以下、図面を参照しながら発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
(第1実施形態)
図1に示す表示装置Dは、車両のインストルメントパネルに組み付けられた車両用の表示装置である。表示装置Dは、車両の走行速度や車載バッテリの電力残量等、車両の状態を表した各種物理量の変化を表示したり、各種の異常が生じた場合にその旨を表示したり、演出画像を表示したりする。
図2に示すように、表示装置Dは主に、ケース10、液晶パネル20、バックライト30、指針40、電動モータ50、および回路基板60を備えて構成されている。ケース10は遮光性を有する樹脂製であり、液晶パネル20、バックライト30および回路基板60等を内部に収容して保持する。
液晶パネル20は、液晶が保持された液晶層、液晶層の両側に配置された一対の電極、カラーフィルタ基板、および一対の偏光フィルムを有して構成された、TFT液晶パネルである。電極は、行電極および列電極を組合せたマトリクス電極であり、画素毎に設けられた透明電極で構成され、電極に印加される電圧は薄膜トランジスタにより制御される。カラーフィルタ基板は、赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタを有し、各フィルタは画素毎(電極毎)に配置されている。また、各画素をオンオフする図示しない薄膜トランジスタ(TFT)を備えている。偏光フィルムは、所定方向に振動する光を透過して光の振動方向を所定方向に規制するフィルタである。一対の偏光フィルムは、振動方向が90度ずれるように配置されている。
バックライト30は、導光板31、反射板32、拡散板33および光源34(図3参照)を有して構成されている。光源34には発光ダイオードが採用され白色光を発光するものであり、複数の光源34が導光板31の側面に対向する位置に配置されている。光源34から射出された光は、導光板31へ側面から入射した後、反射板32で反射しながら導光板31の内部を進み、導光板31の正面側(図2の上側)から出射する。導光板31から出射した光は、拡散板33にて乱反射しながら透過する。これにより、拡散板33の全体が面発光した状態になり、液晶パネル20の全面に対して均一でムラの少ない光が、バックライト30から液晶パネル20へ射出される。
反射板32は導光板31の背面側に密着して配置されているのに対し、拡散板33は、導光板31の正面側に所定の隙間を空けて配置されている。なお、この隙間は空けなくともよい。また、液晶パネル20は、拡散板33の正面側に所定の隙間40aを空けて配置されており、この隙間40aに、可動の実体物である指針40が配置されている。
指針40は、指針部41とボス部42を有する。指針部41およびボス部42は透光性を有する樹脂により一体に形成されている。ボス部42には回転軸51が固定されている。回転軸51は、導光板31、反射板32および拡散板33に形成された貫通穴31a、32a、33aに挿入配置されており、電動モータ50により回転する。電動モータ50は回路基板60に取り付けられている。回路基板60に実装されたマイクロコンピュータ(マイコン61)が電動モータ50の駆動を制御することにより、指針40の回転位置が制御される。マイコン61は、中央処理演算装置およびメモリ等を有し、予め記憶されているプログラムにしたがって各種の演算処理を実行する。
液晶パネル20はフレキシブル配線板21を有しており、フレキシブル配線板21の先端に形成された端子21aは回路基板60に接続されている。回路基板60から液晶パネル20へ出力される画像信号は、フレキシブル配線板21を介して液晶パネル20の電極へ送信される。要するに、液晶パネル20の表示面20aに表示される画像の内容は、マイコン61により制御される。
回路基板60は、車両に搭載された電子制御装置のうち表示装置Dの外部に設けられた電子制御装置から各種情報を取得し、取得した情報に基づき液晶パネル20の表示内容および指針40の回転位置を制御する。上記情報の具体例としては、車両の走行速度や車載バッテリの電力残量等、車両の状態を表した各種物理量の変化を表した情報、および各種異常が生じた旨の情報が挙げられる。
図2に示すように、ケース10は、液晶パネル20の正面側に位置する見返し板11を有し、見返し板11には開口部11aが形成されている。これにより、液晶パネル20の表示面20aのうち、開口部11aの内側に位置する部分が視認可能領域となり、この視認可能領域は見返し板11により仕切られて特定される。また、液晶パネル20の外縁部分P1(図2参照)が、見返し板11により覆い隠されることとなる。ケース10には、見返し板11を正面側から覆うカバー12が取り付けられている。カバー12は透光性を有する樹脂製である。
バックライト30の光源34を点灯させると、液晶パネル20へ背面側から光が照射される。詳細には、拡散板33の正面側の面(発光面33b)から射出される光は液晶パネル20を透過し、開口部11aおよびカバー12を通じて表示装置Dの正面側に射出される。これにより、液晶パネル20が透過照明され、表示面20aに表示される画像がユーザに視認されるようになる。詳細には、液晶パネル20の画素毎に配置された電極への印加電圧に応じて、該当する画素に対する光の透過率(光透過性)は変化する。
例えば、赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタに対応する電極の全てについて、透過率が最大になるように印加電圧を制御すると、各々のフィルタを透過する光の輝度が最大になる。その結果、該当する画素は白色に視認される。つまり、拡散板33の発光色で視認される。一方、各フィルタに対応する電極の全てについて、透過率が最小になるように印加電圧を制御すると、各々のフィルタを透過する光の輝度が最小になる。その結果、該当する画素は黒色に視認される。
表示面20aのうち、上述の如く透過率が高く制御された領域(特定画素領域G10)については、その領域の背面側に位置する物体、つまり指針40または拡散板33が、液晶パネル20を透かして視認可能になる。換言すれば、バックライト30から射出された光(白色光)のうち、指針40に反射して液晶パネル20に向かう光は、特定画素領域G10を透過してユーザに視認されることとなる。
一方、表示面20aのうち特定画素領域G10に比べて透過率が低く制御された領域(他の画素領域G20)については、その領域の背面側に位置する物体は視認できなくなる。換言すれば、指針40に反射して液晶パネル20に向かう光は、他の画素領域G20を透過しないのでユーザに視認されない。なお、図1、図3および図4に示す斜線は、断面ハッチングを意味するものではなく、他の画素領域G20または第2画素領域G40の範囲を意味する。
透過率を高くするほど、指針40からの反射光が液晶パネル20を透過する度合いが大きくなり、指針40が鮮明に視認されるようになる。一方、透過率を低くするほど、指針40からの反射光が液晶パネル20を透過する度合いが小さくなり、指針40がぼやけて視認されるようになる。
要するに、液晶パネル20による透過率を制御することで、指針40が視認される実体物表示モード(図1参照)と、指針40が視認されない実体物非表示モード(図4参照)とに切り替えることができる。また、実体物表示モードでは以下の態様で表示装置Dを視認させることもできる。すなわち、液晶パネル20による透過率の度合いに応じて指針40の鮮明度合い(ぼやける度合い)を制御できるので、その透過率を調整することで、指針40がぼやけて視認される度合いを調整できる。また、特定画素領域G10に表示される画像と指針40とを重ねて視認させることができる。また、特定画素領域G10のうち指針40と重なる部分を他の部分とは異なる色で表示することで、指針40がその表示色であるかのように錯覚させることができる。
図1に示す実体物表示モードでは、表示面20aのうち指針40の回転領域の全体を含む領域を特定画素領域G10として設定しており、特定画素領域G10の外側全体を他の画素領域G20として設定している。特定画素領域G10には、指針40に指し示される目盛り画像G11、および影画像G12が表示される。車速に応じて指針40の回転位置を制御することで、指針40と目盛り画像G11との組み合わせにより車速が表示される。影画像G12は、指針部41から回転方向逆側に延びる影を模した画像である。よって、指針40の回転位置に応じて影画像G12の表示位置も変化することとなる。なお、影画像G12の回転方向長さは、指針40の回転速度が速いほど長く設定される。
要するに、図1に示す実体物表示モードでは、他の画素領域G20に表示された黒色画像を背景とし、拡散板33、指針40、目盛り画像G11および影画像G12が組み合わさって視認される。また、表示面20aと指針40と拡散板33とでは、視認方向における光路長が異なるので、焦点距離の違いによる視差が生じる。つまり、指針40は表示面20aの視認方向奥側(背面側)に存在するように視認され、拡散板33は指針40のさらに奥側に存在するように視認される。
他の画素領域G20には黒色の背景画像が表示される。さらに他の画素領域G20には、ウインカーが操作された向きを表示する方向指示画像G22、および各種異常を警告表示する警告画像G23が、背景画像を背景として表示されている。他の画素領域G20に表示される全ての画像、つまり方向指示画像G22、警告画像G23および黒色の背景画像は、透過率が所定値未満となるように設定されている。一方、特定画素領域G10に表示される白色の背景画像は、透過率が所定値以上となるように設定されている。
図4に示す実体物非表示モードでは、表示面20aは、各種情報を表示する第1画素領域G30と、第1画素領域G30の外側全体の領域である第2画素領域G40とに区分されている。第2画素領域G40は、指針40が視認されない程度に透過率が低く設定されており、指針40の回転位置は、第2画素領域G40に対応する位置に制御されている。そのため、指針40はユーザに視認されない。
第1画素領域G30には、車速を数値で表した車速画像G31と、車載バッテリの電力残量を表した電力残量画像G32とが表示されている。第1画素領域G30のうち電力残量画像G32の背景部分は、周期的に変化する態様で表示される。例えば電力残量画像G32を中心として背景画像が回転することにより、充電中であることを表現している。
第2画素領域G40には黒色の背景画像が表示される。さらに第2画素領域G40には、ウインカーが操作された向きを表示する方向指示画像G41が、背景画像を背景として表示されている。
図5に示す駆動回路63は、回路基板60に実装されたものであり、マイコン61から出力された指令信号にしたがって、液晶パネル20が有する先述した薄膜トランジスタの駆動を制御する。電源回路64は、回路基板60に実装されたものであり、バックライト30が有する光源34への電力供給量を、マイコン61から出力された指令信号にしたがって制御する。具体的には、光源34への電力供給のオンオフを制御する。
回路基板60に実装されたマイコン61、メモリ62、入力処理回路、出力処理回路等により、制御装置600が構成されている。この制御装置600は、駆動回路63を制御することで液晶パネル20の表示画像を制御するとともに、電源回路64を制御することでバックライト30のオンオフを制御していると言える。さらに制御装置600は、電動モータ50を制御することで指針40の回転位置を制御している。
メモリ62には、液晶パネル20に表示される各種の画像を表した画像データが記憶されている。マイコン61は、車両の状態に応じて表示モードを切り替える切替手段61aとしても機能する。例えば、イグニッションスイッチ(IGSW601)がオン操作されると、バックライト30への電力供給をオンにして、指針40を視認させないようにしつつ演出画像を表示する開始演出モードで液晶パネル20を表示させる。IGSW601がオフ操作された場合にも、指針40を視認させないようにしつつ演出画像を表示する終了演出モードで液晶パネル20を表示させ、その後、バックライト30への電力供給をオフにする。
開始演出モードの終了後、IGSW601がオフ操作されるまでの期間において、通常時には、センサ602により検出された車速等の物理量に基づき、該物理量を指し示すように指針40の回転位置を制御する。そして、図1に示す実体物表示モードで液晶パネル20を表示させる。この場合、他の画素領域G20の画像内容については、ユーザの好みに応じた画像に変更可能である。但し、他の画素領域G20の透過率は所定値未満とする。
車載バッテリの電力残存量が所定値未満になっている場合や、ユーザが表示の切り替えを要求した場合等、所定の条件を満たすイベントが発生した時には、実体物表示モードから図4に例示される実体物非表示モードに切り替える。図4の例では、指針40の一部が、液晶パネル20に対向する位置から外れた位置となるよう、指針40の回転位置を制御する。そして、指針40を視認させないようにするべく、液晶パネル20の表示面20aのうち指針40が背面側に位置する部分が、第2画素領域G40となるように表示制御する。車速画像G31は、センサ602により検出された車速を表した画像に制御される。
図6は、マイコン61が有する中央処理演算装置により所定周期で繰返し実行される処理の手順を示すフローチャートであり、先ず、ステップS10にて実体物表示モードが要求されているか否かを判定する。指針40をユーザに視認させる実体物表示モードが要求される例としては、指針40で目盛りを指し示すことにより物理量を表示する場合が挙げられ、具体的には、図1に示す如く車速を表示する場合が挙げられる。一方、指針40をユーザに視認させない実体物非表示モードが要求される例としては、液晶パネル20に表示されている画像に注目させる場合が挙げられる。具体的には、図4に示す電力残量画像G32や、表示装置Dの起動時に表示されるオープニング画像、表示装置Dの作動終了時に表示されるエンディング画像等に注目させる場合が挙げられる。
ステップS10にて非表示モードと判定された場合には、続くステップS11において、図4中の点線に示すように第2画素領域G40の背面側に指針40を退避させる退避制御を実行する。その後、ステップS12において、液晶パネル20を以下のように表示させて指針40を視認させないようにする演出制御を実行する。すなわち、第2画素領域G40では、指針40が視認できない程度に透過率の低い画像を表示させる。第1画素領域G30では、車速画像G31や電力残量画像G32等の物理量を報知する画像を表示させる。
非表示モードにおける第1画素領域G30では、液晶パネル20の背面側に位置する物体である拡散板33が視認できない程度に透過率を低くする必要はない。例えば、第1画素領域G30の透過率を高くしても、指針40は退避制御されているので視認されず、指針40の背面側に位置する拡散板33が視認されることとなる。仮に透過率が100%であれば、この場合の拡散板33は光源34の色で面発光しているように視認される。
ステップS10にて表示モードと判定された場合には、続くステップS13において、図1中に示すように、報知させたい物理量に応じた回転位置に指針40を回動させるよう、電動モータ50を制御する。その後、ステップS14において、液晶パネル20を以下のように表示させて回動制御される指針40を視認させるように、特定画素領域G10の透過率を制御する。特定画素領域G10は、指針40の物理量に応じた回動範囲の全体を含むように設定されている。また、特定画素領域G10に、目盛り画像G11および影画像G12を表示させる。これにより、指針40が目盛り画像G11を指し示すことで車速等の物理量が表示されることとなる。
特定画素領域G10のうち指針40が存在しない領域、かつ、目盛り画像G11および影画像G12が表示されていない領域は、拡散板33が視認されることとなる。この領域の透過率が100%であれば、この場合の拡散板33は光源34の色で面発光しているように視認される。つまり、拡散板33を背景として、指針40、目盛り画像G11および影画像G12が視認されるようになる。他の画素領域G20については、特定画素領域G10よりも低い透過率に制御する。なお、ステップS10の処理を実行している時のマイコン61は、実体物表示モードと実体物非表示モードとに切り替える「切替手段」に相当する。
以上により、本実施形態によれば、液晶パネル20とバックライト30の間に指針40(実体物)が配置されている。そのため、液晶パネル20の正面側に指針を配置した場合に生じる「液晶パネル20による画像の一部が指針により遮られて見えなくなる」といった問題を回避できる。よって、液晶パネル20に実体物としての指針40を組み合わせて表示装置Dに奥行き感を付与させつつも、液晶パネル20の表示面20a全体を有効に利用できるようになる。
また、本実施形態によれば、液晶パネル20による画像の奥側に指針40が視認され、さらにその指針40の奥側に拡散板33が視認される。したがって、少なくとも3層のレイヤー表示を実現でき、奥行きのある見栄えにすることを向上できる。
さらに本実施形態によれば、指針40が背面側に位置する部分の特定画素領域G10の透過率が、他の画素領域G20より高いので、特定画素領域G10を透過して指針40が視認され易くなる。一方、他の画素領域G20については、液晶パネル20の背面側に存在する物(拡散板33)が視認され難くなる。そのため、特定画素領域G10を透して視認される指針40が目立つようになり、指針40に視線が惹きつけられることが促進される。つまり、指針40への誘目性を向上させることができる。
さらに本実施形態では、制御装置600は、他の画素領域G20が黒色画像になるように液晶パネル20を制御する。そのため、他の画素領域G20では拡散板33が視認されなくなり、かつ、特定画素領域G10の輝度が他の画素領域G20の輝度よりも高くなるので、指針40への誘目性をより一層向上できる。
さらに本実施形態によれば、液晶パネル20とバックライト30との間で実体物(指針40)を動かすアクチュエータ(電動モータ50)を備える。これによれば、液晶パネル20の表示変化に実体物の変化を合体させて、多様な表示にできる。
さらに本実施形態によれば、実体物には、アクチュエータ(電動モータ50)により回転駆動される指針40が含まれており、液晶パネル20には、指針40により指し示される複数の目盛り画像G11が表示されている。ここで、本実施形態に反して指針40を液晶パネル20の正面側に配置すると、指針40のボス部42の厚さ分だけ指針40を表示面20aから離す必要が生じる。これに対し本実施形態では、液晶パネル20の背面側に指針40を配置するので、視認方向における表示面20aと指針部41との間隔を小さくできる。よって、目盛り画像G11と指針部41との視線方向距離の差、つまり焦点距離の差(視差)を小さくできるので、いずれの目盛り画像G11を指し示しているのかの視認性が向上する。
さらに本実施形態によれば、液晶パネル20には、指針40の影を表す影画像G12が、指針40の回転駆動に伴い表示位置が移動するように表示されている。さて、本実施形態によれば、先述した通り表示面20aと指針部41との視差を小さくできるので、影画像G12を表示させた場合、その影画像G12と指針部41との視差を小さくできる。よって、影画像G12が実体物にピッタリと連れ動くように見せることができるので、実際の影であるかのように錯覚させることができ、表示装置Dによる表示のリアリティを向上できる。
さらに本実施形態によれば、特定画素領域G10の透過率を、実体物(指針40)が視認可能となる程度に高くする実体物表示モードと、実体物が視認できない程度に低くする実体物非表示モードとに切り替える切替手段(ステップS10)を備える。そのため、液晶パネル20の表示を切り替えることで、実体物が現れたり消えたりする表示を容易に実現できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図7に示すように、特定画素領域G10に数字画像G13が表示されている。数字画像G13は、目盛り画像G11に対応する数値を表した画像である。そして、数字画像G13が部分的に指針部41と重なっている時、数字画像G13のうち指針部41と重なっている部分を表示させないようにしている。例えば、図7に示されている複数の数字画像G13のうち、「0」「40」「60」「80」「100」「120」「140」を示す数字画像は指針部41と重なっていないため、数字の全体が数字画像として表示されている。これに対し「20」を示す数字画像は、部分的に指針部41と重なっており、その重なった部分は数字画像を表示させていない。
仮に、本実施形態に反して指針部41と重なった部分の数字画像も表示させると、指針40が液晶パネル20の背面側に配置されていることに起因して、指針部41のうち数字画像と重なった部分の視認性が悪くなる。よって、指針部41が、複数の目盛り画像G11のいずれを指し示しているかの視認性が悪くなる。これに対し本実施形態では、指針部41のうち数字画像と重なった部分については数字画像G13を部分的に表示させないようにするので、指針部41の視認性悪化を回避できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図8および図9に示すように、実体物には、表示面20aの視認可能領域の外縁に沿って延びる壁部材400が含まれている。視認可能領域の外縁は、見返し板11の開口部11aの壁面により特定される。壁部材400は、上記外縁に沿って環状に延びる筒形状であり、液晶パネル20に近づくほど開口面積が拡大する形状である。壁部材400の筒形状内部に指針部41は位置する。壁部材400は透光性を有する樹脂製である。
壁部材400の内周面は凹凸形状に形成されており、凹凸に応じて屈折した光が、液晶パネル20を透して視認される。具体的には、図9に示すように、壁部材400の内周面に、環状に延びる4本の凸部401が4つ並べて形成されている。液晶パネル20の表示面20aのうち、壁部材400が背面側に位置する部分の画素領域は、他の画素領域G20に比べて透過率の高い特定画素領域G100に設定されている。そのため、壁部材400は特定画素領域G100を透して図8のように視認されることとなる。なお、図4に示す非表示モードにおいては、第2画素領域G40の背面側に壁部材400が位置することとなり、壁部材400は視認されない。
以上により、本実施形態によれば、液晶パネル20の奥側に、指針40とともに壁部材400が視認されるようになる。よって、液晶パネル20の正面側に壁部材を配置した場合に生じる「液晶パネル20による画像の一部が壁部材により遮られて見えなくなる」といった問題を回避できる。よって、液晶パネル20に実体物としての壁部材400を組み合わせて表示装置Dに奥行き感を付与させつつも、液晶パネル20の表示面20a全体を有効に利用できるようになる。
(第4実施形態)
上記各実施形態では、指針40を実体物として液晶パネル20の背面側に配置している。これに対し本実施形態では、図10〜図12に示すように、実体物としての指針を廃止しており、液晶パネル20の画像(指針画像G14)で指針を表現している。そして、加飾リング420および加飾ボス部材430が実体物として、バックライト30と液晶パネル20の隙間40aに配置されている。加飾リング420および加飾ボス部材430は、拡散板33の正面側の面に接触した状態で固定されている。
加飾ボス部材430は、液晶パネル20の側に向けて凸となる向きに配置された円錐形状であり、円錐面にメッキが施された樹脂製である。該メッキは、指針画像G14と同じ色に反射着色される。例えば、加飾リング420の内周側エッジ420aから出射したLED光赤色に反射着色される。加飾ボス部材430は、加飾リング420の中央に配置されている。
加飾リング420は、透光性を有する樹脂で形成されたリング状(環状)であり、本実施形態に係る加飾リング420は円環状である。加飾リング420は、拡散板33との接触面から正面側に隆起した形状である。加飾リング420の正面側の面には、複数の溝が形成されており、これらの溝は、加飾リング420の径方向に延びる筋状であり、指針画像G14に指し示される目盛り421として機能する。
加飾リング420には導光部422が設けられており、加飾リング420および導光部422は、樹脂により一体に形成されている。導光部422の側面には、発光ダイオードによる光源423が取り付けられている。光源423から射出された光は、導光部422の側面から入射した後、導光部422および加飾リング420の内部を進み、目盛り421を形成する溝で反射して、加飾リング420の正面側(図11の上側)から出射する。目盛り421で反射した光は、液晶パネル20の特定画素領域G10を透過してユーザに視認されることとなる。
したがって、光源423を点灯させると目盛り421の部分が光って見える。光源423には赤、緑、青の3種類が設けられており、各々の光源423の輝度をマイコン61が制御することで、加飾リング420から射出される光の色を調整できる。つまり、目盛り421を所望の色で視認させることができる。
表示面20aのうち、透過率が高く制御された領域(特定画素領域G10)については、その領域の背面側に位置する物体、つまり加飾リング420、加飾ボス部材430または拡散板33が、液晶パネル20を透かして視認可能になる。換言すれば、バックライト30から射出された光(白色光)のうち、加飾リング420および加飾ボス部材430で反射または屈折して液晶パネル20に向かう光は、特定画素領域G10を透過してユーザに視認されることとなる。具体的には、バックライト30から射出した光のうち、加飾ボス部材430のメッキ部分で反射した光、および加飾リング420の内周側エッジ420aから射出した光が、特定画素領域G10を透過して視認される。さらに、光源423から射出して目盛り421で反射した光が、特定画素領域G10を透過して視認される。さらに、バックライト30のうち加飾リング420の内周側に位置する部分から射出した光が、特定画素領域G10を透過して背景画像として視認される。
一方、表示面20aのうち透過率が低く制御された領域(他の画素領域G20)では、その領域の背面側に位置する物体は視認できなくなる。換言すれば、加飾リング420および加飾ボス部材430で反射または屈折して液晶パネル20に向かう光は、他の画素領域G20を透過しないのでユーザに視認されない。なお、図10、図12、図13および図14に示す斜線は、断面ハッチングを意味するものではなく、透過率が所定値未満に低く設定された画素領域の範囲を意味する。
透過率を高くするほど、加飾リング420および加飾ボス部材430からの光が液晶パネル20を透過する度合いが大きくなり、加飾ボス部材430、内周側エッジ420aおよび目盛り421が鮮明に視認されるようになる。一方、透過率を小さくするほど、加飾ボス部材430、内周側エッジ420aおよび目盛り421からの光が液晶パネル20を透過する度合いが小さくなり、ぼやけて視認されるようになる。
要するに、液晶パネル20による透過率を制御することで、実体物が視認される実体物表示モード(図10、図13参照)と、実体物が視認されない実体物非表示モード(図14参照)とに切り替えることができる。また、実体物表示モードでは以下の態様で表示装置Dを視認させることもできる。すなわち、液晶パネル20による透過率の度合いに応じて指針40の鮮明度合い(ぼやける度合い)を制御できる。透過率を調整することで、実体物がぼやけて視認される度合いを調整できる。特定画素領域G10に表示される画像と実体物とを重ねて視認させることができる。特定画素領域G10のうち実体物と重なる部分を他の部分とは異なる色で表示することで、実体物がその表示色であるかのように錯覚させることができる。
図10に示す実体物表示モードでは、表示面20aのうち加飾リング420および加飾ボス部材430の全体を含む領域を特定画素領域G10として設定しており、特定画素領域G10の外側全体を他の画素領域G20として設定している。特定画素領域G10には、目盛り421を指し示す指針画像G14、目盛り421の物理量を表す数字画像G13および影画像G12が表示される。影画像G12は、レーダをイメージさせる態様で指針の残像を表す画像である。車速に応じて指針画像G14の表示位置を回転させることで、指針画像G14と目盛り421との組み合わせにより車速が表示される。
指針画像G14は、加飾ボス部材430から径方向に延びる形状の画像であり、加飾ボス部材430を回転中心として回転するように表示される。これにより、指針画像G14により表示される指針と加飾ボス部材430とが一体となって回転しているように錯覚させる。影画像G12は、指針画像G14から回転方向逆側に延びる影を模した画像である。よって、指針画像の回転位置に応じて影画像G12の表示位置も変化することとなる。なお、影画像G12の回転方向長さは、指針画像G14の回転速度が速いほど長く設定される。
要するに、図10に示す実体物表示モードでは、他の画素領域G20に表示された黒色画像を背景とし、拡散板33、加飾リング420、加飾ボス部材430、指針画像G14、数字画像G13および影画像G12が組み合わさって視認される。また、表示面20aと実体物と拡散板33とでは、視認方向における光路長が異なるので、焦点距離の違いによる視差が生じる。つまり、実体物は表示面20aの視認方向奥側(背面側)に存在するように視認され、拡散板33は実体物のさらに奥側に存在するように視認される。
他の画素領域G20には黒色の背景画像が表示される。さらに他の画素領域G20には、ウインカーが操作された向きを表示する方向指示画像G22、および各種異常を警告表示する警告画像G23が、背景画像を背景として表示されている。他の画素領域G20に表示される全ての画像、つまり方向指示画像G22、警告画像G23および黒色の背景画像は、透過率が不透過(RGBが全てオフ)となるように設定されている。一方、特定画素領域G10に表示される白色の背景画像は、透過率が全透過(RGBが全てオン)となるように設定されている。
図13に示す実体物表示モードでは、表示面20aのうち加飾リング420を含む領域を特定画素領域G300として設定し、特定画素領域G300の外側全体を他の画素領域G400として設定している。特定画素領域G300には、バッテリ電力残存量を表す電力残量画像G320、および加飾リング420と同一の形状のリング画像G301が表示される。加飾ボス部材430を中心にリング画像G301が回転するように表示させることで、加飾リング420が実際に回転しているように錯覚させる。これにより、充電中である旨をユーザに認識させる。
他の画素領域G400には黒色の背景画像が表示される。さらに他の画素領域G400には、車速を数値で表した車速画像G401が、背景画像を背景として表示されている。背景画像および車速画像G401は、透過率が所定値未満となるように設定されている。一方、特定画素領域G300に表示されるリング画像G301は、透過率が所定値以上となるように設定されている。なお、図13の例では電力残量画像G320の透過率を所定値未満に設定しているため、加飾ボス部材430は視認されない。よって、電力残量画像G320が表示される領域は、実体物を視認させない他の画素領域の一部である。
図14に示す実体物非表示モードでは、表示面20aの全体が、実体物を視認できない程度の低い透過率で表示される画素領域G410に設定されている。画素領域G410の中には、所定値未満の低透過率に設定された演出画像G411が表示されている。したがって、加飾リング420および加飾ボス部材430の両方がユーザに視認されない。なお、図14に示す実体物非表示モードは、終了演出モードまたは開始演出モードの一例である。
以上により、本実施形態によれば、液晶パネル20とバックライト30の間に加飾リング420(実体物)および加飾ボス部材430(実体物)が配置されている。そのため、液晶パネル20の正面側にこれらの実体物を配置した場合に生じる「液晶パネル20による画像の一部が実体物により遮られて見えなくなる」といった問題を回避できる。よって、液晶パネル20に実体物としての加飾リング420および加飾ボス部材430を組み合わせて表示装置Dに奥行き感を付与させつつも、液晶パネル20の表示面20a全体を有効に利用できるようになる。
また、本実施形態によれば、実体物表示モードにおいて、液晶パネル20による画像の奥側に加飾リング420および加飾ボス部材430が視認され、さらにその奥側に拡散板33が視認される。したがって、少なくとも3層のレイヤー表示を実現でき、奥行きのある見栄えにすることを向上できる。
さらに本実施形態によれば、実体物が背面側に位置する部分の特定画素領域G10の透過率が、他の画素領域G20より高いので、特定画素領域G10を透過して実体物が視認され易くなる。一方、他の画素領域G20については、液晶パネル20の背面側に存在する物(拡散板33)が視認され難くなる。そのため、特定画素領域G10を透して視認される実体物が目立つようになり、実体物に視線が惹きつけられることが促進される。つまり、実体物への誘目性を向上させることができる。
さらに本実施形態では、バックライト30とは別に、加飾リング420(加飾部材)を照明する光源423を備える。そのため、加飾リング420の目盛り421と、液晶パネル20に表示される各種画像との視差で浮遊感を生じさせるにあたり、目盛り421を鮮明に視認させることができるので、視差が強調されて浮遊感を向上できる。
さらに本実施形態では、実体物としての目盛り421が、指針画像G14により指し示される。そのため、目盛り421が指針画像G14の奥側に視認され、奥行きのある見栄えにすることを向上できる。さらに、目盛り421の奥側に、指針画像G14の背景となる拡散板33が視認されるので、奥行き感を向上できる。
さらに本実施形態によれば、他の画素領域G20が黒色画像になるように液晶パネル20を制御する。そのため、他の画素領域G20では拡散板33が視認されなくなり、かつ、特定画素領域G10の輝度が他の画素領域G20の輝度よりも高くなるので、加飾リング420および加飾ボス部材430への誘目性をより一層向上できる。
さらに本実施形態によれば、加飾リング420および加飾ボス部材430の両方を非表示にする非表示モード(図14参照)と、加飾ボス部材430を非表示にしつつ、加飾リング420を表示する表示モード(図13参照)とを切り替える。このように、実体物を液晶パネル20の背面側に配置しているので、液晶パネル20による低輝度領域(他の領域)を変更することで、所望の実体物を非表示にすることを容易に実現できる。
(第5実施形態)
図10に示す上記実施形態では、加飾リング420が所定位置に固定して設置されている。これに対し、図15〜図19に示す本実施形態では、アクチュエータ(電動モータ424)により加飾リング420を可動に構成している。具体的には、図17に示すように、加飾リング420に取り付けられたブラケット425に、電動モータ424の回転軸を取り付けている。電動モータ424の回転軸を回転駆動させるとブラケット425が回転し、これにより、上記回転軸を中心に加飾リング420が回転する。なお、本実施形態では図12に示す加飾ボス部材430を廃止して(図16参照)、加飾ボス部材430を模したボス画像G15を液晶パネル20に表示させている(図15参照)。これにより、回転する加飾リング420に加飾ボス部材430が干渉することを回避させている。
図5に示す制御装置600が電動モータ424を制御することにより、加飾リング420は、液晶パネル20の表示面20aに対向する位置(図18参照)と、対向する位置から外れた位置(図19参照)とに往復移動する。ブラケット425は、光源423とともに、表示面20aに対向する位置から外れた位置に配置されている(図18、図19参照)。そのため、ブラケット425、電動モータ424および光源423は、インストルメントパネルの裏面側に隠れて配置されることになるので、図15に示すように視認されることはない。
なお、ケース10がインストルメントパネルに組み付けられていることは先述した通りであるが、図15では、ケース10の周囲に存在するインストルメントパネルの図示を省略している。また、図18および図19では、インストルメントパネルから表示装置Dを取り外した状態を図示している。
図18に示す実体物表示モードでは、特定画素領域G10に位置する加飾リング420の一部が液晶パネル20を透過して視認されることとなる。一方、図19に示す実体物非表示モードでは、加飾リング420は第2画素領域G40により隠されて視認されなくなる。なお、加飾リング420を可動させることにより、加飾リング420のうち、表示面20aに対向する位置に存在する部分の面積は、実体物非表示モードでは実体物表示モード時よりも減少する。
図15および図18に示す実体物表示モードでは、表示面20aのうち加飾リング420を含む領域を特定画素領域G10として設定しており、特定画素領域G10の外側全体を他の画素領域G20として設定している。特定画素領域G10には、目盛り421を指し示す指針画像G14、目盛り421の物理量を表す数字画像G13、影画像G12およびボス画像G15が表示される。この実体物表示モードでは、他の画素領域G20に表示された黒色画像を背景とし、拡散板33、加飾リング420、指針画像G14、数字画像G13、影画像G12およびボス画像G15が組み合わさって視認される。
他の画素領域G20には黒色の背景画像が表示される。さらに他の画素領域G20には、ウインカーが操作された向きを表示する方向指示画像G22、および各種異常を警告表示する警告画像G23が、背景画像を背景として表示されている。他の画素領域G20に表示される画像は、透過率が所定値未満となるように設定されている。一方、特定画素領域G10に表示される白色の背景画像は、透過率が所定値以上となるように設定されている。
図19に示す実体物非表示モードでは、表示面20aは、第1画素領域G30と、第1画素領域G30の外側全体の領域である第2画素領域G40とに区分されている。第2画素領域G40は、加飾リング420が視認されない程度に透過率が低く設定されており、加飾リング420の回転位置は、第1画素領域G30に対応する位置の外に制御されている。詳細には、加飾リング420の一部は第2画素領域G40に対向する位置に存在し、それ以外の部分は表示面20aに対向する位置の外に存在する。そのため、加飾リング420はユーザに視認されない。また、第2画素領域G40には黒色の背景画像を背景として、方向指示画像G41が表示されている。
第1画素領域G30には、車速を数値で表した車速画像G31と、車載バッテリの電力残量を表した電力残量画像G32とが表示されている。これら車速画像G31および電力残量画像G32の背景を表す第1画素領域G30の背景画像は、第2画素領域G40の背景画像よりも高透過率に設定されている。
以上により、本実施形態によれば、液晶パネル20とバックライト30の間に加飾リング420(実体物)が配置されている。そのため、液晶パネル20の正面側にこの実体物を配置した場合に生じる「液晶パネル20による画像の一部が実体物により遮られて見えなくなる」といった問題を回避できる。よって、液晶パネル20に実体物としての加飾リング420を組み合わせて表示装置Dに奥行き感を付与させつつも、液晶パネル20の表示面20a全体を有効に利用できるようになる。
さらに本実施形態によれば、全ての実体物、つまり加飾リング420および加飾ボス部材430の両方を非表示にする非表示モード(図14参照)と、一部の実体物つまり加飾ボス部材430を非表示にする非表示モード(図13参照)とを切り替える。このように、実体物を液晶パネル20の背面側に配置しているので、液晶パネル20による低輝度領域(他の領域)を変更することで、所望の実体物を非表示にすることを容易に実現できる。
さらに本実施形態によれば、電動モータ424は、表示面20aに対して平行に実体物を移動させる。そのため、表示装置Dを視認方向に大型化させることを回避しつつ、実体物を可動にできる。また、電動モータ424は、液晶パネル20の表示面20aに対向する位置と、その対向する位置から外れた位置とに実体物を往復移動させる。そのため、実体物非表示モードにおいて、実体物のうち表示面20aに対向する部分の面積を小さくできる。よって、実体物非表示モードでの第2画素領域G40、つまり、実体物を隠すための画素領域の面積を小さくできる。そのため、低輝度にすることが要求される面積を小さくでき、実体物非表示モードにおける表示内容の自由度を向上できる。
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、実体物である加飾リング420を回転移動させている。これに対し本実施形態では、加飾リング440を、向きを変えずに表示面20aに対して平行に移動させている。しかも、複数の分割ピース441、442、443、444を平行移動させることで、以下に説明する図20に示す合体モードと図21に示す分離モードとに切り替えている。
合体モードでは、複数の分割ピース441〜444を組み合わせて1つの加飾リング440を形成するように移動させる。液晶パネル20のうち加飾リング440に対向する部分には、加飾リング画像G50が表示されている。加飾リング画像G50の外側部分には、車速を数値で表した車速画像G51、および燃料残量を表した燃料残量画像G52が表示されている。加飾リング画像G50の内側部分には、指針画像G53、目盛り画像G54および数値画像G55が表示されている。
合体モードにおいて、液晶パネル20のうち加飾リング画像G50が表示される領域は「特定画素領域」に相当する。上記各画像G50〜G55が表示されていない領域は、背景画像が表示される「他の画素領域」に相当する。つまり、加飾リング画像G50は、加飾リング440に重畳する位置に表示されており、上記背景画像に比べて光の透過率が高くなるように設定されている。そのため、加飾リング440は液晶パネル20を透過して視認される。したがって、加飾リング画像G50が加飾リング440に重なって視認され、加飾リング440が加飾リング画像G50の色等で形成された実体物であるかのように錯視させることができる。
分離モードでは、複数の分割ピース441〜444を分離して配置させる。分割ピース441〜444の各々は、以下に説明する各々の指針画像G63および目盛り画像G64を加飾する。液晶パネル20の4隅に位置する4組の指針画像G63および目盛り画像G64は、燃料残量、エンジン回転数、エンジン冷却水温度、燃費指標をそれぞれ表示する。液晶パネル20の中央部分には、車速を数値で表した車速画像G61が表示されている。
分離モードにおいて、液晶パネル20のうち加飾リング画像G60が表示される領域は「特定画素領域」に相当し、上記各画像G60〜G64が表示されていない領域は背景画像であり、「他の画素領域」に相当する。つまり、加飾リング画像G60は、上記背景画像に比べて光の透過率が高くなるように設定されており、分割ピース441〜444は液晶パネル20を透過して視認される。したがって、加飾リング画像G60が分割ピース441〜444に重なって視認され、分割ピース441〜444が加飾リング画像G60の色等で形成された実体物であるかのように錯視させることができる。
要するに、合体モードと分離モードとに切り替えて分割ピース441〜444を移動させ、その移動に伴って特定画素領域の位置または形状を変更させるように液晶パネル20を制御していると言える。なお、上記第5実施形態では、加飾リング420の回転移動範囲を、表示面20aの外側にまで拡大させているが、本実施形態では、分割ピース441〜444の移動範囲を、表示面20aに対向する範囲(内側)に制限している。
以上により、本実施形態の如く加飾リング440を平行移動させる場合においても、上記第5実施形態と同様の効果が発揮される。また、加飾リング440を複数の分割ピース441〜444に分離して移動させるので、加飾リング420を回転させる場合に比べて特定画素領域の位置の自由度が向上する。よって、実体物表示モードおよび実体物非表示モードのいずれにおいても、表示内容の自由度を向上できる。
(第7実施形態)
上記第6実施形態では、複数の分割ピース441〜444を、向きを変えずに平行移動させている。これに対し、図22に示す本実施形態では、加飾リング450を構成する複数の分割ピース451、452、453、454は、複数の回転軸450a、450bの各々を中心に回転するように構成されている。図22中の二点鎖線は、複数の分割ピース451〜454を組み合わせて1つの加飾リング450を形成するように移動させた、合体モードを示す。
合体モードおよび分離モードにおいて、液晶パネル20のうち加飾リング画像G70、G71が表示される領域は「特定画素領域」に相当する。加飾リング画像G70、G71が表示されていない領域は、背景画像が表示される「他の画素領域」に相当する。つまり、加飾リング画像G70、G71は、上記背景画像に比べて光の透過率が高くなるように設定されており、加飾リング450または分割ピース451〜454は液晶パネル20を透過して視認される。したがって、加飾リング画像G70、G71が分割ピース451〜454に重なって視認され、加飾リング450が加飾リング画像G70、G71の色等で形成された実体物であるかのように錯視させることができる。
要するに、合体モードと分離モードとに切り替えて分割ピース451〜454を移動させ、その移動に伴って特定画素領域の位置または形状を変更させるように液晶パネル20を制御していると言える。
以上により、本実施形態によれば、加飾リング440を複数の分割ピース451〜454に分離して移動させるので、分離させない第5実施形態の場合に比べて特定画素領域の位置の自由度が向上する。また、各々の分割ピース441〜444を平行移動させる上記第6実施形態に比べて、分割ピース451〜454を回転させる本実施形態の構造によれば、分割ピース451〜454を回転させる機構を簡素で小型にできる。
(第8実施形態)
本実施形態では、図23、図24および図25に示すように、液晶パネル20に対してバックライト30の反対側(正面側)に、回転駆動される指針70が備えられている。指針70は、指示部71およびカバー部72を有する。ケース10には、視認方向に対して垂直方向に凹む凹部10aが形成されている。凹部10aには、モータ81および光源82が実装された基板80が配置されている。基板80は回路基板60に接続されており、モータ81および光源82の作動はマイコン61により制御される。基板80はケース10に支持され、モータ81は基板80に支持され、指針70はモータ81に支持される。
指示部71の回転中心部分にはモータ81の回転軸81aが固定されており、モータ81が駆動すると、指示部71は、カバー部72とともに表示面20aに沿って回転する。光源82は例えば発光ダイオードであり、光源82から射出された光は、指示部71の入射面71aから指示部71の内部へ入射する。指示部71は導光性を有する樹脂製であり、内部へ入射した光は反射面71bで反射して、指示部71の回転中心部分から先端部分へ向かって進む。
指示部71のうち背面側の面は反射面71cとして機能する。例えば、しぼ加工を施すことで反射面71cを形成する。或いは、白色の塗料を塗布することで反射面71cを形成する。反射面71bで反射した後、反射面71cで反射しながら指示部71の内部を進む光は、指示部71の手前側(視認者側)の面である射出面71dから射出する。これにより、光源82の光で指示部71は透過照明され、射出面71dの全体が光るように視認される。
指示部71の回転中心部分であって、回転軸81aおよび入射面71aを形成する部分は、その手前側からカバー部72により覆われている。カバー部72は、透光性を有しない樹脂で形成されている。或いは、カバー部72の表面に遮光塗料が塗布されている。カバー部72は、その手前側からケース10により覆われている。ケース10は、透光性を有しない樹脂で形成されているので、指針70のうちのカバー部72は、ケース10により覆われて視認できないように目隠しされる。
図23に示すように、液晶パネル20を実体物表示モードで表示させている場合には、指針70が目盛り421を指し示す範囲(表示範囲)で指針70を回転させる。換言すれば、指針70が表示面20aと重なって見える範囲、つまり開口部11aの内側の範囲で指針70を回転させる。液晶パネル20を実体物非表示モードで表示させている場合には、図23の一点鎖線に示すように、指針70が表示面20aと重ならない範囲(非表示範囲)、つまり開口部11aの外側の範囲に指針70を回転させて収容する。これにより、指針70の全体がケース10に覆われて視認されなくなる。
要するに、指針70の回転範囲には、目盛りを指し示すことで物理量を表示する表示範囲、および表示範囲とは異なる非表示範囲が含まれている。そして、ケース10のうち、非表示範囲にある指針70を覆って目隠しする部分は、特許請求の範囲に記載の目隠し部材10bに相当する。
本実施形態では、加飾リング420については液晶パネル20とバックライト30の間に配置し、指針70については、液晶パネル20に対してバックライト30の反対側(手前側)である液晶パネル20の目視側に配置する構成である。また、指針70を照明する光源82を備える構成である。そのため、指針70が直接視認者に視認されるので、指針70の視認性が向上する。なお、液晶パネル20とバックライト30の間に指針以外の実体物を配置することで、表示装置Dを奥行きのある見栄えにさせている。
さらに本実施形態では、指針70の回転範囲には、目盛りを指し示すことで物理量を表示する表示範囲、およびその表示範囲とは異なる非表示範囲が含まれている。そして、非表示範囲にある指針70を覆って目隠しする目隠し部材10bを備える。そのため、目隠し部材10bの背面である非表示範囲内に指針70を回転移動させれば、液晶パネル20の表示の一部が、指針70により遮られて見えなくなることを回避できる。具体的には、実体物非表示モードで表示させている場合には、非表示範囲に指針70を回転させて収容し、指針70の全体がケース10に覆われて視認されないようにする。そのため、実体物非表示モードによる液晶パネル20の表示の一部が、指針70により遮られて見えなくなることを回避できる。よって、液晶パネル20に実体物を組み合わせて奥行き感を付与させつつも、液晶パネル20の表示面20a全体を有効に利用できる。
(第9実施形態)
図26に示す本実施形態では、指針照明用の光源91を設けている。光源91は基板90に実装され、基板90は回路基板60に接続され、光源91の作動はマイコン61により制御される。ケース10には、視認方向に対して垂直方向に凹む凹部10cが形成されている。凹部10cには、光源91が実装された基板90が配置されている。
光源91は、指針40の回転軌跡に沿ってリング状に複数配置されている。具体的には、光源91およびその光源91が実装された基板90が、指針40の回転方向において所定間隔で複数配置されている。
以上により、本実施形態では指針照明用の光源91を備えるので、バックライト30と液晶パネル20との間に指針40が配置されていても指針40の視認性が向上する。
(他の実施形態)
以上、発明の好ましい実施形態について説明したが、発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、以下に例示するように種々変形して実施することが可能である。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
バックライト30の発光面33bは、液晶パネル20の表示面20aよりも大きく形成されていることが望ましい。これによれば、表示面20aの全面を低透過率にした場合に、バックライト30のうち発光面33bよりも外側の部分P2(図2参照)が、液晶パネル20を透かして視認されてしまうおそれを低減できる。よって、表示装置Dの見栄えが損なわれるおそれを低減できる。
上記第1実施形態では、指針40を回転させる回転軸51および電動モータ50を所定位置に固定している。これに対し、回転軸51および電動モータ50を、指針40とともに移動可能に構成してもよい。
図1に示す実施形態では、目盛り画像G11を特定画素領域G10に表示させているが、他の画素領域G20に表示させてもよい。
図7に示す実施形態では、数字画像G13のうち指針40と重なった部分を非表示にしている。これと同様にして、目盛り画像G11についても、指針40と重なった部分を非表示にしてもよい。
図12および図17に示す実施形態では、加飾リング420に光源423を取り付けているが、該光源423を廃止してもよい。また、図1に示す実施形態において、指針40に光源を取り付けて、該光源で指針40を照明させてもよい。
特定画素領域G10、G100、G300は、実体物の全体が見えるように設定されてもよいし、実体物の一部が見えるように設定されてもよい。また、各実施形態において、図14に例示する如く、実体物の全体が見えない表示モードに切り替えてもよい。
特定画素領域G10、G100、G300、G50、G60、G70、G71と他の画素領域G20、G400との境界は、輝度が徐々に変化するグラデーション表示の画像にすることが望ましい。
上記各実施形態に係る実体物を任意に組み合わせて表示装置Dに備えさせてもよい。例えば、加飾リング420、440、450と指針40の両方を備えさせてもよいし、加飾ボス部材430や壁部材400を任意に組み合わせてもよい。
図8に示す実施形態では、壁部材400を環状に形成しているが、壁部材400は環状に限られるものではない。また、各実施形態において実体物を透明の樹脂で形成しているが、着色された樹脂を採用してもよい。また、バックライト30が有する反射板32に、文字または図形を表す印刷や凹部を形成し、反射板32を文字板として機能させてもよい。
上記第4および第5実施形態に係る加飾部材は、リング形状の加飾リング420であるが、本発明に係る加飾部材はリング形状に限定されるものではなく、例えば、指針画像G14や指針40の回動方向に延びる円弧形状であってもよい。
上記各実施形態では、他の画素領域G20に表示される背景画像を黒色に制御しているが、上記背景画像は黒色に限定されるものではなく、特定画素領域G10よりも低透過率であれば、背景画像の色や輝度は任意に設定すればよい。
上記第1実施形態では、指針40の可動範囲全体を特定画素領域G10に設定している。これに対し、可動範囲全体のうち指針40が存在する部分を特定画素領域G10に設定し、可動範囲であっても指針40が存在していない部分は他の画素領域G20に設定して低透過率にしてもよい。
図4に示す実施形態では、実体物非表示モードにて、表示面20aに対向する位置から外れた位置に指針40を回転制御するにあたり、指針40の一部を外れた位置にしている。これに対し、指針40の全体を外れた位置にしてもよい。
また、各実施形態では液晶パネル20はフルカラータイプであるが、モノクロタイプであってもよい。また、行電極および列電極を備えたマトリックス型でなく、所定形状のセグメント電極を備えてそれに対応する画素による画像を表示するセグメント液晶パネルにも適用可能である。
上記第9実施形態では、指針40の視認者側から光源91の光を照射して照明しているが、光源91の光を指針40内部に導光させて透過照明させてもよい。
上記各実施形態では、車両のインストルメントパネルに組み付けられた表示装置Dに本発明を適用させているが、本発明は該適用に限定されるものではなく、例えば、車両に搭載された電子ミラーに適用させてもよい。なお、電子ミラーとは、フロントウインドシールドやドアトリムに取り付けられて、ミラーに映る像を模した画像を表示させるものであり、車両後方の映像を表示させるものである。また、本発明は車両に搭載された表示装置に限定されるものではなく、例えば、パチンコやスロットル等の遊技機等や、家電製品に搭載された表示装置であってもよい。