JP2016056333A - 保冷具 - Google Patents

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康弘 田中
展嵩 上田
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展嵩 上田
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Rie Yoshikawa
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Abstract

【課題】保冷用組成物として、非凍結時の粘度低下と、凍結時の体積膨張とが、共に抑制されたものを供えた保冷具の提供。【解決手段】リン酸三ナトリウム十二水和物、リン酸三ナトリウム十二水和物以外の塩、増粘剤及び溶媒が配合されてなる保冷用組成物を供えた保冷具であって、前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上である保冷具。【選択図】なし

Description

本発明は、体積膨張が抑制された保冷用組成物を供えた保冷具に関する。
保冷具は、各種生鮮物の保管時や輸送時の保冷に幅広く利用されており、通常は、繰り返して利用される。このような保冷具は、保冷作用を有する保冷用組成物を供え、熱伝導性を有する容器中にこの保冷用組成物が封入されて、構成される。
従来の保冷用組成物としては、水等の溶媒を主成分として含有し、その他に塩を含有するものが汎用されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような保冷用組成物には、凍結時に体積が大きく膨張するものがあり、この場合、容器が変形することで、保冷具の収納に支障が生じたり、持ち運び時に把持し難いことで落下させ易いという問題点があった。さらに、最悪の場合、保冷用組成物の膨張時の圧力に抗しきれず、容器が破損してしまうという問題点があった。
これに対して、保冷用組成物の体積膨張を許容し得る余剰空間を予め容器内に設けた保冷具が提案されている(特許文献2参照)。
特公平5−33278号公報 特開2003−171657号公報
しかし、特許文献2に記載の保冷具は、余剰空間を設けた分、保冷用組成物の封入量が少ないため、保冷時間が短縮してしまうという問題点があった。また、保冷用組成物は目的とする保冷温度域にあわせて組成が適宜調節されるが、組成が異なると体積膨張の程度(体積膨張率)に差が生じるため、それにあわせて必要とされる余剰空間の大きさも異なり、1種の容器を種々の保冷温度域で用いるのが困難であるという問題点があった。
このような問題点を解決する手法としては、余剰空間を予め容器内には設けずに、保冷用組成物としてその凍結時の膨張を抑制するための膨張抑制剤を含有するものを用いる手法がある。一方、保冷用組成物としては、容器が破損したときに、この容器からの漏れが抑制されるように、増粘剤を含有するものが汎用されている。しかし、上記のような膨張抑制剤を含有する保冷用組成物は、凍結時の膨張が抑制される反面、非凍結時の経時によって粘度が低下し易いという問題点があった。粘度が低下した保冷用組成物は、破損した容器から漏れ易くなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保冷用組成物として、非凍結時の粘度低下と、凍結時の体積膨張とが、共に抑制されたものを供えた保冷具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、リン酸三ナトリウム十二水和物、リン酸三ナトリウム十二水和物以外の塩、増粘剤及び溶媒が配合されてなる保冷用組成物を供えた保冷具であって、前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする保冷具を提供する。
本発明の保冷具は、前記増粘剤がヒドロキシプロピルグアーガムであり、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、0.6質量%以上であるものが好ましい。
本発明の保冷具は、前記増粘剤がキサンタンガムであり、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、0.3質量%以上であるものが好ましい。
本発明の保冷具は、前記増粘剤がカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方であり、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、1質量%以上であるものが好ましい。
本発明によれば、保冷用組成物として、非凍結時の粘度低下と、凍結時の体積膨張とが、共に抑制されたものを供えた保冷具が提供される。
本発明に係る保冷具は、リン酸三ナトリウム十二水和物(NaPO・12HO)、リン酸三ナトリウム十二水和物以外の塩(以下、「その他の塩」と略記することがある)、増粘剤及び溶媒が配合されてなる保冷用組成物を供えた保冷具であって、前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」と略記することがある)及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする。
前記保冷用組成物は、塩としてはリン酸三ナトリウム十二水和物及びそれ以外のもの(前記その他の塩)が配合され、増粘剤としてはヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上のものが配合されてなる新規組成物である。このように特定の組み合わせの塩及び増粘剤が配合されていることで、前記保冷用組成物は、凍結時における体積膨張と、非凍結時の経時による粘度低下が、共に顕著に抑制される。
そして、前記保冷具は、前記保冷用組成物の凍結時の体積膨張が抑制されることで、容器の変形が抑制され、収納時や持ち運び時の取り扱い性に優れ、容器の破損も防止される。また、前記保冷具は、保冷用組成物の体積膨張を許容し得る余剰空間を予め容器内に設ける必要がないため、保冷用組成物の封入量を限定する必要がなく、保冷力を最大限に発揮でき、さらに、1種の容器を種々の保冷温度域で用いることが可能であり、汎用性に優れる。また、前記保冷具は、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下が抑制されることで、破損した容器からの保冷用組成物の漏れが抑制される。
前記保冷用組成物は、リン酸三ナトリウム十二水和物(NaPO・12HO)を用いて得られたものであるが、リン酸三ナトリウム無水物(NaPO)が入手可能であれば、これを用いたものでもよい。重要なことは、前記保冷用組成物の調製に「NaPO」が必要なことである。リン酸三ナトリウム無水物を用いる場合、その使用量は、後述するリン酸三ナトリウム十二水和物の使用量を、分子量の違いに基づいて換算して決定すればよい。それ以外の点では、リン酸三ナトリウム無水物はリン酸三ナトリウム十二水和物と同様に使用すればよい。
ただし、リン酸三ナトリウムは、無水物としては安定して存在しないため、通常は十二水和物として用いる。
前記保冷用組成物は、リン酸三ナトリウム十二水和物及びそれ以外の塩(その他の塩)が配合されてなるものであり、これらを保冷剤の一構成成分とするものである。前記保冷用組成物において、リン酸三ナトリウム十二水和物は、さらに、保冷用組成物の凍結時の体積膨張を抑制する膨張抑制剤として機能するものであり、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制にも関与していると推測される。
前記その他塩は、有機塩及び無機塩のいずれでもよいが、無機塩であることが好ましい。
前記その他塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機塩及び有機塩を構成するカチオンとしては、アンモニウムイオン(NH )、アルキルアンモニウムイオン、金属イオン等が例示できる。
前記アルキルアンモニウムイオンは、モノアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン及びテトラアルキルアンモニウムイオンのいずれでもよい。そして、前記アルキルアンモニウムイオンにおいて、窒素原子に結合しているアルキル基が2個以上である場合、これら2個以上のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら2個以上のアルキル基が相互に結合して、これらアルキル基が結合している窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。アルキルアンモニウムイオンにおいて窒素原子に結合しているアルキル基は、炭素数が1〜3であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
前記金属イオンとしては、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)等のアルカリ金属のイオン;マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)等のアルカリ土類金属のイオン;鉄イオン(Fe3+、Fe2+)、銅イオン(Cu2+、Cu)等の遷移金属のイオン;亜鉛イオン(Zn2+)、アルミニウムイオン(Al3+)等の第12族又は第13族の金属のイオン等が例示できる。
前記無機塩及び有機塩を構成するアニオンとしては、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハロゲンイオン;硫酸イオン(SO 2−);硝酸イオン(NO );炭酸イオン(CO 2−);炭酸水素イオン(HCO );硫酸水素イオン(HSO );リン酸イオン(PO 3−);リン酸水素イオン(HPO 2−);リン酸二水素イオン(HPO4−);亜硫酸イオン(SO 2−);チオ硫酸イオン(S 2−);カルボキシ基(−C(=O)−OH)、スルホ基(−S(=O)−OH)等の酸基から水素イオン(H)が除かれてなる基を有するイオン等が例示できる。
前記有機塩としては、酢酸ナトリウム(CHCOONa)、酢酸カリウム(CHCOOK)、安息香酸ナトリウム(CCOONa)、安息香酸カリウム(CCOOK)、ソルビン酸ナトリウム(CH−CH=CH−CH=CH−COONa)、ソルビン酸カリウム(CH−CH=CH−CH=CH−COOK)等のカルボン酸塩;グルタミン酸ナトリウム(HOOC(CHCH(NH)COONa)等のアミノ酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(CH(CH11SONa)等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム(CH(CH11OSONa)等のアルキル硫酸塩等が例示できる。
前記無機塩としては、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)等のアルカリ金属の塩化物;塩化アンモニウム(NHCl)等の塩酸塩;硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸アルミニウム(Al(SO)、硫酸ニッケル(NiSO)、ミョウバン(AlK(SO)、アンモニウムミョウバン(Al(NH)(SO)等の硫酸塩;硝酸ナトリウム(NaNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、硝酸カルシウム四水和物(Ca(NO・4HO)、硝酸カルシウム(Ca(NO))等の硝酸塩;炭酸カリウム(KCO)等の炭酸塩;炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)等の炭酸水素塩;塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)等のアルカリ土類金属の塩化物;リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、リン酸水素二カリウム(KHPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)等のリン酸水素塩;リン酸三カリウム(KPO)等のリン酸塩;亜硫酸ナトリウム(NaSO)等の亜硫酸塩;塩素酸カリウム(KClO)等の塩素酸塩;過塩素酸ナトリウム(NaClO)等の過塩素酸塩;チオ硫酸ナトリウム(Na)等のチオ硫酸塩;臭化カリウム(KBr)、臭化ナトリウム(NaBr)等のアルカリ金属の臭化物;ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)等のアルカリ金属のヨウ化物;ホウ砂(Na)等のホウ酸塩等が例示できる。
前記保冷用組成物は、増粘剤として、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上が配合されてなるものであり、増粘剤は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記保冷用組成物は、これら特定の増粘剤を用いることにより、非凍結状態での保存時に粘度低下が抑制される。
前記溶媒は、前記保冷用組成物において、リン酸三ナトリウム十二水和物及び前記その他の塩と共に、保冷剤の一構成成分となるものである。
前記溶媒は、リン酸三ナトリウム十二水和物、前記その他の塩及び増粘剤を溶解可能なものが好ましく、このようなものとしては水、親水性溶媒が例示できる。
前記親水性溶媒は、水に対して均一に溶解可能な溶媒であり、好ましいものとしては、エタノール、2−プロパノール等のアルコール等が例示できる。
溶媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒は、水又は水を含有する混合溶媒であることが好ましい。
水を含有する混合溶媒の、水以外の溶媒の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。水以外の溶媒の前記含有量がこのような範囲であることで、前記保冷用組成物は、目的とする保冷温度を長時間安定して維持する保冷効果がより高くなる。
前記保冷用組成物において、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量は、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下と凍結時の体積膨張の抑制の効果が得られるように、併用する増粘剤等の種類を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記保冷用組成物において、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量には、併用する増粘剤の種類によって、本発明の効果がより顕著に得られる範囲がある。以下、具体的に説明する。
前記増粘剤がヒドロキシプロピルグアーガムであるか、又はヒドロキシプロピルグアーガムを主成分とするものである場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、0.6質量%以上であることが好ましく、0.65質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが特に好ましい。また、この場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制効果と、凍結時の体積膨張の抑制効果とが、共により高くなる。また、リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、保冷用組成物の融点や凍結時間等の保冷性能に関連する特性が、より良好となる。
ここで、「増粘剤がヒドロキシプロピルグアーガムを主成分とするものである場合」とは、増粘剤が、ヒドロキシプロピルグアーガム以外に、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上を含有し、増粘剤のヒドロキシプロピルグアーガムの含有量が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である場合を意味する。
前記増粘剤がキサンタンガムであるか、又はキサンタンガムを主成分とするものである場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、0.3質量%以上であることが好ましく、0.35質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが特に好ましい。また、この場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制効果と、凍結時の体積膨張の抑制効果とが、共により高くなる。また、リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、保冷用組成物の融点や凍結時間等の保冷性能に関連する特性が、より良好となる。
ここで、「増粘剤がキサンタンガムを主成分とするものである場合」とは、増粘剤が、キサンタンガム以外に、ヒドロキシプロピルグアーガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上を含有し、増粘剤のキサンタンガムの含有量が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である場合を意味する。
前記増粘剤がカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方であるか、あるいはカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方を主成分とするものである場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、1質量%以上であることが好ましく、1.1質量%以上であることがより好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。また、この場合、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合は、4質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制効果と、凍結時の体積膨張の抑制効果とが、共により高くなる。また、リン酸三ナトリウム十二水和物の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、保冷用組成物の融点や凍結時間等の保冷性能に関連する特性が、より良好となる。
ここで、「増粘剤がカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方を主成分とするものである場合」とは、増粘剤が、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方以外に、ヒドロキシプロピルグアーガム及びキサンタンガムのいずれか一方又は両方を含有し、増粘剤のカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸の総含有量が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である場合を意味する。
前記保冷用組成物は、前記増粘剤がいずれの場合であっても、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、例えば1質量%以上であれば、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制効果と、凍結時の体積膨張の抑制効果とが、共により高くなる。そして、前記増粘剤がいずれの場合であっても、前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、例えば4質量%以下であれば、保冷用組成物の融点や凍結時間等の保冷性能に関連する特性が、より良好となる。
前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、前記その他の塩の配合量の割合が、3質量%以上であることが好ましく、3.5質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。その他の塩の前記配合量の割合が、前記下限値以上であることで、保冷用組成物の非凍結時の粘度低下の抑制効果と、凍結時の体積膨張の抑制効果とが、共により高くなる。
また、前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、前記その他の塩の配合量の割合が、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、23質量%以下であることが特に好ましい。その他の塩の前記配合量の割合が、前記上限値以下であることで、保冷用組成物の融点や凍結時間等の保冷性能に関連する特性が、より良好となる。
前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、前記増粘剤の配合量の割合が、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることが特に好ましい。増粘剤の前記配合量の割合が、前記下限値以上であることで、増粘剤を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
また、前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、前記増粘剤の配合量の割合が、5質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。増粘剤の前記配合量の割合が、前記上限値以下であることで、前記保冷用組成物は、保冷性能に優れるだけでなく、粘度の調節が容易となるなど、取り扱い性にも優れたものとなる。
前記保冷用組成物において、その配合成分の総量に対する、前記溶媒の配合量の割合は特に限定されず、目的とする保冷性能が得られるように、他の配合成分の種類も考慮して適宜調節すればよい。
前記保冷用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、リン酸三ナトリウム十二水和物、前記その他の塩、前記増粘剤及び溶媒以外に、これらに該当しない任意成分を含有していてもよい。前記任意成分としては、前記増粘剤(ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸)以外の増粘剤(以下、「その他の増粘剤」と略記することがある)、防腐剤、染料等の公知の各種添加剤等が例示できる。
前記任意成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の増粘剤は、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸以外のものであれば特に限定されない。
前記その他の増粘剤として、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸以外のアクリル系ポリマー(ポリアクリル酸骨格有する化合物);カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;グアーガム;ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルグアーガム等のヒドロキシプロピルグアーガム以外のヒドロキシアルキルグアーガム;タマリンドガム(タマリンドシードガム);タラガム;ジュランガム;ペクチン;カラギーナン;プロピレングリコール等のアルキレングリコール;アルギン酸;寒天;グルコマンナン;ポリビニルアルコール等が例示できる。
前記保冷用組成物において、前記その他の増粘剤の配合量は、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸の総配合量に対して、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。その他の増粘剤の前記配合量がこのような範囲であることで、保冷用組成物は、非凍結時の粘度低下の抑制効果がより高くなる。
前記防腐剤としては、食品保存料、酸化防止剤等が例示でき、ナトリウムピリチオン、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)、プロタミン、有機窒素硫黄系化合物等が例示できる。
前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、防腐剤の配合量の割合が、0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましい。
前記染料は特に限定されず、例えば、赤色染料、青色染料、黄色染料、黒色染料等、いずれの染料も使用できる。
染料として、具体的には、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、ナフトール染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、シアニン色素、タール色素等が例示できる。
染料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、通常は1種を単独で用いることが好ましい。
前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、染料の配合量の割合(保冷用組成物の染料の含有量)が、質量比で2000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
前記保冷用組成物は、その配合成分の総量に対する、前記必須成分(リン酸三ナトリウム十二水和物、前記その他の塩、前記増粘剤及び溶媒)の総配合量の割合が、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
前記保冷用組成物は、リン酸三ナトリウム十二水和物、前記その他の塩、前記増粘剤、溶媒、及び必要に応じて前記任意成分を配合することで得られる。
各成分の配合方法は特に限定されず、保冷用組成物の凍結温度よりも高い温度において、各成分が均一に溶解又は分散するように、任意に調節できる。
例えば、各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、15〜30℃とすることができる。
前記保冷用組成物は、含有成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
保冷用組成物は、例えば、その製造直後の粘度を24〜26℃で測定し、次いで、製造から7日後まで48〜52℃で保存した後の粘度を24〜26℃で測定して、ここで得られた保存前(製造直後)の粘度の値と、保存後の粘度の値とを用いて、下記式(i)により、保存による「保冷用組成物の粘度低下率」を算出できる。本発明における保冷用組成物では、前記粘度低下率を、好ましくは20%未満、より好ましくは15%以下とすることが可能である。
なお、保冷用組成物の保存前及び保存後の粘度は、いずれもB型粘度計により測定したものである。
[保冷用組成物の粘度低下率(%)]={([保冷用組成物の保存前の粘度]−[保冷用組成物の保存後の粘度])/[保冷用組成物の保存前の粘度]}×100 ・・・・(i)
本発明に係る保冷具は、前記保冷用組成物を供えたものであり、例えば、液状物を封入可能な容器等の保持手段によって、保冷用組成物を保持することで構成される。
前記保持手段の材質は、保持された保冷用組成物が視認可能な程度に透明性を有しているものが好ましく、このようなものとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリエステル等の合成樹脂が例示できる。これらの中でも、耐低温脆性、耐水性及び耐薬品性等に優れる点から、ポリオレフィンが好ましく、成形が容易で、高い強度を有する高密度ポリエチレンがより好ましい。
保冷具は、保冷用組成物の凍結時での体積膨張の影響を許容(吸収)し得る程度の余剰空間(隙間)が生じないように、保冷用組成物が十分に封入された状態とすることで、保冷用組成物の凍結前後での膨張量(すなわち、保冷用組成物自体の凍結前後での膨張量)を測定できる。そして、膨張抑制剤が配合されてなる保冷用組成物を備えた保冷具(例えば、リン酸三ナトリウム十二水和物が配合されてなる保冷用組成物を備えた本発明に係る保冷具)と、この保冷具の保冷用組成物において、膨張抑制剤を溶媒に置き換えたもの(すなわち、膨張抑制剤が配合されていない比較用保冷用組成物)を備えた比較用保冷具とで、前記膨張量をそれぞれ測定し、膨張抑制剤を用いた保冷具で測定された「膨張量a」の値と、比較用保冷具で測定された「膨張量b」の値とを用いて、下記式(ii)により、「膨張抑制率」を算出できる。この膨張抑制率は、膨張抑制剤を用いた保冷用組成物について、その凍結時における体積膨張の抑制効果の程度を示すものである。本発明に係る保冷具では、前記膨張抑制率を、好ましくは12%以上、より好ましくは13%以上とすることが可能である。
なお、保冷具の膨張量は、例えば、保冷用組成物が封入されてなる保冷具の二つの主面間等の対向する二面間の距離(例えば、保持手段が扁平状である場合にはその厚さ)を、同じ箇所で保冷用組成物の冷却前と保冷用組成物の凍結後とで測定し、凍結後の距離と冷却前の距離との差([保冷用組成物凍結後の保冷具の二面間の距離]−[保冷用組成物冷却前の保冷具の二面間の距離])を算出することで求められる。なお、本明細書においては、特に断りの無い限り「冷却前」とは、冷却を開始する前で常温(例えば、15〜30℃)にある段階を意味する。
[保冷具の膨張抑制率(%)]={([膨張量b]−[膨張量a])/[膨張量b]}×100 ・・・・(ii)
前記保冷具は、前記保冷用組成物の凍結時の体積膨張が抑制されるので、同様に体積膨張が抑制されるものであり、所望の形状及び大きさの保持手段を任意に選択して構成できる。保冷用組成物は、通常、凍結時に体積が最も膨張するが、本発明においては、膨張抑制剤としてリン酸三ナトリウム十二水和物を用いることで、この体積膨張を抑制している。
また、前記保冷用組成物は、凍結及び解凍を繰り返すなど、冷却及び昇温を繰り返しても、効果が損なわれることが無いので、これを備えた保冷具は、繰り返し利用にも適したものである。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。なお、以下において、染料の含有量(配合量、濃度)の単位「ppm」は、すべて質量比に基づくものである。
本実施例及び比較例で使用した原料を、以下に示す。
(増粘剤)
・HPグアー:ヒドロキシプロピルグアーガム(三晶社製)
・キサンタンガム(三晶社製)
・CMC(カルボキシメチルセルロース)(関東化学社製)
・ポリアクリル酸(三晶社製)
・カラギーナン(三晶社製)
・アルギン酸(三晶社製)
・寒天(三晶社製)
・グアーガム(三晶社製)
・タマリンドシードガム(三晶社製)
・タラガム(三晶社製)
・グルコマンナン(三晶社製)
・ジュランガム(三晶社製)
・ペクチン(三晶社製)
・ヒドロキシエチルセルロース(三晶社製)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(三晶社製)
・ポリビニルアルコール(クラレ社製)
(防腐剤)
・ナトリウムピリチオン(三愛石油社製「ソジウムオマジン」)
・有機窒素硫黄系化合物(パーマケム・アジア社製「トップサイド」)
(染料)
・黒色401号(ナフトールブルーブラック、ダイワ化成社製)
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[実施例1]
室温(20〜25℃)において、水(76.7質量部)、リン酸三ナトリウム十二水和物(2質量部)、塩化アンモニウム(15質量部)、塩化カリウム(5質量部)、HPグアー(1.25質量部)、ナトリウムピリチオン(0.05質量部)、黒色401号を添加及び混合して、保冷用組成物を得た。このとき、黒色401号の配合量は、得られた保冷用組成物での含有量が10ppmとなるように調節した。水以外の各配合成分及びその配合量を表1に示す。
次いで、得られた保冷用組成物を、扁平状の高密度ポリエチレン製の容器に封入して、保冷具とした。このとき、容器中には、保冷用組成物の封入操作に伴う、不可避の微小な隙間(保冷用組成物で満たされていない空間)が残存したが、この隙間は、以下の保冷用組成物の評価において、保冷具の膨張量への影響を無視できる程度の大きさであった。これは、以降の実施例及び比較例でも同じである。
[比較例1]
リン酸三ナトリウム十二水和物(2質量部)に代えて水(2質量部)を用いることで、水の配合量を76.7質量部に代えて78.7質量部とした点以外は、実施例1と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の実施例1及び比較例1で得られた保冷用組成物について、製造直後の粘度を25℃で測定し、次いで、製造から7日後まで50℃で保存した後の粘度を25℃で測定した。そして、ここで得られた保存前(製造直後)の粘度の値と、保存後の粘度の値とを用いて、前記式(i)に従って、保存による保冷用組成物の粘度低下率(%)を算出し、その値が20%未満である場合を○、20%以上である場合を×と判定した。結果を表1に示す。
なお、保冷用組成物の保存前及び保存後の粘度は、いずれもB型粘度計(東機産業社製)により、No.4ローターを使用して、回転速度60rpmで測定した。
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1及び比較例1で得られた保冷具をそれぞれ冷凍庫内の所定箇所に置き、−40℃まで冷却してこの温度で24時間保存し、保冷用組成物が完全に凍結した後の保冷具(保冷用組成物)の膨張量を測定した。このときの保冷具の膨張量は、保冷具の同じ箇所(厚さが最大となる箇所)において、保冷用組成物凍結後の保冷具の厚さと、冷却前の保冷具の厚さとの差([保冷用組成物凍結後の保冷具の厚さ]−[冷却前の保冷具の厚さ])から求めた。
そして、実施例1の保冷具の前記膨張量(膨張量a)と、比較例1の保冷具の前記膨張量(膨張量b)のそれぞれの値を用いて、前記式(ii)に従って、保冷用組成物凍結時の保冷具の膨張抑制率(%)を算出した。結果を表1に示す。比較例1の保冷具の膨張抑制率は0%である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造並びに評価>
[実施例2〜5、比較例2]
リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。いずれの実施例及び比較例においても、水の配合量は、配合成分の総量が100質量部となるように調節した。例えば、実施例2においては、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を2質量部に代えて1.75質量部とし、水の配合量を76.7質量部に代えて76.95質量部とした点以外は、実施例1と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中、配合成分の欄の「−」は、その成分が未配合であることを意味する。これは以降の表においても同様である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[実施例6]
室温(20〜25℃)において、水(86.7質量部)、リン酸三ナトリウム十二水和物(2質量部)、塩化アンモニウム(7.5質量部)、塩化カリウム(2.5質量部)、HPグアー(1.25質量部)、ナトリウムピリチオン(0.05質量部)、黒色401号を添加及び混合して、保冷用組成物を得た。このとき、黒色401号の配合量は、得られた保冷用組成物での含有量が10ppmとなるように調節した。水以外の各配合成分及びその配合量を表2に示す。
次いで、得られた保冷用組成物を用いて、実施例1と同じ方法で保冷具を製造した。
[比較例3]
リン酸三ナトリウム十二水和物(2質量部)に代えて水(2質量部)を用いることで、水の配合量を86.7質量部に代えて88.7質量部とした点以外は、実施例6と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の実施例6及び比較例3で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1及び比較例1で得られた保冷具に代えて、実施例6及び比較例3で得られた保冷具を用いた点以外は、上記と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。比較例3の保冷具の膨張抑制率は0%である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造並びに評価>
[実施例7〜9]
リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を表2に示すとおりとした点以外は、実施例6と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。いずれの実施例においても、水の配合量は、配合成分の総量が100質量部となるように調節した。例えば、実施例7においては、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を2質量部に代えて1.75質量部とし、水の配合量を86.7質量部に代えて86.95質量部とした点以外は、実施例6と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。結果を表2に示す。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[実施例10]
室温(20〜25℃)において、水(77.7質量部)、リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)、塩化アンモニウム(15質量部)、塩化カリウム(5質量部)、キサンタンガム(1質量部)、ナトリウムピリチオン(0.05質量部)、黒色401号を添加及び混合して、保冷用組成物を得た。このとき、黒色401号の配合量は、得られた保冷用組成物での含有量が10ppmとなるように調節した。水以外の各配合成分及びその配合量を表3に示す。
次いで、得られた保冷用組成物を用いて、実施例1と同じ方法で保冷具を製造した。
[比較例4]
リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)に代えて水(1.25質量部)を用いることで、水の配合量を77.7質量部に代えて78.95質量部とした点以外は、実施例10と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の実施例10及び比較例4で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1及び比較例1で得られた保冷具に代えて、実施例10及び比較例4で得られた保冷具を用いた点以外は、上記と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。比較例4の保冷具の膨張抑制率は0%である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造並びに評価>
[実施例11〜12]
リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を表3に示すとおりとした点以外は、実施例10と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。いずれの実施例においても、水の配合量は、配合成分の総量が100質量部となるように調節した。例えば、実施例11においては、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量を1.25質量部に代えて1質量部とし、水の配合量を77.7質量部に代えて77.95質量部とした点以外は、実施例10と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。結果を表3に示す。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[実施例13]
室温(20〜25℃)において、水(93.15質量部)、リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)、硫酸ナトリウム(3質量部)、塩化ナトリウム(0.5質量部)、塩化カリウム(1質量部)、HPグアー(1質量部)、有機窒素硫黄系化合物(防腐剤)(0.1質量部)を添加及び混合して、保冷用組成物を得た。水以外の各配合成分及びその配合量を表4に示す。
次いで、得られた保冷用組成物を用いて、実施例1と同じ方法で保冷具を製造した。
[比較例5]
リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)に代えて水(1.25質量部)を用いることで、水の配合量を93.15質量部に代えて94.4質量部とした点以外は、実施例13と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の実施例13及び比較例5で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1及び比較例1で得られた保冷具に代えて、実施例13及び比較例5で得られた保冷具を用いた点以外は、上記と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。比較例5の保冷具の膨張抑制率は0%である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[実施例14〜16]
表4に示すように、HPグアー(1質量部)に代えて、キサンタンガム(1質量部)(実施例14)、CMC(1質量部)(実施例15)、又はポリアクリル酸(1質量部)(実施例16)をそれぞれ用いた点以外は、実施例13と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
[比較例6〜8]
リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)に代えて水(1.25質量部)を用いることで、水の配合量を93.15質量部に代えて94.4質量部とした点以外は、実施例14、15又は16と同じ方法で、保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の実施例14〜16及び比較例6〜8で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1及び比較例1で得られた保冷具に代えて、実施例14及び比較例6で得られた保冷具、実施例15及び比較例7で得られた保冷具、又は実施例16及び比較例8で得られた保冷具をそれぞれ用いた点以外は、上記と同じ方法で評価した。結果を表4に示す。比較例6〜8の保冷具の膨張抑制率は0%である。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[比較例9〜20]
HPグアー(1質量部)に代えて、表5に示す増粘剤(いずれも1質量部)をそれぞれ用いた点以外は、実施例13と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の比較例9〜20で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で、粘度低下率を評価した。結果を表5に示す。
なお、これら比較例では、後述するように保冷用組成物の粘度低下率の評価結果が×であったため、保冷具の膨張抑制率は評価しなかった。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[比較例21〜32]
キサンタンガム(1質量部)に代えて、表6に示す増粘剤(いずれも1質量部)をそれぞれ用いた点以外は、実施例10と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷用組成物及び保冷具の評価>
(保冷用組成物の粘度低下率の評価)
上記の比較例21〜32で得られた保冷用組成物について、実施例1と同じ方法で、粘度低下率を評価した。結果を表6に示す。
なお、これら比較例では、後述するように保冷用組成物の粘度低下率の評価結果が×であったため、保冷具の膨張抑制率は評価しなかった。
<保冷用組成物及び保冷具の製造並びに評価>
[比較例33]
表7に示すように、リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)に代えて、カリミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム十二水和物(AlK(SO・12HO))(1.25質量部)を用いた点以外は、実施例10と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造し、評価した。結果を表7に示す。
<保冷用組成物及び保冷具の製造>
[比較例34〜39]
表7に示すように、リン酸三ナトリウム十二水和物(1.25質量部)に代えて、カリミョウバン(1.25質量部)、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na・10HO)(1.25質量部)、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO・7HO)(1.25質量部)、リン酸水素ニナトリウム十二水和物(NaHPO・12HO)(1.25質量部)、リン酸水素ニナトリウム二水和物(NaHPO・2HO)(1.25質量部)、又は塩化マグネシウム六水和物(MgCl・6HO)(1.25質量部)をそれぞれ用いた点以外は、実施例3と同じ方法で保冷用組成物及び保冷具を製造した。
<保冷具の評価>
(保冷具の膨張抑制率の評価)
実施例1で得られた保冷具に代えて、比較例34〜39で得られた保冷具を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で評価した。結果を表7に示す。
なお、これら比較例の保冷用組成物の粘度低下率は、評価しなかった。
上記の各実施例及び比較例の保冷用組成物について、水和物である膨張抑制剤の配合量を無水物の配合量に換算(例えば、リン酸三ナトリウム十二水和物の場合には、その配合量をリン酸三ナトリウムの配合量に換算)した値と、この無水物換算の膨張抑制剤及びその他の塩の合計配合量等を表8に示す。
Figure 2016056333
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上記結果から明らかなように、実施例1〜16では、膨張抑制剤としてリン酸三ナトリウムを用い、増粘剤としてヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース又はポリアクリル酸を用いたことにより、保存時(非凍結時)の保冷用組成物の粘度低下抑制効果と、凍結時の保冷具(保冷用組成物)の膨張抑制効果とが、いずれも高かった。
なお、実施例1〜5の粘度低下率は、6%(実施例1)、6%(実施例2)、12%(実施例3)、5%(実施例4)、3%(実施例5)であった。
これに対して、比較例1、3〜8では、膨張抑制剤を用いなかったことにより、保存時の保冷用組成物の粘度低下抑制効果は高かったものの、凍結時の保冷具の膨張抑制効果が得られなかった。
また、比較例2では、リン酸三ナトリウムの配合量が不足していたことにより、膨張抑制剤を用いなかった場合と同様の結果となった。
また、比較例9〜32では、リン酸三ナトリウムを用いているにも関わらず、増粘剤としてヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれも用いずに、その他のものを用いたことにより、保存時の保冷用組成物の粘度低下抑制効果が低かった。
また、比較例33〜34では、膨張抑制剤としてリン酸三ナトリウムを用いずに、カリミョウバンを用いたことにより、凍結時の保冷具の膨張抑制効果は高かったものの、保存時の保冷用組成物の粘度低下抑制効果が低かった。そして、比較例35〜39では、膨張抑制剤としてリン酸三ナトリウムを用いずに、カリミョウバン以外のものを用いたことにより、凍結時の保冷具の膨張抑制効果が低かった。
本発明は、各種生鮮物用の保冷具として利用可能である。

Claims (4)

  1. リン酸三ナトリウム十二水和物、リン酸三ナトリウム十二水和物以外の塩、増粘剤及び溶媒が配合されてなる保冷用組成物を供えた保冷具であって、
    前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする保冷具。
  2. 前記増粘剤がヒドロキシプロピルグアーガムであり、
    前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、0.6質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の保冷具。
  3. 前記増粘剤がキサンタンガムであり、
    前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、0.3質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の保冷具。
  4. 前記増粘剤がカルボキシメチルセルロース及びポリアクリル酸のいずれか一方又は両方であり、
    前記保冷用組成物の配合成分の総量に対する、リン酸三ナトリウム十二水和物の配合量の割合が、1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の保冷具。
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