JP2016054147A - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents

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めぐみ 島津
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千尋 小林
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明 石黒
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光伸 塩野
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Abstract

【課題】シャットダウン停止を実行しながら、燃料極の電気化学的酸化による影響を十分に抑制することができる固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池システムであって、空気極と固体電解質(活性下限温度T)と酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む燃料極(活性下限温度T)とを有する燃料電池セルを収容した燃料電池モジュールと、シャットダウン停止回路を備え、燃料供給装置、水供給装置、酸素供給装置を制御すると共に、燃料電池モジュールからの電力の取り出しを制御するコントローラと、を有する。Tは、Tよりも高い。シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール内の温度が活性下限温度T以上かつ燃料極の酸化膨張が生じるよりも低い温度領域において、酸素供給装置を作動し燃料電池モジュール内に酸素を供給して燃料極を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池システムに関する。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、固体電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用いる。固体電解質の一方の側に空気極が形成され、空気極に酸素(空気、酸素等)が供給される。固体電解質の他方の側に燃料極が形成され、燃料極に燃料ガスが供給される。
特許第5316830号公報(特許文献1)には、固体酸化物形燃料電池が記載されている。この燃料電池においては、固体酸化物形燃料電池を停止させる際、発電と燃料の供給を同時に停止させるシャットダウン停止を実行している。シャットダウン停止においては、発電の終了とほぼ同時に燃料の供給も停止されるため、発電に寄与しない燃料は供給されず、燃料の浪費を回避することができる。
しかしながら、シャットダウン停止を実行し、発電の停止と略同時に燃料の供給を停止させると、燃料電池セルへの燃料の供給が高温状態で停止されることになる。従って、シャットダウン停止を実行した場合には、例えば、燃料電池セルの空気極から進入した空気等の酸素が、高温状態にある燃料極に接触し、燃料極を酸化させるリスクがある。一般に、高温で稼働していた燃料電池セルのスタックが、シャットダウン停止後、燃料極が酸化されるリスクのない温度まで低下されるには数時間以上を要する。燃料極の酸化のリスクを回避するためにシャットダウン停止を行わず、燃料電池セルの温度が十分に低下されるまで燃料の供給を継続したとすれば、数時間以上に亘って発電に寄与しない燃料を供給し続ける必要があり、多大な燃料が浪費されることになる。
特許第5316830号公報(特許文献1)記載の固体酸化物形燃料電池においては、各燃料電池セル及びそれを収容した燃料電池モジュールを、機械的に空気の進入が発生しにくい構造とすることにより燃料極の酸化のリスクを低下させている。さらに、上記の固体酸化物形燃料電池においては、シャットダウン停止直後であって、各燃料電池セルの温度が高く、かつ燃料極の圧力が高いことにより、燃料極に空気が進入しない期間において、空気極に空気を導入する温度降下制御を実行することにより、燃料極の酸化のリスクを十分に低下させることに成功している。
特許第5316830号公報
しかしながら、特許第5316830号公報記載の発明を適用することにより、高温の燃料極に空気が触れることによる燃料極の酸化が回避できたとしても、異なるメカニズムによる燃料極及び/または支持体の酸化が発生していることが、本件発明者により突き止められた。即ち、雰囲気酸化とは異なるメカニズムにより、更に低い温度帯域においても燃料極及び/または支持体が僅かに酸化されることが本件発明者により見出された。
具体的には、燃料極及び/または支持体に電気化学的な酸化反応が起き、微構造変化や体積変化が生じることを見出した。そのため、起動と停止を繰り返すことで、燃料電池セルに損傷が発生するという新たな課題を見出した。
本件発明者により見出された燃料極酸化のメカニズムは、次のようなものである。
固体電解質は、活性状態において、例えば空気極から供給された酸素イオンを固体電解質の空気極側から燃料極側へ向けて通過させることが可能となる。固体電解質の活性状態は温度特性を有している。即ち、固体電解質は、燃料電池モジュールの温度Tが固体電解質の活性下限温度である第1の活性下限温度T以上のとき活性状態となり、酸素イオンを固体電解質の空気極側から燃料極側へ通過させる。
一方、燃料極は、活性状態において、燃料(水素)と固体電解質を通過した酸素イオンとを反応させ、水を生成すると共に電子を放出する。このような反応を生じる燃料極の触媒活性も温度特性を有している。燃料極は、第2の活性下限温度Tを有する。即ち、燃料極は、燃料電池モジュールの温度Tが下限温度T以上で活性状態となり、燃料電池モジュールの温度Tが下限温度T未満では失活状態となる。燃料極は、失活状態では酸素イオンが供給されても燃料と反応させるように作用することができない。
固体電解質及び燃料極の活性下限温度は、例えば、それらを構成する材料、厚さ等によって変化する。一般に、固体電解質の第1の活性下限温度Tと燃料極の第2の活性下限温度Tとの間には温度差がある。具体的には、第1の活性下限温度Tよりも第2の活性下限温度Tの方が高い。この場合、シャットダウン運転停止後、温度が低下していく間に、空気極及び固体電解質は活性状態である一方、燃料極は失活状態になる温度帯域を通過することになる。例えば、空気極及び固体電解質が活性状態にある場合、この温度帯域では、固体電解質の空気極側から燃料極へ酸素イオンが提供されるが、燃料極では、提供された酸素イオンを燃料と反応させることができない。
燃料極及び/または支持体には、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質(例えばニッケル)が含まれている場合がある。そのため、この酸化反応可能な物質が、燃料と反応できない酸素イオンと反応して酸化物(例えば酸化ニッケル)が生成される。この電気化学的な酸化反応により電子が放出され、僅かながらも起電力が発生する。また、この電気化学的な酸化反応によって、酸化反応可能な物質を含む領域、具体的には、燃料極及び/または支持体は膨張する。例えば、支持体が酸化反応可能な物質を含み、燃料極と接して設けられる場合には、酸素イオンは、燃料極を通過して支持体に到達し、電気化学的な酸化反応によって、支持体中の酸化反応可能な物質を酸化する。
また、燃料極及び/または支持体の電気化学的な酸化反応は、固体電解質が活性状態であり、燃料極が失活状態にある状態(T≦T<T)で、燃料極及び/または支持体の酸素分圧にばらつき、すなわち1つの燃料電池セル内において酸素分圧差ΔPが存在することによりさらに助長される。具体的には、進入した空気が流入する燃料電池セルの一方の端部付近では、燃料極及び/または支持体の酸素分圧Po1が大きい。これに対して、燃料電池セルの他方の端部付近では、空気の進入がまだ生じていないため、燃料極及び/または支持体の酸素分圧Po2が小さくなる。このように、空気の進入に伴って燃料電池セル1つの中において、酸素の濃度勾配が発生する。燃料電池セルにおいて、酸素分圧差が大きい部分では大きな起電力が発生する一方、酸素分圧差が小さい部分では起電力はあまり発生しない。
これにより、1つの燃料電池セルの内部で、起電力の大きい部分から小さい部分へ電子が移動する(電流が流れる)内部電池現象が発生する。この内部電池現象により電子の移動が発生すると、活性を失っていない固体電解質を通過する酸素イオンの流れが促進され、燃料極及び/または支持体の電気化学的な酸化反応が助長されてしまう。燃料極及び/または支持体の膨張も助長される。特に、1つの燃料電池セルの中でも、酸素分圧差ΔPが大きい部分には酸素イオンの流れが集中し、この部分で多くの電気化学的酸化反応が発生する。このような内部電池現象による電流は微弱ではあるが、燃料電池システムにおいては冷却時間が数時間にも及ぶため、燃料電池セルが上記温度帯域を通過する時間も長時間になり、累積電流量(即ち、酸化物の生成量)は大きくなる。すなわち、燃料極及び/または支持体の膨張量も大きくなる。
燃料電池システムの停止工程(シャットダウン停止)が終了した後、次に、再起動された際には、燃料極に燃料(水素)が供給される。支持体上に支持体と接して燃料極が設けられる場合には、支持体を介して燃料極に燃料が供給される。よって、停止工程中に電気化学的な酸化反応により燃料極及び/または支持体に生成された酸化物が還元作用を受け少し収縮する。
このように、燃料電池の停止(シャットダウン停止)・起動及びその後の運転が行われると、固体電解質の第1の活性下限温度Tと、燃料極の第2の活性温度Tと、の差に起因して、燃料極及び/または支持体に電気化学的酸化・還元反応が繰り返し発生する。また、燃料電池セル内における燃料極及び/または支持体の酸素分圧のばらつき(酸素分圧差)ΔPにより、内部電池現象が発生することで、電気化学的酸化反応が助長される。燃料極は及び/または支持体、電気化学的酸化反応により、例えば界面の微構造が変化する。また、燃料極及び/または支持体には膨張が発生する。そして、停止・起動が繰り返し行われる結果、燃料極及び/または支持体の微構造変化及び体積変化(膨張)が繰り返し発生すると、燃料極及び/または支持体に微構造変化や膨張が蓄積される。これらの変化の蓄積により、固体電解質に引張り応力が生じ、固体電解質に微小なクラックが生じる。そのため、最終的には固体電解質に微小クラックが発生する。
特に、燃料電池セルにおいて、燃料極及び/または支持体の酸素分圧差ΔPが大きく、電気化学的酸化反応が多く発生した部分に多くの微構造変化及び体積変化が蓄積され、この部分の固体電解質に微小クラックが発生しやすくなる。
このように、SOFCは、停止工程(シャットダウン停止)において、固体電解質と燃料極の活性温度の差に起因して、燃料極及び/または支持体において電気化学的な酸化反応が起きる。燃料極及び/または支持体において電気化学的な酸化反応が起きることで、燃料極及び/または支持体の微構造変化や膨張の蓄積によって固体電解質に引張り応力を生じさせ、固体電解質に微小なクラックを生じさせる。このような微小クラックによる燃料電池セルの損傷発生メカニズムを本発明者は突き止めたのである。
従って、本発明は、燃料電池セルに損傷が発生することを抑制できる固体酸化物形燃料電池システムを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池システムは、水素と酸素を反応させることにより発電する固体酸化物形燃料電池システムであって、空気極と第1の活性下限温度を有する固体電解質と酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含み、前記第1の活性下限温度よりも高い第2の活性下限温度を有する燃料極と、を有する燃料電池セルを収容した燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給装置と、燃料供給装置により供給された燃料を水蒸気改質して水素を生成し、生成された水素を燃料電池セルの燃料極に供給する改質器と、改質器に水蒸気改質用の水を供給する水供給装置と、燃料電池モジュールに酸素を供給する酸素供給装置と、燃料供給装置、水供給装置、及び酸素供給装置を制御すると共に、燃料電池モジュールからの電力の取り出しを制御するコントローラと、を有する。コントローラは、燃料供給装置による燃料の供給及び燃料電池モジュールからの電力の取り出しを停止させるシャットダウン停止を実行するシャットダウン停止回路を備えている。シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、前記燃料電池モジュール内の温度が第2の活性下限温度以上かつ燃料極の酸化膨張が生じる温度よりも低い温度領域において、前記酸素供給装置を作動させて前記燃料電池モジュール内に酸素を供給して燃料極を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する。
あるいは、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池システムは、水素と酸素を反応させることにより発電する固体酸化物形燃料電池システムであって、空気極と、第1の活性下限温度を有する固体電解質と、第1の活性下限温度よりも高い第2の活性下限温度を有する燃料極と、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含み、燃料極と接して設けられた支持体と、を有する燃料電池セルを収容した燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給装置と、燃料供給装置により供給された燃料を水蒸気改質して水素を生成し、生成された水素を前記燃料極に供給する改質器と、改質器に水蒸気改質用の水を供給する水供給装置と、燃料電池モジュールに酸素を供給する酸素供給装置と、燃料供給装置、水供給装置、及び酸素供給装置を制御すると共に、燃料電池モジュールからの電力の取り出しを制御するコントローラと、を有する。コントローラは、燃料供給装置による燃料の供給及び燃料電池モジュールからの電力の取り出しを停止させるシャットダウン停止を実行するシャットダウン停止回路を備えている。シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール内の温度が第2の活性下限温度以上かつ支持体の酸化膨張が生じるよりも低い温度領域において、酸素供給装置を作動させて燃料電池モジュール内に酸素を供給して支持体を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する。
前述のように、第2の活性下限温度が第1の活性下限温度よりも高い場合には、固体酸化物形燃料電池システムの停止(シャットダウン停止)、起動、運転の繰り返しに伴い、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む、燃料極及び/または支持体に、電気化学的酸化・還元反応が繰り返し発生する。これに伴い、燃料極及び/または支持体の膨張が繰り返され、固体電解質に引張り応力が発生してクラックが生じてしまうことを見出した。そこで、本発明では、シャットダウン停止回路が、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール内の温度が第2の活性下限温度以上かつ酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む、燃料極及び/または支持体の酸化膨張が生じる温度よりも低い温度領域において、酸素供給装置を作動させて燃料電池モジュール内に酸素を供給して、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む、燃料極及び/または支持体を、所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施するように工夫している。そのため、燃料電池モジュール内の温度Tが降下して第2の活性下限温度よりも低くなり、燃料極及び/または支持体の電気化学的な酸化が起きて燃料極及び/または支持体が膨張したとしても、燃料極及び/または支持体を予め所定量だけ酸化収縮させているため、電気化学的な酸化による膨張による体積変化量を小さくすることができる。そのため、固体電解質に発生する引張り応力を小さくすることができ、固体電解質にクラックが生じることが抑制され、燃料電池セルへの損傷の発生を抑制することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池システムによれば、燃料電池セルの損傷の発生を十分に抑制することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池システムを示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す(a)部分断面図及び(b)横断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池モジュール内の温度と燃料電池セルの寸法の関係を示す図である。 本発明の一実施形態による燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池システムを示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池システムにおける停止挙動の一例を模式的に時系列で表したタイムチャートである。 固体酸化物形燃料電池セルの酸化収縮率測定の結果を示す図である。 固体酸化物形燃料電池セルの支持体の走査型電子顕微鏡画像である。 図10を画像処理した図である。
定義
本発明において、「シャットダウン停止」とは、運転停止時において、燃料電池モジュールへの燃料の供給と電力の取り出しをほぼ同時に停止するものを指す。本明細書においては、別段の説明がない限り、「停止」、「停止工程」等は、「シャットダウン停止」を意味する。
本発明において、「雰囲気酸化」とは、燃料電池システムの運転停止後において、燃料電池モジュール内の温度Tが高温、例えば200℃以上500℃以下程度において、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む燃料極及び/または支持体に酸素が触れることによる燃料極及び/または支持体の酸化を指す。ここで、燃料電池モジュール内の温度Tとは、燃料電池セルスタック14の温度である。例えば、後述の発電室温度センサ142によって推定される温度であり、燃料電池セルの空気極、燃料極、あるいは支持体の温度としてみなすことができる。
本発明において、「電気化学的酸化」とは、前述のように、燃料電池システムの運転停止後において、燃料電池モジュール内の温度Tが、固体電解質の第1の活性下限温度Tよりも大きく、燃料極の第2の活性下限温度Tよりも小さい(T<T<T)場合、すなわち、固体電解質が活性状態であり、燃料極が失活状態にある状態で、燃料極及び/または支持体の酸素分圧Pが燃料電池セル内でばらつき、酸素分圧差ΔPが存在することにより発生する、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む燃料極又は酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含み燃料極と接して設けられる支持体の酸化を指す。
固体酸化物形燃料電池システム
図1〜図4を参照しつつ、本発明の固体酸化物形燃料電池システムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸物形燃料電池(SOFC)システムを示す全体構成図である。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。図4(a)は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図4(b)は、燃料電池セルユニットの部分横断面図である。
本発明の固体酸化物形燃料電池システム1は、水素と酸素を反応させることにより発電する固体酸化物形燃料電池システムである。図1に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、燃料供給装置38と、改質器20と、水供給装置28と、酸素供給装置44、45と、コントローラ110と、を有する。燃料電池モジュール2は、内側電極層90と固体電解質94と外側電極層92とを有する燃料電池セル12、14、16を収容している。また、図4(b)では、固体酸化物形燃料電池セル210として、支持体201の上に支持体201に接して燃料極202を設け、さらに、固体電解質203、空気極204を順次積層させる例を示している。この場合、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を、燃料極202が含んでいてもよいし、支持体201が含んでいてもよいし、燃料極202と支持体201とが含んでいてもよい。また、燃料極が支持体を兼ねる構造とし、燃料極支持体が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含んでいてもよい。
以降は、燃料極が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む場合を例にとって説明する。
固体電解質94は、第1の活性下限温度T以上で活性である。燃料電池モジュール内の温度Tが第1の活性下限温度T以上のとき、例えば空気極92で生成された酸素イオンが固体電解質94を通過して燃料極90に到達する。燃料極90は、第2の活性下限温度T以上で活性である。燃料電池モジュール内の温度Tが第2の活性下限温度T以上のとき、燃料極90において燃料(水素)と酸素イオンとを反応させ、水を生成すると共に電子を放出する。第2の活性下限温度Tは、第1の活性下限温度Tよりも高い(T>T)。なお、空気極92の活性下限温度をTとしたときに、T>Tであってかつ、T>Tであることが好ましい。固体電解質の活性下限温度Tは、例えば、固体電解質の組成、厚さなどから推定することができる。また、燃料極の活性下限温度Tは、例えば、燃料電池システムの起電力の温度変化と、運転停止後の燃料極の組成分析と、によって推定することができる。
燃料供給装置38は、燃料電池モジュール2に燃料を供給する。改質器20は、燃料供給装置38により供給された燃料を水蒸気改質して水素を生成し、生成された水素を燃料電池セル12、14、16の燃料極90に供給する。水供給装置28は、改質器20に水蒸気改質用の水を供給する。酸素供給装置44、45は、燃料電池モジュール2に酸素を供給する。コントローラ110は、燃料供給装置38、水供給装置28、及び酸素供給装置44、45を制御すると共に、燃料電池モジュール2からの電力の取り出しを制御する。コントローラ110は、燃料供給装置38による燃料の供給及び燃料電池モジュール2からの電力の取り出しを停止させるシャットダウン停止を実行するシャットダウン停止回路を備えている。
シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール内の温度Tが燃料極90の第2の活性下限温度T以上かつ燃料極の酸化膨張が生じる温度(下限値TEX)よりも低い温度領域において、酸素供給装置を作動させて燃料電池モジュール内に酸素を供給して燃料極90を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する。
燃料極90の酸化収縮率Lrは、(1-LT=T2/LT=TEX)×100より算出される。ここで、LT=T2は、燃料電池モジュール内の温度Tが燃料極90の活性下限温度Tのときの燃料極の寸法である。LT=TEXは、燃料極の酸化膨張が生じる温度の下限値における燃料極の寸法である。この酸化収縮率Lrを所定範囲内とすることで、燃料電池セルの損傷を効果的に抑制することができる。
図5(a)〜図5(c)を参照しつつ、燃料極の電気化学的酸化による膨張、および酸化収縮工程による収縮と、燃料電池セルの損傷抑制効果についてさらに説明する。図5(a)〜図5(c)は、本発明の一実施形態による燃料電池モジュール内の温度と燃料電池セルの寸法の関係を示す図である。図5(a)は、時間tに対する燃料電池モジュール2内温度Tの変化を示す模式図である。図5(b)は、シャットダウン停止回路が酸化収縮工程を実施しない場合における、時間tに対する燃料電池セルの寸法の変化を示す模式図である。図5(c)は、シャットダウン停止回路が酸化収縮工程を実施した場合における、時間tに対する燃料電池セルの寸法Lの変化を示す模式図である。なお、便宜上、燃料電池セルの寸法を燃料極90の寸法Lとみなす。
図5(b)に示すように、本発明において、起動時に、燃料電池モジュール2内の温度Tが上昇すると、燃料極90の寸法Lが大きくなる。例えば、Lを、燃料電池モジュール運転開始時の燃料極の寸法、Lを、起動中の燃料極90の寸法とすると、L>Lとなる。すなわち、燃料極90は運転前よりも伸びる。その後、ほぼ一定の温度で運転している間、燃料極90の寸法変化はほとんど生じない。すなわち、寸法Lのままである。
次に、シャットダウン停止を実行すると、燃料電池モジュール2内の温度Tは下降し、燃料極90の寸法Lが減少する。すなわち、運転時と比べて燃料極90が縮む(L2’<L)。温度Tがさらに下降して燃料極90の活性下限温度T以下となり、T<T<Tの関係を満たすと、固体電解質94は活性状態である一方で、燃料極90は失活状態となる。このとき、燃料極90の酸素分圧Pは、1本の燃料電池セル12、14、16内においてそれぞればらつき、1本の燃料電池セル12、14、16内で酸素分圧差ΔPが生じる。すると、内部電池現象が生じて、活性を失っていない固体電解質94を通過する酸素イオンの流れが促進され、燃料極90が膨張する(L2’<L3’)。
図3及び図4を再び参照して、酸素分圧差ΔPについて説明する。図3及び図4に示すように、燃料電池セル12、14、16はそれぞれ、第1端部12a、14a、16aと、第1端部と反対側の第2端部12b、14b、16bと、を有する。燃料電池モジュール2内において、改質器20と、第2端部12b、14b、16bと、の間に第1端部12a、14a、16aが配置される。
シャットダウン停止後、酸素供給装置44、45からの酸素の供給が途絶えているにもかかわらず、外部から燃料電池モジュール2内に空気が進入する。燃料電池モジュール2の構成に起因して、例えば、燃料電池セルの第1端部12a、14a、16a付近には空気が進入しやすい。一方、第2端部12b,14b、16bは、それに比べて空気が進入しにくい。そのため、第1端部12a、14a、16aにおける燃料極の酸素分圧PO1は、第2端部12b、14b、16bにおける燃料極の酸素分圧PO2よりも小さくなる。この酸素分圧差ΔP(ΔP=PO2−PO1)に起因して、1つの燃料電池セルの内部で、起電力の大きい部分(第2端部)から起電力の小さい部分(第1端部)へ電子が移動する。すなわち内部電池現象が生じる。内部電池現象により電子の移動が発生すると、活性を失っていない固体電解質94を通過する酸素イオンの流れが促進され、燃料極90の電気化学的な酸化反応が促進される。
その後、燃料電池モジュール2内の温度Tがさらに低下して固体電解質94の活性下限温度Tよりも低くなる(T<T)と、固体電解質94が失活するため、固体電解質94を通過する酸素イオンの流れが遮断され、燃料極90の電気化学的な酸化反応も停止する。そのため、燃料電池モジュール2内の温度Tの下降に伴い燃料極90の寸法が減少する。燃料電池モジュール2の温度Tが例えば200℃以下となると、燃料極の寸法変化が生じなくなり、停止後の寸法LSD’となる。
起動、運転、停止のサイクル中に、燃料極90には電気化学的酸化が生じており、停止後の燃料極90の寸法LSDは、運転開始時の寸法Lよりも大きくなっている。すなわち寸法変化ΔL’(ΔL’=LSD’−L)が正(膨張)となる。この起動、運転、停止サイクルを繰り返すことで、燃料極のΔL’(膨張)が蓄積され、固体電解質94に引張り応力が生じてクラックが発生する。
一方、図5(c)に示すように、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール内の温度Tが燃料極90の活性下限温度T以上かつ燃料極の酸化膨張が生じるよりも低い温度領域で、燃料電池モジュール内に酸素を供給して酸化収縮工程を実施すると、温度低下に伴う燃料極の寸法減少以上に燃料極の寸法を小さくすることができる(L2’>L)。その後、温度Tがさらに下降して燃料電池モジュール内の温度Tが、T<T<Tとなり、燃料極が膨張(L)しても、予め燃料極を所定量だけ収縮させているため、図5(b)と比べて、停止後の寸法LSDを小さくすることができる。結果として、燃料極の寸法変化ΔLを小さくすることができる(ΔL<ΔL’)。
ここで、寸法L、L2’は、例えば、燃料電池モジュール内の温度Tが燃料極90の活性下限温度Tのときの燃料極の寸法LT=T2に対応する。
本発明の燃料極90の寸法Lとして、燃料極90の長さ、厚さ、体積など、任意の寸法を用いることができる。ここで、燃料極90の長さとは、例えば、燃料電池モジュールにおいて燃料電池セル12、14、16から改質器20(空気用熱交換器22)に向かう方向(例えば、図3でZ軸方向)に沿う燃料極90の長さである。燃料極90の厚さとは、例えば、図4(b)に示す、支持体201と固体電解質203との間の燃料極202の長さである。あるいは、固体電解質94の残留応力から、燃料極の寸法変化を類推してもよい。
固体電解質94の残留応力から燃料極90の寸法変化を類推する方法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。
例えば、X線回折(XRD)のsin2ψ法によって、固体電解質の残留応力を測定することができる。具体的には、運転前後のサンプルを適当な大きさに切断し、以下に示す条件で測定を行った。残留応力の測定には、例えば、PANalytical製X'Pert PRO MPDを用いることができる。測定面積は、例えば、2mm×2mmとし、X線出力を40mA, 45kV、測定範囲を94.0-95.7として、試料面法線と結晶面法線のなす角度ψを変化させて回折角2θを求め、ヤング率、ポアソン比、無歪状態における反射角θから求められる定数を用いて下記の式から応力σを求めることができる。
上記で求めた固体電解質の応力値から、例えば、電解質の歪の変化を算出し、それを燃料極の寸法変化とすることができる。
燃料極の酸化収縮率Lrは、例えば、以下の方法によって求めることができる。
還元処理させた固体酸化物形燃料電池セルを長さ15mmに切断し、切断面が平行になるように研磨して試料を作製する。この試料について、熱機械分析装置TMA(例えば、島津製作所製TMA−60)を用いて酸化収縮率を求める。なお、測定時の荷重を10gとする。試験は、固体酸化物形燃料電池システムが運転停止した後、燃料電池モジュール内の温度が所定の温度まで降下した状況を想定し、以下の方法により求める。
試料を水素中6℃/minで室温から、650℃まで昇温する。この温度は、固体酸化物形燃料電池システム運転時を想定した温度である。その後、水素中6℃/minで所定の温度まで降温させる。このとき、燃料極の活性下限温度T以上かつ燃料極の酸化膨張が生じる温度(下限値TEX)よりも低い温度領域内の所定の温度で10分間安定させた後、窒素中で5分間保持する。その後、固体酸化物形燃料電池システム停止(シャットダウン停止)時の酸素供給を想定し、空気中で30分保持する。その後、窒素中で燃料極の活性下限温度Tまで6℃/minで降温する。下限値TEXにおける燃料極の寸法(LT=TEX)と燃料極の活性下限温度Tにおける燃料極の寸法(LT=T2)から、以下の式を用いてその試料の燃料極の酸化収縮率Lr(%)を算出する。ここで、燃料極90の寸法としては、例えば燃料極90の長さを用いることができる。すなわち、燃料電池セルの切断、研磨後の長さを運転開始時の寸法Lとしてその長さ変化から燃料極の酸化収縮率Lrを算出することができる。
酸化収縮率Lr(%)=(1−LT=T2/LT=TEX)×100
所定の温度領域において、燃料極90に酸素を供給することで燃料極90が酸化膨張ではなく酸化収縮することを本発明者らは見出した。燃料極90が所定の温度領域において酸化収縮する理由は定かではないが、以下のように考えられる。なお、ここでは、燃料極がNiとセラミックスとのサーメットを含む場合を例にとって説明する
燃料極90に含まれる酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質であるNi粒子は、酸化雰囲気にさらされると、次のように反応して、Ni粒子が酸化してNiOになる。
2Ni(s)+O2(g)→2NiO(s)
この酸化反応は、高温ほど速度が大きい。この酸化反応は、Ni粒子の表面から進行する。Ni粒子が酸化すると表面エネルギーが変化するため、Ni粒子とセラミックス粒子との接触面積が大きくなる。燃料極は多孔質構造を有しており、多孔質構造を有するNiとセラミックスとのサーメットにおいて、Ni粒子とセラミックス粒子が近づくように微構造変化を起こす。この変化により収縮が生じると考えられる。なお、500℃以上の温度では、酸化収縮ではなく酸化膨張が起こる。その理由は、温度が高くなるとNi粒子の酸化が激しく進行するためNi粒子の表面にNiOが多量に析出し、膨張するためであると考えられる。一方、200℃以下ではNi粒子の酸化速度が非常に遅いため、モジュール停止時間内では収縮が見られない。
所定の温度領域における酸素の供給は、間欠的に複数回行うことが好ましい。これによって、例えば、燃料極に到達する酸素の量を所望の量に近づけることができ、燃料極の収縮量を所望の範囲に制御することが可能となる。
次に、燃料電池モジュール2において、燃料極がNiとセラミックスとのサーメットを含む場合について説明する。燃料極がNiとセラミックスとのサーメットを含む場合、燃料電池モジュール内温度Tが430℃よりも低い温度で燃料極の失活が生じることを突き止めた。すなわち、燃料極の活性下限温度Tは、430℃程度であると考えられる。これは、例えば、燃料電池システムからの起電力の低下、および、燃料極中のNiに電気化学的酸化が生じていることなどから、類推することができる。また、上述のように、燃料電池モジュール内の温度Tが500℃よりも低い温度領域で、燃料電池モジュール内に空気を導入することで、燃料極を酸化収縮させることができる。
すなわち、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール2内の温度Tが徐々に低下して、430℃より低くなると、燃料極90が失活状態となる。このとき、固体電解質94が活性状態であるため、前述したとおり燃料極90に電気化学的酸化反応が生じて、燃料極90が膨張する。本発明においては、燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃より高く500℃よりも低い温度領域において、燃料電池セル12、14、16内に酸素を供給するように制御されている。これにより、燃料極90が電気化学的酸化により膨張する前に、燃料極90が酸化収縮する。
本発明において、燃料電池モジュール2内の温度Tが500℃の時の燃料極90の寸法L500と燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃のときの燃料極90の寸法L430との関係「(1−L430/L500)×100」、つまり燃料極の酸化収縮率Lrは、0.08%<(1−L430/L500)×100≦0.37%である。燃料極90の寸法L500は、燃料電池モジュール2内の温度Tが500℃のときの寸法を指し、温度Tが500℃のときに燃料電池セル12、14、16内に酸素を供給する場合は、供給する前の寸法を指す。なお、燃料極90の収縮は大きいほど良いのではなく、大きすぎると固体電解質94に過剰な圧縮応力が生じ、圧縮によるクラックが発生してしまうおそれがある。よって、圧縮によるクラックを防止するためには、燃料極90を特定の範囲だけ収縮させる。具体的には、0.08%<(1−L430/L500)×100≦0.37%であり、好ましくは0.08%<(1−L430/L500)×100≦0.27%である。
つまり、電気化学的酸化が起こる前に、燃料極90が特定量収縮しているため、電気化学的酸化によって燃料極90が膨張したとしても、相殺することができる。したがって、運転開始時と停止後とで寸法変化ΔLを十分に小さくすることができ、固体電解質94に微小クラックが生成するのを抑制することが可能となる。
なお、図5に示したとおり、燃料電池モジュール2内の温度Tの変化に伴い、燃料極90の寸法Lは変化する。具体的には、温度Tが増加すると寸法Lも増加し、温度Tが減少すると寸法Lも減少する傾向にある。燃料電池モジュール2内の温度Tが500℃から430℃に変化することに伴う寸法変化により、燃料極90は0.07〜0.1%程度収縮すると考えられる。本発明では、通常の温度変化による収縮だけではなく、シャットダウン停止後であり、燃料電池モジュール内の温度が430℃より高く500℃以下において、燃料電池セルに酸素を供給することにより、500℃のときの寸法L500に対する430℃のときの寸法L430変化量を0.08〜0.37%と大きくすることができる。すなわち、燃料極をさらに収縮させることが可能となる。そのため、燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃よりも低下して燃料極90が失活し、燃料極90の電気化学的酸化が生じて燃料極90が膨張した場合であっても、運転開始時からの寸法変化を十分に抑制することができ、固体電解質の損傷等の不具合の発生を抑制することができる。
燃料極90において、燃料電池システムの運転開始時におけるNiとセラミックスとの単位面積あたりの界面長が0μm/μmより大きく13μm/μmより小さいことが好ましい。これにより、適度に燃料極を収縮させることができるため、電解質クラックやセル破損を防止することが可能となる。好ましくは、2.0μm/μm以上10μm/μm以下であり、さらに好ましくは、3.5μm/μm以上10μm/μm以下である。ここで燃料電池システムの運転開始時とは、初めて燃料電池システムを起動させるときのことをさす。
前述のように、燃料極90がNiとセラミックスとのサーメットを含む場合において、燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃以上かつ500℃よりも低い温度領域において、燃料電池セル内に酸素を供給すると、燃料極に含まれるNi粒子が次のように反応して、Ni粒子が酸化してNiOになる。
2Ni(s)+O2(g)→2NiO(s)
このとき、Ni粒子とセラミックス粒子が近づくように微構造変化を起こし、燃料極90が収縮すると考えられる。初期(運転開始前)において、Niとセラミックスとの単位面積あたりの界面長が所定範囲内にある場合には、Ni粒子とセラミックス粒子との単位体積あたりの変化が生じる場所が十分に多いため、所定の温度領域において酸素が供給されたときに、サーメット全体として所定量収縮させることができると考えられる。例えば、界面長が大きいほど、Ni粒子とセラミックス粒子との単位体積あたりの変化が生じる場所が十分に多く、所定の温度領域において酸素が供給されたときに、サーメット全体として収縮が生じやすくなる場合もある。
運転開始前において、Niとセラミックスとの単位面積あたりの界面長が0μm/μmより大きく13μm/μmより小さい場合、燃料極90の微構造変化がある程度起こるため、燃料極90が特定量収縮することが可能であると考えられる。したがって、シャットダウン停止後、燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃以上かつ500℃よりも低い温度領域において、燃料電池セル12、14、16に空気を供給することにより、燃料極90が特定の割合で酸化収縮しやすくなると考えられる。
Niとセラミックスの単位面積あたりの界面長は以下のようにして求めることができる。電子顕微鏡にて発電前の固体電解質形燃料電池セルを観察する。電子顕微鏡観察のための試料は、還元処理を行った固体酸化物形燃料電池セルの燃料極を研磨後、例えば、日立製作所製IM4000によってイオンミリング加工処理を行い作製する。この試料を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4100)により、加速電圧5kV、2次電子画像および反射電子像、倍率10000倍で観察し、電子顕微鏡画像(反射電子像)を得る。この電子顕微鏡画像において、明暗差によってNiとセラミックスと気孔とを区別する。Niとセラミックスとの界面を目視で定める。この界面の長さがNiとセラミックスとの界面長である。電子顕微鏡画像に示された界面長をすべて足すことによりNiとセラミックスとの界面長の合計値を求める。この合計値を電子顕微鏡画像の視野面積で割った値を、Niとセラミックスの単位面積あたりの界面長とする。
なお、Ni、セラミックス、気孔を判別する手法は、電子顕微鏡画像における明暗差を用いるものには限られない。例えば、同一視野においてSEM−EDSにより元素マッピングを取得し、Ni、セラミックスのマッピング画像を重ね合わせることで3値化することもできる。
本発明において、燃料極90は、NiとYSZのサーメット、またはNiとGDCのサーメットを少なくとも含むことがさらに好ましい。燃料極90が、NiとYSZのサーメットまたはNiとGDCのサーメット少なくとも含む場合には、より効果的に酸化収縮を生じさせることができ好ましい。
燃料極90がNiとYSZとのサーメットを含んでなる場合、燃料極90のNiとYSZとの単位面積あたりの界面長は、0μm/μmより大きく6μm/μm以下であることが好ましい。より好ましくは、2.0μm/μm以上5.5μm/μm以下、さらに好ましくは、3.5μm/μm以上5.5μm/μm以下である。
燃料極90がNiとGDCとのサーメットを含んでなる場合、燃料極90のNiとGDCとの単位面積あたりの界面長は、6μm/μm以上13μm/μmより小さいことが好ましい。さらに好ましくは、7μm/μm以上10μm/μm以下である。
以上、燃料電池モジュール2において、燃料極90が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む場合を例にとって説明したが、燃料電池モジュール2において、支持体と燃料極とを別体とし、支持体を燃料極に接して設ける、かつ、支持体が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む場合においても、同様の効果を発揮することが可能である。この場合、燃料極は酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。支持体が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む場合にも、固体電解質を通過した酸素イオンが、燃料極を通過して支持体に到達する。そのため、前述した燃料極90が酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む場合において燃料極90に生じた電気化学的酸化、微構造変化、及び体積変化が、支持体に生じることとなる。そして支持体上に設けられる固体電解質94に同様に引張応力が発生し、固体電解質94にクラック等の損傷が生じる恐れがある。
再び添付図面を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムを説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のケース8が内蔵されている。この密閉空間であるケース8の下方部分である発電室10には、燃料と酸素(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、燃料電池セルである16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のケース8の上述した発電室10の上方には、燃焼部である燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料と残余の酸素(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。さらに、ケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、残余ガスの燃焼ガスにより発電用の空気を加熱し、発電用の空気を予熱する熱交換器である空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸素である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
燃料電池モジュール
再び図2及び図3を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内のケース8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側の端部側面に純水、改質される燃料ガス、及び改質用空気を導入するための改質器導入管62が取り付けられている。
改質器導入管62は、改質器20の一端の側壁面から延びる円管であり、90゜屈曲されて概ね鉛直方向に延び、ケース8の上端面を貫通している。なお、改質器導入管62は、改質器20に水を導入する水導入管として機能している。また、改質器導入管62の上には、T字管62aが接続されており、このT字管62aの概ね水平方向に延びる管の両側の端部には、燃料ガス及び純水を供給するための配管が夫々接続されている。水供給用配管63aはT字管62aの一方の側端から斜め上方に向けて延びている。燃料ガス供給用配管63bはT字管62aの他方の側端から水平方向に延びた後、U字型に屈曲され、水供給用配管63aと同様の方向に、概ね水平に延びている。
一方、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20a、混合部20b、改質部20cが形成され、この改質部20cには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。また、燃料ガス供給管64の鉛直部の途中には、流路が狭められた圧力変動抑制用流路抵抗部64cが設けられ、燃料ガスの供給流路の流路抵抗が調整されている。流路抵抗の調整については後述する。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
一方、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。
また、図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
燃料電池セルユニット
次に再び図4を参照して燃料電池セルユニット16について説明する。
図4(a)に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極90と、円筒形の外側電極92と、内側電極90と外側電極92との間にある固体電解質94とを備えている。この内側電極90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、固体電解質94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
図4(b)を参照して、燃料電池セル84の構造を詳細に説明する。
本発明の一態様における固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば支持体201と、(第一/第二)燃料極202、(第一/第二)固体電解質203と、(第一/第二)空気極204と、集電層205から構成される。燃料極202は、例えば第一燃料極層と第二燃料極層とを含む。第一燃料極層は、第二燃料極層と支持体201との間に設けられる。第一燃料極層は、例えば、燃料極層である。第二燃料極層は、例えば、燃料極触媒層である。固体電解質203は、例えば第一固体電解質層と第二固体電解質層とを含む。第一固体電解質層は、第二固体電解質層と燃料極202との間に設けられる。第一固体電解質層は、例えば、反応抑制層である。第二固体電解質層は、例えば、固体電解質層である。空気極204は、例えば第一空気極層と第二空気極層とを含む。第一空気極層は、第二空気極層と固体電解質203との間に設けられる。第一空気極層は、例えば、空気極触媒層である。第二空気極層は、例えば、空気極層である。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、支持体が0.5〜2mm、燃料極層(第一燃料極層)が10〜200μm、燃料極触媒層(第二燃料極層)が0〜30μm、反応抑制層(第一固体電解質層)が0〜20μm、固体電解質層(第二固体電解質層)が5〜60μm、空気極触媒層(第一空気極層)が0〜30μm、空気極層(第二空気極層)が10〜200μmである。燃料極及び/または燃料極と接して設けられた支持体は、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む。
図4(b)では、燃料電池セルにおいて、内側電極が燃料極である例を示しているが、内側電極は、燃料極であっても、空気極であってもよい。また、内側電極は支持体として構成されていてもよいし、別体で構成されていてもよい。内側電極と支持体とが別体として構成される場合、内側電極を燃料極とし、燃料極は支持体と接して設けてもよい。支持体内部にガス流路を備えた燃料電池セル(円筒形セル、中空板状セルなど)では、好適には内側電極は燃料極である。内側電極が燃料極である場合、外側電極は空気極となる。この場合、燃料極の内部にガス流路を備え、燃料極の表面に固体電解質と空気極と集電層とが形成される。
燃料極202には、例えば、Niとセラミックスとのサーメットからなるものを用いることができる。セラミックスとしては、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードが挙げられる。好ましくは、イットリア(Y)をドープしたジルコニア(YSZ)やガドリア(Gd)をドープしたセリア(GDC)が挙げられる。
燃料極202は、Niとセラミックスとの混合比が重量比で30:70以上70:30以下であることが好ましい。さらに好ましくは、50:50以上70:30以下である。これにより高い電子伝導性と高い強度とすることができる。
固体電解質203としては、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種が挙げられる。好ましくは、SrおよびMgがドープされたランタンガレートまたはYSZを用いることができる。より好ましくは一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート(LSGM)を用いることができる。
空気極204としては、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種を用いることができる。空気極204は、単層であっても、又は複層であっても良い。外側電極が複層の空気極である場合の例としては、例えば電解質側にL0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83を含む層(例えば、空気極触媒層、第一空気極層)を用い、最表層にL0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23を含む層(例えば、空気極層、第二空気極層)を用いることができる。
発電性能を向上させるという観点から、燃料極202と固体電解質203との間に、燃料極触媒層(第二燃料極層)を設けることができる。燃料極触媒層としては、電子伝導性と酸素イオン伝導性に優れるという観点から、Ni/セリウム含有酸化物、Ni/ランタンガレート酸化物等が挙げられる。
さらに発電性能を向上させるために、燃料極202または燃料極触媒層と、固体電解質203との間に、反応抑制層(第一固体電解質層)を設けることができる。反応抑制層としては、酸素イオン伝導性に優れるという観点から、セリウム含有酸化物が挙げられる。
本発明における固体電解質形燃料電池セルの各層の作製方法については、スラリー液をコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などにより好ましく行うことができる。また印刷手法も利用可能であり、スクリーン印刷法やインクジェット法などを用いることができる。
空気極、固体電解質、燃料極は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。
焼成は、各電極及び固体電解質の層を形成する都度行ってもよいが、複数の層を一度に焼成する「共焼成」を行うことも可能である。また、電解質がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気と酸素との混合ガスを用い、酸素濃度20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。
図6により燃料電池セルスタック14について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図6に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミックス製の長方形の下支持板68(図2)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極92の外周面と電気的に接続される空気極用接続部102bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット16の外側電極92(空気極)の外表面全体には、空気極の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部102bが接触することにより、集電体102は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図6では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット16の空気極86には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の内側電極端子86に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
図7により本実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムに取り付けられたセンサ類等について説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムを示すブロック図である。
図7に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、コントローラである制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。また、制御部110には、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)が内蔵されており、これらにより、各センサからの入力信号に基づいて、補機ユニット4、インバータ54等が制御される。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水の流量を検出するためのものである。水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。外気温度センサ150は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムが屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
図2及び図3に示すように、空気用熱交換器22は、複数の燃焼ガス配管70と発電用空気流路72と、を有する。また、図2に示すように、複数の燃焼ガス配管70の一方の端部には、排気ガス集約室78が設けられており、この排気ガス集約室78は、各燃焼ガス配管70に連通されている。また、排気ガス集約室78には、排気ガス排出管82が接続されている。さらに、各燃焼ガス配管70の他方の端部は開放されており、この開放された端部は、ケース8の上面に形成された連通開口8aを介して、ケース8内の燃焼室18に連通されている。
燃焼ガス配管70は、水平方向に向けられた複数の金属製の円管であり、各円管は夫々平行に配置されている。一方、発電用空気流路72は、各燃焼ガス配管70の外側の空間によって構成されている。また、発電用空気流路72の、排気ガス排出管82側の端部には、発電用空気導入管74が接続されており、燃料電池モジュール2の外部の空気が、発電用空気導入管74を通って発電用空気流路72に導入される。なお、発電用空気導入管74は、排気ガス排出管82と平行に、空気用熱交換器22から水平方向に突出している。さらに、発電用空気流路72の他方の端部の両側面には、一対の連絡流路76(図3)が接続されており、発電用空気流路72と各連絡流路76は、夫々、出口ポート76aを介して連通されている。
図3に示すように、ケース8の両側面には、発電用空気供給路77が夫々設けられている。空気用熱交換器22の両側面に設けられた各連絡流路76は、ケース8の両側面に設けられた発電用空気供給路77の上部に夫々連通されている。また、各発電用空気供給路77の下部には、多数の吹出口77aが水平方向に並べて設けられている。各発電用空気供給路77を通って供給された発電用の空気は、多数の吹出口77aから、燃料電池モジュール2内の燃料電池セルスタック14の下部側面に向けて噴射される。
また、ケース8内部の天井面には、隔壁である整流板21が取り付けられており、この整流板21には開口部21aが設けられている。
整流板21は、ケース8の天井面と改質器20の間に、水平に配置された板材である。この整流板21は、燃焼室18から上方に流れる気体の流れを整え、空気用熱交換器22の入り口(図2の連通開口8a)に導くように構成されている。燃焼室18から上方へ向かう発電用空気及び燃焼ガスは、整流板21の中央に設けられた開口部21aを通って整流板21の上側に流入し、整流板21の上面とケース8の天井面の間の排気通路21bを図2における左方向に流れ、空気用熱交換器22の入り口に導かれる。また、開口部21aは、改質器20の改質部20cの上方に設けられており、開口部21aを通って上昇した気体は、蒸発部20aとは反対側の、図2における左側の排気通路21bに流れる。このため、蒸発部20aの上方の空間(図2における右側)は、改質部20cの上方の空間よりも排気の流れが遅く、排気の流れが淀む気体滞留空間21cとして作用する。
また、整流板21の開口部21aの縁には、全周に亘って縦壁21dが設けられており、この縦壁21dにより、整流板21の下側の空間から整流板21の上側の排気通路21bに流入する流路が狭められている。さらに、排気通路21bと空気用熱交換器22を連通させる連通開口8aの縁にも、全周に亘って下がり壁8b(図2)が設けられており、この下がり壁8bにより、排気通路21bから空気用熱交換器22に流入する流路が狭められている。これらの縦壁21d、下がり壁8bを設けることにより、燃焼室18から空気用熱交換器22を通って燃料電池モジュール2の外部に至る排気の通路における流路抵抗が調整されている。流路抵抗の調整については後述する。
次に、固体酸化物形燃料電池システム1の発電運転時における燃料、発電用空気、及び排気ガスの流れを説明する。
まず、燃料は、燃料ガス供給用配管63b、T字管62a、改質器導入管62を介して改質器20の蒸発部20aに導入されると共に、純水は、水供給用配管63a、T字管62a、改質器導入管62を介して蒸発部20aに導入される。従って、供給された燃料及び水はT字管62aにおいて合流され、改質器導入管62を通って蒸発部20aに導入される。発電運転中においては、蒸発部20aは高温に加熱されているため、蒸発部20aに導入された純水は、比較的速やかに蒸発され水蒸気となる。蒸発された水蒸気及び燃料は、混合部20b内で混合され、改質器20の改質部20cに流入する。水蒸気と共に改質部20cに導入された燃料は、ここで水蒸気改質され、水素を豊富に含む燃料ガスに改質される。改質部20cにおいて改質された燃料は、燃料ガス供給管64を通って下方に下り、分散室であるマニホールド66に流入する。
マニホールド66は、燃料電池セルスタック14の下側に配置された比較的体積の大きい直方体状の空間であり、その上面に設けられた多数の穴が燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16の内側に連通している。マニホールド66に導入された燃料は、その上面に設けられた多数の穴を通って、燃料電池セルユニット16の燃料極、即ち、燃料電池セルユニット16の内部を通って、その上端から流出する。また、燃料である水素ガスが燃料電池セルユニット16の内部を通過する際、空気極(酸化剤ガス極)である燃料電池セルユニット16の外側を通る空気中の酸素と反応して電荷が生成される。この発電に使用されずに残った残余燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出し、燃料電池セルスタック14の上方に設けられた燃焼室18内で燃焼される。
一方、酸素である発電用の空気は、発電用の酸素供給装置である発電用空気流量調整ユニット45によって、発電用空気導入管74を介して燃料電池モジュール2内に送り込まれる。燃料電池モジュール2内に送り込まれた空気は、発電用空気導入管74を介して空気用熱交換器22の発電用空気流路72に導入され、予熱される。予熱された空気は、各出口ポート76a(図3)を介して各連絡流路76に流出する。各連絡流路76に流入した発電用の空気は、燃料電池モジュール2の両側面に設けられた発電用空気供給路77を通って下方に流れ、多数の吹出口77aから、燃料電池セルスタック14に向けて発電室10内に噴射される。
発電室10内に噴射された空気は、燃料電池セルスタック14の空気極(酸素極側)である各燃料電池セルユニット16の外側面に接触し、空気中の酸素の一部が発電に利用される。また、吹出口77aを介して発電室10の下部に噴射された空気は、発電に利用されながら発電室10内を上昇する。発電室10内を上昇した空気は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出する燃料を燃焼させる。この燃焼による燃焼熱は、燃料電池セルスタック14の上方に配置された改質器20の蒸発部20a、混合部20b及び改質部20cを加熱する。燃料が燃焼され、生成された燃焼ガスは、上方の改質器20を加熱した後、改質器20上方の開口部21aを通って整流板21の上側に流入する。整流板21の上側に流入した燃焼ガスは、整流板21によって構成された排気通路21bを通って空気用熱交換器22の入り口である連通開口8aに導かれる。連通開口8aから空気用熱交換器22に流入した燃焼ガスは、開放された各燃焼ガス配管70の端部に流入し、各燃焼ガス配管70外側の発電用空気流路72を流れる発電用空気との間で熱交換を行い、排気ガス集約室78に集約される。排気ガス集約室78に集約された排気ガスは、排気ガス排出管82を介して燃料電池モジュール2の外部に排出される。これにより、蒸発部20aにおける水の蒸発、及び改質部20cにおける吸熱反応である水蒸気改質反応が促進されると共に、空気用熱交換器22内の発電用空気が予熱される。
次に、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池システム1におけるシャットダウン停止を説明する。本発明においては、このシャットダウン停止は、上記の電気化学的酸化による燃料電池セルの劣化を十分に抑制するように構成されている。詳しくは、電気化学的酸化反応により燃料極及び/または支持体の微構造変化及び膨張が発生する前に、燃料極及び/または支持体を予め酸化収縮させるように構成されている。つまり、燃料電池モジュール2の温度が燃料極の活性下限温度T以上かつ燃料極及び/または支持体の酸化膨張が生じる温度よりも低い温度領域において、燃料電池セル16内に空気を供給し、燃料極及び/または支持体が特定の割合酸化収縮するように構成されている。これにより、燃料極及び/または支持体が電気化学的酸化反応により、微構造変化および膨張が生じたとしても、予め収縮させているため、膨張が相殺され、発電運転開始時とシャットダウン停止後での燃料極及び/または支持体の寸法変化ΔLを小さくすることができ、固体電解質に与える影響(引張応力など)を小さくすることが可能となる。
図8は本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池システム1において、シャットダウン停止が実行された場合の停止挙動の一例を模式的に時系列で表したタイムチャートである。なお、ここでは燃料極がNiとセラミックスとのサーメットを含む場合を例にとって説明する。
図8に示すように、本実施形態においては、時刻t301において、使用者により停止スイッチが操作され、停止前制御が開始されている。停止前制御においては、まず、燃料電池モジュール2による外部への出力が停止される。時刻t303において燃料供給が完全に停止された後、時刻t304までの所定期間、大量の発電用空気の供給が継続されている。また、本実施形態においては、発電用の空気供給量は、停止前制御中に最大の空気供給量である80L/minまで増加され、その後もこの空気供給量が維持される。
時刻t304において発電用空気の供給が停止された後、所定の放置期間中は自然放置される。発電用空気の供給停止後、燃料電池モジュール2内の温度Tが例えば、500℃未満まで低下した時刻t305において、シャットダウン停止回路110aは燃料電池セル内に空気供給を開始させる。なお、燃料電池モジュール2内の温度Tが430℃より高く500℃以下であれば、空気の供給開始はいつでも良い。
本実施形態においては、発電用の酸素供給装置である発電用空気流量調整ユニット45が作動されることで、燃料電池セルスタック14の空気極に空気が供給される。空気の供給は、1回でもよいし、間欠的に複数回行われても良い。図8は、間欠的に複数回供給している実施形態を示している。即ち、燃料電池モジュール2内が所定温度まで低下するごとに、小流量の発電用空気が短時間供給される(ただし、発電は完全に停止されている)。本実施形態においては、燃料電池モジュール2内の温度が500℃まで低下した時刻t305、および450℃まで低下した時刻t306に、発電用空気が短時間供給される。
発電用空気流量調整ユニット45が作動されることにより、燃料電池モジュール2内の燃料電池セルスタック14の空気極に空気が供給される。燃料電池モジュール2内に供給された空気は、内部に収容された燃料電池セルスタック14(各燃料電池セルユニット16)を冷却する。また、空気が供給されることにより、燃料電池モジュール2内に滞留していた空気及び燃料電池セルスタック14の燃料極から流出した燃料が、空気用熱交換器22を通って燃料電池モジュール2の外部に排出される。空気極に空気が供給されることにより、燃料極に空気が供給される。そのメカニズムは以下である。
時刻t304において発電用空気の供給が停止された後、燃料電池モジュール内の温度は少しずつ低下する。燃料電池モジュール及びこれに収容された複数の燃料電池セルは極めて熱容量が大きいため、緊急停止後、温度は極めて緩やかに安定的に低下する。これに伴い、燃料電池セルの燃料極や、改質器内に滞留している気体の温度も少しずつ安定的に低下して、体積が収縮し始める。滞留している気体が収縮することにより、燃料電池セルの燃料極の圧力も少しずつ安定的に時間をかけて低下する。ここで、シャットダウン停止後においては、燃料電池モジュール内は熱容量が大きいことから各燃料電池セルは均熱化されているため、燃料極側の圧力低下は、全ての燃料電池セルについてほぼ同時に、同程度に安定的に発生する。
このとき、燃料極側の圧力が空気極側より低いので、空気極に供給された空気が、各燃料極の温度低下と共に、全ての燃料電池セルの燃料極に、空気極から少しずつ酸素が同タイミングで同量安定的に流入し始める。
なお、本実施形態においては、発電用空気流量調整ユニット45の1回の作動により燃料電池モジュール2内に導入される空気の体積は、燃料電池モジュール2の内容積よりも少ない。このため、発電用空気流量調整ユニット45の1回の作動により燃料電池モジュール2内に滞留していた気体(空気及び流出した燃料)が全て排出されることはない。
さらに、本実施形態においては、発電用空気流量調整ユニット45の作動は、燃料電池モジュール2内の温度が、500℃、450℃まで低下したとき夫々実行される。このように、発電用空気流量調整ユニット45の間欠的な作動は、燃料電池モジュール2内の温度が低下するほど低頻度で実行される。
また、発電用空気流量調整ユニット45の間欠的な作動により空気を供給する場合は、各回の流量を変更することもできる。燃料電池モジュール2内の温度が500℃まで低下した時、450℃まで低下した時まで低下した時に夫々供給する空気の流量及び供給時間を変更している。即ち、図13に示す変形例においては、燃料電池モジュール2内の温度が低下するほど、空気の供給流量が小さく、供給時間も短くなる。これにより、燃料電池モジュール2内の温度が低下するほど、空気の供給量が低下する。
燃料電池モジュール2内の温度が500℃以下まで低下した時刻t305において、シャットダウン停止回路110aは改質用空気流量調整ユニット44を作動させても良い。改質用空気流量調整ユニット44が作動されることにより、改質器20、マニホールド66を介して、燃料電池セルスタック14の燃料極(各燃料電池セルユニット16の内側)に空気が直接供給される。燃料極に空気を直接供給することにより、改質器20、マニホールド66、各燃料電池セルユニット16の内側等に残留している燃料、水蒸気等が排出される。これにより燃料極が空気によって酸化され、収縮する。
本実施例においては、燃料極を支持体としたタイプの両端が開放された円筒型固体酸化物形燃料電池セルを作製した。以下に円筒型固体酸化物形燃料電池セルの作製方法について詳細を示す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
燃料極を支持体としたセルの作製
酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含む燃料極支持体201の外側に形成された固体電解質層203と、固体電解質203の外側に形成された空気極204とを含む円筒形固体酸化物形燃料電池セルを作製した。この例では、燃料極が支持体として構成されている。燃料極支持体201と固体電解質層203との間には、燃料極反応触媒層を設けた。また該固体電解質層203と燃料極反応触媒層との間には、反応防止層を設けた。以下に作製手順について詳細に説明する。
No.1〜3、10〜14
NiO粉末と、 (ZrO)0.90(Y)0.10(以下YSZと略称する)粉末とを、Ni:YSZの重量比で59:41となるように混合した。該粉末を押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。成形体を900℃で熱処理して仮焼体とした。仮焼体の表面に、スラリーコート法により燃料極反応触媒層、反応防止層、固体電解質の順番で成形した。これら積層成形体を支持体と1300℃で共焼成した。なお、このとき反応防止層の厚さは2から10μmの間になるように調整した。また固体電解質層の厚さは30〜60μmの間になるように調整した。次に、空気極の面積が32.7cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質の表面に空気極を成形した。この成形体を1100℃で焼成し、固体酸化物形燃料電池セル、サンプルNo.1〜3、10〜14を得た。なお、燃料極支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mm、有効セル長110mmとした。以下にスラリーコート法に用いた各層のスラリー作製方法について(1-a)から(1-d)に詳しく示す。なお、サンプルNo.1〜3、10〜14の各セルはそれぞれ複数本作製し、一部を用いて試験片を作製し、酸化収縮率Lrの測定及び界面長の測定を行った。また、残りのセルで起動停止試験を実施した。
(1-a)燃料極反応触媒層スラリーの作製
NiO粉末とGDC粉末の混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い燃料極反応触媒層粉末を得た。NiO粉末とGDC粉末の混合比は重量比で50:50とした。平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。
(1-b)反応防止層のスラリー作製
反応防止層の材料には、(Ce0.6La0.4)O(以下LDCと略称する)粉末を用いた。焼結助剤としてGa粉末を0.2重量部混合し、溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。
(1-c)固体電解質層のスラリー作製
第2の層の材料には、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2の組成のLSGM粉末を用いた。LSGM粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。
(1-d)空気極スラリーの作製
空気極の材料には、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2の組成の粉末を用いた。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル)1重量部、消泡剤(ソルビタンセスキオレート)1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。
No.4〜9、15
NiO粉末と、Ce0.9Gd0.11.95(以下GDCと略称する) 粉末の混合物を湿式混合法で作製後、熱処理、粉砕を行い燃料極支持体原料粉末を得た。NiO粉末とGDC粉末の混合比は、Ni:GDCの重量比で表1に示す組成とした。これ以外はNo.1と同様に行い、複数本の固体酸化物形燃料電池セルを得た。
作製したサンプルNo.1〜15の固体酸化物形燃料電池セルについて、各評価を行った。結果を表1に示す。
燃料極の酸化収縮率測定
まず、以下の方法にてサンプルNo.1〜15の固体酸化物形燃料電池セルの還元処理を行い、その後、各サンプルについて酸化処理を行い、酸化処理後の酸化収縮率Lrを測定した。
まず、サンプルNo.1〜15について、燃料極の還元処理を行った。具体的には、サンプルNo.1〜15の固体酸化物形燃料電池セルの燃料極に窒素200cc/min、空気極に空気2000cc/minを供給し、室温から700℃まで1時間半で昇温した。その後、温度700℃一定で燃料極に水素90cc/min、窒素40cc/min、空気側に空気2000cc/minを供給し8時間保持した。その後、燃料極側に水素30cc/min、窒素200cc/min、空気極側に空気2000cc/minを供給し、3時間で室温まで降温した。
還元処理を行ったサンプルNo.1〜15の固体酸化物形燃料電池セルの一部を長さ15mmに切断し、切断面が平行になるように研磨して酸化収縮率測定用の試料1〜15とした。これらの試料1〜15について、固体酸化物形燃料電池システムが運転停止した後、燃料電池モジュール内の温度が所定の温度まで降下した状況を想定し、熱機械分析装置TMA(島津製作所製TMA−60)を用いて以下の試験を実施した。なお、測定時の荷重は10gとした。
まず、試料1〜15を水素中6℃/minで室温から、650℃まで昇温した。この温度は、固体酸化物形燃料電池システム運転時を想定した温度である。その後、水素中6℃/minで表1に示す所定の温度まで降温させた。所定の温度で10分間安定させた後、窒素中で5分間保持した。その後、固体酸化物形燃料電池システム停止時の空気供給を想定し、空気中で30分保持した。その後、窒素中で430℃まで6℃/minで降温した。500℃の燃料極の寸法(L500)と430℃の燃料極の寸法(L430)から以下の式により、試料1〜15の各燃料極の酸化収縮率Lr(%)を算出した。
酸化収縮率Lr(%)=(1−L430/L500)×100
ここで、燃料極の寸法Lとして、燃料極のZ軸方向の長さを用いた。
図9は試料1において、燃料極の寸法(mm)と温度の時間変化を示す図である。
図9に示すように、温度の上昇とともに燃料極の寸法Lも増加する。そして、温度が低下を始めると燃料極の寸法Lも減少する。そして、470℃で10分間、及び窒素中で5分間安定させている間、寸法Lにはほとんど変化がない。その後、空気を導入すると、寸法Lが減少する。なお、図9において、空気を導入した直後に寸法が急激に増加している部分があるが、これは、水素雰囲気を窒素で置換した際に、燃料電池モジュール内に微量の水素が残留しており、これが空気の導入により燃焼したことによると考えられる。その後、窒素中で降温させると寸法Lの寸法が減少する。
燃料極のNiとセラミックスとの単位面積あたりの界面長の算出
(電子顕微鏡観察)
まず、作製したサンプルNo.1〜15を電子顕微鏡にて観察した。電子顕微鏡観察のための試料には、サンプルNo.1〜15を適当なサイズに切り出した試験片1〜15を用いた。この切り出した試験片1〜15の多孔質支持体を研磨後、日立製作所製IM4000によってイオンミリング加工処理を行い作製した。これらの試験片1〜150を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4100)により、加速電圧5kV、2次電子画像および反射電子像、倍率10000倍で観察し、電子顕微鏡画像(反射電子像)を得た。
図10は試験片No.6および試験片No.9の電子顕微鏡画像である。図に示される電子顕微鏡画像(反射電子像)では、明暗差によってNiとGDCと気孔とが個別に表示されている。図10では、Niが“灰色”、GDCが“白色”、気孔が“黒色”で表示されている。
(電子顕微鏡画像処理)
図11は、図10に示す電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(三谷商事株式会社製WinROOF)によって画像処理した図である。図10では、NiとGDCとの界面が白色で示されている。この界面は、電子顕微鏡画像(反射電子像)の明暗差からNi、GDC、気孔を区別し、NiとGDCの界面を目視で定めたものであり、この界面の長さはNiとGDCとの界面長を示す。
NiとGDCとの単位面積あたりの界面長の平均値は以下の方法にて求めた。
図11に示す界面長をすべて足すことによりNiとGDCの界面長の合計値を求めた。この合計値を電子顕微鏡画像の視野面積で割った値を、NiとGDCとの単位面積あたりの界面長とした。なお、電子顕微鏡画像の視野によるばらつきを低減するために、1つの試料につき10視野の電子顕微鏡画像について画像処理を行い、単位面積あたりの界面長の平均値を算出した。
起動停止試験
また、得られたサンプルNo.1〜15の固体酸化物形燃料電池セルを固体電解質形燃料電池システムに組み込み、発電試験を行った。発電条件としては、燃料は都市ガス13Aと水、空気の混合ガスとした。酸化剤は空気とした。発電定常温度は650℃とし、電流密度0.2A/cm2で運転した後、下記方法で固体電解質型燃料電池システムの運転停止を行った。
まず、燃料極側のガスの供給、水の供給、及び空気の供給を短時間に停止する。また、燃料電池モジュールからの電力の取り出しも停止する(出力電流=0)。空気極側は空気20L/minを5分間供給した後、停止した。空気停止の後、燃料電池モジュールはこの状態で自然放置し、所定の温度で燃料極側に空気6L/minを2分間供給した。上記の起動停止試験を5サイクル繰返し、試験後の固体酸化物形燃料電池セルのクラック有無を、光学顕微鏡(キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000)を用いて確認した。
1 固体酸化物形燃料電池システム
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材(蓄熱材)
8 ケース
8a 連通開口
8b 下がり壁
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(燃料電池セル)
18 燃焼室(燃焼部)
20 改質器
20a 蒸発部(蒸発室)
20b 混合部(圧力変動吸収手段)
20c 改質部
20d 蒸発/混合部隔壁
20e 隔壁開口
20f 混合/改質部隔壁(圧力変動吸収手段)
20g 連通孔(狭小流路)
21 整流板(隔壁)
21a 開口部
21b 排気通路
21c 気体滞留空間
21d 縦壁
22 空気用熱交換器(熱交換器)
23 蒸発室用断熱材(内部断熱材)
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給装置)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給装置)
39 バルブ
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット(改質用の酸素供給装置)
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用の酸素供給装置)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置(排熱回収用の熱交換器)
52 制御ボックス
54 インバータ
62 改質器導入管(水導入管、予熱部、結露部)
62a T字管(結露部)
63a 水供給用配管
63b 燃料ガス供給用配管
64 燃料ガス供給管
64c 圧力変動抑制用流路抵抗部
66 マニホールド(分散室)
76 空気導入管
76a 吹出口
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
85 排気バルブ
86 内側電極端子(キャップ)
98 燃料ガス流路細管
110 制御部(コントローラ)
110a シャットダウン停止回路
110b 電圧監視回路
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ
132 燃料流量センサ(燃料供給量検出センサ)
138 圧力センサ(改質器圧力センサ)
142 発電室温度センサ(温度検出手段)
148 改質器温度センサ
150 外気温度センサ

Claims (11)

  1. 水素と酸素を反応させることにより発電する固体酸化物形燃料電池システムであって、
    空気極と、第1の活性下限温度を有する固体電解質と、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含み、前記第1の活性下限温度よりも高い第2の活性下限温度を有する燃料極と、を有する燃料電池セルを収容した燃料電池モジュールと、
    前記燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給装置と、
    前記燃料供給装置により供給された燃料を水蒸気改質して水素を生成し、生成された水素を前記燃料極に供給する改質器と、
    前記改質器に水蒸気改質用の水を供給する水供給装置と、
    前記燃料電池モジュールに酸素を供給する酸素供給装置と、
    前記燃料供給装置、前記水供給装置、及び前記酸素供給装置を制御すると共に、
    前記燃料電池モジュールからの電力の取り出しを制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、前記燃料供給装置による燃料の供給及び前記燃料電池モジュールからの電力の取り出しを停止させるシャットダウン停止を実行するシャットダウン停止回路を備えており、
    前記シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、前記燃料電池モジュール内の温度が前記第2の活性下限温度以上かつ前記燃料極の酸化膨張が生じるよりも低い温度領域において、前記酸素供給装置を作動させて前記燃料電池モジュール内に酸素を供給して前記燃料極を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  2. 水素と酸素を反応させることにより発電する固体酸化物形燃料電池システムであって、
    空気極と、第1の活性下限温度を有する固体電解質と、前記第1の活性下限温度よりも高い第2の活性下限温度を有する燃料極と、酸素イオンと電気化学的に酸化反応可能な物質を含み、前記燃料極と接して設けられた支持体と、を有する燃料電池セルを収容した燃料電池モジュールと、
    前記燃料電池モジュールに燃料を供給する燃料供給装置と、
    前記燃料供給装置により供給された燃料を水蒸気改質して水素を生成し、生成された水素を前記燃料極に供給する改質器と、
    前記改質器に水蒸気改質用の水を供給する水供給装置と、
    前記燃料電池モジュールに酸素を供給する酸素供給装置と、
    前記燃料供給装置、前記水供給装置、及び前記酸素供給装置を制御すると共に、
    前記燃料電池モジュールからの電力の取り出しを制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、前記燃料供給装置による燃料の供給及び前記燃料電池モジュールからの電力の取り出しを停止させるシャットダウン停止を実行するシャットダウン停止回路を備えており、
    前記シャットダウン停止回路は、シャットダウン停止後、前記燃料電池モジュール内の温度が前記第2の活性下限温度以上かつ前記支持体の酸化膨張が生じるよりも低い温度領域において、前記酸素供給装置を作動させて前記燃料電池モジュール内に酸素を供給して前記支持体を所定量だけ酸化収縮させる酸化収縮工程を実施する
    ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
  3. 前記酸素供給装置は、前記燃料電池セル内に間欠的に複数回酸素を供給することを特徴とする、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  4. 前記燃料極は、Niとセラミックスとのサーメットを含んでなり、
    前記燃料電池モジュール内の温度が430℃以上かつ500℃よりも低い温度領域において、前記酸素供給装置を作動させて前記燃料電池モジュール内に酸素を供給することを特徴とする、請求項1または3に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  5. 前記燃料極の酸化収縮率ΔLを、(1−L430/L500)×100としたとき、
    (式中、L430は、前記燃料電池モジュール内の温度が430℃のときの前記燃料極の寸法であり、L500は、前記燃料電池モジュール内の温度が500℃のときの前記燃料極の寸法である)
    前記酸化収縮率ΔLは、0.08%よりも大きく、0.37以下である、請求項4記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  6. Niとセラミックスとの単位面積当たりの界面長が2μm/μm以上10μm/μm以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  7. 前記燃料極は、NiとYSZのサーメットまたはNiとGDCのサーメットを少なくとも含むことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  8. 前記支持体は、Niとセラミックスとのサーメットを含んでなり、
    前記燃料電池モジュール内の温度が430℃以上かつ500℃よりも低い温度領域において、前記酸素供給装置を作動させて前記燃料電池モジュール内に酸素を供給することを特徴とする、請求項2または3に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  9. 前記支持体の酸化収縮率ΔLを、(1−L430/L500)×100としたとき、
    (式中、L430は、前記燃料電池モジュール内の温度が430℃のときの前記支持体の寸法であり、L500は、前記燃料電池モジュール内の温度が500℃のときの前記支持体の寸法である)
    前記酸化収縮率ΔLは、0.08%よりも大きく、0.37以下である、請求項8記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  10. Niとセラミックスとの単位面積当たりの界面長が2μm/μm以上10μm/μm以下であることを特徴とする、請求項8または9に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  11. 前記支持体は、NiとYSZのサーメットまたはNiとGDCのサーメットを少なくとも含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池システム。
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