JP6078567B2 - スライド駆動機構およびそれを用いたプレス装置 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献2には、ギヤレシプロ機構が開示されている。このギヤレシプロ機構は、上述した特許文献1とほぼ同じ機構が用いられており、クランクの回転運動をピストンアームの往復直線運動に変換している。
そのコンロッド103は偏心板102の回転により上端が図の左右に振られる。このため、前記スライド104を上下に直線運動させるべく、プレス装置のフレームにスライドギブ105が設けられている。これによりスライド104は左右方向の移動が規制され、上下に直線運動することができる。
さらに、ロングストロークのプレス装置、例えばストローク長さが1000mm以上のプレス装置では、コンロッドの傾きを考慮してスライドとクラウンの間に余裕を持たせるべく、下死点時にストロークの長さ(図8の符号X参照)以上の空間(図8の符号Y)が必要とされる。それが装置を一層大きくさせている。
さらに、コンロッドが傾くことによりスライドへの側面分力の影響が、高精度加工を妨げる要因となり得る。
さらに、コンロッドの傾きは、クランク、コンロッドなどによるアンバランスモーメントを増大させる。このため、高速運転時は、機械振動を抑制させる手段、例えばダイナミックバランスや回転バランスなどで抑制させる手段を設ける必要性が生じる。
バランスモーメントが大きくなる傾向にある。
一方で、ストロークが長ければ長いほど、大きな絞り加工を滑らかに行え、さらに一回のストロークで多種の加工が複合的に行えるなどメリットがある。
ここで、駆動装置は、実質的に遊星キャリアを回転駆動するものを含む概念であり、実施形態ではモータ、軸受、伝達軸およびフライホイールなどが該当する。
そして、スライド側の部材とは、スライドそのもの、さらにはスライドを固定しているものを含む概念であり、図1の実施形態ではプッシュロッド6およびスライド7が該当し、図6の実施形態ではスライド7が該当する。
さらに、スライド側部材をその両側から一対の遊星キャリアを介してフレームで支持しており、ギヤで支持していない。このため支持が確実である。そしてスライド側部材は、スライドの上死点において左右の遊星キャリアの間に収納されるので、省スペースである。そしてスライド側部材のプッシュロッドが揺動しないので、その揺動を考慮した空間(
図8の符号Y参照)を必要としない。
その結果として、本実施形態のプレス装置において、例えば1000mmストロークで60spmの高速運転ができた。
まず、図2を用いて本発明のプレス装置の概略を説明する。そのプレス装置1には、本発明のスライド駆動機構20が用いられている。図では、スライドが上死点にある状態を示している。
図2に示すプレス装置1は、いわゆるストレートサイド型のフレーム2を有するプレス装置である。そのフレーム2としては、例えばベッド3と、そのベッド3の左右から立ち上がる側壁4と、それらの側壁4の上端に設けられる上部5とを一体に形成したリングフレームが挙げられる。前記ベッド3の上面には、ボルスタ3aが設けられている。前記プ
ッシュロッド6およびスライド7はスライド側部材を構成する。
なお、フレームとして、C型のフレームなどを用いてもよい。
そして、前記スライド7の下面には上型9が取り付けられ、前記ボルスタ3aの上面には下型10が取り付けられている。その下型10の上方には加工すべきワークWを下型の所定の位置に載置するためのワーク投入部11が設けられている。一方、下型10の下端付近には、加工されたワークを取り出すための製品取出部12が設けられている。
また、前記上部5の外壁には、ブラケットを介してプレス駆動用のモータ13が設けられている。そのモータ13の駆動軸にはプーリ13aが取り付けられている。
なお、この実施形態では上型9のパンチと下型10の多段ダイスとでカップ状のワークWをしごき加工する。
本実施形態においては、これらモータ13、軸受14、伝達軸15およびフライホイール16は、プレス装置1の駆動装置を構成している。
なお、前記モータ13としてサーボモータを用いてもよい。その場合にはフライホイールやベルトを用いなくてもよい。
図1にスライド駆動機構20を示す。そのスライド駆動機構20は、前記フレームに設けられた内歯歯車26と、前記プレス装置のフレーム2にそれぞれ枢支される左右の遊星キャリア21、21と、それぞれの遊星キャリアに枢支され、前記内歯歯車26に噛合する外歯をそれぞれ有する左右の遊星歯車22と、それぞれの遊星歯車に設けられる左右のレバー23、23と、それら左右のレバーの間で、それらレバーに回動自在に支持されるプッシュロッド6と、そのプッシュロッドに設けられるスライド7とからなる。
前記ブラケット5aの内面には断面形状が略I字状で環状の軸受5bが設けられている。その軸受5bは、内周面により、前記遊星キャリア21を回動自在に支持している。
図に示すように、どの状態においても、ピン24の位置は一直線上にあることが分かる。
れ対応する。
なお、図中のx−y座標は中心Aを座標(0、0)とした際の静止座標を示している。
次に図4を用いて、クランクレバー25の作動する様子を説明する。
(状態S1)位相0°において、クランクレバー25およびレバー23は上向きに一直線上に延びている。このときスライド7は上死点にある。そして、中心A、B、Cは一直線上にある。
すなわち、図3bに示すように、遊星キャリア21がθ回動すると、遊星キャリア21の点Bは、点A(図のx−y静止座標の原点)に対して、x座標としてL1sinθ移動する。
一方、レバー23はクランクレバーに対しては−2θ°回動するが、静止座標上では−θ°回動している。このため、クランクレバーのピン24(中心C)は、x座標としてL2sin(−θ)移動する。
そして、L1=L2であるから、L1sinθ=L2sin(−θ)である。このため、クランクレバーのピン24(中心C)は、x軸方向の移動量は0であり、y軸上を下方に移動する。
このように、遊星キャリア21などの遊星歯車機構を左右一対で設けることにより、左右の力のバランスをとることができ、その間のスペースUを有効に活用することができる。
なお、遊星歯車機構は内歯歯車26、遊星キャリア21および遊星歯車22を含む。
次に、図6に本発明の第2実施形態の断面図を示す。図6に示すスライド駆動機構30
は、プッシュロッドを有しない点を除いて図1に示すスライド駆動機構20とほとんど同じであるから、同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。図の左方の装置はスライド7が上死点にあり、右方の装置はスライド7が下死点にある様子を示している。
図に示すスライド駆動機構30は、遊星キャリアに特徴がある。その遊星キャリア31は、軸部31aと、その軸部を回転中心とするメインギヤ31bとを備えている。前記軸部31aはフレーム5に設けられた小径の軸受32に枢支されている。そして、メインギヤ31bは、前記駆動装置の伝達軸15の外歯ギヤ15aに噛合する。
そのため、遊星キャリアなどの遊星歯車機構が薄くなり、それらの間のスペースにプッシュロッドを介在させず、スライド7の上部を直接ピン24で吊り下げている。
図7を用いて、さらに他の実施形態を説明する。図7の左方プレス装置40は、図1のプレス装置と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図7に示すプレス装置40は、例えばベッド3と、そのベッドの前後左右から立設される4本のコラム41、41、41、41と、それらのコラムの上部に設けられるクラウン42とから構成される枠状のフレームを備えている。
このプレス装置40では、クラウン42の左右にスライドの駆動機構20、20(またはスライド駆動機構30、30)をそれぞれ備えている。それらのスライド駆動機構20、20は、左右の駆動装置をそれぞれ備えている。その駆動装置は、サーボモータ43と、そのサーボモータに連結される減速機44とからなる。左右のサーボモータ43は電気的に同調制御する。それらの左右の駆動装置は、左右のコラムの間で、クラウン内に配置されている。このため、プレス装置の全高を低くすることができる。
なお、それらの駆動装置をコラムの上に設けてもよい。駆動装置などの重量物がコラムの上に配置されると、プレス加工時のバランスが向上するからである。
図7の右方には、比較例としてのプレス装置を示す。図に示すプレス装置50はクランクレスタイプの装置であり、前述のプレス装置40とほぼ同じプレス荷重を与えることができ、プレス荷重およびスライドストロークに関して同程度の性能を有している。なお、そのクランクレスタイプのプレス装置50において、前述のプレス装置40と共通する部分には、同じ符号を付してその説明を省略する。
前記プレス装置50は、モータの回転をスライドの往復運動に変換する機構にクランクを用いず、歯車と一体となった偏心板を用いている。その偏心板51を回転させるモータ52および複数段からなる減速機53は、クラウン42の上部からその上面に設けられている。
本発明のプレス装置40と比較例のプレス装置50のスライド7のストローク長さが共に750〜1000mm程度である場合、図の符号Hで示すように、本発明のプレス装置40は、比較例のプレス装置50に比べて、その全高が1500〜2000mm低い。
前記スライド駆動機構を複数個設ける場合には、1つのモータを用いて、各スライド駆動機構に回転力を伝達するようにしてもよい。
さらに、前記スライド駆動機構を左右(例えば図8の図面の左右方向)に配置しているが、図を貫く方向、すなわち前後方向に配置してもよい。
前述のプレス装置では、上下方向にプッシュロッド6やスライド7を運動させていたが、左右方向に運動させてもよい。
さらに、図示していないが、固定された太陽ギヤを設けて、遊星歯車22と噛合させ、内歯歯車26を伝達軸の駆動力で回転させてもよい。この場合、メインギヤは不要である。
2 フレーム
3 ベッド
3a ボルスタ
4 側壁
5 上部
5a ブラケット
5b 軸受
6 プッシュロッド
7 スライド
8 スライドギブ
9 上型
10 下型
11 ワーク投入部
12 製品取出部
13 モータ
13a プーリ
14 軸受
15 伝達軸
15a 外歯ギヤ
16 フライホイール
16a クラッチ・ブレーキ
17 ベルト
20 スライド駆動機構
21 遊星キャリア
21a 円盤部
21b メインギヤ
21c スリーブ
22 遊星歯車
23 レバー
24 ピン
25 クランクレバー
26 内歯歯車
30 スライド駆動機構
31 遊星キャリア
31a 軸部
31b メインギヤ
32 軸受
40 プレス装置
41 コラム
42 クラウン
43 サーボモータ
44 減速機
50 プレス装置
51 偏心板
W ワーク
Claims (3)
- プレス装置に用いるスライド駆動機構であって、
前記プレス装置のフレームに互いに間隔を空けて同心状に設けられる左右一対の内歯歯車と、
前記フレームに内歯歯車と同心状に枢支されると共に、そのプレス装置の駆動装置により同調して回転駆動される左右の遊星キャリアと、
それぞれの遊星キャリアに枢支される内歯歯車に噛合する左右の遊星歯車と、
それぞれの遊星歯車に設けられる左右のレバーと、
それら左右のレバーの間で、それらレバーに回動自在に支持されるスライド側の部材とからなり、
前記遊星キャリアの回転中心と遊星歯車の回転中心の距離と、遊星歯車の回転中心とスライド側の部材の回動中心との距離とが同じにされており、
前記遊星歯車と内歯歯車のギヤ比が1:2にされており、
前記遊星キャリアが円盤部を有しており、その円盤部の周面でフレームに枢支されており、
その円盤部の内側の端面に前記遊星歯車が枢支されており、
前記円盤部の外側の端面に前記駆動装置に噛合して回転を伝達するメインギヤが設けられている、スライド駆動機構。 - フレームと、
そのフレームに設けられる請求項1に記載のスライド駆動機構と、
そのスライド駆動機構の遊星キャリアを回転駆動させる駆動装置とを備えたプレス装置。 - フレーム内に、複数個の前記スライド駆動機構と、それらのスライド駆動機構の遊星キャリアを回転駆動させる複数個の駆動装置とを備えた請求項2記載のプレス装置。
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