF処理部70は、私用チャージ残高から運賃を差し引いた更新後のチャージ残高をICカード100に書き込むように制御し(ステップS806)、利用者の出場を許可する(ステップS808)。この場合、私用SF処理部70は、運賃が差し引かれた更新後の私用チャージ残高を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、私用チャージ残高が運賃未満である場合、私用SF処理部70は、利用者の出場を不許可とする(ステップS818)。この場合、私用SF処理部70は、チャージを促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
リーダライタ22により検知されたものがICカード100である場合、利用面判定部62が、ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳されたか否かを判定する(ステップS810)。ICカード100の第1の面100―1を上向きにしてICカード100が翳された場合、ステップS802以下の処理が実行される。
ICカード100の第1の面100―1を下向きにしてICカード100が翳された場合、公用SF処理部72が、当該駅までの運賃を計算する(ステップS812)。そして、公用SF処理部72は、公用チャージ残高が運賃以上であるか否かを判定する(ステップS814)。公用チャージ残高が運賃以上である場合、公用SF処理部72は、公用チャージ残高から運賃を差し引いた更新後のチャージ残高をICカード100に書き込むように制御し(ステップS816)、利用者の出場を許可する(ステップS808)。この場合、公用SF処理部72は、運賃が差し引かれた更新後の私用チャージ残高を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を開放状態にするように扉制御部66に指示する。一方、公用チャージ残高が運賃未満である場合、公用SF処理部72は、利用者の出場を不許可とする(ステップS818)。この場合、公用SF処理部72は、チャージを促す情報を表示部20に表示させるように表示制御部64に指示し、扉部40を閉止状態にするように扉制御部66に指示する。
以上説明した第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、利用者にとっての利便性を向上させることができる。
上記説明した実施形態では、処理装置は自動改札機であるものとした。しかしながら、これに限らず、処理装置は、クレジットカードやIC機能付きキャッシュカード等に対する処理を行う装置として実施されてもよい。この場合、例えば私用と公用の口座を使い分けるといった利用の態様を実現することができる。この場合、処理装置は、クレジットカードやキャッシュカード用のリーダライタ、および付随する情報処理装置により構成される。
また、上記説明した実施形態では、ICカード100は、その両面に二次元コード等の情報を表示するものとしたが、ICカード100は、片側にのみ二次元コード等の情報を表示し、処理装置は、ICカード100の翳された面を撮像した画像の解析結果に加えて、ICカード100が有するフラグ情報(片面に二次元コード等の情報を表示するICカードであるか否か)を加味して、ICカード100の翳された面を判定するようにしてもよい。
また、上記説明した各実施形態は、互いに排他的な関係にあるものではなく、例えば第2の実施形態と第3の実施形態が組み合わされ、定期券の処理と私用チャージまたは公用チャージに基づく運賃収受が1つの自動改札機10によって実行されてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ICカードと通信を行う通信部(リーダライタ22)と、利用者によって翳されたICカードが表示する情報を光学的に読み取る光学読取部(カメラ24)と、光学読取部により読み取られた情報に基づいて、ICカードを利用する利用者が、ICカードの第1の面に対応付けられた利用の意図を有するか、ICカードの第2の面に対応付けられた利用の意図を有するかを判定する判定部(利用面判定部62)と、判定部による判定結果に基づいて、利用の意図に応じた処理を実行し、実行結果に基づく通信を通信部に行わせる処理部(SF処理部56および回数券処理部58、または、私用SF処理部70および公用SF処理部72)とを持つことにより、利用者にとっての利便性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。