JP2016054365A - 量子鍵配送システムおよび冗長化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供する。【解決手段】本発明の量子鍵配送システムは、送信機と、受信機と、送信機と受信機との通信を行う第1の伝送路と第2の伝送路と、を有し、送信機はマッハツェンダー型の第1の干渉計を有し、第1の干渉計は光信号の入力端と出力端とを有し、受信機はマッハツェンダー型の第2の干渉計を有し、第2の干渉計は第1と第2の入力端と少なくとも第1と第2の出力端とを有し、第1の伝送路は第2の干渉計の第1の入力端に接続し、第2の伝送路は第2の干渉計の第2の入力端に接続し、送信機は、第1の干渉計の出力端からの光信号を受けて、第1の伝送路と前記第2の伝送路のいずれか一方で通信を行うよう切り替える第1の切替部を有し、送信機もしくは受信機は、伝送路を切り替えたときの第2の干渉計の第1と第2の出力端の光信号の位相の反転を補正する機能を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は量子鍵配送に関し、特に鍵配送の継続性向上のために伝送路の冗長化を行った量子鍵配送に関する。
近年、盗聴行為に対する絶対安全性を持つ暗号化通信を実現する方法として量子鍵配送(Quantum Key Distribution、QKD)が盛んに研究され、実用化開発が進んでいる(特許文献1、非特許文献1)。
量子鍵配送が使用される場面では、高度な秘匿性とともに、有事の際にも通信が断絶しない継続性が求められる。そのため量子鍵配送に用いられる伝送路は、2つ以上の経路を利用した冗長化を行い、一方の伝送路が断絶したとしても他方の伝送路により秘匿通信を継続できるようにすることが重要である。
伝送路を冗長化した量子鍵配送システムとして、図4に示す量子鍵配送システム4が知られている。量子鍵配送システム4では、送信機41は、レーザ光源411と干渉計412とデータ変調器413と強度調整器414とを有し、その出力端に1入力2出力の光スイッチ415を有する。さらに、伝送路は、現用伝送路43と冗長系としての予備伝送路44とを有する。さらに、受信機42は、干渉計421と光子検出器422とを有し、その入力端に2入力1出力の光スイッチ423を有する。
量子鍵配送システム4では、通常の配送時には、現用伝送路43を用いるように送信機41側の光スイッチ415と受信機42側の光スイッチ423とを設定しておく。もしも現用伝送路43に断線などが発生して配送が継続できなくなった場合には、送信機41と受信機42の各々の光スイッチ415、423を切り替えて、予備用伝送路44を用いて配送を行う。以上により、量子鍵配送の継続が可能となる。
特開2010−166285号公報
ベネット(Bennett)、ブラッサ−ド(Brassard)著 IEEEコンピュータ、システム、信号処理国際会議(IEEE Int. Conf. on Computers, Systems, and Signal Processing, Bangalore, India, p. 175 (1984)).
量子鍵配送システムにおいては、高度な秘匿性とともに、通信が断絶しない継続性が求められる。図4に示す量子鍵配送システム4により、伝送路の冗長化を行うことで、通信の継続性を改善することができる。しかしながら、受信機42に設置された光スイッチ423による光学損失は20%程度と大きく、この損失により暗号鍵生成速度が低下していた。一方で、特許文献1に開示された光受信装置では、量子鍵配送の秘匿性を改善することが可能である。しかしながら、特許文献1には、この暗号鍵生成速度の低下に対する対策については開示されていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供することにある。
本発明による量子鍵配送システムは、送信機と、受信機と、前記送信機と前記受信機との通信を行う第1の伝送路と第2の伝送路と、を有し、前記送信機はマッハツェンダー型の第1の干渉計を有し、前記第1の干渉計は光信号の入力端と出力端とを有し、前記受信機はマッハツェンダー型の第2の干渉計を有し、前記第2の干渉計は第1と第2の入力端と少なくとも第1と第2の出力端とを有し、前記第1の伝送路は前記第2の干渉計の前記第1の入力端に接続し、前記第2の伝送路は前記第2の干渉計の前記第2の入力端に接続し、前記送信機は、前記第1の干渉計の前記出力端からの光信号を受けて、前記第1の伝送路と前記第2の伝送路のいずれか一方で前記通信を行うよう切り替える第1の切替部を有し、前記送信機もしくは前記受信機は、前記切り替えたときの前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端の光信号の位相の反転を補正する機能を有する。
本発明による冗長化方法は、光信号を、マッハツェンダー型の第1の干渉計の有する出力端から第1の伝送路を経由する送信から、前記出力端から第2の伝送路を経由する送信に、切り替えて送信し、前記切り替えに連動して、前記光信号を、マッハツェンダー型の第2の干渉計の有する第1の入力端での受信から、前記第2の干渉計の有する第2の入力端での受信に、切り替えて受信し、前記受信を切り替えたときの前記第2の干渉計の出力端の光信号の位相の反転を補正する。
本発明によれば、暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供することができる。
本発明の第1の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態の量子鍵配送システムの動作を示す図である。 本発明の第2の実施形態の量子鍵配送システムの動作を示す図である。 本発明の第3の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態の量子鍵配送システムの動作を示す図である。 本発明の第3の実施形態の量子鍵配送システムの動作を示す図である。 本発明の第3の実施形態の量子鍵配送システムの変形例の構成を示すブロック図である。 関連する量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の量子鍵配送システム1は、送信機11と、受信機12と、送信機11と受信機12との通信を行う第1の伝送路13と第2の伝送路14とを有する。
送信機11はマッハツェンダー型の第1の干渉計111を有し、第1の干渉計は光信号の入力端1111と出力端1112とを有する。受信機12はマッハツェンダー型の第2の干渉計121を有し、第2の干渉計121は、第1の入力端1211と第2の入力端1212と、少なくとも第1の出力端1213と第2の出力端1214と、を有する。さらに、第1の伝送路13は第2の干渉計121の第1の入力端1211に接続し、第2の伝送路14は第2の干渉計121の第2の入力端1212に接続する。
さらに、送信機11は、第1の干渉計111の出力端1112からの光信号を受けて、第1の伝送路13と第2の伝送路14のいずれか一方で前記通信を行うよう切り替える第1の切替部112を有する。さらに、送信機11もしくは受信機12は、伝送路を切り替えたときの第2の干渉計121の第1と第2の出力端1213、1214の光信号の位相の反転を補正する機能を有する。
本実施形態によれば、暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供することができる。
(第2の実施形態)
(構成の説明)
図2Aは、本発明の第2の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の量子鍵配送システム2は、送信機21と、受信機22と、送信機21と受信機22との通信を行う第1の伝送路23と第2の伝送路24とを有する。第1の伝送路23と第2の伝送路24とは、光ファイバによる伝送路である。第1の伝送路23を現用伝送路とし、第2の伝送路24を冗長系としての予備伝送路とすることができる。
送信機21は、レーザ光源211、マッハツェンダー型の2入力2出力干渉計212、データ変調器213、強度調整器214、切替器215を有する。2入力2出力干渉計212は、第1の入力端2121、第2の入力端2122、第1の出力端2123、第2の出力端2124を有する。レーザ光源211から発せられた光信号は、第2の入力端2122に入力し、第2の出力端2124から出力される。第2の出力端2124から出力された光信号は、データ変調器213で暗号鍵情報として変調され、強度調整器214で量子鍵配送用に強度調整される。
さらに、光信号は、切替器215により、現用伝送路である第1の伝送路23を通って、受信機22に送られる。現用伝送路である第1の伝送路23が断線などの障害を生じて通信に支障を来たす場合、切替器215は、第1の伝送路23から予備伝送路である第2の伝送路24に切り替える。切替器215は、ミラーやシャッターなどで光路を切り替えることができる。
切替器215は光スイッチであるため、光スイッチでの損失を考慮して強度調整器214による強度調整をする。すなわち、強度調整器214は、光信号が送信機21から出た時点(光信号が伝送路に入力した時点)での強度を、量子鍵配送の理論で規定される値に調整する。伝送路の切り替えによって強度が変わってしまう場合には、強度調整器214はそれぞれの伝送路に最適な強度に調整する。
受信機22は、マッハツェンダー型の2入力4出力干渉計221、光子検出器222、切替器223を有する。2入力4出力干渉計221は、第1の入力端2211、第2の入力端2212、第1の出力端2213、第2の出力端2214、第3の出力端2215、第4の出力端2216を有する。第1の伝送路23は第1の入力端2211に接続する。第2の伝送路24は第2の入力端2212に接続する。
切替器223は、光信号が第1の入力端2211から入力した場合と第2の入力端2212から入力した場合とで、第2の出力端2214と第3の出力端2215から出力される光信号が光子検出器222により電気信号とされた後に、切り替える。切替器223は、光子検出器222の後ろに配置され、電気信号を切り替えるため、切り替えによる光学損失を生じない。
(動作の説明)
図2Bは、本実施形態の量子鍵配送システム2の動作を示す図である。図2Bでは、現用伝送路である第1の伝送路23で通信する場合の動作を示す。
送信機21のレーザ光源211から発せられたパルス光は、2入力2出力干渉計212の第2の入力端2122に入力する。パルス光は、干渉計212内で短経路と長経路とに分岐し、両者の経路差による時間差を有する同位相の2連のパルス光となって、第2の出力端2124から出力される。その後、同位相の2連のパルス光は、変調、強度調整され、切替器215を介して第1の伝送路23を通り、受信機22の干渉計221の第1の入力端2211に入力する。
入力端2211に入力した同位相の2連のパルス光は、干渉計221内で分岐され4つの出力端から出力される。第1の出力端2213からは、長経路だけを経由し時間的に遅れた同位相の2連のパルス光(1)が、第4の出力端2216からは、短経路だけを経由し時間的に進んだ同位相の2連のパルス光(4)が、それぞれ出力される。
第2の出力端2214からは、長経路と短経路とを経由した同位相のパルス光(2)が出力される。ここで、干渉計212と干渉計221のそれぞれの長経路と短経路の経路差を等しくすることで、パルス光(2)のように、入力した同位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、同位相のため強め合う。
第3の出力端2215からは、長経路と短経路とを経由した逆位相のパルス光(3)が出力される。ここでは、入力した同位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、逆位相のため弱め合い相殺される。
切替部223は、第2の出力端2214からのパルス光(2)と第3の出力端2215からのパルス光(3)がそれぞれ光子検出器223で電気信号に変換された後に、そのまま通過させる。
図2Cは、量子鍵配送システム2の予備伝送路である第2の伝送路24で通信する場合の動作を示す。第2の伝送路24を通って、干渉計221の第2の入力端2212に入力した同位相の2連のパルス光は、干渉計221内で分岐され4つの出力端から出力される。第1の出力端2213からは、長経路だけを経由し時間的に遅れた同位相の2連のパルス光(1)が、第4の出力端2216からは、短経路だけを経由し時間的に進んだ同位相の2連のパルス光(4)が、それぞれ出力される。
第2の出力端2214からは、長経路と短経路とを経由した逆位相のパルス光(3)が出力される。ここでは、入力した同位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、逆位相のため弱め合い相殺される。
第3の出力端2215からは、長経路と短経路とを経由した同位相のパルス光(2)が出力される。ここでは、入力した同位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、同位相のため強め合う。
図2Cのように第2の伝送路24を経由した場合、第2の出力端2214と第3の出力端2215からの出力が、図2Bのように第1の伝送路23を経由した場合とは逆になる。そこで、第2の伝送路24を経由した場合、切替器223で第2の出力端2214の出力と第3の出力端2215の出力とを切り替えることによって、第1の伝送路23を経由した場合と同じ出力を得ることができる。
マッハツェンダー型干渉計では、同じ光信号が第1の入力端2211と第2の入力端2212のように異なる入力端から入力した場合、異なる出力が得られることになる。よって、図4に示したように、伝送路を冗長化して現用系から予備系に切り替える場合には、受信機42のマッハツェンダー型干渉計の入力端を同じにしていた。そのため、受信機42には光スイッチ423を設ける必要があった。
それに対して、本実施形態では、受信機22のマッハツェンダー型干渉計の2つの入力端をそれぞれ現用系と予備系とに使い分けることを可能にしている。これは、入力端を切り替えたときの第2の出力端2214と第3の出力端2215からの出力の光信号の位相の反転を補正する機能として、切替器223を設けたことによる。そのため、受信機22には光スイッチを設ける必要がない。その結果、光スイッチによる光学損失の影響がなくなり、暗号鍵生成速度を低下させずに現用系から予備系への伝送路の切り替えが可能となっている。なお、本実施形態で使用される干渉計は、2入力2出力や2入力4出力に限定されず、マッハツェンダー型干渉計であれば同様に適用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供することができる。
(第3の実施形態)
(構成の説明)
図3Aは、本発明の第3の実施形態の量子鍵配送システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の量子鍵配送システム3は、送信機31と、受信機32と、送信機31と受信機32との通信を行う第1の伝送路33と第2の伝送路34とを有する。第1の伝送路33と第2の伝送路34とは、光ファイバによる伝送路である。第1の伝送路33を現用伝送路とし、第2の伝送路34を冗長系としての予備伝送路とすることができる。
送信機31は、レーザ光源311、マッハツェンダー型の2入力2出力干渉計312、データ変調器313−1、データ変調器313−2、強度調整器314−1、強度調整器314−2、切替器315を有する。2入力2出力干渉計312は、第1の入力端3121、第2の入力端3122、第1の出力端3123、第2の出力端3124を有する。レーザ光源311から発せられた光信号は、第2の入力端3122に入力し、第1の出力端3123と第2の出力端3124から出力される。
第1の出力端3123から出力された光信号は、データ変調器313−1で鍵情報として変調され、強度調整器314−1で量子鍵配送用に強度調整される。また、第2の出力端3124から出力された光信号は、データ変調器313−2で暗号鍵情報として変調され、強度調整器314−2で量子鍵配送用に強度調整される。
切替器315は、第1の出力端3123からの光信号を第1の伝送路33を経由して受信機32に送り、第2の出力端3124からの光信号を差し止める。現用伝送路である第1の伝送路33が断線などの障害を生じて通信に支障を来たす場合、切替器315は、第1の出力端3123からの光信号を差し止め、第2の出力端3124からの光信号を第2の伝送路34を経由して受信機32に送るように切り替える。
受信機32は、マッハツェンダー型の2入力4出力干渉計321、光子検出器322を有する。2入力4出力干渉計321は、第1の入力端3211、第2の入力端3212、第1の出力端3213、第2の出力端3214、第3の出力端3215、第4の出力端3216を有する。第1の伝送路33は第1の入力端3211に接続する。第2の伝送路34は第2の入力端3212に接続する。
(動作の説明)
図3Bは、本実施形態の量子鍵配送システム3の動作を示す図である。図3Bでは、現用伝送路である第1の伝送路33で通信する場合の動作を示す。
送信機31のレーザ光源311から発せられたパルス光は、2入力2出力干渉計312の第2の入力端3122に入力する。パルス光は、干渉計312内で短経路と長経路とに分岐し、両者の経路差による時間差を有する逆位相の2連のパルス光となって、第1の出力端3123から出力される。その後、逆位相の2連のパルス光は、変調、強度調整され、切替器315を介して第1の伝送路33を通り、受信機32の干渉計321の第1の入力端3211に入力する。
入力端3211に入力した逆位相の2連のパルス光は、干渉計321内で分岐され4つの出力端から出力される。第1の出力端3213からは、長経路だけを経由し時間的に遅れた逆位相の2連のパルス光(1)が、第4の出力端3216からは、短経路だけを経由し時間的に進んだ逆位相の2連のパルス光(4)が、それぞれ出力される。
第2の出力端3214からは、長経路と短経路とを経由し入力パルス光の位相を踏襲したパルス光(2)が出力される。ここで、干渉計312と干渉計321のそれぞれの長経路と短経路の経路差を等しくすることで、パルス光(2)のように、入力した逆位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、逆位相のため弱め合い相殺する。
第3の出力端3215からは、長経路と短経路とを経由し、入力パルス光の位相を踏襲した分と、入力パルス光の位相を逆にした分とが重ねあわされたパルス光(3)が出力される。ここでは、入力した逆位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、同位相のため強め合う。
図3Cは、量子鍵配送システム3の予備伝送路である第2の伝送路34で通信する場合の動作を示す。
送信機31のレーザ光源311から発せられたパルス光は、2入力2出力干渉計312の第2の入力端3122に入力する。パルス光は、干渉計312内で短経路と長経路とに分岐し、両者の経路差による時間差を有する同位相の2連のパルス光となって、第2の出力端3124から出力される。その後、同位相の2連のパルス光は、変調、強度調整され、切替器315を介して第2の伝送路34を通り、受信機32の干渉計321の第2の入力端3212に入力する。
入力端3212に入力した同位相の2連のパルス光は、干渉計321内で分岐され4つの出力端から出力される。第1の出力端3213からは、長経路だけを経由し時間的に遅れた同位相の2連のパルス光(5)が、第4の出力端3216からは、短経路だけを経由し時間的に進んだ同位相の2連のパルス光(8)が、それぞれ出力される。
第2の出力端3214からは、長経路と短経路とを経由し、入力パルス光の位相を踏襲した分と、入力パルス光の位相を逆にした分とが重ねあわされたパルス光(6)が出力される。ここでは、入力した同位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、逆位相のため弱め合い相殺する。
第3の出力端3215からは、長経路と短経路とを経由し入力パルス光の位相を踏襲したパルス光(7)が出力される。ここでは、入力した逆位相の2連のパルス光の内で、先行したパルス光の遅れ分と、後行したパルス光の進み分とが、中央で干渉した3連のパルス光が得られる。この場合、中央のパルスは、同位相のため強め合う。
量子鍵配送では、4つの出力端から出力されるそれぞれのパルス光において、図中に下向き矢印(↓)で示した同時刻で検出されるパルスが用いられ、光子検出器322により検出され電気信号に変換される。この内、(1)(5)と(4)(8)では、↓の時刻で光の重ね合わせによる干渉効果がなく、位相が逆であっても光子の有無を検出した結果としては同じとなる。一方、(2)(6)と(3)(7)では、↓の時刻で重ね合わせる際の位相は異なるものの、同位相のため強め合うか、逆位相のため弱め合い相殺するかは同じであるため、やはり光子の有無を検出した結果としては同じとなる。よって、量子鍵配送システム3では、図3Bでの干渉計321の出力と図3Cでの干渉計321の出力とは、光子検出器322での検出後においては同じものとなる。
以上のように、本実施形態では、受信機32のマッハツェンダー型干渉計の2つの入力端をそれぞれ現用系と予備系とに使い分けることを可能にしている。これは、入力端を切り替えたときの第2の出力端3214と第3の出力端3215からの出力の光信号の位相の反転を補正する機能として、干渉計312の第1の出力端3123を第1の伝送路33に接続し、第2の出力端3124を第2の伝送路34に接続し、切替器315で伝送路の切り替えをするようにしたことによる。
そのため、受信機32には光スイッチを設ける必要がない。その結果、光スイッチによる光学損失の影響がなくなり、暗号鍵生成速度を低下させずに現用系から予備系への伝送路の切り替えが可能となる。なお、本実施形態で使用される干渉計は、2入力2出力や2入力4出力に限定されず、マッハツェンダー型干渉計であれば同様に適用することができる。
図3Dは、本実施形態の変形例の量子鍵配送システム3’の構成を示すブロック図である。量子鍵配送システム3’の量子鍵配送システム3と異なる点は、量子鍵配送システム3’では、送信機31’の強度調整器314’−1と強度調整器314’−2とが、送信機31の切替器315の切り替え機能を兼ねている点である。
すなわち、現用伝送路である第1の伝送路33を使用する場合は、強度調整器314’−1は量子鍵配送に適した強度に光信号を調整し、強度調整器314’−2は光信号の強度をゼロにする。一方、予備伝送路である第2の伝送路34を使用する場合は、強度調整器314’−1は光信号の強度をゼロにし、強度調整器314’−2は量子鍵配送に適した強度に光信号を調整する。これにより、量子鍵配送システム3’は、量子鍵配送システム3と同様の機能を有する。
以上のように、本実施形態によれば、暗号鍵生成速度を低下させないで通信の継続性を高めた量子鍵配送システムを提供することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
付記
(付記1)
送信機と、受信機と、前記送信機と前記受信機との通信を行う第1の伝送路と第2の伝送路と、を有し、前記送信機はマッハツェンダー型の第1の干渉計を有し、前記第1の干渉計は光信号の入力端と出力端とを有し、前記受信機はマッハツェンダー型の第2の干渉計を有し、前記第2の干渉計は第1と第2の入力端と少なくとも第1と第2の出力端とを有し、前記第1の伝送路は前記第2の干渉計の前記第1の入力端に接続し、前記第2の伝送路は前記第2の干渉計の前記第2の入力端に接続し、前記送信機は、前記第1の干渉計の前記出力端からの光信号を受けて、前記第1の伝送路と前記第2の伝送路のいずれか一方で前記通信を行うよう切り替える第1の切替部を有し、前記送信機もしくは前記受信機は、前記切り替えたときの前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端の光信号の位相の反転を補正する機能を有する、量子鍵配送システム。
(付記2)
前記送信機は、前記第1の干渉計の前記出力端が第1と第2の出力端を有し、前記第1の干渉計の前記第1の出力端が前記第1の伝送路に接続し、前記第1の干渉計の前記第2の出力端が前記第2の伝送路に接続し、前記第1の切替部を切り替えることで前記補正をする、付記1記載の量子鍵配送システム。
(付記3)
前記受信機は、前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端からの出力を切り替える第2の切替部を有し、前記第2の切替部を切り替えることで前記補正をする、付記1記載の量子鍵配送システム。
(付記4)
前記第2の切替部は、電気信号を切り替える、付記3記載の量子鍵配送システム。
(付記5)
前記第1の伝送路を現用伝送路とし、前記第2の伝送路を予備伝送路とする、付記1から4の内の1項記載の量子鍵配送システム。
(付記6)
前記第1の干渉計は2入力2出力を有する、付記1から5の内の1項記載の量子鍵配送システム。
(付記7)
前記第2の干渉計は2入力4出力を有する、付記1から6の内の1項記載の量子鍵配送システム。
(付記8)
マッハツェンダー型の第1の干渉計を有し、前記第1の干渉計は光信号の入力端と出力端とを有し、前記第1の干渉計の前記出力端からの光信号を、第1の伝送路と第2の伝送路のいずれか一方で通信を行うよう切り替える第1の切替部を有し、前記第1の切替部を切り替えたときの、受信機の有する第2の干渉計の出力端の光信号の位相の反転を補正する機能を有する、送信機。
(付記9)
前記第1の干渉計の前記出力端は、第1と第2の出力端を有し、前記第1の干渉計の前記第1の出力端は前記第1の伝送路に接続し、前記第1の干渉計の前記第2の出力端は前記第2の伝送路に接続し、前記第1の切替部を切り替えることで前記補正をする、付記8記載の送信機。
(付記10)
マッハツェンダー型の第2の干渉計を有し、前記第2の干渉計は第1と第2の入力端と少なくとも第1と第2の出力端とを有し、前記第1の入力端は第1の伝送路に接続し、前記第2の入力端は第2の伝送路に接続し、前記第1の伝送路から前記第2の伝送路への切り替えに伴って前記第1と第2の出力端からの出力を切り替える第2の切替部を有する、受信機。
(付記11)
前記第2の切替部は、電気信号を切り替える、付記10記載の受信機。
(付記12)
光信号を、マッハツェンダー型の第1の干渉計の有する出力端から第1の伝送路を経由する送信から、前記出力端から第2の伝送路を経由する送信に、切り替えて送信し、前記切り替えに連動して、前記光信号を、マッハツェンダー型の第2の干渉計の有する第1の入力端での受信から、前記第2の干渉計の有する第2の入力端での受信に、切り替えて受信し、前記受信を切り替えたときの前記第2の干渉計の出力端の光信号の位相の反転を補正する、冗長化方法。
(付記13)
前記補正は、前記第1の干渉計の前記出力端が第1と第2の出力端を有し、前記第1の干渉計の前記第1の出力端を前記第1の伝送路に接続し、前記第1の干渉計の前記第2の出力端を前記第2の伝送路に接続し、前記送信を切り替えることによる、付記12記載の冗長化方法。
(付記14)
前記補正は、前記第2の干渉計が第1と第2の出力端を有し、前記第1の伝送路から前記第2の伝送路への切り替えに伴って、前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端からの出力を切り替えることによる、付記12記載の冗長化方法。
(付記15)
前記切り替えは、電気信号を切り替える、付記14記載の冗長化方法。
(付記16)
前記第1の伝送路を現用伝送路とし、前記第2の伝送路を予備伝送路とする、付記12から15の内の1項記載の冗長化方法。
1、2、3、3’、4 量子鍵配送システム
11、21、31、31’、41 送信機
12、22、32、42 受信機
111 第1の干渉計
1111 入力端
1112 出力端
112 第1の切替部
121 第2の干渉計
1211 第1の入力端
1212 第2の入力端
1213 第1の出力端
1214 第2の出力端
13、23、33 第1の伝送路
14、24、34 第2の伝送路
211、311、411 レーザ光源
212、312 2入力2出力干渉計
213、313−1、313−2、413 データ変調器
214、314−1、314’−1、314−2、314’−2、414 強度調整器
215、223、315 切替器
221、321 2入力4出力干渉計
222、322、422 光子検出器
43 現用伝送路
44 予備伝送路
412、421 干渉計
415、423 光スイッチ

Claims (10)

  1. 送信機と、受信機と、前記送信機と前記受信機との通信を行う第1の伝送路と第2の伝送路と、を有し、
    前記送信機はマッハツェンダー型の第1の干渉計を有し、前記第1の干渉計は光信号の入力端と出力端とを有し、
    前記受信機はマッハツェンダー型の第2の干渉計を有し、前記第2の干渉計は第1と第2の入力端と少なくとも第1と第2の出力端とを有し、
    前記第1の伝送路は前記第2の干渉計の前記第1の入力端に接続し、
    前記第2の伝送路は前記第2の干渉計の前記第2の入力端に接続し、
    前記送信機は、前記第1の干渉計の前記出力端からの光信号を受けて、前記第1の伝送路と前記第2の伝送路のいずれか一方で前記通信を行うよう切り替える第1の切替部を有し、
    前記送信機もしくは前記受信機は、前記切り替えたときの前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端の光信号の位相の反転を補正する機能を有する、量子鍵配送システム。
  2. 前記送信機は、前記第1の干渉計の前記出力端が第1と第2の出力端を有し、前記第1の干渉計の前記第1の出力端が前記第1の伝送路に接続し、前記第1の干渉計の前記第2の出力端が前記第2の伝送路に接続し、前記第1の切替部を切り替えることで前記補正をする、請求項1記載の量子鍵配送システム。
  3. 前記受信機は、前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端からの出力を切り替える第2の切替部を有し、前記第2の切替部を切り替えることで前記補正をする、請求項1記載の量子鍵配送システム。
  4. 前記第2の切替部は、電気信号を切り替える、請求項3記載の量子鍵配送システム。
  5. 前記第1の伝送路を現用伝送路とし、前記第2の伝送路を予備伝送路とする、請求項1から4の内の1項記載の量子鍵配送システム。
  6. 前記第2の干渉計は2入力4出力を有する、請求項1から5の内の1項記載の量子鍵配送システム。
  7. 光信号を、マッハツェンダー型の第1の干渉計の有する出力端から第1の伝送路を経由する送信から、前記出力端から第2の伝送路を経由する送信に、切り替えて送信し、
    前記切り替えに連動して、前記光信号を、マッハツェンダー型の第2の干渉計の有する第1の入力端での受信から、前記第2の干渉計の有する第2の入力端での受信に、切り替えて受信し、
    前記受信を切り替えたときの前記第2の干渉計の出力端の光信号の位相の反転を補正する、冗長化方法。
  8. 前記補正は、前記第1の干渉計の前記出力端が第1と第2の出力端を有し、前記第1の干渉計の前記第1の出力端を前記第1の伝送路に接続し、前記第1の干渉計の前記第2の出力端を前記第2の伝送路に接続し、前記送信を切り替えることによる、請求項7記載の冗長化方法。
  9. 前記補正は、前記第2の干渉計が第1と第2の出力端を有し、前記第1の伝送路から前記第2の伝送路への切り替えに伴って、前記第2の干渉計の前記第1と第2の出力端からの出力を切り替えることによる、請求項7記載の冗長化方法。
  10. 前記切り替えは、電気信号を切り替える、請求項9記載の冗長化方法。
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