JP2016055321A - プレス機械のスライド駆動装置およびそれを用いたプレス機械 - Google Patents
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Abstract
Description
(符号について特許文献3の図3参照)は、互いに反対方向に回転(対向回転)している。このため、左右プレッシャロッドgの傾きは中心線を挟んで対称になる。従って、左右
プレッシャロッドの傾きに起因してスライドeに作用するスラスト力が互いに打消し合い
、スラスト力を小さくしている。
さらに、特許文献2の機構では、下リンク3の高さに加え、横リンク4を上下に揺動させるための駆動装置を前記リング4の上部に設けなければならない。このため、プレス高さが高くなる。また、その機構が複雑である。
そして、特許文献3は、偏心軸が対向回転する複数ポイントのプレスであり、1ポイントプレスには適用できない。
そして、コンロッドとレバーをほぼ向かい合わせに配置し、それぞれの下方の部位を円板状の部材を介してスライドに連結しているから、高さ方向に省スペースとなり、プレス高さを抑えることができる。
始めに、図2を用いて本発明のプレス機械の一例を説明する。そのプレス機械11は、本発明のプレス機械のスライド駆動装置(以下、単にスライド駆動装置という)を備えている。図では、金型を開いた状態を示している。図2に示すプレス機械11は、いわゆる一体型のストレートサイドタイプのフレーム12を備えている。そのフレーム12としては、例えばベッド13と、そのベッド13の左右から立ち上がるサイド壁14と、それらのサイド壁14の上端に設けられる上部15とを一体に形成したリングフレームが挙げられる。そのベッド13の上面には、ボルスタ17が設けられている。
なお、サイドフレームとしては、ストレートサイドタイプのフレームの他に、C形のサイドフレームを用いてもよい。
なお、図では、駆動軸19として偏心ピンを備えたクランク軸を示しているが、エキセン部を備えたエキセン軸やエキセンシーブを一体に設けたメインギヤでもよい。
次に、図1を用いてスライド駆動装置を説明する。図に示すスライド駆動装置1は、スライド2を備えている。そのスライド2には、円板状の部材3がスライド2の上下の運動方向と直交する(紙面と直交する方向)第1の軸心3aまわりに回動自在に支持されている。この円板状の部材3は、大径の支持軸として作用し、スライド2の重量を支持すると共に、加工時に加工反力を支持する。
コンロッド4の下部4bは、前記第1の軸心と平行な第2の軸心4aまわりに回動するように第2軸部材7によって円板状の部材3に回動自在に枢支されている。そのコンロッド4の上部4cは、前記駆動軸19の偏心部19aに回動自在に連結されている。
一方、上部9bは、円板状の部材3の上側の周面と摺動する半周の摺動面を有するアーチ部9fを有している。その上部9bの両端付近には、前記段部9cおよび垂壁9eに嵌合する固定部9gが設けられている。その固定部9gには締結部材のための図示しない貫通孔が形成されており、下方の段部9cに締結され、一体とされる。
このように一体にされることで、前記アーチ部9fの半周の内面と、膨大部9dの半周の内面とが連続し、板体3aの周面を摺動自在に囲んでいる。
また、加工していない状態ではスライド2は、コンロッド4、レバー5によって吊られている。すなわち、スライド2および上型の重量は、スライド2の上部9bが円板体3bの上面に支持されて、円板状の部材3はケース状の部材9内で図の時計方向に回動している。
上記のように、駆動軸19が1回転することにより、円板状の部材3は第3の軸心5aまわりに往復回動する。
図6に、スライド駆動装置1の実施例を示す。
その図6には、位相が90°から180°までの実施例1のスライド駆動装置1が作動する様子を10°刻みで示している。状態R1(S2)は位相90°のときの状態を示しており、そこから、10°刻みに状態R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9となり、そして、位相180°の状態R10に至る。図中のコンロッド4およびレバー5の上方に記載されている数字は、それらのスライド2の運動方向(図5の軸線O)とのなす角度であり、それぞれ図5のζ、κに相当する。
状態R9(位相170°)および状態R10(位相180°)において、角度ζおよび
κに注目すると、位相が170°と180°の間でζ=κになる。すなわち、下死点の到達する直前にコンロッド4およびレバー5の軸線Oに対する角度が同じになり、スラスト方向の分力が相殺されている。加工は下死点よりいくらか上から、下死点になる前に行われているため、これらの間で相殺するようにするためである。
図中のFL1は、レバー5から円板状の部材3に伝達される力である。FL1Hはその水平方向成分である。Fcrankは、クランクの接線方向の力である。FL3は、コンロッド4から円板状の部材3に伝達される力である。FL3Hは、その水平方向成分である。さらに、符号A、B、C、Dからなる補助線は、水平線であり、軸線Oに直交している。そして、符号β、ν、η、λ、γ、ζ、θは、その符号が付された部分の角度を示している。そして、この図において、角度ζは5.129°であり、κは7.816°である。
そして、前記FL3HとFL1Hの差は、1/2(tanκ−tanζ)×Fで表される。この差が円板状の部材3の受けるスラスト力である。
ここで、そのスラスト力をプレス荷重Fで除した値をスラスト割合とする。さらに詳細には、そのスラスト割合とは、プレス加工を行う際にコンロッドの傾きに起因してスライドに発生するスラスト力(水平分力)とプレス荷重の比のことである。すなわち、スラスト割合=スラスト力(水平分力)/プレス荷重である。この図7においては、1/2(tanκ−tanζ)がスラスト割合となる。
図8は、比較のために用いるプレス機械のスライド機構(比較例)における力の伝達を示す模式図である。なお、図7と同じ機構を示す部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
このものは、クランク軸の偏心部にコンロッド4の上端を取り付け、そのコンロッド4の下端にスライド2を取り付けている。この比較例の機構22の偏心量は100mmで、そのスライドストロークは200.0mmである。
図中のFcon.は、コンロッド4に軸方向に伝達される力であり、クランク接線方向力/sinδで表される。そして、Fはスライドに加えられる荷重である。さらに、Fxは、Fのスラスト力である。
そして、符号α、β、γ、δは、それらの符号が付された部分の角度を示している。さらに、符号Y1、Y2、xは指示されている部分の長さを示している。なお、それら符号の近傍には、この駆動状態におけるそれらの部分の計算値が付されている。その単位は、「mm」あるいは「°」である。
図9は、ストローク比率に対するスラスト割合を示す図である。横軸はストローク比率(%)を示し、縦軸はスラスト割合(−)を示している。そのストローク比率とは、スライドの下死点からの距離のスライドの上死点から下死点までの距離に対する比率である。すなわち、ストローク比率=(スライドの下死点からの距離/スライドの全ストローク)×100である。
図の実線が実施例を示し、破線が比較例を示している。図に示すように、プレス加工が行われるスライドストロークの下半分の領域において、実施例のスラスト割合は比較例の
スラスト割合より小さい。
そのグラフの横軸は、ストローク比率(%)である。そのグラフの縦軸は、前記比較例の機構22(図8参照)におけるスラスト割合に対する実施例1の装置(図7参照)のスラスト割合の比(−)である。スライド2が、その下死点からの高さがストロークの約5%になるまで下降すると、実施例は比較例に比べて、スラスト割合が大きく減少し始める。特に、下死点に近づくにつれて急速に減少している。これから本発明のスライド駆動装置の効果が理解できる。
さらに、第2軸部材7は、コンロッド4側に固定されていてもよいし、円板状の部材3側に固定されていてもよい。そして、第3軸部材8についても、レバー5側に固定されていてもよいし、円板状の部材3側に固定されていてもよい。
さらに、前記倍力機構のレバー比は、0.5であるのが好ましいが、それより大きくしたり、小さくしてもよい。
さらに、このスライド駆動装置1を2つ用いて、1つのスライド2を駆動させてもよい。
さらに、レバー5の上端を円板状の部材3に枢支し、下端をその円板状の部材3より下方にあるフレーム12に枢支してもよい。
2 スライド
2a 下部
2b 上部
2c ガイド部
3 円板状の部材
3a 第1の軸心
3b 板体
4 コンロッド
4a 第2の軸心
4b (コンロッドの)下部
4c (コンロッドの)上部
4d (コンロッドの)軸線
5 レバー
5a 第3の軸心
5b (レバーの)下部
5c (レバーの)上部
5d (レバーの)軸線
6 倍力機構
7 第2軸部材
8 第3軸部材
9 ケース
9a (ケースの)下部
9b (ケースの)上部
9c 段部
9d 膨大部
9e 垂壁
9f アーチ部
9g 固定部
11 プレス機械
12 フレーム
12a スライドガイド
12b 軸受
13 ベッド
14 サイド壁
15 上部
16 ピン部材
17 ボルスタ
18 モータ
18a プーリ
19 駆動軸
19a 偏心部
19b (駆動軸の)軸心
19c (偏心部の)軸心
20a 上型
20b 下型
21 フライホイール
21a ベルト
21b クラッチ・ブレーキ
22 比較例の機構
Claims (4)
- 駆動軸の回転によって昇降運動するプレス機械のスライドと、
そのスライドに、スライドの運動方向と直交する第1の軸心まわりに回動自在に枢支される円板状の部材と、
一端がその円板状の部材に、前記第1の軸心と平行な第2の軸心まわりに回動自在に枢支され、他端が前記駆動軸に回動自在に連結されるコンロッドと、
一端が前記円板状の部材に、前記第1の軸心と平行な第3の軸心まわりに回動自在に枢支され、他端がプレス機械のフレームに回動自在に連結されるレバーとを備えており、
前記第2および第3の軸心が第1の軸心からほぼ同じ距離にあり、第3の軸心を支点とし、第2の軸心を力点として、第1の軸心を作用点とした倍力機構が形成されており、
前記コンロッドおよびレバーのスライドの運動方向に対する傾きが、スライドの下死点付近でスライドの運動方向に対してほぼ対称にされている、プレス機械のスライド駆動装置。 - 前記円板状の部材が、向かい合うように平行に配置された二枚の板体に分割されており、
それらの板体の間に、前記第2の軸心を有する第2軸部材および前記第3の軸心を有する第3軸部材が設けられている、請求項1記載のプレス機械のスライド駆動装置。 - 前記スライドに、前記円板状の部材を枢支するケースが設けられている、請求項1または2記載のプレス機械のスライド駆動装置。
- 請求項1、2または3のいずれかに記載のスライド駆動装置を備えたプレス機械。
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2014
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