JP2016055504A - マイクロデバイス、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents

マイクロデバイス、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びマイクロデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属膜の成膜及びパターニングを容易に行って、2つの部材を容易に且つ確実に接合することができるマイクロデバイス、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びマイクロデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】凹部12が設けられた第1部材10と、前記第1部材10の前記凹部12が開口する面側に接合された第2部材15と、を具備するマイクロデバイスであって、前記第1部材10の前記第2部材15との接合領域にめっきによって形成された第1金属膜210と、前記第2部材15の前記第1部材10との接合領域にめっきによって形成された第2金属膜220と、前記第1金属膜210と前記第2金属膜220とに挟まれた半田層250と、を具備し、溶解した前記半田層250の前記第1金属膜210及び前記第2金属膜220に対する接触角は、溶解した前記半田層250の前記第1金属膜210及び前記第2金属膜220の下地201、202に対する接触角よりも小さい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、2つの部材を接合したマイクロデバイス、液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びマイクロデバイスの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドなどのマイクロデバイスの代表的な例であるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、圧力発生室が形成された流路形成基板と、ノズル開口が形成されたノズルプレートとが、直接又は連通板などを介して接着剤によって接合されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、2つの部材の接合面に金属膜を設け、金属膜同士を半田で接合するようにしたマイクロパッケージ構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−156845号公報 特開2003−175500号公報
しかしながら、インクジェット式記録ヘッドの部材同士を接合する部分において、接着剤によって接合すると、2つの部材を押圧した際に接着剤が流路内にはみ出ることや、流路内の壁面をせり上がるなどの接着剤の流出が発生するという問題がある。そして、流路内に接着剤がはみ出すと、流路を通過するインクに含まれる気泡が接着剤に捕捉されて、気泡が徐々に成長し、予期せぬタイミングで下流に流れ出してインク滴の吐出不良が発生するという問題がある。なお、接着剤は、流路内に突出するだけではなく、流路内に表面が露出されているだけでも、接着剤の表面に気泡が捕捉される虞がある。また、接着剤が流路内をせり上がり、振動板等の圧力発生手段に付着すると、接着剤によって圧力発生手段の変形が阻害されて、圧力発生手段の変位特性が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2の構成では、接合面として平坦面を有する部材の場合、スパッタリング法やCVD法などの気相法によって金属膜を成膜することができるものの、接合面に流路等の凹部が設けられている部材の場合、気相法によって金属膜を成膜及びパターニングするのが困難であるという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに限定されず、他のマイクロデバイスにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、金属膜の成膜及びパターニングを容易に行って、2つの部材を容易に且つ確実に接合することができるマイクロデバイス、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びマイクロデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、凹部が設けられた第1部材と、前記第1部材の前記凹部が開口する面側に接合された第2部材と、を具備するマイクロデバイスであって、前記第1部材の前記第2部材との接合領域にめっきによって形成された第1金属膜と、前記第2部材の前記第1部材との接合領域にめっきによって形成された第2金属膜と、前記第1金属膜と前記第2金属膜とに挟まれた半田層と、を具備し、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜に対する接触角は、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜の下地に対する接触角よりも小さいことを特徴とするマイクロデバイスにある。
かかる態様では、溶解した半田層は下地への濡れ性が低いことから、溶解した半田層が第1金属膜及び第2金属膜の外側の下地に流出するのを抑制することができる。また、第1金属膜及び第2金属膜を溶解した半田層で接合することができるため、両者を高い圧力で押圧する必要がないことから半田層が下地側に流出するのを抑制することができる。さらに、第1金属膜をめっきによって形成することで、第1部材に気相法で金属膜を形成するのに比べて容易に且つ高精度に形成することができる。また、半田層が溶解することによる表面張力で第1部材と第2部材とのアライメントを自動で行わせることができ、高精度なアライメントを行うことができる。
ここで、前記第1金属膜は、前記第1凹部の開口の周縁に亘って連続して設けられていることが好ましい。これにより、第1金属膜にエッジを効率的に形成することができると共に第1凹部の周縁を確実に接合することができる。
また、前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、前記半田層よりも融点が高い金属で形成されていることが好ましい。これにより、第1金属膜及び第2金属膜を溶解することなく、半田層のみを溶解して第1金属膜と第2金属膜とを半田層によって接合することができる。
また、前記半田層は、鉛を含まない合金で形成されていることが好ましい。これによれば、環境や人体への悪影響を抑制することができる。
また、前記半田層は、錫、銀、及び、銅を主成分とする合金であることが好ましい。これによれば、半田層として、一般的な半田を用いることで、コストを低減することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の第1部材と第2部材と、を具備し、前記第1部材の前記凹部が液体を噴射するノズル開口に連通する流路であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、半田層の流れ出しによる液体の噴射不良等を抑制することができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、液体の噴射不良を抑制した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、凹部が設けられた第1部材と、前記第1部材の前記凹部が開口する面側に接合された第2部材と、を具備するマイクロデバイスの製造方法であって、前記第1部材の前記第2部材との接合領域に第1金属膜をめっきによって形成する工程と、前記第2部材の前記第1部材との接合領域に第2金属膜をめっきによって形成する工程と、前記第1金属膜と前記第2金属膜とを半田層によって接合する工程と、を具備し、前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び第2金属膜に対する接触角が、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜の下地に対する接触角よりも小さい材料で形成することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法にある。
かかる態様では、溶解した半田層は下地への濡れ性が低いことから、溶解した半田層が第1金属膜及び第2金属膜の外側の下地に流出するのを抑制することができる。また、第1金属膜及び第2金属膜を溶解した半田層で接合することができるため、両者を高い圧力で押圧する必要がないことから半田層が下地側に流出するのを抑制することができる。さらに、第1金属膜をめっきによって形成することで、第1部材に気相法で金属膜を形成するのに比べて容易に且つ高精度に形成することができる。また、半田層が溶解することによる表面張力で第1部材と第2部材とのアライメントを自動で行わせることができ、高精度なアライメントを行うことができる。
ここで、前記凹部が、前記第1金属膜をマスクとして前記第1部材をエッチングすることにより形成されることが好ましい。これによれば、第1部材をエッチングする際のマスクを形成する工程が不要となって、製造工程を短縮することができると共に、コストを低減することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る流路形成基板の平面図である。 本発明の実施形態1に係る連通板の平面図である。 本発明の実施形態1に係る連通板の平面図である。 本発明の実施形態1に係るノズルプレートの平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図である。また、図3は図2のA−A′線断面図であり、図4は図3の要部を拡大した断面図である。
さらに、図5は流路形成基板の平面図であり、図6及び図7は連通板の平面図であり、図8はノズルプレートの平面図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIIは、ヘッド本体11、ヘッド本体11の一方面側に固定されたケース部材40、ヘッド本体11の他方面側に固定されたカバーヘッド130等の複数の部材を備える。本実施形態では、ヘッド本体11は、流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、保護基板30と、コンプライアンス基板45と、を具備する。
ヘッド本体11を構成する流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrOあるいはAlを代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlOのような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された本実施形態の凹部である圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの両方に直交する方向を第3の方向Zと称する。なお、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いのそれぞれ直交する方向としたが、特にこれに限定されず、直交以外の角度で交差する方向であってもよい。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側には、連通板15と、ノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけで良いので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、流路形成基板10が第1部材に相当し、連通板15が第2部材に相当する。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。本実施形態では、ノズルプレート20として、連通板15と同じシリコン単結晶基板を用いた。
このような流路形成基板10と連通板15との接合は、流路形成基板10の連通板15との接合面に設けられた第1金属膜210と、連通板15の流路形成基板10との接合面に設けられた第2金属膜220と、第1金属膜210及び第2金属膜220の間に挟まれた第1半田層250と、で行われている。
ここで、図4に示すように、流路形成基板10の圧力発生室12の内面には、第1保護膜201が設けられている。第1保護膜201は、耐インク性(耐液体性)、すなわち、圧力発生室12に供給されるインク(液体)に対して優れた耐エッチング性を有し、特に、アルカリ性のインクに対して優れた耐エッチング性を有することが好ましい。このような第1保護膜201は、窒化膜、酸化膜、金属膜等が挙げられる。第1保護膜201の具体的な材料としては、酸化シリコン(SiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化シリコン(SiN)、五酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。ただし、酸性のインク(液体)を用いる場合には、もちろん耐酸性の第1保護膜201を用いることになる。
また、第1保護膜201は、例えば、流路形成基板10を熱酸化することにより形成してもよく、CVD法(化学蒸着法)等により形成してもよい。本実施形態では、流路形成基板10に五酸化タンタルからなる第1保護膜201を原子層堆積法(ALD)によって形成した。
このような第1保護膜201は、圧力発生室12の内面から連通板15と接合される接合面、すなわち、第3の方向Zの連通板15側の面に亘って連続して設けられている。なお、第1保護膜201は、溶解した第1半田層250の第1保護膜201に対する接触角が、溶解した第1半田層250の詳しくは後述する第1金属膜210の表面に対する接触角よりも大きい材料を用いるのが好ましい。これにより、第1金属膜210上で溶解した第1半田層250が、第1保護膜201上に流出するのを抑制することができる。したがって、第1保護膜201としては、溶解した第1半田層250に対して接触角が比較的大きな材料、例えば、窒化膜又は酸化物を用いるのが好適である。なお、第1保護膜201は、連通板15との接合領域に設けられることで、流路形成基板10と第1金属膜210との密着性を向上する密着膜としての機能を有する材料を用いるのが好ましい。もちろん、第1金属膜210の最下層に選択的に密着層を設けるようにしてもよく、第1保護膜201は、連通板15との接合領域に設けないようにしてもよい。
第1金属膜210は、流路形成基板10の連通板15との接合面の第1保護膜201上に、めっきによって形成されたものである。第1金属膜210を形成するめっきは、電解めっき及び無電界めっきの何れか一方又は両方であってもよい。すなわち、第1金属膜210は、単層であっても複数層が積層されているものであってもよく、積層された複数層の少なくとも1層がめっきによって形成されていればよい。また、第1金属膜210は、第1半田層250よりも融点が高い金属材料を用いることができる。また、第1金属膜210は、溶解した第1半田層250の第1金属膜210の少なくとも連通板15側の表面に対する接触角が、当該第1金属膜210の下地、本実施形態では、第1保護膜201への溶解した第1半田層250の接触角よりも小さい材料で形成されている。つまり、溶解した第1半田層250の第1金属膜210に対する接触角が小さい第1金属膜210の材料とは、溶解した第1半田層250の第1金属膜210に対する濡れ性が高いことを言う。本実施形態では、詳しくは後述するが、第1保護膜201側から触媒となるパラジウムを含む第1層211、第1層211上に無電界めっきにより形成したニッケルからなる第2層212、第2層212上に電解めっきにより形成した金からなる第3層213を順次積層することで、第1金属膜210を形成した。
このような第1金属膜210は、本実施形態では、図5に示すように、流路形成基板10の圧力発生室12の開口の周縁に亘って連続して設けられている。なお、第1金属膜210は圧力発生室12が開口する領域に矩形状に開口して設けられている。これにより、詳しくは後述するが、第1金属膜210の第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジの長さを十分に確保して、第1半田層250が溶解した際の表面張力による第1の方向X及び第2の方向Yにおける流路形成基板10と連通板15とを相対移動させる力を向上して、確実にセルフアライメントを行うことができる。
一方、図4に示すように、連通板15の流路、すなわち、ノズル連通路16、第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18等の内面には、第2保護膜202が設けられている。第2保護膜202は、第1保護膜201と同様の材料を用いることができる。もちろん、第1保護膜201と第2保護膜202とは異なる材料を用いてもよい。
このような第2保護膜202は、連通板15の流路の内面から第3の方向Zの両面に亘って連続して設けられている。すなわち、第2保護膜202は、連通板15の略全ての表面に亘って連続して設けられている。なお、第2保護膜202は、第1保護膜201と同様に、溶解した第1半田層250の第2保護膜202に対する接触角が、溶解した第1半田層250の詳しくは後述する第2金属膜220の表面に対する接触角よりも大きい材料を用いるのが好ましい。これにより、第2金属膜220上で溶解した第1半田層250が、第2保護膜202上に流出するのを抑制することができる。したがって、第2保護膜202としては、溶解した第1半田層250の第2保護膜202に対する接触角が比較的大きな材料、例えば、窒化膜又は酸化物を用いるのが好適である。なお、第2保護膜202は、流路形成基板10との接合領域に設けられることで、連通板15と第2金属膜との密着性を向上する密着膜としての機能を有するものが好ましい。もちろん、第2金属膜220の最下層に選択的に密着層を設けるようにしてもよく、第2保護膜202は、流路形成基板10との接合領域に延設しないようにしてもよい。
第2金属膜220は、連通板15の流路形成基板10の接合領域の第2保護膜202上に、めっきによって形成されたものである。第2金属膜220は、第1金属膜210と同様に、電解めっき及び無電界めっきの何れか一方又は両方で形成されたものであってもよい。すなわち、第2金属膜220は、単層であっても複数層が積層されたものであってもよく、積層された複数層の少なくとも1層がめっきによって形成されていればよい。また、第2金属膜220は、第1半田層250よりも融点が高い金属材料を用いることができる。また、第2金属膜220は、溶解した第1半田層250の第2金属膜220の少なくとも連通板15側の表面に対する接触角が、当該第2金属膜220の下地、本実施形態では、第2保護膜202への溶解した第1半田層250の接触角よりも小さい材料で形成されている。本実施形態の第2金属膜220は、第1金属膜210と同様に、第1保護膜201側から触媒となるパラジウムを含む第1層221、第1層221上に無電界めっきにより形成したニッケルからなる第2層222、第2層222上に電解めっきにより形成した金からなる第3層223を順次積層することで、第2金属膜220を形成した。
このような第2金属膜220は、本実施形態では、図6に示すように、連通板15の流路形成基板10側の面のノズル連通路16及び供給連通路19の周縁に亘って連続して設けられている。なお、連通板15のノズル連通路16と供給連通路19との間は、流路形成基板10と接合された際に、圧力発生室12の底面となるため、第2金属膜220は形成されていない。すなわち、第2金属膜220は、流路形成基板10の圧力発生室12の周縁に設けられた第1金属膜210に相対向して、第1金属膜210と略同じ形状及び同じ面積で形成されている。つまり、第2金属膜220は、ノズル連通路16及び供給連通路19が開口する領域に矩形状に開口して設けられている。
そして、図4に示すように、流路形成基板10と連通板15とは、第1金属膜210と第2金属膜220との間に設けられた第1半田層250によって接合されている。第1半田層250は、上述したように、第1金属膜210及び第2金属膜220よりも融点が低い材料であればよい。このように第1半田層250として、第1金属膜210及び第2金属膜220よりも融点が低い材料を用いることで、第1半田層250のみを選択的に溶解させて、第1金属膜210と第2金属膜220とを接合することができる。また、第1半田層250は、鉛(Pb)を含まない合金を用いるのが好ましい。このように第1半田層250として鉛を含まない合金を用いることで、環境や人体への悪影響を抑制することができる。このような第1半田層250の材料としては、例えば、錫(Sn)、銀(Ag)、及び、銅(Cu)を主成分とする合金が挙げられる。すなわち、第1半田層250として、一般的な半田を用いることで、コストを低減することができる。
このように第1金属膜210と第2金属膜220とを接合する第1半田層250は、溶解した際の第1金属膜210及び第2金属膜220に対する接触角よりも第1保護膜201及び第2保護膜202に対する接触角の方が大きい角度であって、第1保護膜201及び第2保護膜202に対する濡れ性が低いため、第1半田層250は、第1金属膜210及び第2金属膜220の間から第1保護膜201及び第2保護膜202上に流れ出すことなく形成されている。また、第1半田層250は、第1金属膜210及び第2金属膜220に対して濡れ性が高いため、第1金属膜210及び第2金属膜220の端面も覆うように形成される。
このように、流路形成基板10に第1金属膜210を設け、連通板15に第2金属膜220を設け、第1金属膜210と第2金属膜220とを第1半田層250によって接合することで、接着剤による接合に比べて、接着剤の流れ出しを抑制して、接着剤の流路内への流れ出しによる気泡の捕捉を抑制することができる。ちなみに、接着剤が流路内に露出していると、インクに含まれる気泡が接着剤の表面に捕捉され、捕捉された気泡が成長してしまう。そして、成長した気泡は、圧力発生室12内のインクの圧力変動を吸収したり、ノズル開口21に付着してインクのメニスカスを破壊したりすることで、インク滴が正常に噴射されなくなってしまう。本実施形態では、接着剤を用いずに、第1半田層250によって流路形成基板10と連通板15とを接合している。そして、インクの第1半田層250に対する接触角は、接着剤等の樹脂に比べて小さく、第1半田層250はインクの濡れ性が高いため、第1半田層250にはインクに含まれる気泡が捕捉され難い。また、接着剤を用いた場合、接着剤が接合領域の外側に流出すると、流路内、特に圧力発生室12の内面を介して後述する振動板50に付着し、振動板50の変位が阻害されてしまう。本実施形態では、溶解した第1半田層250の接触角が第1保護膜201及び第2保護膜202に対する接触角よりも小さい第1金属膜210及び第2金属膜220を設けることで、第1半田層250の接着領域以外への流れ出しを抑制することができる。また、流路形成基板10と連通板15とは、第1半田層250を溶解して接合するため、流路形成基板10と連通板15とを互いに高い圧力で押圧する必要がなく、低い圧力、実際には当接状態を維持するために部品の自重程度の押圧で接合することができる。したがって、接着剤に比べて第1半田層250は流路内に流れ出し難く、第1半田層250が振動板50に付着するのを抑制して、振動板50の変位が阻害されるのを抑制することができる。
また、流路形成基板10と連通板15とは、第1半田層250を溶解して接合するため、詳しくは後述するが、第1半田層250の表面張力によって流路形成基板10と連通板15とは高精度にアライメントされる。すなわち、流路形成基板10と連通板15とを光学的又は機械的に高精度にアライメントしなくても、流路形成基板10と連通板15とは、第1半田層250を溶解した際に第1金属膜210及び第2金属膜220のパターニングに合わせて第1半田層250の表面張力によって第1の方向X及び第2の方向Yに自動的に位置調整(セルフアライメント)される。したがって、光学的及び機械的な大がかりなアライメント装置が不要となると共に、アライメント工程が不要となって短時間で製造することができ、コストを低減することができる。
また、本実施形態では、連通板15とノズルプレート20との接合にも、流路形成基板10と連通板15との接合と同様に金属膜と半田とを用いた。具体的には、連通板15のノズルプレート20との接合面には、第3金属膜230が形成されている。第3金属膜230は、第2金属膜220と同様に、めっきによって形成されたものである。なお、第3金属膜230は、電解めっき及び無電界めっきの何れか一方又は両方で形成されたものであってもよい。すなわち、第3金属膜230は、単層であっても複数層が積層されたものであってもよく、積層された複数層の少なくとも1層がめっきによって形成されていればよい。また、第3金属膜230は、詳しくは後述する第2半田層260よりも融点が高い金属材料を用いることができる。また、第3金属膜230は、溶解した第2半田層260の第3金属膜230の少なくとも連通板15側の表面に対する接触角が、当該第3金属膜230の下地、本実施形態では、第2保護膜202への溶解した第2半田層260の接触角よりも小さい材料で形成されている。本実施形態では、第3金属膜230は、第2金属膜220と同様に、第2保護膜202側から触媒となるパラジウムを含む第1層231、第1層231上に無電界めっきにより形成したニッケルからなる第2層232、第2層232上に電解めっきにより形成した金からなる第3層233を順次積層することで、第3金属膜230を形成した。
第3金属膜230は、図7に示すように、ノズル連通路16の周縁に亘って連続して設けられている。なお、第3金属膜230は、ノズル連通路16が開口する領域に矩形状に開口して設けられている。
さらに、図4に示すように、ノズルプレート20には、第3保護膜203が設けられている。第3保護膜203は、第1保護膜201と同様の材料を用いることができる。もちろん、第1保護膜201と第3保護膜203とは異なる材料を用いてもよい。
このような第3保護膜203は、ノズル開口21の内面から連通板15との接合面とに亘って連続して設けられている。
また、ノズルプレート20の連通板15との接合領域には、第4金属膜240が設けられている。第4金属膜240は、第3金属膜230と同様にめっきによって形成されたものである。なお、第4金属膜240は、電解めっき及び無電界めっきの何れか一方又は両方で形成されたものであってもよい。すなわち、第4金属膜240は、単層であっても複数層が積層されたものであってもよく、積層された複数層の少なくとも1層がめっきによって形成されていればよい。また、第4金属膜240は、詳しくは後述する第2半田層260よりも融点が高い金属材料を用いることができる。また、第4金属膜240は、溶解した第2半田層260の第4金属膜240の少なくとも連通板15側の表面に対する接触角が、当該第4金属膜240の下地、本実施形態では、第3保護膜203への溶解した第2半田層260の接触角よりも小さい材料で形成されている。本実施形態では、第4金属膜240は、第3金属膜230と同様に、第3保護膜203側から触媒となるパラジウムを含む第1層241、第1層241上に無電界めっきにより形成したニッケルからなる第2層242、第2層242上に電解めっきにより形成した金からなる第3層243を順次積層することで、第4金属膜240を形成した。
このような第4金属膜240は、本実施形態では、図8に示すように、ノズル開口21の周縁に亘って連続して設けられている。なお、第4金属膜240は、第3金属膜230に相対向して第3金属膜230と略同じ形状及び面積で形成されている。また、本実施形態では、第4金属膜240は、ノズル開口21が開口する領域に矩形状の開口となるように形成されている。これにより、詳しくは後述するが、第2半田層260を溶解した際の表面張力によって、ノズルプレート20と連通板15とをセルフアライメントさせる力を増大させることができる。
そして、連通板15とノズルプレート20とは、第3金属膜230と第4金属膜240との間に設けられた第2半田層260によって接合されている。第2半田層260は、第1半田層250と同様に、第3金属膜230及び第4金属膜240よりも融点が低い材料であればよい。このように第2半田層260として、第3金属膜230及び第4金属膜240よりも融点が低い材料を用いることで、第2半田層260のみを選択的に溶解させて、第3金属膜230と第4金属膜240とを接合することができる。また、第2半田層260は、鉛(Pb)を含まない合金を用いるのが好ましい。このように第2半田層260として鉛を含まない合金を用いることで、環境や人体への悪影響を抑制することができる。このような第2半田層260の材料としては、例えば、錫(Sn)、銀(Ag)、及び、銅(Cu)を主成分とする合金が挙げられる。すなわち、第2半田層260として、一般的な半田を用いることで、コストを低減することができる。
このように連通板15とノズルプレート20との接合においても、上述した流路形成基板10と連通板15との接合と同様に、第3金属膜230と第4金属膜240とこれら2つの金属膜の間に設けられた第2半田層260とを用いることで、上述した流路形成基板10と連通板15との接合と同様の効果を奏することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、流路形成基板10の振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを有する圧電アクチュエーター300が設けられている。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が流路内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段であって、詳しくは後述する半導体素子である駆動回路120によって駆動される駆動素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としている。もちろん、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。すなわち、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。なお、上述した例では、振動板50が弾性膜51及び絶縁体膜52で構成されたものを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方を設けたものであってもよく、また、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
また、圧電アクチュエーター300の第2電極80からは、引き出し配線であるリード電極90の一端がそれぞれ接続されている。リード電極90の他端部は、振動板50上であって、第2の方向Yで隣り合う圧電アクチュエーター300の列の間に引き出されている。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列の間に第2の方向Yに2つ並んで形成されている。また、保護基板30には、第2の方向Yで並設された2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出されたリード電極90の端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。なお、流路形成基板10と保護基板30とは、例えば、接着剤によって接合することができる。
また、このような構成のヘッド本体11には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体11と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体11とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体11とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIIでは、インクを噴射する際に、インクカートリッジ2から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。なお、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIIでは、接続口43からノズル開口21までを液体流路と称する。すなわち、液体流路は、接続口43、マニホールド100、供給連通路19、圧力発生室12、ノズル連通路16、第2ノズル連通路26及びノズル開口21で構成されている。
また、ヘッド本体11の液体噴射面20a側には、本実施形態の保護板であるカバーヘッド130が設けられている。カバーヘッド130は、コンプライアンス基板45の連通板15とは反対面側に接合されており、コンプライアンス部49の流路(マニホールド100)とは反対側の空間を封止する。なお、カバーヘッド130には、ノズル開口21を露出する露出開口部131が設けられている。本実施形態では、露出開口部131は、ノズルプレート20を露出する大きさ、つまり、コンプライアンス基板45と同じ開口を有する。
また、カバーヘッド130は、本実施形態では、ヘッド本体11の側面(液体噴射面20aとは交差する面)を覆うように、液体噴射面20a側から端部が屈曲して設けられている。
ここで、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法について図9〜図14を参照して説明する。なお、図9〜図14は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
まず、流路形成基板10を形成する。具体的には、図9(a)に示すように、流路形成基板10に圧電アクチュエーター300、リード電極90、圧力発生室12及び第1保護膜201を形成すると共に流路形成基板10に保護基板30を接合する。圧電アクチュエーター300やリード電極90は、例えば、成膜及びリソグラフィー法によって形成することができる。また、圧力発生室12は、流路形成基板10をKOH等のアルカリ溶液を用いたウェットエッチング(異方性エッチング)を行うことで形成することができる。なお、保護基板30を流路形成基板10に接合した後で流路形成基板10に圧力発生室12を形成することで、比較的厚さの薄い流路形成基板10のハンドリングを向上して、流路形成基板10に容易に圧力発生室12を形成することができる。また、第1保護膜201は、上述したように、本実施形態では、酸化タンタルを原子層堆積法によって形成した。
次に、流路形成基板10に所定形状の第1金属膜210を形成する。具体的には、図9(b)に示すように、第1保護膜201上にパラジウム(Pd)を含む第1層211を形成する。この第1層211は、後の無電界めっきの触媒(アクチベーター)として機能するものであり、パラジウム以外の材料を用いることもできる。その他の材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの鉄属元素や白金族元素が挙げられる。また、第1層211は、第1金属膜210を形成する領域のみに設けるのが好ましく、本実施形態では、転写法によって第1層211を流路形成基板10の連通板15と接合される領域のみに形成するようにした。具体的には、例えば、塩化パラジウムの塩酸溶液からなるアクチベーター溶液を樹脂フィルム、例えば、PETフィル上に塗布し、スキージーでアクチベーター溶液を一定厚に伸展させた後、流路形成基板10の連通板15側に接合される面に転写する。これにより、圧力発生室12内にアクチベーター溶液が塗布されることなく、流路形成基板10の連通板15との接合領域のみに第1層211を選択的に形成することができる。なお、第1層211の形成方法は、特にこれに限定されず、例えば、ディップ式やスプレー式(スピン式)であってもよいが、ディップ式やスプレー式では、圧力発生室12内にも第1層211が形成されてしまうため、第1層211又は後の工程で第1層211上に形成する第1金属膜210のパターニングが必要になってしまう。本実施形態では、転写法によって第1層211を形成することで、第1層211を所望の領域のみに選択的に形成することができ、第1層211又は第1金属膜210をパターニングする工程が不要となる。なお、第1層211を所望の領域に選択的に形成する他の方法としては、例えば、アクチベーター溶液をインクジェット式記録ヘッドで流路形成基板10上に噴射して塗布するインクジェット方式が挙げられる。
次に、図9(c)に示すように、第1層211上に無電界めっきによって第2層212を形成する。第2層212としては、例えば、主成分としてニッケル(Ni)を含む材料を用いることができる。また、第2層212は、無電界めっきによって形成することで、第1層211上のみに選択的に形成することができる。本実施形態では、第2層212として、ニッケル−リン(Ni−P)を1μmの厚さで形成した。
次に、図10(a)に示すように、第2層212上に第3層213を形成する。本実施形態では、第3層213として、金(Au)を電解めっきによって形成した。これにより、第3層213は、第2層212上のみに選択的に形成することができる。もちろん、第3層213を無電界めっきによって形成するようにしてもよい。また、第2層212と第3層213との間にパラジウム(Pd)等の中間層を設けるようにしてもよい。このように第3層213を形成することで、第1層211、第2層212及び第3層213が積層された第1金属膜210が形成される。
次に、図10(b)に示すように、第1金属膜210上に第1半田層250aを形成する。本実施形態では、半田ペーストを転写法によって塗布することで第1半田層250aを形成した。もちろん、第1半田層250aの形成方法は、転写法に限定されず、例えば、加熱することで溶解した半田を第1金属膜210上に塗布するようにしてもよい。ただし、転写法によって第1半田層250aを形成することで、第1半田層250aを第1金属膜210上に亘って均一な厚さで形成することができる。
次に、連通板15を形成する。具体的には、図11(a)に示すように、連通板15に、ノズル連通路16、第1マニホールド部17、第2マニホールド部18及び供給連通路19等を形成する。これらノズル連通路16、第1マニホールド部17、第2マニホールド部18及び供給連通路19等は、連通板15をKOH等のアルカリ溶液を用いたウェットエッチング(異方性エッチング)することで形成できる。また、連通板15の流路の内面を含む表面に亘って酸化タンタルからなる第2保護膜202を原子層堆積で形成する。
次に、連通板15に第2金属膜220及び第3金属膜230を形成する。本実施形態では、第2金属膜220及び第3金属膜230を同時に形成するようにした。このように第2金属膜220と第3金属膜230とを同時に形成することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。もちろん、第2金属膜220と第3金属膜230とは個別に形成するようにしてもよい。ここで、第2金属膜220及び第3金属膜230の形成方法は、上述した第1金属膜210と同様の工程によって形成することができる。具体的には、図11(b)に示すように、第2保護膜202上に第2金属膜220を構成する第1層221と第3金属膜230を構成する第1層231とを形成する。第1層221及び第1層231は、第1金属膜210の第1層211と同様に、パラジウム(Pd)を用いた。もちろん、第1層221及び第1層231は、パラジウム以外の材料、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの鉄属元素や白金族元素を用いてもよい。また、第1層221及び第1層231は、第2金属膜220及び第3金属膜230を形成する領域のみに選択的に設けるのが好ましく、本実施形態では、上述した第1金属膜210の第1層211と同様に、転写法によって第1層221及び第1層231を選択的に形成するようにした。もちろん、第1層221及び第1層231の形成方法は、特にこれに限定されず、例えば、ディップ式、スプレー式(スピン式)、インクジェット式等であってもよい。なお、転写法による第1層221及び第1層231は、転写法によってそれぞれ形成されるものであるが、次の無電界めっきを行う工程の前に第1層221と第1層231とを形成しておくことで、次の無電界めっきを行った際に第1層221及び第1層231のそれぞれに同時に第2層222及び第2層232を同時に形成することができる。
次に、図11(c)に示すように、第1層221及び第1層231上に無電界めっきによって第2層222及び第2層232を形成する。第2層222及び第2層232としては、上述した第1金属膜210の第2層212と同様に、例えば、主成分としてニッケル(Ni)を含む材料を用いることができる。本実施形態では、ニッケル−リン(Ni−P)からなる第2層222及び第2層232を1ミクロンの厚さで形成した。
次に、図12(a)に示すように、第2層222及び第2層232上にそれぞれ第3層223及び第3層233を形成する。本実施形態では、第1金属膜210の第3層213と同様に、第3層223及び第3層233として、金(Au)を電解めっきによって形成した。もちろん、第3層223及び第3層233を無電界めっきによって形成するようにしてもよい。また、第2層222と第3層223との間や、第2層232と第3層233との間にパラジウム(Pd)等の中間層を設けるようにしてもよい。これにより、第1層221、第2層222及び第3層223が積層された第2金属膜220と、第1層231、第2層232及び第3層233が積層された第3層233とが形成される。
次に、図12(b)に示すように、第2金属膜220上に第1半田層250bを形成すると共に第3金属膜230上に第2半田層260aを形成する。本実施形態では、半田ペーストを転写法によって塗布することで第1半田層250b及び第2半田層260aを形成した。
次に、ノズルプレート20を形成する。具体的には、図13(a)に示すように、ノズルプレート20にノズル開口21を形成する。また、ノズルプレート20に、酸化タンタルからなる第3保護膜203を原子層堆積で形成する。
次に、ノズルプレート20に第4金属膜240を形成する。第4金属膜240の形成方法は、上述した第2金属膜220と同様の工程によって形成することができる。具体的には、まず、図13(b)に示すように、第3保護膜203上に第4金属膜240を構成する第1層241を形成する。第1層241は、第2金属膜220の第1層221と同様に、パラジウム(Pd)を用いた。もちろん、第1層241は、パラジウム以外の材料、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの鉄属元素や白金族元素を用いてもよい。また、第1層241は、第4金属膜240を形成する領域のみに選択的に設けるのが好ましく、本実施形態では、転写法によって第1層241を選択的に形成するようにした。もちろん、第1層241の形成方法は、特にこれに限定されず、例えば、ディップ式、スプレー式(スピン式)、インクジェット式等であってもよい。
次に、図13(c)に示すように、第1層241上に無電界めっきによって第2層242を形成する。第2層242としては、上述した第2金属膜220の第2層222と同様に、例えば、主成分としてニッケル(Ni)を含む材料を用いることができる。本実施形態では、ニッケル−リン(Ni−P)からなる第2層242を1ミクロンの厚さで形成した。
次に、図13(d)に示すように、第2層242上に第3層243を形成する。本実施形態では、第3層243として、第2金属膜220の第3層223と同様に、金(Au)を電解めっきによって形成した。もちろん、第3層243を無電界めっきによって形成するようにしてもよい。また、第2層242と第3層243との間にパラジウム(Pd)等の中間層を設けるようにしてもよい。これにより、第1層241、第2層242及び第3層243が積層された第4金属膜240が形成される。
次に、図13(e)に示すように、第4金属膜240上に第2半田層260bを形成する。本実施形態では、半田ペーストを転写法によって塗布することで第2半田層260bを形成した。
このように流路形成基板10、連通板15及びノズルプレート20を形成した後は、図14(a)に示すように、流路形成基板10上に連通板15を載置すると共に連通板15上にノズルプレート20を載置する。このとき、流路形成基板10と連通板15との位置決めを行うと共に、連通板15とノズルプレート20との位置決めを行う。ここで、流路形成基板10と連通板15との位置決め及び連通板15とノズルプレート20との位置決めは、製品として使用する際の精度よりも低い精度で行えばよい。すなわち、流路形成基板10と連通板15との位置決めは、例えば、圧力発生室12とノズル連通路16とのずれ量が、第1の方向Xにおいて1ピッチより小さくなる程度の精度で行えばよい。これは、後の工程で、第1半田層250を溶解した際に、第1半田層250の表面張力によってセルフアライメントされて高精度に位置決めされるからである。つまり、セルフアライメントを行わせる前の本工程においては、高い精度で位置決めしなくてもよい。同様の理由から、連通板15とノズルプレート20との位置決めは、例えば、ノズル連通路16とノズル開口21とのずれ量が第1の方向Xにおいて1ピッチより小さくなる程度の精度で行えばよい。
次に、図14(b)に示すように、第1半田層250a、250b及び第2半田層260a、260bを溶解して、流路形成基板10と連通板15とノズルプレート20とを接合する。本実施形態では、積層した3つの部材を恒温槽において240℃で10分間加熱することで、第1金属膜210、第2金属膜220、第3金属膜230及び第4金属膜240を溶解することなく第1半田層250a、250b及び第2半田層260a、260bのみを溶解させることができる。その後は、常温にて冷却することで、溶解した第1半田層250及び第2半田層260を固化させて3つの部材を相互に接合した。
また、第1半田層250及び第2半田層260は、溶解された際にその表面張力によって流路形成基板10、連通板15及びノズルプレート20を高精度にセルフアライメントする。すなわち、第1半田層250を溶解することで、第1金属膜210及び第2金属膜220のパターニングに合わせて第1半田層250の表面張力によって流路形成基板10及び連通板15が相互に第1の方向X及び第2の方向Yに移動されて、自動的に位置調整(セルフアライメント)される。また、同様に、第2半田層260を溶解することで、第3金属膜230及び第4金属膜240のパターニングに合わせて第2半田層260の表面張力によって連通板15及びノズルプレート20が相互に第1の方向X及び第2の方向Yに移動されて、自動的に位置調整(セルフアライメント)される。したがって、上述した図14(a)の工程において、流路形成基板10、連通板15及びノズルプレート20を高精度にアライメントする必要がなく、光学的及び機械的な大がかりなアライメント装置が不要となると共に、高精度なアライメント工程が不要となって、時間を短縮すると共にコストを低減することができる。
なお、第1半田層250及び第2半田層260の表面張力によるセルフアライメントは、第1金属膜210、第2金属膜220、第3金属膜230及び第4金属膜240のエッジが第1の方向X及び第2の方向の両方向に沿って形成されていることで可能である。すなわち、第1金属膜210、第2金属膜220、第3金属膜230及び第4金属膜240の表面張力によって部材を第1の方向X及び第2の方向Yに移動させる力は、各金属膜210〜240のエッジの方向及び長さによって規定される。本実施形態では、第1金属膜210は、図5に示すように、圧力発生室12の周縁に矩形状の開口を有するように設けられているため、圧力発生室12の開口周縁に第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジが形成されている。また、第2金属膜220は、図6に示すように、連通板15のノズル連通路16及び供給連通路19の周縁に矩形状の開口を有するように形成されているため、ノズル連通路16及び供給連通路19の周縁に第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジが形成されている。したがって、第1金属膜210及び第2金属膜220には第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジが十分に形成されていることから、第1金属膜210及び第2金属膜220の間で溶解した第1半田層250の表面張力によって流路形成基板10と連通板15とを相互に第1の方向X及び第2の方向Yに移動させることができ、高精度なセルフアライメントを行わせることができる。なお、圧力発生室12は、第2の方向Yが長手方向となる開口形状を有するため、第1金属膜210のエッジは、第2の方向Yに沿ったエッジが長い。したがって、第2の方向Yに直交する第1の方向Xへの移動する力が強くなるため、圧力発生室12の並設方向Xにおけるセルフアライメントを確実に行うことができる。
同様に、第3金属膜230は、図7に示すように、連通板15のノズル連通路16の開口の周縁に矩形状の開口を有するように設けられているため、各ノズル連通路16の周縁に第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジが形成されている。また、第4金属膜240は、図8に示すように、ノズル開口21の周縁に矩形状の開口を有するように設けられているため、第4金属膜240は、第1の方向X及び第2の方向Yに沿ったエッジが形成されている。したがって、第3金属膜230及び第4金属膜240の間で溶解した第2半田層260の表面張力によって連通板15とノズルプレート20とを相互に第1の方向X及び第2の方向Yに移動させることができ、高精度なセルフアライメントを行うことができる。なお、第1金属膜210、第2金属膜220、第3金属膜230及び第4金属膜240には、さらなるエッジを設けるようにしてもよい。すなわち、接合領域の流路に関係のない領域に三角形状、矩形状、多角形状に開口する開口部を設けるようにすれば、エッジを増やすことも可能である。
また、第1半田層250は、溶解した際の第1金属膜210及び第2金属膜220に対する接触角が、第1保護膜201及び第2保護膜202に対する接触角よりも小さいため、溶解した第1半田層250は第1金属膜210及び第2金属膜220の外側、すなわち、第1保護膜201及び第2保護膜202上に流出し難い。また、連通板15は、流路形成基板10上に載置されるだけで、連通板15及びノズルプレート20の自重のみで押圧されることから、溶解した第1半田層250は、第1金属膜210及び第2金属膜220の外側に流出し難い。したがって、溶解した第1半田層250は、第1金属膜210及び第2金属膜220上のみに選択的に形成することができ、接着剤を用いた場合において、接着剤の流出によって発生するインクの噴射不良や振動板50の変位低下を抑制することができる。同様に、第2半田層260は、第3金属膜230及び第4金属膜240上のみに選択的に形成することができるため、接着剤を用いた場合において、接着剤の流出によって発生するインクの噴射不良や振動板50の変位低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、溶解する前の第1半田層250a、250bを第1金属膜210及び第2金属膜220の両方に設け、溶解する前の第2半田層260a、260bを第3金属膜230及び第4金属膜240の両方に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1半田層250a、250bを第1金属膜210及び第2金属膜220の何れか一方のみに設け、第2半田層260a、260bを第3金属膜230及び第4金属膜240の何れか一方のみに設けるようにしてもよい。
以上説明したように、流路形成基板10にめっきによって第1金属膜210を設け、連通板15にめっきによって第2金属膜220を設け、第1金属膜210と第2金属膜220とを第1半田層250で接合することで、第1半田層250の流れ出しを抑制して、第1半田層250の接合領域以外への流れ出しを抑制すると共に、接着剤のように流れ出しによる不具合を抑制することができる。
また、第1金属膜210及び第2金属膜220をめっきによって形成することで、接合面に流路等の凹部が設けられている流路形成基板10及び連通板15に気相法によって金属膜を成膜及びパターニングするのに比べて、容易に且つ確実に金属膜210及び220を形成することができる。
ちなみに、本実施形態では、第2部材である連通板15にも第1部材である流路形成基板10に接合される面に開口するノズル連通路16等の凹部が設けられたものであるため、第2金属膜220をめっきによって形成することで、凹部が設けられた連通板15に気相法によって金属膜を成膜及びパターニングするのに比べて、容易に且つ確実に第2金属膜220を形成することができるものである。
さらに、第1半田層250の溶解した際の表面張力によって、流路形成基板10と連通板15とをセルフアライメントすることができるため、光学的及び機械的なアライメント装置が不要となって、アライメント作業を簡略化してコストを低減することができる。
また、本実施形態では、連通板15とノズルプレート20とにおいても、流路形成基板10と連通板15との接合と同様に、2つのめっきによって形成された第3金属膜230及び第4金属膜240と、この2つの第3金属膜230及び第4金属膜240の間に設けられた第2半田層260とによる接合を行うようにしたため、連通板15とノズルプレート20との接合においても、上述した流路形成基板10と連通板15との接合と同様の効果を奏することができる。つまり、本実施形態においては、特許請求の範囲における第1部材及び第1金属膜は、連通板15及び第3金属膜230に相当し、第2部材及び第2金属膜は、ノズルプレート20及び第4金属膜240に相当するものとすることもできる。ちなみに、連通板15を第1部材とし、ノズルプレート20を第2部材とする場合には、連通板15のノズル連通路16等が第1部材の凹部に相当する。すなわち、第1部材の凹部とは、第1部材を厚さ方向に貫通したものであっても、もちろん、第1部材を厚さ方向に貫通していないものであってもよい。
(実施形態2)
図15及び図16は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態では、第1金属膜210を流路形成基板10に圧力発生室12を形成する際のマスクとして使用するものである。
具体的には、図15(a)に示すように、流路形成基板10に振動板50、圧電アクチュエーター300、リード電極90等を形成した後、流路形成基板10に保護基板30を接合する。
次に、図15(b)に示すように、流路形成基板10に第1層211を形成する。第1層211の材料及び形成方法は、上述した実施形態1と同様であり、第1金属膜210が形成される領域のみに選択的に第1層211を形成する。なお、第1層211と流路形成基板10との間には、第1層211の密着性を向上する密着層等を設けるようにしてもよい。
次に、図15(c)に示すように、第1層211上に無電界めっきによって第2層212を形成する。第2層212は、上述した実施形態1と同様の材料を用いることができる。
次に、図16(a)に示すように、第2層212上に金(Au)からなる第3層213を電解めっきによって形成する。これにより、第1層211、第2層212及び第3層213が積層された第1金属膜210が形成される。
次に、図16(b)に示すように、第1金属膜210をマスクとして流路形成基板10をKOH等のアルカリ溶液を用いたウェットエッチング(異方性エッチング)することで、圧力発生室12を形成する。すなわち、本実施形態では、流路形成基板10にエッチング用のマスクを形成することがないため、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
その後は、流路形成基板10の圧力発生室12内等に第1保護膜201を形成し、第1金属膜210に第1半田層250aを形成する。そして、上述した実施形態1と同様の工程によって第2金属膜220が形成された連通板15に、流路形成基板10を第1半田層250を介して接合する。
もちろん、連通板15を形成する際にも、連通板15の第2金属膜220及び第3金属膜230を、連通板15をエッチングする際のマスクとして用いてもよい。
また、連通板15と流路形成基板10とを接合する際に、上述した実施形態1と同様に連通板15とノズルプレート20とを接合すればよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、流路形成基板10が第1部材に相当し、連通板15が第2部材に相当すると共に、連通板15が第1部材、連通板15の第3金属膜230が第1金属膜に相当し、ノズルプレート20が第2部材、ノズルプレート20の第4金属膜240が第2金属膜に相当するものであるが、特にこれに限定されず、金属膜及び半田による接合は、流路形成基板10と連通板15との接合及び連通板15とノズルプレート20との接合の何れか一方のみで行うようにしてもよい。特に、ノズルプレート20として、ステンレス鋼等の金属材料を用いた場合には、例えば、連通板15とノズルプレート20との接合は、接着剤によって行えばよい。
また、上述した各実施形態では、流路形成基板10と保護基板30とは接着剤によって接合されているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10を第1部材として、保護基板30との接合領域にめっきによって第1金属膜を形成し、保護基板30を第2部材として、流路形成基板10との接合領域にめっきによって第2金属膜を形成し、流路形成基板10と保護基板30とを第1金属膜と第2金属膜との間に設けた半田層によって接合するようにしてもよい。ただし、流路形成基板10と保護基板30との接合領域には、リード電極90が設けられているため、流路形成基板10に第1金属膜を形成する際には、リード電極90と第1金属膜との絶縁を図る絶縁層等を設ける必要がある。また、2つの金属膜と、2つの金属膜の間に設けられた半田層とによる接合は、その他の領域にも用いることができる。例えば、連通板15とケース部材40との接合部分においても適用することが可能である。
さらに、上述した各実施形態では、流路形成基板10とノズルプレート20とが連通板15を介して接合された構成を例示したが、特にこれに限定されず、流路形成基板10とノズルプレート20とが直接接合されていてもよい。
また、上述した各実施形態では、流路形成基板10、連通板15及びノズルプレート20を同時に接合するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第1半田層250と第2半田層260とを、融点の異なる材料で設けるようにすれば、異なる温度で加熱することで、流路形成基板10と連通板15との接合と、連通板15とノズルプレート20と接合とを個別に行うことができる。ただし、上述した実施形態のように、流路形成基板10と連通板15とノズルプレート20とを同時に接合することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
また、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドIIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図17は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図17に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッドIIを有するインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニット1とも言う)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、このヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1は、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッドII(ヘッドユニット1)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるインクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッドIIとをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
また、本実施形態では、液体噴射ヘッドに限定されず、少なくとも凹部が設けられた第1部材と、第1部材の凹部が開口する面に接合される第2部材とを具備するマイクロデバイス及びその製造方法に広く適用することができるものである。ちなみに、上述した実施形態では、第1部材である流路形成基板10に対する第2部材である連通板15や、第1部材である連通板15に対する第2部材であるノズルプレート20には、ノズル連通路16やノズル開口21などの凹部が設けられたものであるが、もちろんこれに限定されず、少なくとも第1部材に凹部が設けられていれば、第2部材に凹部が設けられていなくてもよい。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 II インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 1 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、 10 流路形成基板(第1部材)、 11 ヘッド本体、 12 圧力発生室(凹部)、 15 連通板(第2部材、第1部材)、 16 ノズル連通路(凹部)、 17 第1マニホールド部、 18 第2マニホールド部、 19 供給連通路、 20 ノズルプレート(第2部材)、 20a 液体噴射面、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 40 ケース部材、 45 コンプライアンス基板、 50 振動板、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 100 マニホールド、 120 駆動回路、 130 カバーヘッド、 201 第1保護膜(下地)、 202 第2保護膜(下地)、 203 第3保護膜(下地)、 210 第1金属膜(第1金属膜)、 220 第2金属膜(第2金属膜)、 230 第3金属膜(第1金属膜)、 240 第4金属膜(第2金属膜)、 250、250a、250b 第1半田層、 260、260a、260b 第2半田層

Claims (9)

  1. 凹部が設けられた第1部材と、
    前記第1部材の前記凹部が開口する面側に接合された第2部材と、を具備するマイクロデバイスであって、
    前記第1部材の前記第2部材との接合領域にめっきによって形成された第1金属膜と、前記第2部材の前記第1部材との接合領域にめっきによって形成された第2金属膜と、前記第1金属膜と前記第2金属膜とに挟まれた半田層と、を具備し、
    溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜に対する接触角は、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜の下地に対する接触角よりも小さいことを特徴とするマイクロデバイス。
  2. 前記第1金属膜は、前記第1凹部の開口の周縁に亘って連続して設けられていることを特徴とする請求項1記載のマイクロデバイス。
  3. 前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、前記半田層よりも融点が高い金属で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロデバイス。
  4. 前記半田層は、鉛を含まない合金で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のマイクロデバイス。
  5. 前記半田層は、錫、銀、及び、銅を主成分とする合金であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のマイクロデバイス。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の第1部材と第2部材と、を具備し、前記第1部材の前記凹部が液体を噴射するノズル開口に連通する流路であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項6記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  8. 凹部が設けられた第1部材と、前記第1部材の前記凹部が開口する面側に接合された第2部材と、を具備するマイクロデバイスの製造方法であって、
    前記第1部材の前記第2部材との接合領域に第1金属膜をめっきによって形成する工程と、
    前記第2部材の前記第1部材との接合領域に第2金属膜をめっきによって形成する工程と、
    前記第1金属膜と前記第2金属膜とを半田層によって接合する工程と、を具備し、
    前記第1金属膜及び前記第2金属膜は、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び第2金属膜に対する接触角が、溶解した前記半田層の前記第1金属膜及び前記第2金属膜の下地に対する接触角よりも小さい材料で形成することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  9. 前記凹部が、前記第1金属膜をマスクとして前記第1部材をエッチングすることにより形成されることを特徴とする請求項8記載のマイクロデバイスの製造方法。
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