周囲の地盤面より高い位置の道路や切り立った崖上の擁壁等の構造物を構築する場合、該道路上を走行する車両やその他の物が墜落或いは落下するおそれがあり、それらを防止するために縁部側に墜落防止用防護柵や擁壁等を設けることがある。その墜落防止用防護柵を構築或いはそれらを改修する場合、一般的にそれらの工事は高所での構造物の基盤を構築する土工事とは分離され、舗装工事の一環として行われている。従って、その舗装工事の時点では、土工事は終了しており、その土工事のための仮設用足場は既に撤去されている。また、土工事によっては、その下部の構造物や法面土等により足場を必要としない方法で構築される場合もある。
舗装工事の一環として行う高所での墜落防止用防護柵や擁壁等を構築する場合、現場コンクリート打ちでの構築或いはプレキャストブロックを設置しての構築等があるが、いずれの場合においても、それら高所での作業現場から作業員が墜落することを防止するために仮設用足場を設置或いは再設置して工事を行っている。仮設用足場としては、擁壁面に沿って地盤面より枠組み足場や単管足場を組み立てて設置している。
図15は、地盤面より擁壁Aに沿って枠組み足場Bを構築し、プレキャストブロック製の防護柵Cをクレーンにより吊り上げて設置し、それを該枠組み足場B上の作業員が作業している図を示している。また、図16は、擁壁Aの外側面の上方部に三角形状に組み立てた枠Dを固定し、その枠D上を作業員の作業場所となるように仮設用足場を構築している。
上記いずれの仮設用足場も、防護柵を構築するために新たに或いは再度、仮設用足場を設置しなければならず、仮設用足場の設置や撤去に多額の費用がかかり、且つ、そのために多くの施工日数を必要とした。
また、下記する特許文献1のように、橋梁・高架道路等の補修用の移動式吊足場があるが、該移動式吊足場は、橋の路盤の両サイドに立設した擁壁に跨って移動できるように左右1組の台車とその各々の台車を連結させた吊足場とを備え、該台車は擁壁の内側に位置する垂下脚と、この両脚の上端間を結ぶ両脚連結部材とからなる「脚ユニット」を備え、この脚ユニットを移動式吊足場として利用するものである。上記移動式吊足場は、橋梁・高架道路等の補修を目的としているものであり、新設する防護柵等における作業員の墜落防止を目的とするものではなく、従って、新設する防護柵等に順次仮設足場を設けるための構成ではなかった。
本発明は、上記欠点を解決したもので、仮設用足場を地盤面上や擁壁に沿って新設或いは再設する必要のない防護柵等を構築するための仮設用足場及びその防護柵等の構築方法を提供するものである。
本発明は、単管、線状・帯状部材又は枠組足場部材或いはそれらを組み立てて形成した仮設用足場の一方側、又は該仮設用足場に設けた移動手段により移動自在に取着した仮設用足場の一方側を、既設の防護柵用プレキャストブロックに着脱自在に固定し、他方側は、新設する防護柵用プレキャストブロックの設置側へ延設してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、仮設用足場の一方側は、既設の防護柵用プレキャストブロックに予め取り付けた固定金物と着脱自在に固定してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、仮設用足場の他方側は、防護柵用プレキャストブロックの背面壁に取り付けた固定手段に着脱自在とした単管、線状・帯状部材或いは枠組足場部材を、該防護柵用プレキャストブロックの単体横幅長より長く延設し、該単管又は線状・帯状部材を墜落防止手段とした防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、仮設用足場の一方側は、防護柵用プレキャストブロックの背面壁に取り付けた固定手段と施工側となる側の所定間隔離れた他のブロックの背面壁に取り付けた固定手段とを単管、線状・帯状部材或いは枠組足場部材により連結し、該単管、線状・帯状部材或いは枠組足場部材を墜落防止手段とした防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、仮設用足場の一方側は、防護柵用プレキャストブロックの立ち上がり部に嵌合自在とする単管、線状・帯状部材又はそれらを組み立てた足場部材或いは枠組足場としてなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、上記枠組足場は、前方側係止部、背面側係止部及び頂部側連結部よりなる複数の断面コ字型型枠を前面側係止部相互は短尺連結部材で連結し、背面側係止部相互は長尺連結部材で連結し、該長尺連結部材を防護柵用プレキャストブロックの単体長より長く延設した単管、線状・帯状部材或いは枠組足場部材としてなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、頂部側連結部の下部及びその前方又は/及び背面側内側に設けた移動手段を該防護柵用プレキャストブロックと接触する位置とし、その移動手段により枠組足場を移動自在とした防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、上記枠組足場の防護柵用プレキャストブロックと対面する頂部側連結部の下部及びその前方又は/及び背面側内側に養生手段を取着してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、仮設用足場の一方側を、既設の防護柵用プレキャストブロックに設けた固定手段により着脱自在に固定し、又は該仮設用足場に設けた移動手段により移動自在に取着し、他方側は、新設する防護柵用プレキャストブロックの設置側へ延設し、上記既設の防護柵用プレキャストブロックに隣接する新設の防護柵用プレキャストブロックを据え付け、その後、仮設用足場を新設する防護柵用プレキャストブロック側へ移動して据え付け、該仮設用足場により墜落防止を図りながら順次防護柵用プレキャストブロックを所定位置に据え付けてなる防護柵等の構築方法を特徴とする。
道路や切り立った崖上の擁壁等の構築物の縁部側に据え付ける防護柵用プレキャストブロックに仮設用足場を着脱自在に固定又は移動自在に取着することにより、地盤面より新たな仮設用足場を組み立てる必要がなく、そのための設置、撤去を省くことができ、多額の費用を割愛することが可能となった。
また、防護柵用プレキャストブロックに仮設用足場を簡単に固定又は移動自在に取着すること及び撤去することができるので、仮設用足場の構築及び撤去のための所定の日数が必要なくなった。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至3は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法を示すもので、防護柵用プレキャストブロック1の複数個を連結し、道路の縁部側長手方向に連続して設置することにより車両等の防護柵となるものである。
擁壁状の構築物の上に防護柵等を設ける手段として、プレキャストブロックの複数個を連結しながら長手方向に連続していく方法があるが、該プレキャストブロックはクレーン等で吊り上げて道路の縁部側の所定位置へ設置することになる。その各々の防護柵用プレキャストブロック1を製造する際、その背面側となる背面壁2の上方部の左右及び下方部の左右に各々が水平となる位置にインサート金物3、4を予め埋め込んでおく。該インサート金物3、4は、防護柵用プレキャストブロック1に埋設固定される固定部5、6と該防護柵用プレキャストブロック1の背面壁2より外方へ突出するリング状の単管固定部7、8とより構成している。
図1、図2(a)に示すように、該防護柵用プレキャストブロック1をクレーン等により吊り上げて所定位置に設置するが、所定位置に据え付ける前に、該インサート金物3、4の単管固定部7、8へ長尺単管9、10又は他の棒状部材や細い板状部材よりなる線状・帯状部材(以下、単に単管という)を挿入或いは固定しておく。
図3に示すように、該単管9、10は、上方部の左右のインサート金物3a、3b及び下方部の左右のインサート金物4a、4bに側方から挿入固定し、後工程で設置する側となる側方側へ該防護柵用プレキャストブロック1の側壁11より大幅に突出させ、その突出長は、少なくとも後工程で設置される他の防護柵用プレキャストブロック1の長手方向の長さ或いはそれを越える長さとする。
図3に示すように、先に設置した防護柵用プレキャストブロック1のインサート金物3、4に挿入された単管9、10は、単管クランプ12により該インサート金物3、4の位置から該単管9、10が左右方向へ移動することを阻止することができる。該単管9、10は、防護柵用プレキャストブロック1の側壁11より大幅に突出しているが、その突出部と、後工程で設置される防護柵用プレキャストブロック1のインサート金物3、4の位置とが一致しないようにする。該インサート金物3、4の固定位置は、背面壁2の上方部の左右及び下方部の左右位置であるが、隣接して連続することになる他の防護柵用プレキャストブロック1において、その固定位置を該上方部又は下方部と、その上下方向へずらした位置とし、両者が直線上に一致しない位置とする。少なくとも該インサート金物3、4のリング外縁部の位置より離れた寸法の位置に両者の該インサート金物3、4を固定することになる。
上記防護柵用プレキャストブロック1に単管9、10を突出させた状態で該防護柵用プレキャストブロック1をクレーン等で再度吊り上げ、所定位置に移動して据え付け固定することになる。
図2(a)に示すように、作業員が防護柵用プレキャストブロック1の側壁側に位置し、微妙な設置位置調整をクレーン操作員に指示し、所定の位置に該防護柵用プレキャストブロック1を設置する。また、設置後の作業時には、図2(b)に示すように、簡易足場をクレーン等で吊って、該簡易足場上で単管9、10を取り除く等の解体作業をすることが可能である。
図3に示すように、先に設置した防護柵用プレキャストブロック1から大幅に突出した単管9、10は、後工程で設置する防護柵用プレキャストブロック1の背面壁に近接した状態でその外方に位置することになるので、相互の背面壁面を長手方向に揃えながら作業する際に、その側壁での作業において、作業員が墜落するのを防止することができる。上記仮設用足場を使用することにより、次の防護柵用プレキャストブロック1の設置には、他の仮設用足場同様に設置されることになるので、この操作を繰り返すことにより安全な作業で長手方向に揃った防護柵を構築することが可能となる。
上記側壁側での作業員の作業において、該単管9、10に命綱を掛け渡し、他方側を作業員と連結することにより、より安全に作業をすることができる。その際、単管9、10の端部側に単管クランプ12等の単管径より太くなる手段を固定しておくことにより命綱の側方側への停止手段となり、脱落するのを防止することができる。
図4(a)は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の背面壁22にインサート金物23、24を予め固定しておき、他方、後工程で構築する複数個の防護柵用プレキャストブロック21を設置する所定の間隙寸法分を想定し、前方側に予め設置された他の防護柵用プレキャストブロック25或いは他の形状のブロック25の背面壁26にインサート金物27、28を固定しておき、上記防護柵用プレキャストブロック21側のインサート金物23とブロック25側のインサート金物27及び同ブロック21側のインサート金物24とブロック25側のインサート金物28間に各々墜落防止手段として棒状や板状のものを細くした帯状或いは紐状の長尺となる単管又は線状・帯状部材29、30を架け渡している。
図4(b)は、上記先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の背面壁22に予め固定したインサート金物23、24に替えて、後述する実施例3に示す枠組仮設用足場23aとしたものである。該枠組仮設用足場23aは、図4(c)に示すように、下記する図5と同様、先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の上方部の前面壁及び背面壁に架け渡すための線状部材又は1枚の鋼板を折り曲げて製造した帯状のものが使用される。例えば、線状部材や帯状部材の場合、各々左右2箇所の前方側係止部と背面側係止部及び両者間を結ぶ頂部側連結部とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部相互を連結する短尺連結部材、該背面側係止部相互を連結する長尺連結部材や筋交い部材等とによって枠組を形成している。上記背面側係止部を該線状・帯状部材29、30の一端部側に固定することにより、該線状・帯状部材29、30を墜落防止手段とすることができる。
また、図4(d)に示すように、前方側係止部に重量部材Wを保持するための載置部を形成し、該載置部に重量部材Wを載置することにより枠組仮設用足場23aに重量を付加させることができ、これにより線状・帯状部材29、30の安定した固定手段とすることができる。更に、該線状・帯状部材29、30をH型鋼のような重量のある部材で形成することにより、上記同様、安定した固定手段とすることができる。
作業員は、実施例1と同様、防護柵用プレキャストブロック21の側壁側で作業することができる。また、長尺となる線状・帯状部材29、30が墜落防止の役割を達成することができるので、外方側に突出した作業用足場を構築する必要がない。また、該線状・帯状部材29、30と命綱を掛け渡して作業員を連結しておくことにより安全性を一層高めて作業をすることができる。
また、上記図2(b)と同様、解体時には簡易足場をクレーン等で吊って該簡易足場上から線状・帯状部材29、30等を取り除く解体作業をすることが可能である
図5乃至7は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、図6(a)、(b)に示すように、単管或いは線状部材等或いは1枚又は複数枚の鋼板等を加工した帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック31に取り付けるための枠組仮設用足場32を予め形成する。
該枠組仮設用足場32は、防護柵用プレキャストブロック31の上方部の前面壁及び背面壁に架け渡す各々左右2箇所の前方側係止部33、34と背面側係止部35、36及び両者間を結ぶ頂部側連結部37、38とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部33、34相互を連結する短尺連結部材39、該背面側係止部35、36相互を連結する長尺連結部材40、41とによって枠組を形成し、該長尺連結部材40、41は、下方部へ延設した延長部に対して直角方向へ延設し、他端部側には柱部材42等を構成している。
2箇所の該コ字型型枠は、所定間隔を有して防護柵用プレキャストブロック31の上方部に平行に架け渡され、図5に示すように、前方側係止部33、34を該防護柵用プレキャストブロック31の前面壁に固定したインサート金物43、44と固定する。また、該防護柵用プレキャストブロック31の天端側に位置する頂部側連結部37、38を該天端部に固定したインサート金物45、46と固定する。
上記インサート金物43、44、45、46による固定は、防護柵用プレキャストブロック31の前面壁側又は天端部側のいずれかでもよい。また、場合によっては、図7に示すように、枠組仮設用足場32を防護柵用プレキャストブロック31の立ち上がり本体の上方部にコ字型型枠を落とし込んだだけでもよい。更に、前記実施例2で示した重量部材Wの付加或いは部材そのものをH型鋼のような重量のある部材とすることにより安定した固定手段とすることができる。
該長尺連結部材40、41の他端部側に立設した柱部材42は、その立設箇所において固定されるので、図6(a)、(b)に示すように、端部側を道路側となる内側へ折り曲げることにより該柱部材42を道路の縁部側より内側に折曲して下端部を固定或いは、図6(b)に示すように、柱部材42の下端部に移動を容易とするために固定手段付キャスター42aとすることができ、作業員の作業空間を確保及び枠組仮設用足場32の移動が可能となる。該コ字型型枠と該柱部材42間に線状・帯状部材となる長尺連結部材40、41が架け渡されることになり、作業員の墜落防止のための枠組仮設用足場32となる。
図8乃至11は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、実施例3ではインサート金物により枠組仮設用足場を防護柵用プレキャストブロックに固定していたが、工事の進捗状況に従って該枠組仮設用足場の固定を外し、クレーン等により次の施工場所へ移動させ、再度インサート金物により固定する必要があり、作業時間が増加するおそれがあった。そこで本実施例4では、工事の進捗状況に合わせて該枠組仮設用足場を自由に移動させることを可能としたものである。
単管或いは線状・帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック51に取り付けるための枠組仮設用足場52を予め形成する。該枠組仮設用足場52は、該防護柵用プレキャストブロック51の上方部の前後に架け渡す少なくとも2箇所の前方側係止部53、54と背面側係止部55、56及び頂部側連結部57、58とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部相互を連結する短尺連結部材59、該背面側係止部55、56相互に連結し、他方側へ直交方向へ延設してなる長尺連結部材60、61及び他端部側の柱部材62とより構成している。
該コ字型型枠は、少なくとも2箇所にわたって所定間隔を有して垂直方向に架け渡すようにし、防護柵用プレキャストブロック51の天端部の位置となる頂部側連結部57、58の下部に天端部上を移動する可動手段を設けることにより枠組仮設用足場52が防護柵用プレキャストブロック51の長手方向に沿って自由に移動できるようにしている。
可動手段としては、図9、10に示すように、頂部側連結部57、58の下部に軸着したローラー63を装着し、該コ字型型枠を横方向へ自由に移動できるようにしている。また、ストッパーを設けることにより、所定位置で停止固定できるようにしている。
また、他の可動手段として、図11(a)、(b)に示すように、2個のローラー64、65又は2個のキャスター66、67を設けて移動できるようにすることができる。また、図11(c)に示すように、前方側係止部53、54、背面側係止部55、56及び/又は頂部側連結部57、58に、防護柵用プレキャストブロック51の頂部、前方壁及び/又は背面壁上を移動自在とした図11(d)に示すキャスター付クランプ68をそれらの内側に取着することにより、単管や枠組等と該防護柵用プレキャストブロック51とが接触することを避けることができ、該防護柵用プレキャストブロック51を傷付けることなく仮設用足場を移動自在とすることができる。
更に、上記キャスター付クランプ68に換えて、移動することに支障を生じない摩擦抵抗の少ないスポンジ、ゴム、布等の弾性部材等による養生部材を取着することにより該防護柵用プレキャストブロック51を傷付けることなく仮設用足場を移動自在とすることができる。
また、図11(e)に示すように、停止手段付のジャッキ付キャスター69を前方側係止部53、54の下端部に取着することにより、仮設用足場の移動を一層スムーズに行うことが可能となる。
図12、13は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、作業員が防護柵用プレキャストブロック71に乗り、PC緊張等の作業を行うに際しての枠組仮設用足場72である。
単管或いは線状・帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック71に取り付けるため、その上方部の前後に架け渡す前方側係止部73、74、背面側係止部75、76及び頂部側連結部77、78とよりなる少なくとも2箇所のコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部73、74及び背面側係止部75、76相互を連結する短尺連結部材79、80と、該背面側係止部75、76を上方へ延長した延設部材81、82と、該延設部材81、82相互を直交方向で連結した上部短尺連結部材83、84とにより仮設用足場を形成し、該仮設用足場を防護柵用プレキャストブロック71の上方部の左右及び天端部に予め固定しておいたインサート金物85、86と連結する。
また、上記インサート金物85、86に替えて前方側係止部73、74側に図4(d)に示した重量部材Wを配設することにより移動防止手段とすることができる。
更に、上記実施例4で示したキャスター付クランプや停止手段付のジャッキ付キャスターを使用することにより移動防止と新設工事側への移動とを容易とすることが可能である。図13では固定側の仮設用足場の形状を示しているが、新設側の防護柵等の手段は、上記実施例と同様とすることができる。
作業員は、道路側の車両や作業床等を利用して防護柵用プレキャストブロック71上に乗って作業しても上記コ字型型枠により墜落することを防止することができる。命綱等を使用することは上記他の実施例と同様である。
図14は、上記実施例で示したL字型防護柵用プレキャストブロックに換えて他の形状の防護柵でも上記各実施例で示した仮設用足場を使用することができることを示すもので、I字型防護柵用プレキャストブロックYを示している。その他、橋梁の壁高の端部位置での仮設用足場として、防護柵用プレキャストブロックの他の形状のものであっても上記各実施例と同様の仮設用足場を使用することができる。
本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、それら各実施例のものに周知の技術を付加したもの或いはそれら各実施例のものを組み合わせたもの等、様々な形態のものを含むことは言うまでもない。
周囲の地盤面より高い位置の道路や切り立った崖上の擁壁等の構造物を構築する場合、該道路上を走行する車両やその他の物が墜落或いは落下するおそれがあり、それらを防止するために縁部側に墜落防止用防護柵や擁壁等を設けることがある。その墜落防止用防護柵を構築或いはそれらを改修する場合、一般的にそれらの工事は高所での構造物の基盤を構築する土工事とは分離され、舗装工事の一環として行われている。従って、その舗装工事の時点では、土工事は終了しており、その土工事のための仮設用足場は既に撤去されている。また、土工事によっては、その下部の構造物や法面土等により足場を必要としない方法で構築される場合もある。
舗装工事の一環として行う高所での墜落防止用防護柵や擁壁等を構築する場合、現場コンクリート打ちでの構築或いはプレキャストブロックを設置しての構築等があるが、いずれの場合においても、それら高所での作業現場から作業員が墜落することを防止するために仮設用足場を設置或いは再設置して工事を行っている。仮設用足場としては、擁壁面に沿って地盤面より枠組み足場や単管足場を組み立てて設置している。
図15は、地盤面より擁壁Aに沿って枠組み足場Bを構築し、プレキャストブロック製の防護柵Cをクレーンにより吊り上げて設置し、それを該枠組み足場B上の作業員が作業している図を示している。また、図16は、擁壁Aの外側面の上方部に三角形状に組み立てた枠Dを固定し、その枠D上を作業員の作業場所となるように仮設用足場を構築している。
上記いずれの仮設用足場も、防護柵を構築するために新たに或いは再度、仮設用足場を設置しなければならず、仮設用足場の設置や撤去に多額の費用がかかり、且つ、そのために多くの施工日数を必要とした。
また、下記する特許文献1のように、橋梁・高架道路等の補修用の移動式吊足場があるが、該移動式吊足場は、橋の路盤の両サイドに立設した擁壁に跨って移動できるように左右1組の台車とその各々の台車を連結させた吊足場とを備え、該台車は擁壁の内側に位置する垂下脚と、この両脚の上端間を結ぶ両脚連結部材とからなる「脚ユニット」を備え、この脚ユニットを移動式吊足場として利用するものである。上記移動式吊足場は、橋梁・高架道路等の補修を目的としているものであり、新設する防護柵等における作業員の墜落防止を目的とするものではなく、従って、新設する防護柵等に順次仮設足場を設けるための構成ではなかった。
本発明は、上記欠点を解決したもので、仮設用足場を地盤面上や擁壁に沿って新設或いは再設する必要のない防護柵等を構築するための仮設用足場及びその防護柵等の構築方法を提供するものである。
本発明は、単管、線状・帯状部材又は枠組足場部材を水平方向に延設した仮設用足場部材の一方側、或いは単管、線状・帯状部材又は枠組足場部材に移動手段を取着した水平方向に延設した仮設用足場部材の一方側を、既設の防護柵用プレキャストブロックに着脱自在に配設し、他方側は、該防護柵用プレキャストブロックの端部側の側壁より突出延設させ、該突出延設側は該仮設用足場部材のみとし、該仮設用足場部材と該既設の防護柵用プレキャストブロックとからなる仮設用足場を特徴とする。
また、仮設用足場部材の一方側は、既設の防護柵用プレキャストブロックに予め取り付けた固定金物と着脱自在に配設してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、仮設用足場部材の一方側は、既設の防護柵用プレキャストブロックの立ち上がり部に嵌合することにより着脱自在に配設してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、仮設用足場部材の他方側となる突出延設側は、既設の防護柵用プレキャストブロックの部材単体の横幅長より長く延設し、その延設した単管、線状・帯状部材又は枠組足場部材を墜落防止手段とした防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、上記枠組足場部材は、前方側係止部、背面側係止部及び頂部側連結部よりなる複数の断面コ字型型枠を前面側係止部相互は短尺連結部材で連結し、背面側係止部相互は長尺連結部材で連結し、該長尺連結部材を既設の防護柵用プレキャストブロックの端部側の側壁より突出延設してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、枠組足場部材の頂部側連結部の下部及びその前方又は/及び背面側内側に移動手段を設け、該移動手段は既設の防護柵用プレキャストブロックと接触する位置とし、該移動手段により移動自在とした防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
更に、上記枠組足場部材の頂部側連結部の下部及びその前方又は/及び背面側内側に養生手段を取着してなる防護柵等のための仮設用足場を特徴とする。
また、仮設用足場部材の一方側を、既設の防護柵用プレキャストブロックに着脱自在に配設し、又は仮設用足場部材に設けた移動手段により移動自在となるように着脱自在に配設し、他方側は、既存の防護柵用プレキャストブロックの端部側の側壁より突出延設させ、上記既設の防護柵用プレキャストブロックに隣接する位置に新設の防護柵用プレキャストブロックを据え付け、その後、仮設用足場部材を新設した防護柵用プレキャストブロック側へ移動して上記同様に一方側は着脱自在に配設し、他方側はその防護柵用プレキャストブロックの端部側の側壁より突出延設させてなり、該仮設用足場部材により墜落防止を図りながら順次防護柵用プレキャストブロックを所定位置に据え付けてなる防護柵等の構築方法を特徴とする。
道路や切り立った崖上の擁壁等の構築物の縁部側に据え付ける防護柵用プレキャストブロックに仮設用足場部材を着脱自在に固定又は移動自在に取着することにより、地盤面より新たな仮設用足場部材を組み立てる必要がなく、そのための設置、撤去を省くことができ、多額の費用を割愛することが可能となった。
また、防護柵用プレキャストブロックに仮設用足場部材を簡単に固定又は移動自在に取着すること及び撤去することができるので、仮設用足場の構築及び撤去のための所定の日数が必要なくなった。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至3は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法を示すもので、防護柵用プレキャストブロック1の複数個を連結し、道路の縁部側長手方向に連続して設置することにより車両等の防護柵となるものである。
擁壁状の構築物の上に防護柵等を設ける手段として、プレキャストブロックの複数個を連結しながら長手方向に連続していく方法があるが、該プレキャストブロックはクレーン等で吊り上げて道路の縁部側の所定位置へ設置することになる。その各々の防護柵用プレキャストブロック1を製造する際、その背面側となる背面壁2の上方部の左右及び下方部の左右に各々が水平となる位置にインサート金物3、4を予め埋め込んでおく。該インサート金物3、4は、防護柵用プレキャストブロック1に埋設固定される固定部5、6と該防護柵用プレキャストブロック1の背面壁2より外方へ突出するリング状の単管固定部7、8とより構成している。
図1、図2(a)に示すように、該防護柵用プレキャストブロック1をクレーン等により吊り上げて所定位置に設置するが、所定位置に据え付ける前に、該インサート金物3、4の単管固定部7、8へ長尺単管9、10又は他の棒状部材や細い板状部材よりなる線状・帯状部材(以下、単に単管という)を挿入或いは固定しておく。
図3に示すように、該単管9、10は、上方部の左右のインサート金物3a、3b及び下方部の左右のインサート金物4a、4bに側方から挿入固定し、後工程で設置する側となる側方側へ該防護柵用プレキャストブロック1の側壁11より大幅に突出させ、その突出長は、少なくとも後工程で設置される他の防護柵用プレキャストブロック1の長手方向の長さ或いはそれを越える長さとする。
図3に示すように、先に設置した防護柵用プレキャストブロック1のインサート金物3、4に挿入された単管9、10は、単管クランプ12により該インサート金物3、4の位置から該単管9、10が左右方向へ移動することを阻止することができる。該単管9、10は、防護柵用プレキャストブロック1の側壁11より大幅に突出しているが、その突出部と、後工程で設置される防護柵用プレキャストブロック1のインサート金物3、4の位置とが一致しないようにする。該インサート金物3、4の固定位置は、背面壁2の上方部の左右及び下方部の左右位置であるが、隣接して連続することになる他の防護柵用プレキャストブロック1において、その固定位置を該上方部又は下方部と、その上下方向へずらした位置とし、両者が直線上に一致しない位置とする。少なくとも該インサート金物3、4のリング外縁部の位置より離れた寸法の位置に両者の該インサート金物3、4を固定することになる。
上記防護柵用プレキャストブロック1に単管9、10を突出させた状態で該防護柵用プレキャストブロック1をクレーン等で再度吊り上げ、所定位置に移動して据え付け固定することになる。
図2(a)に示すように、作業員が防護柵用プレキャストブロック1の側壁側に位置し、微妙な設置位置調整をクレーン操作員に指示し、所定の位置に該防護柵用プレキャストブロック1を設置する。また、設置後の作業時には、図2(b)に示すように、簡易足場をクレーン等で吊って、該簡易足場上で単管9、10を取り除く等の解体作業をすることが可能である。
図3に示すように、先に設置した防護柵用プレキャストブロック1から大幅に突出した単管9、10は、後工程で設置する防護柵用プレキャストブロック1の背面壁に近接した状態でその外方に位置することになるので、相互の背面壁面を長手方向に揃えながら作業する際に、その側壁での作業において、作業員が墜落するのを防止することができる。上記仮設用足場を使用することにより、次の防護柵用プレキャストブロック1の設置には、他の仮設用足場同様に設置されることになるので、この操作を繰り返すことにより安全な作業で長手方向に揃った防護柵を構築することが可能となる。
上記側壁側での作業員の作業において、該単管9、10に命綱を掛け渡し、他方側を作業員と連結することにより、より安全に作業をすることができる。その際、単管9、10の端部側に単管クランプ12等の単管径より太くなる手段を固定しておくことにより命綱の側方側への停止手段となり、脱落するのを防止することができる。
図4(a)は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の背面壁22にインサート金物23、24を予め固定しておき、他方、後工程で構築する複数個の防護柵用プレキャストブロック21を設置する所定の間隙寸法分を想定し、前方側に予め設置された他の防護柵用プレキャストブロック25或いは他の形状のブロック25の背面壁26にインサート金物27、28を固定しておき、上記防護柵用プレキャストブロック21側のインサート金物23とブロック25側のインサート金物27及び同ブロック21側のインサート金物24とブロック25側のインサート金物28間に各々墜落防止手段として棒状や板状のものを細くした帯状或いは紐状の長尺となる単管又は線状・帯状部材29、30を架け渡している。
図4(b)は、上記先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の背面壁22に予め固定したインサート金物23、24に替えて、後述する実施例3に示す枠組仮設用足場部材23aとしたものである。該枠組仮設用足場部材23aは、図4(c)に示すように、下記する図5と同様、先に設置した防護柵用プレキャストブロック21の上方部の前面壁及び背面壁に架け渡すための線状部材又は1枚の鋼板を折り曲げて製造した帯状のものが使用される。例えば、線状部材や帯状部材の場合、各々左右2箇所の前方側係止部と背面側係止部及び両者間を結ぶ頂部側連結部とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部相互を連結する短尺連結部材、該背面側係止部相互を連結する長尺連結部材や筋交い部材等とによって枠組を形成している。上記背面側係止部を該線状・帯状部材29、30の一端部側に固定することにより、該線状・帯状部材29、30を墜落防止手段とすることができる。
また、図4(d)に示すように、前方側係止部に重量部材Wを保持するための載置部を形成し、該載置部に重量部材Wを載置することにより枠組仮設用足場部材23aに重量を付加させることができ、これにより線状・帯状部材29、30の安定した固定手段とすることができる。更に、該線状・帯状部材29、30をH型鋼のような重量のある部材で形成することにより、上記同様、安定した固定手段とすることができる。
作業員は、実施例1と同様、防護柵用プレキャストブロック21の側壁側で作業することができる。また、長尺となる線状・帯状部材29、30が墜落防止の役割を達成することができるので、外方側に突出した作業用足場を構築する必要がない。また、該線状・帯状部材29、30と命綱を掛け渡して作業員を連結しておくことにより安全性を一層高めて作業をすることができる。
また、上記図2(b)と同様、解体時には簡易足場をクレーン等で吊って該簡易足場上から線状・帯状部材29、30等を取り除く解体作業をすることが可能である
図5乃至7は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、図6(a)、(b)に示すように、単管或いは線状部材等或いは1枚又は複数枚の鋼板等を加工した帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック31に取り付けるための枠組仮設用足場部材32を予め形成する。
該枠組仮設用足場部材32は、防護柵用プレキャストブロック31の上方部の前面壁及び背面壁に架け渡す各々左右2箇所の前方側係止部33、34と背面側係止部35、36及び両者間を結ぶ頂部側連結部37、38とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部33、34相互を連結する短尺連結部材39、該背面側係止部35、36相互を連結する長尺連結部材40、41とによって枠組を形成し、該長尺連結部材40、41は、下方部へ延設した延長部に対して直角方向へ延設し、他端部側には柱部材42等を構成している。
2箇所の該コ字型型枠は、所定間隔を有して防護柵用プレキャストブロック31の上方部に平行に架け渡され、図5に示すように、前方側係止部33、34を該防護柵用プレキャストブロック31の前面壁に固定したインサート金物43、44と固定する。また、該防護柵用プレキャストブロック31の天端側に位置する頂部側連結部37、38を該天端部に固定したインサート金物45、46と固定する。
上記インサート金物43、44、45、46による固定は、防護柵用プレキャストブロック31の前面壁側又は天端部側のいずれかでもよい。また、場合によっては、図7に示すように、枠組仮設用足場部材32を防護柵用プレキャストブロック31の立ち上がり本体の上方部にコ字型型枠を落とし込んだだけでもよい。更に、前記実施例2で示した重量部材Wの付加或いは部材そのものをH型鋼のような重量のある部材とすることにより安定した固定手段とすることができる。
該長尺連結部材40、41の他端部側に立設した柱部材42は、その立設箇所において固定されるので、図6(a)、(b)に示すように、端部側を道路側となる内側へ折り曲げることにより該柱部材42を道路の縁部側より内側に折曲して下端部を固定或いは、図6(b)に示すように、柱部材42の下端部に移動を容易とするために固定手段付キャスター42aとすることができ、作業員の作業空間を確保及び枠組仮設用足場部材32の移動が可能となる。該コ字型型枠と該柱部材42間に線状・帯状部材となる長尺連結部材40、41が架け渡されることになり、作業員の墜落防止のための枠組仮設用足場部材32となる。
図8乃至11は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、実施例3ではインサート金物により枠組仮設用足場部材を防護柵用プレキャストブロックに固定していたが、工事の進捗状況に従って該枠組仮設用足場部材の固定を外し、クレーン等により次の施工場所へ移動させ、再度インサート金物により固定する必要があり、作業時間が増加するおそれがあった。そこで本実施例4では、工事の進捗状況に合わせて該枠組仮設用足場部材を自由に移動させることを可能としたものである。
単管或いは線状・帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック51に取り付けるための枠組仮設用足場部材52を予め形成する。該枠組仮設用足場部材52は、該防護柵用プレキャストブロック51の上方部の前後に架け渡す少なくとも2箇所の前方側係止部53、54と背面側係止部55、56及び頂部側連結部57、58とよりなるコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部相互を連結する短尺連結部材59、該背面側係止部55、56相互に連結し、他方側へ直交方向へ延設してなる長尺連結部材60、61及び他端部側の柱部材62とより構成している。
該コ字型型枠は、少なくとも2箇所にわたって所定間隔を有して垂直方向に架け渡すようにし、防護柵用プレキャストブロック51の天端部の位置となる頂部側連結部57、58の下部に天端部上を移動する可動手段を設けることにより枠組仮設用足場部材52が防護柵用プレキャストブロック51の長手方向に沿って自由に移動できるようにしている。
可動手段としては、図9、10に示すように、頂部側連結部57、58の下部に軸着したローラー63を装着し、該コ字型型枠を横方向へ自由に移動できるようにしている。また、ストッパーを設けることにより、所定位置で停止固定できるようにしている。
また、他の可動手段として、図11(a)、(b)に示すように、2個のローラー64、65又は2個のキャスター66、67を設けて移動できるようにすることができる。また、図11(c)に示すように、前方側係止部53、54、背面側係止部55、56及び/又は頂部側連結部57、58に、防護柵用プレキャストブロック51の頂部、前方壁及び/又は背面壁上を移動自在とした図11(d)に示すキャスター付クランプ68をそれらの内側に取着することにより、単管や枠組部材等と該防護柵用プレキャストブロック51とが接触することを避けることができ、該防護柵用プレキャストブロック51を傷付けることなく仮設用足場部材を移動自在とすることができる。
更に、上記キャスター付クランプ68に換えて、移動することに支障を生じない摩擦抵抗の少ないスポンジ、ゴム、布等の弾性部材等による養生部材を取着することにより該防護柵用プレキャストブロック51を傷付けることなく仮設用足場部材を移動自在とすることができる。
また、図11(e)に示すように、停止手段付のジャッキ付キャスター69を前方側係止部53、54の下端部に取着することにより、仮設用足場部材の移動を一層スムーズに行うことが可能となる。
図12、13は、本発明の防護柵等のための仮設用足場及びその仮設用足場を用いた防護柵等の構築方法の他の実施例を示すもので、作業員が防護柵用プレキャストブロック71に乗り、PC緊張等の作業を行うに際しての枠組仮設用足場部材72である。
単管或いは線状・帯状部材等を組み立てて防護柵用プレキャストブロック71に取り付けるため、その上方部の前後に架け渡す前方側係止部73、74、背面側係止部75、76及び頂部側連結部77、78とよりなる少なくとも2箇所のコ字型型枠と、該コ字型型枠の前方側係止部73、74及び背面側係止部75、76相互を連結する短尺連結部材79、80と、該背面側係止部75、76を上方へ延長した延設部材81、82と、該延設部材81、82相互を直交方向で連結した上部短尺連結部材83、84とにより仮設用足場部材を形成し、該仮設用足場部材を防護柵用プレキャストブロック71の上方部の左右及び天端部に予め固定しておいたインサート金物85、86と連結する。
また、上記インサート金物85、86に替えて前方側係止部73、74側に図4(d)に示した重量部材Wを配設することにより移動防止手段とすることができる。
更に、上記実施例4で示したキャスター付クランプや停止手段付のジャッキ付キャスターを使用することにより移動防止と新設工事側への移動とを容易とすることが可能である。図13では固定側の仮設用足場部材の形状を示しているが、新設側の防護柵等の手段は、上記実施例と同様とすることができる。
作業員は、道路側の車両や作業床等を利用して防護柵用プレキャストブロック71上に乗って作業しても上記コ字型型枠により墜落することを防止することができる。命綱等を使用することは上記他の実施例と同様である。
図14は、上記実施例で示したL字型防護柵用プレキャストブロックに換えて他の形状の防護柵でも上記各実施例で示した仮設用足場部材を使用することができることを示すもので、I字型防護柵用プレキャストブロックYを示している。その他、橋梁の壁高の端部位置での仮設用足場部材として、防護柵用プレキャストブロックの他の形状のものであっても上記各実施例と同様の仮設用足場部材を使用することができる。
本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、それら各実施例のものに周知の技術を付加したもの或いはそれら各実施例のものを組み合わせたもの等、様々な形態のものを含むことは言うまでもない。